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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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41.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 
ゴメスで始まりゼットンで終わる。映像面が旧作と段違いなのは当然として、そもそも荒唐無稽な怪獣モノに各種突っ込みを入れておいて「理に適ってる」とか言いながら言い訳していたのが微妙に可笑しい。巨大生物が繁殖もせず単体で生息しているかに見えるのは、もともと生物兵器だからということらしい。 また宇宙人(外星人)が組織的な動きでなく、単独行動で侵略しに来たようで小スケールに見えるのは、宇宙では個体で活動するのが普通だからということのようで、それで××星人という名前でないのかと思った。ちなみに個体で活動する宇宙人から見た地球人は、例えていえば人間から見たアリの群れのようなものかと思った(旧作のメフィラス星人がアリと言っていた)。  この映画では人類の特性として「群れ」を作ることを挙げていたが、別にそれが悪いのではなく弱いからこその事情であって、その群れの内部で支え合い、時には他人のために自分を犠牲にすることもある、ということだと思われる。また人間はウルトラマンに頼っていればいいのかという問いは旧作でも出ていたが、さらにこの映画では無力感が依存/服従につながることへの懸念を示し、求められるのが自律/自立であることを明瞭にしていた。 最終的に人類の未来は人類自ら担うことになったようで大変結構だが、それにしても劇中政治家が心許ないのはまことに困ったことで、ザラブというのが日本に来たのも世界で最もちょろい国だからでないのかと思った。どうもこの映画では最初から「国」という群れの単位を当てにしておらず、代わりに地球という「星」の人々に期待をかけていたようで、これは元の子ども番組に由来する考え方かも知れない。「シン・ゴジラ」が「この国はまだまだやれる」なら、今回は地球が”やればできる子”くらいの扱いではあった。 結末はよくわからなかったが最低限、ウルトラマンが仲間や相棒を大事に思ったというのは共感ポイントかも知れない。あまり楽観的に語ってしまうと現実味が薄れるが、あえていえば地球の人間と他星の人間が、史上初めて同じ群れの仲間になった物語ということか。あるいは遠い未来において、「光の星」にとっての地球という星が、挑戦者でも脅威でもなく対等な「バディ」になる日を夢見る映画だったとも取れる。 そのようなことで、古きよき怪獣特撮のリメイクということだけでなく、旧作のメッセージを踏まえて現下の内外情勢も反映し、現代なりの希望を語る映画に見えなくはない。またけっこう可笑しい場面が多いので娯楽性も高い。特に期待していなかったが悪くなかった。  以下その他雑記: ・劇中日本の対米関係は笑えない。/「鼓腹撃壌」という言葉に特定のニュアンスを込めていた可能性がある(不明)。/zero-sumが領土切取りのイメージとすれば、それとは違うwin-winの関係を目指すべきという考え方でもあったのか(不明、断片的)。 ・職場に趣味関係の雑多なものを持ち込んでいる奴がいて、サンダーバード・スタートレック・マイティジャックとSRIのトータス号は見えたがウルトラシリーズは存在しない世界になっていた。 ・山中に怪獣が出現する風景はウルトラマンらしい。「虫が多くてやだ」という台詞があったが、都市部にもいるハエ程度を嫌がるようでは甘い。山間の農地が破壊されていたのは痛々しいが、上手の水田は既に耕作放棄地だったようでもある。 ・子どもを保護すると言い出して山道を走る後姿は、何でお前が行くのかという突っ込みを誘うが、これはこれでお約束というか開き直りのおとぼけと見える。 ・特にザラブ編では、もとの番組の場面や展開がまともに生かされている。 ・「河岸を変えよう」というのが古風で粋だ。ここだけは「ウルトラセブン」第8話を思わせる場面で、オチも含めて圧巻の印象だった。これほど複雑に表情を作る宇宙人など怪獣モノにかつてあったか。 ・ウルトラマンの超能力として、1キロ先(だったか?)の針が落ちたのを聞き取るとは言われていたが嗅覚も犬並み?犬以上?だったのか。意識の高い宇宙人に悪態のネタを提供してしまっていた。 ・公安調査官役の人が好きになって来た。生物学者役の人もいい感じを出している。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-12-31 10:12:24)(良:3票)
42.  金門島にかける橋 《ネタバレ》 
1958年の「金門砲戦」を題材にして、当時国交のあった中華民国の映画会社と日活が共同製作した映画である。 ちょっと深刻味のある恋愛ドラマ程度かと思って見ていたが、「中華民國國軍」が協力しただけあって意外に戦闘場面の扱いが大きい。高雄から金門島に向かう艦船は結構な大艦隊のように見えたが、そこへ中共軍の砲撃や航空攻撃があって、やたらに水柱が立ったりして登場人物が危険にさらされていた。ちなみに5隻くらいいた背負い式の単装砲の戦闘艦は、アメリカに貸与されたベンソン級かグリーヴス級の駆逐艦かと思った。 本筋の恋愛物語については微妙だったというしかない。日本側ヒロイン役の芦川いづみという人は個人的に馴染みがなかったが、笑顔の口元に可愛らしさのある人だと思った。中華民国側ヒロインは怖い顔の場面が多かったが、脚がすらりとしてきれいなのはさすがと思った。  当時の国際情勢を背景にした映画のため、当然ながら現在とは世界観が違っている。中華民国側の人物が日本語を話すのは日本統治時代の影響かと思えばそうでもなく、ヒロインの養父は戦時中に日本と戦った大陸出身者だった。また島の人々が自分らを「中国人」と言う場面があったのは、中華民国=中国だったので当然としても、現在のような台湾アイデンティティとは無縁な世界と思わせる。それは金門島という場所柄(台湾省でなく福建省)からしても当然か。 戦って故郷を取り返したいと願う人物に対し、戦争以外の方法は考えられないのか、と主人公が言ったのは戦後日本的な平和主義だろうが、実際はその後年数を経て両岸の往来も容易になったので、結果的に主人公の願いが実現したとはいえる。しかし現実問題として平和を願えば平和になるわけでもなく、次にまた何かあった時は日本も他人事としては見ていられないという気にはなる。  その他の事項として、劇中出た「そうじゅうせつ」とは重要行事らしいが何なのかと思ったら、中華民国の建国記念日である「双十節」だとわかったのは少し勉強になった。 またこの映画とは別に少し前、日本の高校のマーチングバンドが台湾に招かれて大歓迎されたという記事をネットメディアで見た気がしていたが、これも実はこの記念日のゲストとして参加したのだそうで(2022/10/10)、日本と台湾の友情のかけ橋として期待されていたらしい。何か大昔の映画を見たような気がしていたが、現在にちゃんとつながったのが意外で少し感動した。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-12-03 12:00:47)
43.  未成仏百物語 AKB48 異界への灯火寺 《ネタバレ》 
AKB48メンバー8人が寺の本堂で怪談を語り、最後は住職の読経と皆の焼香で終わる。わざわざ映画館で見るものでもないが、実話の再現ドラマや怪談語り、心霊スポット探訪や有識者?との対談といった多彩な内容でTVの心霊特番のような趣がある。 個人的に関心があったのはAKBよりも実話怪談の映像化という点である。これの原作として売られている怪談集の全21話のうちドラマと語りで5話が採用されており、それぞれ名の知れた怪談作家の作なので実話怪談としての質は確保されている。 以下、メンバー8人がそれぞれ1話を担当する。  〇ドラマ「見逃し」 原作 黒木あるじ 原作本を読んでからだと表面的なレベルで止まって見えるが、これはこれで正解。深入りしなくていい。 〇対談 part1 実在の事故物件を訪ね、その筋の権威である大島てる氏の解説を聞く。ちなみに東京都某区東××にある物件の写真が出るが、ストリートビュー(2020.1月)で見ると現在は改装して外観を一新している。 〇ドラマ「宇宙人」 原作 松村進吉 そもそも宇宙人だと思い込んだ理由が不明。原作では当人が不思議ちゃん的人物だからということで大らかに納得したが、ドラマでは人物像が微妙に違うので単に意味不明になっている。なおヒロミ役の濱崎優姫という人はいい感じ。 〇心霊スポットツアー 毎年恒例の「心霊スポット巡礼ツアー」で知られる三和交通タクシーで八王子市内の2か所を訪ねる。この会社は応援したい。 〇ドラマ「お泊まり」 原作 松村進吉 話を作り過ぎ、教訓は不要。本来は実話とされていたはずのものがこのようにしてウソっぽくなる。 〇対談 part2 part1に引き続き、別の事故物件で大島てる氏が語る。 〇語り「見初められる」 原作 小田イ輔 何の感慨も残さずに終わってしまうが、原作では最後の一言が締めの納得感をもたらしており、逆に怪談作家はそういう点に気を使っていることがわかる。 〇ドラマ「あそぼう」 原作 黒木あるじ 単純化が過ぎる。原作ではもう一段の展開がある(座敷童ではない)。  原作とは別に映画としての独自性を出すのは普通かも知れないが、一つひとつにAKBメンバーのトークで安易な解釈をつけるとか、いい悪いの区別を簡単にしたがるのは、怪異をあるがままに受け入れようとする気構えに欠ける気がする。この企画ならこのやり方で妥当だとしても、原作もこういうものだと思ってもらいたくはない。 ただし、こういう企画自体は実はそれほど嫌いでない。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-11-05 10:11:47)
44.  杉沢村都市伝説 劇場版 《ネタバレ》 
乃木坂46のメンバーが主演するホラー映画シリーズ3作の3つ目で、主演は伊藤寧々という人である。「劇場版」とあるが、ほかにOV版とかTV版とか小説版があるわけでもないらしいのは、同シリーズの「死の実況中継 劇場版」「デスブログ 劇場版」と同じである。 シリーズ3作はみな都市伝説を扱っているが、この映画の「杉沢村伝説」は本当にあった都市伝説であり、看板とか鳥居とか岩など結構忠実に見せている。もとの話では青森県にあったとされているが、それをこの映画では「噂で終わった」ことにしていたので別の場所ということになる。ちなみに登場人物が村へ行く途中で見えた看板の「高山・市民の森」は静岡市葵区の山間部にあり、山の斜面に茶畑らしきものが見える場面もあった。近年いわれるオクシズ(奥静岡)での撮影だったかも知れない。  内容的には、ホラーとしての密度はあまり高くない。主人公が村に行くまで全体の半分くらいが経過し、その間に怖さの演出もあるが雰囲気だけである。 村に行ってからの出来事は、もとの都市伝説に「津山事件」(1938)のイメージが含まれているので似た感じになるのは仕方ないとしても、殺人鬼の扮装まで「八つ墓村」(1977)や「丑三つの村」(1983)だったのはどうかと思う。同じく昭和初期の事件が廃村の原因だったという意味かも知れないが、しかし昭和初期にしては民家の柱にエアコンか室内照明のリモコンが取り付けてあったりして、撮影に使ったお宅の様子がそのままなところが見えたりする。屋外でも道がタイル張りだったりカーブミラーがあったりして、この世のものでないはずの村も時代に合わせて変化しているのかと思わせた。基本的に真面目に作ったようではあるが、何かと突っ込みどころの多い映画だった。  なお少しよかったのは女性2人が村へ行く途中の雰囲気で、道の近くに少し険しい山がそびえる風景は異界に踏み込む緊張感を少し出している(送電線は邪魔)。と思ったら交通量の多い道路に行きついたりして、現実との境界が入り組んだ様子を見せていた。 登場人物としては、主演の人は149cmとのことだが、同行した兄の彼女(演・美紀乃)もそれに合わせたのか小柄な人で、この可愛らしい女性2人が馬鹿な男連中のせいで危険に晒されるのが痛々しく見えた。兄がいなくなれば妹の自立が促されるはずとの発言もあったが、優しいお姉さんが一緒にいてくれれば全てうまく行ったのではと思うと少し悲しい。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-09-24 09:44:53)
45.  死の実況中継 劇場版 《ネタバレ》 
乃木坂46のメンバーが主演するホラー映画シリーズ3作の1つ目で、主演は能條愛未という人である。「劇場版」とあるが、ほかにOV版とかTV版とか小説版があるわけでもないらしいのは、同シリーズの「デスブログ 劇場版」「杉沢村都市伝説 劇場版」と同じである。 劇中の都市伝説は架空のもののようで、映画の冒頭から主人公(が演じる劇中ホラーの登場人物)が殺されるまでの一連の部分がそうだとすると、①まず人が死ぬ映像を見たことで呪われ、②その後に来たメールのアドレスを開くと「メリーさんの電話」風の展開になる、という順序になる。うち②で本人が普段使う道を何かが走って来る動画付きなのは悪くない。また“あなたの後にいるの”的な演出は少し怖かった。 ただ①②がスムーズに融合しておらず、題名の「死の実況中継」と、別の“赤い服の女”とでもいうべき話を無理に接合したように見える。またラストでこれが別の形で再現され、観客のところにも“赤い服の女”が来るという感じにしたかったようでもあるが、途中のメール受信が省かれていたのが半端な印象だった。動画チャンネルに貼られたリンクをそのままクリックする形ならよかったか。  当方としては気楽に見られる安手のアイドルホラーを期待していたわけだが、ストーリーは意外に面倒くさく作られている。理屈がよくわからないので適当にまとめると、主人公は進学後の新しい友人と先輩のおかげで高校時代の記憶の呪縛から逃れられるかと思ったが、旧友のせいで先輩と友人を失ってしまい(多分)、改めて自分の意志で立ち向かおうとしたにもかかわらず、結局は旧友との「共依存」関係に引き戻されて終わったように見える。呪縛はかえって強まってしまい、主人公が憎んでいた「理不尽」が続いたまま今生も来世も生き続けなければならなくなった、ということか。かなり真面目に作ったようで、同監督の「デスブログ 劇場版」よりはいいかと思ったが、褒めるには微妙な印象の映画だった。 キャストとしては、主人公役のアイドルは悪くない。序盤で錯乱する場面などはいきなり経験不足にも見えたが、登場人物の息を荒くして変な印象になるのはこの監督の特徴のようでもある(前記「デスブログ 劇場版」と「黒蝶の秘密」(2018))。なお劇中の映像サークルの人物像を結構作り込んでいたようだが、申し訳ないが見る側にとっては関心ない(全員まとめてバカ)。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-09-24 09:44:46)
46.  4/猫 ねこぶんのよん 《ネタバレ》 
「一匹の猫が住みつく、とある駅を利用する市井の人を描く」という条件で若手監督4人が作ったオムニバスである。製作は「埼玉県/SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」とのことで、前に見た「埼玉家族」(2013)と同様の埼玉映画ということになる。なお「とある駅」とは明らかに西武秩父駅であって、撮影場所も秩父が多かったように見える。 登場する「駅猫」は同時期の映画「猫なんかよんでもこない。」(2015)に出演したのと同じネコとのことだが、結果的にネコ成分は薄いので、ネコ映画としては期待しない方がいい。  【ねこぶんのいち/猫まんま】 突然終わるので困惑する。ここで思い切りよく清算して決別したというだけでは単純なので、次の展開に向けて仕切り直しと仕込みをしたのかと思ったがそうでもなかったか。木南晴夏という人がかなりいい感じに見える。 【ねこぶんのに/ひかりと嘘のはなし】 意味不明で終わってしまう。変な男と話が通じた(物語を一緒に作った)体験をもとにして、自分の人間関係を主体的に構築していく気になった、と思えなくもなかったがそれでわかった気もしない。柴田杏花さんはこの少し前から役者として出ていた人だが、この映画では“いいこと思いついた!”の顔がよかった。ネコは後姿がよかった。 【ねこぶんのさん/一円の神様】 制作目的が不明瞭な終わり方だが、要は母の愛が信じられれば子は育つということ自体を表現したのかも知れない。終盤で母親が逃げるのは、同じ監督の「口裂け女VSカシマさん」(2016)を思わせたが関係ないか。役者としては山田キヌヲ+栞那(かんな、子役)のペアで見せているが、朝倉あきさんはあまり顔の見えない役で残念だった。 【ねこぶんのよん/ホテル菜の花】 結末がありきたりに見える。夫の考えはそれ自体として間違っておらず、「可哀想」とは確かに言い過ぎだが、しかし別にこの映画として正しい結論を決めていたわけでもなく、夫婦が真剣に悩んで納得したことの方が重要だったと思っていいか。ちなみにどうでもいいことだが夫は埼玉りそな銀行にでも勤めているのかと思った(根拠なし)。  時間は全部同じくらいなのでそれぞれ1/4ではある。理解困難なものが多いが雰囲気は悪くない。最終話だけそれらしい結末をつけたのは全体構成上の意図かも知れないが、個人的には菜の花畑の演出が過剰に見えて、前の3つが投げっ放しだったことの方がかえって清々しく感じられた。
[DVD(邦画)] 6点(2022-08-06 09:41:04)
47.  亡霊怪猫屋敷 《ネタバレ》 
ホラー映画というよりは、予告編に書いてある「怪談映画」がふさわしい。個人的感覚としてはそれほど怖いところはなく、ネコもそれほど邪悪な感じではなく、気楽に見られる大衆娯楽映画になっている。 劇中年代としては昭和30年代と20年代、さらに江戸時代(17世紀初めか)の三段階で、時間を遡ってからまた帰って来る。江戸時代がカラーなのは意外感もあったが、ここからがメインの物語だという雰囲気も出していた。現代部分も単純な白黒ではなく、青みをかけた深みのある色調なのがいい。  江戸時代パートは有名な鍋島化け猫騒動をもとにしていたようで、大村藩(実在の藩名)という設定は場所が若干ずれているが、殺された若侍の「竜胆寺」という家名はそれらしさを出している。囲碁の勝負で喧嘩するなどは大人気なく、また飼いネコに向かって末代まで祟れと言い聞かすのは荷が重そうで無理があると思った(そもそも人の話を聞いていたように見えない)が、これは原話からしてこういうものだったらしい。なお壁の死体は有名なエドガー・アラン・ポーだった。 悪役の家老が好色なのはお決まりの設定だろうが、若い腰元はともかく若侍の母親(眉を剃ってお歯黒をつけている)から手籠めにしたのは意外感があった。凌辱場面では刺激的な描写を避けていたようだが、帯を解いて着物を脱がすという定番の展開を別の場面で見せていたのは代替措置のようなものか(?)。化け猫の犠牲者が曲芸のような動きをさせられていたのが目についた。 伝統怪談の部分は当然救いのない感じで終わったが、現代に戻ってまた新たな展開があり、終盤は一気に文明世界の話に戻ったようでほっとさせられる。最後の最後にまた新手のネコが出現したのも悪くない。ちなみに悪気のなさそうな看護師の人がやられ役にならなかったのもよかった。  以下は個人的感想として、300年にもわたる呪い疲れでもうネコも人も成仏を望んでいたところ、子孫が来た機会にやっと供養してもらえて感謝したのではないか。最初のうちは、わざわざこんな屋敷に来て療養するなど意味不明と思っていたが、終わってみればちゃんと療養の効果が上がったらしいのは「猫の恩返し」だったのかも知れない。最終的にはネコ嫌いの人もネコ好きになる映画で大変結構だった。
[DVD(邦画)] 6点(2022-08-06 09:41:00)
48.  牛首村 《ネタバレ》 
「恐怖の村シリーズ第3弾」である。 今回は「坪野鉱泉」と「牛首トンネル」という2つの心霊スポットを取り上げているが、題名のとおり牛首関係の方が中心で、廃ホテルとはエレベータなど“落ちる”場面で本筋とのつながりをつけている。「村」に関しては実在の地区名があるようだが(江戸時代は牛首村)、八坂神社(祇園社)の祭神である牛頭天王に由来するのであれば別に呪われた地名などではない。ほかに牛首つながりとしては“そんな怖い話は誰も聞いたことがない”という「牛の首」説話とか、予言獣「件」(くだん)とかいうネタを出しており、また「七つまでは神のうち」など各種要素を積極的に(やたらに)取り込んでいるのが特徴的ともいえる。 この映画に何かまともなテーマがあるとすれば牛というより双子に関することのようで、昔あった「畜生腹」という言葉と、具体的な動物としての牛を無理やり結び付けた形かと思われる。現代日本で双子を忌み嫌う風潮などはさすがにないだろうが、それでも多胎児家庭は虐待リスクが高まるため支援が必要という声もあり、また世界的にはなぜか多胎児の多い地域があるようで(食物の関係?)、それが人権問題につながっている場所や時代もあったのかも知れないが、そういう社会的な問題提起のようなものがこんな映画に込められているわけもなかろうという気はする。 以上に関して無理にいえば、関連性の曖昧な各種要素を逐次投入して観客を眩惑させておき、最終的に真のテーマに導く意図だったと取れなくもないが、単にまとまりがないだけのようでもある。さらに今回は邦画ホラーらしい怖さも特になく、適度にふざけた部分もないので真面目に見えるが面白味がない、というのが素直な感想だった。  ほか今回は地元PRにも気を使っていたようで、Aクラスの蜃気楼が出た時は実際に魚津市役所がアナウンスするとの噂もある。映像面では魚津駅の大雨が印象的だった。 登場人物に関しては、芋生悠という人が全く可愛くない役だったのは残念だ(本人がよければいいが)。またレギュラー化した突撃ユーチューバーが「オカルト特集第3弾!」と言っていたので、この人が犬鳴村と樹海村から無事に生還できた世界での話かも知れない。せっかくなので、この人のYouTubeチャンネル「アッキーナTV」で定番だった「ハロー!アイムアッキーナ!世界の皆さんこんにちは〜!ども、アキナです!」をフルバージョンでやってもらいたかったがそうでもなかった。同行のミツキちゃん(演・莉子)も愛嬌があって可愛いので、次の機会にまた生き返って出てもらうのもいい。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-07-23 09:44:01)(良:2票)
49.  ヒトコワ2 -ほんとに怖いのは人間- <OV> 《ネタバレ》 
全5話のオムニバスである。 【ペットモニター】 最後にニッと笑ったが、すぐ真顔に戻ったので許されたかどうかわからないのは困る。しかし、ペット愛が他の全てに優先する人格を表現しようとしたエピソードと考えれば、やはり許されたのだということにはなる。ただしペットを貶められただけで殺人というのも単純すぎるので、そもそも不倫の件で恨みがあったことにして補強したと解される。 【ヘビと初恋】 小公園は埼玉県越谷市。オチがないようなのは困惑する。目撃者が他にいないと知って自らダークサイドに落ちたと見える(悪人メイク)がそれだけか。 【二人の約束】 男に対する女の執着が異常なのかと思っていると、その後にもう一段の展開がある。題名の印象からは、男が約束を守らないのが問題だということになるが、実はそれよりも、束縛を嫌っていきなり凶行に出るのが異常だということか。妻が妊娠中なのをいいことに遊び回っていたところ、浮気はしない約束のはずだと妻に咎められ、逆に妻が浮気して妊娠したのだろうと言いがかりをつけて殺したが、その後に遊びと思って付き合った相手までが、一途な遊女よろしくしがみついて来たので排除したとも取れる。 【自転車をとめないでください】 埼玉県越谷市で撮影したことを執拗にアピールしている(映像中に文字情報が多い)。「こうかい」だけでなく、その前のも「とめると」がブレーキの意味だったか。つまんねー。 【共通の趣味】 盗撮が異常なのかと軽く思わせておいて、実はさらに異常な性癖だったという展開かも知れないが、両者のつながりが弱いため単に散漫な構成に見える。彼氏が合鍵を提供したので入れたのはいいとして、入るタイミングが変だ。  「ヒトコワ」シリーズの2つ目である。初回の時点で2と3は見ないと書いておきながら、結局全部見てしまったのは阿呆だ。暇なのか。 別に怖くもなく面白味もないが、それほど極端にバカみたいなのはないとはいえる。しかし展開の意外性を優先したためか物語の芯になるものを素直に受け取れず、独自の解釈(上記)を理屈で考えて辻褄を合わせるのが面倒臭い。 また今回最悪だったのは、好意的になれる登場人物(男でなく)が誰もいなかったことである。それがなければC級ホラーなど見る意味もなく、芸能事務所のプロモーション上の意義もないことになる。個人の好みで今回は当たりがなかっただけかも知れないが。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-06-04 13:40:36)
50.  サーチン・フォー・マイ・フューチャー 《ネタバレ》 
同じ監督の「七子の妖気」(2012)に続けて見た。今回は山形県の庄内地域を中心に撮影しており、地元の地方銀行が支援する形になっていたらしい。ちなみに田園に孤立するタワーマンションは庄内ではなく内陸地方の上山市にあるが、山形駅からわざわざここに行くのは「ミクに近づいた」どころかかえって遠くなっている。 上記「七子…」はいかにもマイナー映画だったが、今回は時間も少し長く、2015年の第9回「田辺・弁慶映画祭」で受賞もしたとのことである。その映画祭自体がマイナーなようでもあるが、“インディペンデント映画の登竜門”として扱われていたのは間違いなく、一つ前の第8回では「ひとまずすすめ」「天使の欲望」「独裁者、古賀。」「ファンタズム」といった、見たことのある映画が多く出品されていたことに改めて気づいた。第10回の「ポエトリーエンジェル」も見たことがある。  物語としては、要は主人公の男が同行者に引率されて元彼女を探す話だが、同姓同名の人物がいたりして少し意外感のある展開ではある。主人公には全く共感できないが、それまでの閉塞状態から抜けて視界が一気に開けたところまでで終わりになり、取ってつけたようなハッピーエンドでなかったのは悪くない。主人公が探していた元彼女の名前が題名と関係づけられていたことは、エンドクレジットの漢字を見るとわかる。 劇中で主人公が見た単館系映画というのは上記「七子…」だったようで、それを「お客様」の目からすればクソ映画だと主人公がけなしていたのは、そういいたくなることの意味はわかる。しかしそこで同行者が、そういうことしか言えないのはつまらない奴だ(意訳)と主人公を評していたのには共感した。映画限定の話とすれば内輪ネタのようでもあるが、悪いところでなくいいところに目をつけろというのは、人間の生き方全般に広げて考えてもその通りだと思うものはある。  登場人物としては、主人公の男はどうでもいいとして(見なくていい)、同行者の劇中監督(演・山本真由美)の方は、視界が一気に開けたところで目に入った人物として非常に魅力的に見えた(少々わざとらしいが)。また個人的には、百間堀端とナイトスポット白ばらにいた「もう一人のミク」(演・近藤奈保妃)も好きだ(少し惚れた)。ほかエンドクレジットの「スペシャルサポーター」として、上記「七子…」に妖怪役で出演していたユウコさん(チャンベビユウコ)の名前が見えたのは嬉しい。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-03-19 09:57:02)
51.  七子の妖気 《ネタバレ》 
10年前に岐阜県の下呂温泉で撮った妖怪映画(違うか)である。 撮影のあった旅館「望川館」(ぼうせんかん)は当然いまも営業しており、現時点では「まん延防止等重点措置」(1/21~3/21)の期間中のため制約も多いが、宿泊に関してはガイドラインを守りながら通常営業をしているとのことである。ちなみに映画と関係ないが下呂温泉には「温泉むすめ」の下呂美月(げろみつき)というキャラクターがいるようで、「日本の各温泉地に宿る下級の神さま」であるから妖怪ではないらしいが、下級といってしまうとほとんど妖怪だ。  映画としては、面白いかというとそれほどでもなく個人的には笑えるところもない。やたらに男連中の裸体を見せられるのが煩わしく、その点「お湯かけ婆」には一瞬期待したが可愛く見せようという気もないらしかった。最後の打開策もかなり適当だったがそういうのにいちいち突っ込んでも仕方ない。 物語的には、異質に思われたものをただ排除するのでなく、共通点を認め合って理解し合い共感し合い、互いに尊重しながら共存できる関係を作ることが大事であって、その中で個人の自己変革も促されるという話か。そのためにも温泉という場が役に立つという意味だったかも知れないが、そうだとしてもそんなことにまでこの映画で思い至る人間がどこにいるかということではある。 一応は温泉PRという目的を果たしながらまとまった形で作ってあり、それほど悪くもなかったが、どこを褒めればいいかわからない映画だった。  出演者としては、最初に出た全裸の男が監督だったかも知れないがそれはどうでもいいとして(見なくていい)、男湯を占拠していた妖怪サビナシ役のユウコという人は「チャンベビ」という女性音楽ユニット(3人女子バンド)のメンバーである。このバンドは現在も活動中のようだが、YouTubeを見るとこの映画の前後らしい動画がいろいろ上がっていて、「新潟県粟島のテーマソング」「帯広の豚丼ソング」その他いろいろ聞ける。岐阜市の柳ヶ瀬の商店街でユウコさんがこの映画のPRをしている動画に和まされたので、他の人々には申し訳ないが、今回の出演者の中ではこの人が一番好きになった。その点では見てよかったと思った。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-03-12 10:26:08)
52.  怪談新耳袋 劇場版 《ネタバレ》 
8話オムニバスである。[]内は点数。 【夜警の報告書】 冗長。要は気の持ちようだ、というのはこの手の現象の本質の一面ではあるかも知れないが、それだけでいいともいえないということだ。[3] 【残煙】 単に意味不明。不可解な出来事を表現したいのなら、不可解な出来事だったと納得できるよう作らなければならない。車中の3人はみな見たことのある人ばかりで豪華キャストに見える。最年少で長身の人は「なぞの転校生」(1998)で宇宙人役だった人だ。[2] 【手袋】 手袋だけというのは映像的に格好悪い。なお「夜毎」を「よまい」と読むのは正しいか。[3] 【重いッ!】 だから何だ、とは思うが母親の顔を見ていると気の毒にはなる。[2] 【姿見】 だから何だというのか。そもそも予告編でネタバレしているではないか。[2] 【視線】 脈絡のない話。主人公は10年後に女優になっていたいと言っていたが、堀北真希という人のその後の経過を思うとそれなりの感慨がある。この頃はまだしょうもないホラーなどに出ていたわけだが(可愛いが)、この13年後に引退した時点では最高に存在感のある女優(女性俳優)になっていた。[3] 【約束】 怪人物のビジュアルと、本来の住人がそれをどう思っていたかの説明が感覚的に整合せず納得感がない。ラストは不要だ。[3] 【ヒサオ】 和服と黒電話がわざとらしい。関西弁もわざとらしいが悪いともいえない(京都の話か、深泥池を思わせる)。締めのエピソードらしく、泣かす気満々で作っているのはかえって反発を感じるが、役者が作り出す人物像のせいで否応なしに引き込まれてしまうのは仕方ない。見ているのがつらい話なので褒める気はしない。[6]  特に怖いところはない。原作は一通り読んだはずだが元ネタを思い出すものがない。本来は実話系怪談だが、とても実話とは思えないほど脚色されているようで、特に2話目は実話ではありえない話に見えてしまっている。ちなみに実話怪談では「死ねばよかったのに」タイプのオチがあってはならないことは常識だが、だからといってエピソードとしての締めもなく、ぶった切って終わりでいいともいえないわけで、その意味で特に4、5話目はまともな出来とは思えない。 なおキャストに名の知れた役者が多いので、その後の新人タレントばかり出る安手オムニバスホラーよりは金がかかっていたように見える。
[DVD(邦画)] 3点(2022-02-19 09:19:39)(良:1票)
53.  着信アリ Final 《ネタバレ》 
前回は台湾だったが今回は半島方面に進出している。結果的には東アジア3国にわたる国際展開を意図したシリーズだったことになるが(大日本帝国か)、当時の風潮からすれば今回のが本筋で台湾は枝葉だったようでもある。場所は釜山なので半島の隅をかすっただけだが、それなりに名所やホテルも見せていて観光宣伝的ではあった。ちなみにロケ協力で国家情報院の名前が出ていたのは何だったのか。 ストーリー的にも、最後にネット民とネチズン네티즌が協力して主人公を救うなど両国民の共感を誘う形に作ってある。また序盤で死んだ男の着衣がASIAN CAN CONTROLERZというブランドなのもアジア重視の表れのようだが、デザインが旭日旗なのはまずいのではと思った。ただ現地で旭日旗が問題化されたのは2011年以降とのことなので、この頃は特に何とも思われていなかったらしい。  今回は悪役が次々死んでいくのがわかりやすく、転送すれば死なないという新設定もドタバタ展開に生かされている。しかし後半は主人公のドラマがかったるい上に、もともとのアメちゃん少女や手話の男との関係も付けなければならないので面倒臭くなり、また最後の海など取ってつけたようでかえって後味が悪い。そもそも10歳だったはずの少女がPC内に潜んで情報通信ネットワークを悪用するなど当初の性格づけがどうでもよくなっている。 これまで3つ連続で見たが(※本来の動機は2のテンテンちゃん)、この程度に見せておけばそれなりに受けるだろう、という思惑で作った低位安定シリーズという印象だった。Finalといいながらいつでも復活可能にできていたようだが、実際これで終わったのは穏当というしかない。なお3作共通の着信メロディは単調なので憶えやすいが、単純に単調で無味乾燥なのが低位安定ホラーを象徴している。  出演者に関しては、堀北真希という人が可愛いのはわざわざ書くまでもないとして、黒木メイサという人は時代を遡ってもあまり印象が変わらないようだが、実は堀北真希と同年で、この頃まだ17歳くらい?だったらしい。 また童顔女子(真理)役の上脇結友という人は子役時代からの役者で、現在は一児の母とのことらしい。劇中ではこの人の役柄が恐らく最も普通の人の位置付けであり、序盤で悪役が死んでいくのが痛快だと思った展開も、この人が危なくなったあたりで微妙になったかも知れない。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-02-12 09:47:43)
54.  着信アリ2 《ネタバレ》 
「幽幻道士」シリーズのテンテンちゃんが出演しているのは知っていたが、今回は映画全体が台湾との関連で作られていて、話に出るだけでなくちゃんと台湾ロケを敢行していたのが意外だった。映像的には猥雑な東南アジア的イメージで見せているようだったが、完成直後の「台北101」という当時世界一の超高層ビルもちゃんと映っている。山際の傾斜地にある「虎林街272巷」という寂れた街は実在のようだった(台北市信義区)。なお劇中の老婆が日本語を話していたのは戦前生まれの設定だからと思われる。  内容的には、最初の陰鬱な雨の場面には期待させられたがその後は別に怖いところはない。中盤で台湾に行ってからは普通のサスペンスドラマのようだったが特に旅情を誘う場面はなく、終盤の炭鉱場面(北海道で撮影)はやたらに出たり入ったりで大してスリリングでもない。薄っぺらい人間ドラマも白々しいので泣く気にならず、アクセサリーを落として拾って落として拾う展開も大概だった。 設定に関しては、かかってきた電話を取った他人も被害者になる、という法則を新たに加えてラストに生かしていたが、しかしそもそも携帯電話を呪いに使う必然性がいつまで経っても感じられない。携帯電話の前は固定電話(公衆電話)だったのはいいとして、さらに遡って戦前の台湾(伝染病の後)では何か別のものを使っていたのかも説明されていないのではないか。何にせよ小学生くらいの児童が普通に使える通信手段でないのでは基本設定に無理があるというしかなく、どこまでも適当感のあるシリーズである。 ちなみに序盤で主人公がコンタクトを外してからの出来事は何だったのか。また前回の洗濯物(回想場面でまた出ていた)と似た印象の場面として、主要人物の前面をホールスタッフが横切ってお辞儀したのが目立つ割には意図不明だったが、こういうのも原作では何か意味があったのか。  出演者について、テンテンちゃんは当然もう美少女ともいえないが昔の面影は残している。この人が無惨に殺されるのは日本国民が受け入れがたいだろうという配慮があったのか、代わりに日本人役者のオヤジが死んでいた。ちなみにブタも安らかな顔で死んでいた。 ほか台湾で出た子役がコミカルな演技をしていたのは笑った。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-02-12 09:47:41)
55.  着信アリ 《ネタバレ》 
今回初めて見たが、出演者の顔ぶれなど外観的にはまともな映画に見える。初めは単にオーソドックスだがありきたりな邦画ホラーと思ったが、しかし言われてみれば「リング」によく似た構成で、公開時点なら皆さんすぐそれを思っただろうというのはわかる。最後のひっくり返しには意外性もあるが、小学生の仕業だったにしては手が込み過ぎていて基本設定が破綻したようでもある。 また終盤が変に難解になっていたのは面倒臭い。ここは小説版を読めとか言っていたらしいが、それで真相がわかったからといって何の得にもならない予感があるので真面目に考えること自体がアホくさい。当時はマスメディアにも取り上げられてそれなりに話題になっていたような気はするが、今になると大して名作扱いもされていないらしいのは納得だった。その時だけ売れればいい消耗品のようなものだったと思っておく。  個別の場面としては、警察署の窓の向こうで洗濯物を取り込んでいる人物がいたのは何だったのか。こういうのも小説版に説明が書いてあったのか。またTVの生放送時に渋谷の街頭風景を映していたので、何が大きなことが起こるのかと期待していたが結局何だったのかわからない。悪徳プロデューサーの無惨な最期とかが見られるわけでもなく、TVとか映画とか俗悪メディアのはびこる俗悪日本という印象だけを残した。なお大阪のおばちゃんが「アメちゃん」をコミュニケーションツールにしているというのを思わせる場面もあったが特に関係なかった。 ほか出演者に関して、吹石一恵という人が若い・可愛い・長身・脚がきれいというのはよかった(大変結構だ)。また江口のりこという人が一瞬登場して変な印象を残していなくなる映画は他にも見た気がする。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-02-12 09:47:38)
56.  今日もわれ大空にあり 《ネタバレ》 
戦時中は海軍航空隊にいたという古澤憲吾監督が、「青島要塞爆撃命令」(1963)に続いて撮った飛行機映画である。時代的には「ゴジラ」(1954)で鮮烈デビューした(ただしミニチュア特撮)航空自衛隊のF-86戦闘機が早くも引退の時期にかかり、新鋭のF-104戦闘機に主力の座を譲ろうとしていた頃の話である。 実際にF-104が出るのは序盤と最後くらいのもので、ほとんどはF-86ばかりだが、円谷特撮ではなく実機映像が基本なので迫力がある。ほかに隊長機・訓練機としてT-33練習機も見えており、また極端に古風な黄色いプロペラ機が出ていたのは、戦前から世界的に使われていたT-6練習機というものらしかった。  本編は序盤からブルーインパルスなみ(乗員は多分本物)の曲技飛行で始まるので見とれてしまう。しかし劇中の隊員があまりに放埓でいい加減な連中で、こんな映画を許容する航空自衛隊は大らかなものだと思わされる。途中の訓練では何を訓練していたのかよくわからず、最後だけ必然性もなく無理やりな緊迫場面で盛り上げていたが、結局単なる根性論で終わったようなのは残念感があった。あるいはこれが「勇猛果敢・支離滅裂」といわれる航空自衛隊気質の表現だったのか(違うか)。 ドラマとしてはパイロットの人間模様も入れていたが、恋の結末に関しては全く納得できない。キャストとしては夏木陽介+星由里子で順当だとしても、こんなパワハラ気質+男尊女卑の旧人類で大丈夫なのかと花嫁が心配になる。結婚式ではとんでもない大失言をしていたが、本人は失言とも思っていないだろうからどうしようもない。 まあこの時代の大衆娯楽映画としてはこれで普通なのだろうが、それよりF-86映像が満載という点が最大の価値ではある。ラストの場面では、F-86の限界をこえて高く上昇するF-104が新しい時代を表現していたようで、お勤めを終える飛行機も人もお疲れ様でしたと言いたくはなった。  ほか個別事項としては主に最年少の三尉との関係で、自分で自分を縛らず自由になれということが語られていたようで、日記をやめろという端的なアドバイスは新鮮な気がした。また隊長の戦時中の話は残念なことだったが、その娘が父親を大事にしろと言われていたのはちょっと泣かせる場面だった。ちなみにどうでもいいことだが、農家の庭にニワトリがいるのはいいとして、屋内にまで1羽入り込んでいたのは気にしないのが普通なのか。 [雑記] 劇中飛行隊が九州まで遠出した場面では、途中で日本各地の空撮映像を見せていたが、その中で見えた「若戸大橋」(北九州市)は、この映画と同年の東宝映画「宇宙大怪獣ドゴラ」(夏木陽介主演)で怪獣に破壊されてしまっていた。その映画にもF-86が出演している。
[DVD(邦画)] 6点(2022-01-01 10:53:42)
57.  屍憶 SHIOKU 《ネタバレ》 
台湾と日本の合作ということになっている。台北市の警察が出ていたので場所は普通に台北らしい。 ホラー要素としては、台湾で有名な(多分)「冥婚」という風習を使っている。これは日本にもあると書いてあったが、しかし山形県内陸地方にある「むかさり絵馬」は亡くなった人物に架空の相手を結び合わせる形なので、この映画のように生きた人間を犠牲にするものではない。劇中で過去に事件のあった1930年は日本統治時代であり(映画「セデック・バレ」の霧社事件と同年、映画「KANO」の前年)、また何か日本がからむのかと思ったら何も関係なかった。関係なくて結構だ。  物語としては中心人物の男と女子高校生の話が別々に進んでいき、最後に一本にまとまって終結する。途中の展開が緩くて長いと思ったが、終盤に至ってまとめにかかり、それまでの断片が次々つながっていく展開は意外感があった。 また日本が参加しているだけあって邦画ホラーっぽい雰囲気もある。しかし貞子でも伽椰子でもないゾンビ風の亡霊が、霊能者の前でしおらしくかしこまってうなだれる姿は珍しい。またその霊能者が「他に方法がない」と新人らしく自信なさげに言っていた様子も好感が持たれる。 ほか女子高校生を水泳部の設定にして水着姿を水中撮影するなどは、日本でも以前に盛んだった(今も?)ロリコン趣味丸出し映画のようだった。ただし出演者は20代だろうから未成年者はいないと思われる。  出演者としては日本人も二人出ており、うち田中千絵という人(「王依涵」役)は他の台湾映画にも出ている有名人である。もう一人の池端レイナという人も日台両方で活躍中とのことで、今回出番は多くなかったが、かわいいまま終わる役でよかったとはいえる。 ほかの登場人物として、中心人物の女子高校生は16歳(昨日まで15歳)の設定で、見た目は素朴で幼い感じの普通に可愛い少女だったが、演者のVera Yen/嚴正嵐という人は実は1989年生まれだそうで、この映画の頃には26歳くらいだったことになる。10歳ごまかしても通用するのは元がよほど童顔で可愛い人だということらしく、この人にもちょっと意外感があった。特に病室で見せた情けない顔は極端に可愛い(かわいそうだ泣くな)。 また中心人物の男に「イーハン」と呼ばれていた女性役(Nikki Hsieh/謝欣穎)も忘れがたい魅力的な風貌だった。出演者の面でも見どころがあるのはいい映画というしかない。
[DVD(字幕)] 6点(2021-10-30 13:27:37)
58.  青島要塞爆撃命令 《ネタバレ》 
第一次世界大戦に日本が参戦した時の映画であり、また日本初の水上機母艦「若宮」(劇中の時点では運送船若宮丸)が出ているのが珍しい。貨物船を改装して水上機を載せただけのものだが、水上機とはいえ偵察のほか攻撃もしているので実質的に航空母艦の役目をしている。劇中では最初にとりあえず出てから相手の様子を見て、次回は爆撃と護衛を2機で分担し、後には爆弾の投下装置(筒)も付けるといった現場力での進歩を見せていた(どこまで史実かは不明)。 物語としては、青島の攻略を担当した日本陸海軍が焦って総攻撃をかけて大苦戦したが、若宮の飛行隊が要塞を破壊したことで大勝利を収め、それによって航空機の有用性も見事に実証した、という筋書きらしいが、それはこの映画限定のお話なので真に受ける必要はない。現実にはこんな大活躍などしていないが、地道に相応の成果を出してその後の海軍航空の発展につなぐ形になったと思われる。 ちなみに第二艦隊旗艦「周防」の艦上の場面は横須賀の戦艦三笠で撮影したようだが(背景に猿島が見える)、この周防というのは日露戦争での鹵獲艦(旧名Победа)であって三笠と同時代の戦艦なので、本物も大体こんな感じだったろうとはいえる。  映画全体の印象としては、評判通り力の抜けた軽妙な作りで笑わせる場面も多いが、現地住民に関する部分が笑えないので異物感がある。 「外国で勝手に戦争を始めて…」というのはその通りとしても、寛容な態度を見せたとたんに諜報活動や破壊工作が露見するなど、必ずしも無垢で善良な民ばかりといえないことはしっかり表現されている。そうすると序盤の「許可してやって下さい!」「いかん!」という意見対立は、前者優位ではなく両論併記または後者優位と取るべきだったのか。恐らくこの映画の意図としては、終盤に意外な助けが得られた展開をもって、ちゃんと誠意が通じる相手もいると言いたかったのではと思うが、徹底せずに曖昧なままで終わってしまったのは変だった。チャイナ服のスパイがその後どうしたかの説明もなかったので、何かの理由で短縮したため意味不明瞭になったと思えばいいか。 ほか劇中のドイツ軍に関しては、人間味は一応出ているが基本的にはよそよそしい感じの敵である。この第一次大戦で日本は勝ち組になって国際的地位も向上したわけで、その後はかえって多事多難でもあったが、何にせよドイツとは同じ組にならないのが無難という気はする。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-09-18 09:58:17)
59.  それも恋 《ネタバレ》 
主演の仁後亜由美という人は他の映画でも見たことがある。別に好きでもないが、素っ頓狂な声を出す役者ということで憶えていた。 短い映画だが、何か社会派的な性格を持たせたかったようではある。制作が2016年とのことで、近年見られた爆買いの雰囲気を映すとか、常習的な偽造といった行動様式を見せておいてから「ウソばっかだね」などとあからさまに言わせたりしている。一方で、日本で稼いで国に帰れば金持ちだとかいうのは大昔の話のようで、相手の男の人物像もそういう時代のイメージになっている。 個人的には現在の池袋北口とか西川口といった場所の実態を知らないので何ともいえないが、どうも微妙な違和感と今更感のある映画という気はした。しかし相手の男にもそれなりの事情があったことは説明されていたので、それぞれの事情で理解と共感を寄せる人がいてもいいのではと思った。  それよりも、題名に示された主人公のドラマとしては思うところもなくはない。何もしないで終わるよりなら何かした方がいい、という意味だとすればその通りだが(確かにそうだが)、それでどこまで妥協できるのか、その結果を納得して受け入れられるかの問題だということか。できれば後悔しなくて済むといいわけだが。 なお相手の男の台詞が聞き取りにくいのは困った。「デイエル」とは何のことかと思ったが、英語字幕のsexual serviceで何とか察せられた。
[インターネット(邦画)] 4点(2021-09-04 10:29:44)
60.  きばいやんせ!私 《ネタバレ》 
九州最南端の南大隅町にある「御崎祭り」を題材にして、祭りの再興と、主人公である不倫女子アナの再出発を重ねた映画である。 冒頭の「大怪獣ガメラ」は笑った(「小さき勇者たち ~ガメラ~」(2006))が、あとは笑わせたいのか何したいのかわからない地味な雰囲気で進行する。抑制的に見えるのはいいとして、かなりの時間にわたってどの登場人物にも共感できない状態が続くのはつらい。中盤の展開もいい加減な印象だったが、そもそも女子アナの心情など思いやる気にもならず、最後の心機一転も当該個人の問題なので自分として喜ばしいとも思えなかった。  地元振興という面からいえば、劇中の安いTV番組など大した役にも立たないだろうと思っていたが、実は地元民もその程度の認識だったようで、結果的には和牛日本一の方が重く扱われていた。また自称映画プロデューサーの顛末を見れば、TVだけでなく映画なども当てにはできず、さらにいえばこの映画自体に関しても、一応まともに完成はしたが本質は同じと取れる。要は、TV番組や映画など何かのきっかけくらいにはなるかも知れないが、本当に大事なのは人間の底力だ、と言いたかったのなら確かにそうだと納得できる(主人公のドラマとしても同様)。よくある地域おこし映画のようでいながら、上辺を飾らず本音を通した点ではいい映画だった。 個別の場面では「責める価値もない」という突き放した言葉が出たところが好きだ。豚舎が臭いという正直な台詞も綺麗事排除でいいことだが、しかしそもそも外部の人間をやたらに入れるなとは言いたくなった。  出演者としては夏帆が出ているから見たわけだが、劇中人物としては最後まで嫌な奴だったので見た意味がない。一方で太賀という役者は、最初の場面ではこんな男だったか?と思ったが、最終的には外見的にも性格的にも人が違ったように見えたのが面白い。要は序盤の軽薄で上滑りする感じの態度は彼なりの防御姿勢の表現だったようで、個人的にはここが人物描写での見所だった。 なお南大隅町は食堂経営者役の愛華みれという人の出身地だそうである。自分も昔、佐多岬まで行こうとしたが遠いので途中で断念した覚えがあるが、映画の時点でもまだ現地にはコンビニもないとの話が出ていた。ただ少なくとも2021年現在では大手チェーンの店舗もあるようなので、東九州自動車道のおかげか何かで交通の便はよくなっているのかも知れない。
[インターネット(邦画)] 4点(2021-08-21 08:48:27)(良:1票)
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