1. バンド・オブ・ブラザース<TVM>
10時間という壮大なスケールだからこそ、E中隊のメンバーの絆の深さを実感でき、自分もその一員であったような錯覚も覚える。これは普通の映画には出来ないこと。衛生兵や補充兵がクローズアップされたエピソードもあり、さらに戦闘シーンの激しさはテレビだとは思えないほど壮絶、声を上げて反戦を叫ぶわけでもなく、忘れてはならない事実を描いた、自分の中では戦争映画のベスト作品です。まだ観ていない方に:この作品は登場人物の名前や関係を把握しづらいのですが、その辺は混乱していても十分楽しめます。 9点(2003-11-26 12:10:23) |
2. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
「お願いしま~す」と言いながらティッシュを配っていたバイトの女の子に、「お願いしますじゃねぇよ」と絡んでいる若い男を街で見かけた。そして道を通る他の人々は、自分も含めその光景を無視し通り過ぎていった。昔の事はよく知らないが、恐らく10年前の日本では決して見られなかった光景ではないだろうか。これほどまでに今の日本は冷たい。新聞やテレビでマスコミは若者の変化を叫び、増加する少年犯罪を嘆き、学者たちが心の闇だなんだとほざいている。世の中は変わっていく。そう、世の中は確実に変わっているのだ。10年前に比べ今日が確実に変化しているのと同様、恐らく10年後の日本も現在とはかけ離れた状況になっているのだと思う。日々流れていく時間。回り続ける秒針。だがこれだけは言える。例え世界が変貌しようと、街を吹き抜ける風が冷え切っていようと、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」はとってもおもしろい! 9点(2003-10-13 11:50:09)(笑:1票) |
3. スナッチ
急な下り坂の途中にある大きなカーブを、一度もブレーキを踏まずに猛スピードの自転車で滑りきったような疾走感。そして強烈な快感。ヤバい、キタ。 9点(2003-10-13 11:49:55) |
4. モーターサイクル・ダイアリーズ
劇中何度も垣間見せる、ゲバラの圧倒的なピュアさ。彼は崇高な大志を抱いていたとか、壮大なビジョンを持っていたとか、生まれながらの特別な革命家では無かったのだ。旅を通じて多くの人々に出会い、多くの文化に振れ、単純に同じ人間が分断されている事に疑問を抱いたのだろう。単純に、支配と被支配、裕福と貧困、国境と国境に分けられている事を許せなかったのだろう。”渡れない境界など無い”事を、現実に証明した姿。「世の中はどうしようもなく複雑なもの」と半ば諦めてしまっている自分が恥ずかしくなると同時に、その汚れの無い意思こそが困難を実現させ、現在も多くの人を惹き付ける理由なのだと実感する。 以前、北野武監督がテレビのインタビューにこう応えていた。「1枚の絵画は、それだけで人を数十分間立ち止まらせる。理想の映画の形はそういうもの」。 この映画を見終えて浮かんだ言葉がこれである。無骨に紡がれていく映像、しかしその風景は繊細。所詮、人間が一生の間に行ける土地、出会える人の数は限られている。だから人は映画や小説を通して、他人の人生を体験する。その中で素晴らしい作品は、この映画も含め、自分の記憶と変わりなくいつまでも心に残り続ける。まさに最高のロードムーヴィー。 8点(2004-10-09 19:11:56)(良:1票) |
5. 父の祈りを
《ネタバレ》 ハッピーエンドなどありえない・・・。 先日公開された『華氏911』に、アメリカ軍に連行される青年と「息子は何もしていない」と泣き叫ぶ家族の映像があった。この映画に重なる部分が多い。その規模を問わず、暴行、虐待による自白強要での冤罪事件は数えきれないほど起きているのだろう。容疑者は弱者で、権力は密室で、保証されている権利を確かめるには壁が厚すぎる。日本でだって冤罪事件は起きているのだから。 印象に残るのは、二つの法廷での聴衆の反応。1回目で人々は野次り、物を投げつけていた。しかし15年後にはイギリス中でデモを起こし、法廷では被告を大喝采で迎えている。これに感じる強いおそれ。イギリス中でテロが発生し、人々は恐怖に震える。そんな中、警察が容疑者を逮捕する。大衆にとっての窓は新聞の文字、テレビのブラウン管、メディアだけ。いわば真実は情報の中。そんな中で、彼らの無実を信じることなど不可能に近かっただろう。きっと自分だって、並んだ容疑者たちを殺したいくらい憎んだだろう。大衆への恐怖と、自分が大衆であるということへの恐怖。真実を知ることは難しいだろうが、常に知ろうとすることだけは忘れてはならない、と強く感じた。 警察も憎いが、人を殺すことによって解決しようとするテロは最低だ。冤罪、父子の絆、そして新教徒と旧教徒という、宗教が国を分断し憎しみ合うアイルランドの悲劇を映画は見せつけてくる。 これほど主人公に感情移入し、怒り、泣き、喜んだ映画は稀だ。ラストシーンに爽快感はあるが、たった一度しかない貴重な人生を奪われたことを考えると怒りは決して晴れない。この映画にハッピーエンドなどはありえない。 8点(2004-09-15 04:26:48)(良:1票) |
6. トロイ(2004)
満を持して登場した、男たちの超大型スペクタクル英雄叙事詩。 乾いたギリシアの大地、地平線まで覆い尽くす黒い軍勢。大地を揺るがす足音、槍と盾のぶつかり合う金属音、馬の嘶き、男たちの叫び声。二つの津波がぶつかり合う時、そこに生じる史上最大の戦い。兵士と兵士が、剣と剣が、怒りと怒りが、魂と魂が衝突を繰り返す。そして残るのは死体と血と涙と嘆き。その全てが、全てが俺の”男ゴコロ”を揺さぶり狂わすんだ。 原作に登場するワガママな神の要素をほぼ消した事で、神話が史劇に生まれ変わった。圧倒的な映像のパワー、そしてパワー。女たちは華麗に咲き誇り、男たちはその美しい花を守るため、無惨にも愚かにただ散ってゆく。俺たちは格好良く生きるために闘うんじゃない。格好良く死ぬために闘うんだ。トロイア戦争で燃え尽きた英雄たちの魂が、燻ること無く三千年後のスクリーンで再び炎を上げる。その赤い残像が、俺の黒い瞳孔に宿り続けていく。 8点(2004-05-15 21:53:25)(良:2票) |
7. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 「頭の中は自由」、アンネの日記にこんな一文があった。 こんなにも深い深い暗闇の中で、押しつぶされる恐怖に身を浸していても、彼女は歌うことが出来た。 どんな不幸からも、人は喜びを拾い上げることが出来る。 どんな暗闇も、それを暗闇と認めてしまわなければ暗闇ではない。 そして最後の歌も、認めてしまはなければそれは最後の歌にはならないのだ。 セルマ、あなたは強いよ。 光だけを見つめて生きていくことだって、光だけを見つめて死んでいくことだって決して不可能ではなかった。 あぁ、希望に満ち溢れた映画。 8点(2004-01-03 00:14:53) |
8. イン・アメリカ 三つの小さな願いごと
《ネタバレ》 観終わった後に心に残るのは、やはり娘たちの笑顔。ラストシーン、三つめの願い事。父親を前に進ませるのはこの2人の天使である。その姿のなんとたくましいことか。 階下の住人、そして娘たち。救いはいつもすぐ傍にある。だけど、我々はなかなかそれに気付くことが出来ない。絶望したとき、つらいときに周りを見渡せばきっと誰かがいてくれて、それによって微笑むことぐらいは出来るのかもしれない。そんな希望をもらった映画。 8点(2003-12-22 17:36:22) |
9. グラディエーター
歴史スペクタクルっていうのはアクション映画の面白さを最も感じさせてくれる。大好きな映画のひとつ 8点(2003-12-08 17:46:42) |
10. ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ!
ペンギンの汗が良いね 8点(2003-10-13 20:34:42) |
11. ナイト・オン・ザ・プラネット
そして、今宵もこの星のどこかで・・・ 8点(2003-10-13 11:54:50)(良:1票) |
12. フォロウィング
「メメント」の逆さまではなくゴチャマゼなので、場面が変わると本当に混乱する。そしてその場面に対しての理由や過程が後から「フォロウィング」してくるわけで、混乱が頭でつながった時の快感がとても心地いい。これは面白い。 8点(2003-10-13 11:50:41) |
13. ファーゴ
《ネタバレ》 女警官のヒロインぶりが凄かったが、彼女たち夫婦の幸せな生活が殺人事件と対極に感じられて、その幸せさが際立つ。だから彼女が言う「人生はもっと価値がある」というストレートな言葉が胸に響く。 8点(2003-10-13 08:07:48) |
14. 2001年宇宙の旅
恐らくアリに地球の仕組みが永遠に理解できないように、単なる一生物である人間が宇宙の謎を理解することはまず不可能。それでも宇宙の神秘に触れるとワクワクするのであり、宇宙の神秘そのものであるこの映画、理解することは無理でもやはり面白い。できるならば大スクリーンで観たい。 8点(2003-10-13 08:03:10) |
15. ストレイト・ストーリー
アメリカの広大な田舎の風景、しみじみと感動できる映画。ということは、ノスタルジィというものは万国共通だということか。もしくは前世がアメリカ人か 8点(2003-10-12 22:38:10) |
16. いつか晴れた日に
《ネタバレ》 第一印象と観終えたあとの印象が全然違う。人の本当のよさっていうのはパッと見ただけでは分からないんだなぁ、と。 8点(2003-10-12 22:35:06) |
17. ディープ・ブルー(2003)
圧倒的な深海の映像。海底なんて初めて見た。 音も無く、太陽の光も届かず、暗闇と静けさが支配する世界。地球の亀裂に覚える恐怖、吹き出る黒煙。 けれどその暗黒の中で、無数の生き物が存在しているという事実。 地球上の全ての生命は海から誕生した。 魂や心といった、形ではない意識、思考、本能、自我、それら全てが海によって創られたことになる。 深海に潜るにつれ、未知の世界に近づくにつれ、我々生き物のルーツへ向かっていく。 海とは故郷であり、母親の胎内であり、神であり、全ての始まり。 生命はどこから来たのか、生命とは何なのか、その全てが深海に眠っている。 考える事も、探る事も、学ぶ事も、感動する事も、何も必要ない。 ただ映画館へ行き、巨大なスクリーンで、無限の神秘に身を任せれば良い。 7点(2004-07-28 00:41:28) |
18. ベッカムに恋して
《ネタバレ》 ベッカムに恋をした彼女は、これからさき多くの人々に夢を与えるのでしょう。夢ってのはリレーしていくものなんだな。人から人へ、時代から時代へ。 7点(2004-06-26 18:38:42) |
19. 列車に乗った男
《ネタバレ》 人生という名の、走り続ける列車。止まったら乗り換えろ。 7点(2004-04-17 13:43:01) |
20. 28日後...
劇中でも言っていたように、地球時間から見れば人類の時代などは一瞬。5億年ほど前には海の中で2千万年近く栄えた生物もいたが、しかし跡形も無く滅びた。この世界に永遠などは無い。人間だって必ず、間違いなく滅びる。それは数万年後かもしれないし、もしかしたら明日かもしれない。他人事じゃねぇ。 7点(2004-03-31 17:54:15) |