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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 577
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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1.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
現役女優の中でも最高峰の大女優と、近い将来にその仲間入りをするであろう女優、その二人の奇跡の共演を観てきました。 これは一言、"目は口ほどに物を言う" 映画。ケイト・ブランシェットの魅惑的な視線、ルーニーマーラの羨望や敬慕の視線。二人の目の力によって成立した映画と言ってもよいほど、目の演技に圧倒された映画でした。そして、優雅で完成された美とまだ若々しく完成を心待ちにする美。対象的な二人の "美" をうっとりと見惚れる至福の2時間でもありました。 その対象的な二人の個性を一層華やかに際立たせた衣装、1950年代のニューヨークを完璧に再現した街並み、画面の細部まで拘りが行き届いた美術、本作は衣装や美術スタッフの素晴らしい仕事にも拍手を送りたい。 展開は覚悟をしていた内容でしたが、これはレズビアンや同性愛のたった一言で括れる愛の形ではなく、もっと奥が深い感情だと思いました。人が人を愛すること。それは理屈では決して説明はできません。きっとキャロルとテレーズもこの感情を言葉で説明することはできないでしょう。だから、これは恋愛映画であり、真っ当なミステリー映画。人が人を愛すること、これは解き明かすことのできない深遠なるミステリーであり、そして女は永遠に "謎" なのである。この謎は、今までもこれからも、僕らを永遠に惹きつけてやまないのだ。
[映画館(字幕)] 9点(2016-02-14 19:13:35)(良:3票)
2.  インターステラー 《ネタバレ》 
実はSFという題材すら映画を形成する一つのモチーフに過ぎず、要するには人間の愛の物語だと思います。正直に言うと、飛び交う会話は私の凡庸な頭脳では理解できないものも多かった。瞬時では状況が呑み込めない場面もいくつかはあった。それでも、170分という尺の長さは全く感じさせないし、観終えてみれば大満足だ。結局はこの内容を超一級娯楽映画に仕上げてしまう、クリストファー・ノーランの手腕なのだろう。映像美に圧倒され、広大な宇宙へのロマンに思いを馳せ、人間の愛の偉大さに涙する。そして高揚感と余韻冷めやらぬまま映画館を後にする。思わず、あたりの光景を見渡してみる。夜空の星は美しく、あたりには砂塵なども舞ってはいない。さっきまでの体験が映画の世界であったことに安堵する。まさに至上の映像体験でした。
[映画館(字幕)] 9点(2014-12-23 17:15:40)(良:2票)
3.  あなたを抱きしめる日まで 《ネタバレ》 
本作について、奇跡の実話という紹介も目にしたが、それは映画や我々 (第三者) にとっての謳い文句でしかなく、当のフィロミナ (ジュディ・デンチ) を含む当事者たちにとっては、悲しくも数奇な物語。 彼女の修道女時代、つまり過去の場面に限って、年代モノのカメラで撮影したような古めかしい映像美。現代と過去を繰り返すことによる相乗効果もあるだろうが、実際にその時代 (1952年) に撮影したような重々しい空気を確かに感じさせるものでした。 さて、本題。 本作、ストーリーは壮大、でもテーマとしては、いたってシンプル。「赦し」のお話。フィロミナという、ただの人間であり、慈悲深い女性がわかりやすく教えてくれました。もちろんそこには、宗教 (神) への当て擦りや皮肉が込められているのでしょう。 しかし、、息子アンソニーの大出世と文明の進化 (インターネットの普及) は、人身売買を副業とする修道院と神さまの大誤算だったのではないだろうか (笑) なお、原題「 Philomena (フィロミナ) 」に対して、邦題は彼女が50年もの間、来る日も来る日も生きる糧にしてきた願い (思い) のこと。だから嘘ではないし、とても秀逸だと思います。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-02-23 22:49:33)
4.  秘密と嘘 《ネタバレ》 
大きなドラマが展開することなく、もどかしい展開が続きますが、全ては、「お誕生日会」のために、と言える脚本でした。あの場面は、言うなれば「七人の怒れる家族たち」じゃないけど、たいへん観応えある舞台劇仕立てのドラマだったように思います。 私は題名について、一生隠し通したら秘密、でも言うべき時がきて隠したらそれは嘘になる、、そういう表裏一体の関係と思ってる。つまり、本作に「嘘」だけはなかったはずで、誰もがお互いに対して誠実な家族であろうとした、、それだけは言えると思えます。 そして、この映画で興味深いのは、各々の家や部屋にスポットを当てているところ。人と人をつなぎ止めているのは「心」ですが、この映画では「家」と言っている気がします。家に人は共に生きて、家に心と心がつなぎ留められ、妥協点を模索しながら、いつしか同じ未来を見据える本当の家族となる・・。 とりわけ、シンシアが物語の軸ではありましたが、モーリスやホーテンスの登場も多く、ある意味では主役が存在しない群像劇であり、つまり全員が物語の主役である、、そういう映画なのかもしれません。
[DVD(字幕)] 8点(2022-03-06 16:20:27)
5.  LION/ライオン 〜25年目のただいま〜 《ネタバレ》 
この展開で一体どこでライオンが登場するのか? と首をかしげながら観ていたら、、これはうまい、そしてすごい。原題の何という巧妙な仕掛けに拍手。また、実話ベースなので結末はわかっていましたが、その想像を上回る大きな感動が待っていました。実の家族との再会の場面の美しさと言ったら! (泣いたな~) 苦難においても生きようとする強い意志、産みの親も育ての親も関係ない大きな母親の愛、毎度お約束のように奇跡を呼んだのはやはり人間の "こころ" でした。でも過剰なテクノロジーの進化を否定的に描いた映画も多い昨今に、今回の話は人間の心と「Google Earth」というテクノロジーの進化が仲良く手を取り合って奇跡を起こした素晴らしい事例ではないでしょうか? 神様がサルーに与えたその試練はあまりにも過酷で、25年という年月は気が遠くなるほど長く、インドとオーストラリアの距離は果てしなく遠い。でも多くの出会いと成長と、何より25年もの間、きっと何も知らない彼の心の中に確かに兄は生き続けていました。なんだろう、初めから何か見えざる手によって「今はまだ兄の死を知るべきではない」と意図的にはるか遠くへと導かれたような、とてもとても数奇な彼の人生でした。
[映画館(字幕)] 8点(2017-04-16 02:25:43)(良:1票)
6.  シング・ストリート 未来へのうた 《ネタバレ》 
さすがの安定感と言いますか、ジョン・カーニー監督の映画は外さないですね。今回、オリジナルの曲もよいのだが、やはり私の年代にとっては80年代の音楽の数々が懐かしくて、曲が流れるたびに当時を思い出して心弾みました。特筆すべき点として、音楽をテーマに、"大人たち"を多く描いてきた監督ですが、今回は少年を主人公にすえてきました。少年と音楽(ロック)とくれば当然、自由、権力に対する反抗、束縛からの解放、これなんです!規律厳しい学校。ちょいワルな仲間たちとキュートなあの娘。校長先生は世俗的な(つまらない)大人の象徴。そして、、規律とは破るためにある(笑)。未来に向かって漕ぎ出すラスト。そのすべてがあの有名な映画を彷彿させます。そうです、本作を僕は勝手にジョン・カーニー版"小さな恋のメロディ"と思ってます。本気で音楽に生きる覚悟は、長く険しい荒波に挑むようなものでしょう。その覚悟が本気であればあるほど、途中で後戻りはできません。ラストは二人の心境になって、、いや、それはさすがに図々しいので、兄貴側の心境で二人の船出を見守っていました。(それにしても何てカッコいい兄貴だ!)若さと情熱と愛があれば。自分はもう、二人のような若さはありませんが、あの頃の気持ちと音楽はいつまでも心に忘れずにいたい。
[映画館(字幕)] 8点(2016-09-16 23:39:30)
7.  オーメン(1976)
ホラー映画の名作。怖いだけではなく、様式美も兼ね備えた格調高きオカルトホラーの金字塔。6が三つ揃ったこの日にめでたく投稿、今から久しぶりに鑑賞します。オーメン(笑)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2016-06-06 21:09:00)
8.  エレファント・マン 《ネタバレ》 
怪奇趣味的な映像の中に、ジョン・メリックの慟哭が重く心に響き渡る。見てはいけないものを見たような息苦しい感覚、初めて映画を観て"罪悪感"に近い感情を覚えた。ここにあったのは人間の尊厳と偽善と少しの愛。その昔、心が美しい怪物のような人がいて、それを多くの人が寄って集っただけ。この映画はただそれだけ。救いは何もなかった。もし私が当事者たちではない第三者のつもりなら、たぶんリンチは笑うでしょう。この映画を観たあなたはもう、見世物小屋を覗きに来た見物客と同じなのだと。
[DVD(字幕)] 8点(2014-09-04 00:26:20)
9.  ベルヴィル・ランデブー
当時、某映画館の日本最大級巨大スクリーンでこの映画を観た時のインパクトはいまだに忘れられません。強烈なデフォルメ、ジャズ、シュール、ブラックユーモア、ノスタルジー。シルヴァン・ショメの個性とイマジネーションが炸裂したこの素晴らしき世界!特に人物のデフォルメは一切手加減なし。謙虚なおばあちゃんの体がこじんまりと小さいことなどは当たり前、態度がでかいおばさんの丸々太った体は車の何倍も大きく、肩を怒らせて歩くギャングたちの肩は怒りすぎて触れれば刺さりそうなほどに鋭角、、といったように、その人物の性格も加味してデフォルメしているのが何とも面白い。観る人選ぶ映画なのでしょうが、私はハマる人でした。けれど、小さい子に観せるには注意が必要です。意外とグロい描写もあるので、アニメだからと安易に小さい子に観せたらトラウマになるかも・・。
[映画館(字幕)] 8点(2014-03-26 21:43:31)(良:1票)
10.  日の名残り 《ネタバレ》 
舞台であるダーリントン・ホールと、その英国式庭園の格調高き美しさのなかにおいても、アンソニー・ホプキンス演じるスティーブンスの佇まい、その生真面目さとか、恋愛に対する奥ゆかしさとか、、日本人の気質に近いものを観た気がしました。彼の執事としての寸分狂わぬ完璧な仕事ぶりは、わが国が誇る職人のこだわりに近いものを感じたし、その一つ一つの手作業に見惚れるばかりの130分でした。 全体的に張りつめた雰囲気に終始しますが、唯一、ヒュー・グラント演じるカーディナルが見せるトボけた味わい、そして彼と執事の交流は、緊張感あるこの作品に良いアクセントを加えているように思う。 どうやら、本作はカズオ・イシグロ氏の原作を読まれた方には不評のようだが、個人的には、晩年のミス・ケントンと歩く夕暮れ時の美しさ、おそらく二人にとって最初で最後の握手になるであろう、バス停の別れは心に残るものであり、これだけでも映像化したことの価値を見い出すことができた。
[DVD(字幕)] 8点(2013-12-22 23:29:54)(良:1票)
11.  小さな恋のメロディ 《ネタバレ》 
ダニーとメロディのピュアで一途な恋。若い頃はただ漠然と二人の恋の顛末にどきどきした。大人になった今は、この奔放な二人に注がれている多くの愛情に気付いた。思えば、二人の恋の成就は、彼らを思う友の献身や親の愛情による支えがあるからこそ。憎たらしい教師たちだって本当は彼らの将来を真剣に考えている。でも幼くて恋に夢中な二人はそんなことは知る由もない。恋は盲目であることを、大人の目線で肯定し、やさしく描いた名作だと思う。ラストシーン、二人を乗せて走るトロッコと名曲"TEACH YOUR CHILDREN"、これはいつまでも記憶に残る名場面。今走り出したと思ったら、トロッコはもうはるか彼方。彼らの恋の行方を想像してうれしい反面、なぜだか若かったあの頃にはもう戻れないことを思い出し、胸がつまる。気付けば青春もはるか彼方、もうどうあがいても手が届かないことを、ただただ実感するのである。 
[DVD(字幕)] 8点(2013-11-01 11:48:22)(良:1票)
12.  MEMORIA メモリア 《ネタバレ》 
全体的に長回しが多くて、総カット数は少ない。だけどカメラがめまぐるしく人の動きを追うことはなくて、あくまで固定ショットとゆっくりとした移動ショットが主体。 舞台は南米のコロンビアですが、あえて観光名所的なところは外していて、どこか怪奇現象ドキュメンタリーのようなところがある。 ジェシカ (ティルダ・スウィントン) の風貌がどこかオカルト風なのも、うまいキャスティングではないだろうか。 そして、映画を包み込むような静寂の中において、ジェシカの脳内に響き渡る怪音、無機質な機械音、人間による楽器の演奏、、ありとあらゆる「音」だけが異彩を放ち、映画にリズムを与えているような節がある。 あの「音」が何に聞こえるかもそうだが、個人的には、この映画自体が「心理テスト」のようなものと思っていて、観た人それぞれの心が感じたもの、それが答えでいいと思ってる。例えば私なら、この心理テストから浮かんだのは、これはジェシカにまつわる輪廻転生と、その既視感 (デジャヴ) の物語。これは音によって導かれた、ジェシカの前世を巡る旅、と考えている。もしかしたら、ジェシカは、頭蓋骨に穴の空いた太古の少女の生まれ変わりなのかもしれない。だから、あの「怪音」は少女の頭蓋骨に風穴を空ける音か、あるいは、この化石を発掘した掘削機の音である、と私は勝手に想像するが、全ては憶測の域を出ない。(だが、そう考えることによって、この得体のしれないストーリーは、つじつまが合う気がしている) 魚の鱗を取る男のエピソードはこれから考えるとして、飛び立つ宇宙船の遊び心にはジャ・ジャンクー監督「長江哀歌」へのオマージュを感じた。 この世には、化学では説明のできない "何か" が存在すると思うし、そういう知的探究心のある方には強くオススメしたい映画ではあると思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-02-05 11:08:53)
13.  カセットテープ・ダイアリーズ 《ネタバレ》 
私は、ブルース・スプリングスティーンはあまり聴いたことなかったけど、もちろんロックは大好きだし、自作のお好みカセットテープをウォークマンで聴きながら、毎日チャリで高校まで通った者として、懐かしくもあり共感できる音楽系青春映画、だったと思う。 作風として「シング・ストリート」や「ウォールフラワー」あたりとよく似ているけど、はっきりと違うのが、この映画は何から何まで彼の名曲ありき、というところ。彼の代表曲をつなげてみて、そこに脚本を乗せた感じ。他のアーティストの曲もいくつか出てくるけど、Bossの前座的な意図ではありませんかな。満を持して、御大のご登場!! はい、それが目的。 音楽映画って、登場人物たちに演奏をさせてしまうと、そこに時間を割いた分、どうしても人物描写が足りなくなる、といったジレンマがありますが、本作はいい意味でバックミュージックなので、そつなくジャベドという人物、その心の声がよく描けていた。 彼 (Boss) は、自分が体験したことしか、歌に書かない。(だったかな?) ジャベドが最後にスピーチしたその言葉の数々、それがなぜ心に響いたのか、まさにそこにもリンクしていますよね、いい映画でした。 ストーリーに関係ないところでは、ジャベドさんが「ジェイ」ってニックネームで呼ばれていたけど、私は彼がジェイク・ジレンホールに見えて仕方がなかったな (笑)
[インターネット(字幕)] 7点(2022-02-13 12:55:53)
14.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
舞台は1920年代のアメリカ・モンタナ州。 大牧場で家族を形成するのは、名うてのカウボーイであり同性愛者でもある荒くれ者と、マザコンのサイコパスと、人格者の金持ちに誰もが羨む美人という理想的な夫婦、、って、それは家庭円満になるはずがありません (笑) だから、何かしら悲劇を伴う結末なのは想定していたけど、それにしても表現力の高い演技者たちによる、重厚で観応えのあるサスペンスドラマではありました。個人的に、こういう奥行きが深い役をベネディクト・カンバーバッチがやれば、もう当然のように映画のクオリティが上がっていく、それはわかっていた。だから、本作をがぜん面白くしていたのは、コディ・スミット=マクフィーの存在ではないだろうか。彼がスクリーンに登場するだけで、私は不安になり、妙な胸騒ぎがして仕方がなかった。なぜなら、まるで現代社会の若者が荒々しい「西部劇」の時代に迷い込んだようで、彼一人だけが「異質」であり、この映画の世界観にそぐわないから。 それぞれの思惑が交錯する展開の中で、家族が州知事を招いた「ピアノ」のエピソードが特に印象に残ってる。ローズがピアノを拒絶したことにより、場がしらけて空気が悪くなるなかで、フィルが現れたことにより空気が一変した。私は、彼が追い討ちにきたのではなく、むしろローズを助けに来たように見えました。観終えてみれば、フィルは横暴ではあるけど、それは人に不器用な裏返しでもあり、実は我々が思うほど悪意に満ちた男ではなかった、と思えてきます。しかし、その心のうちはとうとう最後までわからない・・。 ・・そもそもですが、この映画は主人公であるフィルの「感情」を描かない、という実験的な手法を取ってます。この荒々しい時代に、彼は何を思って生きていたのか、彼は本当に殺されたのか、、全ては謎のままであり、むしろ彼以外の人間たちの異常性・残酷さが尾を引くように際立つばかりだ。 以下、個人的な宿題としての備忘録。 アメリカの西部劇に、英国人であるベネディクト・カンバーバッチ。なぜか。 夫婦役は、実生活でも夫婦であるお二人。しかし、本当にそれだけの理由によるキャスティングだろうか? そして、「ピアノ・レッスン」の巨匠は、なぜピアノを弾くことを拒んだのか? 映画に見え隠れする、監督の "隠しメッセージ" について、探究してみたいと思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-02-12 14:03:07)(良:1票)
15.  ジプシーのとき 《ネタバレ》 
例えば、楊徳昌の映画を観れば、たった数時間で台湾とそこに暮らす人々をよく知った気にさせられたように、エミール・クストリッツァはジプシー村に暮らすジプシーという、その生き様を僕らにわかりやすく教えてくれる。 そして監督の描く彼らの姿は、とても土着的で、遊び心があって、生と死があって、そして幻想的でもある。「魔術」などはちょっとした遊びで深く考える必要はないが、むしろそれを超越するほど彼らの実生活が幻想的、ということに注目するべきだろう。とりわけ、美しく幻想的なドナウ川の祝祭、その何という荘厳さ、、これはもう忘れることはないと思う。 人間たちと音楽、ガチョウ、宙づり、そしてコソコソと動く段ボール箱まで、とにかくこの映画は落ち着きがないように見えるけど、実は一画一画がとても洗練されていて、特に場面が切り替わった直後の意表をつく光景、これには監督のセンスの良さを感じた。 個人的には、「死」や生きることの悲しさをより強調した本作よりは、底抜けに楽しい「黒猫・白猫」のほうが好みではありました。
[DVD(字幕)] 7点(2021-01-10 13:36:00)(良:1票)
16.  ジュディ 虹の彼方に 《ネタバレ》 
ジュディ・ガーランドという歌姫の半生は、離婚や酒と薬にまみれた孤独な生涯だった・・。それは波乱万丈の人生のはずなのに、どうしても「エディット・ピアフ ~愛の讃歌~ 」とか「ストックホルムでワルツを」あたりを彷彿させます。要するに、"女性歌手の伝記映画" という定形的なフォーマット通りというか、、映画の構成としては目新しさがない気がしました。 そして、彼女は「オズの魔法使」のドロシーでしょう? それなのに子役時代の彼女が歌うシーンが皆無という、トンデモナイ脚本だし・・。 まぁ、色々と思うところはありましたが、レネー・ゼルウィガーの歌唱力と演技、そして何より歌そのものの素晴らしさには感動しました。 ありがちな展開の中でも、ゲイのカップルとの交流が印象的で、彼女のキャラに深みを与えています。その彼ら二人が最後に大きな仕事をしてくれて・・。 幼いころから、映画やショービズの世界で勝つことを義務付けられて、奪いとられた普通の等身大の子供時代。その当てつけのようにいつまでも自由奔放で、まるで大人になることを拒んでいるような彼女の人生でした。家族たちとはうまくいかなかった。でも最後までファンたちには愛されて、拍手喝采に涙する彼女。 いつしか夢見た虹の彼方、その向う側にはいったい何が見えたのだろうか。
[映画館(字幕)] 7点(2020-03-14 13:11:52)
17.  イエスタデイ(2019) 《ネタバレ》 
ビートルズの曲を全く知らない人たちが、初めてその名曲を聴いて、一体どれほど感動するんだろう? その期待通り、「イエスタデイ」と「The Long And Winding Road」のシーンが素晴らしかったです。ここは曲はもちろん、むしろ聴く人たちの驚きと感動の表情に心が震えました。でも、個人的にはここが映画的高揚の頂点で、後半はこの感動を越えてはゆきません。この奇跡の出会いと発見こそが本作最大の感動なので、知ってしまったその後は、ビートルズの曲をモチーフにした恋愛系音楽映画に過ぎませんから。盗作を隠しながら売れていく葛藤や、謎めいた二人の存在は面白かったですが。そして終盤は予想通りの幸せオーラに包まれて、リチャード・カーティス色が全開です。今回は特に音楽の演出部分が出来を左右するので、メガホンはダニー・ボイル監督に任せたかな? なお私はアルバム「LET IT BE」を聴きながらレビューを書きました。(2009.9.9再発の紙ジャケ版) 改めて、この時代、この年齢で初めて聴くことを想像すると、、納得です (笑)
[映画館(字幕)] 7点(2019-11-04 13:15:45)
18.  バトル・オブ・ザ・セクシーズ 《ネタバレ》 
予告編の、フライパンやコスプレ姿でテニスをするボビー・リッグス (S・カレル) の姿から、勝手にコメディ映画と思っていましたが、全然違いました。これは女性軽視や同性愛というデリケートなテーマを取り扱った、実に大真面目なドラマでした。 ビリー・ジーン・キング (E・ストーン) については、テニスプレーヤーとしての彼女よりは、同性愛に目覚めていく一人の女性、そこに力を入れて描いていた感じ。特に彼女がマリリンと接する場面は、実に官能的に撮られていたように思う。 また、本作はもう一人の主役と言えるだろう、ボビー・リッグスが面白い。彼はテニスプレーヤーである以前に、誰よりも目立ちたがり屋で生来のエンターテイナーであり、実に映画向けなキャラクター、と言える。そして、本心が読めないというか、、ちょっと得体の知れないところがある。何となくですが、彼はゴリゴリの差別主義者を装っているだけで、群衆やマスコミを煽って注目させ、「テニス」という競技の知名度向上のために汚れ役を買って出た、と私は思っています。 1973年、バトル・オブ・ザ・セクシーズ (性差を超えた戦い) 。 もともと、身体的・体力的に異なる男女の試合結果など競技としては然したる意味はありません。だからこれは、スポーツという「力」を借りた、人類みな平等、という宣言です。 もちろん、女性として、やがては同性愛者として発言力 (影響力) を持つ偉大なテニスプレーヤーに、大きな使命感を与えた試合としてみるなら、これは決してテニスやスポーツという枠だけにはとどまらない、歴史上でも特に重要な戦い、と言えるでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2018-07-22 00:01:22)
19.  リリーのすべて 《ネタバレ》 
医学的、宗教的な観点からすると難しいテーマであったと思いますが、本作はそれらはさておき(難易度の高い手術の描写も最低限だったように思う)、ある二人の夫婦に突然訪れた一つの出来事として、主に二人の心の葛藤だけに焦点を絞って描いています。途中までは淡々とした気持ちで観ていたが、ゲルダがリリーに抱いていた感情が、異性に対する愛情から、やがて母性愛に近い感情へと変貌してゆく後半からは、心が締め付けられるように切なくて苦しかった。二人は過酷な境遇に立ち向かい、もがき苦しみ悩みながらも生きて、永遠に別れるその最後まで決して自分たちの生き方に後悔はしなかったと思う。だからこれは悲劇のようだが、力強い"人間賛歌"でもある。なお主演はエディ・レッドメインとなっているが、この映画はアリシア・ヴィキャンデル(ゲルダ)の物語。リリーに芽生えたある複雑な心と、その全てを深い愛情で包み支え続けた、ゲルダの献身と葛藤の物語といいたい。"真実の愛"とは、相手の容姿や性別だけではなく、心を愛し痛みや苦しみも共に分かち合うもの。リリーはゲルダのすべてであり、ゲルダは、"リリーのすべて"でした。
[映画館(字幕)] 7点(2016-03-20 17:23:32)(良:1票)
20.  Dear フランキー 《ネタバレ》 
少年より、むしろジェラルド父さんの方が楽しそうに見えたのは私だけだろうか?一回限りの父親役、しかも相手の少年は自分のことを本当の父親だと思っている。こんなに楽しそうな話、独り身の私からすればお願いしてでも父親役やらせてほしい(笑)。良心的で誠実な映画だと思うし、何より出演者がみんないい顔をしていました。
[DVD(字幕)] 7点(2014-02-17 21:15:25)
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