1. モーターサイクル・ダイアリーズ
劇中何度も垣間見せる、ゲバラの圧倒的なピュアさ。彼は崇高な大志を抱いていたとか、壮大なビジョンを持っていたとか、生まれながらの特別な革命家では無かったのだ。旅を通じて多くの人々に出会い、多くの文化に振れ、単純に同じ人間が分断されている事に疑問を抱いたのだろう。単純に、支配と被支配、裕福と貧困、国境と国境に分けられている事を許せなかったのだろう。”渡れない境界など無い”事を、現実に証明した姿。「世の中はどうしようもなく複雑なもの」と半ば諦めてしまっている自分が恥ずかしくなると同時に、その汚れの無い意思こそが困難を実現させ、現在も多くの人を惹き付ける理由なのだと実感する。 以前、北野武監督がテレビのインタビューにこう応えていた。「1枚の絵画は、それだけで人を数十分間立ち止まらせる。理想の映画の形はそういうもの」。 この映画を見終えて浮かんだ言葉がこれである。無骨に紡がれていく映像、しかしその風景は繊細。所詮、人間が一生の間に行ける土地、出会える人の数は限られている。だから人は映画や小説を通して、他人の人生を体験する。その中で素晴らしい作品は、この映画も含め、自分の記憶と変わりなくいつまでも心に残り続ける。まさに最高のロードムーヴィー。 8点(2004-10-09 19:11:56)(良:1票) |
2. 父の祈りを
《ネタバレ》 ハッピーエンドなどありえない・・・。 先日公開された『華氏911』に、アメリカ軍に連行される青年と「息子は何もしていない」と泣き叫ぶ家族の映像があった。この映画に重なる部分が多い。その規模を問わず、暴行、虐待による自白強要での冤罪事件は数えきれないほど起きているのだろう。容疑者は弱者で、権力は密室で、保証されている権利を確かめるには壁が厚すぎる。日本でだって冤罪事件は起きているのだから。 印象に残るのは、二つの法廷での聴衆の反応。1回目で人々は野次り、物を投げつけていた。しかし15年後にはイギリス中でデモを起こし、法廷では被告を大喝采で迎えている。これに感じる強いおそれ。イギリス中でテロが発生し、人々は恐怖に震える。そんな中、警察が容疑者を逮捕する。大衆にとっての窓は新聞の文字、テレビのブラウン管、メディアだけ。いわば真実は情報の中。そんな中で、彼らの無実を信じることなど不可能に近かっただろう。きっと自分だって、並んだ容疑者たちを殺したいくらい憎んだだろう。大衆への恐怖と、自分が大衆であるということへの恐怖。真実を知ることは難しいだろうが、常に知ろうとすることだけは忘れてはならない、と強く感じた。 警察も憎いが、人を殺すことによって解決しようとするテロは最低だ。冤罪、父子の絆、そして新教徒と旧教徒という、宗教が国を分断し憎しみ合うアイルランドの悲劇を映画は見せつけてくる。 これほど主人公に感情移入し、怒り、泣き、喜んだ映画は稀だ。ラストシーンに爽快感はあるが、たった一度しかない貴重な人生を奪われたことを考えると怒りは決して晴れない。この映画にハッピーエンドなどはありえない。 8点(2004-09-15 04:26:48)(良:1票) |
3. バイオハザードII アポカリプス
《ネタバレ》 「プロの殺し屋は最後の一発を残しておく。自分の為か、敵の為に」と言っていたのは『狼』のチョウ・ユンファ。ゾンビの海に飲み込まれる姿を見て、この台詞の重みを実感。 4点(2004-09-14 22:06:09) |
4. ザ・コア
ドラゴンでも出てくりゃよかったな。 6点(2004-08-17 18:27:12)(笑:1票) |
5. キング・アーサー(2004)
この映画のキーラ・ナイトレイが、ハリウッド娯楽大作の現在を良くも悪くも象徴しているように思う。まぁ七割ぐらいが「悪く」なんだけど。 3点(2004-08-10 19:51:39) |
6. ディープ・ブルー(2003)
圧倒的な深海の映像。海底なんて初めて見た。 音も無く、太陽の光も届かず、暗闇と静けさが支配する世界。地球の亀裂に覚える恐怖、吹き出る黒煙。 けれどその暗黒の中で、無数の生き物が存在しているという事実。 地球上の全ての生命は海から誕生した。 魂や心といった、形ではない意識、思考、本能、自我、それら全てが海によって創られたことになる。 深海に潜るにつれ、未知の世界に近づくにつれ、我々生き物のルーツへ向かっていく。 海とは故郷であり、母親の胎内であり、神であり、全ての始まり。 生命はどこから来たのか、生命とは何なのか、その全てが深海に眠っている。 考える事も、探る事も、学ぶ事も、感動する事も、何も必要ない。 ただ映画館へ行き、巨大なスクリーンで、無限の神秘に身を任せれば良い。 7点(2004-07-28 00:41:28) |
7. ベッカムに恋して
《ネタバレ》 ベッカムに恋をした彼女は、これからさき多くの人々に夢を与えるのでしょう。夢ってのはリレーしていくものなんだな。人から人へ、時代から時代へ。 7点(2004-06-26 18:38:42) |
8. トロイ(2004)
満を持して登場した、男たちの超大型スペクタクル英雄叙事詩。 乾いたギリシアの大地、地平線まで覆い尽くす黒い軍勢。大地を揺るがす足音、槍と盾のぶつかり合う金属音、馬の嘶き、男たちの叫び声。二つの津波がぶつかり合う時、そこに生じる史上最大の戦い。兵士と兵士が、剣と剣が、怒りと怒りが、魂と魂が衝突を繰り返す。そして残るのは死体と血と涙と嘆き。その全てが、全てが俺の”男ゴコロ”を揺さぶり狂わすんだ。 原作に登場するワガママな神の要素をほぼ消した事で、神話が史劇に生まれ変わった。圧倒的な映像のパワー、そしてパワー。女たちは華麗に咲き誇り、男たちはその美しい花を守るため、無惨にも愚かにただ散ってゆく。俺たちは格好良く生きるために闘うんじゃない。格好良く死ぬために闘うんだ。トロイア戦争で燃え尽きた英雄たちの魂が、燻ること無く三千年後のスクリーンで再び炎を上げる。その赤い残像が、俺の黒い瞳孔に宿り続けていく。 8点(2004-05-15 21:53:25)(良:2票) |
9. 列車に乗った男
《ネタバレ》 人生という名の、走り続ける列車。止まったら乗り換えろ。 7点(2004-04-17 13:43:01) |
10. めぐりあう時間たち
俺もハリウッドに行って、ちょっと鼻を高くしてもらいたいな。ちょっとね。 5点(2004-04-01 18:07:47) |
11. 28日後...
劇中でも言っていたように、地球時間から見れば人類の時代などは一瞬。5億年ほど前には海の中で2千万年近く栄えた生物もいたが、しかし跡形も無く滅びた。この世界に永遠などは無い。人間だって必ず、間違いなく滅びる。それは数万年後かもしれないし、もしかしたら明日かもしれない。他人事じゃねぇ。 7点(2004-03-31 17:54:15) |
12. 小さな恋のメロディ
あの頃の純粋な気持ちを真空パックにして、胸ポケットにしまって、大人になって辛くなったときに少しずつ吸っていきたい。世界中のみんながそうすれば、この星はもっと良くなる気さえする。苦手な徒競走も、先生に叩かれたときも、あの子の笑顔を見ればどこかへ吹き飛んでいってしまう。そうだった、誰かを好きになるのに理由なんて要らない。 7点(2004-03-05 01:26:17)(良:1票) |
13. ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
《ネタバレ》 自らの命を犠牲に、未来に失われるであろう何千もの命を救おうとする。彼らのした事が正しいとは思えないし、その狂気じみた執念には恐怖を感じる。死刑というのは犯罪者の命を他者と比較し、そしてそれを切り捨てる事。どんな命も尊重すべき、だから犯罪者の命を消し去る死刑は廃止すべきだと訴えるのなら、自分の命を捨てるなんて馬鹿げている。彼の子供は泣いているのかもしれないぞ。 ダレさせずに引き込む物語の力、そして死刑について真剣に考えさせられる圧倒的な力。評判どおりの見事な映画だと思う。それにしても思うのは、ゲイルの家に住んでいるあの女、趣味が悪いにも程があるぞっ! 7点(2004-02-17 13:47:38) |
14. ゴスフォード・パーク
《ネタバレ》 人間関係はいつの時代もややこしく、ドロドロしていて嫌気が差す。しかしその底に隠された愛の強さ。うん、母は強し。 6点(2004-02-16 17:29:27) |
15. ロミオとジュリエット(1968)
この映画に8点以上つけてらっしゃる方は生粋のロマンチスト、間違いない。そんで自分は微妙なところ。 6点(2004-02-13 23:44:23) |
16. K-19
時代、国に関係なく戦争を行うのはいつも一部の地位の高い人間。彼らの命令によって多くの罪も無い人間が自分の命を犠牲にし、「国のため」死んでいく。核を保有することに何の利益があるというのか?誰が本当に望んでいるというのか?我々の地球が、そして人類が現在どれだけ危険な状態にさらされているかが痛いほど身に染みる。底知れぬ恐怖と言いようの無い怒りを憶えた。 7点(2004-01-18 17:34:30) |
17. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 「頭の中は自由」、アンネの日記にこんな一文があった。 こんなにも深い深い暗闇の中で、押しつぶされる恐怖に身を浸していても、彼女は歌うことが出来た。 どんな不幸からも、人は喜びを拾い上げることが出来る。 どんな暗闇も、それを暗闇と認めてしまわなければ暗闇ではない。 そして最後の歌も、認めてしまはなければそれは最後の歌にはならないのだ。 セルマ、あなたは強いよ。 光だけを見つめて生きていくことだって、光だけを見つめて死んでいくことだって決して不可能ではなかった。 あぁ、希望に満ち溢れた映画。 8点(2004-01-03 00:14:53) |
18. イン・アメリカ 三つの小さな願いごと
《ネタバレ》 観終わった後に心に残るのは、やはり娘たちの笑顔。ラストシーン、三つめの願い事。父親を前に進ませるのはこの2人の天使である。その姿のなんとたくましいことか。 階下の住人、そして娘たち。救いはいつもすぐ傍にある。だけど、我々はなかなかそれに気付くことが出来ない。絶望したとき、つらいときに周りを見渡せばきっと誰かがいてくれて、それによって微笑むことぐらいは出来るのかもしれない。そんな希望をもらった映画。 8点(2003-12-22 17:36:22) |
19. グラディエーター
歴史スペクタクルっていうのはアクション映画の面白さを最も感じさせてくれる。大好きな映画のひとつ 8点(2003-12-08 17:46:42) |
20. 武士道ブレード
「ラスト・サムライ」の13年前にも、幕末の日本を舞台にしたアメリカン時代劇があった!!日本側は三船敏郎、丹波哲郎、千葉真一という豪華キャスト!そしてその感想は・・・、・・・、ふぅ、100円レンタルで良かった。いや、そこまでヒドくは無いのだが。相撲が出てきたり、鳥居が出てきたり、地震が起きたり、まぁ話の種にはならなくもない。 3点(2003-12-03 20:04:02) |