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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 577
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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1.  あなたを抱きしめる日まで 《ネタバレ》 
本作について、奇跡の実話という紹介も目にしたが、それは映画や我々 (第三者) にとっての謳い文句でしかなく、当のフィロミナ (ジュディ・デンチ) を含む当事者たちにとっては、悲しくも数奇な物語。 彼女の修道女時代、つまり過去の場面に限って、年代モノのカメラで撮影したような古めかしい映像美。現代と過去を繰り返すことによる相乗効果もあるだろうが、実際にその時代 (1952年) に撮影したような重々しい空気を確かに感じさせるものでした。 さて、本題。 本作、ストーリーは壮大、でもテーマとしては、いたってシンプル。「赦し」のお話。フィロミナという、ただの人間であり、慈悲深い女性がわかりやすく教えてくれました。もちろんそこには、宗教 (神) への当て擦りや皮肉が込められているのでしょう。 しかし、、息子アンソニーの大出世と文明の進化 (インターネットの普及) は、人身売買を副業とする修道院と神さまの大誤算だったのではないだろうか (笑) なお、原題「 Philomena (フィロミナ) 」に対して、邦題は彼女が50年もの間、来る日も来る日も生きる糧にしてきた願い (思い) のこと。だから嘘ではないし、とても秀逸だと思います。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-02-26 22:11:07)
2.  MEMORIA メモリア 《ネタバレ》 
全体的に長回しが多くて、総カット数は少ない。だけどカメラがめまぐるしく人の動きを追うことはなくて、あくまで固定ショットとゆっくりとした移動ショットが主体。 舞台は南米のコロンビアですが、あえて観光名所的なところは外していて、どこか怪奇現象ドキュメンタリーのようなところがある。 ジェシカ (ティルダ・スウィントン) の風貌がどこかオカルト風なのも、うまいキャスティングではないだろうか。 そして、映画を包み込むような静寂の中において、ジェシカの脳内に響き渡る怪音、無機質な機械音、人間による楽器の演奏、、ありとあらゆる「音」だけが異彩を放ち、映画にリズムを与えているような節がある。 あの「音」が何に聞こえるかもそうだが、個人的には、この映画自体が「心理テスト」のようなものと思っていて、観た人それぞれの心が感じたもの、それが答えでいいと思ってる。例えば私なら、この心理テストから浮かんだのは、これはジェシカにまつわる輪廻転生と、その既視感 (デジャヴ) の物語。これは音によって導かれた、ジェシカの前世を巡る旅、と考えている。もしかしたら、ジェシカは、頭蓋骨に穴の空いた太古の少女の生まれ変わりなのかもしれない。だから、あの「怪音」は少女の頭蓋骨に風穴を空ける音か、あるいは、この化石を発掘した掘削機の音である、と私は勝手に想像するが、全ては憶測の域を出ない。(だが、そう考えることによって、この得体のしれないストーリーは、つじつまが合う気がしている) 魚の鱗を取る男のエピソードはこれから考えるとして、飛び立つ宇宙船の遊び心にはジャ・ジャンクー監督「長江哀歌」へのオマージュを感じた。 この世には、化学では説明のできない "何か" が存在すると思うし、そういう知的探究心のある方には強くオススメしたい映画ではあると思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-02-11 21:00:21)
3.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
舞台は1920年代のアメリカ・モンタナ州。 大牧場で家族を形成するのは、名うてのカウボーイであり同性愛者でもある荒くれ者と、マザコンのサイコパスと、人格者の金持ちに誰もが羨む美人という理想的な夫婦、、って、それは家庭円満になるはずがありません (笑) だから、何かしら悲劇を伴う結末なのは想定していたけど、それにしても表現力の高い演技者たちによる、重厚で観応えのあるサスペンスドラマではありました。個人的に、こういう奥行きが深い役をベネディクト・カンバーバッチがやれば、もう当然のように映画のクオリティが上がっていく、それはわかっていた。だから、本作をがぜん面白くしていたのは、コディ・スミット=マクフィーの存在ではないだろうか。彼がスクリーンに登場するだけで、私は不安になり、妙な胸騒ぎがして仕方がなかった。なぜなら、まるで現代社会の若者が荒々しい「西部劇」の時代に迷い込んだようで、彼一人だけが「異質」であり、この映画の世界観にそぐわないから。 それぞれの思惑が交錯する展開の中で、家族が州知事を招いた「ピアノ」のエピソードが特に印象に残ってる。ローズがピアノを拒絶したことにより、場がしらけて空気が悪くなるなかで、フィルが現れたことにより空気が一変した。私は、彼が追い討ちにきたのではなく、むしろローズを助けに来たように見えました。観終えてみれば、フィルは横暴ではあるけど、それは人に不器用な裏返しでもあり、実は我々が思うほど悪意に満ちた男ではなかった、と思えてきます。しかし、その心のうちはとうとう最後までわからない・・。 ・・そもそもですが、この映画は主人公であるフィルの「感情」を描かない、という実験的な手法を取ってます。この荒々しい時代に、彼は何を思って生きていたのか、彼は本当に殺されたのか、、全ては謎のままであり、むしろ彼以外の人間たちの異常性・残酷さが尾を引くように際立つばかりだ。 以下、個人的な宿題としての備忘録。 アメリカの西部劇に、英国人であるベネディクト・カンバーバッチ。なぜか。 夫婦役は、実生活でも夫婦であるお二人。しかし、本当にそれだけの理由によるキャスティングだろうか? そして、「ピアノ・レッスン」の巨匠は、なぜピアノを弾くことを拒んだのか? 映画に見え隠れする、監督の "隠しメッセージ" について、探究してみたいと思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-03-13 17:23:06)(良:1票)
4.  秘密と嘘 《ネタバレ》 
大きなドラマが展開することなく、もどかしい展開が続きますが、全ては、「お誕生日会」のために、と言える脚本でした。あの場面は、言うなれば「七人の怒れる家族たち」じゃないけど、たいへん観応えある舞台劇仕立てのドラマだったように思います。 私は題名について、一生隠し通したら秘密、でも言うべき時がきて隠したらそれは嘘になる、、そういう表裏一体の関係と思ってる。つまり、本作に「嘘」だけはなかったはずで、誰もがお互いに対して誠実な家族であろうとした、、それだけは言えると思えます。 そして、この映画で興味深いのは、各々の家や部屋にスポットを当てているところ。人と人をつなぎ止めているのは「心」ですが、この映画では「家」と言っている気がします。家に人は共に生きて、家に心と心がつなぎ留められ、妥協点を模索しながら、いつしか同じ未来を見据える本当の家族となる・・。 とりわけ、シンシアが物語の軸ではありましたが、モーリスやホーテンスの登場も多く、ある意味では主役が存在しない群像劇であり、つまり全員が物語の主役である、、そういう映画なのかもしれません。
[DVD(字幕)] 8点(2022-03-09 21:29:52)
5.  カセットテープ・ダイアリーズ 《ネタバレ》 
私は、ブルース・スプリングスティーンはあまり聴いたことなかったけど、もちろんロックは大好きだし、自作のお好みカセットテープをウォークマンで聴きながら、毎日チャリで高校まで通った者として、懐かしくもあり共感できる音楽系青春映画、だったと思う。 作風として「シング・ストリート」や「ウォールフラワー」あたりとよく似ているけど、はっきりと違うのが、この映画は何から何まで彼の名曲ありき、というところ。彼の代表曲をつなげてみて、そこに脚本を乗せた感じ。他のアーティストの曲もいくつか出てくるけど、Bossの前座的な意図ではありませんかな。満を持して、御大のご登場!! はい、それが目的。 音楽映画って、登場人物たちに演奏をさせてしまうと、そこに時間を割いた分、どうしても人物描写が足りなくなる、といったジレンマがありますが、本作はいい意味でバックミュージックなので、そつなくジャベドという人物、その心の声がよく描けていた。 彼 (Boss) は、自分が体験したことしか、歌に書かない。(だったかな?) ジャベドが最後にスピーチしたその言葉の数々、それがなぜ心に響いたのか、まさにそこにもリンクしていますよね、いい映画でした。 ストーリーに関係ないところでは、ジャベドさんが「ジェイ」ってニックネームで呼ばれていたけど、私は彼がジェイク・ジレンホールに見えて仕方がなかったな (笑)
[インターネット(字幕)] 7点(2022-02-14 21:36:57)
6.  世界で一番しあわせな食堂 《ネタバレ》 
良かったところ。 舞台であるフィンランドの森と湖の美しい風景。シルカが切り盛りする食堂とそこに集う気の良い飲んだくれたち。ご当地、あるいは中華風の多国籍な料理。道路を横切るトナカイの群れ。 こちらは、フィンランド観光気分が味わえました。 悪かったところ。 脚本。一人暮らしの女性が、さっき出会ったばかりの得体の知れない外国人 (親子) を泊めるとか、私の感覚ではちょっと理解し難い。フィンランドの片田舎にある食堂に、タイミングよく「中国人」の団体さんがわさわさと大挙して押し寄せたり、よくよく考えたら現実感のない展開が多いです。 そして、残念な邦題。 「世界で一番しあわせな食堂」って、はああ? って感じ。全くフィンランドらしくない、個性がない、だから客も入らない。 ってことで、私なりに考えてみた。 ①フィンランドを感じさせる。 ②インパクトがある。 ③「かもめ食堂」のファンを集客できそう。(←これ重要) 以上の理由から、題名「トナカイ食堂」あたりでよかったと思うが。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-01-21 09:59:34)
7.  バトル・オブ・ザ・セクシーズ 《ネタバレ》 
予告編の、フライパンやコスプレ姿でテニスをするボビー・リッグス (S・カレル) の姿から、勝手にコメディ映画と思っていましたが、全然違いました。これは女性軽視や同性愛というデリケートなテーマを取り扱った、実に大真面目なドラマでした。 ビリー・ジーン・キング (E・ストーン) については、テニスプレーヤーとしての彼女よりは、同性愛に目覚めていく一人の女性、そこに力を入れて描いていた感じ。特に彼女がマリリンと接する場面は、実に官能的に撮られていたように思う。 また、本作はもう一人の主役と言えるだろう、ボビー・リッグスが面白い。彼はテニスプレーヤーである以前に、誰よりも目立ちたがり屋で生来のエンターテイナーであり、実に映画向けなキャラクター、と言える。そして、本心が読めないというか、、ちょっと得体の知れないところがある。何となくですが、彼はゴリゴリの差別主義者を装っているだけで、群衆やマスコミを煽って注目させ、「テニス」という競技の知名度向上のために汚れ役を買って出た、と私は思っています。 1973年、バトル・オブ・ザ・セクシーズ (性差を超えた戦い) 。 もともと、身体的・体力的に異なる男女の試合結果など競技としては然したる意味はありません。だからこれは、スポーツという「力」を借りた、人類みな平等、という宣言です。 もちろん、女性として、やがては同性愛者として発言力 (影響力) を持つ偉大なテニスプレーヤーに、大きな使命感を与えた試合としてみるなら、これは決してテニスやスポーツという枠だけにはとどまらない、歴史上でも特に重要な戦い、と言えるでしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2021-10-07 13:17:58)
8.  シンプルメン 《ネタバレ》 
いきなり強盗の場面だし、見ての通りストーリーはぶっ飛んでるけど、演出自体はいたっておとなしいです。そう、映画は初めから最後まで、頑なに36.5度の平熱を保ってる。当然、たまにウトウトしかけるんだけど、いいタイミングで強烈なビンタが入ったり、狂ったように踊り出すから、眠気覚ましにはちょうどいいです、はい。 しかしながら、何かとてつもない出来事が起こりそうな緊張感だけは持続していて、なんやかんやで最後まで引っ張ります。でも、やはり最後まで大したことは起こらない (笑) 我が道を往く登場人物たちの誰にも共感できないし、映画はむしろそれを拒んでいて、お客さんは黙って映画を眺めていろ、って感じ。 つまり、ありがちでありながら、どの映画にも属さないという、「ハル・ハートリー」という映画のジャンル、は確立させています。 色使いと、その「透明感」は必見。
[DVD(字幕)] 6点(2021-07-27 12:16:53)
9.  日の名残り 《ネタバレ》 
舞台であるダーリントン・ホールと、その英国式庭園の格調高き美しさのなかにおいても、アンソニー・ホプキンス演じるスティーブンスの佇まい、その生真面目さとか、恋愛に対する奥ゆかしさとか、、日本人の気質に近いものを観た気がしました。彼の執事としての寸分狂わぬ完璧な仕事ぶりは、わが国が誇る職人のこだわりに近いものを感じたし、その一つ一つの手作業に見惚れるばかりの130分でした。 全体的に張りつめた雰囲気に終始しますが、唯一、ヒュー・グラント演じるカーディナルが見せるトボけた味わい、そして彼と執事の交流は、緊張感あるこの作品に良いアクセントを加えているように思う。 どうやら、本作はカズオ・イシグロ氏の原作を読まれた方には不評のようだが、個人的には、晩年のミス・ケントンと歩く夕暮れ時の美しさ、おそらく二人にとって最初で最後の握手になるであろう、バス停の別れは心に残るものであり、これだけでも映像化したことの価値を見い出すことができた。
[DVD(字幕)] 8点(2021-04-29 16:20:02)(良:1票)
10.  ジプシーのとき 《ネタバレ》 
例えば、楊徳昌の映画を観れば、たった数時間で台湾とそこに暮らす人々をよく知った気にさせられたように、エミール・クストリッツァはジプシー村に暮らすジプシーという、その生き様を僕らにわかりやすく教えてくれる。 そして監督の描く彼らの姿は、とても土着的で、遊び心があって、生と死があって、そして幻想的でもある。「魔術」などはちょっとした遊びで深く考える必要はないが、むしろそれを超越するほど彼らの実生活が幻想的、ということに注目するべきだろう。とりわけ、美しく幻想的なドナウ川の祝祭、その何という荘厳さ、、これはもう忘れることはないと思う。 人間たちと音楽、ガチョウ、宙づり、そしてコソコソと動く段ボール箱まで、とにかくこの映画は落ち着きがないように見えるけど、実は一画一画がとても洗練されていて、特に場面が切り替わった直後の意表をつく光景、これには監督のセンスの良さを感じた。 個人的には、「死」や生きることの悲しさをより強調した本作よりは、底抜けに楽しい「黒猫・白猫」のほうが好みではありました。
[DVD(字幕)] 7点(2021-01-10 22:08:18)(良:1票)
11.  さらば青春の光 《ネタバレ》 
これは、遅くとも20代までに観るべき。50歳も間近のオッサンが観ても、彼らに全く共感できないし、ストーリーも心に響くものが何一つもなかった。むしろ受け手側であるジミーの父さんや会社の上司たち、このステレオタイプな大人たちに今回ばかりは共感してしまったわ。 そのジミーと関係した後、その数分後に親友の男に乗り換えた史上稀に見るヒロインも素晴らしいが、出演も台詞も少なすぎるエース (スティング) にはガッカリ。 ただ、モッズファッションや改造ベスパの大集団、その "ビジュアル" がこの国この時代この若者たちとすぐに紐づく、というインパクトだけはすごいし、映像としてその一大ムーブメントを記録に残した、という観点ではこの映画にも価値がある。 フーの音楽もよかった。(若い頃よく聴いたが、この映画の存在は知らなかった)
[DVD(字幕)] 3点(2020-12-20 19:27:31)
12.  ムカデ人間 《ネタバレ》 
これこそ本当の3密。今公開してたら打ち切りになったかもしれんね。 →2020/8/10 全面書き直し。
[DVD(字幕)] 5点(2020-08-10 12:16:33)
13.  イタリアは呼んでいる 《ネタバレ》 
↓ そうなんです、ワインの香り漂う「サイドウェイ」三部作のイタリア編。(ってことにしよう) いい歳したオッサンたちなので、自分探しの旅とか言われると痛い感じですが、例によって仕事を口実にしてそこはうまく回避してます。 それにしても、、これは映画をあまり観ない人は厳しいねぇ・・。その映画ネタやパロディにしたって、さすがに飽きてくるので、もはやネタとしての有難みがなくなってる。もっとワインと料理を楽しませてくれ~。 まあ、そのへんを差し引いても、そこそこ有名人で、女には不自由せず、会社経費でイタリア満喫のワイン三昧、こんなヤツらには何一つ共感できません、結局はそこ。
[DVD(字幕)] 4点(2020-05-16 11:34:38)
14.  スリー・ビルボード 《ネタバレ》 
一つのレイプ殺人をトリガーにして、とどまることを知らない不幸の連鎖。全く先が読めないという展開も含めて、コーエン兄弟の映画を彷彿させます。そして、「ファーゴ」以来、久しぶりに存在感のある (ありすぎる笑) フランシス・マクドーマンドでした。 本作の「ビルボード」は、コミュニケーション不全の社会のメタファーと思います。一方通行で煽るのではなく、初めからミルドレッドと署長が対話をしていれば、ディクソンとレッドが対話をしていれば、レイプ殺人一つだけで不幸は済んだ話。そもそも、母と娘が口論ではなく対話をしていれば、娘が暗い夜道を一人歩いて街に向かう愚行も回避できたかもしれない。怒りや憎しみは何も生まない、というよりは "対話" (コミュニケーション) 不足が生んだ悲劇のお話と思う。 また本作の広告用ビルボードの使い方は、匿名で個人に向けてメッセージを発信する、といった共通点から、ネットの投稿や掲示板を思い出します。時に相手 (個人) を一方的に誹謗中傷しているのに、書いた本人に罪の意識がない、という点もよく似ています。本作のテーマは決してネット社会の風刺ではありませんが、裏テーマとして含みがあるように少なからず感じました。 観応えはありますが、救いがない、着地点がもやっとしている、ミルドレッドやディクソンの行為に全く共感できない、以上からこの点数です。
[映画館(字幕)] 6点(2020-04-18 14:45:16)(良:2票)
15.  ギャング・オブ・ニューヨーク
できれば、"ネイティブ・アメリカンズ" と "デッド・ラビッツ" のグループ抗争にもっと焦点を当てて、クライマックスでダニエル・デイ=ルイスとリーアム・ニーソンの名優二人による決闘がいい。  これを合わせて160分ほどにのばして、デカプリオとキャメロン・ディアスの出演シーンを6分程度に圧縮したディレクターズカット版がぜひ観たい。
[DVD(字幕)] 5点(2020-04-05 22:03:56)
16.  ジュディ 虹の彼方に 《ネタバレ》 
ジュディ・ガーランドという歌姫の半生は、離婚や酒と薬にまみれた孤独な生涯だった・・。それは波乱万丈の人生のはずなのに、どうしても「エディット・ピアフ ~愛の讃歌~ 」とか「ストックホルムでワルツを」あたりを彷彿させます。要するに、"女性歌手の伝記映画" という定形的なフォーマット通りというか、、映画の構成としては目新しさがない気がしました。 そして、彼女は「オズの魔法使」のドロシーでしょう? それなのに子役時代の彼女が歌うシーンが皆無という、トンデモナイ脚本だし・・。 まぁ、色々と思うところはありましたが、レネー・ゼルウィガーの歌唱力と演技、そして何より歌そのものの素晴らしさには感動しました。 ありがちな展開の中でも、ゲイのカップルとの交流が印象的で、彼女のキャラに深みを与えています。その彼ら二人が最後に大きな仕事をしてくれて・・。 幼いころから、映画やショービズの世界で勝つことを義務付けられて、奪いとられた普通の等身大の子供時代。その当てつけのようにいつまでも自由奔放で、まるで大人になることを拒んでいるような彼女の人生でした。家族たちとはうまくいかなかった。でも最後までファンたちには愛されて、拍手喝采に涙する彼女。 いつしか夢見た虹の彼方、その向う側にはいったい何が見えたのだろうか。
[映画館(字幕)] 7点(2020-03-14 13:11:52)
17.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
現役女優の中でも最高峰の大女優と、近い将来にその仲間入りをするであろう女優、その二人の奇跡の共演を観てきました。 これは一言、"目は口ほどに物を言う" 映画。ケイト・ブランシェットの魅惑的な視線、ルーニーマーラの羨望や敬慕の視線。二人の目の力によって成立した映画と言ってもよいほど、目の演技に圧倒された映画でした。そして、優雅で完成された美とまだ若々しく完成を心待ちにする美。対象的な二人の "美" をうっとりと見惚れる至福の2時間でもありました。 その対象的な二人の個性を一層華やかに際立たせた衣装、1950年代のニューヨークを完璧に再現した街並み、画面の細部まで拘りが行き届いた美術、本作は衣装や美術スタッフの素晴らしい仕事にも拍手を送りたい。 展開は覚悟をしていた内容でしたが、これはレズビアンや同性愛のたった一言で括れる愛の形ではなく、もっと奥が深い感情だと思いました。人が人を愛すること。それは理屈では決して説明はできません。きっとキャロルとテレーズもこの感情を言葉で説明することはできないでしょう。だから、これは恋愛映画であり、真っ当なミステリー映画。人が人を愛すること、これは解き明かすことのできない深遠なるミステリーであり、そして女は永遠に "謎" なのである。この謎は、今までもこれからも、僕らを永遠に惹きつけてやまないのだ。
[映画館(字幕)] 9点(2020-03-08 16:59:30)(良:3票)
18.  イエスタデイ(2019) 《ネタバレ》 
ビートルズの曲を全く知らない人たちが、初めてその名曲を聴いて、一体どれほど感動するんだろう? その期待通り、「イエスタデイ」と「The Long And Winding Road」のシーンが素晴らしかったです。ここは曲はもちろん、むしろ聴く人たちの驚きと感動の表情に心が震えました。でも、個人的にはここが映画的高揚の頂点で、後半はこの感動を越えてはゆきません。この奇跡の出会いと発見こそが本作最大の感動なので、知ってしまったその後は、ビートルズの曲をモチーフにした恋愛系音楽映画に過ぎませんから。盗作を隠しながら売れていく葛藤や、謎めいた二人の存在は面白かったですが。そして終盤は予想通りの幸せオーラに包まれて、リチャード・カーティス色が全開です。今回は特に音楽の演出部分が出来を左右するので、メガホンはダニー・ボイル監督に任せたかな? なお私はアルバム「LET IT BE」を聴きながらレビューを書きました。(2009.9.9再発の紙ジャケ版) 改めて、この時代、この年齢で初めて聴くことを想像すると、、納得です (笑)
[映画館(字幕)] 7点(2020-01-17 23:33:04)
19.  ナイト・オン・ザ・プラネット 《ネタバレ》 
人物とタクシー、真夜中の街の風景。ジム・ジャームッシュの映画って、さすが構図がとても洗練されていて、どこを切り取っても完璧に絵 (写真) になります。そこだけでまず楽しめる。その映像だけなら本作はシャープな印象ですが、でも人間そのものはとても可笑しくて温かみがあって、映画全体としては体温が宿っている感じ。地球上のどこか、真夜中のタクシーに偶然乗り合わせた二人。さて、二人はどこから流れ着いて、どこへ向かうのか? たった数分のエピソードでありながら、人物の描写にはそれを想像させるだけの奥行きを感じます。(ローマ編に約1名、これからの人生がない人がおりますが・・) それぞれ、車中の話題は他愛もなさそうにみえて、実は互いの本心や素性を探り合うような会話をしていて、最後にタクシーから降車した後にドラマが大きく動き出す、、という点もほぼ共通していて面白い。真夜中に観始めて、ウィスキーをちびちびやりながら楽しんで、映画が終わる頃に始まる夜明け、っていうのもいいかも。
[DVD(字幕)] 7点(2019-12-07 17:56:50)
20.  砂漠でサーモン・フィッシング 《ネタバレ》 
みなさん書かれているが、あくまで恋愛ドラマ中心であり、「砂漠でサーモン・フィッシング」プロジェクトは映画のインパクト狙いの単なるモチーフでした。その恋愛ドラマも薄っぺらい内容に終始し、見応えはほとんどありません。特にヒロインの優柔不断さはひどいね。戦地から命からがら生還してはるばる彼女に会いにきた彼氏にあっさりサヨナラって・・。人間のこころの痛みがわからんヤツが、お魚さんを育てようとは笑止千万。この内容ならば、サーモンプロジェクトだけを描いたドキュメンタリー映画でも作った方がよっぽど有意義だったと思うが? でもせっかくだから、ユアン・マクレガーにはもう一作フィッシュ系映画に出演してもらって、ビッグ・フィッシュ、本作と合わせてユアン・マクレガー主演「お魚映画三部作」ぜひ実現させて下さい。
[ブルーレイ(字幕)] 3点(2019-10-20 00:34:27)(笑:1票)
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