81. ストレイト・ストーリー
それぞれのエピソードにおけるアルヴィンの言動と佇まいに、生を授かった時から、消え去ってくれない辛い思いも背負って行かねばならない定めと、毎日欠かさず何もかもを見守ってくれる大空のような存在に近づいて行く事が歳を重ねる事である素敵さを感じました。老いに対する怯えを軽減させてくれた本作に感謝。 [DVD(字幕)] 8点(2010-01-18 00:05:16) |
82. ボルサリーノ
マネキンにも勝る完璧な着こなし、ドロンのビジュアルのかっこ良さは本作が一番。陰気臭さ、悲惨さとは無縁の痛快な物語にマッチしていました。テーマ曲も同様で、忘れじの名曲です。 【2023.12.10追記】 満を持しての劇場鑑賞。 記憶が全く残ってないのが幸いしたか、他愛ないギャングものであっても、音楽同様にカラリとしたドロン&ベルモンドの青春模様が心地よく、ほろ苦い結末と共にこの先忘れる事は無いでしょう。 素敵なひとときに大満足。 余談ながら、魚市場に放たれる猫軍団に、何時も見ている野良猫動画の面々が浮かんで声出して笑っちゃいました。両隣の方ゴメンナサイ。 [映画館(字幕)] 8点(2009-11-19 03:22:41) |
83. レッド・サン
今にして思う奇跡のようなキャスティング。当時ドロン目当ての鑑賞で、三船>ブロンソン>ドロンの役柄であったことの不満が何処かへ行ってしまった、三船とブロンソンの絡みが素晴らしい。これほどまでに孤高で誇り高い侍を描いた外国映画を他に知りません。味わい深いテーマ曲も未だに耳に残っています。 [地上波(吹替)] 8点(2009-11-12 15:00:19)(良:1票) |
84. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 本作をたまたまテレビ鑑賞したことがきっかけで映画の世界に引き入れられ、アラン・ドロンに中学生になるまで夢中になりました。約40年を経ての鑑賞です。当時は理解できなかった「太陽がいっぱいだ」という一言から満ち足りた表情で電話の呼び出しに向かうラストシーン。夢と命の終焉を告げる音楽はやはり切ない響きがありますが、「願いが成就した時が終わりであること」の幸福さを感じました。陽の光を浴びたいという狂おしい程の一念を青い瞳に宿したアラン・ドロンは今観ても一世一代の名演技でした。 2024.8.19追記 ドナルド・サザーランド 88歳、アヌーク・エーメ 92歳、ジーナ・ローランズ 94歳、アラン・ドロン 88歳 皆さん逝ってしまわれました。 悲し過ぎます。 合掌。 [DVD(字幕)] 8点(2009-05-10 23:57:07)(良:1票) |
85. 白い馬(1952)
《ネタバレ》 躍動感、臨場感、ほのぼのさが溢れる映像です。心穏やかな少年の内に秘めた芯の強さ、白馬の誇り高さには驚かされます。絆の強さ故の戻る事を全く考えぬラストシーンに呆然とさせられました。白馬と少年が穏やかに過ごせる場所がこの世にはないのでしょうか。世間の常識、倫理観とやらいうものから外れた友情や愛情がこの世から除外されなければならないのでしょうか。そうであったとしても絆を互いに切る事をしない「意志」に感じ入った作品です。 [映画館(字幕)] 8点(2008-07-28 01:15:53)(良:1票) |
86. 赤い風船
《ネタバレ》 映画の旧称が活動写真である事を思い起こさせる、動く写真の魔力を実感させられました。ラストは切ないです。少年と風船が穏やかな日々を過ごせる場所は空の彼方しかなかったのでしょうか。 [映画館(字幕)] 8点(2008-07-28 00:58:52)(良:2票) |
87. 髪結いの亭主
《ネタバレ》 深刻ぶらず心地よさだけを求める事を信条とする表面上の穏かさとは裏腹の激しい心情を持つ夫婦の朝も昼も夜も離れずに暮らす10年の歳月。客は「今は魅力でも何時か消える、魅力を感じなくなったら他のを探すだけ・・・」と語ります。苦楽を共にする、表裏一体の愛憎。これらの心地よくない部分を受け入れる事を拒否した女房の幕引き。残された亭主の佇まい。浮世離れしたお伽噺にほろ酔い加減の心地よさとほろ苦さを噛み締める作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2008-05-18 14:49:04) |
88. 暗黒街のふたり
4,5年前に一度観たきりです。ドロンが最期にギャバンと一瞬視線を交わすシーンが語る更生する事の厳しさ、罪に対する罰の非情さを嫌と言うほど思い知らされますが、まっとうに生きる事はもっと厳しい事ですので、本作の結末は致し方ありません。二度と観たいとは思いませんが、出会えて良かったと言える作品です。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-10-03 02:18:16)(良:1票) |
89. 戦場のピアニスト
「生きて歴史の証人となる」事は値打ちのある事だと感じます。ナチスの所業とドイツ国防軍の存在。ポランスキーがその時代に見聞きしたことなのでしょう。シュピルマンが万感の想いで演奏したように、ポランスキーも万感の想いで作り上げたのでしょう。忘れられない作品です。 8点(2005-01-31 18:09:16) |
90. 穴(1960)
《ネタバレ》 無実の罪でなく、刑務所内で虐待された訳でもなく、犯した罪を償う責任を果たす事から逃れたいという身勝手な理由で練られた脱獄計画。最初は、あの手この手で知恵を絞って成功にこぎ着けようとするも結局は失敗、その原因は何か?の興味津々で観ていました。五人の知恵とチームワーク、特に砂時計を作る件には唸らされましたし、頭だけでなく力ずくでひたすらに穴をあけ続ける姿に成功させるという強い意志を感じました。あの異常な程の音は彼らの意志を表していました。ガスパールの描かれ方が絶妙で、裏切る、裏切らない、どちらにもとれて、もしかしたら成功するのではと次第に手に汗握って観ていました。鏡に映った光景は思わずアッと口走ってしまった強烈さでした。裏切り行為は情けないといえばそうですが、ガスパールと寝起きを共にしながら察知できなかった己の不明さを棚に上げて、目くそが鼻くそを笑うように感じました。署長もそう思っているのではないでしょうか、彼らより何枚も上手だったようで、やはり最後の一歩を踏むことは難しいようでしたね。 8点(2004-10-20 20:55:26) |
91. イザベル・アジャーニの惑い
男にぶらさがる女、見返りを求める女。そんな女にウンザリしながらも哀れみから情けをかける男。こんな関係はどちらかが覚悟を決めてスパッと思いを断ち切らないと、長引けば長引く程お互いが傷つき不幸になるだけですね。この作品では女にそれを求めるのは無理なので、男がするべきでしたね。イザベル・アジャーニはこういう役どころを演じたら天下一品です。 8点(2004-10-05 22:34:11)(良:1票) |
92. フリック・ストーリー
《ネタバレ》 実在したらしい稀代の殺人鬼エミール・ビュイッソンを演じるトランティニャン。自分の中で最高のトランティニャンです。視線で人を殺せる事が出来る様な凄み、躊躇するという事を知らない冷酷無比な所業と、その際の能面の様な表情はエミールそのもののように感じて、底冷えのする怖さでした。一方で、ピアノに聴き入る姿は人間の血が僅かながらも通っているようで奥深さを感じました。したたかで理詰めにエミールを追ってゆくロジェを演じるアラン・ドロンの抑えた演技も良かったです。レストランでの逮捕までの一連のシーンは、ピリピリした空気で脈拍が早まり耐えられない程の緊張感でした。 2022年6月17日没 合掌 [ビデオ(字幕)] 8点(2004-08-28 01:24:52)(良:2票) |
93. ミルドレッド
子育てに仕事に家事に(どれも満足にこなせず)と髪を振り乱して過ごし、一段落して見る自分の姿に愕然となった時、↓おっしゃる通り勇気づけられる作品。自分は女性なんだという事を忘れず、今から大人になっていきたいと思う。ジーナ・ローランズに惚れた。 【3年近く経ちました】私が心身共に変わる事ができたきっかけとなった本作に感謝です。 [ビデオ(字幕)] 8点(2004-03-17 23:07:06) |
94. ニキータ
『アサシン』と二日続けて観たけれどこちらのほうが少し良かった。アンヌ・パリローの華奢だけどよく鍛えられている締まった体と野性味のある顔が役にはまっている。映像全体のなんとも言えない雰囲気とせりふのひとつひとつにリアルさを感じ、ラストのニキータとマルコ、ボブとマルコのシーンはこの上ない切なさが漂っていた。 8点(2004-02-28 07:49:50) |
95. ジャッカルの日
原作は、海外の作家で私が最も尊敬するフレデリック・フォーサイスの最高傑作で、中学生の時に初めて出会って以来の永遠の愛読書です。映画化において、原作における心理描写の深い味わいはさすがに表現しきれていませんが、狙う側、守る側の攻防はキャスティングの絶妙さと共に忠実に再現されていて見事な仕上がりです。 2022.4.26追記 ジャッカル=エドワード・フォックス=山本圭 奇跡のキャスティング 吹き替えの最高傑作 山本圭さん、安らかにお眠り下さい。合掌 [DVD(字幕)] 8点(2004-02-14 20:00:35)(良:1票) |
96. ダメージ
《ネタバレ》 欲望か理性か。『肉体と悪魔』が思い浮かびます。スティーヴンは欲望にかけたブレーキが効かず暴走した果てに、他人がちょっとやそっとでは持てない恵まれたものを全て失ってしまいます。その事に悔いている様子はラストの眼差しから感じられません。アンナも悔いてはいないようです。といいますか、彼女はとてつもなくしたたかなようです。自分で自分を殴っていたスティーヴンの奥さんの無念さは察するに余りあります。命を落とした息子の事を思えば、ダメージを背負いながらも生きてゆく事の出来る三人は幸せだと言えるのでしょうか? 8点(2004-01-13 00:05:02) |
97. さよなら子供たち
《ネタバレ》 ルイ・マルならではの淡々とした映像で、子供の目を通して人間の尊さと人間の愚かさと運命に逆らえない哀れさを強烈に描いていた。ゲシュタポに目の前に立たれて無言で立ち上がるまでの数秒間はジャンとジュリアンにとって何と残酷なシーンなのだろう。 8点(2004-01-06 23:53:36)(良:1票) |
98. モン・パリ
《ネタバレ》 「人類が月面を歩いて以来最も重要な出来事」原題が示すのは男性の妊娠。いくら何でも無理筋な展開ですが、マストロヤンニ、ドヌーヴ、同僚達が受け入れている姿に白けること無く観続けられました。国宝級の美男美女の二人は超一流の役者だと実感。ほんわかコメディの中にも、中絶・性転換の件や最近ハマっているゆっくり解説動画に出てくるような「長期に亘る加工食品の摂取でホルモン分泌がおかしくなった」件と言った風刺も感じます。 そんなこんなで当然と言うべき結果となりましたが、そこから結末までが素晴らし過ぎ。超前向きな姿は、世間体にこだわる事が愚かであるのを痛感させられました。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-04-08 01:15:49) |
99. テノール! 人生はハーモニー
ケチなラッパーがオペラ歌手としてガルニエ宮に立つまでの姿が描かれています。 成長物語として王道の展開を気楽に眺めていました。 ガルニエ宮の特筆ものである絢爛豪華さにウットリ。 観た甲斐あった作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2024-01-08 02:26:17) |
100. 冒険者たち(1967)
《ネタバレ》 過去に観ていますが内容は忘れています。 レティシア退場がピークでその後は盛り下がる一方。 悪玉の存在と雑な対決模様を眺めていたところでのアラン・ドロンの最期の一言に胸が締め付けられる事に。流石の千両役者でありました。音楽が後押しするほろ苦い三角関係青春ものの名作です。 [DVD(字幕)] 7点(2023-08-13 10:04:05) |