1. バイオハザードIII
《ネタバレ》 人類にとっては、絶望的な状況ともいえる場面からお話ははじまります。前作や前々作における人間達の必死の頑張りは、もう無に等しく、アンブレラでさえ手のつけようがない状態。こうなると、お話の展開そのものよりも、主役のミラの美しさ、アクションに偏った見せ方、また見方になってしまいますが、その点では充分に楽しめました。太陽燦々の砂漠のシチュエーションでは、ゾンビ達の行動も、恐怖よりも、数で襲い来る凶暴さがクローズアップされ、銃でガンガンやっつけるのは少し胸のすく思いです。謎ときや秘密を探るというゲーム的な面白さではなく、ガンシューティングの爽快感でしょうか。僅かばかりの生存者達もあれよあれよと殺されますし。よけいにゾンビに対する憎しみが沸いてくるのも確か。だからこそ、ミラのスーパーな活躍は気持ちいいです。応援したくなります。ああいう状況下では、誰かが救世主にならなければ救われないんだろうな、と思います。たとえアラスカが安全でなくても、信じたい言葉を発するのはミラでなければならないんだろうな。ラスト、ミラのクローン達とアンブレラに反撃を試みる決意のショットで終りますが、アンブレラの首謀者をぶっ倒しても何ら地球の状況は変わらない。でも救世主たるもの、そう思わないと、そう思ってくれないと、観てる我々が納得しない。思う存分やってくれ。そんな願いを抱いている自分がそこにいました。 [映画館(字幕)] 7点(2007-11-07 17:50:26)(良:1票) |
2. サイレントヒル
《ネタバレ》 怖い怖いと言いながらもしっかりとゲームはクリア。そのゴシックホラー的な内容と演出には、物凄く興奮したことは覚えています。まさか、そのゲームが映画になるとは。多少設定は変更されているが、ゲームの持つ空気感ですか、そんなものはしっかりと再現されています。だから原作を知らないで観賞された方とは、評価の視点がちと違ってきます。ご勘弁ください。怖い映画なのに、思わず嬉しくなったのは、あの霧。サイレントヒルの街を覆う、あの霧。実際は灰が舞っているからそう見えるだけなのかも知れないが。ほんでもって誰もいない街。陥落した道路。学校。机。サイレン。あっちの世界の赤錆まみれの通路。金網。視覚にまとわりつくのは、全くゲームとおなじ場面。これだけで、お腹がいっぱいになりました。ゲームをやっていた時期の、違う思い出までよみがえってきます。映画とゲームが自分の中でシンクロしてしまいました。映画としては、母は強いという切り口で一応の終わりを迎えます。現実世界には戻っていないんだけれど。少し悲しくもあり、苦くもあり。この部分はゲームを終えた時と同じ気分です。バイオといい、これといい、日本のゲームクリエイター達が、いかに海外の映像作品やその他のものを研究し、日本向けに昇華させたか、そしてそれが海外のクリエイターにいかに影響を与えてきたかが、よくわかる作品となっています。 [DVD(字幕)] 7点(2007-10-12 17:52:06)(良:1票) |
3. ハイテンション
DVDで観賞後、夜にうなされました。この映画と同じような夢をみて。追いかけられて、もう逃げ場がなくて、しゃがんでいたら、追いかけてきているものはもういなくて。安心したら、自分のうしろにおんなじようにしゃがんでいて。ひいいいっと声をあげて目が覚めたら、妻が驚いた顔していて。夢の話をしたら、子供かあんたは!と言われ、また横になるも、なかなか寝つけず。こんな経験は小学生依頼のこと。体調もすぐれなかった時に観たからか。非常にハイテンションな夜でした。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-08-06 14:23:58) |
4. バイオハザードII アポカリプス
《ネタバレ》 音響効果の優れた映画館での観賞が幸いして、物凄く楽しめた作品でした。アクションに徹した内容が分かりやすく、テンポよく、そして迫力があって、言葉による説明が省けて断然良いです。そのためか、もう劇画、漫画、はたまたアニメーション然とした処はありますが、主人公のアリス、そしてゲームから抜け出てきたかのようなジルの見せ場づくりには大成功ですね。特に教会でのアリスの登場シーンとモンスターをやっつける処などは、鳥肌もの。どうすればカッコイイのかを考えて、考えて見せきった感じがして、興奮しました。「バイオハザード」というゲームをやった方なら、ピンとくる小ネタ(教会のろうそく、ドアを開けるシーン、ネメシスを落とすヘリのシーンなど)もちゃんと用意してあるあたりもうれしかったです。それにしても、ゲームが各国の恐怖映画、ゾンビ映画、をモチーフにして作られて、それがまた映画に対して影響を与えてこういう形で昇華されるなんて、これも一種のコラボレーションじゃないのかな。クレジットの最後に大きくカプコンの文字が出て来たときには、日本人として自慢したくなりました。(自分が大阪人なので大阪に本社があるのもうれしい)アリス計画の始動するパート3が早く見てみたい。そんな気にさせる映画です。 8点(2004-09-21 09:26:25)(良:3票) |
5. サンダーバード(2004)
《ネタバレ》 あの懐かしいテーマ曲にのって(アレンジはされていますが)アニメによる世界各国の危機を救うオープニングタイトルは、何故だか無性にうれしくなりました。幼稚と言えば幼稚かも知れませんが、大画面でこの曲を聞くというか浴びるというのは自分には快感でした。で、本編の方は、こりゃまた随分と子供向けというか、何というか分かりやすい内容でありまして、末っ子のアラン一人に重点が置かれている描き方の為、他の兄ちゃんは何処に?という展開は少し勿体ないです。兄弟の絆の深さ、父と子との情の深さなど、少しも描かずにさらりと進むあたり、逆に並々ならぬものを感じました。大作といっても95分ですんでしまうので、TVのスペシャル版のムードもあります。しかし、各乗り物のデザインはオリジナルのイメージを崩すことなく、60年代の丸味と90年代のシャープさを合わせて、実によく出来ております。隊員達の服装はオリジナルの方が好きでしたけど。島からの発射場面は、各機とも鳥肌ものでした。とすると、この映画はストーリーを追うのではなく、サンダーバードの各勇姿を堪能するものなのかも知れません。続編ができるらしい事がパンフレットに書いてありましたが、この作品がヒットすればの話し。果してヒットするのだろうか。ちなみに日本語吹き替え版を観たのですが、V6でなくてもいいじゃん、の内容でした。話題作りとはいえ、映画を違う側面からヒットさせようというのは、あまり歓迎せんです。 5点(2004-08-16 14:17:44) |
6. クリムゾン・リバー
《ネタバレ》 アメリカ映画にはない、どこか湿っぽい雰囲気のスリラーですが、おどろおどろしい死体や殺し方の割には、種明かしが「復讐」ということで片付けられているのがどうにも納得できません。映像の見せ方にこだわりを持って見せているにも関わらず(眼科医を訪ねる時の犬と対峙した時の間、大学の図書室の見せ方など)サイコスリラーの仮面を被った単純な2人の刑事物語になっています。残念です。双児と違うのかな?と話の途中で鈍い自分にも推理できてしまうのって、駄目ですよね。もっとその推理を裏切るような展開でないと。平凡な作品です。 5点(2004-06-14 16:52:45) |
7. トランスポーター
《ネタバレ》 ノリ的には香港映画。味付けは良くも悪くもハリウッド流。スパイスが効いていない分、諸手を上げて美味しいとは言えない映画だったです。最初のカーチェイスの迫力と興奮は、観客を映画に誘い込む絶好の導入だったのに、女の子が「荷物」と判明してからは、一気にトーンダウン。運び屋のハードボイルドタッチから ヒューマニズムあふれる展開にするとは、力技です。車のスピードなら置いてきぼりはまだしも、この話の在り方にはついていけません。格闘シーンも新しいシチュエーションで、面白いのですが、大味すぎてキレがないように感じます。所々ジャッキーやジェット・リーを意識したような場面もあり、監督はもしかしたら香港映画の次に来る、新しい肉体酷使俳優奮闘映画を目指していたのかも。そう、考えると多少は見応えがあるものに思えます。 5点(2004-03-30 12:45:25) |
8. アザーズ
《ネタバレ》 ゴシックホラーの雰囲気を見せながら、物語は「シックス・センス」のようなパズルめいた謎解きを観客に与えてきます。カメラワークが目に見えない怖さを引き立てる効果をよく出しており、陰湿な暗い屋敷の様子をうまく伝えています。衝撃のラスト!と銘打つ割には、ショック度は少なく、それよりも悲しさの方がより際立つので、胸が痛くなりました。母親とその子供。自分達の本当の姿を知った時のその苦しみは、やはり切ないですね。ニコール・キッドマンは美しく、気高い女性役にはぴったりですね。画面の中でも輝いていました。いい女優さんですね。 6点(2004-03-29 16:19:31) |
9. パピヨン(1973)
《ネタバレ》 執念、執念、男の執念ですね。「自由」をもとめる執念が観る者を圧倒します。脱走に賭けることで何とか自分を鼓舞し、精神を保っている、そのギリギリの状態をマックイーンが熱演しています。舞台劇を観ているかのような、そんな生々しささえ伝わってきます。最後の最後、脱走は成功します。青い青い海に浮かびながら、男はやっと成功を味わうのですが、そこには達成感よりも 目的を成し遂げて、さて、これからどうしたらいいんだろうみたいな一抹の寂しさも感じられます。喜ばしくもあり、哀れでもある男の生き様が見事に描かれています。息を詰めて観てしまいます。 8点(2004-03-25 16:30:22) |
10. 黄金の七人
黄金の七人と聞くと、今はない「月曜ロードショー」を思い浮かべるのは自分だけ?トラウマのようにあのブルーバックに白字のオープニングが頭に浮かんでくるのです。おそらく、この番組で多くの「七人シリーズ」を観たせいだと思うのですが。何故か、自分には忘れられなくて。作品よりもその記憶の擦り込みに感心したりして。 5点(2004-03-23 17:32:35) |
11. クリフハンガー
S・スタローン起死回生の大作です。映画館の予告編で観てから是非とも観たいと思った作品でした。スタローンという俳優自身の評価はアメリカでも日本でも低いみたいですが、この作品にあってはスタローン以外に主役をはれる男優などいないのでは、と思ってしまいます。必ずしも知的ではない無骨な男。山だけに詳しくてその他は何も知りません、という男を自信満々に演じています。雪山の描写も凄まじく、緊迫感もあり迫力もあります。 スーパーマンじゃないんだから、の突っ込み所も多彩ですが、面白く観れた事には変わりありません。レニー・ハーリン監督のこれでもかのピンチ攻撃に役者もよく食らい付いています。音楽も良くて、うん、久しぶりにスタローンを見直した映画です。 7点(2004-03-23 10:33:11) |
12. バイオハザード(2001)
《ネタバレ》 「バイオハザード」のゲームは何作かプレイしたことはあります。恐怖の演出はよく出来ており、その当時ゲームのジャンルではなかったサバイバル・ホラー・アクションという分野を確立させた画期的なソフトであったと思います。映画化の噂はいくつも飛び交っていました。果して、あの恐怖がどのようにスクリーンに反映されているか。興味の点はそこにつきます。しかし、この作品はゲームと違い、アクション映画としてのテイストをふんだんにまぶして、視覚的な面白さを追究しています。ゲームから拝借したのは世界観だけで、全く独立したスタイルで「映画」になっています。ゲーム未プレイ、又は全く知らない人も馴染める作りには好感が持てます。ただ、やたらと多いスローなアクション演出は(緩急のメリハリだと思いますが)見慣れているせいもあってあまり新鮮さは感じず。主人公が脱出する後半の展開も施設の内容や様子が詳しく描かれていないため、そのルート、時間的な面で緊張感があまりありません。最後のクリーチャーとの戦いは面白いのですが。2が出来るラストシーンの見せ方は、それなりにショッキングな印象を与えてくれています。惜しむらくは、パニックがあったであろう街の様子を、もっと陰湿に、もっと黒い雲が街を覆い昼なお暗いという雰囲気で見せてくれればと、欲を出してしまいます。その方が、主人公のこれからどうする?という不安感を募らせる幕切れになるのでは。 6点(2004-03-15 09:40:59)(良:2票) |
13. ブリキの太鼓
《ネタバレ》 カンヌで賞を取った作品だそうで、公開時に観ましたが自分には難解でした。ドイツの歴史も知らないし、スタッフも?の名前ばかり。娯楽作でもないので、もう一度観ようという決意もしばし封印。でも、何年か後、深夜のTVでやっているのを偶然観て、「今なら、どうかな?」と想いビデオを借りて来ました。わずか3才で大人になることを拒否し、大人達の愚行(戦争であるし、愛欲であるし、その他もろもろ)を傍観する少年。ものすごい風刺ですね。また、子供が純粋な眼で見つめるドイツの現代史が(まあ、どこの国でも同じだと思いますが)その愚行の繰り返しであることを痛烈に訴えています。でも、子供が純粋?いえいえ子供が一番残酷なのでは。だからこそ、この映画もエログロを客観的に見せきっていますし、何の予備知識もない子供にとっては、馬の目から鰻がにょろにょろなんて平気なのでしょう。どことなく退廃的な雰囲気のある作品ですが、年をとって見ると、結構気に入る箇所が多々ある不思議な映画です。 8点(2004-03-10 10:13:48) |
14. ベニスに死す
《ネタバレ》 「美」なんて絵画の世界だけかと思っていた少年を、カナヅチでたたきのめした、なんとも妖しく美しい映画。この作品の前では映像で見せる美しさなんて、雄大な自然や特撮効果、大掛かりなセットだけぐらいと、自分の見識の浅さを、見事に露呈してしまいます。人間の中にある「美」を求める「心」を、この映画は見せてくれます。感じさせてくれます。少年を追いかける、恥じらいをわすれた初老の男。かなわぬ願いの結末を知っているのに、追わずにはいられない「美」への愛。朽ちていく自分にはない生命の輝かしい波動。受けるには遅すぎた。あまりにも遅すぎた出会い。最後、蜃気楼のような海辺で死んでいく男。何事もなかったように、流れる風。時間。絵画は止まった「美」。しかし、この映画には脈打つ、心臓の鼓動と同じ、動く「美」が存在する。それは退廃していく者と生まれ来て、生きる者との出会いに求めた刹那の「美」。ああ、ためいきが出る程素晴らしい映画です。 10点(2004-03-08 17:50:20)(良:1票) |
15. スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする
《ネタバレ》 カラーなのに、あまり「色」を感じさせないトーンで全編貫かれています。台詞も少なく、音楽も静か。眠気を誘う緩やかな展開。まるで、夢遊病者の夢に付き合わされているかのような、印象を受けます。曖昧になっている記憶を、蜘蛛の巣をつくるみたいに紡いでいくお話はわかるのですが、いかんせん、画面に入り込めない、取り残され感の非常に強い映画です。だから、ラストの驚きもあまりなく、それも、もしかしたら作られた記憶?なのかも知れません。終わりのない話で、終わっている変な映画です。 6点(2004-03-04 18:04:34) |
16. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 故淀川長治先生が「男が男を愛する映画。その結果、男が男を殺して、その男になろうとする恐い恐い愛の映画」というような事をおっしやってました。復刻版のパンフレットにもそのような事が記載されていました。あの当時に、そういう観点でこの映画を見ていらしたことに、深く感動し、再見すると、ああまさしくと膝をたたく場面の多い事。中学生の頃は、殺人者がアリバイやサインをまねして追究の手から逃れるただのサスペンス映画だったのが、今では妖しい男同志の映画に見えるから、あら不思議。映画を見る目を鍛える大切さを改めて教えていただいた貴重な作品です。 9点(2004-03-04 11:31:53) |
17. ニュー・シネマ・パラダイス
《ネタバレ》 これはもう映画の魔法。観ている人の気分を、幸せにしてくれる映画しか持ち得ない魔法ですね。映画しか娯楽のない時代の、ある街の、ある少年の話が、こんなにも泣けるなんて。主人公の友人である映写技師はただフィルムを回すだけ。たくさんのフィルムを回すだけ。自分では作品をつくらない。それは、他人の人生を多く見てきたことと同じ。だから、主人公の人生もフィルムと同じように、冷静に見ることができ、駅でのあんなアドバイスが出来るのですね。でも、映写技師は作品をつくっていた。世界でただひとつ。ただ1人の人に見てもらうために。その時、観客も主人公と同じ映像を真のあたりにする。検閲されたキスシーンの連続。遠い過去に忘れ去られた想い出の断片集。観客1人1人に送られた「過去」という記憶のメッセージ。感傷的と言えなくもないですが、人生において過去の自分を見つめる、思い出す事は、決して無駄なことではないはず。今の自分を再確認するためにも、こうした魔法にならよろこんでかかりたいと思います。 10点(2004-03-03 11:03:37)(良:4票) |