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コメント数 1727
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自己紹介 今まで観た映画の記録を整理したくなり、レビュー開始。
物忘れが良いのでメモを残しておかないと、印象薄めのものは内容をすっかり忘れていたり、前に観た映画も初見かと思って後半にようやく気づくなんてことも。
備忘録を兼ねているので、ほとんどのレビューはネタバレで書いてます。

10 至高の殿堂入り
9 心に残る傑作 
8 もう一度観たい佳作
7 面白い
6 そこそこ面白い
5 普通
4 それほど面白くはない
3 面白くはないが見どころがなくはない
2 全然面白くない
1 酷い駄作
0 呆れ果ててもはやネタレベル

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1.  ボーイズ・オン・ザ・ラン 《ネタバレ》 
誕生日に一人寂しくテレクラに電話して、やってきたのがとんでもないデブ女。 せっかくものにできそうだった理想的なかわいい処女とも、凍りつくような大失態で水の泡。 あまりに悲惨すぎて笑えてくる。 それでも殴らなければ気がすまない嫌な奴を殴りに行くのは、たまらなくワクワク。 まるで中高生のノリで、30前のサラリーマンのやることじゃない。 それなのに会社ぐるみで応援してるのが、温かくて楽しい。 最高の社長に、同僚にも恵まれていて、職場の雰囲気がアットホーム。  キャスティングが抜群で、峯田和伸の無様で冴えない男といい、黒川芽以の都合のいいバカ女っぷりといい、その他の役者もピッタリはまっている。 田西はホントに浅はかで空気読めなくてカッコ悪くてイライラするけど、だんだん感情移入してしまう。 同僚の女とライバル会社の男がムカついてしょうがない。 観ていて痛いけど楽しいという、かつてない不思議な感覚。 青春だね。
[DVD(邦画)] 9点(2013-07-04 20:57:11)(良:3票)
2.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
誘拐という行為はとんでもない犯罪だし、家庭を滅茶苦茶にされた夫婦は殺しても飽き足りないだろう。 でも、子供が犯人を慕うのは無理もない。 「ひな鳥は最初に見た動くものを母鳥と思いこむ」 ローレンツの刷り込み理論からもうかがえるが、幼い少女にとってはすべてをかけて愛してくれた母に違いない。  子役はとても良かったが、永作博美の母は若くて綺麗すぎて、あまり母のイメージが重なってこない。 それでも、別れの場面では少しウルッとはきたけれど。 恵理菜が愛情をいっぱい受けた昔を思い出して、子供を育てる決意を新たに。 それは光の見える綺麗なラストに見えるが、その子の父は愛する男でなくても良かったのだろうか。 そもそも不倫男とあっさり別れる程度の関係でありながら子供を作ってしまうのは、考え足らずで無責任のような。 そう考えると、意地悪な見方をすれば恵理菜も希和子も同様に考えたらずで一人よがり、自分に酔ってるとも言える。  永作は童顔もあってか、いつまでも老けないのでビックリする。 40オーバーとはとても思えない。 井上真央と劇団ひとりがキスしていたのが、別にファンでもないんだけど何か嫌。 劇団ひとりにはキス我慢選手権のイメージがあるので、それと重なってしまう。 それに芸人と女優のラブシーンは、なんだか芸人が裏で自慢しているような気がして、雑念が邪魔して入り込めない。 実際はそんなことはないにしても、勝手なイメージで。
[DVD(邦画)] 6点(2014-10-11 00:22:44)(笑:1票) (良:2票)
3.  HK/変態仮面 《ネタバレ》 
「これはこれで…」 何発もの銃弾を受け殉職した父の最期の言葉。 最も悲痛な事件をも、一言でコメディに昇華してみせるこのセンス。 それで冒頭からグイっと鷲づかみにされる。 愛すべきバカ映画だ。  こういうコメディは演出次第で空寒くもなるけれど、福田雄一監督が上手い。 これで監督が井口某なら、同じバカ映画でも全然違っただろう。 下品なようで下品じゃない。  偽変態仮面の確固たる変態哲学には感服する。 実写のほうが面白い漫画というのも珍しい。 ただ、この内容で100分超えると少し飽きる。
[DVD(邦画)] 7点(2014-11-08 23:00:27)(良:2票)
4.  許されざる者(1992) 《ネタバレ》 
リアルな人間像が印象的な、西部劇らしくない西部劇。 立場によって許されざる者が違ってくるのは現代にも通じるところ。 それぞれが自分なりの正義にしたがって行動する。 敵役の保安官からすれば自らの残虐行為も町を守る職務を遂行するため。 保安官に蔑視される娼婦たちは、二人のカウボーイのうち暴挙を止めようとした誠意ある若者のほうまで殺害対象とする。 誰もが正しく見えそうで、誰もが間違っている感じ。 善悪がはっきり分かれた勧善懲悪ものではなくリアルな社会を切り取ったドラマになっているが、それが西部劇に求めるものかと言えばそうではないのでスッキリとはしなかった。
[DVD(吹替)] 5点(2014-04-11 20:25:58)(良:2票)
5.  黙秘 《ネタバレ》 
スティーブン・キング原作は未読だが、さすがにサスペンスがうまくて最後まで見せてくれる。 とにかくキャシー・ベイツがすばらしい。「ミザリー」でのイカれたストーカー女も真に迫っていたが、ここでは愛する娘に疎まれている孤独な母。 娘を思う慈愛に満ちた優しい目。娘と通じ合えない哀しい目。頑固でふてぶてしい面構えの中で、ときおり見せる違う表情にやられる。
[DVD(吹替)] 7点(2017-12-26 22:57:12)(良:2票)
6.  キング・コング(2005) 《ネタバレ》 
コングの他にも恐竜がいっぱいで、まるでジュラシックパーク状態。 これってコングのありがたみが減っているような気はする。 ただ、コングとティラノザウルス2頭との戦いは大迫力。 凶暴なコングが頼もしいスーパーヒーローに見えてくる。 ドリスコル一行が不気味な生物の大群に次から次へと襲われるのも悪夢のようで手に汗握る。 こんな恐ろしい生物がうようよいる島なら、ヒロインが一か八かコングにすがってしまうのも無理はない。 危機一髪でコウモリに助けられるなど都合のよい場面は散見されるが、エンターテイメントに徹している。 コングをクロロホルムで眠らせた場面から、次はニューヨークの劇場に場面が一気に飛ぶ。 オリジナルもそうだったが、どうやって船にあの巨体を運び、ニューヨークまで連れて行ったのかが謎。  鎖を引きちぎって暴れまくるコングに歩み寄るアン。 氷の上で滑って戯れるコングとアンが、デートを楽しんでいるかのようで微笑ましい。 エンパイヤーステイトビルから朝焼けを眺め、「美しい」というアンの表現を覚えていたコング。 そこには二人の確かなコミュニケーションがある。 ナオミ・ワッツも魅力的だったし、シリーズの中では一番おもしろかった。
[DVD(吹替)] 8点(2013-06-24 21:43:50)(良:2票)
7.  パリ、テキサス 《ネタバレ》 
トラヴィスにもジェーンにもまったく共感できなかったので、ひたすら長く感じられた。 男と女の哀しいすれ違いはマジックミラーで象徴的に表されているが、その切なさを感じるよりも子供のいる大人二人の身勝手さのほうに引いてしまう。捨てた子供を今度は勝手に連れ出されては、わが子のように何年も育てたウォルトとアンもたまったものではない。トラヴィスとジェーンの苦悩よりそっちの二人のほうが気にかかった。 道路を挟んで帰る父子の姿は良かったけれど、いい年をしたこの男は何の責任も取れていない。自分がいないほうが子供と女の幸福になると考えてのことだろうが、それをもって最善を尽くしたとは到底思えない。 ところどころに象徴的で意味深いシーンもあるのだが、主人公が好きになれない時点で心に染みてこない。ダメ男でも共感できて好きな映画もあるけれど、これは自分にとって全然だった。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-09-10 22:10:45)(良:2票)
8.  鉄道員(1956) 《ネタバレ》 
『自転車泥棒』と同じく庶民の厳しい生活を背景にしたイタリア映画の古典的名作だが、どこか昔の日本のホームドラマのよう。 不器用な頑固親父のせいで家族がバラバラになりながらも、最後は家族の絆を取り戻す。 今は日本も子供と友達のようなマイホームパパが主流だけど、ひと昔前は珍しくなかったタイプの親父像。 昭和の家庭をみるようで、だから日本人の共感も得やすいのだろう。  酔っ払ってクダを巻いてばかりの親父は、スト破りで仲間を裏切るろくでなし。 見てるとイライラしてくるが、それを自覚して自己嫌悪に陥る姿が身につまされる。 それでもそんな男を受け入れてやる家族と仲間の温かさ。 サンドリノ少年の存在が抜群で、子役の良し悪しがいかに大きいかを実感できる。 古い映画では特に、日本と外国の子役のレベルの違いが気になる。
[ビデオ(字幕)] 6点(2013-10-07 20:17:52)(良:2票)
9.  渇き。(2014) 《ネタバレ》 
オシャレにカッコつけようとしてスベってしまった場に居合わせたような居心地の悪さ。役所広司の熱演?も空回りしているようで見てられない。あの演技は暑苦しいだけで、本物の狂気や怖さ、怒りや憎悪を感じない。全然伝わってこないので、娘の狂気や怖さを引き立たせるための狙いなのかと勘ぐってしまうくらい。 どっちにしても、中島哲也監督にしては期待はずれ。中島作品は好きなのだが、こういうヤバイ世界は全然向いてないのかも。アンダーグラウンドのダークな世界を扱うのであれば、真に迫ったエログロを避けないほうが面白かったのに。「グロ過ぎたら、ホントに申し訳ありません」との監督の謝罪文が話題になったが、そこまでのグロでもない。エロは皆無に近くて生ぬるい。過激なふりをしたイミテーション。耐性のまったくない人には、これでも刺激が強すぎるのかもしれないけれど。 こういうドロドロしたものに関しては、韓国映画のほうが一枚上で本物っぽく迫る。役所広司の役にしても、チェ・ミンシクあたりのほうがピッタリくる。役所広司の中には本物の狂気は存在せず、きっと根が常識人の良い人なんだろう。そういう意味では、本当に狂気が潜んでいるのかもしれないと思わせる北野武とも違う。演技のうまさでいえば、出番の少ない中谷美紀のほうが目に留まった。 アイドルをキャスティングしたせいなのか、内容の割りに中途半端に終わった印象。小松菜奈に悪魔のような女子高生役をやらせるのなら、演出も及び腰にならず徹底してほしかった。どうせなら園子温くらいのことをサラッとやってくれないと。できないのなら、わざわざエロ、グロ、狂気、タブー満載の原作を映画化する意味が薄れる。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2015-05-23 01:12:43)(良:2票)
10.  ジョンQ-最後の決断- 《ネタバレ》 
息子を手術させるために拳銃を持ってERに立て篭もった時点で萎える。やってることが滅茶苦茶で、好感が持てないというのは主人公としてどうなのか。 それが例えアメリカの低所得層に冷たい医療制度や理不尽な医療現場への反逆であっても。それはアメリカで時々起こる黒人暴動も思い出させる。鬱憤を暴発させて犯罪に足を踏み込んだ時点で、もう同情はできない。主張自体は真っ当なものでも、暴動や犯罪で要求が通るなら、それはテロリストの要求に応じるのと根本的には変わらない。 犯行現場のヤジ馬たちは拍手喝采していたが、とても共感できず、強い違和感が残る。そういう風に描かれているということは、アメリカではよっぽど医療保険制度の問題に不満が多いのだろう。この点は日本と違うので、実感があまり沸かずに共感できなかったところもある。 ラストはあまりにも都合の良すぎる奇跡が起きる。そうなるんだろうなとは思ったが、これでは薄っぺらいような気もする。
[地上波(吹替)] 3点(2015-05-07 00:45:21)(良:2票)
11.  鑑定士と顔のない依頼人 《ネタバレ》 
いい年こいた男が親子ほど離れた女の色仕掛けに引っかかったお話。 金しかない初老の男が若い女の接近に、少しも怪しまなかったほうが不思議。 クレアのツンデレぶりは、ツンデレ喫茶のコントかと思うほどあからさまで笑えるくらいだったのに。 秘蔵の女性画コレクションの囲まれてご満悦の童貞オタク気質なので、三次元美女に舞い上がり冷静な判断が出来なかったのか。  ここまで皆がグルになった詐欺だとは思わなかったが、騙されるのは予測がつく。 二人が結ばれる過程に感情移入できず、そんなわけがないと冷めた目で見てると、案の定ホラやっぱりねという展開。 こんな手の込んだ回りくどい芝居をしなくても、もっとシンプルな略奪法はあったと思うが。 黒幕は意外性があったが、絵の才能を認めてもらえなかったというのは裏切りの理由としては弱く、そこに至るまでの説得力がない。 伏線がいたるところに張ってあるものの、不自然で強引なところもあり、スッキリ上手く騙された感にはつながらなかった。  ずっと孤独だった老人にとって、クレアと束の間でも愛し合った時間は、詐欺だとわかっても忘れがたいものだったに違いない。 夢のような日を思い返して警察に訴えることも断念し、一人でレストランのテーブルに着いてクレアを待つラストシーン。 呆れるほどに愚かで切ない男の姿が哀れを誘う。 時系列的には、レストランで再会に希望を託しているところが最後なのか、施設で廃人のようになったのが最後なのか。 レストランで待っていること自体が、廃人となった鑑定士の妄想ということだってありえる。 それによってラストの意味あいも変わってきそう。 あえてどちらにでも取れるように、クレアと愛し合った回想シーン、施設でのシーン、真相発覚後のシーンをわざと時系列を交錯させながら描いているようにも見える。  クレアが鑑定士を初めて自室に入れたとき、かかってきた電話のチーフがビリーなのだろう。 クレアは最終章は明るいエンディングに書き直したいと言っていた。 でも、クレアが改心して本物の愛に目覚めたというオチにするのも、おとぎ話にすぎる。 ハッピーエンドかバッドエンドか、曖昧な形で観客に委ねるラストはモヤモヤが残って趣味じゃない。 鑑定士は不正で美術品を手に入れるような狡猾な人間だけど、女に対して免疫のない老人を騙したというのも、スッキリしない一因でモヤモヤが残る。
[DVD(吹替)] 5点(2015-01-06 23:24:07)(良:2票)
12.  きっと、うまくいく 《ネタバレ》 
ザ・良い話。 王道のウェルメイドで、ベタ中のベタな展開。 意外性があったのはランチョーを訪ねたら別人だったところで、それ以外は先がある程度読めてしまう。 雑魚キャラのチャトゥルが交渉する予定だった発明家ワングルの正体もすぐに察しがつく。 「きっとうまくいく」ことが約束されているような雰囲気があるので、途中で親友が死にかけたり、緊急出産の赤ちゃんが息をしてなかったり、愛する人が別の男と結婚しそうな危機があっても、それほどハラハラはしない。 それでもいいキャラクターが揃ってるので楽しめる。 行き過ぎた競争社会での理不尽さに反旗を翻すランチョーは、人としてこうありたいと思わせる理想像。 そのランチョーと同タイプだった発明に情熱を注ぐ学生が、インド映画特有の集団での楽しい歌とダンスの後に、首を吊った姿で映し出された演出はインパクトがあった。 理不尽な権威の象徴である学長、下級生いじめをする先輩たち、教科書通りに丸暗記するだけの点取り優等生チャトゥル、金にしか価値基準のない値札人間スハース。 社会の歪みを代表する俗物が、みなランチョーにギャフンと言わされるのがカタルシスとなる。  ただし、ウェルメイド作品にありがちな都合がよすぎる部分はある。 ランチョーがピアを愛しているのに放置して行方をくらませたのは不可解。 ラストでの劇的な再会を演出したかったという都合だろうけど、不自然さが引っかかる。 笑いのセンスでは、強姦を連呼しているのが気になった。 そこはおもしろくも何ともなくただ下品に感じたが、一般インド市民の感性、倫理観が日本とはまた微妙に違うのかもしれない。 インドで多発するレイプ犯罪のニュースもあって、ふとそう思った。
[DVD(字幕)] 6点(2014-09-28 16:33:34)(良:2票)
13.  エレファント・マン 《ネタバレ》 
昔、テレビで観たときはおっかなびっくりだった記憶が。 ラストシーンの意味もわかっていなかった。 観直してみると、人間の本質的なものを描いた中身の濃い映画。  見世物小屋での動物並みの扱いと、病院での待遇は天と地の差。 やっと人間らしい生活を与えられたとき、金儲けを企む病院警備員の手引きで見物客が病室に潜入したシーンは胸が痛い。 心優しいメリックを弄ぶ醜悪な人間たちに殺意さえ沸く。 ただこの見物客と、劇場でスタンディングオベーションする客との間にどういう差があったのか。 同じ人間でも、その状況次第でどちらにでも転んだように思える。 エリックをからかって追い回した少年たちも、たいした罪の意識もなくやっていることが残酷で、イジメの構造の一端を見る思い。 病院の会議で、化け物の世話など論外だと追放を強硬に主張していた評議委員が、女王の親書に黙って意見を変えるのが痛快。 嫌悪感を露にしていた師長の変化と、メリックを脱出させた見世物小屋の仲間の温かさも心に染みる。  メリックは初観劇の興奮が覚めやらぬ中、大聖堂の模型を完成させて、安らかな死の床に就いた。 これ以上の幸福は望めないという思いもあっただろう。 その選択の裏に、いかに苛酷な生活を強いられてきたかがうかがえる。 死によって、地獄のような生活に戻ることなく、人としての永遠の尊厳を手に入れることができたのだから、その選択は間違っているとは言えない。
[DVD(字幕)] 8点(2013-07-01 00:15:35)(良:2票)
14.  偽りなき者 《ネタバレ》 
善意の勘違い人間が一番始末に終えない。 子どもの嘘を真に受けて、無実の男の人生や家族をメチャクチャにしてしまう。 特別なストーリーではなかったが、誰にでも起こりうることだけに身につまされる。 邦画では『それでも僕はやってない』に誰にでも起こりうる冤罪の恐ろしさを感じさせられたが、本作はさらにインパクトが強い。 誤った情報に扇動されて、その思い込みによる「正しい」信念に基づく攻撃的行為は、本人に悪意の自覚がないだけにタチが悪い。 園児を守ろうとした園長や園長に依頼された専門家が、ルーカスを犯人と決め付けていく過程がリアル。 専門家の誘導尋問にかかれば子どもの口から聞きたい答えを引き出すのは簡単だ。  ルーカスの冤罪が親友のテオの娘クララによって生じたことから、人間関係が一変してしまう。 親は子どもの言うことを信じるもの。 でも、子どもは嘘をつかないなんて幻想でしかない。 それでも遅まきながら、テオがボロボロになったルーカスの訴えに耳を傾けたのが救い。 ただ、一度思い込んでしまうとその考えに固執してしまう人もいる。 狩りの最中にルーカスを狙った銃口が憎悪の根深さを感じさせる。  真実は一つのはずだが、それを見極めるのは難しい。 ここでは性的虐待という濡れ衣を大人が着せられていたが、現実の世界では大人が性的虐待をしながら自己保身で否認しているケースの方が多いだろう。 だから、訴えられたほうがやっぱり疑われてしまう。 監視カメラが街中に設置される時代になったが、「神の目」のようにどこであろうと真実だけを映し出すカメラがあればいいのに。 この映画を観ると、そんなありえない空想を抱いてしまう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-23 14:12:17)(良:2票)
15.  チョコレート・ファイター 《ネタバレ》 
タイ映画でジャッキーばりの本格アクションが見られるとは。 考えてみればムエタイの本場なのだからおかしくはない。 なんといっても主演の少女が逸材で素晴らしい。 といっても、撮影当時23、4歳というからビックリ。 十分中高生で通用するほど幼く見える。 テコンドーの選手だったらしいが、何年も前からこの映画のために受けていたという訓練にふさわしい仕上がりで、一流アスリートのキレと輝きがある。  シリアスな緊張感ばかりではなく、ちょっとズッコケ気味なシーンも。 少女がブルース・リーの真似を始めたときは、コントのようでどうなることかと心配に。 ハエだらけの肉処理場は、笑えるけれど確実に食欲をなくす。 マフィアの手下がニューハーフだらけというのもタイっぽい。 阿部寛の決めのナレーションは、臭すぎるし取ってつけた感もあって思わず失笑。 全般的に阿部寛がかなり浮いて見える。  エンドロールの前にメイキング映像があったが、これが撮影現場の凄まじさを物語る。 アクションシーンで何度も当たっていたり、落下で打ちどころが悪かったりとケガ人が続出。 やられ役も含めて相当危険だったことがわかる。 それだけ真に迫っており、日本の女優の付け焼刃のようなアクションなどお遊戯に見えてくる。  NHK制作のドキュメンタリー「闘え!ジージャー」で特集されていたが、あどけない笑顔からは想像できない格闘技選手のような修練と、いつも救急車が待機するような危険と隣り合わせの現場が印象に残った。 自ら何度もダメ出しをして、納得がいくまでストイックに完全形を求める姿は、まさにアスリートそのもの。
[DVD(吹替)] 7点(2014-10-18 21:23:55)(良:2票)
16.  アルカトラズからの脱出 《ネタバレ》 
実話を元にした長所と短所が同居しているように感じた。 ドキュメンタリーのようにリアルで実際の逃走劇を想起させる反面、物語としては淡々として盛り上がりに欠ける面も。 余計な演出を極力排した硬派な作りは玄人好みで評価の分かれるところだろうが、自分にとっては地味であっさりしすぎて物足りなかった。 脱獄ものとしては方向性が逆の『大脱走』や『ショーシャンクの空に』『パピヨン』にエンターテイメント性やカタルシスの面で惹かれるし、同じような静かでリアルな緊張感なら『穴』のほうがインパクトがある。
[DVD(字幕)] 5点(2014-02-17 20:09:37)(良:2票)
17.  告発 《ネタバレ》 
よくできた映画だとは思うが、それほど感動はしなかった。 なんでだろう…。 実話が元というのが売りになっているが、ドキュメンタリーではないのでもちろん全部が事実に基づくものとは限らない。 ヘンリーが一人だけ刑務所で目の仇のような扱いを受けているのは、実際は何か他に理由があったのではと勘ぐってしまうからか。 自分は凶器ではあったけど人殺しではなく、人殺しはグレンらだという主旨のヘンリーの証言があった。 それでも人を殺しているのは事実であって、自分の責任はまったくないように聞こえるのが引っ掛かっているのだろうか。 現在では、凶悪な事件を起こしながらなんとか罪を免れようと目に余るような責任逃れの詭弁を弄する弁護士や加害者も目に付く。 そうしたものへのアレルギーが、素直な感動を邪魔しているのかもしれない。 ケビン・ベーコンの演技は見事だった。
[DVD(字幕)] 6点(2013-01-14 00:10:40)(良:2票)
18.  ショーシャンクの空に 《ネタバレ》 
久しぶりに見直してみたが、やっぱりすごい。 脚本の素晴らしさにうなってしまった。 無駄なシーンが一つもなく、伏線もうまく張られてラストまで緻密に構成されている。 聖書の話、ポスター、架空の人物の創造、ブルックス老人の自殺など、実にうまくストーリーに絡んでくる。  アンディの希望になっていたトミーを、自分の利益を守るために殺した刑務所長のクズっぷりは見事なほど。 それがアンディとレッドの友情を一層引き立てる。 『大脱走』とは対照的で、黙って地味に一人での脱出がアンディらしくていい。 どんな試練にも取り乱したりせず、希望を見失わずにコツコツと前に進んでいた。 そんなアンディの生き様に、レッドと同じように心を動かさずにはいられない。  ラストでこれほどのカタルシスが感じられる映画は他にないかもしれない。 散々押さえつけられモヤモヤしたものが、汚物の排水管をくぐり抜けて一気に解放される感じ。 キラキラ輝く青い海の見える浜辺で再会を果たしたアンディとレッド。 そのたまらなくいい笑顔に、その後の会話が想像されてニヤけてしまう。
[ビデオ(吹替)] 10点(2012-12-06 17:50:15)(良:2票)
19.  ナイトクローラー 《ネタバレ》 
ゲスの極みのような主人公。常に駆け引きして相手を利用しようと自己中に徹している。 こういう輩には地獄を見てほしいところだが、サクセスストーリーになっているのがミソ。そこにカタルシスはないので、ストレスは残る。 ドラマや映画だとこういうゲス野郎はラストで報いを受けるのが常なのだが、現実世界ではこの映画のようにのし上がる奴も少なくないんだろう。コネも学歴も実績もない人間がのしあがるには、良心やモラルを捨てて他人を踏みつけていくしかない。目的のためには人が死んでも気にしないくらいに。そういう意味ではリアルな映画で、不快感と面白さが同居している。 「遠い空の向こうに」「ブロークバック・マウンテン」「ミッション:8ミニッツ」で見たギレンホールとはまるで別人。この役のために12キロ減量したギョロ目に、がつがつした狂気を感じる。
[DVD(吹替)] 7点(2016-09-10 21:57:40)(良:2票)
20.  シムソンズ 《ネタバレ》 
王道の学園青春もので「がんばっていきまっしょい」のように田舎の女子高生のクラグ活動を爽やかに描いている。 女子高生の4人組が良かったが、特に主人公の加藤ローサがハマっている。 ストーリーはなんの捻りもない照れ臭くなるほどのベタ路線。 反則で目標の一点を取ったことをきっかけに大喧嘩でバラバラになった四人が、お約束のごとく本当の一点を取るために団結する。 でも、セリフが生きてて面白く、映像も牧歌的でほのぼのと楽しい。 北海道の田舎という舞台設定が、真っ直ぐで素朴な青春ストーリーを違和感なくさせている。 カーリングはマイナー競技なのでルールもよく知らなかったが、映画としてはなかなか面白い素材だった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-05-23 22:53:59)(良:2票)

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