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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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1.  アマデウス 《ネタバレ》 
凄い映画でした。モーツアルトとサリエリの関係が実際にこの通りだったかどうかは問題にしません。モーツアルトの才能に打ちのめされ神を呪ったサリエリが、しかしモーツアルトの音楽は認めざるを得ない。認めるだけではなく、音楽家の性として感動し愛さざるを得ない。その葛藤の微細な描写に舌を巻きました。モーツアルトの音楽の絶対性が耳に聞こえる形で映像に説得力を与えます。自分より優れいている人の優れている部分を最も理解しているのが、それを認めたくない自分だという状況は天才・凡人に限らずあると思います。例えば恋敵が持つ美徳を本人より明確に認識できるといったこと。その分析力や強い感受性は「嫉妬」が持つ能力みたいなもので、本作は三角関係を抜きに「嫉妬」を掘り下げる。その卑近でネガティブで複雑な感情を、実在した最も有名な音楽家と彼の美しい音楽で表現するギャップが本作の面白さであり凄さだと思います。私が大好きなピアノコンチェルト20番が効果的に使われていたことが嬉しかったです。 余談ですが、イタリアから出て来てウィーンで宮廷作曲家の地位を得たサリエリも十分に天才に見えるんだけど、本当の天才ってさらにレベルが違うってことなんですかね。例えばノーベル賞を受賞する人たちは私に言わせると全員天才ですが、彼らにとってはアインシュタインやホーキングがさらに1ランク上の天才ってことになるんでしょうか。「天才的」って形容詞は良く耳にしますが、この映画を観たあとは簡単に使えなくなります。
[映画館(字幕)] 10点(2011-12-02 13:36:45)
2.  アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 
初見はテレビ放送で小学校の低学年でした。その年齢でも言わんとしていることが分かり記憶に残りました。「名作」としての評価が定着しているのを知ったのはかなり後のことです。どのシーンにも、どのカットにも無駄が無く、細かい演出の全てがひとつの方向に向かって統合されて行くイメージで、ビリー・ワイルダーの上手さが遺憾なく発揮された逸品という評価です。観る度に「いい映画を観た」という気分になる。本作も「永遠の名作」のひとつだと思います。 少しバクスターのことを考えました。私は出世第一主義が悪いとは思いません。反対に、自宅を出世ツールにして自分の生活を犠牲にする徹底ぶりはただ者ではないと思います。ただ、バクスターの「出世」には目的が伴っていなかった。金持ちになるとか、権力を得るとか、「出世」による具体的な成果をイメージせずに漠然と出世を目指していた節があります。だから「出世」が叶った後の彼は空虚に見えました。それは「出世」より執着できそうなものが視界に入ったことも関係していたと思います。彼が会社を辞めた時点では、フランに対しては片想い状態でした。相愛になれたのは結果論です。だから本作は「出世」と「恋愛」を秤に掛けている訳ではなく、バクスターが人生や生活を律して行ける「何か」を見つけることの重要性に気付いた映画なのだと思います。 最近は、執着するものが見つからないと定職に就かずにフラフラする人が増えているようです。我が身を削って「出世」を目指すような人も極々少数でしょう。さすがに50年前とは世情がずいぶんと変わりました。ビリー・ワイルダーが本作を現代にアレンジしたらどんな内容になったでしょう?
[地上波(吹替)] 9点(2013-05-20 01:30:44)
3.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
学生時代、映画をカントクで観る視点を覚えて最初に意識した人の一人がジョージ・ロイ・ヒルさんでした。基本的な演出力に加えて、笑わせ方が極上です。みんな真剣にやっているんですが、そこから笑いをすくい取ります。サンダンスの「泳げないんだ!」がその典型です。何度も観てますが、そのシーンが来るとワクワクします。この味を出せる監督は少ないと思います。反対に、何度も観てるから後半はツラさもひとしおです。ハッピーエンドでは終わらないと云う意味でアメリカン・ニューシネマの代表作に数えられる本作ですが、彼らの生き様は否定したくない。「明日に向って撃て!」がその気分を力強く代弁してくれます。この邦題も極上ですね。
[映画館(字幕)] 9点(2012-12-24 02:38:20)(良:1票)
4.  アンタッチャブル 《ネタバレ》 
ストーリーを俯瞰すると、けっこう都合よく物事が進む感もあるのだけど、映画の醍醐味のひとつを忠実に表現していてとても楽しめる。それは、仲間を集めて闘うこと。たとえば「七人の侍」や「大脱走」や「スティング」のように、各キャラクターが特技と知恵を集約して事を成したときの達成感。個人競技より団体競技で勝利する方が、仲間と分かち合える分だけ喜びが大きくなることと同じですね。主演のケビン・コスナーより、老獪な手腕を遺憾無く発揮したショーン・コネリーと、乳母車を足で支えながら照準を外さなかったアンディ・ガルシアの存在感が強く残りました。デ・ニーロも含めて助演が見せ場を主張しながらも上手くまとまった映画は完成度が跳ね上がる。個人的には、ショーン・コネリーがパトロール中にのそりと現れ「授業」を授けたシーンが大好きです。自分の中では名シーンのひとつ。 【2020/11/8追記】先日、ショーン・コネリーさんが亡くなられ、追悼放送で再見。初代ボンド役が有名だけど、私が代表作を挙げるなら本作で、某局の編成担当はその辺りをよく心得ていると思いました。ボンド役を退いた後に髪が薄くなっても、かえってカッコ良く見えるようになった方でした。本作で演じた定年前の初老巡査役では特にそれを強く感じたことを覚えています。本作の登場シーン、派手なことをやる訳では無いのに存在感が格別で記憶に残っていましたが、10年前に書いたレビューでも言及していましたね。(それにしても、法を犯した者を検挙するお話なのにやっていることは銃弾が飛び交う「戦争」で、今レビューを書くなら切り口が変わるだろうと思いました) 数えてみたら、現在の私が本作を演じたコネリー氏とほぼ同年齢。カッコ良い老いのお手本に感謝し合掌。
[映画館(字幕)] 9点(2010-06-18 23:01:42)(良:1票)
5.  青い鳥(2008) 《ネタバレ》 
重いテーマと誠実なメッセージに射抜かれました。吃音症の教師の言葉は、数こそ少ないがひと言ひと言が重く響く力を持っている。ストーリーは中学のイジメ問題を中心に展開するが、学校の中に限られた話ではなく、もっと普遍的に意識されて然るべき問題の核心を突いていると思う。「反省」自体が持つ曖昧なニュアンスを反省文の枚数で計ることは、事象に形式的な決着を付けるための詭弁にすぎない。仕事上の事故などを「始末書」で決着させるのは仕方がないとしても、教育の場に相応しい方法論とは思えない。ではどうすれば良いのか? 教師は「責任を持て」と言った。これには、自分の目からも鱗が落ちた想いでした。大事なことは、忘れて終わらせることではなく、抱き続けること。それが事実の中身を反芻させ、傷付いた者の心情を汲むことにもなり、再発の抑止以上の意味をもたらすのでしょう。転校した生徒の机を教室に持ち込んだ一連の行動は、無骨ではあったけれど、教師と園部君の会話シーンで納得しました。この映画の良いところは、回答に絶対性を持たせていないことだと思います。ラストの反省文も全員が提出した訳ではない。学校側が書かせた5枚の反省文も否定している訳ではない。メッセージの受け取り方を観賞側に委ねている。だから尚更、考えさせられる。きっと肌に合わない人もいることでしょう。大人になっても悔やむことは起こります。若い頃に比べて、塞ぎ込む心を早めに戻す術も身に付けました。でも、悔やまれたことのエッセンスを抱きながら暮らして行きたいものだと、この映画を観て思いました。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-03-13 01:37:59)
6.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
かつてここまでリアルに別世界を堪能させてくれた映画があっただろうか。その別世界は美しく、驚異に満ちた自然の宝庫でした。植物も、動物も、そこにコミュニティを作るナヴィも、生あるものすべてがひとつの世界観のなかに完結していて違和感がない。3Dは「飛び出す」ようなキワモノではなく、大きく豊かなパンドラの自然にナチュラルな奥行と風格を与えていました。ストーリーはシンプルですが、テーマもまたシンプル。それは自然賛歌という言葉以外に思いつかない。巨木が倒された時の悲痛はナヴィたちだけのものではなく、自分も体の一部を失うような喪失感を味わいました。かつて発展の為に躊躇せずネイティブを駆逐した西部開拓時代の反省も入っているようです。共棲という視点に限れば、今作は今の時代を背負った大きな映画とも捉えられます。12年間のブランクはキャメロンにとって、とても意義のある時間であったことを確認した印象です。また、ラストの大佐の頑張りには、キャメロン節が健在であることも確認できて嬉しかった。世界観を構築するうえで彼が「ナウシカ」と「もののけ」のエッセンスを取り入れたことは間違いない。それを実写で実現させたことに脱帽します。3Dに関してひと言。実はときどき3Dメガネを外して確認していましたが、字幕が付けられている場所(奥行の階層)もカットごとに変えてありました。つまり字幕にも3Dの演出がなされている訳です。基本はかなり手前側に字幕を置いていますが、室内などの近景で多階層に渡る奥行を持つシーンでは、少し画面が見づらかった。そこはまだ研究&改良の余地ありだと思います。でも、みなさん仰っていますが、自分もこの映画は絶対に3Dで観るべき作品だと思います。どんな体験が出来るのかとワクワクして劇場に向かい、何ひとつ裏切られずに劇場を後にしましたよ。
[映画館(字幕)] 9点(2009-12-31 12:45:29)(良:1票)
7.  the EYE 【アイ】 《ネタバレ》 
最近のホラー映画で繰り返し観た映画はこれだけだ。それ程に見応えがありました。角膜移植によって視力を取り戻した女性の視界に普通の人には見えないものが見える。最初、彼女はそのことに気づかない。手術前は何も見えなかった訳だから、見えるものに正常と異常の区別が付かない。その特別な視覚能力が徐々に実感されて行く過程が上手い。ホラーらしく驚かすシーンも多少はあるが、主人公の戸惑いを丁寧に追いかけて行く流れはホラーというより文芸作品に似た空気さえ漂い、しっかり主人公に感情移入できる。病院で励まし合った少女があの世へ誘われる場に立ち会ったことを契機にして霊視能力を受け入れ始めた矢先に、鏡で見ている自分の顔と実際の自分の顔が違うことに気づく。この映画で最も怖いシーンはここだ。足元から自分の存在が突き崩されて行くような戦慄。じっくりと主人公の心情を追って来たことが実を結ぶシーンでもある。鏡に写る女性の顔を求めて、ストーリーは新たな展開を見せる…。主演のアンジェリカ・リーは美人だけど、韓国ホラーなどにありがちな美貌だけを飾っている主演じゃなく、しっかり演技に芯があってこの映画を悲哀で支配している。心霊現象を描いているが、悪意・怨み・祟りと云う負のエネルギーが根源にあるタイプのホラーではないので、恐怖の純度自体は決して高くない。しかし、それを代償として通常のホラー映画には見られない整合されたロジックを構築し、完成度の高いストーリー性を獲得した。結果、自分が観たホラー映画では最高点をつけることになりました。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-05 02:52:20)(良:1票)
8.  アンダーワールド(2003) 《ネタバレ》 
ゴシックホラーの雄であるヴァンパイアと狼男を現代で戦わせる。しかも、主に銃撃戦ってところが奇抜。過去から現代へと繋がる因縁や適度なラブストーリー。重い雰囲気をユルめの考証でまとめた世界観に文句は無い。いや、その設定はケイト・ベッキンセールを引き立てるために用意されたのだ。それほど、今作の彼女には感じるものがあった。痩身のボディラインを主張する黒革のボンテージファッションは極めて官能的でヤバイ雰囲気をムンムンと発散する。蒼白の顔色と黒髪のコントラストが神秘を纏う。私はぼーっと彼女だけを眺めていた。咬んでもらったマイケル君が羨ましいぞ。
[DVD(字幕)] 9点(2008-09-10 13:07:56)
9.  愛と哀しみのボレロ 《ネタバレ》 
ラヴェルのボレロとはどんな楽曲か? 四分の三拍子・16小節で最初のメロディが構成される。このメロディをAとすると、次の16小節はAの繰り返し。続くメロディBも16小節を2回繰り返す。メロディはAとBの2種類しかなく、このAABBをひと括りにして4回リピートしたあと、AとBを1回ずつ奏でて終了する。通すと、AABB・AABB・AABB・AABB・AB、と云う流れで約15分。最初のAはフルート、続くAはクラリネット、次のBはファゴットと云う具合に、16小節ごとにメロディを奏でる楽器が変化し増えて行く。リズムを取る楽器も変化し増えて行く。どの16小節も、ひとつとして同じ楽器で編成されていない。音量は終始クレッシェンド(徐々に大きくの意)。管楽器の小さな音色で始まり、後半には弦楽器も加わり、最後は全部の楽器が参加して盛大に盛り上がりスパッと終わる。 私は音楽の専門家では無いけれど、頑張って評するなら、この楽曲は単純だけど複雑である、と思います。実は好きで時々聴いています。  クロード・ルルーシュ監督は、この楽曲と人生の類似性に気付き、映画のテーマに据えようと思ったのでしょう。それが冒頭の言葉で短く表現される。 「人生には二つか三つの物語しかない。しかし、それは何度も繰り返されるのだ。その度ごとに初めてのような残酷さで」。  人は誰しも、毎日必ずご飯を食べるし、食べたら排出するし、何時間かは眠る。その意味ではみんな同じだ。生まれた以上は必ず両親がいるし、好きな異性ができれば子をもうける。これもみんな同じ。でも人の一生を、出会いや時々の喜怒哀楽レベルまで細かく見たら、ひとつとして同じ人生は存在しない。誰にとっても1度きりの人生と云う意味では公平でもある。 この映画に登場する人たちにも、程度の差こそあれ色々と悲しいことが起こる。でも、乱暴に云うならだいたい同じに見えなくもない。 もし誰かが「自分は不幸だ」と人生を悲観することがあったとき、「いや、みんなだいたい同じような悲しみを抱えながら生きているのだ」と達観することができれば、苦しさが少し和らぐのではなかろうか。そんな映画だと思いました。  本作は私が学生時代に公開され、鑑賞した友人に感想を聞いたが要を得なかったことをよく覚えています。 友「たくさん人が出てきて、最後に集まって一緒にボレロの踊りを見るんだよ」 私「その人たちはどういう関係なの?」 友「あまり関係ない」 私「じゃあ、なんで集まって一緒に見るの?」 友「う~ん…」、ってな具合。 でも、20年前後しか生きていない大学生に、本作を説明するのは難しかったのだろうと今では分かります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-01-31 16:31:44)
10.  愛と誠(2012) 《ネタバレ》 
「愛と誠」をミュージカルにすると聞くと、原作を知る人の多くは眉をひそめるんじゃなかろうか。私もその一人でした。でも、出来映えへの懐疑と同時に、未知への期待もありました。答えは後者でした。これはケッサクです。あの世の梶原先生は苦笑いかな。舞台を現代にアレンジするような無粋をせず、原作が連載された1972年に設定し、あの時代の熱気を当時の歌謡曲パワーで伝えている、という印象です。早乙女愛(=武井咲)は、天然を通り越してトンチンカンなお嬢様という扱いですが、こんなに笑えたのは久しぶりかも。「君(=早乙女愛)のためなら死ねる」岩清水クンも同様にとっても濃いキャラです。対する太賀誠(=妻夫木聡)の台詞や不良ぶりは原作の通りだけど、こちらは不思議と古さを感じない。なんだか、40年の時を隔てた男女が同じ時空を共有しているようで、その噛み合わない関係が漫才のように転がり笑いを誘います。梶原一騎が描いた70年代前半の純情は、本質は変わらずとも表現の仕方が現代とは違う。それをストレートに再現するだけではギャグに終わります。そこで用いた手法が「ミュージカル」だったのかとも思います。原作ではサブキャラだったガムコ(=安藤サクラ)が美味しい役柄に昇格していました。その代わりに高原由紀(=大野いと)が、原作を知る者には残念な見え方になっていると思います。座王権太は痩せ過ぎです(笑)。60年代~70年代前半の歌謡曲(1曲、アニメあり)は世代を選びますが、ど真ん中の私には至福の選曲でした。若者に薦めると怒る人もいそうな作品ですが、中年には自信を持ってお薦めしたい。
[映画館(邦画)] 8点(2012-06-21 17:49:10)(良:1票)
11.  赤ひげ 《ネタバレ》 
ヒューマニズムの洪水みたいな映画。観る側に先入観を与えて環境にネガな印象を持たせたうえで、3時間掛けて色んなことをじっくりと説得される。保本(加山雄三)と入れ替わりに去る医師(江原達怡)のように馴染めない人もいるだろうが、私はコロッと説得されたクチです。最後は保本と一緒に、心地よいコミュニティに包み込まれるような充足感と希望をいただきました。ほとんどのエピソードに女性が様々な立場で絡んでいて、その多彩さで長尺を飽きさせない。全部は書けませんが、おとよが保本に恋心を抱く流れに和み、賄いのおばちゃんたちにダイコンでボコ殴りにされる杉村春子に笑わせてもらいました。縦軸には青年医師の成長がありますが、実は女性を描いた作品ですね。三船敏郎は大活躍という類いではなく、大地のような安定感と存在感で物語を支えます。ちょっと前なら志村喬が演じていた役目だけど、それを勤めて黒澤映画を卒業したんだなという感想です。波状攻撃的に連なる予定調和や役者のアドリブが入る隙間も無いような演出は、全てを計算し尽くす黒澤スタイルの完成型なのだと思います。
[ビデオ(邦画)] 8点(2011-02-03 00:07:19)
12.  愛のむきだし 《ネタバレ》 
ドキュメンタリー系を除くと過去最長。尺も凄いが内容も凄い。多くの隠喩が散りばめられ整理しきれない。たぶん回答もひとつじゃない。私には長大な純愛物語。「愛のむきだし」とはむきだしの勃起とむきだしのパンチラ。性欲と言い換えても良いのだろう。純愛はそこから始まった。純愛だけじゃなく罪もそこから始まるらしい。色々と御託を並べながらも解りやすいエッチと絶望で自らの主義をコロコロ書き換える渡部篤郎を起点として、愛の意味を純化して探し求めるのが若手3人。それぞれのスタイルは違えど、求めるものの激しさと厳しさがこの映画のパワーです。勃起とパンチラも良かったけど、コイケの屈折しまくったユウへの愛情が深いです。キリスト教のことは良く知りませんが、本作を観ている限りは、神父に結婚を禁じていることに矛盾を覚えました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-31 00:29:21)
13.  歩いても 歩いても
特になにも起こらないけれど、凄い映画だと思いました。登場人物たちの会話に、それぞれの関係性と距離感を示す記号を含ませる。無駄になっている台詞がひとつも無いくらいの、一種の緊張感がある。その会話が、誰の立場に自らを置き換えても思い当たるような微妙な既視感を呼び覚まし、静かな共感が起こる。何気ない言葉の端々に垣間見える生活感は、各人の人生という領域までを想像させる。たとえ家族であろうとも、完全には分かり合えない心の壁を深刻ぶらずに見せられる。会話の中に宇宙が見えました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-02-14 12:54:32)(良:1票)
14.  アンダーワールド/エボリューション
ケイト・ベッキンセール最高。この映画を観てそんな事言う人はあまりいないようなので、もう一度言っておこう。ケイト・ベッキンセール最高!
[DVD(字幕)] 8点(2009-08-20 00:54:44)
15.  愛と青春の旅だち
当時あまり期待せずに劇場へ行ったら、思わぬ良品にめぐり会ったって印象でした。ルイス・ゴセット・Jrがいい味出してると思っていたら、アカデミーの助演を獲って「あぁ、こーいうのが助演っていうことなんだ」と納得した記憶があります。久しぶりに観ましたが、古さを感じさせない青春映画でした。ただし、この映画のヒット後にやたらと「愛と○○の××」ってタイトルが増えて辟易しました。配給会社の苦悩の芸の無さなのか、タイトルだけで鑑賞を決める一般映画観賞者の態度なのか…。
[映画館(字幕)] 8点(2008-09-10 12:55:25)
16.  アトミック・ブロンド 《ネタバレ》 
シャーリーズ・セロンが主演した最初のアクション作品は2005年の「イーオン・フラックス」だったと思う。その作品で彼女は殺し屋さんと革命闘士的な役柄を演じました。私が記憶している範囲の話だけど、ボディを使うアクションがしょぼかった。周囲が彼女の筋力に合わせ無理してゆっくり動いているような、分かりやすく云うと上戸彩のあずみや綾瀬はるかの座頭市みたいな感じ。彼女はきっとこの作品の自身のアクションに不満を持っていて、汚名(?)挽回の機会をずっと窺っていたのだと思う。 で、それが果たされたのが本作。カテゴリーはスパイものですけど、私に云わせれば肉弾映画です。 後半、傷を負った亡命者を保護しながら逃亡を図るシーン。雑居ビルに入り、出てきてカーチェイスが終わるまでの10分弱を1カットに収める。本作の見どころはここに尽きる。ビルの中で6人の敵を殺す。手足と肘・膝・銃把で約50発殴る(数えましたw)。同じくらい殴られる。どこまで本当に当てているのかは分からない。でも、彼女と敵が体のアチコチから流す体液はホンモノに見えるし、顔のカタチが変わっていく。全ての打撃にしっかり体重が乗っていて、体重以上に殺気が乗っていて、痛いし痛々しい。最近のアクション映画の格闘シーンは1秒のカットを何十も繋げて誤魔化すことが主流ですが、それが大っ嫌いな私の心情を盛大に代弁してもらったような気分でした。久しぶりに凄いものを見させてもらいました。 80年代は、学生だった私が最もたくさん洋楽を聴いていた時代で、劇中BGMは懐かしく響くものが多くて嬉しかったです。デヴィット・ボウイの「キャット・ピープル」は当時劇場で見て以来だと思うけど、あの陰鬱な出だしがしっかり耳に残っていたことに驚きました。 本作のテーマはシャーリーズ・セロンがゲンコツにモノを言わせることでした。スパイものにありがちな面倒くさいストーリーは、まぁいいじゃないですか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-11-19 23:38:03)(良:1票)
17.  アンダー・ザ・スキン 種の捕食 《ネタバレ》 
私は色々と楽しめました。 「ウルトラセブン」を見ていると、ほとんどの宇宙人たちが「個人的」に地球に侵略に来るのか不思議でした。常識的には、もっと「組織的」であるはずですよね。「ウルトラセブン」はシナリオの不備ですけど、本作の宇宙人(?)は確信犯の「個人的」です。おそらく母星で禁じられていることをやっています。それは美食(ゲテモノ?)趣味が昂じた結果です。食いしん坊です。その証拠に主演女優はぽっちゃりですw。 格段に進んだ文明世界から来ていても、禁を冒しているから、この食いしん坊の行動は後ろめたさ満載です。そのおどおどした感じがしっかり演出されています。地球のオトコに対する美醜の概念が無いところも秀逸です。そんなこんなを台詞の説明ナシで進める野心作だと思います。 ちなみに、地球人の生殖に関する知識は無かったみたいです。アレの時、びっくりして皮膚に穴が開いたか調べていましたな。スキンに穴があると危ないんだよぉ。お後がよろしいようで。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-07-05 05:44:22)(笑:1票)
18.  雨に唄えば 《ネタバレ》 
お話はシンプルだけど、ミュージカルシーンが楽しくて、観終わった後にスッキリ気持ちの良いものが残る。さすが秀作と言われる作品でした。あのキンキン声のオバちゃんもなかなかの破壊力。嫌われ役だけど、彼女の頑張りにも拍手でした。 現代にもミュージカル映画はあるけれど、この60年前の作品はちょっと種類が違うような気がしました。役者たちが「踊る」ことを極めようとしています。まるでジャッキー・チェンのアクロバットを見るようなハラハラが長回しのカットの中にあり、そういう「芸」や「技」が見応えを高めていました。 最初の感想に戻るけど、ストーリーを見せる映画では無く、ミュージカルシーンで魅せる映画でした。これがミュージカル映画の原点なのでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-22 01:29:57)(良:1票)
19.  アギーレ/神の怒り 《ネタバレ》 
学生時代、名画座で観ました。併映は「フィツカラルド」だった。正直、その時は面白いと思わなかった。スペインの探検隊がペルー側からエルドラド(黄金郷)を目指してアマゾンを下る話だけど、冒険活劇ではありません。ハリウッド作品を見慣れた目には、フィクションとして中途半端に映ったのでしょう。 でも、30年ぶりの再見は見応えがありました。主人公アギーレの狂気の顛末を描くために色んなことをやってます。冒頭、スペインの軍勢が霞の棚引くアンデスの急勾配を下る。奴隷にした原住民を連れ、馬や豚を引き、大砲まで運んでいる。もの凄く手間のかかるロケで、難儀な行軍が演技に見えない。本隊から40名の先遣隊を選抜し、筏に乗って川を下る。動力の無い筏は不安定で半ば沈みながら進む。正確には川に流されて行くだけだ。その筏には、小さな筏が付属している。衝立で目隠しされた小筏はトイレである。この種の映画でトイレを描写した作品は記憶にない。結局、考えられる限り、当時と同じ環境を作ることに執着していることが分かる。 なぜ、そうする必要があったのか。観客を当時の状況に放り込み「あなたなら引き返すか?」と問いかけているのだと思います。同時に、アギーレのやり方の是非は問題ではなく、中世から近代に至る「世界史」はこのようにして作られて来たのだと訴えている気がしました。独善的な男の妄執が原動力となり、周囲を巻き込んで野心が肥大する。そして、おそらくは殆どが失敗に終わり、幸運な一握りの事例だけが「世界史」に記される。年表に載らない歴史の瑣末を正確に再現した作品ではないかと思います。着眼は秀逸ですが、見せるための方法論が普通じゃない。監督も狂気の人ですね。
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-05 02:43:54)
20.  アイアンマン3 《ネタバレ》 
とても楽しかったです。マーベルのシリーズもので、製作が進む度に面白さが増す作品も少ないと思います。アイアンマンの機能進化と主人公の掘り下げが秀逸なんだと思います。 トニー・スタークの見せ方は、これまでの流れを上手く活かしていました。天才だけど直情的なバカは変わらず。メディアに住所を公表してミサイルを撃ち込まれるもんね。世の美女は全員大好きだけど、今は一人の女性に一途。誠実で健気な一面です。最も活躍しているように見えた「アベンジャーズ」の闘いをトラウマにして、弱さを見せる設定も上手いと思いました。悪役の動機は根暗オトコの恨み節ですが、逆恨みと言い切れない余地を残します。主人公の若気の至りです。派手なお話の割には、すべての出来事が主人公の過去から現在に至る行動や心情に帰結するように構成されていて、良くまとまったエンターテイメントという意見です。 アイアンマンを残らずオシャカにして、次の「アベンジャーズ」ではどんな役割を担うのか。マーベルさんの狙い通りですが、素直に楽しみです。
[映画館(字幕)] 7点(2013-05-12 21:29:47)(良:2票)
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