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1.  山椒大夫 《ネタバレ》 
「安寿と厨子王」はタイトルだけ知ってたけど、どんなストーリーかは全く知らなかったので悲惨なストーリー展開にはかなり驚いた。安寿と厨子王が連れて来られる山椒大夫の荘園が現在からすればモロに北朝鮮みたいな感じなのも恐ろしい。全体としては「雨月物語」や「近松物語」と並んで世界的評価の高い作品というのが頷ける素晴らしい映画で、安寿が入水自殺する湖のシーンや親子が引き裂かれるシーンなど映像がとにかく美しく、溝口映画にはやっぱり宮川一夫のカメラだなあと感じる。母親を演じる田中絹代も冒頭とラストでは本当に別人のようになっていて女優魂を感じた。まさに完璧な映画だと思う。それにしてもこの時代の溝口健二ってとても晩年とは思えないくらい傑作を連発していてほんとにすごい。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2006-09-14 16:51:53)(良:1票)
2.  座頭市物語 《ネタバレ》 
勝新の座頭市シリーズ記念すべき第1作。この作品の市は後の明るいキャラではなく、どことなく哀愁が漂っているようなキャラクター。話のほうもシリーズ中(まだシリーズ数作しか見ていないが。)でいちばん面白い。ラストの平手造酒(天知茂)との対決シーンは切なくて感動的だった。まさしく日本映画の傑作時代劇の一本と言っても過言ではない作品だろう。 平手を演じた天知茂もカッコ良かった。
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-05-28 16:06:23)
3.  西鶴一代女 《ネタバレ》 
溝口健二監督の映画もかなり久しぶりに見る気がする。そんな本作は溝口監督が一躍国際的に名が知られるきっかけとなった名作として知られているが、始まって早々に溝口監督らしい力強い長回しに一気に引き込まれた。田中絹代演じる主人公 お春がお経の声に導かれるようにして羅漢堂に入っていく最初のシーンからもうすでにただならぬ雰囲気を感じるし、もちろん、溝口監督ならではの映像美もこの冒頭からよく出ている。物語はこのお春の転落人生を描いているわけだが、溝口監督は一切の妥協を許さずにこのお春という女の人生を描き切っているし、それに見事に応えた田中絹代のすごさ。ここにこの名コンビの真骨頂があるのではと思えてならない。お春の人生の転落ぶりは最初の高貴な身分から最後は夜鷹までと凄まじいものがあるのだが、そこに描かれているのは封建主義の理不尽さとそれに立ち向かう女の強さだ。冒頭の勝之介(三船敏郎、溝口映画にも出てたんだ。)との身分違いの恋からお春の怒涛の人生は始まっているが、これをはじめとしてお春の人生にはこの封建的な世の中の空気というものがついてまわっていたように思う。とくに輿入れした松平家でのエピソードにそれがよく出ており、あれだけ苦労して探した(この嫁探しのシーンがユーモラスに描かれていて笑える。)嫁であるお春を世継ぎが生まれたらもういらないとばかりに実家に帰したりするのは理解できないし、その子が殿様になるころにまたお春を呼び戻すのも虫が良すぎる感じ。そしてクライマックス、目の前を通り過ぎる殿様になった我が子を「私はあの子の母親です。」と後を追おうとするお春の姿は演じているのが田中絹代とあって思わず「陸軍」のラストシーンがオーバーラップしてしまうが、こちらもやはり切なかった。そんなお春が年を取るごとに美しくなっていくように見えるのだが、やはり溝口監督はお春の強さを美しさと比例させて描いているのだろうか。とくに下の方も書かれているように回想を終えたお春が倒れるシーンの田中絹代の美しさは尋常ではないものがあり、すごく印象的だった。最初に書いたように久しぶりに見る溝口監督の映画だったのだが、間違いなく映画史に残る名画であり、素直に見て、いや、出会えて良かったと思えるような映画だった。
[DVD(邦画)] 9点(2020-05-11 01:08:42)
4.  さくら隊散る
バンツマの「無法松の一生」で吉岡夫人役を演じていた園井恵子は清楚で美しく気品のある演技で本当に素晴らしく、そんな彼女が広島原爆の犠牲者であると知ったときには大きなショックを受けたことは今でも忘れられない。さて、本作は園井恵子が所属していた丸山定夫率いる移動劇団「さくら隊」のメンバー9人が広島で被爆し、即死を免れた丸山定夫、園井恵子、高山象三、仲みどりの4人がその後発症した原爆症によってどのように死んでいったかを生前の彼らを知る俳優仲間らの証言と再現ドラマによって淡々と描き出したドキュメンタリー作品で、ある程度覚悟はしていたものの、再現ドラマ部分での被爆した俳優たちが原爆症で悶え苦しむ姿はリアルすぎて見ているこちらにまでその苦しみが伝わってきて見ているのが本当に辛かった。いままで広島原爆を扱った話はいくつか見たり読んだりしているが、原爆症で苦しみ、死んでいく姿をこれほどまでにリアルに描写した作品は初めて見たような気がするし、これまで見た原爆を題材にした映画の中でいちばん怖さを感じた映画だった。明日は8月6日、あれから63年目の広島原爆の日、そして園井恵子の誕生日でもある。あらためて「さくら隊」のメンバーをはじめとして原爆の犠牲になった人々の冥福を心から祈りたいと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2008-08-05 18:47:29)(良:1票)
5.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
見るのは16年ぶり2度目だったのだが、冒頭のクレジットタイトル部分からやっぱり引き込まれるし、序盤は4万ドルを持ち逃げしたマリオン(ジャネット・リー)の心理を巧みに描いていて、ここだけ見てもかなりの緊迫感があり、見ごたえもじゅうぶんで、このままマリオンの逃避行を描く映画なのだと思わせるのが実に見事で、そのうえで実はそうではないという構成がなかなか今見ても斬新に思えるし、モーテルの主人であるノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)と母親の関係の謎に迫る後半部に至ってもその緊迫感がずっと続くので最後まで目が離せなく、この緊迫感の持続こそが本作の見どころなのだと思う。ヒッチコックは既にこの頃カラー映画中心になってたと思うのだが、あえて白黒で撮影しているのが映画の雰囲気にとても合っているし、本作を見たことがない人でも知っている人が多いほどに有名なマリオンがシャワー中に惨殺されるシーン(今回見ていて本作が白黒なのはこのシーンにいちばんの理由があるのではと思った。)など白黒の特色がよく出たシーンも多く、もし、これがカラーだったら印象が違ってただろうと思う。(カラーでリメイクもされているんだけど、あんまり興味わかない。)マリオンとノーマンの食事中の会話も印象的で、その中でマリオンが自分の過ちに気づいて戻ることを決めるのがこの後の展開を知っているとすごくあわれでかわいそうと思えてくる。焦点がノーマンに移ってからはやや展開が早いように思うのだが、この部分もさっき書いたように緊迫感がずっと続くのでまったく気にならずに没頭することができたし、ラストの真相もさすがに初見時ほどではないもののやっぱり衝撃的。後半になってマリオンを捜しに来たサムとライラが金目的の犯行だと思っていて、見ている側はそうではないと分かっているあたりは倒叙もののような感じだが、考えてみれば本作はやや変化球の倒叙ものと言えるかもしれない。それにしても「サイコ」というタイトルが示すとおりの映画で、ここからサイコ映画というジャンルが確立されたと思って間違いないだろう。そう考えればまさに古典的名作だ。(2022年2月20日更新)
[DVD(吹替)] 9点(2006-04-13 14:16:52)(良:2票)
6.  真田風雲録 《ネタバレ》 
昔にも一度見てそのハチャメチャなぶっ飛び感が強烈に印象に残っていた加藤泰監督の映画なのだが、17年ほど経った今久しぶりに見てもやはりそのハチャメチャぶりというか、隕石落下の影響で赤ん坊の時に超能力を身に着けた猿飛佐助(中村錦之助)や、お霧(渡辺美佐子)という女性の設定の霧隠才蔵、時代劇なのにギターをかき鳴らしているミッキー・カーチスなど登場人物をはじめとした荒唐無稽さ(本間千代子演じる千姫などもコミカルに描かれていて好感が持てる。)が強烈な印象に残り、まさにこれぞカルト映画と呼ぶに相応しいと思える映画でやはり今見ても非常に面白かった。それに以前に見たときは加藤監督の映画をそれほど見ていなかったせいか、そこまで意識しなかったのだが、今見ると加藤監督はこの荒唐無稽で風変わりな異色時代劇の中にあってもあくまで真面目な視点で演出していることが分かり、ぐるぐるさんの書かれている通り、当時の学生運動といった社会への風刺を取り入れていて、終盤では戦に敗れた佐助と半蔵の個人的な一騎打ちが描かれているところなどは加藤監督らしいところか。また、佐助や真田幸村(千秋実)の生きざまがしっかりと描かれていて、ここがしっかりしているからこそ、どんなに荒唐無稽でハチャメチャでも全体を通した統一感があり、それが本作をただのキワモノ映画に終わらない青春ドラマとしての魅力も感じられる映画になっている。「やりてえ事をやりてえな。てんでカッコよく死にてえな。」というテーマ曲の歌詞とそれを歌いながら行進するシーンが実に心地良く、本作でいちばん好きなシーンだ。カッコよく死ぬことを望んでいた真田幸村がカッコ悪い無様な死にざまを遂げるのは今見てもブラックで笑えるのだが、今回改めて見たらそれ以上にどこかやるせなさも感じることができた。癖のある映画なので好き嫌いははっきりと分かれるかもしれないが、見ると元気になれる部分もあると思うし、やっぱり好きな映画の一本だ。(2021年12月12日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-02-28 22:27:31)
7.  座頭市血煙り街道
サイレント時代からの時代劇スター近衛十四郎との対決が見所のシリーズ第17作。脚本は東宝の「社長シリーズ」で知られる笠原良三。一番の見所はやはり、座頭市と赤塚の対決シーンだろう。まさにすごいとしかいいようの無い迫力である。
[ビデオ(邦画)] 9点(2005-02-28 17:43:53)
8.  最後の特攻隊 《ネタバレ》 
神風特攻隊を題材にした佐藤純弥監督による東映のオールスター大作戦争映画。1970年というカラー映画であってもおかしくない時代にあえて白黒で撮影されているところにこだわりを感じる。群像ドラマとしてもしっかりと作り込まれていて、見ごたえがあり、とくに中盤以降は渡辺篤史演じる吉川のエピソードを中心に構成されていて、この吉川の話はかなり丁寧に作り込まれている。実家に帰ってきた吉川を母親が涙ながらに叱責し、追い返すシーンや、その直後に自殺しようとする吉川を宗方(鶴田浩二)ともう一人の仲間が止め、必死に説得するシーンが良いし、特攻作戦で死ぬのを恐れていた吉川が空襲で燃えはじめた戦闘機に自ら乗り込み、自爆して最期を遂げるという彼の結末には思わず泣いてしまった。吉川を演じる渡辺篤史もいい演技を見せていて、彼の代表作とも言える役柄だと思う。そのほか、山本麟一と梅宮辰夫の兄弟のエピソードも印象深かった。得てして大味になりがちなこの手の映画であるが、本作はこの二つのエピソードのおかげで印象に残る佳作になっているし、また70年代後半以降に大作映画を多く手掛けることになる佐藤監督の演出にも光るものがあり、今まで見た彼の監督作の中でもいちばん面白い映画だった気がする。ただ一つ、終盤の終戦になったというシーンがえらく唐突に感じたのはちょっと残念。このあたりにもう少し配慮があれば良かったかなと。
[DVD(邦画)] 8点(2015-09-05 17:23:23)(良:1票)
9.  最高殊勲夫人
最初にタイトルだけを見た時は若尾文子が悪女を演じるドロドロ系の映画かと思ったが、「青空娘」の源氏鶏太が原作ということで、ドロドロした重みの全く無い軽快なラブ・コメディーに仕上がっており、「青空娘」同様にとても気楽に楽しめた。初期の増村保造監督らしいハイテンションでスピード感あふれる演出は見ていて気持ちがいいし、電車の中で噂が広まっていくシーンやその後の会社で若尾文子を口説きまくる男性社員たちの滑稽さをコミカルに描いているほか、書道の先生のオーバーなアクションや生放送ドラマの本番直前にしゃっくりが止まらなくなる主演俳優などちょっとしたさりげない笑いも盛り込まれていてこういう喜劇でも増村監督はうまいと感じさせるし、後年のドロドロした人間ドラマで魅せる作品群とはまた違った魅力がある。若尾文子も「青空娘」で見せた清純な可愛さがまさにそのままでとーっても素敵で魅力的だった。はっきり言ってあの会社の男性社員たちや川口浩が羨ましくなってしまうほどの可愛さではないか。おっとちょっと興奮しすぎたか。脇の船越英二の女房の尻に敷かれたダメ男ぶりもいつものことながら見ていて楽しいし、ヒロインの父を演じる宮口精二も良かった。作風上、増村作品って他人に気軽に薦められる映画が少ない気がしてたけど、「青空娘」とこの映画は何の気がねもなく気軽に他人に薦められそうだ。
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-12 14:06:31)(良:1票)
10.  座頭市鉄火旅 《ネタバレ》 
シリーズ15作目。今回は市の仕込み杖があと一人斬ったら折れてしまうという衝撃の設定。なのでシリーズではちょっといつもと違う印象の映画に仕上がっていて面白かった。ドラマ重視のつくりで夢の中で杖が折れて市が斬られるというシーンは杖があと一回しか斬れないことへの市の恐怖心がよく出てるシーンでとても印象に残った。そしてなにより刀鍛冶を演じる東野英治郎が味のあるいい演技を見せていて市に仕込み杖の事を話すシーンや娘のことを話すシーンなど市とのやりとりのシーンがいい。その娘を演じる藤村志保も先週見た「座頭市喧嘩旅」より今回のほうが良かったと思うし、「座頭市喧嘩旅」と同じ安田公義監督が手がけていることも興味深いところであるが、いずれにせよ今回のほうが話としても面白くみごたえがあった。クライマックスの今回の殺陣シーンは市の仕込み杖に関する話だっただけにいつもよりもよけいにカタルシスが感じられるものとなっていてシリーズの中でもとくに印象に残る。またシリアス目のストーリーの中にあって市のとぼけた表情や、コミカルな仕草、水前寺清子や藤田まこととのやりとりが雰囲気を和ませているところも良かった。
[DVD(邦画)] 8点(2009-05-19 13:44:47)
11.  さらばラバウル 《ネタバレ》 
昭和19年のラバウル戦線を舞台にした東宝の戦争映画で、本多猪四郎監督と円谷英二のコンビが「ゴジラ」の直前に手がけた作品としても知られている。怪獣や宇宙人、変身人間など一切出てこない本多監督の作品は初めて見たが、「ゴジラ」には及ばないと思うものの、この映画も人間ドラマがしっかりとしていてとても良かった。でも、主人公の鬼隊長と言われる若林大尉を演じる池部良はストイックに演じているもののちょっと鬼隊長というには貫禄不足のような気がする。この鬼隊長が捕らえた米軍パイロットの取り調べで米軍と日本軍の違いに愕然とするあたりから変わっていくという展開なのでもっと演じる俳優に貫禄がほしかった。「ゴジラ」で芹沢博士を演じていた平田昭彦が本作でも若林の部下役で出演しており、ここでも現地の女性(根岸明美)と悲恋を演じる役どころというのがちょっと興味深い。男中心に展開する映画にもかかわらず岡田茉莉子(可愛い。)や中北千枝子、根岸明美といった女性の登場人物の描き方がうまく、エンドマーク直前もこの女性たちが船の上で「ラバウル小唄」を合唱するシーンで終わりというのが本多監督らしいところ。実録映像も交えた円谷英二による空中戦の特撮も見事。ほとんど機会がないのが残念だが本多監督の怪獣映画やSF映画以外の映画ももっと見たいと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2009-04-21 23:25:13)(良:1票)
12.  座頭市血笑旅 《ネタバレ》 
今回は市がふとしたことから赤ん坊の世話をしながら旅をすることになるというストーリーがなかなか新鮮に感じられる。三隅研次監督の手がけた座頭市はかなり久しぶりに見たのだが、この設定をうまく活かしたドラマ性の高い作品に仕上げていてとても面白かった。市が赤ん坊の世話をする姿は見ていて微笑ましく、途中で一緒に旅をすることになる女スリを演じる高千穂ひづるも良かった。クライマックスの炎の中での斬り合いも迫力充分で印象に残るが、赤ん坊を育てることを決意した市が和尚(加藤嘉)に諭され、赤ん坊を和尚に預けるシーンは市のやるせなさが伝わってきて、分かってはいるのだがやっぱり感動してしまった。まあ多少気になる点がなくもないが、前回見た「座頭市逆手斬り」が物足りない出来だっただけに今回は充分に傑作だと思う。書き忘れてたけど、赤ん坊の父である親分を演じる金子信雄の演技もなかなか迫力があり、印象に残った。
[DVD(邦画)] 8点(2009-02-09 18:43:44)
13.  座頭市地獄旅
今回は伊藤大輔の脚本とあって、いつもよりもしっかりとした作品になっていてとても面白かった。これまで見たシリーズでは盲人であるはずの市が女湯を覗こうとしたりするちょっとあり得ないと思うシーンがある作品もあったが、今回はもちろんそういうシーンはなく、逆に盲人であることを生かした描写があるのがなかなか良かった。今回のヒロインの名前が1作目と同じ「お種」であり、市が1作目のヒロインであるおたね(万里昌代)の話をするところがあって思わず1作目をまた見たくなってしまった。(このキャラクターは2作目と4作目にも登場するらしいが未見。)成田三樹夫も凄みのある演技を見せていて良かった。ただ、本人同様将棋マニアという設定(加えて伊藤大輔も「王将」を何度も映画化してる。)のせいか将棋をしているシーンが多く、ラストの市との対決シーンも今まで友情で結ばれていたわりに葛藤もなくえらくあっさりと斬ってしまうのがちょっと残念だった。もう少しこのあたりにドラマが欲しかったなあ。
[ビデオ(邦画)] 8点(2006-07-31 03:26:21)(良:1票)
14.  サーカス(1928) 《ネタバレ》 
チャップリンはこの頃から単なるドタバタ喜劇に終わらないメッセージ性の強い映画を作っていくことになるが、本作はそういったメッセージ性は薄く、初期短編を思わせるようなドタバタ喜劇になっていて何も考えずに楽しめる作品。とにかくチャップリンの長編映画の中では笑えるという点ではいちばん面白い映画ではないかと思う。とくにライオンの檻でのシーンは笑えた。綱渡りのシーンも、実際にスタントなしで演じているだけあって見ごたえじゅうぶん。それでいてラストのちょっと切ない余韻の残し方はいかにもチャップリン映画らしい。チャップリンのほかの長編と比べれば深みはないし、名作として今でも知られる作品の多いチャップリン映画の中でもあまり知名度は高くないように思われる本作ではあるが、個人的にはこの映画も好きな一本で、もしチャップリンの映画を一本も見たことがない人には初期の短編作品とともにお勧めしたい映画だ。(2013年2月2日更新)
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-06 00:14:13)
15.  三大怪獣地球最大の決戦
このキングギドラが一番好きだ。「怪獣総進撃」のところでも書いたようにキングギドラの第一印象は僕にとって最悪のものだったが、本作では初登場だけあってさすがにカッコイイ。特に隕石がだんだん怪獣の形になっていく登場シーンは印象深い。ゴジラとラドンをモスラが説得するシーンは怪獣の言葉を小美人が訳すというのが笑える。ゴジラはこれ以降、人類の味方になってしまったのが今にして思えば残念だが、それでもこの映画は好き。
[ビデオ(邦画)] 8点(2005-03-05 00:59:33)(良:1票)
16.  百日紅 ~Miss HOKUSAI~ 《ネタバレ》 
葛飾北斎の娘 お栄と周囲の人々の日常を描いた原恵一監督の時代劇アニメ。「ドラミちゃん アララ♡少年山賊団」や、「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」で戦国時代を描いていた原監督が江戸時代をどう描くかに興味があったのだが、原作である漫画(未読)のファンという原監督の丁寧な演出で、アニメでありながらもその時代の空気感を大切にしていて、しっかりと江戸の文化や情緒を感じられる映画になっているし、登場人物たちのやりとりや会話が見ていて心地いい。葛飾北斎が登場する映画というと新藤兼人監督の「北斎漫画」を思い出すが、本作は(原作が違うからか)「北斎漫画」とはだいぶ違う描かれ方をしていて、お直が病弱な子供に設定されているなど「北斎漫画」を頭に入れて見ると若干の戸惑いも感じなくはないが、それでも「北斎漫画」とはまた別の印象が残るのが良いし、北斎とお栄はじめ、登場する江戸の人々にとても魅力を感じることができたのも良かった。ストーリーとしてはエピソードの羅列に終始していて、この点はテレビシリーズでもよさげな感じなのだが、視覚や聴覚だけではなく、五感のほかの部分でも江戸の空気を伝えようという試みはあにやんさんも書かれている通り、挑戦的であるし、同時にすごく映画的な試み。そのために盲目のお直の存在が本作の中では重要で、彼女の目線を通して、映画を見ているこちら側も触覚、味覚、嗅覚という本来映像では伝わらない部分を想像して、江戸という街を感じることができる。これはじゅうぶんに成功していると思うし、まさに映画だからこそできる表現。最初のほうでお栄とお直が橋の上で行きかう人々を見ているシーンはそのうえでかなり重要なシーンだと思う。雪の積もった茶屋の前でお直が子供と遊ぶシーンも美しく印象的だった。
[DVD(邦画)] 7点(2016-10-08 16:08:05)
17.  サイドカーに犬 《ネタバレ》 
あまり期待はしていなかったし、淡々とした印象もあるのだが、だんだん引き込まれた。話自体は大人の視点から見ればけっこうなドロドロ系なのにあくまで小学4年生の少女・薫とヨーコさん(竹内結子)との交流に主題が置かれているためあまりそうは感じないし、純粋に小学生のひと夏の思い出を描いた作品としてよく出来た清涼感のある映画になっていて、ヨーコさんと自転車を一緒に練習したり、コーラを買ったり、一緒に旅行に行ったりといったエピソードや、そんなヨーコさんとの交流を通して少しずつ変わっていく少女が丁寧に描かれている。それがあるから、突然訪れるヨーコさんとの別れや、ラストの父に対する頭突きが切ない。ヨーコさんがとても魅力的で、演じる竹内結子もすごくハマっていた(とくにファンである女優というわけではなく、見た役柄で思い出すのは未だに15、6年前の朝ドラのヒロイン役だったのだが、それが少し変わるかも。)し、もちろん、主人公の少女を演じた松本花奈の演技の自然さも良い。同じく両親が離婚することになった小学生を描いた映画としては相米慎二監督の「お引越し」があり、見ながらつい思い出したが、あの映画とはまた違った良さがある。そして出番は少ないが、樹木希林のコミカルで強烈な演技はやっぱり面白く、シリアスな演技もいいが、やっぱりこの人にはこういう役がいちばん合っている気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2015-10-17 23:21:36)(良:1票)
18.  座頭市牢破り 《ネタバレ》 
独立プロダクションを設立した勝新がその第一作として取り組んだ座頭市シリーズの一篇。これだけで勝新のこのシリーズに対する意気込みが伝わって来るし、監督を社会派の山本薩夫監督にしたのもこれまでのシリーズとは違う作品にしたいという勝新の意図があったのだろう。結果、いかにも社会派監督らしい映画に仕上がっていて「座頭市」シリーズとしては確かに異色作なのだが、考えさせられる内容で映画としてはなかなか見ごたえのある作品だったと思う。理屈で分からない者は斬るしかないという市に対してこの作品ではそれとは正反対の思考を持つ刀を持たぬ侍・大原(鈴木瑞穂)が登場する。この相反する二人であるが、市はこの大原という侍に惹かれていく。この二人の友情にも似た関係がうまく描かれているのがまずいいし、下の方も書かれておられるようにいつもと違い、単なる勧善懲悪ではないあたりや観客に判断を委ねるようなラストに深さがあるのも良かった。ただ、このシリーズらしいユーモラスなシーンもあるものの、やはりシリーズとしては話が重くなりすぎ、そこらへんが評価の分かれるところだとも思う。三國連太郎演じる朝五郎が前半と後半では全くキャラが違い、演じる三國連太郎の演技力の凄さを感じさせているが、この朝五郎の人物描写が不足気味で、もうちょっと前半に後半への伏線を敷いておいたほうが良かったような気がして、そこがちょっと惜しい。とはいえ、この作品、決して嫌いではない。
[DVD(邦画)] 7点(2014-04-05 14:43:20)
19.  三等重役
社長シリーズの原点的作品で、シリーズにおいて先代社長の写真として登場する河村黎吉が社長を演じ、のちにシリーズの顔となる森繁久彌は人事課長を演じている。社長シリーズはそれほど見たというわけではないのだが、のちに量産されることになるシリーズに比べると、河村黎吉演じる社長が戦後の公職追放で社長の座を追われた前社長(小川虎之助)が追放解除になるまでの間、暫定的に社長になった身(これを「三等重役」という。)であるという設定が社会派的であり、これがいちばん社長シリーズとは違うところ。このあたりは今の目線で見るとやや時代を感じてしまったり、そもそも公職追放が何であるかを理解していないと話にややついていきづらい可能性もあるが、河村黎吉はそんな社長を実にうまく演じており、人生の悲哀すら感じさせていてハマリ役で、この映画が公開された年に亡くなったのが惜しいし、実際この映画を見てもとても同じ年に死んだ人とは思えない。森繁久彌も社長シリーズと比べればとぼけたところがなく、実直な部下という印象であるが、主役である河村黎吉を食うほどの存在感があり、この役で森繁久彌という俳優がブレイクしたというのも頷ける話だ。ところで河村黎吉が食べているそばを森繁久彌がハサミで切っているのを「社長三代記」の先代社長の思い出フィルムを見るシーンで見たおぼえがあるのだが、これは続編でのシーンなのかな。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-12-08 17:39:48)
20.  ザ・ヤクザ(1974) 《ネタバレ》 
日本のヤクザを描いたシドニー・ポラック監督によるアメリカ映画だが、製作総指揮に俊藤浩磁、撮影に岡崎宏三、撮影所は東映京都という合作仕様。外国映画の中の日本と言うと日本人が見て違和感を覚える場合が多いが、この映画はその描写がかなりまともで、ロバート・ミッチャム演じる主人公と高倉健演じる元ヤクザとのドラマも見ごたえがあって面白かった。クライマックスの殴り込みのシーンはほとんど東映のヤクザ映画そのままな感じで、ドスを片手に敵と戦う健さんを見ているとハリウッド映画じゃなくて本当に東映の任侠映画を見ている感覚になり、少し妙な感じがするのも事実だが、ハリウッド映画でもヤクザを演じて様になっている健さんはやっぱりこういう役がいちばんのハマリ役なのだろう。ほかの日本人キャストも岸恵子(外国映画とはいえこの人をヤクザ映画で見るとは思わなかったなあ。)、岡田英次と海外の映画に出演経験のある人をキャスティングしていて抜かりがない。日本を舞台にしたアメリカ映画で健さんが出演というと「ブラック・レイン」が思い出されるが、こちらのほうが日本を描いたアメリカ映画としての出来は上のように思う。でも、ロバート・ミッチャムが指を詰めるシーンはちょっと笑ってしまった。
[DVD(字幕)] 7点(2012-06-28 15:54:57)
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