41. シンドラーのリスト
「リスト」をタイトルにしていながら、そのリスト作業が出てくるのはごく一瞬。それに向けて、シンドラーとゲートの対照軸を中心としながら、一つ一つのシーンを地道に積み重ねているのが素晴らしい。中心の2人すら、作品の中では突出した脚光を浴びることはなく、あくまでも全体の進行の中で、無数の登場人物と一体となって描かれる。だから、この作品は、当時の「世界」を明確に写実化したものとして、大きな説得力を有するのである。そして、さらにインパクトを残しているのが、重量感と立体感あふれるモノクロの映像、とりわけ光と影の使い方と、ジョン・ウィリアムスの気品に満ちた音楽。3時間半があっという間。 [DVD(字幕)] 9点(2005-03-30 03:32:27) |
42. シビル・アクション
法廷での派手なやりとりを避けて堅実な描写をしているのは好感が持てるが、実際に主人公がやっていることは滅茶苦茶だし、勝手に和解を蹴ってくる(恐らく、依頼者への意思確認もしていないと思う)なんて、懲戒処分ものです。最後の大事な部分があっさりナレーションですまされているのも、消化不良。 4点(2005-03-15 02:18:52) |
43. 秋菊の物語
相手の悪い部分しか見ないで行動すると、後で取り返しのつかない矛盾に陥ることがある、という、これは貴重な教訓映画です。手段と目的が適合しない行動をとることを戒める映画でもあります。私は、少なくとも途中からは、主人公の行動に全然ついていけませんでした。 3点(2005-02-22 02:22:02) |
44. ジャッカル
《ネタバレ》 ウィリスの側の描写は割と気合が入っているが、気合が入りすぎて、何か四次元ポケットでも持ってそうな万能超人になっている。一方で捜査側はあまりにも警備も戦略もズブズブで、それならジャッカルじゃなくったって計画実行できるでしょ、という気になってしまう。なので、何か凄いことが起こりそうで起こらないまま終わってしまうのです。プラス部分といえば、マチルダ・メイに美味しく目立つ役を与えてくれたという功績でしょうか。それと、昭和の日本の人情ドラマを彷彿とさせるベタベタなラストシーン。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-01-18 00:54:57) |
45. ジェロニモ(1993)
もっともらしく作られている割にはあまり盛り上がらないまま進んでしまうし、主要な登場人物は、結局ほとんどはああだこうだ考えているだけという気もしなくもない。しかし、一番問題なのは、ジェロニモを中心にしているように見せかけながら、結局叙述者(デイモン)の視点が、ゲイトウッド中尉ばかりを見ているという点ではないだろうか。結果、ジェロニモがどういう人物だったのかということは、ほとんど描写されていない。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2005-01-17 01:30:50) |
46. シティ・オブ・エンジェル
《ネタバレ》 切ない雰囲気満載のラブロマンスの秀作。天使というよりむしろ死神に近い(といっても、やってることは死神そのものですが)ニコラス天使のキャラクターが面白い。しかし、何といっても圧巻なのは、ジョン・シールのカメラワーク。高空からの俯瞰ショットの連打はもちろん、「落ちる」シーンのじっくりした撮り方、逆にメグがはじめに(それと気づかずに)ニコラスを見据えるときの表情のキャッチ、自転車で走るメグを流れるように追う視点など、ほとんどやりたい放題です。また、冒頭では車の間を縫って走っていたメグがラストでは何もないところで衝突したり、「落ちた」後のニコラスに血を流させたり(人間化の象徴)など、細かいところへの配慮も嬉しい。唯一の難点は、いまわの際のメグが、少しも死にそうな人に見えないこと。大事なところで彼女の大根ぶりが顕わになってしまった。 [DVD(字幕)] 8点(2004-12-26 14:12:07) |
47. シャロウ・グレイブ
こういうのは、もともと善良な人たちがいつの間にか変わってしまうから面白いのであって、もともと馬鹿で不快な人たちが金を前にして馬鹿な行動を取っても、何の意味もありません。 3点(2004-11-17 01:24:43)(良:1票) |
48. ジャンヌ・ダルク(1999)
やろうとしていること自体はなかなか興味深いが、ミラ・ジョヴォビッチの空回り演技、サブキャラの描写不足、逆にある部分での過剰描写(ダスティン・ホフマンの役など、ご丁寧に画面上に登場させるべきではない)、各所で挿入されるベタな演出など、足を引っ張るポイントがあまりにも多すぎた。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2004-09-26 00:12:31) |
49. 失踪(1993)
《ネタバレ》 途中まではそれなりに謎めいた雰囲気があって、どうやってひねって来るのかと思っていたら、何じゃそりゃ!そのまんまじゃないか!というラストでした。トンネルの中での出来事は何の意味があるのかとか、実は娘も関係あるのではないかとか、失踪というのは妄想で実はキーファー自身が殺害して死体を隠していた(ジェフ・ブリッジスはその真相を追う立場の人物だった)とか、意外とウェイトレスが犯人だった(ラストではキーファーがサンドラの死体を発見しそうになったところで間一髪で追いつき、キーファーを射殺してしまう)とか、いろいろ考えてしまった私が馬鹿でした。 2点(2004-05-10 03:51:12)(良:1票) |
50. 6デイズ/7ナイツ
だから何?というほかはない作品。ハリソン・フォードの精彩のなさには、批判を通り越して逆に心配になってくる。 3点(2004-02-09 22:59:46) |
51. シュリ
いかにもハリウッド的な笑っちゃうシーンはたくさんありますが、話のまとめ方、焦点の絞り方まで含めた総合的評価は、ハリウッドの標準的アクション作品よりも上です。 6点(2004-01-18 23:29:44) |
52. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 最初に見たときは、ナレーションがしつこいとかところどころやたら都合が良いとかいう点が気になっていました。しかし、この映画ってキリスト作品なんだな、と分かってからは、気にならなくなりました。レッドは福音者の立場なのですから、語り続けないといけないのですね。また、理不尽な目に遭わされ続けながら最後に理想郷に到達するアンディは、神の子だというわけです。●と思っていたのですが、さらに再見して、もしかしてアンディってイエスではなく、むしろユダの隠喩では?と思うようになりました。冒頭で所長は自身が神の使いであるかのごとき宣言をし、所長室にも聖書の言葉を飾っていますが、主人公は(中身や行動は悪徳とはいえ)その所長に報復し、聖書をくり抜いて脱獄用具も隠しています。屋上のシーンは、囚人の数は12人であり、それに含まれるアンディはイエスではありえません。そしてアンディは会計が職業ですが、ユダは12使徒の中で金入れを預かる会計担当でした。●そして、そんなこととは別次元で、作品を美しくまとめているのが撮影と美術の腕であり、特に、役者の表情や人物配置や全体光景まできっちり撮りきっているカメラの技術は特筆すべきといえます。また、何気ないシーンでのエキストラの動きが美しく、そこだけでぞくぞくします。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-31 02:51:54)(笑:1票) (良:2票) |
53. 幸福の条件(1993)
何から何までが陳腐そのもの。レッドフォードははじめからいい人に見えてしまって、明らかにこの役に適合していないし、旦那がそもそもまったく魅力的でないので、話が成立していない。 2点(2003-12-24 04:19:05) |
54. ジングル・オール・ザ・ウェイ
単純アホ話だからだめというわけでは決してないのですが、前半はネタに乏しすぎて単調です。最後も、それなりに格好良く敵を倒した方が逆に面白いでしょう。 4点(2003-12-12 23:06:57) |
55. ジキル博士はミス・ハイド
この種の作品はどれだけネタを案出できるかが勝負なのですが、あまりにもアイディアが貧困でした。 2点(2003-11-19 03:32:51) |
56. ジュニア
こんな難しい役が彼にできるわけがありません。 2点(2003-11-14 00:49:37) |
57. ジキル&ハイド
このジキルは全然人格高潔に見えません。単に不気味なだけです。ハイドの方も、特段邪悪にも粗暴にも見えず、その辺の変な人というだけです。なので、そもそもジキルとハイドの話になってません。 4点(2003-10-30 00:24:32) |
58. ジュラシック・パーク
《ネタバレ》 パニック映画であっても、話への興味を持続させるためには、当然、ひねりが必要です。この登場人物たち、よく考えると、ただあたふた逃げ回っているだけで、知能も技術も何も使っていないのでは・・・。あと、最後に恐竜がターミネーター状態になっているのも疑問で、登場時の「何かぼーっとしていて鈍いんだけどそれでもまったく敵わない」方がよほど怖いと思います。それと、子供2人はいろいろな意味でまったく不必要でした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2003-09-27 23:32:44)(良:1票) |
59. シザーハンズ
《ネタバレ》 アンデルセンやグリムから日本の童話に至るまで、お伽噺とは、概して残酷な内容を含み、しかもそれが裏から普遍的な教訓を暗示していることが多いのですが、この作品も、そのようなお伽噺の約束事をきちんと踏まえつつ、それにラブストーリー色やファンタジー色を絶妙に加工することによって、大人のためのお伽噺を完成しています。さらに、本作の最大の功労者としては、お母さん役のダイアン・ウィーストを挙げたい。最初に屋敷の階段を登っていくシーンだけですべてを表現しきっていますし、エドワードとの初対面の場面にしても、この人でなければエドワードはついて行かなかっただろうということがよく分かります。●再見して気づいたのですが、エドワードのキムへの想いは、最初の写真を見た時点がピークで、実はその後は接するごとに落ちる一方だったんじゃないでしょうか?そう思って見てみると、氷像のシーンも、"I Can't"のシーンも、城での対決シーンも、すべてニュアンスと意味合いが変わってきます。実はこの作品、もしかすると、ティム・バートンの女性不信が制作の原動力になっていたのではないか、と勘ぐってしまうほどです。 [DVD(字幕)] 8点(2003-06-03 02:04:29)(良:1票) |
60. シャイン
《ネタバレ》 ジェフリー・ラッシュの精神疾患演技と挿入される各楽曲のパワーで、相当得をしているのではないか?(というより、それに寄りかかっていないか?)という作品。前半のしつこさの割に、病院を出てからのドラマが何もないのも残念。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2003-04-13 23:09:24) |