21. パーフェクト ストーム
災害パニック映画は大好きな私であるが、今作の完成度の高さは数ある災害映画の中でも随一でなかったかと思う。神の意志さえ感じそうな荒れ狂う高波のCGは圧倒的なクオリティの高さだった。何よりも私が感心したのは、今作のラストである。このラストこそ、最も災害を真摯に描いた結果だと思うのだ。 8点(2003-12-05 16:15:11) |
22. ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
シリーズ第5作目にしてようやく「ハリー・ポッター」というエンターテイメントの面白味を味わえるようになった気がする。 この物語は、表面を何重にも“お子様向け”のファンタジーでコーティングした飴玉のようなもので、飽きるような甘ったるさを何層も溶かしていくと、やっと深い旨味に到達する。 そしてその旨味に達すると、前の甘さが懐かしく、大切なものだったということに気づかされる。 そんなわけで、物語全体が核心に向けて突き進んでいく5作目で初めて、全編通して鑑賞に堪える面白味を備えた映画作品として仕上がっていると思った。 主人公が両親の敵であり最大の敵であるラスボスに立ち向かっていこうとする様は描いた今作では、そのための礎となる自分自身の確固たる”居場所”と共に闘う“仲間”を見出していく。 そのくだりは極めてベタでストーリー展開として目新しさはないが、シリーズ4作目までの時に回りくどいほどの長い長い物語が伏線となり、ベタさを”王道的”とも言い換えられる説得力を備えていると思う。 世界的人気シリーズの面白味にようやく気づいた反面、やはりこのシリーズは”お子様向け”だと改めて思う。 それは、自分自身がきっちりと“お子様”の頃に、第1作目「賢者の石」を観て、自身の成長と共に各作品を観ていけていたなら、どの作品に対してもその時々に応じた面白味を感じることが出来たであろうと思うからだ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-01-05 13:49:09)(良:1票) |
23. ハゲタカ
《ネタバレ》 「人生は金がすべてだ」、「金が人生の悲劇を生む」それらはすべて正しい。 ただ、自分自身も含めて、日本の、いや世界のその「現実」を、どれだけの人が本当の意味で理解しているのだろうか。 ということを、「ハゲタカ」のドラマシリーズとこの映画化作品を通じて思い続けた。 数年前、この国で立て続けに表立った某IT企業や某投資ファンドによる企業買収劇は、記憶に新しいところだ。 ただし、連日連夜報道されるその様を、一体どれほどの日本人が、自らが息づく国の経済危機を踏まえて見られていただろか。 自分自身もまさにそうだが、一連の騒動を全く別世界の“ショー”でも見るように、無責任に楽観視していた人がほとんどだと思う。 その国民の反応こそが、この国の抱える「危機」そのものだということを、この作品は具現化したのだと思う。 まさにタイムリーな社会性を如実に反映した設定、そこに映画ならではの娯楽性を加味した世界観は巧みだった。 経済情勢に全く疎い者でも、作品の中で巻き起こる顛末と現実の社会での出来事がみるみるリンクしていき、リアルな危機感と焦燥感に繋がっていく骨太な作品だったと思う。 玉山鉄二が演じた中国系ファンドマネージャーの悲哀が、この映画化作品の最たるポイントだった。 世界の底から生き抜き、憧れ続けた日本車メーカーの買収に心血を注ぐ様、そして、最期の最後まで金を拾い続ける様には、ドラマシリーズを通じたこの作品の「真意」が表われていたと思う。 金にまつわる人間の業、そして、罪と罰。 それは、決して否定することが出来ない人間の宿命なのかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-08-18 12:07:01) |
24. パッセンジャーズ
《ネタバレ》 「驚き」を売りにしたサスペンス映画を見る時は、出来る限り雑念を消し去って、目の前に展開される「場面」にのみ集中することが、幸福な映画ライフを送るためのポイントだ。 主演のアン・ハサウェイの愛嬌のある演技に一喜一憂しながら、用意された顛末に素直に“驚きたい”映画だったと思う。 悲惨な飛行機墜落事故、奇跡的に助かった5人の生存者、彼らをカウンセリングする主人公……。ある程度映画を見慣れている人であれば、用意されたプロットは大概想像できる。ただ、それに気付かぬふりを自分自身にし続けられるのも、映画を見慣れている人の利点だ。 登場人物の少なさ、キャスト陣の地味さから低予算作品であることは容易に伺える。ただその中で、ねらった映画世界を丁寧に構築出来ていると思う。 何と言っても、アン・ハサウェイの瑞々しい魅力が、今作の一定の完成度を支えている。ポスト”サンドラ・ブロック”と言うと、褒めているのか貶しているのかは微妙なところだが、幅広い作品に出続けて、ゆくゆくは“オスカー獲得”という路線は約束されているようにも思える。 期待せずに、国際線の機内ででも観ると、ある意味物凄く“心揺れる”映画だろう。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-03-19 13:06:24)(良:4票) |
25. ハリウッドランド
《ネタバレ》 レンタル店の“ミステリー”にジャンル分けされていた今作。 もちろん、ハリウッドで実際に起こった俳優の自殺事件と、その真相を明らかにしようとするプロセスを描いている以上、そのジャンル分けは間違ってはいないと思う。 ただし、この映画の面白さは、謎が解明される顛末にあるわけではない。 往年のハリウッドのきらびやかさと、その裏に確実に広がっていた「闇」を、綿密なディディールの中で描いたところに、その醍醐味はあると思う。 ヒーロースターの死の謎を、しがない私立探偵が運命的に追い求める。 メイキングの中の言葉の通り、「人の人生を追うことで、自分の人生を見つめ直す」映画であると思う。 華やかな銀幕の世界の裏側に隠された深い闇。 それは必ずしも「犯罪」に直結するものばかりではなく、俳優をはじめとする映画に関わるすべての人間に確実に潜む“心の中の闇”であったのだと思う。 「光」は「闇」があるからこそ初めて成立する。その避けられない現実の皮肉を、ミステリーという娯楽性によって巧みに彩ってみせた作品だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-25 10:58:36) |
26. 犯人に告ぐ
かつての誘拐事件で心に傷を負った敏腕刑事が、新たに巻き起こった連続児童殺人事件を、テレビを通じて犯人と対峙する「劇場型捜査」として挑む。 原作は未読だったので、色眼鏡なく展開するストーリーに入り込むことができ、トータル的にはまずまずよく出来た映画だという印象に落ち着いた。 主人公を演じた豊川悦司は、キャラクターによく合い安定した演技を見せたと思う。笹野高史をはじめとして、脇を固める俳優陣は地味めながらも実力者揃いで味のある存在感をもって作品を支えていた。 想像するに、原作をうまくまとめて決して破綻することなく映像化しているのだと思う。ただその体裁の良さが、同時に映画作品としてやや「味が薄い」という印象に繋がっているとも思う。 「劇場型捜査」というセンセーショナルな要素を核心に据えてはいるが、このストリーのミステリー性はそれほど練り込まれたものではなく、むしろベタと言える程シンプルだ。 原作を読んでいないので想像の範疇を出ないが、この物語の本質は、真犯人特定のプロセスではなく、主人公を中心とした「劇場型捜査」に絡む群像のドラマ性にあるのではないかと思う。 そういう意味では、もう少し主人公以外の登場人物たちの人間性を深く掘り起こして欲しかったと思う。そうすれば、もう少しアクの強い映画に仕上がったのではないか。 [DVD(邦画)] 7点(2008-03-22 03:12:43)(良:1票) |
27. パンズ・ラビリンス
《ネタバレ》 内戦渦のスペイン、残酷で悲痛な運命の中に放り込まれた一人の少女、彼女が迷い込んだ幻想的な「迷宮」は、現実か妄想か。 まず自分の想像以上に、痛々しく悲劇的展開が衝撃的だった。 悲劇的な運命の中で主人公の少女がファンタジーの世界に入り込み光を見出していくという展開を想像していただが、決してそんな生易しいものではなかった。 どこまでも暗い闇の中で、少女が自分に対する唯一の救いどころとして見出していくもの、それが「幻想」だった。 物語が始まった時点で、少女の精神は崩壊していたのかもしれない。 少女が迷い込んだのは、光に溢れたファンタジー世界ではなく、闇の中の限界の淵で辿り着いた、幻想世界だったのだろう。 戦渦の薄暗い山村とその中で見え隠れする妖しい幻想世界を、独特のビジュアルで描き出した映像美が素晴らしい。 時に痛々し過ぎるほどの描写も、確固たるビジュアルセンスによって作品の中で違和感なく溶け込んでいる。 基本的に「悲劇」は苦手で、出来ることなら見たくない。 だが、残酷な運命に対する少女の人間としてのひたむきさ、そして魅惑的な少女の幻想世界にどんどん引き込まれていった。 [映画館(字幕)] 7点(2007-12-02 21:55:21) |
28. パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
ジョニー・デップは昔から大好きだし、なんだかんだ言ってもエンターテイメント大作は嫌いではない。加えて、ディズニーランドで一番好きなアトラクションは「カリブの海賊」だし、パート1も凄く面白かったと思う。 なのに、このパート2はなんだかなかなか観る気になれなくて、結局パート3を観る直前にやっと観ることになった。 まあ結局のところ“面白かった”とは思う。 特にストーリー性は無いし、前作にも増した映画全体の“ドタバタ感”(特にジョニデのそれ)は、やややり過ぎな印象を受けなくもなく、長い尺も手伝って間延びする感覚は否めない。が、それでも娯楽映画としてまとめ上げているところは、映画として一定の“質”を保っているからだと思う。 個人的には、娯楽映画シリーズ特有の「次作への余韻」に弱いので、ラストシーンでジェフリー・ラッシュが登場した時点で一気にパート3への期待は高まってしまった。 「スター・ウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」などに代表されることだが、もうこういう映画の場合、その世界自体が好きな人は問答無用に「OK」だろうし、別に何の愛着もない人にとっては圧倒的に「NG」になり得ると思う。 [DVD(字幕)] 7点(2007-05-26 11:58:07)(良:1票) |
29. ハサミ男
確かに、映画をある程度見慣れている人ならば、この映画が抱える“要素”は容易に感づく事ができ、その点においてはこの種類の映画としては、あまり巧いとは言えない。全体的に画づくりが稚拙なのも頂けない部分ではある。 ただやはり、このストーリーが持つ元々の面白さというものに、随分助けられていると思う。散々描かれつくされてきた感もあるサイコサスペンスというジャンルにおいて、しっかりとこの物語独自のオリジナリティは携えており、その部分において見応えは確実にある。原作は未読だが、このストーリーをどう文章で構築し描いているのか、とても興味深い。 展開としては、クライマックスの顛末まで良かったのだけれど、最後のエピローグが若干しつこくて間延びしてしまった。あそこまでクドクドと語らなくても、そこまでの流れで充分に“真意”は伝わったと思う。ラストを簡潔にまとめ余韻を残す勇気がほしかった。そういう部分においても、物語の秀逸さの反面、映画としての未熟さが垣間見えることが惜しい。 [DVD(字幕)] 7点(2006-03-12 03:10:57) |
30. バッド・エデュケーション(2004)
ペドロ・アルモドバル監督自らの深層心理を、丁寧に大胆に切り開いていくようなそんな映画。描かれるテーマはまさに「禁断」。だけれど、いわゆる“そっち系”の映画の多くにあるような“居心地の悪さ”が、この作品には無い。それは、表現者であるアルモドバル監督を含めた“主人公”たちが、それぞれどこまでも情熱的だからだ。ある意味において、純粋で無垢なその情熱には、薄っぺらな価値観などは入り込む余地はなく、ただただ観る者を包み込む。 主演男優二人の表現も素晴らしく、相変わらずビビットな映像感覚も印象的で、とても質の高い映画だと思う。ただしかし、他のアルモドバル監督作品と比べると、もう少しラストに踏み込んでも良かったのではないかとも思う。意外とあっさりとした余韻が残った。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-07 01:06:39) |
31. バイオハザードII アポカリプス
ミラ・ジョヴォヴィッチはついにイクところまでイッてしまっている。彼女の大ファンのぼくにとって、もちろんこれは最大級の褒め言葉である。パート1に引き続く今作でのジョヴォヴィッチの演技、というよりもその存在は、ハリウッドにおいて彼女以外にありえない。類まれなる(身体も含めた)美貌を備えた孤高のヒロインはついにある種のトップへと登りつめたと思う。 前作「バイオハザード」に対し今作は、前作の監督ポール・W・S・アンダーソンが製作・脚本のみにとどまったことにより、映像世界に若干の完成度の低さが伺える。そこはまさに文字通り“モンスター級”の活躍を見せたジョヴォヴィッチの働きにより、期待通りのインパクトは備えられた。しかし、今シリーズのアリスを「エイリアン」シリーズのリプリーにまで映画的な価値を高めたいなら次作では、確固たる実力を持った監督が不可欠であろう。 [映画館(字幕)] 7点(2004-09-13 18:11:24) |
32. パンチドランク・ラブ
なんて奇妙なラブストーリーなんだろうと思う。純粋とは程遠いこの愛の物語に、いかにもラブストーリーらしい愛らしさを感じるのは、徹底的に不器用で暴力的な主人公の愛らしさ故であろう。ニュアンスは大いに違うだろうが、愛とは我を押し通すことだということを感じずにはいられない。もちろん主人公の性格から行動まですべてが褒められるものではないし、誰も真似できないことだけれど、それによって愛する二人が幸せなら何も言うことはないのではないか。何というか、そういう奇妙な説得力にぐいぐいと引き込まれる。 7点(2004-08-04 13:10:14) |
33. バンディッツ(2001)
派手さは決してないが、娯楽アクション映画らしい痛快な展開が楽しめる。ブルース・ウィリスの脇にビリー・ボブ・ソーントン、ケイト・ブランシェットという実力派を配したことが映画に厚みを持たせている。ラストには小気味いい爽快感もあり満足度は高い。 7点(2003-12-24 01:49:55) |
34. ハムナプトラ2/黄金のピラミッド
前作に引き続きまさに娯楽映画の真髄と言える完成度の高さに単純に楽しめる。娯楽映画というだけで馬鹿にする人も多いが、娯楽性こそ映画の根本であり決して安易に捉えられるものではないのだ。こういうクオリティの高い娯楽映画こそ重宝されるべきだ! [映画館(字幕)] 7点(2003-12-17 13:53:17)(良:1票) |
35. はつ恋(2000)
ストーリー的にはシンプルで映画にできる規模の物語ではないかもしれないが、映画女優田中麗奈の存在感がこの作品を印象深いものに仕上げている。特にラスト、夜桜の下で輝く彼女の笑顔には、彼女の女優としてのとてつもない魅力を感じずにはいられない。 7点(2003-12-13 20:52:31) |
36. バンク・ジョブ
《ネタバレ》 もはや娯楽映画のジャンルとしてはやり尽くしてしまっている感もあるケイパームービー(いわゆる金庫破り映画)。 今さら、どんなアイデアを持ち込んだところで、往年の名作の二番煎じ、三番煎じになってしまう可能性は極めて高く、中々“新しさ”を求めることは難しい。 ただし、今作においては、これまでのケイパームービーにはあまり無かった趣向を楽しむことができた。更にこれが実話を元にしてるってのだから、ちょっと驚く。 前述の危惧に漏れず、今作においても“金庫破り”そのものの展開は極めてオーソドックスで、過去の映画で何度も描かれてきたであろうプロットで構築されている。当然そこに目新しさは殆どない。 人生にくすぶり気味の主人公が、ふと持ちかけられた銀行の金庫破りに一発逆転を懸ける。 悪友を引き連れつつ、計画の片棒を担ぐ専門職を集めるくだりは、無駄無くテンポが良かったと思う。 金庫破りが成功するかしないかの展開も、緊張感とユーモアがバランスよく配置されており、娯楽性の巧さを感じた。 このあたりは、ベテラン監督ロジャー・ドナルドソンの手練ぶりが出ていたと思う。 なんだかんだはあるものの、金庫破りそのものは案外すんなりと成功してしまう。 「なんだ余裕だな」とその顛末に若干の物足りなさを感じ始めたところで、この映画が持つ本当のエンターテイメントが始まる。 破った金庫が、裏社会の面々御用達の貸金庫だったことから、主人公一味は悪党から政府の裏組織に至るまで、英国社会の表裏のあらゆる組織から追われる羽目になる。 この三つ巴、四つ巴の攻防が非常にエキサイティングに描かれている。しかもそれが実話だというのだから、殊更に面白味は深まる。 もちろん、この全てが事実だなんてことはないのだろうけれど、それでも実際にあった事件を元にして巧みなエンターテイメントに仕上げていることは事実。 あまりアクションシーンを与えられていないジェイソン・ステイサムの主人公ぶり、そして、非道なポルノ王に扮したデヴィッド・スーシェも印象的。 [インターネット(字幕)] 6点(2013-03-17 19:18:33)(良:1票) |
37. ハリー・ポッターと炎のゴブレット
シリーズ第四作目。それが児童文学である原作そのものの売りなのかもしれないけれど、魔法学校生活の中の”たわいもない”シーンが、まどろっこしくて眠気を誘う。 プロダクションが巨費を投じるイベント映画でもあるだろうから、これでもかと様々な要素を盛り込んで尺が長くなってしまうことも仕方がないのかもしれないが、特別にファンでない者からすれば、「もっとコンパクトにしてくれよ」と正直感じてしまう。(まあ、じゃあ観るなということになるだろうけれど……) 今作では、三大魔法学校の対抗戦という、この手の物語にはよくありそうな“つなぎ”の要素がメインに描かれるため、真に迫った緊張感が無いまま、映画が展開していく。 「これは前作に比べて、ずいぶんと“子供向け”の要素がぶり返してきているな~」と眠気に耐えながら、というか途中で睡眠を挟みながら、ようやくクライマックスを迎え、そこで映画のテンションは一転した。 “ラスボス”であろうヴォルデモード卿がついに復活し、いきなりハリー・ポッターと対峙する。 公開中の最新作の予告編で登場しているこの悪役の造詣を見て、その派手さの無い”気味悪さ”がいやに印象強く残っていた。 そして、今作のクライマックスでの登場シーンはせいぜい十数分程度だが、映画の雰囲気を一変する抜群の存在感を放っていた。エンドロールで初めて知ったのだが、演じているのがレイフ・ファインズだと知って、即座に納得した。 ストーリー自体にも明確な「死」が描かれるなどしており、「ハリー・ポッター」の物語全体が終幕に向けて転じていく様には興味を掻き立てられた。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2011-01-04 16:24:17) |
38. ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝
「ハムナプトラ」シリーズは、好きなアクション娯楽映画で、7年ぶりの続編は本来なら映画館で観ようと思っていたのだけれど、理由があり躊躇してしまった。 躊躇した理由は、二つある。 一つは、監督がスティーブン・ソマーズからロブ・コーエンに変わってしまったこと。 製作資金さえ豊富ならアクション映画の監督なんて誰がやっても大差ないなんて思われがちだが、娯楽センスというものは確実にあって、作り手の性質によって作品の出来不出来は大きく左右される。 今作のロブ・コーエン監督がそれほど悪いとは思わない。そこそこバランスのとれた娯楽性を展開してくれたと思うが、やはりこのシリーズではスティーブン・ソマーズ監督の大胆さと小気味良さが見たかったと思う。 二つ目は、過去二作でヒロインを演じたレイチェル・ワイズが出演しなかったこと。 もはや彼女も大女優の一人なので、出演交渉は簡単ではなかっただろう。 が、個人的にはこのシリーズの出演からレイチェル・ワイズという女優を知り、その後の出演映画を見てファンになった経緯があるので、是非今作にも出てほしかったものだ。 彼女が出演していれば、映画としての質が格段に上がっていたことは間違いないと思う。 という二つの大きなマイナス要素はあるものの、それなりに楽しめた映画ではあった。 これはこのシリーズ自体が持つ独特の娯楽性の高さと、ブレンダン・フレイザーの良い意味で「大味」な存在感がマッチしているからだろう。 「インディ・ジョーンズ」シリーズと比べたりすると怒られるかもしれないが、どこまでお金をかけても“B級映画”的なノリが抜けないこの「ハムナプトラ」シリーズの方が、個人的には好きだったりする。 [DVD(字幕)] 6点(2008-12-23 09:39:05)(良:2票) |
39. ハンコック
地球を救うヒーロー役において、ウィル・スミスほど「経験豊富」な俳優は居まい。「ID4」「MIB」「アイ,ロボット」……と軽妙なノリと独特の好感度を携えたキャラクターで、様々なヒーローを演じてきた彼に、嫌われまくりの荒くれヒーローを当てた時点で、ある程度面白味のある娯楽映画に仕上がることは、約束されていたと思う。 スーパーヒーローの快活な活躍を描くのではなくて、ヒーローの裏側と隠された真相を描いたストーリー展開は、ユーモアを先行しながらも驚きや悲哀もあり起伏に富んでいた。 けれど同時に、面白い要素をそこかしこに散らばらしてはみたものの、今ひとつまとまっていないというか、真に迫ってこずに最終的な部分でカタルシスを得られなかった。 ミソとなるのは、一見端役を何故かシャーリーズ・セロンが演じている点で、見所も彼女が絡み始めるくだりだが、彼女とウィル・スミスの関係性の描き方が結果的に不充分だったことも、映画の完成度を低くさせた原因だと思う。 ウィル・スミスをキャスティングした時点で安心してしまい、ストーリーの作り込みを抜いてしまっている印象を受けた。あとほんの少し、ストーリーに整合性と説得力があれば、ヒーロー映画としてかなり傑作の部類になっていたのではと思う。 でも、既存のアメコミヒーロー映画が旺盛する中で、オリジナルキャラクターを生み出した試み自体は、評価したい。 [インターネット(字幕)] 6点(2008-09-16 23:38:51) |
40. パプリカ(2006)
極彩色(いや、もうこれは極楽色とでも言うべきか)に溢れる映像美、“可愛らしさ”と“気色悪さ”が絶妙のバランスで同居するそのビジュアルワールドは、「夢」を表現するにはふさわしく、映像美だけでグイグイと引き込む。 益々進化し続けるジャパニメーションのクオリティには、もはや感嘆するしかないだろう。 が、相変わらずというか、なんというか、やはりストーリーそのものに物足りなさを感じる。 複雑に難解に物語を入り込ませ、そのくせ核心となるテーマ性は中途半端で、チープさすら感じてしまう。 目まぐるしいまでに疾走するビジュアルに、ストーリーが追いついていないような。そういう印象を近年のアニメ映画に、よく感じてしまう。 今作の場合、「夢」という普遍的でありながら複雑怪奇な素材を展開しているわけだから、ストーリーの展開自体はもっとシンプルでも良かったかもしれない。 それにしても、この「夢の世界」を原作者・筒井康隆はどう文体化しているのだろう。とても気になるところだ。 まあそれはそれとして、繰り返しになるが、ビジュアルのクオリティの高さは物凄い。めくるめく“混沌”の世界にただ包み込まれることは、それはそれで一興だろう。 [映画館(邦画)] 6点(2007-02-24 14:53:26) |