1. ファイナル・デッドコースター
《ネタバレ》 結局、シリーズ三作を見てしまった訳だけど、内容的にはどれも同じで、自分の感想にもまったく変化が無い(笑)。 要するに、普通のホラーにおける怪物や殺人鬼を、「死神」とか「運命」というものに置き換えただけ。どこから来るか分からない唐突な死の恐怖は、いつ殺人鬼に襲われるか分からない類の恐怖とほとんど変わらない。 結局、「運命」と「必然」と「偶然」なんて、どれも同義語みたいなもんだし、それと同じで、悪魔(死神)と神も同じような存在で、人智を超越したところで生死を操られていては基本的にどうしようもなく、それこそ運命として受け入れるしかない訳で、その感覚は恐怖と言うよりは「諦観」や「畏怖感」に近い。 とにかく、ひたすら不可知的な死に纏わり付かれているだけで、「意外な死に方選手権」にしかなっていない。もう少し展開に何か工夫や意外性が欲しいところ。どっちみち運命から逃れる事は出来ないというオチもワンパターン。 個人的には、やはり神や悪魔よりも、「人間の思惑」が裏にあるほうがはるかに恐ろしいと思ってしまう。 まあ、物が落ちたり、転がったりと、色々な偶然が積み重なって、意外な死に方に繋がっていく様は「ピタゴラ装置」みたいでちょっと面白かった(笑)。 [DVD(吹替)] 5点(2007-07-07 13:50:42)(良:2票) |
2. ファイナル・プロジェクト
《ネタバレ》 大仰なだけで陳腐な「核兵器」絡みのストーリー、国家規模の重大な事件なのに、コメディっぽいお茶らけたノリのおかげで、ご都合主義ばかりが目に付く下手な演出と緊張感に欠けたダラダラとした展開、そしてキレの無いアクションと、ジャッキー映画なのに褒める部分が見当たらない。 序盤の雪山をスノーボードで逃げるシーンはスピード感が無いし、人殺しとの「誤解」を受けたまま長々と見せられるカンフーアクションにも爽快感など感じられるはずがない。特に後半の水中でのスローな殴り合いには呆れ果てた。まさにドリフのコントレベル。スピード感が売りのカンフーアクションの良さを殺すだけで何のプラス効果も無い、まさに無意味な演出(いや、やってもいいけど、このシーンもダラダラと長すぎる)。 ラストも逃げるクルーザーに車で突っ込んで終わりと言う、これまたどこかで何度も見ているご都合主義的でありがちなオチ。 [地上波(吹替)] 3点(2007-04-07 04:41:41)(良:1票) |
3. ファイヤーウォール
《ネタバレ》 良くも悪くも分かりやすい、実にハリウッドらしい誘拐サスペンス。確かに突っ込みどころやご都合主義は多々あれど、リアリティより娯楽性を優先した結果なので、その辺を理解すれば許容できない程じゃない。 「家族のためとは言え、人を殺したり銀行のシステムに侵入するのが許せない」という意見も分かるけど、殺したのは犯人だけだし、あの状況なら犯人の言いなりになるのも仕方ないでしょ。むしろ犯人を殺さずに捕まえて警察に突き出すなんて優等生的なラストじゃないだけマシ。ちゃんと金も取り戻したしね。 飼い犬まで助かるハッピーエンドってのも別に悪くはない。確かに「知的な駆け引き」などはほとんど無いので、とても傑作とは言えないが、全体的に緩急の効いたテンポの良い作りのおかげで、ヒマつぶしにはなるレベル。ただあの後、警察や同僚に何て説明したのか、そっちの方が家族を助けるより大変そうだ(笑)。 [DVD(吹替)] 5点(2006-11-05 00:12:32)(良:1票) |
4. フラッド
《ネタバレ》 「面白いか」「つまらないか」で言えば、間違い無くつまらない作品。 単にボートに乗ってドンパチやってるだけで、せっかくの「洪水」という設定をほとんど活かせていないのが致命的。中盤、保安官が悪役に転職すること以外、ストーリー展開にも意外性や起伏が無い。撮影するのは大変だったろうけど、二時間近くもやるには、これではさすがに内容が薄すぎる。 また、アクション演出にしても、よくあるご都合主義の連続で途中で飽き飽きしてくる(ギリギリで助かるに決まっている牢や手摺での時間稼ぎシーンや、殺せる時に殺さないせいで何度も窮地に立たされる主人公たちにウンザリし、そして当たり前のように主人公たちには弾丸が当たらない緊張感ゼロの銃撃戦にウンザリetc.etc)。 案の定、悪役に徹しきれないモーガンフリーマンのキャラも中途半端だし、そもそもミスキャスト。肝心の主人公とヒロインに至っては、見終わった後に彼らがどんな顔だったすら思い出せないくらい印象が無い。おまけに敵キャラもチンケな小物揃いで、悪役としての魅力が無いから、作品として引っ張っているものが「洪水」以外に何も無いという有様。 洪水という舞台設定の手間の割りに、作品の面白さとして還元されていないのが痛い。その手間に免じて+1点しときましょか。 [地上波(吹替)] 4点(2006-11-02 23:06:09) |
5. PROMISE プロミス
《ネタバレ》 序盤の「真の愛を得られない」という約束からして唐突で、何で飢え死にしそうな少女にそんな約束をさせるのか意味不明。 そもそも光明や崑崙が傾城をそこまで愛する理由や過程がまったく描かれていない上に(特に光明)、傾城もそこまで美人じゃないし、単に我侭なだけで、どこにでもいる女にしか見えないから魅力が無い。各登場人物の心理描写も大雑把すぎるから三者三様の恋愛ドラマに説得力が無く薄っぺらい。 「無歓があの時の少年でした」というオチも「だから何なの?」と言うしかない。お前も飢え死にしそうな少女に饅頭を騙し取られたくらいで人間不信になるなよ。笑うところ? ワイヤー&CGまみれのアクションも中途半端。この手の重力無視&慣性無視の不自然な動きは見飽きた。暴れ牛の突進シーンで、早々にしてこの作品に対する期待と興味が失せたが、傾城を凧のように引っ張って連れ出すシーンでようやくバカ映画なんだと気付いた(笑)。 とは言え「バカ映画」と言うほどにはバカに徹した感も無く、基本的に真面目にやってしまっている中途半端さが見ていてもどかしい。「キル・ビル」などが代表例だが、要するに、感動させたいのか笑わせたいのか、どっちつかずになっている作品が個人的に嫌いなのだ。中途半端な恋愛ドラマに時間を使ってないで、やるならもうとことんバカアクションに徹して欲しい。確かに多少はカッコ良いアクションや笑ってしまうシーンもあったが、それもどこまでが計算で、どこからが天然なのか分からない微妙な演出が多い。日本のゲームやアニメの影響を変な風に受けてしまって、肝心のエッセンスを抽出できていない感じ(典型があの暴れ牛のシーン。冒頭から牛にメインキャラを追いかけ回させ、しかもバタバタと四つ足で走らせるなんて珍妙なセンスは日本人には無いなあ…)。 その他、突っ込みどころは数え切れないが、それこそ真面目に突っ込むような作品ではないのだろう。バカ映画と割り切って見れる人や、変種の映画を見たい人ならどうぞ。 [DVD(吹替)] 3点(2006-11-01 20:08:50)(良:1票) |
6. プレデター2
《ネタバレ》 偶然にも「プレデター」→「AVP」→「プレデター2」という流れで鑑賞して来たので、ラストの展開もエイリアンの骨もすんなり享受。 ただ、プレデターが勇敢な戦士であるという、後付け的なキャラ設定が出てくるのは良いとしても、基本的に「強さ」や「勇猛さ」を示すための戦いのはずなのに、全員揃って光学迷彩なんか使ってコソコソ姿を隠して不意打ちしたり、あれだけ強力な武器を使ってるのに、よれよれの中年刑事にやられたりと、正々堂々としているのか姑息なのか、強いのか弱いのかさっぱり分からない。この辺のキャラ設定の曖昧さ、中途半端さが最大の難点であり、敵キャラとしての凄みや魅力に欠けている原因。 アクション面の演出にもセンスが無い。前作でも思った事だけど、すごく科学が進んでいるという設定の割には、彼らが使っている武器も、現在の人類の武器を少し強力にした程度のものなので見ていて意外性や迫力が無い。はっきり言って発想が貧しい。 赤外線しか感知できないという視覚の設定も、人間を対戦可能レベルに引き下げるためのご都合主義でしかないし、そのくせ作中では、その設定を上手く活かした戦いになっていない。 全体のテンポも悪い。ラスト30分辺りからはテンポアップするはずの展開なのに、この作品はダラダラしちゃって、一向に盛り上がっていかない。 とにかくアクション映画として中途半端。良い意味での「ハデさ」や「思い切り」が足りない。この中途半端さが知名度の割りにシリーズ化していかない要因だろう。 [地上波(吹替)] 3点(2006-10-24 02:34:41)(良:1票) |
7. フォーガットン
《ネタバレ》 確かに一歩間違えばコメディ。 前半、壁の落書きを発見する辺りまでは日常と非日常のバランスが絶妙で、今後の展開に期待できたが、中盤、国家安全保障局ってのが出てきた地点で、この作品に対する興味の半分が尽き、そして「宇宙人オチ」が確定してからの数十分は真面目に見る気も失せた。 途中までは、まだ「そう思わせておいて論理的なドンデン返しがあるかも知れない」という希望を持てたが、それも人間がすっ飛んでいくシーンが出てくるまで。 最初は「どうせ国家が非合法な人体実験をしているというオチだろう」と思っていたので、その斜め上をいく「宇宙人による人体実験オチ」という、より陳腐で荒唐無稽な形で落としたのは、ある意味スゴい。今どき、こんなオチを真面目に持って来れるという、図太い神経だけは見習いたい。 それにしても、この手の作品を見て思う事は、やはり「妄想系サスペンスは始まりが良くても、オチが難しい」という事。「ホントに妄想」か「誰かの陰謀」かの二通りのパターンしかやり様が無いんだから、オチへの持って行き方には注意して欲しい。今作は早い段階でネタバラシし過ぎるので、後半息切れし、陳腐な展開に長々と観客を付き合わせてしまう脚本構成の不手際が目立つ。 また監督はミステリー的な謎解きよりも、「親子愛」を主軸にしたかったみたいだけど、主人公の母親だけが記憶を消されないのは、単純に「愛情が強いから」という漠然とした理由以外はっきりせず、他の親たちの子供に対する思いが描かれないので、テーマにも説得力が足りない。 どうせトンデモサスペンスなんだから、いっそのことラストは行方不明になった子供たちとその親が力を合わせて「親子のスーパー愛情パワー」とかで宇宙人を倒すというバカっぽい展開にした方が良かったんじゃない?宇宙人が「な、なんだ、この未知のパワーは!?」とか、「い、いかん、測定装置が振り切っている、このままでは、エネルギーが逆流してしま…、ぐわわわ~~~!」→UFO爆発、みたいなw。 ま、そんな展開だったら10点あげても良かったけど、これじゃあ、前半7点、中盤3点、後半0点。平均で3点あたりが限度かな。 [DVD(吹替)] 3点(2006-10-22 09:58:02) |
8. フライトプラン
《ネタバレ》 無理やご都合主義があるのはサスペンスやミステリーの宿命とは言え、そこを突っ込まれないように工夫するのが、この手の作品の肝じゃないの?優れたミステリーは論理を駆使して出来る限り矛盾が出ないようにするし、幻惑的な謎とロジックのバランスが取れたものになっている。 しかし今作はサスペンスとは言え、単純に楽しむには見過ごせないアラが多すぎる。 飛行機の中という密室空間におけるサスペンス映画である以上、娘がいなくなった事に対する解答は、「主人公の妄想オチ」か「本当に誰かに誘拐された」かの二通りしか無いワケで、安易な妄想オチに逃げないなら、ちゃんとサスペンスミステリーとして破綻の無い脚本を作るべきだろう。 散々言い尽くされてるけど、まず「娘さんを誰も見ていない」という言い分に無理がある。他の乗務員にしろ客にしろ、誰かが娘さんを見ていたと証言すれば、そのままなし崩し的に計画が破綻する可能性が高い。この計画にとっても、また作品の質にとっても、一番重要かつ難しいポイントのはずなのに、「たまたま誰も見てなかった」という理由であっさり流してしまえる監督と脚本家の厚顔無恥さに憤りを覚える。 他にも、どうして「旦那が死んだらニューヨークに埋葬しに行く」と分かったのか、「旦那の棺の暗証番号をどうやって知るつもりだったのか」なども説明されていない。向かいの部屋から覗いていたという二人組みの存在も意味不明。 娘のためならどっちがテロリストか分からない行動を取りまくったり、散々疑ったアラブ人に謝罪をしないという、明らかに人種差別の感覚を持っている国民だから出来る非常識なラストなど、いかにも個人主義国家アメリカらしい身勝手と傲慢に満ちた作品。 [DVD(字幕)] 2点(2006-10-06 13:51:41) |
9. フォロウィング
《ネタバレ》 まさに「メメント」の原型。 低予算サスペンスとして初見ならそこそこ楽しめるけど、このやり方は微妙。ルール違反とまでは言わないけど、あまり褒められたやり方とは言えない。 最大のネックは時間軸をバラしてある事が、「観客に対する目くらまし」にしかなっておらず、ストーリー展開上の必然性や関連性が無い点。その場さえ謎めかせれば良いというものでもないと思う。 「メメント」は記憶を維持できない事と、時間が混交している事が、ストーリーやテーマとも有機的に関連していたが、今作の場合は単に脚本の弱さを誤魔化すためにしか見えない。 基本となるストーリーはミステリーやサスペンスとしてはよくある「裏切りパターン」で、特に目新しさは無いし、時間軸上に沿って見たら、謎やどんでん返しは何も機能しなくなるはず。また白黒映像でなくてはならない積極的な理由も見当たらなかった。 やはりミステリーやサスペンスは小手先の誤魔化しではなく、純粋に脚本で勝負して欲しいところ。 この作品から「メメント」というオリジナリティのある作品に昇華させた点は評価。 [DVD(字幕)] 5点(2006-09-27 01:37:52)(良:1票) |
10. ブラック・ドッグ
《ネタバレ》 いかにもアメリカ映画っぽい大味な脚本で、突っ込みどころやご都合主義は多いけど、あまり気にならないのは不思議。 悪役以外、登場キャラも全員憎めないし、基本的にハッピーエンドだから気持ち良く見終われる。 ただ、ラストでレッドが早速脱走してくるというプチどんでん返しは完全に蛇足。どうやって逃げてきたんだ。と言うか逃がすなよw。 それとタイトルの「ブラックドッグ」が内容とほとんど無関係というのもお粗末。ストーリーの重要なポイントに絡ませる事は出来たはずだから、その辺に拘らない(拘れない?)監督のセンスの無さが、この作品全体を安っぽくしている要因かと思う。 まあ、さすがに二度は見れないけど、何とか暇つぶし程度にはなるレベル。 [地上波(吹替)] 4点(2006-08-29 16:59:07) |
11. フェイス/オフ
《ネタバレ》 本来は深いテーマ性を含んだシナリオのはずなのに、結局、ジョン・ウーテイスト満載の派手なだけの単純なドンパチアクションを見せるだけで終わっている。 個人的には主役のふたりが違う人生を手にした事で、色々と性格や価値観に変化が起こり、お互いの立場に葛藤するというような人間ドラマが見たかった。悪人であるトロイがアーチャーの家族と過ごす事で、少しづつ人間味を取り戻し、「こいつらはオレの本当の家族じゃないのに、何を本気で心配しちまってんだ?」とか、逆にアーチャーは悪の誘惑に負けてしまいそうになる、とか。 科学公証や時代設定も中途半端。現代という舞台であれだけあり得ない整形手術を施すなら、いっその事、時代設定を近未来にして、「人格」自体を移し変えるとかいう設定にすればもっと素直に見れたはず。単に「外科的手術で顔を取り変えた」というだけでは、悪人が善人になったり、善人が悪人になったりといった、「性格に変化が起こる」という展開になり得ない。 また最終的にどうやってまとめるのかと思っていたら、奥さんの証言だけであっさり解決というあっけなさ。ドンパチアクションに偏重しすぎ。 鏡を挟んで向き合うというシーンが象徴するように、お互いの生き様に向かい合わせられる事で生じる苦い葛藤を含んだ人間ドラマをこそ見たかった。 [DVD(字幕)] 5点(2006-08-09 23:00:50)(良:1票) |
12. フリーズ・フレーム
《ネタバレ》 一見、複雑な「妄想系サスペンス」かと思わせて、実際はかなり単純な内容。 中盤まではまだ事件が主人公の妄想なのか、それとも真犯人が別にいるのかという部分が判然としないので興味を維持して見ていられるが、ラスト20分辺りの展開から急激に失速し始める。 結局、「カメラで撮影してたから何とか冤罪が晴れた」というだけの内容にしかなっておらず、終わって始めて「謎」や「伏線」と呼べるものがほとんど何も出て来なかった作品だと分かるw。 この手の作品にしては珍しく、「主人公が本当に何もやっていなかった」というオチだが、問題はそれでサスペンスとして面白くなっていないコト。要するにカメラで撮影している以外に、主人公に謎を解かせたりするような知的な展開がまったく無いからだろう。 それにメインの謎の真相もショボすぎ。 あれだけ重要視しているビデオカメラの保管庫にあっさり侵入されていたりするというのは、ちょっとご都合主義的すぎるでしょ。 「冤罪防止のためにカメラで自分を撮影し続ける」というアイデアは良かったのに、話の持って行き方や演出の仕方を間違えている感じ。所謂サスペンスミステリーとしての「謎解き」を中心軸に据え、「いったい何が真実なのか」というテーマを描くために上手く伏線を構築する事が出来ていれば断然面白くなったはずなのに残念。 前半8点、後半2点で、平均5点献上。 [DVD(字幕)] 5点(2006-07-24 23:37:46) |
13. 5IVE[ファイブ]
《ネタバレ》 エレベーターに閉じ込められた人間たちの密室劇を描く、良くも悪くも正統派の低予算サスペンス。 ただし人間ドラマのための人物描写は必要最低限のもので、取って付けた程度という印象は拭えない。絶望的な密室内での出産(=希望の象徴)といった展開もちょっとベタすぎる(あり得ないくらいの安産だしw)。 「5IVE」というタイトルも、「生まれる赤ちゃん含めて5人」という内容に合致してはいるが、これまたストレートすぎて「だから何?」という感じ。 これと言った謎解き要素も、意外性も、突っ込みどころも無い平凡な作りを「物足りない」と取るか、「シンプルにまとめた」と取るかは見る人次第かな。個人的にはもう少しヒネリがあっても良かったと思う。 決して駄作ではないけど、低予算だからこそ出来る冒険、効かせられるスパイスが欲しかった。 PS.最初のビデオ撮影のシーンが伏線で、エレベーター内の彼が幽霊オチかと思ってた。救急隊員が扉を開けたら彼女しかいないとかw [DVD(字幕)] 4点(2006-07-24 01:56:23)(良:1票) |
14. ブラザーズ・グリム
《ネタバレ》 一言で言えば「中途半端」。 見た後でテリー・ギリアム監督と知って納得。もちろん監督なりの狙いはあるのだろうけど、個人的にこの監督のセンスとはちょっと肌が合わない。 グリム童話を現代の撮影技術で再現した真面目な作品かと思いきや、ファンタジー、コメディ、アクションの要素を中途半端に足し合わせたジャンル不詳の中途半端な作品だった。基本的にグリム兄弟や童話を扱いながら、出来上がった作品から「素材の必然性」がほとんど感じられないのが致命的。 使用される小道具や衣装などはそれなりに凝っているが、森のシーンなどは「いかにもセット撮影」という人工的な印象で、セット特有の違和感や狭苦しさがあり、森の闇の底知れぬ深さや自然の美しさといった「空気感」をまったく感じない。これなら普通にグリム童話の絵本を読んでいた方がよほど幻想の世界を感じられる。 こんな中途半端な娯楽作品にも成り得ていないファンタジーアクションじゃなくて、史実に基づいてグリム兄弟の生い立ちやグリム童話の成立過程を追ったドキュメンタリータッチの作品にするか、兄弟の詐欺行為やハッタリが現実の事件や伝承などとリンクしていくような、「グリム童話の新解釈」としてリアルに描いてくれたら、もっと面白くなったはず。期待とはまるっきり違っていた。 [DVD(字幕)] 3点(2006-07-05 19:01:36) |
15. フローラ
わずか15秒程度の作品であり、ここに登録されてても良いのかと思うくらいの超短編w。 「肉片の恋」同様、実にシュヴァンクマイエルらしい、シュールレアリスト特有の「死生観」が的確に表現されている。野菜や果物で形作られた「人間」が、為す術も無くあっという間に腐敗していく姿に、時の流れへの諦観と共に、死への渇望が現れている。 まあ、これ以外の解釈はちょっと無理があるし、別に深読みする必要も無いでしょw。 [DVD(字幕)] 7点(2006-01-19 17:51:05) |
16. ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン
《ネタバレ》 内容はFFⅦの戦いから二年後の後日談。当たり前だけど、この作品を楽しむにはゲーム版のFFⅦをプレイしている必要アリ(もっとも興味のあるファンしか見ないと思うけど)。 CGのレベルは凄いの一言。髪の毛や人肌、水、土、鉄、木、革、砂埃など、ちゃんと物の「質感」が表現されている。ここまでやってくれていれば、さすがにオールCGだからと言ってケチをつけるのは躊躇われる(笑)。 ただ、残念ながらストーリーはイマイチ。ファンなら誰でも一度は考えそうな同人誌的な「後日談」であり、かなり練り込み不足と言わざるを得ない。敵キャラの言う事、やる事も、かなり幼稚な印象。 セフィロスが現れるシーンも分かりにくいし、おまけにセフィロスの言う事まで薄っぺらい。あくまでセフィロスは個々人の記憶の中の「過ち」や「理想」の象徴としてのみ描いて、直接出現させるべきではなかったと思う。 アクションも派手なのは良いとしても、ちょっと非現実的過ぎるシーンが多いのは興ざめ(序盤、教会でのティファの戦いが一番リアリティがありカッコ良かった)。バハムートやセフィロスとの戦いは物理法則とか無視しすぎで、アクションシーンに説得力が無い。 もっと、一撃一撃、一言一言に色々な意味で「重み」が欲しい。彼らの戦いは、「殺し合い」ではなく「語り合い」であって欲しい。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-30 22:26:12) |
17. ファイナル・カット(1998年/ドミニク・アンシアーノ監督作)
《ネタバレ》 やり尽くされた感のあるサスペンスやミステリーといったジャンルにおいて、こういうシチュエーションを発想した事は斬新。 ただ、そのアイデアを活かしきれずに終わっているのが非常に残念。 オチ以外は、ひたすら友人たちの盗撮シーンから、お互いの醜い人間性が露呈されていくだけで、ストーリーらしいストーリーが無く、中だるみしているし、その暴露話自体、基本的にラストのオチとは無関係。つまり上映時間の大半を占める盗撮シーンが、オチへの伏線としてまったく機能していないのだ。 犯人の告発だけが目的なら、最後のシーンを警察に見せるだけでいい訳だし、あえて他の友人関係まで破綻させる必要は無い(他の友人たちは殺人に加担してない訳だから)。この辺に意外性が無いのが惜しい。 例えば、犯人が分からないから(肝心の顔がフィルムに映ってなかったとか、複数の人間が関与していそうな疑いがあったから)、こういう盗撮フィルムの上映会を開いて、挙動のおかしい犯人を炙り出す目的があったとかいう展開なら、途中も緊張感が持続しただろうし、犯人探しの面白さも増したはず。 盗撮フィルムに映し出される赤裸々で醜悪な本音を暴露させることで「人間関係の本質」が見えてくるという深いテーマ性を備えていながら、その見せ方が中途半端なのが最大の難点。もったいない。 [ビデオ(吹替)] 5点(2005-09-12 03:08:09) |
18. フロム・ダスク・ティル・ドーン
《ネタバレ》 「バカっぷり」が中途半端。 映画製作における「常識的文法の破壊」を目的としているのは明白なんだから、どうせやるなら、もっと徹底してもらいたい。この作品のように、単に「前半と後半の展開」をまったく変えれば、それで良いってもんじゃないでしょ。「面白く破綻させる」ってのはそんなに簡単な事ではないはず。 実際、前半はただの人質サスペンスがダラダラと一時間近く続くだけだし、後半も単に「前半との繋がりが破綻している」だけであって、独立して見れば、よくある安っぽいB級ホラー。 演出や展開にしても特に見るべき部分は無い(善戦するも一人ひとり襲われる→仲間が吸血鬼(もしくはゾンビ)として復活→愛する者が止めを刺す、みたいなホラーによくあるパターンの繰り返し)。肝心のストーリーに意外性が無いのでは本末転倒。 私がやるなら、あの牧師の親子3人が、実は「吸血鬼ハンター」としての裏家業をやっていたとか、主役の強盗ふたりも、もっとキレた「二重人格」を宿しているとか、一緒に店にいた客の中に、とんでもない殺人技術を持った「連続殺人鬼」が紛れ込んでいたとか、さらに店内に潜入調査に来ていた刑事(実は正体は「狼男」で、途中で変身する)がいたとか、そんな連中による、三つ巴、四つ巴の血みどろの「人外の者どもの饗宴」を描くんだけどなあ。 で、最終的にはみんな揃って吸血鬼かゾンビになっているにも関わらず、また「犯人と人質」という立場で逃走劇を再開するってオチにするけど。どう?こっちの方がはるかにキレてるし、娯楽映画の展開としてもインパクトがあると思うんだけど?日本の漫画なら、これくらいは言われなくてもやるねw。 [映画館(字幕)] 4点(2005-01-17 18:10:04)(良:1票) |
19. フィフス・エレメント
まあ、確かに「良い映画」ではない。陳腐な世界観、科学的考証無視のSF要素、幼稚なストーリー、狙いすぎてハズしまくっているギャグ、テンポの悪い展開etc.etc。生真面目に見ていると褒めるところは見当たらない。 でも、不思議とあまり悪い印象を感じない。何の偶然か必然かは分からないが、たまに理屈を抜きにして、その世界の「空気感」のようなものを感じる作品があるが、まさにそういうタイプ(?)の映画。 PS.人類の存亡よりも、クリス・タッカーの目玉が飛び出さないか心配しつつ見ていた。 5点(2004-11-12 21:12:51)(笑:1票) |
20. ファインディング・ニモ
《ネタバレ》 相変わらずの「ディズニー節」炸裂の内容。この否定的にも肯定的にも取れる点が、毒にも薬にもならない万人受けを狙った最大公約数的な作品しか作れないディズニーアニメの限界を示している。良識派の親が子供に安心して見せられる事と、その作品が人生の寓意に富んだ真の良作である事は、大抵の場合一致しないという、その典型。 出てくる魚たちは基本的に善人(善魚?)ばかりで、断片的なイベント毎に必ず何らかの手助けをしてくれる存在としてしか登場しない。また、どんなに窮地に陥っても適当にどうにかなってしまうご都合主義の連続。もちろん一時的な娯楽性はあるが、そこから何か学ぶものがあるとは思えない。 CGのずば抜けた美麗さも、「表現の本質」からかけ離れつつある危惧を覚える。 4点(2004-09-12 03:07:33)(良:2票) |