1. M3GAN ミーガン
《ネタバレ》 彼女の名は、ミーガン。最新の学習型AIを搭載したアンドロイド型玩具だ。9歳の少女の姿をした彼女は、自ら思考しほぼ自立して行動できるもはや人間とほとんど変わらない存在だった――。交通事故で両親を亡くし哀しみの底に沈んでいた少女ケイティ。一人ぼっちになってしまった彼女は、玩具メーカーに勤める伯母ジェマに引き取られることに。だが、両親を亡くしてしまったショックから、ケイティは誰にも心を開かずいつも一人で過ごしていた。どう接していいのか分からないジェマは、まだ試作段階であったミーガンを家に持ち帰り、ケイティに与えるのだった。自分の傷ついた心に寄り添ってくれるかのようなミーガンの優しい言葉や気遣いに、瞬く間に心を開くケイティ。ご飯を食べる時も遊ぶ時も常に一緒のもはや大の親友同士と言ってもいい関係を築いてゆく2人。だが、まだ誰も知らない。ミーガンは自ら学習し思考する機能により、徐々にその一途な愛情を暴走させてしまうことを……。巷で何かと話題になっていた本作、これが期待通りの面白さで自分は大満足でした!何が良いかって、もちろんミーガンのあまりにキャラ立ちしまくった唯一無二の造形美。おめめぱっちりのふさふさ金髪美少女なのに、どこか人をいや~~~な気持ちにさせるとこなんかもうサイコー!彼女が喋ったり微笑んだりするだけで、なんか物凄く不安になってくる。本物の人形が動いてるかのようなこのぎこちない動きは全部CGなのかなと思ってメイキングを見てみたら、なんと何十体もの様々なミーガンを用意して何人もの人形師が動かしていたとのこと。いやー、この絶妙な気持ち悪さはやはりこんなアナログな手法から来てるんですね。ミーガンが意地悪な男の子の耳を引きちぎったり、隣の嫌がらせおばさんを高圧洗浄機でむちゃくちゃにするシーンは斬新過ぎて「ひえぇぇ」と変な声が出ちゃったし。そしてミーガンの全身が映るシーンは、実際の少女が人形のお面を被って演じていたそうで。ネットで話題となったあのクネクネダンスはこのプロ級のテクを持った子役が実際に踊ったらしいですね。あのシーンはしばらく脳裏に焼きつくくらい強烈なインパクト!いやー、あそこだけでご飯何杯でもいけます。ただ惜しいのは、全体的に演出が大人しめで優等生にすぎること。エンタメなんだからクライマックスはもっとやり過ぎってくらいぶっ飛んだ展開にして欲しかった気がしなくもない。そこいらへんが少々物足りなくもありましたが、それでも充分面白かったです!とにかくミーガンのキャラが強烈過ぎてこれはもう続編決定ですね!以下、本作を観て思い出したどーでいい余談。以前とあるアダルトショップに行ってみたら、奥の方の暗がりのショーケースに一体ウン十万もする超リアルな少女型ラブドールが置いてあって、心底ビックリしました。人形も怖かったけど、これを買う人の方がよっぽど怖いわって後で思った記憶が…(笑)。 [DVD(字幕)] 8点(2024-09-11 13:02:11) |
2. ミッドナイトスワン
《ネタバレ》 都会の片隅で孤独に生きるトランスジェンダーの女性と、親から虐待を受け心を固く閉ざしてしまった女子高生。ひょんなことから共同生活を送ることになったそんな2人の哀切極まりない交流を描いたヒューマン・ドラマ。いやぁ、なんとも辛気臭い映画でしたね、これ。登場人物誰も彼もがほとんど笑わないような根暗な人たちばかりで、しかも画も暗いし音楽も暗いし、ストーリーもひたすら暗い。自分は途中からイヤになっちゃいました。別に自分はそんな辛気臭い映画全部が全部嫌いなわけじゃないのですが、残念ながらこれは自分の嫌いなタイプの辛気臭映画でした。この監督のとにかく観客の心に傷跡を残してやろうという作為があからさま過ぎて、なんかイヤ。主人公のもとに居候に来る、もう一人の主人公である女子高生なんてステレオタイプなメンヘラ女子過ぎて、人間味がまったく感じられません。特にあの友達のクラスメイトとの同性愛的百合要素は必要だったんでしょうか?いかにもおっさんが夢見そうな可憐な女子高生像って感じで自分はげんなり。足のケガでバレエを諦めたその友人がある夫婦の披露宴で自殺?するシーンもいまいち必然性が感じられず、しかもその後どーなったのかほったらかしというのも納得出来ません。いやいや、そこはちゃんと描かないとダメでしょ。終盤、性転換手術を受けた主人公がその後遺症からおむつをして寝たきりになった姿をあそこまで露悪的に映す演出も自分はひたすら嫌悪感しか感じませんでした。挙句、とってつけたような強引なラストシーン。物凄く辛辣な言い方をさせてもらうと、同じく鬱映画として名高い『ダンサーインザダーク』や『ブラックスワン』、その両作が完成度を高めるために敢えて捨てた部分のみを集めて出来上がった作品という印象を持ってしまいました。我ながら少し言い過ぎかもしれませんが、それくらい観たあと嫌な気持ちになったので仕方ありません。ただ草彅剛のトランスジェンダー役はけっこう嵌まっていて、当初こそ違和感があったものの、途中からはもうそーゆー人にしか見えてこなかったのはやはり彼の演技力の賜物。世間の理不尽さに翻弄されながらも必死に生きようとする彼の姿はやはり胸に響くものがある。その真に迫った役作りには素直に感心してしまったので、+1点。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-05-20 09:40:36) |
3. ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
《ネタバレ》 毎度おなじみ不可能ミッション請負人のイーサン・ハントが世界狭しと大活躍する人気シリーズも今回でなんと7作目!いやー、まさかこんなに長寿シリーズになるとは思わなんだですな。ブライアン・デ・パルマが監督を務めた一作目からリアルタイムで観てきた自分としてはなかなか感慨深いものを感じながら今回鑑賞。相変わらず湯水のようにお金を掛けた&トム・クルーズのもはやドMなんじゃないかとも思える身体を張ったアクションは今回も凄かった!特にクライマックスの列車のシーンはベタだけど素直にハラハラドキドキ!なんであんたら、わざわざ列車の上に出て戦うねん(笑)。まぁ相変わらずストーリー自体はよー分かりませんでしたけど。取り敢えず鍵が2本あってそれを敵の手に渡すと世界が大変なことになりまんねんってことだったのかな?そこら辺がよー分からんうえに、さらには敵さんもいまいちキャラ立ちしてないとこがなんだか残念ポイントでした。パート1ということでそこら辺は2作目で明らかになるっぽい?でも、かなり強引なストーリー展開が良くも悪くも売りだった本シリーズで2部作にしたのは失敗だったような気がしなくもない。単純にこれ1本ですっきり終わってほしかったぞー!とはいえ単純にアクションシーンはどれも大迫力だったし、還暦近いのにトム・クルーズは相変わらずカッコ良かったし、エンタメ映画としては充分面白かった!続編も楽しみにしとこ♪ [インターネット(字幕)] 7点(2024-05-01 09:15:49) |
4. 三島由紀夫VS東大全共闘 50年の真実
《ネタバレ》 1969年5月、その日、東京大学駒場キャンパスのある教室は異様な熱気に包まれていた。何故なら、反体制を掲げ時に過激な行動で世間を騒がせた東大全共闘と世界的ベストセラー作家として名声を欲しいままにする三島由紀夫との討論会が行われたからだ。観衆も含め1000人を超える学生グループとたった一人敵地ともいえる教室へとやって来た大作家。片や共産革命を掲げる左翼思想グループ、片や天皇崇拝を主張し国家主義を是とする右翼的作家。真っ向から主義主張の異なる両者の対決は、文字通り命を掛けた激しい激論となった――。本作は、長い間テレビ局の倉庫に眠っていたそんな貴重な映像を再編集して50年目の今日、新たに世間に公表しようと試みた挑戦的ドキュメンタリーだ。中学生だった頃に三島由紀夫の傑作『仮面の告白』を読んで衝撃を受けた自分としては、感慨深いものを感じながらの鑑賞となった。当時の異様な熱気を生々しく写し取った映像は最後まで緊張感が途切れず、両者の激しい舌戦はまるで激しい格闘技を見ているかのような感覚にさせられる。特に、三島由紀夫の生涯のテーマとも言える「世界を変えるのは認識か行動か」という重要な思想が時折垣間見えるのが興味深い。高度な知性によって世界を変革しようという三島氏と文字通り暴力も辞さない行動によって世界を変えようという学生たちとの討論が最後まで噛み合わないのは当然だが、三島がそんな学生たちに理解を持って接していたのが印象的だった。もしかすると氏は、学生たちに深い羨望のようなものを感じていたのではないか。あくまで文筆活動で戦後のぬるま湯に浸かり切ったような日本を変えようとした三島氏が最期、あのような暴挙に出たのはもしかするとこの討論会で学生たちが見せた清々しいまでの若さに影響されたのかもしれない。もちろんかなり穿った見方であることは承知の上だが。ただ、討論会の途中から急に登場する、この時代のひろゆきみたいな芥氏という人物。この人の存在が自分は最後まで不快で仕方なかった。ずっとへらへらしながら自分以外の人間を小馬鹿にしているようなその態度が終始鬱陶しい。幼い娘を抱えながらこの討論会に参加しているのだが、それも「娘の子育てに忙しい自分が、ここで面白そうなことをしているみたいなのでなんとなく参加しただけだし」という言い訳を最初から用意している感じがしてなんとも不愉快。現在の年老いた芥氏にインタビューしているシーンもあるのだが、ここでも変わらず人を小馬鹿にしたような態度で「人ってどれだけ年取っても変わらないものだ」と思わず笑ってしまった。こんな男に最後まで真摯に対応した三島氏の度量の深さには改めて尊敬の念を抱かずにはいられない。反対に、悔恨を感じながらもあの頃の自分たちを肯定せざるを得ない心境で滔々と告白する全共闘の当事者たち。行動を起こしながらも結局世界を変えられなかった彼らには、三島の最後の長編『豊饒の海』にも通じる無常感すら感じる。この貴重な映像を50年後の今日、公開してくれた制作陣に改めて敬意を表したい。 [DVD(邦画)] 8点(2023-02-13 09:13:15) |
5. MINAMATA ミナマタ
《ネタバレ》 水俣病。それは1970年代、高度成長に邁進する日本を震撼させた公害事件。地元経済を牛耳る大企業チッソが長年、水俣の海に垂れ流し続けた水銀が原因だった。発病すると手足の痙攣や言語障害を引き起こし、酷いものになると全身麻痺に陥り、一生介護なしでは生きられなくなる。だが、チッソはこの事実を隠蔽し、被害者に僅かばかりの慰謝料を払い幕引きを図ろうとしていた。そのことを偶然知った、もはや酒浸りで世間から忘れられた写真家ユージン・スミス。家賃を滞納するまでに追い込まれた彼は日本へと取材に訪れる。当初は金のために引き受けた仕事だったが、被害に苦しむ当事者たちの声に耳を傾けるうち彼の心情にもいつしか変化が訪れて……。実際にあった公害事件をテーマに、一人のアメリカ人写真家の目を通して地方都市で苦難の日々を過ごす社会的弱者たちを描いたヒューマン・ドラマ。主人公である酒浸りの落ちぶれた写真家を演じ、制作も務めたのはハリウッドの人気俳優ジョニー・デップ。とにかく彼の嵌まりっぷりが凄い。もはやハリウッドスターとは到底思えないほどの華のなさ!何もかもを諦めたアル中の偏屈男をリアルに演じていて、彼のそのナチュラルな演技?にまず惹き込まれる。そんな彼が金のために訪れた熊本の水俣市。辺境の漁村を覆う重苦しい鬱屈とした空気、夢も希望もなくただ障害を抱えた身内を介護することに追われる人々。スミスがカメラを向けても皆、すぐに顔を隠したがる。まるで自分たちが社会の恥ずべき部分だと言わんばかりに……。対して大企業チッソのお偉方はビルの広い部屋の高級ソファでふんぞり返っている――。水俣病と言えば、かつて読んだ石牟礼道子の『苦海浄土』でその悲惨な現状に衝撃を受けたのだが、ここにはそれが映像として極めて忠実に再現されている。素晴らしいとしか言いようがない。それだけでも今回の映画化には意義があった。のちにアメリカのタイム誌の表紙を飾り世界に衝撃を与えた、一枚の親子の写真には胸が切り裂かれそうになる。それに対するチッソ社の非人道的振る舞い。もはや怒りを通り越して無力感さえ抱いてしまいそうだ。こんなことは二度と起こしてはいけない。ただ、事実を基にしているために仕方ない部分もあると思うのだが、ストーリーに若干分かりづらい部分がチラホラ。事実とは言え、主人公と女性通訳との恋愛も取ってつけたような印象が否めない。ここら辺をもっと丁寧に描いて欲しかった。とは言え、社会の片隅で声にならない悲鳴をあげている人々の想いに耳を澄ませようというこの監督の姿勢。素直に称賛に値する。日本人としては、間違いなく観るべき作品の一つと言っていい。 [DVD(字幕)] 7点(2022-12-22 07:05:17) |
6. Mr.ノーバディ
《ネタバレ》 彼の名は、Mr.ノーバディ(誰でもない男)。毎日同じ時間に起きて同じ時間にゴミを出し、同じ時間にバスに乗って会社に行き、そして仕事を終えると同じ時間に帰宅してご飯を食べ、同じ時間にベッドに入る。そんな単調で平凡な毎日を過ごす、何処にでもいるような普通の男だ。妻との関係もマンネリ気味で長いこと夜の営みもなく、高校生の一人息子からも疎んじられている。そんな鬱屈した毎日を過ごしていたある日、彼の家に強盗が入る。ゴルフクラブで犯人を倒す機会があったのに、彼は反撃を恐れその場で立ち尽くすのみだった。さすがに息子からも失望のまなざしを向けられる彼。だが、そのことが彼の中に眠っていた過去を目覚めさせるのだった――。そう、彼はアメリカ諜報機関の元凄腕工作員だったのだ!!すぐに強盗の住処を割り出した彼はすぐさま反撃に向かう。そればかりか、彼は偶然バスに乗り合わせたロシアンマフィアのボスの息子を半殺しの目に遭わせるのだった。当然、そのことを知ったマフィアのボスが黙っていない。ぶちギレした平凡な親父と凶悪なマフィアとの血で血を洗う抗争の火蓋が今、切って落とされる……。ごく普通の平凡な中年男のそんな怒りの暴走を終始ハイテンションで描いたエンタメ・アクション。と、もう潔いくらいベッタベタな内容なのですが、その分安定して観てられますね。家族から舐められまくりのお父さんも実はキレたら怖いんだぞ!という世の中年オヤジの皆様の願望をものの見事に叶えてくれる内容でございました。本作のちょっと新しい点は、そんな覚醒したぶちギレ親父が完全無双ってわけではなく、マフィアからけっこう反撃を喰らうところ。バスの中のアクションシーンなんかだいぶボコボコにされた後に、ぎりぎりで勝利するとか今までにない感じでした。クライマックスの畳み掛けるようなアクションシーンもけっこうキレがあって大変グッド。ただ、それに対して脚本がイマイチ。ちょっとこの主人公が行き当たりばったり過ぎて僕はそこまで嵌まれませんでした。肝心のロシアンマフィアとのいざこざに巻き込まれるきっかけが、偶然乗り合わせたボスの息子とトラブったからというのは弱い。やぱ過去の因縁やら現役時代のアレコレが絡んできた方が絶対盛り上がると思うんですけどね。ここらへん、もっと頑張ってほしかったです。あと、冒頭の取り調べのシーンで出てきた猫も何処で登場するんだろうと思ったら、まさかの一番最後にちょこっと出てくるだけって、「ここまで引っ張っといてそれかよ!」と思わずずっこけそうになっちゃいました。うーん、アクションシーンとかは普通に良かっただけに、ストーリーの方でももっとカタルシスが欲しかったです。惜しい! [DVD(字幕)] 5点(2022-06-22 08:48:29) |
7. ミナリ
《ネタバレ》 1980年代のアメリカ南部を舞台に、移民としてこの地にやって来た韓国系アメリカ人とその家族の苦難の日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。ほとんどのセリフが韓国語でありながらアカデミー作品賞にノミネートされたということで今回鑑賞してみました。何が起こるわけでもない平凡な日々をただ淡々と描きながら、それでも最後まで見せきるのはこの監督の高度な演出力によるもの。破天荒なお祖母ちゃんや日曜は十字架を背負って町を歩く変わり者の農夫など、なかなか印象的な登場人物がたくさん出てくるのも魅力の一つでしょう。どこまでも夢を追い求める夫と家族の安寧を第一に考える妻の次第に擦れ違ってゆく心理描写も非常に丁寧で惹き込ませます。ただ、自分としてはいまいち嵌まらなかったです、これ。最後まであまりに地味で辛気臭いお話が延々と続き、観終わって僕はちょっとげんなりしちゃいましたわ。「これからも苦難の日々は続いてゆく」というラストも気が滅入るばかりで爽快感なんて欠片もありませんし。一つの作品としてその完成度の高さは認めますけれど、正直自分の好みではありませんでした。 [DVD(字幕)] 6点(2022-01-08 02:33:44) |
8. mid90s ミッドナインティーズ
《ネタバレ》 1990年代に青春の日々を過ごしたとある少年の鬱屈した日常を描いたノスタルジック・ドラマ。率直に言ってちっとも面白くなかったです、これ。起伏も何もない凡庸なお話が最後までダラダラダラダラ。映像も終始小汚いし、ところどころ画面が凄く暗くなるもんだから見辛いことこのうえない。何だかさして仲良くない赤の他人の思い出ホーム・ビデオを無理やり見させられた感が半端なかったです。90年代半ばというからには、当時僕が大ハマりしていたニルヴァーナやナイン・インチ・ネイルズの楽曲が使われてるのかなと思ったら(だって音楽担当はトレント・レズナーですし!)、それもなく最後までただひたすら退屈な時間を過ごしてしまいました。 [DVD(字幕)] 4点(2021-12-28 03:48:32) |
9. 密航者
《ネタバレ》 ここは、火星へと向かうために宇宙を航行する最新鋭の宇宙船。目的は、地球から持ってきた植物の種子を繁殖させ、不毛の地である火星を人が住めるような環境へと変えること。経験豊富な女性船長をはじめとする3人の乗組員は、2年後の火星到着を目指し順調に航行を進めていた。そんな矢先、彼らは予想だにしない事態に直面する。なんと空気濾過設備内に見知らぬ男が忍び込んで意識を失っていたのだ。しかも男のせいで設備に致命的な損傷が起こり、船内の酸素が火星到着まで持たないことが判明するのだった――。船内に積んでいた藻を繁殖させることでなんとか当面の酸素は確保したものの、計算してみると2年後の火星到着まではぎりぎり3人分しかない。意識を取り戻した当の〝密航者〟は、なぜ自分がこの宇宙船内に紛れ込んでいたのか記憶がないという。疑心暗鬼から次第に不穏な空気が漂い始める船内。ミッション遂行のため、仕方なく彼を「排除」しようと目論む船長だったが…。火星へと向かっていた宇宙船内で発見された密航者を巡り、そんな極限の選択を迫られる乗組員たちの葛藤を描いたSFドラマ。若手女優アナ・ケンドリックと実力派女優トニ・コレット共演ということで今回鑑賞してみました。率直に言って、さっぱり面白くなかったです、これ。SFなのにとにかく単調!!この黒人の密航者をどうするのかというただそれだけのお話が最後までダラダラ続き、僕はずっと眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。とにかく無駄なシーンやエピソードがてんこ盛り。普通に削っていけば一時間程度で終わるんじゃないかという薄っぺらいお話を無理やり2時間近くまで引き延ばしたような印象です。致命的なのは、この密航者がどうして宇宙船に忍び込んでいたのか最後まで一切明かさなかったところ。そこが物語として重要な鍵とちゃいますのん!密航者「どうしてこんなとこで寝てたのかさっぱり分からない」、乗務員「あ、そうですか。それは仕方ないですね」ってそんなアホな(笑)。また、宇宙空間を舞台にしているのにほとんど無重力の描写がないのも、恐らく予算の都合なんでしょうけど何とも不自然でした。最後のオチも後味が悪いだけで深みも何もあったもんじゃありません。久しぶりにこんなつまんない映画と出会ってしまいました。映像はちょこっとキレイだったので、ギリ4点!! [インターネット(字幕)] 4点(2021-11-15 06:40:52) |
10. ミッドウェイ(2019)
《ネタバレ》 ミッドウェイの戦い――。太平洋戦争の雌雄を決したこの重要な海鮮……もとい海戦を、史実を基に描いた戦争ドラマ。監督はおバカ映画界のレジェンド、ローランド・エメリッヒ御大。彼お得意の大量の資金を投入して描かれたであろう戦闘描写は抜群の安定感で、そこはぼちぼち楽しめました。前作『インデペンデンス・デイ』最新作のついでに撮ったんじゃないかと思えるくらい、迫力満点(笑)。ただ、相変わらずストーリーの方はイマイチでしたけど。演出が大味と言うか、大雑把と言うか、雑と言うか……。取り敢えず群像劇なんですけど、大量に出てくる登場人物たちがそれぞれ誰で、誰とどういう関係にあるのか極めて分かりづらい!おまけに各々どういった目的に向けてどのように動いているのかもよく分かんないので、最後までストーリーに入り込めませんでした。物語の焦点となる日米の激しい情報戦も緊迫感が一切感じられない。これなら、日米両軍が突然襲撃してきた宇宙人と戦うという展開にしてくれた方がまだ潔かったんじゃないでしょーか。大空を駆けるゼロ戦の雄姿に+1点! [DVD(字幕)] 5点(2021-02-22 04:11:00) |
11. ミッドサマー
《ネタバレ》 不幸な出来事により一夜にして家族全員を失ってしまった女子大生、ダニー。以来精神安定剤が手放せなくなるほど不安定な状態になった彼女は、彼氏や友達に誘われるまま、スウェーデンへと二週間のバカンスに旅立つことに。目的は、北極圏に近い地域で自給自足の生活を続けている閉鎖的なコミューンを訪れるため。長い間外部との接触を絶ち、独自の文化と風習を継承してきたそのコミューンに、ダニーたちは戸惑いながらも徐々に受け入れられてゆくのだった。だが、二日三日と過ごすうちに彼らは拭いようのない違和感を覚え始める。みな同じ民族衣装を着てみな同じような笑顔を見せる住民たち、いたるところにある立ち入り禁止区域、明らかに幻覚作用のある物質を含んだお茶……。いつまでも太陽の沈まない白夜を迎えたこの季節、コミューンでは約90年ぶりとなる祝祭が開かれるという。なしくずし的に祝祭へと参加させられるダニーたち。やがて彼らは知ることになる。このコミューンには恐るべき秘密が隠されていることを――。長編デビュー作となる前作『へレディタリー 継承』で強烈なインパクトを残してくれたアリ・アスター監督待望の新作は、そんなカルト集団たちの恐怖を独自の手法で描いたサスペンス・スリラーでした。いやー、この監督独特のもう身悶えするようなねちっこ~~~い描写は相変わらず健在でしたね。とにかくこの世界を覆う異常なまでの白さはもう見れば見るほど気が狂いそうになりますわ。どこまでも連なる山々や緑あふれる草原、木造の掘っ立て小屋に少女たちが冠る花かんむりと、普通に見ればなんとも牧歌的な世界なのになんなんでしょう、このいやーーーな感じは。「アルプスの少女ハイジ」に完全に喧嘩売ってますね(笑)。このなんとも禍々しい世界観は男性より女性の方が嵌まるんじゃないでしょうか。倒れるまで踊り続ける少女たちやクマの毛皮を着せられた彼氏など、もはやメルヘン・ホラーといった趣きです。最後、全身花で飾られた衣装を身に纏った主人公が満面の笑みで迎えるラストシーンは、あまりにも狂気染みていて鳥肌ものでした。ただ、多少長いかなってのはありましたけど。もう少しコンパクトに出来たような気がしなくもない。それでも僕は充分楽しめました。なかなか癖が強いので観る人を選ぶとは思うんですけど、この監督の作品はこれからも要注目です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-02-18 02:14:55)(良:2票) |
12. ミッドナイト・スカイ
《ネタバレ》 2049年、突如として発生した謎の現象により、地球は急速に滅亡へと向かっていた。逃げ惑う人々はなすすべもなく犠牲となり、三週間後にはほんの一握りの人々を除き、人類はほぼ死に絶えてしまう――。北極圏の小さな天文台に取り残された年老いた科学者もまた、絶望の中に生きていた。過去の思い出だけを慰めに、酒に溺れ、孤独に死を待つだけの日々。そんなある日、彼は宇宙の彼方からとある交信を受ける。なんと何年も前に木星の衛星へと旅立った宇宙船が任務を終え、今から地球へと帰還するというのだ。「今、戻ってきても地球には何もない」。すぐさま宇宙船へとそう知らせようとする老科学者だったがこちらからの交信はまだ向こうには届かず、しかも汚染された空気はもうそこまで迫っていた。ここよりさらに北に向かったところにある観測所に行けば、何とか宇宙船へと知らせることが出来るかもしれない。老科学者は、同じく生き残った口の利けない少女とともに天文台を旅立つのだった。だが、そんな二人に自然の猛威は容赦なく襲い掛かってきて……。終末を迎えつつある絶望的な世界の中で、ただ人類の未来のためだけに苦難の旅を続ける老科学者を描いたサバイバル・SFドラマ。監督・主演を務めるのは、もはやハリウッドの重鎮となったジョージ・クルーニー。という訳で、けっこう期待して今回鑑賞してみました。なんですが、うーん、正直どうなんでしょうね、これ。世界の破滅の原因となった事件を一切描かないというのは明らかに意図したことだとは思うのです。なので本作のテーマが、この生き残った老科学者の内面描写を中心とした哲学的なものになるのは必然。ところがこの肝心の人間ドラマが一向に面白くならない。きっとSF版『老人と海』のような究極の孤独なサバイバルを描きたかったのでしょうけど、それならこの口の利けない少女の存在は明らかに邪魔。かといって、この二人の絆がテーマになるのかと思えば、それも一向に深まっていかない。これではなんとも中途半端と言わざるを得ません。少女の秘密が明らかとなる最後のオチに至っては、なんだか取って付けたようで肩透かし感が半端ありません。と、明らかに欠点ばかりが目に付く本作なのですが、それでも僕はそこまで嫌いではないんですよね、これ。けっこうお金が掛かっているであろう宇宙船内の描写はスタイリッシュで洗練されていて、対照的に吹雪が吹き荒れる地上の描写は何処までも荒々しい。この二つのシーンが交互に展開される中盤はなかなか迫力があって、画的には普通に観ていられました。それだけにもう少しストーリーを頑張って欲しかったです。惜しい! [インターネット(字幕)] 6点(2021-01-06 01:32:39)(良:1票) |
13. 未来を花束にして
《ネタバレ》 20世紀初頭、まだ女性には参政権すら与えられず、男に従って素直に言うことをきいていればいいという価値観がまかり通っていた時代。女性の権利拡大を叫んで、過激な行動に打って出た女性活動家たちの姿を実話を基に描いた社会派ドラマ。時には暴力も辞さない姿勢で男たちに立ち向かった女性たちを演じたのは、キャリー・マリガンやヘレナ・ボナム・カーター、そしてベテランのメリル・ストリープ。そんな新旧人気女優の共演はさすがに華があって大変良かったし、こんな不幸なことがあったのだという歴史的事実を知れたという点でも観て良かったとは思うのですが、いかんせん物語としていまいち面白くないように感じてしまいました。まず、主人公がこの活動にのめり込んでいく過程にそこまでの説得力が感じられないんですよね。仕事や家庭を失い、子供に会うことも出来なくなって、自らも投獄される危険を犯してまで、それでもこの活動を続けようという主人公に僕はどうしても感情移入できませんでした。何故、彼女は自分の人生を懸けてまで、女性たちの権利を主張し続けたのか。その極限の境地に至るまでのドラマをもっと見せるべきだったのではないでしょうか。あと、物語の細かいところに「?」な部分が多かったのもけっこう気になりました。事実を基にしたとは言え、もう少し脚本を練ってほしかった。あと、カメラが最後まで微妙にゆらゆら揺れていたのもちょっと見辛かったです。 [DVD(字幕)] 5点(2020-09-17 23:41:59) |
14. MUTE ミュート(2018)
《ネタバレ》 近未来のベルリンを舞台に、声を失ったバーテンダーが失踪した恋人を追って夜の街を彷徨い歩く姿を描いたハードボイルド・SFアクション。監督は、作品ごとに独自の世界観を築くことにかけては定評のあるダンカン・ジョーンズ。確かに、この『ブレードランナー』を髣髴とさせるダークな世界観はなかなかよく出来ていたと思います。猥雑で退廃的で、でも何処かエネルギッシュなこの近未来な感じはけっこう好みではありました。ただ、いかんせんストーリーがつまんなさすぎです!お話の見せ方が恐ろしく下手糞なせいで、こんな単純なお話なのに最後までずっとあくびが止まんなかったんですけど。こうゆうお話って主人公が失踪した恋人の謎を少しずつ解き明かしてゆくのが醍醐味となるはずなのに、彼が終始何をしているのかよく分かんないんですよ。代わりに謎のチンピラ二人のどうでもいいどんちゃん騒ぎを延々と見せられるというバランスの悪さ。だいたい主人公が口を利けないという設定も全くうまく活かしきれていません。肝心のことの真相も、分かったような分からないようなで到底納得できませんし。しかもそのうえ、後味も最悪という、ね。この監督って前から思っていたんだけど、どうやらビジュアル的な世界観を見せることにしか興味がないんじゃないかな。少なくとも、もう脚本は書くべきじゃないと思います。その創り込まれた世界観(それもオリジナリティがあるとは言い難いですけど)に、+1点! [インターネット(字幕)] 4点(2020-07-24 00:49:53) |
15. Mr.&Mrs.フォックス
《ネタバレ》 マフィアの女ボスのヤバい金をポーカーですっかりスッてしまった詐欺師夫婦。「このままじゃ殺される!」。追い詰められたそんな彼らが思いついた方法。それは、とある映画監督が妻にプレゼントした高価な指輪をこっそりいただいちゃおうというものだった。すぐさま映画監督の家へと乗り込んだ彼らだったが、一癖も二癖もある豪邸の住人達に逆にどんどんと振り回される羽目に……。果たして指輪のゆくえは?おとぼけ詐欺師夫婦が高価な指輪を盗むために悪戦苦闘するする姿をスラップスティックに描いたクライム・コメディ。ユマ・サーマン&ティム・ロスがキャストを務め、そんなダメダメ詐欺師夫婦〝Mr.&Mrs.フォックス〟を演じてるということで今回鑑賞してみました。なんですけど、いやー、これが近年稀に見るダメ映画でしたね。もうほんとつまんない。冒頭からさっぱり笑えないギャグと意味不明な演出が延々と繰り返され、最後まで観るのが拷問に近いくらい辛かったです。どうしてこんなクソ映画にこんな豪華キャストが揃っているのかホント疑問。最初から最後までここまで一ミリたりとも面白くないと、逆にある意味凄い作品なんじゃないかとさえ思っちゃいます(笑)。どうしても自分は時間を無駄にしたいんだ!と言う方以外にはお薦めできません。 [DVD(字幕)] 2点(2020-04-17 06:16:43) |
16. ミスター・ガラス
《ネタバレ》 『アンブレイカブル』『スプリット』に続く、M・ナイト・シャマラン監督による三部作の最終章。はっきり言って別に好きでもなんでもないシリーズなんですけど、何故か前二作を観てしまったので、もう仕方なしに今回鑑賞してみました。まあ前二作よりは良かったとは言え、自分にとってはやはり面白くない。最終章なのに、なんか地味でこじんまりと纏まってしまってるような。最後、オオサカ・ビルに皆が集まって世間が見守る中、三人の一大決戦が始まるのかと思いきや、そうはならず。「え、ここまで引っ張といて、結局行かんのかい!」とずっこけそうになりました。前作に引き続き、ジェームズ・マカヴォイもとても幾つもの人格をちゃんと演じわけてるとは到底思えません。うーん、やはり自分には何が良いのかさっぱり分かりませんでした。 [DVD(字幕)] 4点(2019-08-26 22:43:09) |
17. ミッション:インポッシブル/フォールアウト
《ネタバレ》 久々に映画館で観て大正解でした。ストーリーなんてあってなきが如し、潔いまでに拘ったそのアクションシーンの数々は最後まで出色の出来。エンタメ映画として充分大満足でありました。にしても、トム・クルーズ元気良すぎ! [映画館(字幕)] 8点(2018-09-17 00:25:47) |
18. 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
《ネタバレ》 イタリア版『キックアス』のようなリアルヒーロー誕生もの。物語の重要なカギとなる鋼鉄ジーグとは、イタリアでもかつて放送されていた永井豪原作のロボットヒーローアニメのこと。うーん、ごめんなさい、僕は全然嵌まりませんでした、これ。まず主人公に全く魅力を感じなかったのが残念ポイントその1。だって普通のおっさんですやん。ヒットガールのように主人公をヒーローへと導く天真爛漫ヒロインキャラにも全く魅力を感じなかったのが残念ポイントその2。だってぶちゃいくですやん。脚本のところどころに破綻があるのがその3。イタリアの警察無能すぎるっしょ。そもそも超絶パワーを得るきっかけが安直すぎるのがその4。川に飛び込んだらそこに放射能入りの液体が混ざっていたからって…。じゃあ、その川に飛び込んだ人はみんな超人になれるやん!てか、そこに生息している魚はみんな無敵になって生態系が無茶苦茶になるんじゃない?そして、そんな得体の知れない物質で汚染された魚が海洋へと進出して漁師の網に引っ掛かり人々の食卓へと提供されでもしたら…。主人公、ヒーローになるうんぬんよりもまず保健所へと通報しましょう。と、そこらへんが気になってどうにものめり込めず。映像的にもそんなにセンスを感じませんでした。日本の偉大なる漫画作家、永井豪へのリスペクト姿勢に+1点。 [DVD(字幕)] 4点(2018-09-16 23:25:37) |
19. ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち
《ネタバレ》 何度も何度も繰り返す、第二次大戦下のとある一日の中に暮らす“奇妙なこどもたち”。重い鋼鉄の靴を脱ぐと大空へと何処までも舞い上がってしまう少女、身体の中に蜂を飼う少年、頭の後ろに化け物の口を持つ女の子、服を脱ぐと誰の目にも触れることなく自由に動き廻れる透明少年、自ら手造りした心臓を埋め込み人形や死体を自由に動かすことが出来る青年、念じるだけで植物をみるみるうちに成長させることが出来る女の子、過去の記憶や未来に起こる出来事をスクリーンに投影できる少年、とある事情によりいつもマスクを被った双子、触れるもの全てを焼き尽くしてしまう若い女性――。保護者であるミス・ペレグリンとともに何者にも干渉されず、永遠の平穏の中に生きる彼らの世界へある日、ジェイクという名の青年が迷い込んでくる。謎の死を遂げた祖父の遺言を手掛かりにここまで辿り着いたといういう彼と、瞬く間に仲良くなる子供たち。だが、まるで狙いすましたかのように、平和だと思われていた彼らの世界にも邪悪な影が忍び寄ってくる……。ティム・バートン監督の最新作は、そんないかにも彼らしい奇妙な奇妙なファンタジー作品でした。舞台設定もキャラクター造形ももう抜群の安定感で、彼の信望者である僕は素直に楽しめました。さまざまな異能力を抱えた子供たちもさることながら、彼らの保護者であるミス・ペレグリンを演じたエヴァ・グリーンもなかなかのハマり具合。サミュエル・L・ジャクソンが集めた子供たちの目玉をパクパク食べるところなんて、毒気が効いてて最高でした(笑)。ただ、いかんせん原作ありきの作品なので、ストーリーが全体的に駆け足気味なのが惜しい。特に最後、主人公が世界を駆け巡って子供たちの元へと駆け付けるシーンはもっとじっくり時間をかけて観たかったです。とはいえ、僕は充分楽しめました。7点! [DVD(字幕)] 7点(2018-01-03 19:23:17) |
20. ミラクル・ニール!
《ネタバレ》 宇宙人によってなんでも出来る奇跡の力を与えられた男が巻き起こす騒動を描いたブラック・コメディ。うーん、いまいち笑えなかったかなー。なんか脚本に突っ込みどころが多過ぎて…。 [DVD(字幕)] 5点(2017-04-07 21:16:51) |