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1.  コラテラル 《ネタバレ》 
夢をもっている,ということをよりどころに今日を怠惰に生きる普通の人に対するアンチテーゼとしての殺し屋っていうアイデアを,ヴィンセントとマックスという対照的なキャラを配置することで効果的に見せている佳作.誰がヴィンセントの理屈に,本心から「それは違うぜ」と即座に反論できるのだろうか?みなマックスに肩入れしつつ,でもどこかでじれったい思い,近親憎悪に近い感情を持ち,徐々にヴィンセントに感情移入していくのではないかな.「人として何かが欠けている」が為に,普通の人に比して迫力をもち,何かを成し遂げているように見えるヴィンセント,彼はきっと大事な何かを捨てたからこそ殺し屋として有能になったのであろう.それとは対照的に,都会の片隅でリプレイス可能な仕事を生きるためにこなすマックス.このような2人を飲み込み,一人一人の事情や感情など関係なく時間が過ぎていく大都会の薄ら寒い現実.もう一人の主役は「ロスの夜景」と「野良犬」(コヨーテか?)でしょう.   「仕事」をする時には淡々と殺人をこなすヴィンセントが,マックスを追いかけ始めたとたんに殺気をみなぎらせるあたりは本当に怖い.  ここまで緊張感のあるサスペンスは最近珍しい.演出も最高に渋い,ちょいと辛口の本格サスペンス.最近トム・クルーズの評判はとみに悪いが,もともと私は彼が大好きなのだ.マグノリアでの怪演も素晴らしかったし,MI-IIでも悪役顔が分かり易かったし.評判はあまり芳しくないようだけど,一人で過ごす夜に,ちょいと部屋を暗くしてみるのをお勧めする.
[DVD(字幕)] 8点(2006-05-17 23:15:58)(良:3票)
2.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 
 しかしまた骨太な映画を作ったものです.これをみたとき,「カッコーの巣の上で」を思い出しました.人間の尊厳とは?人が生きる意味とは?いままでたくさんの映画がこのテーマに果敢に挑み,ある者は成功しあるものは敗北しました.このテーマを描くには,いろんな演出や技巧が必要とされる,それにご都合主義的によい者は報われるし,悪者はその報いを受ける,そういうもんだ,と僕も思ってました.  でもこの作品は,人間に尊厳なんてもともとないし,生きること自体に本来意味なんてない.因果応報なんてことはなく,人間ただ生きるという事実があるのみだということを強烈に思い知らされる,そんな映画です.映画としてそれがいいかどうかはわからない,誰がこの映画を見て楽しめるんでしょうかね?  しかしやはり,現実とはこういう悲惨で陰惨でまったく救いもないことが平気で起こるからこそ,尊厳を感じ,生きることに意味を見いだせることがいかに現実の中で輝くのか,貴重であるか噛み締めることができるのでしょう.
[DVD(字幕)] 10点(2005-12-05 22:23:44)
3.  マイノリティ・リポート
見終わった後,フィリップKディックの作品なのね,ということに気がつき納得しました.最後まで先の読めない展開,アクション,すばらしかった.未来は決定されているものではなく,犠牲を払っても選択してゆかなければならないものなのだというメッセージをしっかり受け止めました.軽い気持ちで見始めたのに,しっかり心に残ってます.面白かった.
[DVD(字幕)] 8点(2005-06-29 20:57:11)
4.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
 ついに壮大な叙事詩の輪が閉じました.すべてのピースがぴったりとはまるところに立ち会いました.1,2で感じたお祭り騒ぎの熱狂は消え失せ,ダースベイダーの誕生という悪夢のようなストーリーを完璧に描き切っている最高傑作です.旧3部作が存在する以上予定調和的にストーリーが進むことを運命づけられているのですが,この3は今までのシリーズとは異質の作品です.  3は,今までのSWシリーズでみられる勧善懲悪的なストーリー展開とキャラクターの魅力で押し切る,何年かに一度のお祭り的な楽しみ方から決別した作品です.旧3部作では皇帝は最初から悪でしたし,ダースベイダーも分けもわからず最初から悪者.なぜ良い心が復活したか,復活させることが出来たのか,満足に語られることなく物語は終結します.これで問題なし,そんなことを掘り下げなくても十分傑作で,楽しめた作品でした.Forceの存在,JEDIの精神などは物語の根幹をなす部分ではなかった.  3は,なぜ人間は悪に陥り,他人に害をなす存在になるのかという問いに正面から取り組み,その悪がどのような悲しみをもたらすのかを描き切っています.善悪とはけしてステレオタイプに語られるものばかりではない.幸せを願い人を愛することそのものが大きな悪をなし不幸をもたらすこともある.それゆえ人は皆悪に陥る危険を孕んでおり,善悪,白黒をはっきり色分けし,悪を打ちのめすことで不幸は解決するものではない.  執着,嫉妬,怒り,行き過ぎたそれらの感情が本来望んでいた幸せから大きくその人を引き離してしまう危険が有る,このオリエンタルな発想,思想,主張が旧3部作ではスパイス程度,でも3では物語の根幹をなす大切な思想として語られ,アナキンの苦悩と転落を通じて圧倒的な説得力をもち迫ってきました.人を愛する気持ちがいかにして執着,嫉妬に変化し歪んだ欲望に火をつけ大事な人を苦しめるのか,絶望的な気持ちで見守りました.  従来のSWファンの視点から見ても見所満載,最高の出来映えです.ドゥクゥー伯爵との戦い,皇帝とノーメイクサミュエル・エル・ジャクソンとの戦い,ヨーダ対皇帝!!,オビ・ワンとアナキンとの師弟対決,オビ・ワンの悲痛な叫び「選ばれし者のはずなのに!!」.それに加えて深く心に迫る,人生の真実を語る映画として残る作品でしょう.劇場で鑑賞できたことに感謝します. 
[映画館(字幕)] 10点(2005-06-29 20:46:46)(良:4票)
5.  ラスト サムライ 《ネタバレ》 
うーん。最後のみんなで土下座シーンはよくあるアメリカの誤った日本認識をかなり壮大なスケールであらわしているといえよう。こー言う映画はこーなることは分かっているんだが、どうしても見てしまう。渡辺謙の白熱の演技に3点。
3点(2004-12-24 22:38:08)
6.  ミスティック・リバー 《ネタバレ》 
 この映画の本質は、最後の最後のショーンペンの妻のせりふの中にある。社会的には小さな単位である家族の中の仁義を貫いた夫は、社会的には、またはほかの家族からは憎むべき殺人犯である。しかし妻は夫の行動を支え賞賛する。あなたは王なのだと.強く有らねばならないのだと.だからあなたは正しいことをしたのだと.  この構造,身内の中での正義,幸福の追求が全体の不幸をもたらすという構造がアメリカの底を流れる深く黒い川であり、社会的矛盾を引き起こしていると監督は警告しているのだ。近年のアメリカの横暴はおそらくアメリカにとっては正義なのであろうが、それでいいのかという問いかけではないか。  幸福の追求が、現在の不幸と報復、復讐の連鎖によっていかに阻害されているか実感させられる作品である。サスペンスでもドキュメンタリーでもない、社会派映画はとかく薄っぺらになり勝ちなのに、この映画はアメリカの病理、アメリカの社会の破綻を圧倒的な説得力、ものすごいインパクトで訴えかけている。  かつて自らの出演する映画で悪党を憎みたくさん撃ち殺してきた監督であるが、こんなことを考えていたのかとびっくりです。知性派なんだね。もう一回見るのには気合がいります。
[映画館(字幕)] 10点(2004-12-23 16:49:52)(良:4票)
7.  バグダッド・カフェ 《ネタバレ》 
せつなくてちょっと笑えて,ほっとする佳作.ありがちな設定と先の読める展開なのに,同じゆったりしたテンションで最後まで飽きさせない.微妙なラインを最後まで割らずに綱渡りをわたりきっている,脚本と演出に脱帽です.どうやったらこんな作品が生まれるのだろうか.ヒステリー嫌いな僕としては,なぜあんなにイライラしてヒステリー爆発な女性が穏やかになったのか説明不足の感も有るけど,まあおとぎ話ということなのでしょう. 画の作りかたもすばらしく,給水塔をはしごに上って磨いている着飾った太めの中年女性なんてすばらしく面白いカットが印象的です.
8点(2004-05-04 15:32:18)
8.  処刑人
冒頭の便器落下シーンで「おおっ!!もしかしたらスッゲー監督かも!!」とレザボアドックスを観た時の興奮が体を駆け巡ったが!!ストーリーはめちゃくちゃな,こんなのできちゃいました的な映画でした.でもなんというか,ものすごく勢いがあり,次の作品を期待しちゃいます.皆さんいっているように,デフォーはすごすぎ.「火を噴くような銃撃戦!!」叫んで泣きながらもうどうしようもなくなって天に向かってピストルうつシーンは忘れられません.
8点(2004-01-05 00:58:21)
9.  マトリックス レボリューションズ 《ネタバレ》 
とにかく2で果てしなく広げた風呂敷をきれいにたたんでくれました,シリーズが終わってしまって残念.ミフネが出てきた瞬間,「あ,この人きっと絶叫しながら弾うちまくって玉砕する役割ね」とばれてしまうような既視感が全編を覆います.個人的にはツインズとセラフのバトルを期待していたんですが....このおいしいカードをなんで使ってくれなかったの??監督!!
7点(2004-01-05 00:32:37)
10.  マトリックス リローデッド 《ネタバレ》 
アクション,ストーリー,音楽,笑わせるところすべててんこもりで,娯楽映画としてこれ以上望めないほどの超大作だと見終わったときに確信したんですが,一般の評価は低くて拍子抜けです.「かっこいい」見栄えを追求する姿勢が一作目にもましてさらに突き詰められていて,最高!!ツインズとモーフィアスのバトル,高速でのカーチェイス,日本刀を持って仁王立ちのモーフィアスなどなど見所満載です.回廊での戦闘シーンなんか,壁を横に走っているやつがいたりして,絵的に満足できるシーンがてんこもりでした.「シルクでケツを拭くようだ」等流麗な台詞回しも健在!!この映画のもう一つの魅力は信じているときのモーフィアスの強さと,信念が崩れ去ったときのモーフィアスの弱さでしょう.とにかく登場人物のキャラ立ちがすごくて,脇役が主役の映画が何本も撮れそうです.いったいどうやってここまで広げた風呂敷をとじるんだろーかという心配が湧き出てきましたが,3できっちり閉じてくれます.観るべきでしょう!!迷わず!!
10点(2004-01-05 00:25:28)
11.  U-571
なんていうか,この手の「実際あったシチュエーションを演出して映画にする」のはどうなのかと.やっぱりすっごくアメリカ側に都合良く展開するし.ま,いつものことなんですが.戦争を題材にした娯楽映画は僕には受け入れがたいなーと再確認させられた.
4点(2004-01-05 00:09:24)
12.  マーズ・アタック!
これには笑った!!豪華キャストはあっけなく死んでいくし,トムジョーンズなんて油臭いキャラを油臭く使っているし.最後は動物たちと太陽の明かりの下で高らかに自分の曲を歌い上げる!!常人にはなかなか作れない映画を見せてもらったと満足度は高いです.お金使ってむちゃくちゃやってるのを楽しむ映画です.
8点(2004-01-04 23:56:33)
13.  エンゼル・ハート
悪魔に魂を売ると言うことがどういうことなのか,その恐ろしさが伝わってきた....こえ~!!「お前の魂は私のものだ!!」ちびりそうでした....
9点(2003-10-06 19:20:37)
14.  12人の優しい日本人
脚本でここまで見せられるという佳作.ただ...元ネタがある映画の場合,元の作品を凌駕していないと存在価値がちょっと薄くなってしまう.緊張感や話のどんでん返しはもと作品の方が残念ながらうえだと思う.ただ日本人気質が新しい要素として盛り込まれているので,7点.
7点(2003-09-01 17:11:46)
15.  用心棒
仲代達也かっこよすぎ!!最後まで緊張感が途切れない名作です。「刺身にしてやる!!」エンターテイメント映画の最高峰ではないでしょうか。
10点(2003-06-21 12:38:17)
16.  スタンド・バイ・ミー
少年の日を懐かしく思い出し失われた情景にノスタルジアを感じ,さらに「正しくあろう」とし弁護士になった少年は無法者に刺し殺されるという現実を突きつけられる.のめり込むことが出来ればきっといい映画でしょう.でもすでに十分ひねくれてしまった僕としては斜に構えて見てしまいいます.ニューシネマパラダイスの方が,僕的にはしっくりきて切ないです.
6点(2003-06-15 21:45:29)
17.  スーパーマリオ/魔界帝国の女神
イタリアの配管工だからなぁ.マリオは.結構似ていたと思うけど,頭の小さい敵キャラが気持ち悪かったということ意外は何も思いつきません.おもしろくなさ過ぎ.
0点(2003-06-15 21:30:15)(笑:1票)
18.  ドリヴン
インデペンデンスデイよりも困ったちゃん度は高いと思われます.痴情のもつれからレーシングカーで町中に逃げ出す若者を追い,スタローンもレーシングカーで出撃,姉ちゃんのスカートをめくるは新聞を風で吹き飛ばすは,最後は道路を逆走するはでやりたい放題!!しかもおとがめなしでレースには普通に出場!!最高です.あちこちに顔を出し説教くさいことを中途半端に語るスタローン.小さなトロフィーなんかもう泣かせて泣かせてかゆくなってきます.最後のレース中の事故シーンも感激です.事故が起こったとたん次々とレースを放棄し,救出に集まるドライバーたち!炎をあげて燃え上がるメタノール!!あり得ません.ギャグ映画です.デモリッションマンでも最高に笑えますが,これはそれ以上です.インデペンデンスデイの時も迷ったんですが,いったいこういうとき何点つければいいのかわかりません.で,3点.
3点(2003-06-14 18:22:34)(笑:1票)
19.  インデペンデンス・デイ
SFとしてはめちゃくちゃです.だからこそ僕と奥さんにとって,大爆笑したいときには欠かせない映画となりました.タコ様宇宙人に逆ギレし「このやろう!!」とタコ殴り,秘密の宇宙人研究基地の出現,そこにいるマッドサイエンティストの素手によるマスクなしの宇宙人解剖手術,アル中のじじいがいきなり公募のジェット戦闘機パイロットになり大活躍,意識がありしゃべれる大統領夫人はなぜか為すすべなしの重傷者で,たっぷりしゃべった後無治療のまま息を引き取るし,だめおしは宇宙人のコンピューターにウイルスを放出するパソコンはなぜかパワーブック!!何にも結線せずにウイルス放出に成功!!アップルトークでIRDAみたいです.宇宙人のパソコンは!!アルマゲドンなんかもすっごく勘違いだったけど,こちらの救いはとにかく笑えることです!!おもしろすぎ!!そのへんのギャグ映画より笑えて最高です.大統領の演説さえなければ(あそこだけなぜかマジなシーンだったので)もっと点はよかったでしょう.いやみではなく,ほんとに笑えます.つくったスタッフはギャグ映画としてつくったに違いないと思います.マーズアタックよりぜったい笑えます.これを本気で観客を感動させようとして作っているのであれば,観客の知能をなめすぎです.でもアメリカでは大ヒットしたんだよなぁ....不思議なもんです.
6点(2003-06-14 18:07:08)(笑:1票)
20.  ダイ・ハード
エンターテイメントとしてこれ以上の完成度を見せる映画は今まで観ていない.白黒時代の黒澤監督が現代にいたらきっとこんな映画を作ったんではないだろうか.悪役側(テロリストではなく実は泥棒というのも気が利いている)の主役の準備の良さ,頭領としてのカリスマ性,機転が利く頭の良さ,冷酷に人を殺す残酷さ,どれをとっても最高の悪役ではないでしょうか.悪役がいいと映画がしまります.この手の映画は悪役,ヒーロー役どちらにしても「俺ならこうするのに」とか「馬鹿じゃないの,もっとこうすればいいだろうに」とか思ってしまうと興ざめなんだけど,どちらも目一杯能力を発揮して,お互い攻撃,反撃の機会を捉え機転を利かせ勇気を振り絞って戦ってます.最初から最後まで映画の世界にすっぽり入ってしまいます.「スピード」とは大違いです.「所詮ハリウッドのアクション映画」だけど,すばらしい完成度!!織田裕二の「ホワイトアウト」はこの映画とプロットが全く同じなのになぜあんなにつまんないのかなー???
10点(2003-06-11 18:34:17)
045.13%
133.85%
222.56%
3810.26%
433.85%
578.97%
667.69%
778.97%
81519.23%
967.69%
101721.79%

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