181. ペイルライダー
《ネタバレ》 イーストウッド好きにはたまらない作品だろう。 何しろ、肉弾戦でも強い、銃を扱わせても速い、15歳の少女には告白され、熟女には熱いキスを受けての親子ドンブリ状態、最後は一人で悪役連をなぎたおし、善良な村人達を救ったヒーローはひとり去っていく・・・のだから。 だけど、私のようなイーストウッドに対して特別な興味を持っていない人間がこの作品を観たら、どうだろう。 監督して製作して主演をはって、やりたい放題。 大体、人間、歳をとればどんな人間でも反射神経は鈍り、早撃ちは無理になるはず。 男が50過ぎて、15歳の少女から告白を受けるなんてことはありえないし、仮にあったとしても、それを男が断るはずはない。 それに多勢に無勢という言葉があるように、いくら強くても多人数を相手に回して勝てるワケがない。 少女がレイプされようとしているその瞬間に助けにくるタイミングは、リアリティを欠く都合よすぎるタイミングで興ざめ。 まあ、それらはともかく、イーストウッドのやりたい放題にどこまで陶酔できるか、これが本作を楽しめるか否かの分かれ目であることだけは間違いない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-05-10 12:14:22) |
182. 追悼のざわめき
《ネタバレ》 大阪、いや日本最強のアングラな街、大阪・釜ヶ崎。通称、「あいりん地区」。 ここを舞台に繰り広げられる、あまりにグロテスクで悲しいドラマ。 久しぶりに覚悟をしてから鑑賞にのぞんだ作品だった。 でも意外と大丈夫だったような、意外とダメージを被ったような、すぐには分からない感じの感触。 ただ、確実に言えることは、嘔吐物だけは生理的にダメだったこと。 口からデロデロ、お口からお口へトロトロ、口からベチャベチャ、いっちょすかーん! キモイ! ラストシーンもお決まりとはいえ、気持ちの悪い後味。 でも、そんなグロいシーンの数々は、時が経てばそのうち忘れてしまうだろう。 そんな中、ずっとトラウマ的映像として残ってしまいそうなのが、かわいい妹を犯し、殺してしまうシーン。 変に美しく撮られているだけに、悲壮感がはちきれんばかりに画面いっぱいに発散されている。 これは単に気持ち悪いとかでは表現できないものがあった。 このシーンによって、心にずっと残ってしまいそうなダメージを被った気がするのである。 [DVD(邦画)] 6点(2009-04-21 19:33:14) |
183. 海と毒薬
《ネタバレ》 1980年代の日本映画で最高傑作と呼び声の高い本作。わくわくしながら鑑賞を始めた。ところが、しょっぱなからグロテスクでリアルなオペシーンが登場。ここで早くも気分が悪くなる。モノクロ映像だが、カラーでも観てみたかった気もする。ただ、陰鬱な雰囲気を醸すにはモノクロ映像が功を奏していたかもしれない。さて、本作の肝は、日本国が実際に行ったとされる生体解剖実験を、世に問題提起する社会派劇としての部分だ。米国人捕虜を実験台に、生きたまま解剖し、日本の医学発展に役立てる。これが生体解剖実験の大儀名文だ。日本に原爆を投下し、大量殺戮を行った米国人ならば、生体解剖の生け贄にはうってつけだという主張。これは現代の感覚からすれば、全くの誤りだろう。しかし、殺し殺されの戦時下においては、あながち無理な理屈ではない。 結局、手段こそ違うが、戦争をしている時点で、人が人の命を奪い去っている事には変わりがないからだ。そもそも、この生体解剖実験が良いとか悪いとかいうよりも、もっと広い視点で見て、戦争そのものが及ぼす、あらゆる方面に与える悪影響というものを考えるべきであろう。戦争が巻き起こすあらゆる問題の一つに、この作品の主題である生体解剖実験というものが含まれているにすぎないのだ。そう考えると、戦争を起こさないということが全てなのだ。戦争さえなければ、生体解剖実験などというおぞましい出来事もなかったであろうに。そう色々考えさせられた本作は、反戦映画として出色の出来というべき内容に仕上がっている。なるほど、1980年代の最高傑作の呼び声とやらは、あながち間違っていないかもしれない。それにしても、岡田真澄の外人役はマイナスポイント以外の何物でもないなぁ。岡田真澄の存在が、この作品の社会派劇としての格調高さを台無しにしてしまっている。それに、医師と看護婦のロマンスのようなサブストーリーも必要なし。半端に娯楽要素を取り入れてしまっているのが残念だ。もっと徹底的に硬派な作りにしてほしかった。 それと忘れてはならないのが成田三樹夫の活躍ぶり!ヤクザ役が多い成田三樹夫だが、こういったインテリ役且つ毒気のあるキャラを演じさせても素晴らしい。成田三樹夫には、もっと沢山の個性的でドスの効いたインテリ役を演じてほしかった。実に惜しい。何しろ、成田三樹夫は実際にも破天荒なインテリであったのだから。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-04-20 00:26:26) |
184. 少林寺武者房
ご都合主義的な剣アクション(どう考えても素手より強いハズだし、もっと深く切れるはず)や、勧善懲悪的なストーリーには、どうも馴染めなかった。 だが、それらはそもそも少林寺映画や西部劇などの根源的な問題点なので、本作で特別に指摘するつもりはない。 本作の最大の問題点は、伏線のまったくない強引なストーリー展開であろう。 特に最後は無理に終わらせすぎ。 衝撃のラストとも取れなくもないが、ちょっと無茶苦茶過ぎるかな。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-17 00:01:30) |
185. さびしんぼう
---愛することはさびしいから、だから私はさびしんぼう--- 失恋が生む寂しさ、それを美しく言葉に現した素敵な言葉だ。 誰もが一度は経験する青春時代の失恋。 失恋の後に残るものは虚しさだけか? いや、違う。 寂しいというオーラに包まれたセピア色の想い出だ。 それは大人になっても、心の奥底に大切にしまわれているのだ。 失恋というものを、ただただ哀しいこととし、心の傷の様に思ってしまっている人には是非観てもらいたい作品だ。 もしかしたら、この作品を観たことがきっかけで、辛いというだけの想い出でしかなかった失恋が、ぐっと味のあるいいものに変わるかもしれない。 ねずみ色だった失恋の記憶が、セピア色に輝く失恋の記憶に。 タン、タン、タヌキの金玉は~♪ か~ぜもないのにブ~ラブラ♪ [ビデオ(邦画)] 7点(2009-04-10 00:09:29) |
186. スピード(1980)
6、7分くらいのショート・アニメーション。 小さい頃、何気なくテレビとかで観ていたような気のする、線で描いた様なアニメ。 確か、そういう感じのCMもあった気がするが。 とにかく、何となく観ているうちに、そのまま終わってしまった感あり。 作品というより、何かの夢を観ている様だった。 [DVD(邦画)] 3点(2009-03-23 21:46:49) |
187. 逆噴射家族
《ネタバレ》 ふぅ~、疲れた。 まずそれが第一。 少しずつ家族が崩壊していく静かな前半は楽しめたものの、崩壊しきった後半は飽き飽きモード。 少しやりすぎ。 工藤夕貴がキャーキャーうざい。 『家族ゲーム』と比較すると、“動”と“静”という感じ。 もちろん本作が“動”だが。 [DVD(邦画)] 7点(2009-03-22 21:08:26)(良:1票) |
188. 1000年刻みの日時計 牧野村物語
監督、小川紳介が山形県は牧野村(マギノ・ムラ)に移住し、執念で取り上げた土着ドキュメンタリーの金字塔。 その尺、実に222分! しかし、しかし、それ以上にヤバイのが、そのつまらなさ。 これほどまでに「映画」というものを苦痛に感じた経験は過去にない。 退屈を超え、もはや辛抱の領域に達していた。 内容としては、「1.稲の収穫の様子をオタクっぽい青年達が熱く語る」「2.村に伝わる伝承や神話を、じいちゃん、ばあちゃんが方言で熱く語る」「3.俳優を起用した意味の分からない時代劇」の3部構成である。 この3つが入れ替わり立ち代りで、222分。 全てつまらないのだが、特に最悪なのが、俳優を起用してまで作り上げた時代劇の様な部分。 極めて悪質に退屈。 結果として、小川紳介が自己満足的に作り上げたドキュメンタリーという内容で、部落の歴史や伝承などに興味を持っている人意外には、決して優しい作りではない。 特に私の様な、現代の東京に生まれ育った者にとっては、どうでもいい話で、そんな話を222分も見せ付けられたのでは堪らない。 映画、いや、ドキュメンタリー映画が嫌いになってしまう危険をも感じた、まさしく日本を代表する金字塔的ドキュメンタリーである。 [映画館(邦画)] 1点(2009-03-14 22:45:18) |
189. ボーイ・ミーツ・ガール
イマジネーションを紡いだ内容で、リンチの処女作「イレイザーヘッド」を想起させる。 この二つの作品が、この二人の監督にとっての処女作という共通点が興味深い。 ただ、主人公の男がどうもいただけない。 まるで村上春樹の小説の主人公のように、青春というものを苦悩や妄想、思い込みで埋め尽くしている。 そのような若造に興味もないし、退屈でしかない。 モノクロの映像は、言われているほど美しくない。 即興演出は、ヌーヴェル・ヴァーグの名作達と比べて面白味がない。 いかにもわざとらしく、ピンボールに遊び呆けるシーンが出てくるが、“青春に彷徨う若者たちの遊び”として、ワザとらしく象徴的に使われているのも、あざとさがあってよろしくない。 というか、作品自体がつまらない、というのが率直な感想。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-03-13 22:08:26) |
190. シャイニング(1980)
キューブリックという名前から期待してしまうと、満足できない内容。 そもそもこういうホラー映画って、リアリティなんて気にしてはいけないのだろうけど、どうも子供だまし的な内容にしらけてしまった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-02 00:32:27) |
191. 火まつり
どう評価していいか悩むが、間違いなく言えることは、「面白くない」ということ。 それに北大路欣也はイモっぽいし、太地喜和子は気色悪いし、他の出演者達もパッとしないし、でとにかく観ていてシンドイ。 それに「神がかり」的な題材を扱った作品なので、そもそもそういったことを信じていない私にとっては、何を目的に観ていいのかさっぱり掴めなかった。 [ビデオ(字幕)] 3点(2009-01-28 20:02:28) |
192. 海辺のポーリーヌ
フランス映画にしては、奇をてらったわけでもなく、難解なわけでもなく、ストレートな作品で観やすい。 しかし、説得力を欠く矛盾したセリフが散見され、その影響でどうも全体的にスッキリしない。 劇中で“完璧な美人”という設定のマリオンは、それほど究極の美人とも思えないのがまた痛いところ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-01-26 00:07:02) |
193. フルメタル・ジャケット
キューブリックの戦争映画としては初期の『突撃』の方が遥かに上。 “デブ”が主演を張る前半部分は楽しいが、彼の豚死によって物語は違った方向へ。 テンションが落ちたところへ、普通の戦争映画に突入するもんだから、観ているこちらとしては、どうも間延びの感がしてくる。 そこがマイナスか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-01-24 18:57:44) |
194. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2
前作同様、うまくできています。 今観たら、楽しめるかどうかは疑問ですが。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-01-21 23:48:50) |
195. バック・トゥ・ザ・フューチャー
平均9点オーバーですか・・・ そこまで楽しいとは思えませんでしたが、いい映画だとは思います。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-01-21 23:48:09) |
196. 利休
《ネタバレ》 尺が長すぎることと、ラストで利休が自刃するまでの演出が大げさ過ぎること、この2つがひっかかって、どうも満足がいかなかった。 ただし、終盤での三國連太郎と山崎努とのガチンコシーンはしびれるほどの緊迫感があった。 ワダエミの衣装は相変わらず、わざとらしい。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-01-21 23:47:26) |
197. プロジェクトA
肩の力を張らずに楽しめるのがいい。 しかし、ジャッキー・チェンって、スタントマンばかりに痛いことやらせてる。 有名な時計台からの落下シーン以外は、痛いことしていない。 いや別にスター本人が痛いことしなきゃいけないなんていう理屈はないが、もう少し痛いことやってくれた方が、迫力が出るのに。 蹴飛ばされて地面に叩きつけられるのは、ことごとくスタントマン。 本人が倒れる瞬間は画面の外で、クッションを敷いているのが明らか。 スターのアクションなんて、こんなもんなのかな。 そう思うと少しがっかりした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-01-04 17:07:27) |
198. ミッシング(1982)
『Z』『戒厳令』『告白』といった、コスタ=ガヴラス初期作品に比べると、かなり手ぬるい内容で、満足とまではいかなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2008-12-27 21:12:30) |
199. 最後の博徒
成田三樹夫を目当てで鑑賞。 雰囲気・キャスト共に立派なヤクザ映画だが、内容が今ひとつ。 何か起りそうで起こらない、みんな物分りが良すぎ、と消化不良の内容。 肝心の成田三樹夫は出番こそ多いものの、その魅力が十分に発揮されていたとは言えず、もう少しテンション高く悪乗りして欲しかった。 豪華キャストの中、一番印象に残ったのは萬屋錦之介。 迫力ある演技と、凍りついたようなシーンが印象的だった。 鶴田浩二は、相変わらず疲れた役回り。 本人自身が疲れているので、こういう役しか晩年はできなかったのだろう。 [DVD(邦画)] 5点(2008-12-20 10:48:58) |
200. ラヴ・ストリームス
ジーナ・ローランズとカサヴェテスの組み合わせにはエネルギッシュで力作が多いが、本作はよろしくない。 長いし、退屈だし、ストーリーが悪い意味で平坦だ。 本作では、ジーナ・ローランズも精彩を欠いていた。 [ビデオ(字幕)] 2点(2008-12-16 19:15:24) |