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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3885
性別 男性
年齢 53歳

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2001.  インビクタス/負けざる者たち
人種の垣根を越え、新生南アフリカ共和国を纏め上げる事に情熱を傾けるマンデラ大統領。人種間のわだかまりを抱えつつも大統領警護という同じ目的に向かって協力する警護官たち。ワールドカップでの勝利を目指しつつ、マンデラという人に思いを致さずにはいられないラグビー主将。さらにはワールドカップが始まり、スタジアムを埋め尽くす人たち、スタジアムの外の人たち、あらゆる人々の間に「絆」が生まれていく。それを象徴するように再三にわたり登場する「握手」のシーン。ってな訳で、多層的に仕組まれ、キモチいいくらい色んな工夫が凝らされた作品な訳でして。でも、題材が記憶にも新しい、95年南ア初出場・初優勝のあの大会。この映画のライバルは、他の映画などではなく、「実際の試合の方が感動的なんじゃないの?」ってこと。実際、映画でラグビーの試合を楽しもうなんて考えちゃうと、そりゃま、ちと物足りない。「ラグビーを楽しむ」映画じゃなくて、「ラグビーをとりまく人々」を楽しむ映画だねこれは。おそらくはラグビーにしか関心の無かった主将ピナールは、マンデラとの交流を通じ、「許し」という事を考えずにはいられない。その一方、ここで描かれるマンデラにとっては、ある種の“計算”の上での「許し」でもある。ただそれは、国をまとめあげるという情熱に基づいた打算であり、その情熱は、彼が休まずに走り続けていることで(警護官が音を上げることで)示される。良心だとか正義だとか、そんなんじゃなくて、あくまで一人の男の「情熱」が、周りを変え、ワールドカップ優勝を呼び、ついには国そのものを変えていく。このエゲツ無さがやっぱりイーストウッド作品、なのかな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-29 22:52:34)(良:1票)
2002.  太陽が知っている
これは確かに、まさしくひと夏の「プール」を舞台にした映画。肌も露わな、官能と隣り合わせの開放的な世界(普段着で露出があまりに多いとドキリとするもんだけど、水着さえ着ていれば、誰しも肌の露出を厭わない)。そのプール付きの別荘において、男女4人が織りなすサスペンス、ってのが本作な訳でして、愛し合う男女と、そこに闖入し二人の関係を微妙に狂わせるオッサンとその娘の存在。プールで展開される、アヤシゲな男女関係の駆け引き、ライバル同士の火花、そして事件……。ただ、もうひとつツカミどころが無いと言いますか、焦燥感や緊張感みたいなものが感じられなくて。そもそも中心軸たるアラン・ドロンとロミー・シュナイダーの関係が、結婚前の男女というより、不倫関係にしか見えない(この異常な仲の良さは、不倫でしかあり得ないよね、ははは…)。という、もともと危うい印象のある二人のところに、いまいちインパクトの薄いオッサンが闖入してきても、だからどうなのよ、という感じ。娘の方もさほど挑発的な印象もなく。なんだか、アラン・ドロン演じる主人公の一人相撲ですなあ。後半、刑事がもうひと押し頑張ってくれると、また別の方向で盛り上がったのだけど。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-10-21 08:18:24)
2003.  ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記
これはシュールだなあ……。行き当たりばったりな展開といい、ハチャメチャな絵ヅラといい、子供向けの娯楽作品とは思えん。悪い夢を見たそのまんまをアニメに焼き直したんじゃないか、とすら思える、ドラえもん異色作。ああ気持ち悪かった。
[DVD(邦画)] 3点(2012-10-18 21:55:55)
2004.  ウエスタン
映画の最初の方、コイツらが作中の主要登場人物かと思って観ていると、全員死亡。次に出てきたこの人たちこそが主要登場人物だろうと思って観ていると、またまた全員死亡。というトンデモないオープニング。やがてホントの主要登場人物たちが揃い、彼らの権謀術数の物語かと思って観ていると、どうもこのヒトたち、権謀術数どころか、何も考えてなさそう(笑)。そしてその物語の行きついた先に待っているクライマックス、そこで明らかになるのは、物語の背景を貫いていた真の力学。それは復讐であるとか友情であるとか、ベタっちゃあベタなんだけど、それをこれほど強烈鮮烈圧倒的に提示した例がありますかねえ。スゴイです。圧倒されます。ブロンソンのタレ目のドアップに、まさかこんなに感動するとは。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-10-17 20:49:29)(良:1票)
2005.  カウボーイ&エイリアン
タイトルと設定のぶっ飛び具合に比べて、まあ何と真っ当な西部劇。開拓史時代のカウボーイが、高度な文明を誇る異星人に太刀打ちできるのか!!とか云うような関心は本作にはあまり無くて(そりゃまあ西部劇の世界に宇宙船が出てくりゃ、それだけで充分ワクワクしますけど)、この程度の宇宙人なら確かにカウボーイでも勝てそう。いや実際、いい勝負なので、バトルにも見ごたえがありますナ。うん、基本的には、かつての西部劇で戦う相手が先住民だったのを、宇宙人に取り換えただけかも知れん。ああ、イイ西部劇を観たな、と納得している自分が居るその一方、何と図々しい企画の映画だと思わんでもなかったり。ハリソン・フォード演じる大佐、息子の無事を確認したその直後にはもう、戦友たるダニエル・クレイグ達の安否を問い、次なる戦いへと身を投じている、これにはもうシビレまくりました。これぞ、ヒーロー。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-10-10 23:28:14)(良:1票)
2006.  ミッション:8ミニッツ 《ネタバレ》 
8分に一回死ぬ。死んでまた生き返り、同じ状況を繰り返す。少しずつ変奏しながら。ここには、「終わらないこと」「終わりが見えないこと」への絶望、焦りがある。しかし実際の世界では実は、死なないどころか、すでに事実上「死んでいた」ということ。終わらない絶望と、すでに終わっている絶望が、交差する。で、ラストでは「終わらないこと」が「希望」として提示され、ちょーっと甘口過ぎるんじゃないですかぁ、とか思いつつも、ある意味意表をつく、夢のあるファンタジーでございました。このせわしない展開の後に、こういう世界が待っている、素敵ではないですか。ちょっと気になったのは、「現実世界」では刻々とタイムリミットが迫っている設定なのに、イマイチ実時間の進行が充分描かれていないのがピンと来ないところでもあるのですが、逆に実時間のカウントダウンをあえて描かないことで、主人公があがき続ける悪夢世界の「終わりの無さ」が印象付けられる訳でして、またその悪夢の連鎖から抜け出て新たな世界へと向うラストも感慨深いものとなる。いやはや、結構ではないですか。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-10-10 22:22:26)
2007.  将軍家光の乱心 激突
痛快娯楽時代劇よ、今ひとたび。ってな感じで、まーとりあえず派手に盛り上げる盛り上げる。ワンカット撮影で俳優自身がスタントをこなしている事をアピールする千葉真一の厳しい演出もあり(ターザンロープの凄さ!)、また時代劇と思えぬ爆破シーンの多用もあり(ちょっと爆発多すぎませんか?)、派手さには事欠きません。しかも時代劇であると同時に西部劇。荒野があり、風が吹き、土煙が舞う。『ワイルドバンチ』のごとく橋が爆破され、『明日に向って撃て!』のごとく、画面が静止する。とまあ、楽しさ満載の映画ではあるのですが…。でも違和感もあり。身を挺してひとりを守り抜くノリは千葉チャンの『里見八犬伝』に近いのかな。でもやってることはもっと悲壮感があって、テロリズム映画『十一人の侍』みたいなところもある。で、どうも登場人物たちのアッケラカンとした感じと、やってることの自爆テロみたいなハチャメチャさが、しっくりこないのです。例えば緒形拳演じる主人公、恨みを持ちつつもそれを表に出さぬ、本来ならもう少し影のある存在だと思うのですが。その影があまり描かれない。ましてや他の連中なんて、何で唐突に自己犠牲的いや自己破壊的な行動に走るのか、さっぱりわからない。自己犠牲も連発すると、こちらもマヒしてきて、「はいはい、で、次は誰が死ぬの?」みたいなことになっちゃう。もう少しドラマに厚みがあってもバチは当たらんでしょう、などと思っちゃうのですが。でも本作、とにかく痛快です。久しぶりに観てまた楽しませていただきました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-10-09 22:34:39)
2008.  宮本武蔵(1973)
スピーディな展開。前半は吉岡一門との死闘が中心に描かれ、後半の最初には、その後の戦いのダイジェスト(宇宙戦艦ヤマト劇場版の中盤みたいな感じで、さすがに端折り過ぎ)、そして後半のメインは小次郎との対決。武蔵映画として、オイシイところは一通り押さえた構成となっております。特に巌流島の対決、クライマックスを飾る晴れやかな対決という描かれ方ではなく、雨の中での薄暗い情念のたぎるような戦いとして描かれているのが注目されます。劇中、何度か登場する、半分水中からの(正直よくワカラン)アングルの映像と、その集大成のような、雨の中の決闘。また本作、宮本武蔵を主人公とした映画というより、武蔵に関わった人々の群像劇みたいな作りになっています。武蔵に関わった人々は皆、不幸になっていく。いや不幸ではなくとも、人生を狂わされていく。いや、狂わされた人もいるけれど(オババ怖過ぎ)、皆が皆、ただ狂わされたとも言えない。クライマックスに向けて彼らが武蔵の元へと吸い寄せられるように集まってくるのが良いですね。運命的でもあり、また自らの力で歩もうとしている姿でもあり。高橋英樹はあくまで看板であって、本作に主人公がいるならば、それはフランキー堺だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-10-09 21:55:44)
2009.  ニッポン無責任野郎
前回の主人公が「タイラ」だったから今回は「ミナモト」だなんて、そんないい加減な、無責任だぞ。いや、無責任なのは作品の趣旨通りでしたね。でもこの続編、特に最初の方では「これは無責任なんじゃなくて、積極的なサギ行為じゃないか」と心配になってくる。いや、これは映画の中なんだから、とアンチモラルを笑い飛ばす無責任な度量こそ、我々に求められるところなんだろうけれど、「心配になる」というのは、主人公の行動そのものより、「これは即席続編の常として、ネタ切れなんじゃないの、脚本が練れてないんじゃないの」という心配。実際、練れてないんじゃないですかね。ところどころスバラシイ迷言で笑わせてくれますけどね。また脚本が練れて無くても相変わらずカメラは踊っていて楽しいですけどね。前作ではもう少し主人公に“挑戦”の姿勢があり、また実際、困難にもぶつかったりしていたのが、今作では、意図も簡単に周囲の人間を手玉にとっちゃう、まるで操り人形。会社をクビになっても「何とかなるさ」と希望を語る訳でもなく、「クビですか、待ってました」みたいな感じ、単なる「ラストのオチに向けた準備」に過ぎない訳で。楽天的なのも、ある一線を越えると、もはや「前向き」とは言えず形骸化、どこか停滞感が出てしまう……。それにしても前作といい今作といい、この主人公をこれだけ見事に堂々と体現する役者は、植木等以外に思いつきませんね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-10-07 06:52:30)(良:1票)
2010.  大いなる決闘 《ネタバレ》 
これは珍作、どこまで真剣なのやら、とにかくヘンテコな西部劇。血が吹き出る描写やスローモーションの多用など、シビアでヘビーな作品を目指している、らしい、のだけど、これがいかにも「なんちゃってペキンパー」な感じで、とってつけた感じが拭えない。脱獄囚ジェームズ・コバーンが、仲間を引き連れ、元保安官チャールトン・ヘストンへの復讐を企む。そして両者の対決へ。という訳ですが。コバーンの悪役ぶりが光る一方で、主人公であるはずのヘストンの影がどうも薄い、というか、グダグダとセリフが多い割に性格付けが薄く、つかみどころがない。ヘストンについて行く助っ人の若造に至っては、どこの馬の骨なんだかさっぱり分からない感じ(大物俳優である父親にあまりに似ているので、その点だけは印象が強いけど)。娘が悪漢ども襲われているのを見て逆上する元保安官に対し、「これはワナだ」と元保安官が飛び出すのを引き留める助っ人の若造。引き留めるのはいいけど、そんなタコ殴りにせんでもいいでしょう。保安官も娘の心配はどこへやら、急に冷静になって若造のことを誉めたりしてるしなあ。で、何をトチ狂ったか、草むらへの放火というよくわからん手段にて、保安官たちの反撃が開始される。いや、炎の中の対決がクライマックスなら、それはそれで良いのだけど、やがて鎮火してしまい、勝負は翌日に持ち越されちゃう。銃撃戦、ヘストンが拳銃を連射し、敵の一人が「6発撃ち尽くしたぞ」とわざわざ判り易くつぶやいた上で飛び出すと、ヘストンは澄ました顔でもう1丁の拳銃を取り出し射殺する。ま、テンポが良いことは否定しませんが(笑)。そしてついにコバーンとヘストンの対決! わざわざヘストンが事前に解説していたセリフ通りの結末に、納得いくような、いかないような。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-10-02 23:51:55)
2011.  モンスター・ホテル 《ネタバレ》 
そりゃま、ドラキュラのおとっつぁんが娘のために命がけで奔走するクライマックス、ホロリと来ますよ。確かにホロリと来たさ。でもね。その奔走の理由が「娘とボーイフレンドを繋ぎ合わせるため」だなんて、ちょーっとオメデタ過ぎないですかねぇ。もし娘が原節子みたいに「ワタシ、お嫁なんか行かないワ」とか言って婚期逃しかけてりゃ心配もするでしょうけど。でもコレ、どこかの誰かさんが「ビビビ婚」とか言ってたレベルじゃないですか。父親って、そんなもんかい? それとも何ですか、今どきのオヤジは、娘の恋愛のために全面協力するんですかね(私には無理です!!!)。と取り乱すくらい違和感のあるオハナシでした。設定に似たところのある『塔の上のラプンツェル』の方が余程ピンと来る。多分この作品、オドロオドロしいモンスターたちを意識的に「いい人」に描こうとし過ぎなんじゃなかろうか。だからちょっと理屈っぽくなっちゃう。それに“モンスター”を中心に持ってくる以上、オドロオドロしさをどう醸し出すかも見せ場のはず、だけど残念ながら、モンスターたちの造形も、これだけの数を出すにしてはもうひとつヒネリが無く、特徴が薄い。そしてオドロオドロしさの代わりに、単純にオゲレツ描写に走ってしまう。発想の豊かさの点でやはり水木しげる先生は偉大だと感じた次第。 ま、でも、ホロリとは来ましたから。大いに笑わせてもらいましたから。手に汗握りましたから。つまり、愉しい作品でしたから。
[映画館(吹替)] 7点(2012-10-02 23:05:15)
2012.  切腹
日本人にとって、切腹というコトを口にするのは、ちょっと微妙な感情、一種の居心地の悪さが伴う訳で、それは、いわば日本を代表する風習のひとつでありながら、自分自身はそれを決行する自信が全くないこと。何かと耳にはする「切腹」という言葉と、その意味する実態が想像を絶することとのギャップ、しかし世が世なら自分もそれをせざるを得なかったかも知れないという恐怖(武士だけの行為ではない。近代でも自らそれを行った例が多々あるとのこと)。あと、世のSMマニアの中には切腹マニアというのもいて、そのテの本や写真集もあるそうで(三島の『憂国』だってその一例だ)、それも居心地の悪さの原因かも知れないけれど(笑)。さて本作。ひとつには物語の構成の妙が我々を釘づけにするんだけど、“切腹”を正面から捉え、しかもそれを痛々しく理不尽に描いているのが、強烈この上無い。切腹ってのは、腹膜まで切ろうとすると非常に苦しいものとなり(腹筋を切り裂くのがまず大変)、浅く切ってすぐ介錯してもらうのが楽で良いらしい(とモットモらしく言ってるのがこれまた居心地悪いんだが)。それを何と、竹光での遂行を迫られる理不尽さ、その苦痛はいかばかりか、画面からヒシヒシと伝わってくる。なのに本作の音楽担当が「たけみつ・とおる」とはこれまた何と理不尽な。それはどうでもよいが。後半、物語は一変、いや、視点が変われば物語も変わるということ。強い立場、迫る立場、追いつめる立場であったはずの人間が、実は追いつめられていってる、というその過程が、別の意味でコワイ。何ものかにとらえられている存在であることには、皆、変わらない。この凄惨なクライマックスは、一種のエンターテインメントでもあるのかも知れないけれど、そこには同時に、秩序が内側から自壊していく恐怖もある。いやむしろ、秩序の虚飾が内側からが崩壊してなお、秩序の外枠だけがガランドウのように残り続けていくことの恐怖なのかも知れない。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-09-29 03:47:41)(良:1票)
2013.  レインディア・ゲーム
映画のストーリーにリアリティが無いと気に食わないヒトなら間違いなく途中で怒り出すタイプの作品。こういう「んなアホな」的なファンタジー路線のミステリ、よく考えれば、いや少し考えれば、いや考えるまでもなく、フランケン師匠と相性がいいハズもないんですね。冒頭に示されるサンタの累々たる死体へ至るクライマックスとか、ダーツによる拷問とか、一種のコケオドシをいかにコケオドシて見せるか。この図々しいバカミステリをいかに強引に図々しく描くか。と来れば、相応にエキセントリックな監督さんの出番が期待される訳ですが。いやいやそうじゃない、これはミステリなんだから、いかに予想を裏切るか。まさかそんな展開とは、まさかそんなオチとは、まさかそんな展開とは。監督がフランケン師匠であるという時点ですでにミスディレクションが始まっている(笑)。レインディア=トナカイ、サンタを運んでいるトナカイとは一体誰なのか、いやそもそもトナカイに運ばれているサンタとは誰なのか。それは実はアナタ自身かも知れない、いや何と監督さん本人かも知れない。とか、まあそこまで珍作扱いしなくとも、このちょっと強引なシーソーゲームを、それなりに手堅くそれなりにハメを外した演出で楽しめば、よろしいのではないでしょうか。強引さこそバカミステリの命。ゲイリー・シニーズはひたすら意固地になり、ベン・アフレックは追いつめられつつもひたすらその挑戦を受け、そして映画は進んでいく。それでよろしい。ま、正直、私も3回目に観てようやくこんなに楽しめるようになりましたが(笑)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2012-09-29 02:50:27)
2014.  ニッポン無責任時代
一言で言えば、「元気な映画」ですよね。「現金な」でも結構ですが(笑)。歌って踊る植木等の活きの良さ、調子良さには観ててつい頬が緩むし、大胆でちょっと雑なカット割りなども、むしろ楽しかったりします。元気で、動きに満ちた映画。この主人公、やってることは“周囲と比較すると”メチャクチャだけど、自分ではうまくいくと信じて、最後まで投げ出すこともなくすべてをやり切ってしまうんだから、別に主人公自身が「無責任」って訳じゃなく、むしろ、こんなヒトが大成功しちゃうこの映画のノリこそが、確信犯的「無責任」という訳なんでしょう。堅苦しい世の中において、「無責任」の楽しさよ。ところがところが、裁量労働・成果主義の現在から見れば、むしろこの主人公ほど優秀な人材はいない、ってなことになりかねない。世の中全員がこんなヒトばかりでは、困るんですが。ホントは、閉塞状況の中にあえぐ現在の我々が、この映画を観て感じ取るべきなのは、「多様性」ということの価値、なのかも知れません……。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-09-23 09:05:07)
2015.  スクリーム3 《ネタバレ》 
3作目ともなるとマンネリ化が懸念されるところ、しかし派手な爆破シーンなども取り入れてみたり、舞台を映画製作現場として作品のメタレベルを引き上げたり。と、結構楽しめた記憶はあったんだけど、えーと犯人誰だっけ。という訳で再見。ミステリって、犯人忘れたら何度でも楽しめるからいいですよね。記憶力が衰えてくると、いいこともあるもんです。喜んでる場合じゃないけど。でまあ本作、順当に行けば、犯人はどう考えても「キャリー・フィッシャー」ですよね。いや、さすがに彼女が犯人ではないことは、私のかすかな記憶が示しているんだけれども、でもこれが模範解答じゃなかろうか。・・・で結局、意外にフツーな犯人で、さすがはスクリーム・シリーズ、しっかりとウラのウラをかいてくれました。しかもこのヒトが真犯人だなんて、1年後くらいにはきれいさっぱり忘れてそうなので、また楽しんで観られそうです。ヨカッタヨカッタ。
[地上波(字幕)] 7点(2012-09-18 21:21:33)(笑:1票) (良:1票)
2016.  アルカトラズからの脱出 《ネタバレ》 
言わずと知れた脱獄映画の決定版。とは言ってもこれ、妙な作品でもあって、基本的に監獄の「外の世界」ってのが無いんですよね。ひたすら「中の世界」で脱獄に取り組む姿が、少ないセリフでもって描かれる。「外の世界」ってのが無いから、主人公はどこからともなく現れ、どこへともなく消え去ってしまって、終わり。脱獄の目的は、脱獄そのものにあり。ほとんど無目的とも言える冷えた情熱が、静かに着々と描かれていく。その姿に、そして時に残酷なまでの冷徹な視線に、シビれちゃうんですけれども。ただ、もう少し感情を交えて描いてもよろしかったのでは、という気もしないでもないですが(「静寂」の持つ不気味さの描写、とか)。あと、爪切り盗んだりスプーン盗んだり、ギリギリの綱渡りのような脱獄手段についての綿密な描写がある一方で、後半は何でもかんでも簡単に手に入れちゃう大味な描写になってしまうのも、ちょっと残念。というか、実際に命がけで脱獄算段を練る脱獄者と、その脱獄手段を空想してみる映画製作者との、想像力の差なのかも知れませんが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-18 20:57:06)(良:1票)
2017.  戦争プロフェッショナル
内戦下のコンゴを舞台に、僻地に取り残された民間人の救出(+ダイヤモンドの回収)に向う傭兵の活躍!ってな映画なんですけれども。全く洗練されていないカオス感たっぷりの作品になってます。救出に向かう手段は機関車、武装した味方の兵士どもを乗せてエンヤコラ、マトモな作戦なんぞまるで無く、戦闘が始まればいきなり消耗戦状態。危機また危機なのは、一種の冒険活劇のテイストを狙ってるんでしょうけれども、それが何だかグチャグチャで、収拾不可能、もはや終末思想的なテイストと言ってもよいのではないかと(笑)。そのカオス状態から一転、すばらしくサワヤカなラストが皆さんをお待ちしておりますので、どうぞご期待ください。まあ何にせよ、男臭くも実にエネルギッシュな作品なのです。
[DVD(字幕)] 8点(2012-09-16 07:42:58)
2018.  デスペラード
実際には物語も無ければ背景も無く、伏線も無い、要するになーんにも無い。そこにあるのはアクション。すべてが刹那的。背景のありそうなモットモらしい、だけど実際には何も説明していないセリフの数々、妙にアッサリ死んじゃって何しに出てきたのか、しかし存在感だけはしっかりと残す、ブシェミ、トレホ、そしてタランティーノ。クライマックスでは主人公が突如3人に増殖し(!)、訳ワカランけどひたすら楽しい(ってか、初めて観た時はまだ『エル・マリアッチ』を観てなかったので「コレ誰やねん」状態だったけど、観た後で本作を観直すと、この世界観に妙に納得してしまう自分がいる)。アクション映画ってのは、アクションシーンがあるからアクション映画なんじゃなくって、この作品のように、映画自体がアクロバティックに(時にクラッシュしながら)突き進んでいくからこその、“アクション”映画。別の呼び方では「バカ映画」とも言いますかね。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2012-09-09 11:19:28)
2019.  コナン・ザ・グレート
ラジー賞候補だろうと何だろうと、シュワは彼の経歴の中において、多分、この作品で一番いい仕事をしてるんじゃないかと思います。ムキムキ度200%、ゴツゴツとした武骨で破壊力満点のアクション。鋼の剣でぶった切る、ハンマーで打ち砕く。切り損ねた剣が岩に当たって飛び散る破片に、大興奮しちゃいます。演技らしい演技をしない(できない)当時のシュワだからこそ可能な世界観が、ここにはありますね。生死紙一重の人生を生き残り、旅を続け、ついに仇を討った彼が佇んでいるその表情、それはまるで、時に動物映画に出てくる動物たちの表情に妙に人生の深みを感じてしまうように、もはや人間の役者には不可能な神秘の表情だと思います、ハイ。ただちょっと残念なのはポールドゥリスの音楽の貧弱さ。仰々しいテーマに見合うだけの書き込みが欲しいところ。 (あとどうでもいいけど先日のBS放送で妖怪オンナとのクダリがカットされてたのも個人的には残念だったナ。もっともそのお陰で子供と楽しく観賞できたけど)
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-09-09 08:39:41)
2020.  ガン・ファイター(1961)
片や札付きの流れ者、片や彼を追う保安官。保安官にとっては個人的に恨みを持つ相手でもあり、しかも同じ人妻を狙う恋敵でもあり。しかし困難を切り抜けていく中で、二人の間には友情らしきものが芽生え、三角関係も無事解消し……と事態が良い方向へ向かうかと思いきや、最後に意外で残酷な展開が待っている。西部劇にこういう題材って、反則ですよ、まったくもう(笑)。という訳で、すべてを自らの力で切り開く男の中の男、といった感じの流れ者カーク・ダグラスが、成すすべも無く運命の渦に飲み込まれていくようなラスト、これはもう何とも言えぬ後味を残します。カーク・ダグラスの曲者ぶりに比べると、やっぱりロック・ハドソンは、クセが無いというか、どこかホモっぽいというか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-04 20:49:40)
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