2061. ホテル・ルワンダ
スピルバーグのようなどうしてここまでと思える殺害描写は無くとも、「金の切れ目が縁の切れ目」を見せつける展開が恐ろしい。白人・黒人、フツ族・ツチ族、ゴキブリからみたら全て同じヒトなのに。ベルギーがルワンダで行ってきた事を描いてもらいたかった。 [インターネット(字幕)] 7点(2015-10-17 16:04:58) |
2062. ミッドナイト・ガイズ
24年前に発症した「アル中」(アル・パチーノ中毒)の私は「ヴェニスの商人」以降パッとしなくて残念に思っていました。「笑点大喜利」の「ホー、やるな、爺さん」の問題ではありませんが、チョイ悪爺さん三人組の一夜限りの大暴れを見せてくれました。シモネタの度が過ぎて苦笑するも女優陣が爽やかで挿入されるエピソードが心地よかった。開襟シャツ「スカーフェイス」、ダンス「セントオブウーマン」、弔辞「訣別の街」、懺悔「ゴッドファーザーⅢ」、ラストシーン「ヒート」若かりしパチーノが浮かんで寂しさを感じました。もう一人のお目当てクリストファー・ウォーケンは着こなしのせいなのか好々爺していて、これまた寂しい思いをしていました。ラストシーンは良かったですね。ビシッと決めた二人に鳥肌が。見せない結末に余韻が残ります。久々の「アル様、素敵!」の作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2015-08-18 04:11:48)(良:1票) |
2063. テナント/恐怖を借りた男
《ネタバレ》 イザベル・アジャーニが狂気に引きずり込まれるのだろうと思いきや、狂気に陥ったのはポランスキー自らだった。ジワリジワリ感は「反撥」「ローズマリーの赤ちゃん」と同様。演じたい願望が叶った喜びがあったのか、病的さ加減は二作を上回る。このような作品を自作自演する奇才・ポランスキーを堪能させてもらえました。 [DVD(字幕)] 7点(2015-08-18 03:16:46) |
2064. スネーキーモンキー/蛇拳
ストーリーは他愛ない。名コンビなのに子弟の絆は感じられない。アクションはいまいち。暇つぶしには好適な一品。 [地上波(吹替)] 4点(2015-07-16 04:05:43) |
2065. 人生劇場 飛車角
《ネタバレ》 初見。描かれる義理と人情。人情が三角関係のメロドラマであったが為に二つを秤にかける切なさがあまり感じられなかった。生き残る健さんしか見た事がなかったので人力車もろとも放り捨てられた最期に仰天。同様に放り捨てられるであろう鶴田浩二の最期を想像させるラストショットに加点。 [DVD(邦画)] 7点(2015-05-06 01:23:24)(良:1票) |
2066. 銃殺(1964・英)
《ネタバレ》 家族への戦死通知。「戦死」の一部始終を観た者としては不条理な組織で果たす義務のやり切れなさに鬱々とさせられます。銃殺隊は義務を果たさなかったのか? あの演出は無理のあるやり過ぎなもので減点です。 [DVD(吹替)] 7点(2015-03-21 01:05:33) |
2067. 情婦
《ネタバレ》 初見、予備知識ゼロ。澱みのない起承転結。緻密さとユーモアと使命感の強さの按配は余人には真似の出来ないワイルダー監督の名人芸。弁護士と看護師の仲良く喧嘩するさまは絶品で心地良さに浸りました。特筆すべきは情夫に尽くすクリスチーネを演ずるマレーネ・ディートリッヒの美しさでこの世にこのような56歳が存在するのか唖然とさせられます。「殺人ではなく処刑だ」との名台詞に辿る展開であの場所にナイフがポンと置かれていた事に-0.1点、端数切捨てで9点の傑作中の傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2014-11-03 14:25:16)(良:1票) |
2068. スタンリーのお弁当箱
男性教師はちょっと考えられない人物で、無理やり憎まれ役をこしらえたように見えました。スタンリーの境遇が解った時に思い返した彼の言動に胸が詰まると共に、クラスメートという掛け替えのない仲間と共に良き人生を歩んでゆくと思わされました。正視出来なかった手づかみ食事シーンに、この世は多様な文化が共存していることを感じさせられました。 [DVD(字幕)] 7点(2014-10-27 23:18:34) |
2069. 合衆国最後の日
核施設でありながら、攻める側守る側双方から漂うチープ感がもどかしい。大統領が美味しいところを皆持っていった。女性が一人も登場しないところに「皇帝のいない八月」とは対極の硬派ぶりを感じた。私もサリンがあの後どうなったのか気になって仕方なかった。 [DVD(字幕)] 6点(2014-10-27 22:47:55) |
2070. 皇帝のいない八月
主人公がテロリストとまでは言わないものの義憤に駆られた憂国の士に見えない。一般客と共に列車での移動に現実味が感じられない。ドラマ性を持たせる為とはいえ三角関係は皆が青臭くて辟易する。馬鹿馬鹿しくなるのを佐分利信、滝沢修、三國連太郎が救ってくれました。怪物と妖怪の勝負、鬼と仏の顔を持つ元憲兵。キラ星の役者陣の中で別格の三人に、存在感というものを考えさせてもらえました。趣がある題名が活かされていれば良かったのですが。 [DVD(邦画)] 6点(2014-10-13 04:04:29) |
2071. 暗殺の詩/知りすぎた男どもは、抹殺せよ
《ネタバレ》 目当てはトランティニャンでしたが、フィリップ・ノワレの前に霞んでしまいました。頑なにデビットを守ろうとし、妻を寝取られても許す姿は私の理解を超えるものでした。彼だけは助かって欲しいとの願いが砕かれる覚悟の面持にやり切れない思いが募ります。冷静に考えると粗の目立つストーリーですが、何とも言えぬ物悲しさに冷静さが奪われる作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2014-10-13 00:12:32) |
2072. 博奕打ち 総長賭博
松田と音吉のあまりの浅はかさにイライラのし通し。こんな輩を相手に一人もがき苦しみながらも筋を貫き通した中井の生き様が「私怨」と呼ばれる事に、当然だと思いつつもうら悲しさも覚えた。鶴田浩二絶品の一作。惜しむらくは金子信雄のヒゲ。なんか、こう、子供相手の駄菓子屋さんのオッチャンに見えて高ぶった感情がその都度盛り下がってしまった。 [DVD(邦画)] 7点(2014-10-07 21:01:30) |
2073. アッシャー家の末裔
冒頭、皆がアッシャー家に恐れ戦いている様子に膨らんだ期待は裏切られた。生身の妻より絵の妻に執着する狂ったロデリック。恐怖や無常感など皆無で、その思わせぶりな表情に、志村けんのバカ殿が思い浮かび笑いがこみあげてくる始末。映像と物語が一体となってこその恐怖である事を実感。呆れ返るだけの作品だった。 [DVD(字幕)] 1点(2014-09-07 14:27:19) |
2074. 善魔
三國連太郎は瑞々しさに目を奪われるものの、早口過ぎて聞き辛いのは閉口しました。知性と義侠心を持ってはいるものの、身勝手で酷薄で意気地なしの本性が透けて見える役どころが十八番の森雅之はオーラ全開。淡島千景と繰り広げる澄まし返った会話は名人芸の域。堪能させてもらいました。引っ切り無しのBGMのくどさが鬱陶しくて堪りませんでした。 [DVD(邦画)] 7点(2014-08-25 00:05:06) |
2075. 鴛鴦歌合戦
予備知識ゼロ。いきなり歌い出したのに面喰い、そういう映画である事に「変なの借りちゃった」と後悔。そのいじらしさに胸がキクンと痛んだお春ちゃんの存在がなければ鑑賞リタイアでした。 [DVD(邦画)] 6点(2014-08-24 17:29:53) |
2076. 王将(1948)
《ネタバレ》 妻との別れの場面が関根に祝いを述べた場である事を考えると感慨がかき消されてしまいました。あっさり名人位を譲った心境も頷けないもので消化不良な作品でした。 [DVD(邦画)] 6点(2014-08-23 20:54:08) |
2077. 大統領の執事の涙
《ネタバレ》 与えられた環境で全力を尽くし職を全うした父。与えられた環境を変える事に心血を注いだ長男。意志を貫いた者同士が最後に分かり合えた事が感慨深い。僅か50年前に繰り広げられた惨劇は目を覆うもの。オバマ大統領就任に夢を形にする偉大さを思わされます。 [DVD(字幕)] 7点(2014-08-23 10:47:41)(良:1票) |
2078. 黄昏(1981)
初見。詩情溢れる湖の景色が脳裏に焼き付く作品です。ペラペラ喋りまくるキャサリン・ヘップバーンは元来苦手ですが今作は抑制されており嫌悪感はありませんでした。ヘンリー・フォンダがポツリポツリと吐く言葉に、老いての衰えは誰にも必ず訪れる事を突き付けられます。父と娘が抱擁を交わす姿に、父への憎しみが消えたのに亡くなるまで一度も抱擁どころか握手することもしなかった悔いが押し寄せてきました。 [映画館(字幕)] 7点(2014-08-03 23:57:27) |
2079. 蜘蛛女のキス
他の房は大人数なのに何故彼等は二人だけで広々と過ごしているのだろう。この疑問が解ける前と後で鑑賞の集中度がガラリと変わりました。しかし、期待には程遠い展開と結末で、男同士の惹かれ合いにこちらが惹かれるものはありませんでした。 [DVD(字幕)] 4点(2014-07-12 00:06:45) |
2080. 狐の呉れた赤ん坊(1945)
寅八の一挙手一投足、一言一句に胸を打たれました。質屋の親爺さんの言葉も胸に染み入るものでした。終戦直後の制約の中でこれほどの作品が作りあげられた事にも深く感動しました。 [DVD(邦画)] 10点(2014-07-04 22:15:19) |