221. ネオン・デーモン
アート系の映画はイコール退屈というイメージがあり避けてきたけど、これは見やすく、気がつけば中盤だったんで、そのまま最後まで見ることに。ラストがキ〇ガイじみてて嫌悪感が生まれたために点数こそ高くないが、それまでは十分に楽しめた。緊張感が保たれていて、退屈させないように作られてるし、妙なノスタルジック(「2001年宇宙の旅」とか、あの時代)や、エロス、そして嫉妬や傲慢といった感情のせめぎ合いが面白い。エル・ファニングは撮影時17歳?だから結構頑張ってる方。キアヌ・リーヴスの無駄遣いは今考えても「?」だが、映画は一見の価値あり。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-01-15 20:32:12) |
222. 不屈の男 アンブロークン
《ネタバレ》 渡邊睦裕については大雑把には知っていた。日本人として恥ずかしいし、捕虜だった方々には申し訳なく思う。この映画を観る前も、観た後も、同じ気持ちだ。で、それはそれとして、映画としてどうだったかと言われれば、残念ながら平均以下かなぁと。自分が日本人だからどうこうではなく、もしドイツの捕虜収容所が舞台だったとしても、やはり同じ感想になる。漂流に長く時間を割き、捕虜になるまで約1時間を要したかと思えば、終戦後のことは「復讐ではなく、ゆるすことが…」とかなんとか、エンドロール前に簡単に文字で説明して終わり。いやいやいや… ペース配分間違ってる。長野五輪時の映像にはぐっとくるものもあったけど、それだけではどうにもならない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-06 23:36:05) |
223. ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
単なるスピンオフではなく「エピソード4」の10分前までを描くということで、終盤、どんどん4の世界に寄っていく再現具合は見事だった。ただ、それまでの物語は面白みに欠けた。というか、イマイチぴんと来なかった。事前に4を観直しておくべきだったかも…と反省。ベイダー卿の出番も必要最低限に留まり、やはり寂しさも感じる。クレニック長官はその穴を埋めるような悪役ではない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-12-27 00:34:42) |
224. 手紙は憶えている
2015年でアウシュビッツの生き残りともなると、復讐する側も、される側も超高齢者。復讐の旅であり、ときどきピンチも訪れるけど、やっぱり「ゆるい」な。悪い意味ではない。むしろいい意味で。どんでん返しもあるけど、私にとってそれはおまけみたいなもので。それよりロードムービーとしての面白さを評価したいと思う。大御所クリストファー・プラマーもさすが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-08 22:44:35) |
225. 火花(2017)
《ネタバレ》 原作未読でNetflix版も未見。まっさらな状態で観たので先の展開は気になった。つまりは、それなりに楽しめてたってことだろうけど、オチはあまり良くなかったなぁ。予告編の「あなたは初めて漫才で泣く」という謳い文句から、笑って泣ける漫才を想像したが、笑わせる気は鼻からゼロ。それでも泣ければまだいいが、実際には白けた空気が流れるだけで、このコンビ、結局なんだったんだろうな~と。物語はさらに続き、徳永は神谷と再会するが、これもまた斜め上。巨乳のおっさんの何が面白いんだと言いながら、そのイメージ映像をわざわざ挟んでくるセンスが理解できない。俳優陣は菅田将暉と2丁拳銃・川谷修士の年齢差がどうしても隠し切れない点を除けば、概ね満足。菅田の熱演と、木村文乃の「こんな人いるいる」感がとくに印象的だ。 [映画館(邦画)] 6点(2017-11-25 02:17:30) |
226. 海賊とよばれた男
多くの方が指摘している通り、ダイジェスト感が凄まじい。私は原作未読だが、映画を観た感じだと戦前、戦中、戦後で三部作にしても決して薄味にはならないだろうと思った。無理やり一本にしたのは失敗だったと言わざるを得ない。映像は見るからにお金がかかっていて、名画の雰囲気が漂っていただけに、なおさら残念。主演・岡田准一も爺さんの役にはいささか苦労した感が見受けられる。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-11-21 00:41:38) |
227. エンド・オブ・トンネル
《ネタバレ》 計画は主人公の頭の中にだけあって、観る側にご丁寧に説明する映画じゃないから、何がしたいんだろう? その行動の意味は?と所々戸惑った。有無を言わさずハラハラドキドキの展開に巻き込んでいく感じかな。それもまた一興だが。しかし、この映画の真骨頂は最後の十数分にあり。いよいよ追いつめられてからの大逆転劇、伏線回収の鮮やかさ。都合が良すぎる部分はあるだろうけど、そこを補って余りある面白さ、パワーがあった。欲を言えば、ガレリトは苦しんで死ぬべき。即死は良くない。ともあれ、掘り出し物に出会えた、濃い2時間だったな~と思っている。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-11-16 18:31:15) |
228. 本能寺ホテル
《ネタバレ》 どういうわけか「本能寺の変」の前日と繋がっているエレベーターに乗ってしまい、信長と出会った主人公。逃げたり、遊んだり、いろいろあって、最終的には歴史を変える決断をし、信長に光秀謀反を伝える…というお話。しかし信長はあえて歴史を変えない判断をするが、この理由がちょっといい話。しかしながら、未来人から得た謀反情報で、秀吉の天下取りをアシストする文を書き、自らの後継者に仕立てるのは、歴史をいじらないとの意志に反するはず。いやいや、倉本繭子自体が今の歴史を作った一部ってことになるのかな? 中国大返しの種明かしになってるのはお洒落ではある…。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-11-12 23:03:27) |
229. 君の名は。(2016)
《ネタバレ》 力作。若干疲れちゃうくらい面白さが詰め込まれている。定評のある新海監督の作画に、笑いあり、驚きあり、感動もあり、という脚本が加われば、鬼に金棒で大衆受けして当然かな。まさか250億稼ぐとは誰一人思わなかっただろうけど。出演者も皆上手く、見やすかった(聞きやすかった)。谷花音なんて天才かと…。お互い、記憶が消え去っても(消えてしまう理由もちゃんとあるんだろうけど、理解はしてない。すみません)もっと深い所で残り続けるモノ。それを運命の出会いとして結ぶ美しさ。気持ちのいいハッピーエンドを見た。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-11-07 21:30:48) |
230. 聖の青春
<原作未読>若くして難病に侵され、余命わずかと告げられれば誰でもショックを受け、つらい日々を過ごすと思う。ただ、それだけでは映画としては弱く、何かしらもう一つは見どころがほしいところ。この映画においては将棋がその役割を担うわけだけど、残念ながら面白味は薄かった。そもそも将棋、囲碁等、頭脳系の競技はその道に通じている人でないとついていけないため、熱戦を表現しようとすると、役者の表情や仕草に頼りっきりになるのがつらいところ。また、あれだけ強い、強い言ってた羽生さんに、知らないうちに追いついてるなど、構成としても首をかしげるところがあり、いささか厳しい。観終えた直後の感想としては5点だけど、役のために実に不健康そうな太り方をした松山ケンイチに敬意を表して6点ということで。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-11-03 21:04:51) |
231. ぼくは明日、昨日のきみとデートする
《ネタバレ》 <原作未読>2時間あっという間で面白かったけど、正直こんがらがっている。雰囲気良かったし、感動的な感じもするけど、全部飲み込めた感が未だ無くて、7点どまりになってしまった。内容は言ってしまえばSF。大して説得力もなく、荒唐無稽だけど、彼にとっての最初は、彼女にとっての最後を意味し、映画冒頭にクライマックスが訪れていたなんて、なかなか面白い。25歳と15歳が恋に落ちるわけにはいかないし、30歳と10歳じゃほぼ親子。一生の中で、たった一度だけ恋人でいられる30日間のために、お互いが運命とやらを生きていくんだな。難しいことはよく分かんないけど、小松菜奈がとても魅力的に撮られていたし、舞台となった京都の街並みも美しく、なんとなくいい映画だったな~とは思ってる。あとエンディング曲も良かった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-10-25 00:01:44) |
232. 青空エール
《ネタバレ》 <原作未読>ベタもここまで突き抜けると逆に新鮮な気がしないでもない。努力は報われるし、奇跡も起きる。水島をはじめとした仲間の描き方にしたってそう。つまるところ、青春やってんなぁと。そういう中で志田未来演じる2個上の優しい先輩からの言葉だけは心底怖かった。本音であることも否定はしてないし。ひゃああああ。土屋太鳳はもっと活発で明るい役がハマると思うんで、ややミスキャストだろうか。上野樹里が指揮者やってるのは、のだめ世代にはちょっと思うところはある。あぁ、時は流れていく…。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-10-08 23:07:26) |
233. 怒り
<原作未読>信じていたから許せない、信じられなかったから許せない。怒りがどのようにして生まれ、どこへ向かうのか。東京、千葉、沖縄、それぞれ違う余韻を残すが、救いもあって少々ほっとした。あぁ、家族になっていくんだなと。あのシーンは温かさが伝わってきて、レイプ以降続いたどんより気分が少しだけ晴れた。豪華キャストも見どころの一つ。豪華なだけじゃなく、各々のこの映画にかける思いの強さも感じて、賞レースに多数関わったのも納得できた。ちなみに広瀬すずはオファーではなく、どんな役か知った上でオーディションを受け、役を勝ち取ったとのこと。肝が据わってる。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-09-24 20:14:55) |
234. シンプル・プラン
恐怖。見つけてしまったが最後。ネコババすれば犯罪、しなければ後悔し続ける。大金を手にした後を思い描くと、今の暮らしが途端に嫌になるのが恐ろしいところ。計画の失敗を阻むものは、新たに罪を犯してでも排除する…。良心の呵責と欲の間で揺れ動き、やがて破滅へと向かっていく姿は滑稽であり、不快であり、恐ろしく、また人間臭い。こういう映画の採点は難しいなぁ…6点で。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-09-18 21:04:31)(良:2票) |
235. シング・ストリート 未来へのうた
80'sミュージックの力を借りて懐かしさに浸らせる映画かと思いきや(それでもいいんだけど)ちゃんとオリジナルソングで勝負してて立派だな~と思う。しかもいい曲揃い。初めて聴く曲なのに自然とリズムを刻んでいた。もしこの部分がダサダサだったら、いくらストーリーで補っても、映画としては致命的なだけに、センスの勝利といったところ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-09-18 21:02:40) |
236. 三度目の殺人
撮影に入ってからも脚本の変更が相次ぎ、監督自身が迷走したらしいと聞いて、期待よりも不安が上回る状態で観に行ったが、いやいや、よく出来ていた。ベネチア映画祭コンペティション部門出品作だが、それに恥じるものではない。弁護士に限らず裁判に携わる者が感じるモヤモヤを疑似体験するみたいな。日本も裁判員制度へ移行したわけだからもはや他人事ではないなと。また、この着地点に至るまでも単純に面白い。これは多分、俳優・役所広司の凄さ。被害者への憎悪を吐き出す回の接見なんて鳥肌もので、共演者の一人、満島真之介はこの瞬間を「体に電気が走ったよう」と表現している。2時間釘付けにされ、その後もしばらく頭から離れない。是枝監督の新しいジャンルへの挑戦は成功に終わったと言えよう。 [映画館(邦画)] 7点(2017-09-10 00:34:00)(良:1票) |
237. 関ヶ原
司馬遼太郎原作「関ヶ原」はTBSが総力を挙げて作った森繁・加藤版があり、今も根強い人気を誇る。また司馬遼太郎関係なくこの激動の時代は何度も映像化されており、かく言う自分も「葵 徳川三代」が大好き。津川家康は極上で、そりゃもうセリフを覚えるほどに繰り返し観たものだ。そんなこともあってこの映画で関ヶ原への過程を事細かに説明してもらいたいとは思わないし、そもそもこの尺ではできないだろう。監督自身もそこは捨てていた。じゃあ、なにを期待して観るか、ということだけど、映像の重厚さや、合戦シーンの迫力…あたりになってくるだろうか。この二点はそう悪くなかった。直江兼続とのやりとりなど、ワクワクするシーンもあったし…(松山ケンイチを配したのは正解。無名俳優ではこうはいかないので)。無論、傑作だとかそんな評価を得る映画ではないが、今後も大きな予算がつく時代劇が残ってほしいという応援の意味も込めて甘めの感想で。 [映画館(邦画)] 6点(2017-08-28 01:00:46) |
238. ヒメアノ~ル
《ネタバレ》 基本的には面白い映画だけど、警察の無能ぶりは水を差したかな。邦画洋画問わず、この手のジャンルでよくあることだけど、警察の無能ぶりが目に余ると途端に醒めちゃう。むしろ有能に描いて、その上を行く犯人って構図にした方が良さげ。あとはムロツヨシが演じた安藤ってキャラだけど、原作未読で、展開を予想しながら観てた立場からすると、森田vs安藤は予想というか、期待してたくらいだったから、意外とあっさりで残念だったり…。まあ、しかし濃い奴らの共演で楽しかった。森田剛は今でも一応アイドルグループのメンバーだけど、よくやったもんだ。しかも上手いし。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-07-19 00:06:24) |
239. 葛城事件
《ネタバレ》 途中でふと思った「なぜこんな重苦しいものを観てるんだろう」と…。もう、こっちまでつらくなるわ! とはいえ結局最後まで観ちゃったんで、なにとは言えないけど引きつけられるものがあったのだろう。今、心にあるのは罪と罰について。強がりでなく本当に死刑を望んでる者に対して、希望通り異例の速さで刑を執行する虚しさ…。死の直前、彼は何を思ったのだろう? 同じ恐怖と痛みを味わって殺されるくらいじゃないと釣り合わんよなぁ… [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-07-12 22:08:51) |
240. シン・ゴジラ
嫌なことがあった日の夜、夢を見ることがある。これが現実でなければいいのに…との思いが私に夢を見させる。1954年、本多猪四郎監督のもと、世に出た初代ゴジラは明らかに原爆投下、大空襲を未知の怪獣ゴジラに置き換えたものだった。21世紀、「エヴァンゲリオン」の庵野秀明を監督に迎え、リボーンを果たしたシン・ゴジラは決して忘れえない3.11、すなわち大地震、津波、原発事故をゴジラに置き換え、こうだったらいいのに…との思いを映画という形で表現したものだった。と読む。「この国には有能な若い人材が官民に残っている。次のリーダーは問題ないよ」「スクラップ&ビルドでこの国はのし上がってきた。今度も立ち直れる」といった言葉の数々は日本人にとって多かれ少なかれ熱くなるものがあるはず。外国人がどう言おうと関係ない。日本人にとって、シンゴジラは傑作、佳作なのだ。日本という国が10年後も100年後も1000年後も残っていてほしい。アメリカ万歳映画は多く見てきた。たまには日本万歳も映画もいいんじゃないか、と思う次第であった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-07-10 00:11:49)(良:1票) |