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Oliasさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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261.  洲崎パラダイス 赤信号 《ネタバレ》 
筋だけみれば、まったくどうということのない話。つまり、「駄目カップルが巻き起こすあれこれ」の一言でまとめられてしまう話。しかしそれを、この作品は、絶妙な脚本と演出で、無限の広がりを持つ別世界にまで高めている。それは、各登場人物の出し入れのトリッキーなほどのタイミングであったり、そこから重ねられる心理の綾だったり、おかみさんや蕎麦屋の娘の的確な設定だったり(そしてもちろん終盤に登場する「彼」も!)、ということである。●途中で男がふらふら出ていく神田の電気店街は、その暑さと熱さがこちらにも伝わってきて、幻想的ですらある。その男の足取りは、オアシスを離れた旅人が砂漠を放浪するもののようにも見えてしまう。●そして実は、どこまでもカメラ内では脇にしかならない、決して焦点が当たらないあの子供2人が、いい味とアクセントを出しているのではないかと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2021-05-24 00:50:05)
262.  あゝ声なき友 《ネタバレ》 
復員兵が戦友の遺書を配って歩く話なのだろうな、と思いながら見始めたら、最初の小川真由美との絡みが妙に長い。何だこれは、と思っていたら、それが本筋にすっと絡んでくるトリッキーさ。そして本題の遺書配達では、一番ぞくっとしたのは、倍賞千恵子や市原悦子のパートのように、「結局たどり着けない」部分をきちんと盛り込んでいること。そう、全部が全部たどり着けたら、それはおかしいというか、都合良すぎるよね。それから例えば、いざ配達できても、相手先からは感動とか涙とか感謝のリアクションは全然ない。このトーンの統一も、作品に気品と節度をもたらしています。一方で、最初は進駐軍放出鍋の街頭販売を一緒にやっていながらその後着実に出世していく財津一郎が、いい感じのアクセントになっています。●作品としてのキズは、輪島のパートで主人公が突然正義の味方になってしまう点かなあ。この部分だけ、急にテンションが高くなって浮いています。ここは、真実はあくまでも灰色の向こう側にしておいて、それでも長山藍子はすべてを飲み込んで江原に寄り添っていく、とかの方が心理の綾が出たのではないかと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2021-05-12 00:34:33)
263.  聖の青春 《ネタバレ》 
単に将棋にネタとして乗っかっただけの内容だったら許さんぞと思いながら見始めたのですが、予想外に良い内容でした。村山も羽生もいちいちいろいろそっくりで楽しいんだけど、何といってもMVPはリリー・フランキーの森信雄!単に雰囲気が似ているというだけでなくて、すべてのシーンのすべての芝居が、「村山への師匠愛」というこの人の本質を体現しています。●それから、将棋を指す指の動きの一つ一つはもちろん、対局中の仕草、記録係や立会人の作法、控え室の光景や大盤解説の風景まで、きちんと丁寧に作っているのがよく分かるのです。それと、対局中って(終了後もですが)、当然ながら沈黙が支配する世界になるのですが、それを恐れずに(ヘタな台詞だの何だの入れずに)堂々と撮りきっているのも素晴らしい。●降級時の切れ負けの一局、相手のモデルは田中寅彦ですよね。ほんの一瞬の登場なのに、こういうところも丁寧です。●気になるキズは、クライマックスの対戦中、あの安食堂サシ飲みシーンを回想でそのまま出してしまったこと。ここはそんな回想なしの方がよかったと思うのですが、かりにやるとしても、対戦の風景に台詞だけを断片的にかぶせる、とかでしょ。そうでないと、2人が対局に集中していることにならないよ。●しかしいずれにしても、村山聖という早世の天才の名を後に残した作品としての功績は大きいと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-05-09 00:10:53)
264.  禁断の惑星 《ネタバレ》 
いや、何か、これは凄い。宇宙船にしても、博士宅にしても、最小限のセットをフルに使い回している感がありありで微笑ましいんだけど、その中で予想もしないような内容が展開されていく。何よりも、博士の人物造形と語り口がいいです。変にエキセントリックさを強調することもなく、探検隊に対しても、強気で警戒心まるだしでありながら、同時に紳士的で丁寧でもある。そしてその口から淀みなく出てくる怒濤の過去話。そう、変な再現映像とかがないが故に、言葉には説得力があるし、全員が真剣にならざるをえないのです。そしてだからこそ、ラストのあのオチが説得力を有してきます。一方で、すでに数多く指摘されているとおり、というか見た人は誰でもそう思うとおり、あのミニスカワンピお姉さんによる彩りが作品の価値を高めていることは、いうまでもありません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-03-11 00:19:28)(良:1票)
265.  候補者ビル・マッケイ 《ネタバレ》 
若き弁護士ロバート・レッドフォードが選挙戦に出馬して現職に挑む!という出だしでいろいろ想像するのですが、予想に反して、敵が何か汚い手段を使うとか、それに対抗してこっちもとか、そういうのはまったくありません。裏切り者やスパイが登場してどうとかもありません。ひたすら地道な(といっても時には派手な)選挙戦の姿を追っていくだけ。その中で例えば、山火事が起こってここでアピール!と駆けつけたら敵の腕の方が一枚上手だったとか、集会場にお客さんが全然いないとか、ここぞというときにマイクのトラブルとか、静かに集中したいときに用件やら何やらでイライラさせられたりとか、そういう「日常感」の描写のバランスが絶妙です。●振り返ってみれば、主人公も決して中身空っぽの操り人形というわけではなく、それなりのことは考えていました。しかしそれをじわじわと満潮のように浸食してきていつしか濁流となっていく、それが選挙戦なのです。この作品はその全体構造のとり方が優れていますし、そうであるからこそ、あのラストが着地点としてしっかり決まっています。
[DVD(字幕)] 7点(2021-02-25 00:48:06)
266.  アルジェの戦い 《ネタバレ》 
背景やディテールの説明はびっくりするほど省いて、粛々と淡々と進んでいく。しかし、一つ一つのシーンの重量感と説得力が異様で(主人公の青年の目力も込み)、加えて場面設定の趣旨目的が明確であるため、なぜか内容が把握できてしまう。しかもその過程で、フランスにもアルジェリアにも肩入れせず、ただ起こっていることを忠実に追っているため、見る側の予断も排除できるような作りになっています。また、モノクロにしたのも正解であるのみならず、その中で光と影を巧妙に駆使し、画面の迫力を高めています。
[DVD(字幕)] 7点(2021-01-19 01:25:03)
267.  デジャヴ(2006) 《ネタバレ》 
まあデンゼルがあれこれ機械をいじって、格好良く活躍して解決するアクションものなんだろうな・・・と思いながら見始めたら、全然違っていました。まず、「4日前(だけ)の過去の状態が見られる」「アングルも場所も指定できる」「しかし巻き戻しや早送りは不可」というこのご都合主義な絶妙な設定!しかもそれを自信満々に、ストーリーの進行上自然に納得させる強引な説得力!さらに設定に溺れずにその条件をフル活用しており、片目ずつで過去と現在のカーチェイスだなんて、これまで考えた人がいたとしても絶対に真面目に撮ろうとは思わない代物です。そして後半では反転してタイムトラベル・ラブロマンスに飛翔します。ここでは、シンプルだからこそ力強いヒロイン宅での伏線回収を堪能しましょう。あとのラストはそこから想像したとおりに収束していくのですが、とにかくトニー・スコットの職人技術的エンターテインメントが全開の作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-01-17 01:19:40)(良:1票)
268.  セブン・シスターズ 《ネタバレ》 
いや、これはびっくりしました。「七つ子姉妹が曜日ごとに1人ずつ行動」「しかもそれを主演女優が1人七役」という突飛すぎる設定にまず驚きますが、まずその前提世界が自然に、というかむしろ当然のように自信満々に描かれている。しかもその後の進行も、設定負けしていません。7人のキャラは無理なく自然に分かれていますし、それぞれに十分な見せ場も用意されています。さらには脚本上のミスリードなんかもちりばめられていて(建物管理人の「昨夜は・・・」とか、チューズデーの「銀行員だから・・・」に対するグレン・クロースの回答とか)、唸ってしまいます。もちろん細かいところは突っ込みどころ満載、というかリアリティは最初から放棄していますし、しかしそれでも物語に引き込むパワーがあるのです。●フライデーの壮絶な作戦で吹っ飛んだはずの敵のボス捜査官が、その後怪我もなく元通り登場してたのはちょっと残念かなー。あそこはフライデーと差し違えてほしいところでした。それとこれは作品の責任ではありませんが、字幕で名前(=固有名詞)を「月曜」「火曜」とか訳したらいかんだろ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-01-15 01:09:58)(良:1票)
269.  汚名 《ネタバレ》 
導入部はまあそれなりという感じですが、いざバーグマンが諜報活動を始めてからの怒濤の流れが凄い。男女の三角関係とスパイの潜入関係が交錯する語り口の巧みさ。ワインセラーというネタ一発をフルに活用する描写力。そのくだりを足がかりに発されるそれぞれのキャストの火花の衝突。諜報の内容がサスペンスだったのが、今度はヒロインの命が狙われていくのが課題という自然な構造的変容。そしてすべてが凝縮するあの「階段下り」!あっぱれです。●最大の貢献者は、もちろんクロード・レインズでしょう。礼儀に溢れる紳士でありながら、時折見せるあの警戒の視線。ケイリー・グラントは明らかに押されてますし、またバーグマンの美しさもそれによっていっそう引き立っています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-01-08 01:28:15)
270.  踊る大紐育(ニューヨーク) 《ネタバレ》 
最初から最後まで突っ走るテンションの高さであるとか、全体をきっちり24時間に収める様式美であるとかがとりあえず目につきましたが、実は歌とダンスの影で脚本もしっかりしているのではないかと思います。3組のカップルがきちんと使い分けられていることはもちろん、その絡みの中で研究家のお姉さんがミス地下鉄に裏で気を遣うところなど、何とも細やかです。また、すでに指摘されていますが、笑われ役のルーシーにも最後に配慮しているところが、作品に奥の深さと気品を保っていますね。●今の脚本だったら、最初にミス地下鉄を探し出すまであれこれステップを入れたりとか、エンパイア・ステートにたどり着くまででもハプニングがあってハラハラしたりするんでしょうけど、そんなものはなくてもよい!というかない方がよい!ということもよく分かります。●唯一、終盤入口の、それまでの話をダンスで再現、は要らなかったと思います(そこまでにダンスで十分表現されているからこそなおさら)。ここは、ケリーの独唱で悲しみのダンス、とかでもよかったんじゃない?
[DVD(字幕)] 7点(2021-01-04 01:26:38)(良:1票)
271.  砂漠の鬼将軍 《ネタバレ》 
いろいろエピソードのありそうな人なのに、90分前後でどうやってまとめるんだろう・・・と思っていたら、冒頭で、「イギリス人捕虜が後に関係者をたどって判明しました」という視点を手際よく提示(結局、本人に会ったのは一瞬だけ、というのも逆にドラマチック)。この構成が巧妙で、それに続く本編の焦点を絞ることに成功しています。その後も、何が起こっても各登場人物は慌てず騒がず、常に冷静に事を運んでいますし、それが作品の気品と節度を保っています。しかし何といっても白眉なのは、階段を上がってくる夫の気配だけですべてを察知し、いざそれを悟っても涙の一滴も流さないジェシカ・タンディだと思う。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-13 01:29:37)(良:1票)
272.  運び屋 《ネタバレ》 
イーストウッドの監督主演作は「グラン・トリノ」以来なのですが、脚本もその「グラン・トリノ」と同じ人。で、あっちでは「家族との完全決別」がスタートであり基盤であったのが、こっちは真逆のベクトルなのが面白い。●一言で言うと、痛快な映画。家族からも嫌われて財産もすってしまった一老人が、なぜかひょこひょこ運び業務を成功させてしまう。チンピラみたいな相手とも、なぜかただの「ジジイの会話」で乗り切ってしまう。しかもそれを後ろからは警察が追ってくるわけなので、いわば二重の敵がいるのをどうするのか、みたいな課題が自然に形成されているのです。●したがって最後は、「捜査の手がマフィアに伸びてそっちは壊滅したんだけど、なぜか主人公はするりとそれを躱して、いつしか幻の存在として語り継がれてしまう」とかだったら最高だったのですが。●それにしてもイーストウッド、特に必要性もなく若い姉ちゃんとの絡みシーンを次々入れて、挙げ句ベッドシーン(!)まで入れてしまうだなんて、エロジジイぶりも健在。●60年くらい前のような、直球でシンプルな邦題もいい味を出しています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-03 00:39:10)
273.  しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス 《ネタバレ》 
冒頭の数分間で、すでにサリー・ホーキンスが完全な役作りを行っていることがビシビシ伝わってくる。何らかの障害がありそうなこと、これまでの人生でいろいろ不自由も苦労もしていそうなこと、しかし芯は存在して言い返すべきことも言い返すし、ときにはちゃっかりもしていること、といったことが、主人公に関する予備知識がなくても芝居の中に見えてくるのである。それに刺激されたのか、イーサン・ホークも、無口で無骨でときに粗暴でもあるという、これまであまり演じたことのない造形の人物を、むしろ生き生きして演じている。カメラもその2人を大切にして、他の登場人物の出番は最小限、むしろ周辺の雄大な風景と、それと対比される小さな家の中の雑然とした(それでいて妙に暖かい)光景に集中している。実話ではもしかするとサクセスストーリー的な部分もあったのかもしれないが、その辺をばっさりカットしているのも正解。だからこそ、最後のホークの無言芝居が強烈に生きてくる。
[DVD(字幕)] 7点(2020-11-30 23:31:02)(良:2票)
274.  男はつらいよ 花も嵐も寅次郎 《ネタバレ》 
「田中裕子とジュリーへの恋愛指南」の一言で片付けられそうな気もするのだが、よく考えるとそれにとどまらない奥の深さがある。マドンナはジュリーを、当初は二枚目だから気が進まないと言い、デートしても何も喋らないのが嫌だと言う。もちろんその逆が寅さんであって、スナックでいきなり「今夜は飲んじゃおう!」とノーガード全開になってしまう描写にもそのベクトルは示されている。しかし、いざいい雰囲気になると引いてしまうのは寅の宿命でもあるし、まして結婚の心理がどうのこうのという相談には、寅は一切対応できない。もはや自分の中で処理しきれずにグシャグシャになる。あの、せっかくの相談の場から席を立ってしまう一幕に、そのあたりの心理の綾が凝縮されている。●それにしても、後にはいろいろ癖のある役や影のある役も多かった裕子さん、この「どこにでもいるような地味目のデパートガール」役の、何とも初々しく、そして神々しいこと!「おしん」で国民的女優に躍進するのはこの翌年なので、よくその前の貴重な時期を収めておいてくれたと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-11-02 00:57:36)
275.  男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 《ネタバレ》 
何と今回、恒例の「冒頭、旅先から寅が帰ってきてとらやのメンバーと一騒動」がない。その分、マドンナとの関係がじっくりこってりじわじわと描写されて、まるで一般のラブロマンス映画のようです(!)。挿入音楽も、ほかの作品では聴かないような「ザ・メロドラマ」な曲の連発です。またそういう演出に、いしだあゆみがぴったりなんだな。この人の場合、あまり表情を動かさなくても、目力とさりげない動きだけで芝居ができるんですよね。そしてそして、これまでありえなかったマドンナからのこっそり手渡しメモ(おばちゃん曰く「付け文」)、この予想しないたった1枚の紙がもたらすインパクト!この作品はもうここで十分です。鎌倉のシーンはおまけです(とらやでの対面状況で、デートがどうなるかはもう予想できますからね)。●再見して気づいた点。前半の仁左衛門のマドンナへの説教が、後半に効いている。これを生真面目に受け止めたかがりは、寅に対する思い詰めた純度高いアタックを、一点集中で全力で行う。もちろん寅がそれに耐えられるわけはないのだが、その凝縮された情念の強さは、寅を通り越してとらやメンバーすら動揺させるほどであった。それは、結果としてではあれ座敷ではなく店先のテーブルで済まされる応対や、おばちゃんの「恨むわよ、あの人」の台詞に象徴されている。そうして本作のかがりは、とらやを訪れたマドンナとしては唯一の「歓迎されざるマドンナ」となった。そのあたりの冷徹なほどの厳しさが、シリーズの中でも作品のオリジナリティを際立たせている。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-10-18 02:49:11)
276.  バニー・レークは行方不明 《ネタバレ》 
実に周到かつ丁寧に作り込まれたサスペンスであり、展開についても登場人物のキャラづけにしても、一筋縄ではいかない。伏線があれこれ詰め込まれていて、見終わった後もいろいろ考えさせてくれるのも楽しい。とりあえず今考えているのは、(1)妹は兄の特性もあしらい方も知ってるんだけど、いつからそうなったのでしょう。母親が2年前に死んだとか言っていたような気がしますが、それと関係するのでしょうか?(2)そもそも、妹の渡英の理由は何だったのでしょうか?(3)兄は雑誌社勤務とか言ってますが、それって本当のことなのでしょうか?(映像上の裏付けはありません)(4)ドイツ人メイドが終盤で取り調べられてますが、彼女は何を喋ったのでしょうか。もしかすると、「あ、伯父さんという男性が連れて行きましたよ」くらいは言ったんじゃないかと思いますが・・・といった点です。サブキャラも変な人たち満載でさらに楽しいのですが、ラストの対決シークエンスはちょっと間延びしましたね。それと一番凄いのは、実はこれは朝から夜まで1日でのお話でした、という点かも。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-10-01 00:28:29)
277.  サンキュー・スモーキング 《ネタバレ》 
これはまた実に痛快です。ここから15年経った現在だからこそ、もっと広まってほしい作品です。嫌煙運動の胡散臭さをけちょんけちょんにけなす一方で(ミスター・マルボロに金を受け取らせるテクニックとか、突然現れるテロリストとか。「吸ってたから助かった」というオチも凄い)、主人公の軽薄さも際立たせることで、論争のレベル自体が所詮そんなもんだ、という視点まで提示しています。また、こういうときは往々にして足を引っ張りがちな主人公の子供が、予想に反して最後まで機能していたり(顔つきはちょっと合ってなかった気はするが)、なぜかいつもレストランの同じ席にいる3人組の構図も何とも言えない可笑しさを提供していたりと、脇役の配置も上々です。ラストはちょっとあっさり風味にすぎる感じもしますが、長編デビューでここまでやれば十分です(ライトマン監督、この時点で28歳かあ・・・)。
[DVD(字幕)] 7点(2020-09-15 00:33:34)(良:1票)
278.  拳銃王 《ネタバレ》 
わずか80分強の尺とは思えないくらい、序盤から中盤まで、次々にいろんな設定と登場人物が降りかかってきて、しかもそれが最小限の描写で的確に整理されている。この洗練ぶりには驚きです。後半は「制限時間」が大きくのしかかってきて、まるで真昼の決闘のような雰囲気が漂ってきますが、こっちの方が先立ったんですね~。もう後はみんなが一点に集中して爆発する手前、というタイミングになっても(留置場のオッサンだけはほったらかしですが・・・)、主人公を変化させる農場の青年が現れたり、ラストの伏線になっている保安官との会話がずっしり挿入されたりと、手抜きがないどころか、さらに脚本の冴えが際立っています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-13 00:26:52)
279.  男はつらいよ 寅次郎頑張れ! 《ネタバレ》 
マドンナの登場がやたら遅く、初期作品の作り方に戻ったような感じ。ただ、藤村志保さんという典型的和風美人はこの作品世界との適合度は高いと思っていたので、これは何とももったいない。一方で、若者二人の恋愛譚は、中村雅俊と大竹しのぶという人材の力も加わり、制作側にとっても、当初の想定以上に話が広がり、異様に出来が良くなってしまったのではないだろうか。とりわけ大竹しのぶは、弱冠20歳にして、とらやの面々をコントロールするほどの求心力を発揮している(実家から戻ったシーンの存在感!)。サブゲストとしてはこれまでも桜田淳子や檀ふみという強力な例があったが、作中における磁場力はそれ以上だ。それと、もっぱらコーチを受ける立場だった青年が、最後に一言で場の色を塗り替える逆転の構図。●それと忘れてはいけないのは、パチンコ屋の杉山とく子さんではないでしょうか。最初は相互反発そのものだった寅さんとワット君が、ここで邂逅し、共鳴する。その変化の媒介を、ごく自然に(それも笑わせながら)行って、シーンの価値を高めているのです。これこそが役者の演技ですし、このシリーズは随所でこういう人たちに支えられています。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-27 00:45:08)
280.  あの日の声を探して 《ネタバレ》 
単純に物語として見た場合は、都合良すぎる場面が結構多くないか?というのが気にはなるのだが、それ以上にこの作品を成り立たせているのは、世界平和への最大逆行国家であるロシアへの怒り(2014年といえば、クリミア侵略の年でもありますね)。そして、無力というよりもやる気のない国際組織への徹底批判(「報告書が積まれるだけ」という台詞が中盤に登場して、会議の場面は本当にそれを体現している)。この視座が明確であるだけで、この作品は普遍的な価値を有している。また、皮肉さをちりばめながら一本の筋をすっとつなげるラストも見事。
[DVD(字幕)] 7点(2020-08-16 00:54:33)(良:1票)
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