Menu
 > レビュワー
 > anemone さんの口コミ一覧。14ページ目
anemoneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
21222324252627282930313233
投稿日付順1234567891011121314151617181920
21222324252627282930313233
変更日付順1234567891011121314151617181920
21222324252627282930313233
>> カレンダー表示
>> 通常表示
261.  ベン・ハー(1959)
たまたま「十戒」のレビューを書いてて思い出したんだけど、やっぱり娯楽性ではこちらの方がはるかにポイントが高い。それなりに長いんだけど、「十戒」に比べればあそこまで長くは感じないし。あちらの場合は既に旧約聖書についてある程度の知識があることを前提に描かれているという意味で、素人にはいまいち物語がどっちを向いているのかわかりづらい面があるが、こちらは特に予備知識を要求しないというか、あ~この子が苦労して偉大な人になっていくのね、と特に難しく考えなくてもストーリーについて行ける気楽さはある。私の場合、ほとんど宗教映画だと思わずに単なる苦労話だと思って観ていたら、最後の方でキリストが登場したのでかなりぶったまげてしまった。関係ないけどちょっと前までこの映画にはジュリアーノ・ジェンマが出ている!というのが必ず話題になってたものだけど、すでにジェンマを知ってる人と出会うことの方が難しくなってしまった。寂しい。
8点(2003-12-18 01:37:09)
262.  マーズ・アタック!
ある土曜日の朝、昼まで眠りこけてボ~ッとしたままTVをつけたらスターチャンネルでこの映画をやっていて、何やら人だかりの中で宇宙船から宇宙人が降りて来たところだった。一瞬、ついに自分の頭がおかしくなってしまったのかと思い、他のチャンネルでもこの同じ現場を放送してたらどうしようと思うとチャンネルが変えられなくなってしまい、そのまま画面に釘付けになって固まっていた。映画だと気づくまでの数分間が、非常に長く感じられた瞬間であった。
8点(2003-12-18 01:25:58)(笑:1票)
263.  星の王子ニューヨークへ行く
王子の入浴シーンでわざとらしく花がまかれたり、旅立つ王子の荷物が全部ヴィトンの山だったり、今思えばけっこうベタベタなんだけど、まだ今ほど心が汚れてなかった私は素直にげらげら笑いました。単独主演でお客が呼べる黒人スターがまだとても珍しかった頃に、ブラックムービーの先駆けを築いたエディ・マーフィの存在ってやっぱり大きかったと思います。黒人に限らず、コメディをキチンとやれる人ってそれほど多くはないと思うので、まだまだ彼には頑張ってもらいたいです。
8点(2003-12-17 23:25:21)
264.  最終絶叫計画
このミもフタも芸もヒネリもなーんにもない、とにかく徹底したおバカさ加減が妙にピッタリ来てしまった私って本当に救いようのない完璧なバカなんだワ・・・と皆さんの酷評を読んでて真剣に嬉しくなってしまいました。なんというか、この映画にわざわざお金を払って、先行上映に1時間も前から並んでしまった自分って世界一情けない存在のような気がしました。しかも先着30名に配られたTシャツをもらって狂喜し、ぼーっと突っ立っている仕込のスクリーマーくんにはっぱをかけました。なんというんですか、私は常に、やるなら徹底的に!をモットーとしていますので、おバカもここまでやれば潔いかなあと。でも観ている間じゅう、この人たち映画好きやなー。とかなり感動しながら観ていました。正直なところ、いわゆる芸のあるヒネリの効いたパロディは私にはよくわからないのです。このぐらいベタベタにやってもらえると、私のような人間にもよくわかります。私は自分の名前すらたまに忘れてしまうほど物忘れが激しいので、このぐらいハッキリとパロッてもらわないと出典が思い出せないのです。この映画では3つぐらい、はっきり出典が思い出せました。嬉しかったです。
8点(2003-12-17 01:56:27)(良:1票)
265.  永遠に美しく・・・
SFXという手法がエスカレートし尽くしてもはやどうにもならないところまで行ってしまい、「見たこともない映像」だけが突出していることが求められた時代、おろそかにされがちだったストーリーが始めて技術に追いついた作品。そもそも映画を実現させるための手法だったはずの技術が、SFXの見せ場を盛り上げるために考えられたストーリーみたいな本末転倒なことになっている作品が多かった中で、話として面白く、かつそれを実現させるための手法としてSFXが品良く上手に取り込まれている点が評価できる。美しさのためなら手段を問わない、いささか極端なキャラクターのメリル・ストリープとゴールディ・ホーンも、シャレにならないほどの狂奔ぶりで笑わせてくれた。女性がアンデンティティを「美」に見出した場合の暴走ってたぶんこのぐらい行ってしまいそうな、女性にとっては妙な説得力がある。二人の間で翻弄されっぱなしのブルース・ウィリスも、本来の持ち味であるダメ男ぶりが発揮されていて良かった。そもそもロバート・ゼメキスというのは、SFXの手法に頼らなくても充分楽しい映画を撮るだけの技量がある人。最近の彼はほとんどSFXの虜になってしまっている感があるけど、この作品を初めて観た頃は、ああこういうバランス感覚を持てる人がやっと出て来てくれたんだなあというある種の感慨がありました。イザベラ・ロッセリーニやメリル・ストリープという比較的シリアスなイメージの強い大御所二人が、敢えておバカな役に挑戦してくれたのも嬉しかったです。
8点(2003-12-14 16:38:10)
266.  結婚しない族
私の中の一つの基準として、深夜にテレビでたまたま見かけて、引きずられるように最後まで観てしまう、というのはかなり面白い作品に限られたことだと思います。そういう意味では、夜中の1時に観始めて、眠い眠いと言いながら結局最後まで観てしまい、後日ビデオを購入するまでに至ったこの作品はかなりな傑作と言えると思います。同棲中の男女が、互いの両親の家を訪ねるという特に何の変哲もないお話ですが、一つ一つのエピソードが微妙に楽しくて、つい淡々と観続けてしまうんですよね。大筋ではだから何なんだ、っていうストーリーなんですが、シークエンスの繋がりで見せて行く、なかなか良くできたシナリオだったと思います。「ノーバディーズ・フール」とか、あのへんのテンションが好きな方にはけっこうお勧めできるかと。老人モノではないですが。雰囲気一発な映画ですが、私はけっこう入り込めたので気に入っています。
8点(2003-12-14 03:04:11)
267.  誘拐犯(2000)
案の定、惨々たる評価ですね(笑)もっち~さんの意見に概ね同意です。予告編を観て、「計画は完璧なはずだった」というコピーにシビれ、ベニチオ・デル・トロとジュリエット・ルイスというキャスティングにシビれてハナっからメロメロ状態で劇場に足を運んだわりには、生来の素直な性格が幸いしてか、あっという間に「これはどうやらチープなバイオレンスアクションコメディらしい」と頭を切り替え、一度二丁拳銃でカッコよくキメるデル・トロが観てみたいぞ。という願望は叶えられたのでけっこうゴキゲンで帰って来たのを覚えています。微妙におもしろつまんない映画ですが、ライアン・フィリップが最後までイマイチ信用できなかったことが自分にとっては適度なサスペンスになりました。それにしてもあそこまで出たとこ勝負というか、無計画きわまる「誘拐」に、どういう経緯でああいうコピーがついちゃったのか、これはもう映画史に残るナゾだと思います。完璧な計画だったら、大富豪の身辺ぐらい調べておけって。邦題が「無計画犯」とかだったら、もうちょっと大勢の人が幸せになれたんじゃないでしょうか。「なぁ~にが『緻密な心理戦』じゃいっ」と頭をかきむしるか、「思ってたのと違う映画だなぁ~」と素直に頭を切り替えるか、対応の違いで評価に差が出る作品だと思います。笑いに入るとけっこう楽しいですよ。
8点(2003-12-14 02:20:18)
268.  グロリア(1999)
これって究極の恋愛映画ですよね。男に利用され尽くした挙句に捨てられたグロリアは、無垢な少年に恋をする。この二人の関係を母性と被保護者という関係でしか捉えないで観ると、「ふーん」で終わってしまいかねないのですが。ある意味グロリアは、この子に助けられているんです。ああこれは恋なんだな、って思うとセンチメンタルに楽しめます。シャロン・ストーン自らリメイクを企画したそうですが、現代のハリウッドに彼女ほどのゴージャスな女優のための企画が他に全然ないことの方が問題だと感じている私は大いにエールを贈りました。女優としてゴージャスでいられる期間は短いです。その間に自分に本当にふさわしい役が企画として上がって来ないのなら、元々ある映画の中から演じてみたい役を探して来るというのは仕方のないことだと思います。この作品を観ていて私は初めて、シドニー・ルメットに美しい「風景」が撮れるんだということに気づきました。ビスタならではの奥行き重視の絵づくりに力が注がれていて、映像的にもかなりレベルの高い作品だと思います。
8点(2003-12-13 14:01:11)
269.  グレイスランド
まさに「佳作」という評価がぴったりはまる作品。残念ながらこの年はいろいろあったんで、微妙に評価が下がりましたが、去年あたりなら年間ベスト1ぐらいと思い込んでも不思議はなかったです。ナポレオン狂というんでしょうか、自分を何か歴史上の偉人だと思い込んでしまう症状の中では、アメリカではエルビスがダントツの人気らしいですね。いくらなんでもハーベイ・カイテルがエルビスなわけないくらい誰でもわかりそうなものなのに、「ひょっとしてひょっとすると」なんて本気で疑い始めてしまうところがスゴいです。本当のところ、彼が本物なのか偽者なのかという点はあまり本題とは関係がなくて、人間は何を本物だと思いたいのかな?という話なんじゃないかと私は思います。信じたいものだけ信じればいいんだよ、というこの映画の暖かいメッセージは、お疲れ気味のハートによく響くと思います。観て良かったな、と思いますね。
8点(2003-12-13 13:44:30)
270.  疑惑(1982)
桃井かおりのふてぶてしい個性が役柄に見事にハマりましたね。岩下志麻、桃井かおり、この2人って本当に金太郎飴でどこを切ってもこのキャラしか出て来ない人たちなんですが、うまくハマればこういう面白い作品が出来るという良い見本だったと思います。役者として決して器用な人たちではないし、演技者なら絶対に手本にしちゃいけないキャラクター至上主義の権化みたいな女優さんたちですが、うまく活かされることのできた数少ない例だと思います。私はラストシーンの桃井かおりのセリフにシビれました。女なら一度は言ってみたいですが、実際に言える人は極めて稀だと思います。しばらくこのキャラに憧れて、周囲からかなり嫌われていました。女がカッコいい、という意味では女性向きの作品なのかも知れません。
8点(2003-12-13 12:27:11)
271.  恐竜の島
この時代のキッチュな特撮に違和感を感じてしまう人には辛いだろう。そうでない人には楽しめるだろう。ノスタルジックな味わいで、ベタベタに描かれた普通の特撮映画だが、「海を越えてずうっと行ったところに、恐竜の島がありました。」だけで1本映画が出来ちゃうってだけでもうすごいでしょう。これだけで映画1本ですよ。今じゃもうどんなB級でも企画も通らないでしょう。そういう意味でも、もう絶対にこんな映画観られないと思うので、これは買いです。内容もベタベタの冒険映画です。タネも仕掛けもないあたりに、非常に好感の持てる作品です。
8点(2003-12-13 01:20:45)
272.  逆噴射家族
シニカルもここまで行けば一つの芸になるという見本。これは傑作でしょう。家族として機能していない家族、という最近流行りのテーマを先取りした作品としても、大いに評価したいと思います。こういうドタバタから何も読み取れない人には辛いだけの作品だと思いますが、行き過ぎた疾走感や小林克也の暑苦しさに不快感を覚えない人には楽しめる作品だと思います。不毛な中にも、高度経済成長期を支えたニッポンのお父さんたちの心の叫びを切々と訴えかける、意外にも中身の濃い映画です。
8点(2003-12-13 00:54:51)(良:1票)
273.  鬼畜
イヤな話ですが、邦画の中では好きな作品の一つです。緒形拳のダメ男ぶりも、岩下志麻の悪妻ぶりもなかなかの見ものだと思います。最近観てないのではっきり覚えていない部分も多いですが、ラストシーンでは胸の詰まるものがありました。この頃の日本映画って評価される機会が少ないですが、ちゃんとアメリカンニューシネマに対する日本なりの回答になってるような気がします。小粒ながら、訴えるものはある作品です。
8点(2003-12-13 00:40:42)
274.  彼と彼女の第2章
テーブルトーク物としては傑作の域に入る作品と言って良いと思います。ビリー・クリスタルがデブラ・ウィンガーと出会った時のエピソードから、いちいちキチンと話が落ちていて楽しい映画でした。映画を観ていて椅子から落ちそうになるほど笑った記憶、というのが私にもいくつかあるのですが、実はその代表的な一つがこの映画の中でビリー・クリスタルがスピード違反で警官に止められるシーンでした。シナリオが命の作品でしたが、ビリー・クリスタルも今ほど人相が悪くなってなくて良かったですね。彼女役はべつにデブラ・ウィンガーでなくても良かったような気もするけど・・・。やっぱり「恋人たちの予感」を観てる者としてはメグ・ライアンを期待しますね。でも特に違和感もなかったので良かったと思います。「佳作」という言葉が実にうまくハマる作品だと思います。
8点(2003-12-13 00:09:04)
275.  カラーパープル(1985)
背景と作品は別のものと考える立場から、スピルバーグが全身からオスカーちょうだいオーラを発し始めたという点を意図的に無視して考えれば、なかなか良くできた佳作であるとは言えるのだが、この映画でトップスターの座に踊り出たその後のウーピー・ゴールドバーグの見苦しいはしゃぎぶりや、スピルバーグのその後の優等生化にうんざりさせられたことを思うにつけ、作品そのものよりもむしろ前後の経緯から否定的な見方しか出来なくなって来ている自分に気づく。原作となったアリス・ウォーカーの小説はまごうことなき傑作であり、映画はそれを完璧とまでは言えないまでも非常に原作に対して誠実に、きちんと一生懸命作られている。アメリカ社会の底辺に暮らし続けて来た黒人たちの生活が実際にはどうだったか、真摯な態度で作られた映画としては周囲の状況がいくらなんでもヒドすぎませんか。この映画で主人公の義理の嫁を演じたオプラ・ウィンフリーは今やアメリカワイドショー界のゴッドマザーだ。ウーピー・ゴールドバーグはハリウッド版女武田鉄也と化してお涙頂戴映画からキツいコメディまで来た役は一つも断らない活躍ぶり。スピルバーグは一作毎にオスカーくれくれと叫び続け、今やオスカー像を増やすためなら家族さえ売り出しかねない勢い。これだけボロクソにけなしておいて8点献上する私も相当イカれているが、映画自体はとにかく非常に良い映画だったし人類にとって必要な映画。実の父親から子供を生まされ、さらに父親ほど年齢の違う見ず知らずの男と無理矢理結婚させられるセリーが、夫の愛人シャグとはぐくんで行く不思議な感情、そこから芽生える自立への希望。こういう時代から100年も経たない現在に生きる全ての女性たちにとって、一度は観ておく価値があると私は考える。いい映画なんだけどなあ。既成概念を捨てないとキツいですね。
8点(2003-12-13 00:00:19)(良:1票)
276.  マッドマックス2
見逃している例はいくらでもあるだろうが、少なくとも私の知る限り、終わりか頭に「2」または「続」のつく作品で前作と同等の価値あるいはそれ以上を行った作品はこれまでに3つしかない。「エイリアン2」、「ゴッドファーザーPart2」、そしてこの「マッドマックス2」である。前作の「マッドマックス」は走りモノ好きな男性ファンには楽しい作品だったかも知れないが、女性にとって見れば近未来に舞台を設定しただけの単なる暴走映画。復讐劇というスタイルを取ってはいるが、実のところカッコよく暴走するクルマが見たいぞ、という人だけに向けて作られていた。この作品は近未来を舞台に、人々の生き残りを賭けた壮絶な争いを描いて人間の本性にまで迫ろうとした絶滅モノ。「地球最後の日」や「ソイレントグリーン」等、数え挙げたらキリがない、よくある近未来SFに暴走を組み合わせたところが新しかった。悪いけど女性の立場で言わせてもらえば、「復讐劇+暴走劇」よりは「絶滅モノ+暴走劇」の方が格段におもしろいに決まっている。まあどちらかと言えば暴走よりも後半の戦闘シーンに重きが置かれていたような気もするが。食糧よりもガソリンを求めて戦うというところが暴走映画ならではの観点であるとも言えるが、全体的に特に思い入れの持てない女房子供のカタキ討ちよりはなんとなく世界人類のために戦う正しいアクションヒーローという感じがしてやっぱり2作目の方が楽しく観られる。1作目がすごく気に入った方にはちょっとムカつく展開だろうが、確実に間口は広がっている。若い頃のメルってホントにハンサムでしたよね。今でもいい男だと思いますが。オスカー監督になってもアクション映画を捨てないメルが好き。
8点(2003-12-11 01:08:28)
277.  狼男アメリカン
リック・ベイカーによるあまりにも有名な変身シーンをさておいても、なかなかの傑作と言って良いのではないかと思われるジョン・ランディスの異色スリラー。同じ英語圏でありながらまったくの異邦人として扱われるアメリカ人の主人公が、異国の空の下で共に旅していた親友を亡くし、自らは狼男として生きるハメに陥る、哀愁漂うコミック・ホラーである。コメディとして楽しむも一興、一人のアメリカ人の悲しい運命に涙するも一興。ランディス得意のカーチェイスも、短いながらもなかなかのキレの良さで楽しめる仕立てになっている。イギリスの片田舎で異端扱いを受けるアメリカ人の孤独は、我々日本人にはちょっと馴染みづらいものがあるが、よくよく真剣に観返してみると、普段は我が物顔で世界の王様面をしているアメリカ人が、異国を彷徨えば単なる旅行者にすぎないことを痛烈に皮肉っているようでもあり、あるいは歴史ある大英帝国の伝統に手も足も出ないアメリカ人の情けなさを笑っているかのようでもある。伝説の魔物狼男という由緒正しいアイテムを通じて、アメリカを自虐的に笑ったコメディとでも言うべきか。冒頭とラストに流れる2つのバージョンの「ブルームーン」が印象的。
8点(2003-12-09 23:32:27)
278.  エデンの東(1955) 《ネタバレ》 
愛されなかった子供という普遍的なテーマを扱って今なお多くの亜流を生み出し続けているエリア・カザン監督の問題作。旧約聖書を題材にしたとされているが、カインとアベルの物語では弟アベルを殺した罪でエデンの東に追われるのは兄のカインの方である。ジェームス・ディーンの卑屈な個性が、愛されない弟キャルに見事に投影され、屈折した青春が観客の共感を呼ぶ運びは良いが、あまりにも取ってつけたようなラストの急展開には今もって納得がいかない。原作となったスタインベックの同名小説を読んでいないので何とも言えないが、本来映画は原作と切り離して一つの作品として自立すべきであるという観点から考えれば、いくらなんでも安直かつ偽善的な結末ではないかという思いが否定できない。まあこういう映画が喜ばれる時代ではあったんだろうけど。こういう話なら無理やりカインとアベルにこじつける必要もなく、ただ魂の救済をテーマにした美しい親子モノという態度を徹底した方が美しかったんじゃないだろうか。まあ嫌いな作品ではないし、「リバー・ランズ・スルー・イット」が良い良いと騒ぐぐらいなら、こちらの方をお勧めしたい気持ちは充分あるのだが。とりあえずジェームス・ディーンの姿が拝める数少ない作品ではある。が、彼が生き延びて傑作をあと50本も撮っていれば、時代と共に薄れてしまった可能性は否定できない。非常に微妙な8点献上。
8点(2003-12-08 23:55:14)
279.  エアポート’77/バミューダからの脱出
個人的にエアポートシリーズの最高傑作と信じる本作は、なんと飛行機が海の中に沈んでしまったという奇想天外な設定。ほとんどタイトルの意味を失ってしまい、単なる密室サスペンス劇のバリエーションと化しているが、ジャック・レモンにブレンダ・バッカロ、オリビア・デ・ハビランドにジェームス・スチュワートなどシリーズ随一の豪華キャストにクラクラ。沈んだ場所がバミューダ海域というのは当時流行っていた世界のナゾ世界のフシギ系味付けにすぎず、特にストーリーに大きな影響はなかったような気もするが、まあそこはご愛嬌。海に沈んだ飛行機から脱出するのと、沈没船から脱出するのとどう違うのよ、という声も聞こえて来そうだが、飛行機って案外水中に沈むには不向きにできているのだという一つの教訓にもなる。114分のほとんどが海の中という非常に異質な航空パニック映画だが、これが売り物の絶望的な状態で織り成される悲喜こもごもの人間模様も、シリーズ中これが最も美しくてヨイ。まあこのへんでやめておけばよかったんだよね、というのもまた正直な感想なのですが。(以下次号)
8点(2003-12-08 23:21:24)
280.  ウインドトーカーズ
どうしてもジョン・ウーの雑な作りに馴染めない私だけど、この作品のベタベタな友情の美しさにはうっかりハマりました。ベタもここまでやると芸になるんですね。部下を死なせたトラウマに悩むニコラス・ケイジが、ナバホ人通信兵を「捕虜に獲られる前に殺せ」という条件つきで護衛するハメになる。このジレンマと戦うニコラス・ケイジの苦悩する姿を楽しむのが本来の鑑賞方法なんでしょうが、私としてはアダム・ビーチのピュアな魅力にメロメロ。さらにお情けでジョン・ウーからお仕事をもらい続けているクリスチャン・スレイターの、あわよくば復活を賭けた大芝居にも目が離せず、個人的には本題と関係ないところでうっかり評価が上がってしまったという感じ。やっぱりニコラス・ケイジは上手いです。特に好きでも嫌いでもないですが、この人のどんな作品でも真剣勝負な力一杯の演技には誠実さを感じます。たまに無駄に熱演しすぎて空回ってますけど、マジメな人なんでしょうね。そういう主役だから比較的安心してわき道に逸れられるというところも確かにあって、アダム・ビーチも新人ながら非常にマジメに一生懸命やっているしクリスチャン・スレイターもそろそろ1作1作が真剣勝負。みんなが真剣に一生懸命やった結果、ベタでクサい映画が誠意あふれるマジメな作品になり得たわけです。アメリカはネイティブ・アメリカンを迫害したのね、その上でここまで利用したのね、ってマイノリティの立場からこういう話をきちんと映画化したのは偉いです。ナバホは中西部の比較的温暖な地域で一大勢力を誇っていましたが、白人によってユタやコロラドの豪雪地帯に追いやられた不幸な民族です。でも暗号にキミたちの言葉が必要なんだ、と言われれば、アメリカ国民として必死に義務をまっとうしようとするマジメな人たちでもあります。必死で頑張るアダム・ビーチの姿に、普段あまり脚光を浴びることのないネイティブ・アメリカンの将来を背負った若者を観てしまうと号泣できます。アメリカが抱えている人種問題の中で、ネイティブ・アメリカンへの差別は見落とされていることが多いです。アダム・ビーチは将来政界入りしてネイティブ・アメリカンのために働きたいそうです。頑張ってもらいたいと思います。
8点(2003-12-07 15:07:35)(良:3票)
0121.86%
1121.86%
2172.63%
3264.02%
4304.64%
5517.89%
67611.76%
710416.10%
813120.28%
910115.63%
108613.31%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS