281. モンスターVSエイリアン
3D版鑑賞。最近では3D作品も珍しくなく、その映像の凄さにも慣れ、目も慣れてきたこともあり、キャラクターの面白さやストーリー自体を純粋に楽しめるようになった。子供向けだろうと多少なりともあなどっていたが、さすがドリームワークス。笑い所満載大笑いのまま見終える事が出来た。一緒に見た小学生の子供と、あそこが面白かった あのセリフはウケた と、延々しゃべってしまった。更には続編もあったら見たいね と言う話になり、とにかく親子大満足の作品だった。そういうわけで親子での鑑賞はお勧め。モンスター、大統領や将軍など人間、敵、それぞれキャラクターが立っているし、SFの要素も合格点をあげられる。続編が本気で見たい。 [試写会(吹替)] 8点(2009-07-12 16:57:04) |
282. スラムドッグ$ミリオネア
《ネタバレ》 冒頭はミリオネアらしく四択で始まる。どれどれ?どれが正解なの?なんて考えていたら…。拷問を受け過去を振り返るジャマール。蘇えった過去の記憶、それは疾走感に満ちた映像と音楽で語られ、逞しく輝く少年達の姿に、心は即インドへと連れ去られてしまいました。たぶんあの独特な音楽とスピーディに動くカメラには、脳内麻薬を分泌させるような効果があるのではないか。と思ってしまうぐらい、私の脳味噌は不思議な感覚に陥ってしまいました。ストーリーもそれはそれは出来すぎと言うほど良く出来ていた。過酷なスラムの生活を通して、度胸やハッタリを持ち合わせ、並大抵の運では生き抜けない地で育ち、生きていくための知恵や遊びの上で培った知識も身についていた。その上で番組に出演したのもその結果も全て「運命だった」と落とすところが何ともニクイではないでしょうか。オーディエンスのテレホンで再会を果たし、笑顔で「分からない」と言った二人がまた美しく、世紀の瞬間には兄さんが札束の中で散る、という演出もまたニクイ。とにかく最初から最後までよく出来ていて、派手さは無いのに実はもの凄く派手派手しく練られたストーリーに満足です。 [映画館(字幕)] 10点(2009-06-06 17:06:12) |
283. 舞妓Haaaan!!!
《ネタバレ》 サダヲ炸裂。好きな人は楽しめるし、好きでない人は鼻につくでしょう。いや、かなり好きな方の私でも、後半はちょっぴりお腹一杯なくらい、サダヲ、だけだった。普段存在感のある俳優さんたち(柴咲コウ、堤真一、伊東四朗、吉行和子、生瀬勝久)も出番が多い割りには何だか影が薄く、良くも悪しくもサダヲ、だけだった。拾いものは若い割りにふてぶてしい駒子さん姉さんでした。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-04-29 21:26:34) |
284. ブラザーフッド(2004)
朝鮮戦争の凄まじさは伝わるし、韓国映画の気合の入った映画作りも伝わる。チャンドンゴンとウォンビンの演技も凄く良いし、兄弟愛の絆の強さも涙を誘う。でも何か物足りない。残酷な戦争と兄弟の絆、そこだけをクローズアップさせ過ぎた結果、この戦争が持つ同民族同士の熾烈な戦いという切ない部分や、朝鮮半島が二分されたことに対する虚しさというか不本意さみたいなものが伝わってこないしあまり表現されていないのが難点。 [地上波(字幕)] 6点(2009-04-25 16:09:10) |
285. バーン・アフター・リーディング
《ネタバレ》 豪華でかっこいい俳優がこれだけ揃っているのに、一人ひとりがみんな普通に人間臭くおバカで、小さくまとまっているのがスゴい。計算されたショボさで、スケールの小さい話を無駄に大きくして、また小さくまとめてしまう。上手いなぁ。私が気に入ったのは以外にジョージクルーニー。エリートで人が良さそうで、でも何処か謎めいている…のかと思いきや、実は頭ん中エロとジョギングだけの浅~い男。ダサかわいいとでも言おうか。CIAはそんなおバカたちを器用に繋ぎ合わせ、事後報告で強引に収束させてしまう。何という力技。エンディングテーマの、♪すげぇ奴~CIAマン~ という歌詞が全てを表している。 [映画館(字幕)] 8点(2009-04-25 15:48:27) |
286. おくりびと
《ネタバレ》 死人で飯を食うと遺族から蔑視され、汚らわしいと家族から忌み嫌われ、自分でも納得いかないまま始めてしまった納棺士を通して、死というものを見つめなおすという着眼点が新しく、また清々しいものに仕上がっている。「死は門である」。死、そして葬儀というものを、誕生から始まり、例えばお宮参り、卒業式、成人式、結婚式、還暦…などと続く人生の節目の内の一つとして捉える。そしてその葬儀を厳かにけれど暖かく演出し、遺族の悲しみを少しでも癒すことが出来たら、納棺士とは素晴らしい職業だろうと思う。確かにここでのモックンはチェリストにせよ納棺士にせよ所作が美しく、そして嫌な部分はコミカルなオブラートで包み隠しているのは確かだが。賛否両論あるとしたら、キレイな部分だけ見せて美化しているところに否を感じる見方もある。しかしこの作品は納棺士の紹介ではなく、日本人特有の死や葬儀に対する姿勢や文化を世界に紹介し、また忘れかけている日本人に思い起こさせることに成功した。そういう作品として素晴らしく、世界で認められた功績も讃えたい。 [DVD(邦画)] 9点(2009-04-21 17:36:31)(良:1票) |
287. ベッドタイム・ストーリー
私の場合は、もっとファンタジーかと思っていたのに、ギャグコメディ色が強くて逆に面白かった。はじめはちょっとウザいと感じていた主人公をいつの間にか応援していたし、ギャグが多少ウザいくらいが退屈しなくていい。我が子も自分も、そして周りのお客さんもみんな一緒に声を出して笑って、とても楽しい鑑賞のひと時だった。そういう意味では映画館での鑑賞がお勧めで、DVDとなるとB級の臭いがしてしまうのかな、とも思うが、純粋な子供たちとその子供たちを大切に思う姿に、しっかりとディズニーらしさが出ていたと思う。 [映画館(吹替)] 9点(2009-04-03 14:05:43) |
288. 天国と地獄
私ごときが黒澤監督をどうこう言うのは大変おこがましいことですが、とにかく凄いと思った。何が凄いかって、やっぱり何をやるにも先駆者であるという事。貸切列車で一発勝負撮影のリアリズム、緊張感。事件の説明をこれまたリアルな捜査会議という形で見せる手法。どれも現代サスペンスドラマでは当たり前となっている事もこの時代に黒澤監督がやっていたから凄い。それでいて根底にあるのは、最も単純で最もスタンダードな「勧善懲悪」の世界なのである。しかしやっぱり新しいのはここに出てくる「悪」が今までに無いタイプの悪で、常識では考えられない形で身代金誘拐をやろうとする。これは原作のアイデアなのだが、その原案には無い犯人の人物像や、人間味溢れる警察の捜査など、膨らませていて、原作よりも断然面白くなっている。若き日の山崎努演じる犯人のラストシーンは本当に鬼気迫るものがあり、勧善懲悪から一瞬だけ悪に感情移入させられる瞬間が用意されているという終わり方も凄い。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2009-03-31 18:23:15) |
289. ベンジャミン・バトン/数奇な人生
《ネタバレ》 昔々とても変わった青年がいました~という感じのおとぎ話であることを前提に見ないと、とてもあっさりした作りで、物足りないかもしれない。例えば数奇な運命で生まれてきたベンジャミンの感情(主に苦悩)をもっと描いてほしい気もするし、そもそもそんな人間いるわけない、医学的にもありえない、なんて頭から突っ込みどころ満載なのである。おとぎ話といえば、アンデルセンやグリム童話、日本の昔話なんて奇人変人、鬼や化け物のオンパレードなわけだが、彼らの感情部分が語られるようなことは無かった。人魚姫や親指姫が数奇な人生を終始嘆いてはいなかったし、白雪姫もブレーメンも不思議体験をサラリとやり過ごしている。桃太郎もかぐや姫も、かなり変わった生い立ちの主人公と、その存在を案外簡単に受け入れる爺さん婆さんの話である。本人の感情よりも、爺さん婆さんが別れを惜しむところが感情マックスである。と、本作とあまり関係ないことを書いてしまったが、おとぎ話目線で見るとその物足りなさは逆にありがたく、いちいちリアルに苦悩するベンジャミンなんて見たくないというもの。変わった青年が普通の人間と出会い別れ、お互いに影響を与えながら認め合い共存し、最期は皆死を迎えるという、人生の当たり前を語っているおとぎ話なのである。 ひとつ、デイジーは晩年にベンジャミンを看取るまで生活を共にしていたのに、娘のキャロラインがそれを全く知らなかったのはなぜ?と少し疑問。 [映画館(字幕)] 9点(2009-02-15 10:04:12) |
290. 007/慰めの報酬
カーありバイクあり船あり飛行機ありと、アクションのフルコース。ちょっと目が回ったが。ボンドもカミーユもクールでかっこいい。その点では文句なし。 [映画館(吹替)] 6点(2009-02-03 16:37:29) |
291. ワールド・オブ・ライズ
《ネタバレ》 衛星画像を眺めながら、スナック菓子食いながら、現場のエージェントに指示を出すラッセルクロウ。こいつが面白い。彼は「ザ・アメリカ」。傲慢で軽薄で自己中心的。不謹慎でデリカシーが無く合理的。良いとこ無しだな。容姿も冴えない。でもラストシーンを見て寒気がした。すしを食いながら「監視はもういい、ヤツは既に一般人」と。モニターは世界中のCIAエージェントを映し出している模様。「ザ・アメリカ」はジャパニーズソウルフード・SUSHIを食らいながら世界中の駒を操り、作戦という名の殺戮を繰り広げている、というオチ。恐ろしすぎる。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-01-11 19:40:49) |
292. ムーンライト・マイル
《ネタバレ》 いったい何を言わんとしているのかが終盤まで分からない。死人に口無し、親子愛、家族愛、殺人事件の遺族感情、後始末の苦悩と困難、新たな恋と心の整理…。どこにスポットを当ててよいのか分からないまま作られてしまった感有り。で、結局のところは裁判で彼が涙ながらに述べた「真実は時に残酷だが、いちばん正しい」というのが最大のテーマだったのだろう。題材は良いのだが散漫な印象が残る。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-12-29 16:46:08) |
293. ウォーリー
《ネタバレ》 確かに予告編に見た途方も無い孤独感や、寂しさ、可哀そさはほとんど感じられないが、むしろ健気に作業をこなし、ごみの中から自分なりのお宝をコレクションして楽しんでいるウォーリー君の姿が微笑ましい。地球は錆び付いた鉄くずだらけで、そこに突然降り立ったイヴはピカピカで、宇宙船では地球人が奇妙な生活を送っていて、どれもわかりやすいマンガチックな世界だが、その映像の素晴らしさにはただただ関心するばかり。こんなに凄い世界をCG技術で作り上げてしまう地球人てスゲ~!人間最高!地球フォーエバーって変な角度からメッセージを読み取ってしまうくらい映像の凄さに感動した。ピクサーってそれでいいんだと思う。 [映画館(吹替)] 8点(2008-12-14 10:02:12) |
294. ことの終わり
神を崇拝するかのように恋に落ちる。つまり信仰と恋愛は同じようなもの、という前提でのはなし。しかし主人公達は嫉妬し苦しみ失い、そして神をも憎む。信仰と恋愛は切っても切り離せないということなのか。信仰心も熱烈な恋愛感もない平凡な日本人には馴染みの無い心理だが、時間軸が行ったり来たりして目線が変わっていく構成は面白いし、ジュリアンムーアもレイフファインズも美しく、大人の恋愛ドラマとしては良かった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-11 18:04:27) |
295. 私は貝になりたい(2008)
可もなく不可もなく。某模倣犯での過去を払拭すべく、SMAPリーダーはシェイプし坊主にし、真面目な一兵士を不可なく演じていたと思う。作品自体もドラマ史に残る文字通りドラマティックな素晴らしい作品なのだとも思う。それなのになぜか全体的に物足りない。致命傷はやはりラストを知っちゃってるところにあるだろう。矢野・石坂浩二中将が自分の罪を認め部下の解放を求めても、妻・仲間由紀恵が署名を集めても、鶴瓶が大統領に手紙を書いても、結果は分かっちゃってる。どんなに期待してもどんでん返しは決して起こらないのだ。映画としては致命傷。しかしそれを知っていても映画館に足を運ぶのは、やはり主人公の清水豊松という人物に感情移入しラストで号泣してやろうという期待からなのだが、残念ながら劇的な感情移入も号泣も私は出来なかった。配役や演技云々の理由だけでなく、淡白でやや時代遅れな脚本に物足りなさを感じてしまったのだろう。久石譲のドラマティックな音楽がどんなに盛り上げようとしても、淡白なセリフは心をスルーしていく。全編を通して心に残ったのは矢野中将の最後の言葉と、「貝になりたい」という加藤哲太郎の原作遺書の言葉だけだった。 [映画館(邦画)] 5点(2008-12-02 16:12:32) |
296. ハウルの動く城
つかみどころの無いハウルとつかみどころの無いストーリー。メッセージ性も無い。魔法とファンタジーと初恋、どれも説得力が無い(ファンタジーに説得力を求めるのは無理だが)。脈絡もとりとめも無い。とにかく無いもの尽くしのままラストを迎えてしまうがのだが、見終わった後、爽快感や躍動感のようなものが残像となって残るような不思議な作品であったことは確か。これが宮崎ワールドなんだろう。 [DVD(邦画)] 5点(2008-11-24 17:30:37) |
297. かもめ食堂
《ネタバレ》 ミドリさん(片桐はいり)が好き。というか一番現実的で共感できる。店の売り上げを上げようと色々試してみようとするところとか、それ当たり前にやることでしょ普通。でもサチエさんは、それを良しとしなかった。何か違うって言って。強情な人だなぁと思ったけど、結局サチエさんの理想どおり、近所の人たちがフラっと立ち寄る食堂が満席になって、まあ良かった。無理に自分を他人に合わせなくてもいい、世の中にはいろんな人がいるんだから。ずいぶん前の作品だけど、この考え方は今の時代そのもの。結局世の中そうなのか。それが良いか悪いかは私には分からない。何にしてもラストの井上陽水の歌声と、スナップ写真は良かった。結局ストーリーよりも全体に流れる雰囲気ときれいな色合いの店内、登場人物の笑顔が良いなっていう作品。 [インターネット(邦画)] 6点(2008-11-21 16:02:25) |
298. イーグル・アイ
度々既視感を感じながらも、畳み掛けるようなアクション、カーチェイスに最後まで興奮気味で鑑賞。あれほどのアクションを見せられると脳みそが一時的に麻痺するのだろう。とにかく最後まで圧倒されっぱなし、その勢いは一流だった。そう、勢いだけは。しかし鑑賞後冷静な脳みそに戻って思ってしまうのが、数々の疑問、辻褄の合わなさであり、そこが一流とは画するところである。シナリオ、背景の練りの甘さがどうしても否めない。後世に残る一流の作品は何度見直しても面白いが、見れば見るほど面白くなくなる感じの作品。 [映画館(字幕)] 6点(2008-11-09 21:02:16) |
299. P.S. アイラヴユー
《ネタバレ》 原作未読。全世界500万人が涙したベストセラー小説の映画化という知識のみ。劇場では普段見ないジャンルだが試写会が当たったので行ってきた。どんだけ泣けるラブストーリーなんだろうと半信半疑だったが、いきなりそうくるか。で泣きまくるわけか。かなり卑怯な泣かせのドラマだな、というのが最初の印象。だが映画全体は案外カラッとした雰囲気で、主人公ヒラリースワンク一人がいつまでもじめじめしている。アイルランドの美しい景色が、やさしかった夫そのもののように全てを包み込む。もの凄い包容力だ。孤独に陥った人もそうでない人も、実は見えないものや大自然や、いろんな種類の愛に包まれて生きているんだな、ということだろう。泣けるラブストーリーではなかった。原作を読んでみようと思う。 [試写会(字幕)] 6点(2008-11-08 16:47:27) |
300. カッコーの巣の上で
《ネタバレ》 とにかく怖かった。精神病棟という特殊で狭い世界の話のようで、実は現代社会の縮図なのではないかと考えてしまうと、とにかく怖かった。管理社会、管理依存、精神病。独裁(当時はウーマンリブの流れもあるのか看護婦長が強烈)、反抗(テロ)、自殺、洗脳、殺人、そして逃亡…。ロボトミー手術は心情的な洗脳よりもインパクト大で背筋が凍る思いがしたが、管理社会の象徴を「手術」に置き換えた表現は恐怖以外の何でもない。ラストの“チーフ”が幸福を掴んだか否かは知る由も無いし、自由が必ずしも幸福ではない、と言うメッセージとも取れる。そのラストをどう受け止めてよいのかが分からないほど、古い作品ながら現代社会に投石を投げ続けている作品だと思った。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2008-10-08 21:58:52) |