321. ライド・ライク・ア・ガール
《ネタバレ》 一人の人間の生涯を映画にするのってけっこう難しいですよね。起きた事柄を時系列ごとに並べただけでは‶他人事のイベント”を見せられる客は飽きてしまうし、無理に盛り上げようとして嘘になってもまたいけないわけで。 メルボルン杯で優勝した初の女性騎手のライフストーリーの本作は構成、演出とも平凡な印象を受けてしまいました。 ヒロインの勝気な性格はT・パーマーを通してよく伝わりますし、女だというだけで受けるセクハラや居心地の悪さといった逆境の描写は胸が痛みました。 でももっと映画構文としての山場があっても良かったのではないでしょうか。選手生命を脅かすほどの大怪我からの復帰劇しかり、優勝したレースのシーンしかり。そこ、映画のキモなのになあともどかしく思いました。馬が走る、それだけで画になる素材なのですから過去作品に倣ってもう少しわくわくさせてほしかったです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-01-11 23:23:34) |
322. 007/ロシアより愛をこめて
1作目のもっさり感が無くなって、打って変わって洗練されたスパイ映画に仕上がっています。この変わりようは何が原因なの、と思うほどです。 ロマの女同士の決闘場面やらベリーダンスやらは余興に過ぎる気もしますが、後半の列車内での対決場面から終幕までの疾走感あふれる演出でチャラになりました。殺し屋がつかず離れずついてくるサスペンス演出も冷やりとします。 S・コネリーボンドは渋さだけでなく、ユーモアの使いどころのセンスの良さに大人の余裕を感じさせて魅力的です。ボンドガールも美しく知的で、これぞ007映画の礎となった作品と思います。このあとに続くコネリーボンド作品がこのレベルを維持するのだろうと期待していた頃が幸せでした笑 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-09 23:18:33) |
323. バンテージ・ポイント
《ネタバレ》 多視点モノの醍醐味といいますか、角度を変えて事象を紹介されるたび「あ、そうだったのか」という‶分かる快感”が本作でも充分に堪能できます。ストーリー展開にもたつきはないですし、カーチェイスシーンも迫力ありで退屈せず観ることができたのですが。 なんとなく後味が軽いんですよ。スペインが舞台だしベテラン俳優多数起用でそれなりに華やかだし、爆発の火薬の量も十分。なのに米国大統領が狙撃されるという世界の一大事の割に、ずしっとくるものがないんですよね。 くどいほどに繰り返し見せられる起点から終盤までに起こったことは大統領撃たれる➞犯人確保だけで、話としてはそれだけなんですね。マッドマックス4も「行って帰ってくる」だけでしたが、かの作品に見られるようなキャラの造形力が全然劣るので誰にも入れ込みようがないし、各人のドラマも薄い。 あと苦虫噛み潰している顔のデニス・クエイドに今一つスターオーラが無いのはなんでだろう、とずっと気になりました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-01-08 18:03:42) |
324. しあわせの隠れ場所
《ネタバレ》 一人の黒人少年が白人後見人のもと、人生の大成功を収めたのだから「いい話」には違いないんですけども。 なんか、でも「いい話だー」、で終わらせることができないもやもやが心に残りました。あんな冬空にシャツ一枚で15歳の子が暖を求めて彷徨うなんて、もうアメリカ社会がマズすぎると暗い気持ちになります。マイケル一人だけではないのかも、です。わたしはそっちの‶白人に声をかけられることのなかった”黒人の子の気持ちになってしまいます。マイケルはいいよ、お金持ちの家に拾われたんだから。あいつは身体がでかくてアメフトに向いてるもんね。 実際リー・アンはスラムに出向いた時、その辺にいる黒人の若者らには同情の目もくれなかった。篤志家の線引きがすとん、と落ちるように映画では説明されていません。「何もしない外野がごちゃごちゃうるさいわよ」、と啖呵をきりそうなS・ブロックの演技にまかせっきりなのが脚本の怠慢にも感じました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-01-04 20:22:56) |
325. ディープ・インパクト(1998)
《ネタバレ》 タイトルからなんとなくエメリッヒタイプのディザスターものかと思っていました。大惨事の画は終盤にありますが、9割方は終末に直面した状況下の社会派群像劇でありました。社会派は言いすぎか。 TVキャスター、衛星発見者、宇宙飛行士らと目線を変えての人間ドラマが展開されますが、これが何となくテレビの再現ドラマのような安っぽさを感じました。M・フリーマンやR・デュヴァルら、役者は良い演技をしているので問題はありきたりな演出にあるのでしょう。 終末が迫ったらこうなるだろう、という発想のレベルが略奪・混乱・渋滞・自殺、と凡庸の域を出ずそのうえ画でパニックぶりを見せようとするあまり、津波からこちらに逃げてくる人々の図まで用意しています。あんなに前々から警告されていたにも関わらず避難が全然進んでいないというのはリアリティに欠けると思います。作り手の映画センスがぱっとしない作品だなあという印象です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-27 23:13:02) |
326. 007/ドクター・ノオ
007の1作目、初見です。アクションも展開も高速化している今の目で見ると、動きはやはりのどかに感じます。 島に渡ってからの、特に終盤はテレビの特撮モノを彷彿とさせるほどにチープですし、取っ組み合ってるシーンを真正面から撮ってるだけのカメラワークも芸が無いです。 だけど若きショーン・コネリーの色気あふれるダンディズムは1作目にしてシリーズ化を予感させる抜群のスター性を放っています。こんなに女性陣にモテモテでも違和感も嫌味もない、てのがさすがの一言ですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-21 23:15:49) |
327. ソウ2
《ネタバレ》 ソウ1作目の何が嫌だったって、メインの現場が汚いトイレだったこと。汚い便器と、ご丁寧にバスタブまであって黒っぽい水が澱んでいる。水廻りの不潔さが生理的な嫌悪感をキリキリと刺激して、画ヅラだけでやられました。その点今作は汚いことは汚いけど家屋内が舞台なのでちょっと気は楽。 死に方が相も変わらずえげつなく警察は無能で、大きなお世話な説教を犯人からされるしで全く気分の良くない映画であるのは前作と同じ。 けれど時間軸のズレに気付く余地はほぼ与えられないし、犯人以外の全員が時間経過とともに追い詰められてゆく仕掛けが念入りに施されていて、サスペンスホラーとして高評価を得ているのは納得です。 ラストに金庫がぱかっと開いた時の「ルールを守っときゃ良かった・・」という自業自得感はハンパない。刑事だけじゃなく我々も。ああー嫌な映画だわほんと。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-20 23:58:21) |
328. 悪い種子
《ネタバレ》 わたしは‶ハキハキおりこうさん女児”が苦手でして、なんというか子供ながら計算してんなーというのが透けて見えるのがイヤなのです。ところが世間の大人たちからはこういう子は評価が高く、ホメられる存在なのですね。 本作のローダはまさしく典型で父親や大家のおばさんは彼女をべた褒めです。端から見抜いているのは品の良くない庭師のおっさんという。私はおっさんなのだな。 おっさんは果敢にも勝負を挑み、あえなく返り討ちに遭います。そこまで邪悪性を読み取れていなかったのですね。この場面恐ろしいです。 パティ・Mが巧くて、目の笑っていない笑顔とか本音を吐くときの恐ろしい顔つきとか、震えあがってしまいました。母親に追及されてごまかす時の良い子ぶりったら。ぱっと表情を切り替えて甘えて抱きついてくる・・寒気がします。 その寒気と闘うのが実の母親というのがまた可哀想で。わが子への愛情とで板挟みになるナンシー・ケリーも悲壮感たっぷりのやや大仰な演技で見せます。 ところでヘイズ・コードって良くないですね。しょぼくれたラストとオマケは作品には全くの蛇足です。インコの件で大家に死亡フラグが立った時点でエンドマークを出すべきでした。怖い映画としての完成度がより上がったでしょうに。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-18 23:47:41)(良:2票) |
329. デッド・ドント・ダイ
《ネタバレ》 いやこれはさすがにジャームッシュファンといえど擁護し切れない・・。監督ったら、はしゃいでやらかした感がありますね。旧知の豪華キャストに囲まれて嬉しくなりすぎたのでは。エスターバリントまで出てくれたもんね。 コメディのさじ加減を間違えちゃってるもん。中盤まではジャームッシュ印のオフビート感とゾンビがまあまあ上手いことハモっていたのですが。A・ドライバーの真顔のおとぼけぶりとB・マーレイの悟った顔芸も良い味出してますしね。 でもなあ。なんぼなんでもティルダのUFO演出はないよ。無い。極めつけに台本発言。ジャームッシュ常連客もたじろぐよ。次作は気を付けてくださいね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-17 23:20:10) |
330. ジョン・F・ドノヴァンの死と生
ドラン監督自身の個人的思いが反映されているのだとか。 憧れのスター俳優に対する愛情がふつふつと感じられ微笑ましい。スターダムで苦しむキット・ハリントンと子役のジェイコブ・トレンブレイも母親役のナタリー・ポートマン(もうお母さん役なんだね!)も丁寧な良い演技をしているので、これといって何もない話のわりにはつり込まれて観てしまいました。 ただ、奇しくも劇中のインタビュワーの記者が言っていたとおり「世界中の紛争に比べれば、先進国にありがちな凡庸な苦悩」であることも確かです。ふわふわと個人的感興をまとめただけの作品とも言えますから、評価は分かれるのではないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-12-13 23:45:06) |
331. ブラック・クランズマン
《ネタバレ》 解決どころかトランプ元大統領の発言でむしろ後退に感じられる米国の人種差別問題、このジャンルの名手にしてベテランのS・リーが満を持してメガホンをとった感があります。 陰惨な話がごまんとある黒人差別をテーマにするにあたって、通底する怒りを重く沈めずエネルギッシュに前向きに刻んでゆくことのできる唯一の映画監督であると思います。 ブラックパワーを叫ぶ側もホワイトパワーの側もどちらも偏狭じゃない?と感じさせる筆致は相変わらずのバランスの良さ。飄々としたA・ドライバーとさくさくと軽いJ・D・ワシントンの二人の存在もリー味に大いに貢献しています。 物語から時流れて、現職大統領のお墨付きを得たとばかりに意気軒高なKKK。ラストのこの映像は監督の憤激そのものでありましょう。リアルな‶大魔法使い”その人を見ることになるとは驚きました。何十年もアップデートされないのですね、差別思想というのは。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-12-11 23:27:53) |
332. スキャンダル(2019)
《ネタバレ》 ♯Me Too のFoxTV版ですね。知性をもって仕事にまい進したくとも性的圧力と闘わなくてはならない女性キャスターたち。美貌に恵まれて学業にも秀で、優秀な人生を歩んできたであろう彼女らをもってしても、こーんなに下品でしょーもないスケベ親爺らの欲望から身をかわすことは難しいのですね。 もういいかげんにしろよっと全世界規模で女たちがキレたうねりを背景に、この映画に出たことでセロンやキッドマンといった大物女優も怒りを表明していることがよく伝わりました。 セロンの思慮深そうな雰囲気やキッドマンの尖りっぷりに加え、若いM・ロビーの受ける衝撃と三者三様どれも印象的で巧い配役だと思います。 ただ、米国人には周知の人物らも日本人のわたしには誰なのか理解に苦しいことが多々あって、多すぎる人物の整理ができていないことが観辛く感じました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-12-06 23:33:05) |
333. ハッピー・デス・デイ 2U
《ネタバレ》 続編はパワーダウン、という定説を覆す実に立派な2作目。B級だからとは決して侮れません。むしろ2作目3作目とコケていくA級大作よりずっと上等と言えるでしょう。 前作に盛り切れなかったディテールをより練り上げてきているのが感心です。というか前作がまるごと伏線です。1作目のエンドロールを見ながら「ところでなぜにタイムループするの?まあいいけど」とちらっと思ったのですが、まさか冒頭から物語の基盤である謎が氷解するとは。ちゃんと用意していたんだ。丁寧な仕事だなあ。 パラレルワールドの解釈も分かりやすいです。今度は時間軸プラス空間もズレる、その中でヒロインが成長する図は前作同様ですが描き方がより洗練されました。母親とのエピソードには不覚にも涙腺が緩みました。ハッピー・デス・デイでまさか泣くとは。 死の描写がキツイと思う向きもたくさんいるでしょうけど、‶爽やかさ”まで獲得した稀有なホラー続編の本作。自信をもっておすすめです。あ、1作目から観てね。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-04 23:23:48)(良:1票) |
334. ハッピー・デス・デイ
《ネタバレ》 たしかに一見ホラーなんですよね、一見。最初こそ、夜ほの暗いトンネルにぼうっと浮かぶオルゴールや、気色悪い面を被った得体の知れない攻撃者といった定番ホラーな画を用意していますが、だんだんと困難にめげずに何度も立ち上がるヒロインってもはやスポ根な展開に。これは読めませんわ。 やけくそになった彼女のはっちゃけぶりはコメディとしても水準の高い笑いを提供していますし、「死」を扱ったブラックユーモアと捉えても、かなりの振り切れ具合です。 そして欲張りなことに、無茶なストーリーの中にもヒロインの人間的成長を織り込み、かつ成功しているのがスゴイところ。 あらゆるホラー作品を経験したのち鑑賞すると、この作品の懐の深さがより良く分かります、きっと。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-02 23:27:13) |
335. TIME/タイム
《ネタバレ》 ‶ガタカ”の監督にしてこのずっこけぶり。映画作るのって難しいのね。 テーマがよく分かんないもん。不死を手に入れることの不幸せ、という逆説的な哲学に切り込みそうでいて話が進むにつれて男女の逃避行オンリーになっちゃう。この二人義賊を気取ったボニー&クライドのつもりかもしれないけど、全然違うのは刹那的でないこと。だって奪うのが「生命」なんだもの。強盗を繰り返したってそれは本物の命がけにはならない。だからどきどきもしないし、だらっとした筋運びには閉口しました。 追う側のキリアン・マーフィーの雑魚な扱いもなんとかならなかったのでしょうか。 時間を通貨と同義にするアイデアはいいとしても、そこからイマジネーションを広げられなかった残念・Jティンバーレイク映画です。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2021-11-29 22:31:43) |
336. 無法松の一生(1943)
戦時中にこんな映画が創られていたことに、日本人として誇らしくなる思いがします。どんなに松五郎が無教養かつ無法でも作品に品があります。人としての性根の美しさにぐっときます。 阪妻の役者ぶりは言うに及ばず、スクリーンの中での映像表現をよく心得たカメラ、演出がとても洗練されています。松五郎が引く車の車輪、オーバーラップするその回転が止まった時、松五郎の人生も幕を下ろす。その一瞬で全てを説明し尽くす見事な一コマです。 園井恵子がとても美しいです。結い髪があんなにも美しく似合う女優さんを初めて見ました。彼女を失うことになったのも、無粋な検閲カットもすべて戦争のせいと考えるとたまらない思いがします。 あの時代、米国映画は豪奢な大作で世界を圧倒したけれど、日本はまた別次元の情感あふれる美しい映画を世に送り出していたのですね。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-11-28 23:40:33)(良:2票) |
337. スケアリーストーリーズ 怖い本
《ネタバレ》 画が湿っぽくて暗い。この雰囲気がギレルモ印、ティーンが主役ですが、ジュヴナイルものにしてはキングのより爽やか成分が少ないですね。十代の子が二人帰ってこないのはなんとも理不尽だし。 画ヅラで怖がらせることに成功しています。案山子や顔バランスのすごく悪い白い女の造形力は、ホラー化け物百出の現代においても卓越していると言えるでしょう。 そもそも図書館の古ーい本て、なんかちょっと怖いですもんね。そこにリアルタイムに赤文字が綴られてゆく。感受性の若い小学生が怖がるツボを正しく突いているなあと思いました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-27 23:08:32) |
338. 私の中のあなた
《ネタバレ》 長女を救うため、適合確実なドナーを得るべく二女をもうける両親。必死な母親はキャメロン・ディアス。しかし二女は臓器提供を拒否、親を提訴。 物凄い設定を持ってきたものだと思いました。二女アナの自己防衛の気持ちはもっともだし、しかし‶姉を見捨てる”という葛藤と非難に耐えなければならない。母親もまた、一人の病児を助けるためもう一人の我が子の臓器を取り上げることが並の精神でできるものなのか。 難病を背景に、最難度のハードな課題で幕開けした物語。ものすごく考えさせられながら見守っていたのに、「いや、実はそうじゃなかったんですヨ」と急にハンドルを切られました。作品としてテーマを提起しておいて、何の回答も用意していないのはズルいです。 妹のドナーとしての苦しみや母親の心理にはほとんど触れず、ありきたりの闘病モノの描写に終始しており騙された気分です。 お姉ちゃんは別に妹を使わず、自分で意志をはっきり表明すれば良かっただけのことでは。今後の母と二女の関係が良好に進むとは思えないのですが、そこらへんもまあご都合良く小奇麗にざっとまとめましたね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-11-22 23:17:29) |
339. 落穂拾い
《ネタバレ》 現代の落穂は市場で売れ残った食材の数々、廃棄された‶傷んでない”食べ物。それらを拾う人々を追いながら、でもサステナブル社会への転換を声高に主張するわけでもない筆致。アートなセンスを強く感じさせる散文詩のような作品で、訴えもふわっとしています。 時折ふっと挿入されるのは名画だったり自分の手だったり。トラックの車列を追い抜いたり抜かれたりするシーンは普通のドキュメンタリーなら不要としてカットされるでしょう。 「社会」の実相を描いたジャンルのものでは米映画の‟ノマドランド”的な描き方の方が分かり易く、ストレートに響きましたが。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-21 23:14:04) |
340. 駅馬車(1939)
《ネタバレ》 娯楽映画の大先輩。一体何本の後世作品に影響を与えたか、もはや計り知れない名作でありますね。本作が作品賞を他作品(風と共に去りぬ)に譲った40年のアカデミー賞はほんとに凄いラインナップ。熱かっただろうなあ。 8人にもなる主要人物のキャラ立ちが実にしっかりしています。今観るとステレオタイプにも感じるのは本作をお手本に量産されてきたからでしょう。 クライマックスのインディアン襲撃シーンは‶馬車が速い”ことを体感できます。これはどういうカメラマジックなのかしら。今のカーチェイスを観ているよりもよほど疾走感を演者と共に感じることができます。インディアンが追い付いてきて横並びになった時はとても緊張しました。‶マッドマックス4”を経験した今でも尚。 粋なラストも観客皆を幸せにしてくれる偉大な先駆作。J・ウェインやヒロインがタイプじゃなくとも大丈夫、楽しめます。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-11-20 23:40:31) |