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どっぐすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 86
性別 男性
自己紹介 日本人なので邦画好き!
淀川先生のように、いつまでも「きれいですね~」「すごいですね~」と映画を楽しみ続けます。
不幸にしてつまらん映画を見た後も、シネマレビュー見ると爆笑ネタになって、HAPPYになります。「いや~、シネマレビューって本当にいいもんですね」あ、コレは水野御大・・・

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21.  蘇える金狼(1979) 《ネタバレ》 
1シーン1カットの緊張感は松田優作に限らず、役者さんたちの勢い、スタッフの勢いを感じます。 今ではなかなか作りにくい不道徳な内容なのに、とにかくかっこよく、面白い。 あらゆるシーンで、セリフ回し、役者の演技が印象に残っている。 役者の魅力を最大限に活かすための、1シーン1カットの演出は本当に楽しいです。 命を賭けたシビアなシーンでも楽しいのは、役者たちのユーモアのある演技に他なりません。 有名な岸田森のエルボドロップ、明らかにNGであっても勢いで許されてしまう空気って、今の映画には見られない魅力です。 この映画、ストーリーより「役者」を楽しむ映画です。一人一人の役者の演技が実に印象に残ってます。 仙元誠三カメラマンの素晴らしいカメラワークも印象的です。 アクションシーンを1カットで見せるアクション映画って、役者の力量がなければ絶対にできないし、今の映画には無いリアリティがあります。 最近、DVDで観ていて、カウンタックのディーラーが村川透監督だったと初めて気づいた。 このディーラーの反応もリアルで印象に残っていたのである。 ディーラーが「せんげんです」と言う意味がわからなかったのだが、「仙元」だったのですね。 こういう遊びがあるって現場に勢いがあった証拠です。 この作品、昔、文芸座の上映で観客が大笑いしていたのを思い出します。 映画館で観て、ハードボイルドだけど、自分と同じように笑っていい映画なのだと思えました。 アラは多いかもしれないが、ハードボイルドであっても、笑いがあり、役者の魅力を堪能できる名作だと思います。
[映画館(邦画)] 9点(2003-09-02 12:46:33)
22.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
例えば初代の「ゴジラ」、84年の「ゴジラ」、そして「シン・ゴジラ」など、 過去のゴジラが単体で登場する作品では、ゴジラが街に散歩に来たら人間から理不尽に攻撃され、 怒って反撃するという流れであったことが多いと思います。  ところが今作では、ゴジラが明確に人間に対して敵意むき出しである点は、実は斬新ではないかと思います。 また、人間ドラマがこれだけ濃いゴジラ映画というのも、初であろうと思います。  多くの方が称賛する特撮も素晴らしいですが、今作で印象に残ったのは、音響、音楽。 IMAXで観たのですが、鳴き声、足音などの音響は凄まじかったです。  そしてゴジラファンなら誰もが気にする、あのテーマ曲が使われているか、 まさにドンピシャのタイミングで鳴り響き、ファンにとっては至福のシーンとなっていました。 過去の音源を使用した「シン・ゴジラ」と違って、今回は新録音ですが素晴らしい編曲と演奏です。 非常にマニアックな話ですが、1983年、「SF交響ファンタジー」初演の熱い演奏を多分に意識していると思われます。 熱い音楽で定評のある佐藤直樹ならではの編曲だろうと思います。  以下ネタバレです。  過去の戦争における非常にデリケートな問題ですが、 当時の航空服を着て敵に突っ込んでゆく主人公が勇ましく見えてしまうのは、 少々、自分にとって違和感がありました。  また、ラストシーンは過去の某作品そのまんまであるし、続編を意識した怪物映画の定番であるが、これは蛇足だったと思います。 今回は人間ドラマが濃いだけに、それまで描かれていた人間の努力の尊さがひっくり返されて興ざめです。 素直にハッピーエンドで良かったのではないかと思います。  こういう多少の不満点はあるにしても、 ゴジラ映画史上、かなりの上位に入る出来栄えで、特撮についてはベストと言って良いでしょう。  もはや着ぐるみというのは過去の遺産となってしまい、 等身大の着ぐるみをいかに本物に見せようとするかという面白さがなくなってしまったのは寂しいですが、 昭和の時代からの特撮映画の歴史を鑑みると、日本の特撮もハリウッドに全く劣らず、ここまで来たかという感慨があります。
[映画館(邦画)] 8点(2023-12-20 08:18:47)(良:1票)
23.  i 新聞記者ドキュメント 《ネタバレ》 
まず映画として面白かった。 メディアに興味のある方なら記者がどういう仕事をしているか、新聞記事がどのように提供されているか、 単純にそのドキュメンタリーとして面白い。  今の政権がメディアを巧妙に利用していることは数年前から如実に感じていたが、 先日、「桜を見る会」問題が発覚し、朝のワイドショーをひとしきり賑わせた直後、 突然、緊急事態でもない不自然な速報テロップが連続して流れて驚いた。 「景気判断が上昇」「ハンセン病家族補償法案を提出」といったニュースである。 政権の悪印象を払拭するための、なんというわかりやすい情報の出し方だろうと思った。  先の参議院選挙の某局の特別番組では、この映画で登場する政治家の生い立ち再現ドラマという信じがたいコーナーがあった。 選挙報道番組が堂々と政党の宣伝番組と化している。 政権と関わりが深いと言われる企業が、この番組のスポンサーとして入っていたことと無関係ではあるまい。 (有名なホテルのCMが流れてました)  この参議院選挙では、自分の世帯に選挙公報が届かなかった。 広報を配る町会の役員の名前をネットで調べたら、ある政党所属の市議会議員の名前があった。 町会に理由を問い合わせても全く取り合ってもらえない。 確実に今の世の中は、かつてないような、おかしなことが起こっている実感がある。  話をこの映画に戻すと、テレビでは発言を許されない人たちが多々見られるのは興味深い。 実際、この映画で出てくる事件、問題は全く解決しておらず、「終わったこと」「無かったこと」にされているだけである。 辺野古の赤土の問題も初めて知った。 特に印象に残ったのは、先の参議院選挙、秋葉原で某政治家が登場するシーンである。ゴージャスな音楽が流れ、ショーと化している。 たまたま現場に自分がいたら正直、カルチャーショックであろうと思う。 公共の場で一人の政治家がここまで祭り上げられる演出が行われているのは不気味に感じざるを得ない。  編集としては露骨に意図的に感じる部分もあったが、意図的ではないドキュメンタリーなどありえない。 おかしいものはおかしいと言うこと。それは子供の態度ではなくはるかに大人の態度だと感じる。 返す刀のようだが、この記者の行動を見て、いわゆるヒーロー、ヒロインに仕立て上げてはならないようにも感じた。 この人は職務に忠実で、職業上の信念としてあたりまえのことをやっているだけで、この人が表に出てくるような状況こそがおかしいのだと思う。 マスコミも様々な不作法をしてきた歴史があるから自分は全面的にマスコミの仕事を支持するというわけではない。 なので、善対巨悪で割り切るかのようなアニメーションのシーンは余計に感じる。  しかし自分はこの人が注目されたことによって、メディアに多少の希望を感じたことは事実である。 自分は長年、ソーシャルサイトでニュースを見てきたが、罵詈雑言のコメントが目に入るのに辟易し、精神衛生上も良くないこともあり、 最近は新聞をネット契約して雑音のない記事を読むようにしている。どこの新聞とは言わないが。 誠実な仕事をしている人たちには、自分ができる範囲で対価を払って報いるべきだと思ったからだ。 誠実な情報にきちんと対価を払うことで、少なくともメディアが良い方向に行けば良いと思う。  ネット上の得体のしれない人たちが何を言おうと、個として自分はこう考える。 この映画はリアルタイムで改めて今の日本の政治のあり方について考えてさせてくれます。
[映画館(邦画)] 8点(2019-11-28 02:19:39)
24.  惑星ソラリス 《ネタバレ》 
久々にブルーレイで鑑賞したが、映像が鮮明なだけに大昔にVHSで観た時より堪能できた。 (ブルーレイの画質、色味に批判的な意見もあるが、それでも美しいと思う) こういう作品は理屈でわからなくてもいいのだと思う。じっくり不思議な時間を体験すればいい。 芸術を楽しむコツは、観ている間はあまり考えずに、じっくり観て聞いて感じることであろうと思う。 この作品は劇映画というより、オペラや能と同じ類だと思う。  首都高のシーンに象徴されていると思うが、科学の発展によって人間の生活テンポは限りなく早くなり無機質になってゆく。 人間は、もともとどうやって暮らしていたか、どういう生活のリズムを持っていたか、 度々回想される主人公の家庭のシーンが表現しているように思う。  なにしろアメリカと宇宙開発、核ミサイルの数で競っていた70年代のソ連である。 体制批判と取られないような表現で、この作品を作ったことは相当すごいことであるように思う。  「恥を知らなければ人類は滅びる」自分はこのセリフが最も印象に残る。 現にこの国でも科学に対する盲信が原発事故を起こしてしまったのだとはっきり思うし、 こういうことを予見していた映画だと今の自分は解釈する。  解釈は人それぞれで良いと思うし、多くのハイテンポな映像ばかりに溺れるのではなく、じっくり「時間」を体験するということは若い人たちにおすすめしたい。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-08-02 00:59:16)(良:1票)
25.  ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 
出だしからエンドロールまで、前作以上に日本のゴジラへのオマージュたっぷりで楽しめました。 ゴジラという名前だけをパクられた90年代のハリウッドゴジラとは隔世の感があります。 日本のゴジラファンなら、昭和から平成の世代に渡って「あ、このネタは・・・」と思い当たるところが多々あると思います。 ハリウッド映画でこの音楽が聞けようとは、スタッフの怪獣映画愛が尋常ではないです。 正直、何が起こっているのかわからないほど、アクションシーンが激しすぎる感もありますが、 ここまで「特撮映画」に敬意を払って頂いているので、甘々の点数です。
[映画館(字幕)] 8点(2019-06-04 00:37:51)(良:3票)
26.  華氏119 《ネタバレ》 
ここ数年、この国では以前は決して起こらなかったような現象が起きている。 マイケル・ムーアはトランプによって目覚めさせられたと言っているが、 自分もここ数年の間、某政治家のおかげでこれほど政治に関心を持ったことはない。 最低限の行動として選挙には必ず行くようになった。 民意が反映されていない選挙制度(投票数でトランプは確実に負けていた)というのも驚きだったが、この国はどうだろうかと疑問に思う。  フリントの水道水の問題は痛ましく衝撃的であるが、 間違いなくこの国でも似たような問題が起きている。それは拝金主義と差別に起因するものだ。  ドイツに独裁者が生まれてしまった過程の考察も興味深い。 この映画に登場する歴史学者が語っているように、歴史を知ることの重要性は多くの知識人、文化人が語っている。 自分も歴史の事件の結果、ディティールに意識がいきがちであるが、重要なのはそれが起こった過程から学ぶということである。  不勉強な自分は、アメリカは民主主義が最も進んだ国だとなんとなく誤解していたが、実は民主主義を体現することが理想であって、実際は民主主義が機能していないという話も実に興味深かった。  今の時点でこの国がアメリカより優れていると思えるのは、銃がスーパーなんぞで買えない、持てないということだ。この点だけは本当に幸せだと思う。  この映画の見解に賛同するかは人それぞれでいいと思うが、アメリカで起こっていることは日本でも少なからず起こっているという実感はある。  この映画はこの国に多くの示唆を与えていると思う。
[DVD(字幕)] 8点(2019-04-19 00:56:23)(良:1票)
27.  蜩ノ記 《ネタバレ》 
カメラが無駄な移動をしたり、奇をてらったアングルや小細工をしない(ように見せるために相当な細工と苦労をしているのであろう)1カット1カットの緊張感が素晴らしい。 合成など一切しないと思われる風景も、今の時代には相当難しいことであると思う。 観客にカメラの存在を意識させず、時代劇で描かれるその時代にはありえない視点や動きを排除した黒澤演出を見事に受け継いでいると言っていい。 黒澤監督と比較ばかりしてはもはや失礼であろう小泉監督の演出スタイルは今の時代には貴重である。 自分はこれを見た後、黒澤監督より、ふとキューブリック監督の「バリー・リンドン」を思い出した。 ストーリーと関係なく、例えば踊りの動きや、殺陣の動き、立ち居振る舞い、家の間取り、食べるもの等に見入ってしまうことがあり、おそらく過去の時代にはこのような生活と時間の流れ方があったのだろうと思わせる、ドキュメンタリーのような雰囲気が楽しめました。 映画館で様々な予告編を見ていると、めまぐるしい映像に目が痛くなってくる年頃になってきましたが、「正攻法」とは何かということを改めて示してくれたと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2014-10-09 22:43:04)
28.  春を背負って 《ネタバレ》 
どんな映画も見終わった後、時間が経つとあれこれ考えてしまうものだが、やはり見終わった後のこの清々しさは大事にしたい。 原作を先に読んでいたのでキャスティングが明らかに自分のイメージとは違っていたのが不安であったが、映像になってみると、このキャスティングはあざとくも感じるがアリであると思いました。 厳しい自然の風景と対比するような「前向きな顔」というのは映画的に必要だったのだと思います。原作のエピソードを大幅に構成し直して「何が映画的であるか」を抽出したような作りになっていると思います。 原作で描かれていた山小屋経営の事情や、登山客のエピソードにはあまりつっこまず、挫折を味わった人々の回復というものがあまり描かれていないように感じるが、そこは文学の仕事であると言わんばかりに、圧倒的な風景と登山の過程、山小屋の描写は原作から持っていた自分の曖昧なイメージを遥かに凌駕してくれた。 ドラマの背景に山があるのではなく、風景がドラマを内包しているようなカメラマン兼監督の独特の視点は「剣岳」に続いて健在に思います。 この映画を見て、安直に素人が高山に登ろうとするのは危険に思うが、やはり「登ってみたい」と思える清々しさは確かに感じました。  
[映画館(邦画)] 8点(2014-06-19 22:10:05)
29.  遺体 明日への十日間
冷徹なる事実を前に「映画」としての評価は出来ない。 この映画の登場人物たち、いや、あの日あの場所で働いていた人たちの思いと同じように、この映画のスタッフ、役者たちは、映画の職人として役者として、「自分にできることは何なのか」と自問しながらこの映画を作ったであろうと思います。 娯楽的なサービスを提供している職業人は、こういう時に全く無力な存在であると、自分もこの震災で思い知らされました。 この、もどかしい思いが、この映画になったのだと思います。 なぜか感情移入して泣ける映画ではないというのは、「泣かせる」映画ではないからだと思います。 この映画を見て自分に出来ることは、ただ、手を合わせることだけです。
[インターネット(字幕)] 8点(2013-08-07 00:36:09)(良:1票)
30.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
宮崎監督としては、今までと違う手法の作品であることは間違いないです。 子供を意識していないためか、客が見たいものを見せるより想像させる描写が多く、夢のシーンを除いたらすごく普通の大人向け映画です。 情感あるシーン、盛り上がるであろうシーンも過剰にならず、ひっぱらずに早いテンポで物語は進みます。 言葉でメッセージらしきものを語ることもありません。 主人公の行動を見ていると、監督自身の自伝でもあるような感じがします。 途中で始まり、途中で終わるかのように余韻は感じませんが、すなわちそれが「生きること」でまだ先があるというメッセージのように思います。 2度3度見て味わい深く、子供にはよくわからんけど印象に残るような作品に思います。 宮崎監督が初めて大人の視点で映画を作ったということは、逆に子供向けの映画では主人公の2,3日の行動にベッタリつかないと子供はついていけないという手法の違いを見せてくれたことで勉強になりました。 声優、音響など宮崎監督ならではの試みもありますが、成功しているかは別として自分はこの考えは肯定します。 しかしヒロインの端正な顔はもう飽き飽きです。美人って人の数だけ細い美人やふっくらした美人やタレ目の美人もいるのに、ジブリ作品の美人は同じ役者が衣装を変えているだけのように見えてしまいます。  子供の描写はおそらく世界一なのに、絶世の美女となるとどの作品も同じ顔になってしまうのが、不満ではあります。 しかし単純に泣けたいうことでは語れない密度を持った作品であると思います。  何が起こっても状況を受け止めて行動している主人公の描写、悲惨な震災や戦争に対して不平不満を言わず(そういう描写は省かれている)一歩引いた目で「状況」として捉えて行動している描写自体がメッセージのように思います。 紙ヒコーキのシーンは実に映画的な名シーンだと思います。 
[映画館(邦画)] 8点(2013-07-24 02:21:03)(良:1票)
31.  幕末太陽傳
遅ればせながらデジタル修復版の存在を知り、初鑑賞。 川島雄三監督も初鑑賞。 軽快な喜劇でありながら、役者も美術も実に豪華。 正直、一度では人物関係が理解しきれなかったのだが、2回目でますます面白く、絵の端っこまで発見があった。舞台は今で言う飲食店でもあるので、食器の小道具や、役者たちの物の食べ方、飲み方、タバコの吸い方を見ていると、江戸時代はこんな生活だったのだろうという、ドキュメンタリー的なリアリティを感じる。 客室、台所、階段、桟橋などこの遊郭の美術空間が実に面白い。 海のそばで、御殿山の近くという地理も面白い。(googlemapで調べたら今はコンビニのあるビルであり、当時の面影もない) 昔の日活といえば、荒唐無稽なアクションや軽薄な青春映画というイメージを勝手に持っていた自分が恥ずかしい。巨匠は黒澤・溝口・小津ばかりではなかったのである。 こんな密度の映画が、山のように作られていた時代が今や信じがたい。 去年、デジタル修復版の上映が終わってからネットでこの映画の存在を知ったのだが、こういうリバイバルはどんどんやるべきだ。 自分は劇場で観られなくて残念だったが、日活の宣伝サイトのカラフルなイメージを観て、ものすごく観たくなった。懐古的ではなくまるで新作であるかのようなうまい宣伝だ。(フランキー堺ではなく、女優を全面に出したイメージもずるいけどうまい) 古い映画には今の映画には失われたものがある。今の時代に無いということは、今の時代に新鮮なものがあるということだ。こういう切り口で昔の傑作をどんどんリバイバルしてほしい。 創立00周年やら、生誕00周年といったイベントではなく、定期的にこういうリバイバルをやっていれば、きっと映画館はもっと面白くなるはずだ。    
[インターネット(字幕)] 8点(2013-02-13 00:19:44)
32.  黒部の太陽 《ネタバレ》 
かつて映画は映画館だけで観るために作られていた。 ビデオやDVDで既に知っている映画をリバイバルで観るとそれを実感できる。 自分の場合は例えば、「アラビアのロレンス」であったり、「七人の侍」であったり、「地獄の黙示録」といった作品だ。 これらをスクリーンで観たとき、自分はその映画の魅力の10分の一ぐらいしか体感していなかったことがよくわかった。 「黒部の太陽」はこれまでDVD等で目にすることはできなかったわけだが、この度、東劇のスクリーンで観られたことは幸運に思う。 ただ自分は、以前、実際に黒四ダムに足を運び、本作が観られない故に、原作や熊井啓監督の著書、脚本を読み、最近のテレビドラマも観たりと事前の情報を仕入れすぎていたので、すべてにおいて先が読めてしまったのが残念だ。 電気事業者のPR的映画でもあるので、今の社会状況を考えると複雑な気持ちでもあった。 個人的には衝撃や感動は薄れてしまったが、やはりこの映画、スクリーンを前提とした確固とした撮り方をしている。 会話に合わせてカメラが絶妙なタイミングで移動したり、テレビドラマ的な考えでは当然カットバックで見せるような会話のシーンで、三船や裕次郎のアップだけを執拗に長まわしで見せる撮り方は無駄がなく緊張感があり、風格を感じる。綿密な計算とリハーサルに基づいた「映画」の撮り方だ。 音の使い方も印象的だ。 雄大な風景もまさに「絵」がドラマを語っている。人夫が断崖絶壁を歩くシーンは怖すぎるし、大出水シーンでは役者は演技どころではない迫力だ。 東劇の観客は、当時を知っているであろう御高齢の方がほとんどであった。上映の宣伝が懐古的で、うまい宣伝ではないと思う。 年寄りの自慢話であっても今の若者が観る価値はあると思うのにもったいないことである。 かつて黒澤明監督が、日本映画に客が入らないなら昔のいい映画を流せばいいじゃないかという発言をしたことがある。 映画会社もそれで儲かるはずだと。 そうなのだ。名画座や懐古的な特集上映ばかりでなく、スクリーンで観る価値のある映画を、新鮮味のある切り口で宣伝して、定期的にリバイバルしてくれれば映画館はもっと楽しくなると思う。 今の若者にとっても新鮮であるに違いない。  裕次郎の遺志は、多くの映画人の遺志でもあると今回の上映を観て考えてしまいました。
[映画館(邦画)] 8点(2013-01-31 22:10:46)(良:1票)
33.  キネマの天地
ネット上のいろんな人の評価を読んでも、評価がいまひとつなのは実に不思議だ。 素直に感動している自分はやはり頭が悪いのだろうかという変な疑いを持ってしまった。 20年以上ぶりに観たら、脇役のエピソードなど実に細かいところまで覚えていたままであった。 オールスター映画であるので、実にうまく脇に至る配役がなされていたとしか言いようがない。 僅かな出番の役者のエピソードや表情までも実に印象に残っている。 この映画は公開当時、年2回の「男はつらいよ」を休んで製作された経緯があるが、当時、毎回「男はつらいよ」を楽しみにしている観客に向けたような、渥美清、倍賞千恵子の人物配置とやりとりが絶妙に感じる。 前田吟、吉岡秀隆の配置も「男はつらいよ」そのまんまであるし、前田吟の渥美清に対する僅かな台詞のニュアンスも「男はつらいよ」そのもので笑ってしまう。 「男はつらいよ」は休みだけど、この映画にも「とらや」の面々はいるから楽しんでねというサービス精神。 当時のリアルタイムな観客にサービスしようという精神ってすごく大事に思う。 この人物配置を違和感なく別の映画にはめ込むテクニックというのは、プロにしか出来ない技だ。 こういうさりげない遊び心って今の映画にすごく欠けている気がするのである。 多くの評価を読むと「散漫である」という感想が多いが、自分はそうは思わない。 そもそもこれは映画を愛する人達の「群像劇」であり、映画を愛する人達を軸にした「青春映画」である。 断片的なエピソードの積み重ねの中で、愛すべき各々の人物の描かれない裏側や行く末を想像するのが群像劇の楽しみ方だと思うのである。 幹となる田中小春のストーリーも必要十分に思える。田中小春だけを執拗に描いていたら生々しく、刺々しい映画になったように思う。 20年以上前、大人の映画に興味を持ち始めた頃、映画の成り立ちや、時代背景、観客がどう映画を受け止めていたか、これを観てすごく勉強になったことを感謝している。  つまりは自分は映画が好きだから映画への愛を描いた映画には甘くなることは白状します。
[インターネット(字幕)] 8点(2013-01-25 01:30:48)(良:2票)
34.  007/スカイフォール 《ネタバレ》 
毎度毎度、楽しみながら不満もあるし、完璧な名作など出来ようもないのでそのつもりで観ていたが、今回の古風な演出はすごく楽しめました。 超人的で過剰なアクションは冒頭のお約束アクションのみというのは、007に限らず最近では珍しい。 全体的に地味なアクションシーンが続くのですが、この監督、今のアクション映画でありがちなケレン味がなく、1カット1カットしっかりした撮り方をしている所が好感持てました。 つまり今回は、アクション映画というより、スパイが置かれるであろうシチュエーションを大事にしている演出と脚本です。 例えば地下鉄のチェイスでも、絶対人間には無理というアクションではなく、出来るかもしれないと思わせる所で抑えているが、ドラマにサスペンスがきちんとあれば地味でも楽しめるし、予算をかけなくてもちょっとしたアイデアで驚かせたり出来るというシーンが多々あります。 こういう演出は007だからこそ、古いと批判を浴びながらも伝統として守っていって欲しいなと思います。 後半はさすがに長く感じた。いつもなら世界の危機を止めるためにアクションが過剰になる所を、何故個人を守るためのアクションになっていくのかと思ったら、ああいう結末が待っていたわけですね。 2作前のボンドの誕生から一回りして、次回はまた荒唐無稽な方向に行くかもしれませんが、1作ごとにありえない方向に行ったりシリアスに戻ったりするというのもいいのではないかと思います。 あと、軍艦島は見た瞬間に「あ、軍艦島だ」と思ったのですが、日本人としてこういうロケ地が選ばれるのは嬉しいです。 音楽は定番のデビッド・アーノルドが降板してしまいましたが、トーマス・ニューマンの音楽も実に過不足無く007ぽい音楽で良かったです。
[映画館(字幕)] 8点(2012-12-04 22:26:23)(良:1票)
35.  終の信託 《ネタバレ》 
観た後、うまく頭が整理できない重さを持った作品でした。 人生には仕事上でもマニュアルに沿って判断できない事がある。 この映画では、主人公は法によって裁かれてしまうわけだが、この映画では、仕事においても私生活においてもあらゆる局面においてマニュアルを用意しなければならない社会の不毛を感じる。 自分の仕事においても、問題が起こるたびにマニュアルが増えていく経験をしているが、マニュアルができることによって個々のケースで矛盾が生じることも、マニュアルの情報量が増えることによって個々の判断力が弱くなるという面も経験している。これから社会の中核を担っていくのは、かつてマニュアル世代と言われていた人々なので、どんなことでもマニュアルにしようとする怖さはあると思う。 この映画の医療の話でなくとも、男女の仲は法律的には白黒つけられない不可思議さや残酷さをはらんでしまうものです。 法律とはマニュアルの集積であり、厳格化、細分化すればするほど、矛盾をはらんでしまうものであるということをこの映画は教えてくれる。そして法律とは絶対万能の神が決めたものではなくて、人間が決めたものに過ぎないということを教えてくれます。国が違えば全く別の解釈もありうるわけです。 先日、最高裁判所裁判官の信任というものに投票しましたが、あまりにも法を司る者を信任する制度がブラックボックスになっていると実感しました。国民にとって判断材料がなさ過ぎます。 この映画に話を戻すと、この監督の撮り方は、今や巨匠の域に達していると言えるほど隙がなく風格を感じます。テーマがテーマだけに笑いを入れられないのだろうが、一息つけるような演出もあってほしかったです。 次回作はもう少し昔のような気楽な作品も観たいと思います。 
[映画館(邦画)] 8点(2012-11-09 23:27:04)
36.  踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 《ネタバレ》 
やっぱり、このキャラクターたちに会えるということ、それだけで嬉しいのです。 アニメだと平然と同じことを続けられるのでしょうが、キャラクターの性格や役割を極力維持しながら、リアルに歳をとっていかなければならない脚本家の苦労は並大抵ではなかったでしょう。 前作では新しいキャスト、新しい役職にやや違和感を持ちながら時代が変わったような印象を受けましたが、その続きになると、新しい布陣もこの世界に馴染んでしっくりとしています。テレビの良い所でもあるし、悪い所でもあるのですが、続けることって大事なことだと思います。自分は初めて「踊る」に接した時、批判的だったのに、映画もテレビのDVDも、ずっと見ているといつのまにかキャラクターたちが大好きになっている自分に気づいていました。 初めて映画第1作で「踊る」に接した自分は、ギャグのセリフのの変な「間」に耐えられなかったことを思い出します。 今では悠々とこの変な「間」を受け入れて笑える余裕が出来ていますし、「踊る」でしかこのベタな演出は笑えません。 今回も青島がラスト近くで決め台詞的な言葉をチラッと吐くのですが、その言葉、権力批判をスパイスとして効かせながら、「和」を軸に描いてきたこのシリーズの作り方の考えともオーバーラップします。 自分はかつて映画として高度であることが最も正しいと思っていましたが、キャラクターが愛されているか、その生活空間が楽しいか、ハッピーエンドであるか、そこに重きを置いてきたからこそ、このベタベタな演出の作品が続けられたのだと思います。「正しい」だけでは成り立たない世の中の事情をこのシリーズが体現しています。 今やミーハーなファンの自分としては、多くの人が思っているであろう決着してほしい部分はネタバレであえて語りませんが、欲を言えばキリがないのでこれで終わりです。 観た後、もっと一緒にいたい、次も観たいし次も同じシチュエーションを楽しみたいと寂しい思いをさせるということは、「男はつらいよ」に匹敵する偉業のように思います。 
[映画館(邦画)] 8点(2012-09-11 02:24:50)
37.  座頭市(1989)
座頭市というと、この映画が初体験でしたので、最も印象が強いです。 大映時代からのファンには違和感あるかもしれませんが、自分にとってはこれが座頭市です。 脇役陣も今考えると、クセのある強烈な人が多く、豪華なキャストだったなあと思いますし、今では勝も含めて何人かは故人になってしまい、惜しい方ばかりです。 役者が監督した映画って、抽象的だったり内面的な表現がわかりにくい例が多く、この映画もそういう演出が感じられますが、役になりきっている勝新は「かっこいい」の一言に尽きます。 ストーリーは大味で「役者が役者を見せるために作る」という明確なポリシーを感じます。役者なら誰もが持っているであろうナルシスト的な演出と、観客が観たい役者像が合致すれば、強烈なインパクトを持った映像になるという好例です。 エンドロールを見てて改めて気づいたのが、カメラマンが長沼六男というのも、今考えればすごいことです。 1カット1カットの構図が素晴らしく、風格を感じます。 激しい印象が強いこの映画、激しいシーンでも実はカメラは必要最低限の動きしかしていません。 撮影技術がどれだけ発達しても、この映画の「絵の風格」のようなものは、時代が進むにつれ失われています。 無駄にカメラが動きまくるコケオドシの映像が氾濫している今だから、この「絵の風格」が逆に新鮮に感じられます。 
[DVD(字幕)] 8点(2012-06-29 23:47:04)(良:1票)
38.  月に囚われた男 《ネタバレ》 
予告ではホラー映画かと思っていたが、久しぶりにSFらしいSF映画を見た。 SFの衣を着た戦争映画やホラー映画も悪くないが、この映画は本当の意味でのサイエンス・フィクションだ。 観念的になりすぎず、不可解になりすぎず、一人(二人?)の人間の悲しさ、自問もじっくり描かれ、ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。そのサジ加減が実にバランス良くできてます。 サイエンスとして突っ込みたいのは重力が明らかに1Gであることぐらいか。(1/6の重力のピンポンを観たいという興味もあるが、映画の筋と関係ないので) マニアックに感動したのは特撮。全CGではなく、ミニチュアをCGで補完するという古き良き特撮の使い方が味を出してます。あの車の微妙な揺れやタイヤのたるみ加減が出す重量感、砂塵の立ち方はどんなにCGで計算して作っても出せない味です。サンダーバードを生んだイギリス人ならではのアプローチです。 日本でもこういう映画を作る才能がいるはずなのに、決して日本の映画界では作れない悔しさも感じてしまいました。この映画の黒幕が韓国(北ではなかろう)というのも時代を感じます。経済大国のメタファーとしても今や日本は認められていないのです。 「少し先にはこういうことがありうるんではないか?」自分にとってこれがSFです。 「少し先には宇宙人が侵略してくるんではないか?」というのはSFではありません。 久しぶりに本当のSF映画を楽しめました。    
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-05-10 23:24:34)(良:1票)
39.  十三人の刺客(1963)
リメイク版を観た後で、このオリジナルを鑑賞。こんな傑作を今まで観ていなかった自分が恥ずかしい。 このオリジナルを観ると、今の邦画時代劇のロケーションの苦しさがよくわかる。 昔の時代劇は「絵」が広い!! どのシーンを見ても、よくこんな広いロケ地があったのだと感心する。 今のようにカメラがやたらめったら動かず、1カット1カットの構図が素晴らしく、そのカットの組み立てでシーンを見せている。 やはり、この頃の映画はテレビとはっきり差別化した撮り方をしていたのだと思う。 小さなモニターではなく、映画館で堪能したい作品だ。
[DVD(邦画)] 8点(2012-01-13 23:50:53)
40.  SPACE BATTLESHIP ヤマト 《ネタバレ》 
皆様,おっしゃる様につっこみどころ満載でありますが、つっこみどころも含めて,これだけ実写で原作のエッセンスを再現していることに敬意を表します。かつてのアニメがそうだったように、この映画は、映画としての完成度を求めるよりもイベントだと思います。 実写でそのまま再現すれば、恥ずかしい衣装で愛や使命を語り,爆笑の渦になりそうな所を大真面目な演出で通した監督と役者の技量は素晴らしいです。そうです、ヤマトの本質は恥ずかしいことを大真面目に語っているから感動するのです。このツボを監督はよく心得ています。実写にすればさらに笑える所をホンの紙一重の所で真面目に通しています。特撮と美術の仕事は、絵の説得力でこの恥ずかしさを大いに支えています。ハリウッドに追いつけ追い越せという次元ではなく、いい時代になったと心から思います。 戦闘シーンの高揚感に比べて,合間のドラマシーンになると突然凡庸な雰囲気になってテンポが崩れ、1本の映画としてはかなり雑な印象ですが、もともとのテレビシリーズが1回ずつ山場を設けているので、どうしても名場面集的な構成になると思います。 30分のシリーズを5話見たと思えば腹も立たないです。(実際,山場ごとにサブタイトルのテロップでも入ればさらにファンの心をくすぐったかもしれません「ガミラスの奇襲!!、第三艦橋の悲劇!!」とか) 映画としてのスケール感で言えば,音楽にアニメのテーマを使ったことは大正解です。原作の作曲家が子供をバカにせず、いかに明快に耳に残るようなメロディを作っていたか,それが実写でも違和感なくハマっていることに敬意を表します。 海外ではこの映画のツボは理解されないかも知れませんが、これが日本人の根底にあるトラウマ的発想だと受け止められればいいかと思います。 唯一残念だったのは、デスラーが実体のあいまいな存在であったこと。自分は公開前のキャスティングにデスラーの名前が無いことが不思議でしたが、サプライズでデスラーは唐沢寿明ではないかと思っておりました。 しかし、人間対人間という構図で戦争の愚かさを出すよりは、地球を守るという所に焦点を絞ったのはアリかと思います。敵が人間ではないので感情移入できませんから。そしてアナライザーの活躍がGOOD!!。 ほら,突っ込みどころ満載の映画です。そこを含めて楽しめる映画はイベントとしていいものです。
[映画館(邦画)] 8点(2010-12-07 01:07:13)(良:5票)
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