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どっぐすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 86
性別 男性
自己紹介 日本人なので邦画好き!
淀川先生のように、いつまでも「きれいですね~」「すごいですね~」と映画を楽しみ続けます。
不幸にしてつまらん映画を見た後も、シネマレビュー見ると爆笑ネタになって、HAPPYになります。「いや~、シネマレビューって本当にいいもんですね」あ、コレは水野御大・・・

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21.  009 RE:CYBORG 《ネタバレ》 
戦闘機のドッグファイトのシーンで、ふと気づいたのが、CGで描いた戦闘機の動きがリミテッドアニメのようにややカクカクしていること。CGなのにセルアニメの動きの「味」を出そうとしている。 最近の別の名作アニメのリメイク作品では戦艦の動きがいかにもCG特有のスルーっとした動きなのが違和感があった。 CGと従来のセルアニメの違和感を払しょくするために、CGのコマを落とすということは理屈としては難しいことではないと思っていたのだが、何故誰もやらないのかと思っていたら、見事にこの作品が試みていたことが実に嬉しかった。 キャラクターも全てCGで描かれているらしいが、この動きの考え方ひとつとっても、CGの使い方の可能性を感じた。 肝心の内容だが、あまり過去の作品に思い入れがないので、この作品単体で考えれば楽しめました。 しかし、神や天使と、テロや武器商人を結びつける構図は、監督が頭の中で構築した理論が空回りしている感じがして説得力に欠ける。 セリフ以上に、この理屈を絵が物語っていない感じがするのが残念だ。これは絵が緻密であるといった技術論と別の問題である。 やはり娯楽アニメとしてシリアスであっても爽快感やユーモアは欲しかった。 そう、今の映画って視覚的な刺激は強いが、特にユーモアの感覚がものすごく欠けていると思う。(単純にギャグっぽいセリフを言うという意味ではありません) 全ては表現のための技術であるが、この技術の志は高く評価したいです。   
[インターネット(字幕)] 6点(2014-07-12 22:57:03)(良:2票)
22.  ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 
何度も劇場やDVDで見ている傑作だが、この度デジタルリマスター上映で鑑賞。 作品の評価は揺ぎないが、このリマスターは映像も音声も少々「やりすぎ」に感じた。 巨大に見えていたゴジラのディティールが鮮明になることで2メートルの着ぐるみの質感やギニョールの仕掛けなどが、生々しく感じられ演出の意図を崩してしまったようにも思う。 ビルの壊れ方、ピアノ線、重そうなゴジラの動き、所々の無理なカットつなぎ、合成の揺れなど、常に絵の外側にいるスタッフを意識してしまう。 しかしその反面、日本で初めて怪獣映画を作るにあたって当時のスタッフがどれほど試行錯誤して汗を流して苦労したか、スタッフが写っていないメイキング映像のようにも感じられるという、穿った見方ではありますが、そういう面白さを感じました。 作品そのものの感想ですが、若い頃見ていた時より、今のほうがよりドラマに説得力を感じました。「戦争」「核」「科学の誤った使い方」この映画の製作当時から半世紀以上を経ても解決されない問題だからだと思います。
[映画館(邦画)] 10点(2014-07-01 16:15:23)
23.  春を背負って 《ネタバレ》 
どんな映画も見終わった後、時間が経つとあれこれ考えてしまうものだが、やはり見終わった後のこの清々しさは大事にしたい。 原作を先に読んでいたのでキャスティングが明らかに自分のイメージとは違っていたのが不安であったが、映像になってみると、このキャスティングはあざとくも感じるがアリであると思いました。 厳しい自然の風景と対比するような「前向きな顔」というのは映画的に必要だったのだと思います。原作のエピソードを大幅に構成し直して「何が映画的であるか」を抽出したような作りになっていると思います。 原作で描かれていた山小屋経営の事情や、登山客のエピソードにはあまりつっこまず、挫折を味わった人々の回復というものがあまり描かれていないように感じるが、そこは文学の仕事であると言わんばかりに、圧倒的な風景と登山の過程、山小屋の描写は原作から持っていた自分の曖昧なイメージを遥かに凌駕してくれた。 ドラマの背景に山があるのではなく、風景がドラマを内包しているようなカメラマン兼監督の独特の視点は「剣岳」に続いて健在に思います。 この映画を見て、安直に素人が高山に登ろうとするのは危険に思うが、やはり「登ってみたい」と思える清々しさは確かに感じました。  
[映画館(邦画)] 8点(2014-06-19 22:52:28)
24.  天国と地獄 《ネタバレ》 
もはや文句のつけようがない映画史上に残る名作であるが、今見ると、ひとつだけ文句をつけたい。 警察の捜査によって無関係な麻薬中毒患者を一人犠牲にしていることだ。 当時は誘拐犯の罪が軽かったとはいえ、その非道性を表現するために社会の底辺の人間を警察が殺している点だけは納得出来ない。 犯人の罪は問われても、警察の過失は問われないのだろうか。 麻薬中毒患者を殺すような犯人を殺人犯として逮捕するという展開の中で、麻薬中毒患者など死んでも良いという矛盾した思想が垣間見える。 私利私欲のために人を殺すのは非道であるのは当然だが、公のために良かれと思って人を殺すのは許されるものではない。 人の死に何の差があろうかと思うのだ。 この映画は犯人が確定した時点で逮捕されるべきだったと今は思う。 特急「こだま」のシーンは本当に今見ても素晴らしい。撮影現場で役者の迫真の演技を引き出す状況を作り出す監督は今や絶滅している。 今のテレビドラマで同じようなことをやってもこの迫力は不可能であろう。 このシーンだけでも歴史上に残る映画である。だからこそ、捜査のために犠牲者を出しても仕方がないという矛盾には納得できない。  
[DVD(邦画)] 9点(2014-06-05 03:38:05)
25.  ロボコップ(1987)
公開当時、バイオレンス描写や風刺的な演出などが印象に残っているし、今でも面白い作品だと思うが、この映画、何がロボコップをロボコップらしくしているかといえば、ロボコップを演じている役者の独特の演伎だと思う。 鳥の動きを参考にしたという演伎は本当に素晴らしい。これに機械的な効果音を加えればロボットらしく見える。動きが鈍重でも目線を合わせずに撃った玉が命中するような芝居がさらに機械らしさを醸し出している。 CGを使うより生身の人間が、努力して機械らしさを演じるほうがより「らしさ」を感じさせることが出来ることは、今の映画人は大いに学んだ方がいい。 低予算でもこういう演出は可能だということを見て、日本でも出来るはずだと悔しい思いをしたものです。昔ニュースで原宿かどこかで、マネキンを演じている役者の動きを見て、着ぐるみのロボットでも「らしく」見せることが出来るはずだと思っていたのがまさにこの映画でやられてしまいました。 最近でもCGの巨大ロボットが活躍する映画があって、それはそれで面白いのですが、この生身の人間の力が醸し出す「らしさ」というのは今こそ見直されてもいいと思います。CGに欠けているのは、この重量感、質感、「匂い」のようなものだと思います。 
[DVD(字幕)] 7点(2014-03-03 00:48:03)(良:3票)
26.  パシフィック・リム 《ネタバレ》 
期待通りのロボットアニメ&怪獣映画のエッセンス全開の映画でありました。 グロイ戦いぶりや操縦系統はモロに「エヴァ」で、いろんなロボットアニメから頂いたような武器や必殺兵器も楽しいです。 平成版「ガメラ」をパクったようなシーンもいいです。 ロボットアニメの要素が強いので、ハリー・ハウゼンと本多猪四郎という怪獣の名匠だけに捧ぐというのは語弊があるような気もします。 迫力は充分ではあるがとにかく絵が暗い!! 意図的に怪獣の全貌をわかりにくくしているのかもしれないが、怪獣の姿がわかりにくい!! そして日本の幾多の怪獣たちと違って、怪獣がグロイばかりでかっこよくない。 ゴジラを代表する日本の怪獣たちはかっこよく、そして美しい。怪獣の描写がハリウッド定番の異形の生物であったことは残念だ。 内蔵まるだしのような要素は「怪獣」ではない。中身がわからない、わからなくてもいいのが「怪獣」なのだ。これが日本人とアメリカ人の決定的な違いだと思う。 ロボットが戦う舞台として夜の市街戦というのは、アニメではOKなのだが、実写では実は難しい。 人口の建造物の中にロボットが立つと、ロボット自体が背景に埋もれてしまうのである。これはかつての日本の実写ロボット映画「ガンヘッド」が実証している。 ジャングルや砂漠といった大自然の方がロボットは映え、大都会の中の方が怪獣は映えるのである。 スタッフはこのバランスに苦慮したかもしれないが、全体的に絵がごちゃごちゃしすぎて、わかりにくくしている原因になっているように思う。 菊地凛子がアクションもこなし、あの衣装で堂々とヒロインを演じていることは日本人として誇りを感じます。 ハリウッドや香港では、こういう女優ってあたりまえにいますが、日本では本当に貴重です。 日本人としては、つっこみたくなる要素は多々ありますが、ロボットアニメと怪獣映画をマジで合体させてくれたスタッフには敬意を表します。 この夏1番のB級アクションとしてオススメです。
[映画館(字幕)] 6点(2013-08-12 09:44:56)(良:4票)
27.  遺体 明日への十日間
冷徹なる事実を前に「映画」としての評価は出来ない。 この映画の登場人物たち、いや、あの日あの場所で働いていた人たちの思いと同じように、この映画のスタッフ、役者たちは、映画の職人として役者として、「自分にできることは何なのか」と自問しながらこの映画を作ったであろうと思います。 娯楽的なサービスを提供している職業人は、こういう時に全く無力な存在であると、自分もこの震災で思い知らされました。 この、もどかしい思いが、この映画になったのだと思います。 なぜか感情移入して泣ける映画ではないというのは、「泣かせる」映画ではないからだと思います。 この映画を見て自分に出来ることは、ただ、手を合わせることだけです。
[インターネット(字幕)] 8点(2013-08-07 00:48:16)(良:1票)
28.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
宮崎監督としては、今までと違う手法の作品であることは間違いないです。 子供を意識していないためか、客が見たいものを見せるより想像させる描写が多く、夢のシーンを除いたらすごく普通の大人向け映画です。 情感あるシーン、盛り上がるであろうシーンも過剰にならず、ひっぱらずに早いテンポで物語は進みます。 言葉でメッセージらしきものを語ることもありません。 主人公の行動を見ていると、監督自身の自伝でもあるような感じがします。 途中で始まり、途中で終わるかのように余韻は感じませんが、すなわちそれが「生きること」でまだ先があるというメッセージのように思います。 2度3度見て味わい深く、子供にはよくわからんけど印象に残るような作品に思います。 宮崎監督が初めて大人の視点で映画を作ったということは、逆に子供向けの映画では主人公の2,3日の行動にベッタリつかないと子供はついていけないという手法の違いを見せてくれたことで勉強になりました。 声優、音響など宮崎監督ならではの試みもありますが、成功しているかは別として自分はこの考えは肯定します。 しかしヒロインの端正な顔はもう飽き飽きです。美人って人の数だけ細い美人やふっくらした美人やタレ目の美人もいるのに、ジブリ作品の美人は同じ役者が衣装を変えているだけのように見えてしまいます。  子供の描写はおそらく世界一なのに、絶世の美女となるとどの作品も同じ顔になってしまうのが、不満ではあります。 しかし単純に泣けたいうことでは語れない密度を持った作品であると思います。  何が起こっても状況を受け止めて行動している主人公の描写、悲惨な震災や戦争に対して不平不満を言わず(そういう描写は省かれている)一歩引いた目で「状況」として捉えて行動している描写自体がメッセージのように思います。 紙ヒコーキのシーンは実に映画的な名シーンだと思います。 
[映画館(邦画)] 8点(2013-07-24 15:33:05)(良:1票)
29.  じゃりン子チエ 《ネタバレ》 
ガンダム全盛の小学生の頃は全く見向きもせず、30年以上を経て初めて拝見。 演出も作画も、恐ろしいほど優れたテクニックで良い意味で全く子供向けではない。 例えば猫の動きの表現にも、ごまかしがなく、本当に当時のアニメーターのレベルの高さを感じます。 高畑勲監督の特徴だと思うのですが、ストーリー上はもっとテンポがあった方が見やすいと思えるものを、微妙に「間」を入れることで、人間の営みを一歩引いた感じで考えさせてくれます。 例えばテツの行動は、まともな演出ならギャグそのものですが、何を考えどんな人生を生きてきたんだろうかとふと考えさせられます。 この作品が海外で評価が高いのも納得します。人物に感情移入しすぎて日本人ならわかると省略する部分を丁寧に描いているから、海外の人にも理解しやすいのだと思います。 こんなレベルの高い作品でも、ペコちゃんやゴジラが堂々と出てくるのは、おおらかな時代だったと思います。 こういう遊び、今の時代では見られません。 これを今まで見ていなかった自分も恥ずかしいですが、全く今の時代でも古さを感じないので、老若男女見てほしい作品です。 特に遊園地のシーンは素晴らしい情感で、名シーンだと思います。 遊具のひとつひとつを詳細に研究しているのが想像できて、この監督のこだわりの凄まじさを感じます。 これだけの労力を費やしているからこそ、古さを感じないのでしょう。 ようやく見られるであろう次回作が楽しみです。 
[DVD(邦画)] 9点(2013-06-06 01:53:47)(良:1票)
30.  ブルーサンダー 《ネタバレ》 
自分にとって、とにかく粋でかっこいい懐かしい名作です。 冒頭の、カットごとにどんどん夕暮れから夜になる感じや、日の出とともにジャジャジャーンとブルーサンダーが登場し、次のカットでは真昼間になっている開放感。明らかにつながりとしてはおかしいのですが、こういう絵のつながりが実にかっこよく印象に残ってます。編集の妙技です。 今見ると、クライマックスの戦闘では高層ビルにミサイルがぶち当たって、死者もいるだろうにマーフィの罪は問われないのか心配ですが、B級アクションとして、伏線や、キメ台詞、サスペンスなど良くできてます。役者たちもスターばかりではなくてもいい味出してます。 音楽も当時としては、ハイテク感を醸し出していてカッコ良かったです。 最近、ブルーレイについているメイキングを見ていて仰天したのは、三脚を使っていると思われる多くの人物カットが、名人カメラマンによって手持ちで撮影されていたこと。面白い映画って、見ていて気づかない所でこういう職人の腕が活きているのですね。 すごく傑作というわけではないかもしれないけど、何度見ても、面白いです。 
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-04-08 14:39:33)
31.  うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
本当に好き勝手やって暴れてる、あの時代が伝わってきます。 逆に言うと、あの時代の若者達が当時の大人が作り上げたバブルの中で、どれだけ閉塞感を味わってはけ口を求めていたのか、よく伝わってきます。これがこの時代の反抗の仕方だったと思います。良き意味でのはけ口を体現した作品として、歴史に残ると思います。   
[映画館(邦画)] 8点(2013-03-22 01:27:42)
32.  巨人と玩具 《ネタバレ》 
極度にディフォルメされているとはいえ、高度成長期の日本の空気をすごく表現している作品です。 日本の高度成長期とはプロジェクトXのような美談だけではないのです。 学生の頃、この作品をビデオで見て、資本原理というものを初めて理解しました。 今、改めて見ても、ものすごい情報量に圧倒させられます。 年齢を経て、登場人物の生活背景が想像できるからだと思います。 利益優先のシステムが肥大化して、誰も考える余裕が無い。まさにシステムという「巨人」の中に人間という「玩具」が弄ばれている様が描かれます。 システムが軌道に乗ると、部品である人間は大局的にものを考えなくなる。 この結果がたまに現れる企業の失態であろうし、その最悪の結果が原発事故なのだと思います。 お菓子会社の三つ巴の戦略、ライバル会社の社員同士の恋愛、友情の破綻、5人兄弟の貧乏暮らしの家庭でスターになれば人間どれほど豹変するか、家庭を無視して体を壊してまで出世する人間の悲哀、諦観したカメラマンの存在、脇役の女性テレビディレクターの言葉など、今見ると、あらゆるシーンが風刺的で衝撃的です。 今見ると、なにげない脇の言葉が印象的です。「テレビなんて誰もお金を返せなんて言わないからこの仕事が好きなのよ」 お菓子会社の宣伝部長のセリフも本質的です。「大衆は何も考えない。考えるヒマが無い。そこに繰り返しキャラメルはおいしいと訴えるんです」 お金のある政党の選挙活動そのものです。こういう本質的なセリフが矢継ぎ早に出て圧倒されます。 映画のテクニックとしては、終盤近くのダンスシーンが素晴らしいと思います。 これだけテンポが早くても、突然ストーリーを進めるのに支障がないシーンを延々とじっくり見せて、観客に考えさせる時間を与えているからです。 凡庸な演出ならこんなシーンは野添ひとみが踊っている1カットだけで説明がつきます。こういう演出が天才の仕事であると思います。しかしこの映画はいわゆる告発ものではありません。 今は風刺映画というジャンルがありません。そういう才能はドキュメンタリーに行ってしまっています。 若い人に是非観てもらって、考えて欲しいです。  
[DVD(邦画)] 9点(2013-03-15 01:47:25)(良:2票)
33.  100,000年後の安全 《ネタバレ》 
たぶん、この施設の現場の人達が平然としていられるのは、100000年ではなく、使命感を持ちながらも生きている間の自分の仕事として、自分の部署としての責任で仕事をしているからだと思います。 自分も全く日々、「自分の仕事」をしているだけの存在にすぎません。 実のところ、原発推進派でも、政治家でも、電力会社の人でも、一個の人間としては善良で家族思いで、人類が滅びれば良いという人はいないと思います。 しかし、日本列島が今の形になって3万年ぐらい、10万年以上も民主主義国家の下で安全に管理できる場所などどこにも無いということは、日本の歴史上でも、政治的な歴史、人類の歴史、地学的にも明白なことです。 原発が出来てたった50年で未来永劫に渡る負債を日本は背負ってしまったのです。 まずは原発をやめること。やめなければ未来は無いこと。やめた上で対処を考えること。 廃棄物が持っている放射能は、家族の一人である前に、誰かの友人恋人である前に、某社の社員である前に、某国の国民である前に、一個の人間である前に、人類の一員である前に、地球の生き物であるという高度な認識を持てるかという問題だと思います。 「生き物の生存」よりも「科学の意義」や「政治家の立場」を優先するのが悲しい人間の性でもあります。 この映画は、人間が考えうるギリギリの対処の仕方を極めて冷静に示してくれます。 まずは「やめること」しかありません。それが人間として極めて冷静な判断だと思います。  「科学」を使うなら錬金術の「もんじゅ」よりも廃棄物を宇宙へ放り出す「軌道エレベータ」のほうが100000年単位で考えればよほど有望です。まずは「やめる」ことです。 やめなければ「生き物」にとって未来はありません。
[DVD(字幕)] 10点(2013-03-08 09:26:51)(良:1票)
34.  ホーホケキョ となりの山田くん
公開当時、観ようとは思わなかった。面白そうではあるが、どうしてもスクリーンで観たい絵ではなかったからだ。公開当時のテレビCMを思い出しても、サクラっぽい観客が笑っているのを見て「あ、これはヒットしていないな」と思ったものであるが、この「絵」で実は「ナウシカ」並にヒットさせていることはかなりすごいことである。 その後、ビデオで鑑賞すると、実によくできているのはわかるし、確かにほのぼのと楽しかった。 矢野顕子の音楽も実に心地よく、今に至るまで音楽だけはよく聞いている。 水彩画のような絵を動かすなど、テクニックを意識させない部分に膨大な手間をかけているであろうこともなんとなく想像できる。しかし、あの漫画家の絵はどういじっても、4コマ漫画の印象は拭えない。作品を否定するつもりはないのだが、画面上の効果に対して異常に手間がかかりすぎているように思う。 この作品の価値から考えれば、当時よりもさらに今のほうが、時代に合っている感じはする。 テレビでは「ナウシカ」や「トトロ」ばかりが再放送されるが、テレビ放送でもっと見直されてもいいように思う。 テレビ局もジブリ作品は気負ってゴールデン枠で放送するが、日曜の昼間とかに観るのにふさわしい。 この壮大な実験的技法が、高畑監督の次回作でこそ活かされていることを楽しみにしています。 14年待たされたので、次回作はスクリーンで観ます。 
[ビデオ(邦画)] 7点(2013-02-18 22:15:47)
35.  幕末太陽傳
遅ればせながらデジタル修復版の存在を知り、初鑑賞。 川島雄三監督も初鑑賞。 軽快な喜劇でありながら、役者も美術も実に豪華。 正直、一度では人物関係が理解しきれなかったのだが、2回目でますます面白く、絵の端っこまで発見があった。舞台は今で言う飲食店でもあるので、食器の小道具や、役者たちの物の食べ方、飲み方、タバコの吸い方を見ていると、江戸時代はこんな生活だったのだろうという、ドキュメンタリー的なリアリティを感じる。 客室、台所、階段、桟橋などこの遊郭の美術空間が実に面白い。 海のそばで、御殿山の近くという地理も面白い。(googlemapで調べたら今はコンビニのあるビルであり、当時の面影もない) 昔の日活といえば、荒唐無稽なアクションや軽薄な青春映画というイメージを勝手に持っていた自分が恥ずかしい。巨匠は黒澤・溝口・小津ばかりではなかったのである。 こんな密度の映画が、山のように作られていた時代が今や信じがたい。 去年、デジタル修復版の上映が終わってからネットでこの映画の存在を知ったのだが、こういうリバイバルはどんどんやるべきだ。 自分は劇場で観られなくて残念だったが、日活の宣伝サイトのカラフルなイメージを観て、ものすごく観たくなった。懐古的ではなくまるで新作であるかのようなうまい宣伝だ。(フランキー堺ではなく、女優を全面に出したイメージもずるいけどうまい) 古い映画には今の映画には失われたものがある。今の時代に無いということは、今の時代に新鮮なものがあるということだ。こういう切り口で昔の傑作をどんどんリバイバルしてほしい。 創立00周年やら、生誕00周年といったイベントではなく、定期的にこういうリバイバルをやっていれば、きっと映画館はもっと面白くなるはずだ。    
[インターネット(字幕)] 8点(2013-02-13 00:36:53)
36.  蘇える金狼(1979) 《ネタバレ》 
1シーン1カットの緊張感は松田優作に限らず、役者さんたちの勢い、スタッフの勢いを感じます。 今ではなかなか作りにくい不道徳な内容なのに、とにかくかっこよく、面白い。 あらゆるシーンで、セリフ回し、役者の演技が印象に残っている。 役者の魅力を最大限に活かすための、1シーン1カットの演出は本当に楽しいです。 命を賭けたシビアなシーンでも楽しいのは、役者たちのユーモアのある演技に他なりません。 有名な岸田森のエルボドロップ、明らかにNGであっても勢いで許されてしまう空気って、今の映画には見られない魅力です。 この映画、ストーリーより「役者」を楽しむ映画です。一人一人の役者の演技が実に印象に残ってます。 仙元誠三カメラマンの素晴らしいカメラワークも印象的です。 アクションシーンを1カットで見せるアクション映画って、役者の力量がなければ絶対にできないし、今の映画には無いリアリティがあります。 最近、DVDで観ていて、カウンタックのディーラーが村川透監督だったと初めて気づいた。 このディーラーの反応もリアルで印象に残っていたのである。 ディーラーが「せんげんです」と言う意味がわからなかったのだが、「仙元」だったのですね。 こういう遊びがあるって現場に勢いがあった証拠です。 この作品、昔、文芸座の上映で観客が大笑いしていたのを思い出します。 映画館で観て、ハードボイルドだけど、自分と同じように笑っていい映画なのだと思えました。 アラは多いかもしれないが、ハードボイルドであっても、笑いがあり、役者の魅力を堪能できる名作だと思います。
[映画館(邦画)] 9点(2013-02-04 00:43:35)
37.  黒部の太陽 《ネタバレ》 
かつて映画は映画館だけで観るために作られていた。 ビデオやDVDで既に知っている映画をリバイバルで観るとそれを実感できる。 自分の場合は例えば、「アラビアのロレンス」であったり、「七人の侍」であったり、「地獄の黙示録」といった作品だ。 これらをスクリーンで観たとき、自分はその映画の魅力の10分の一ぐらいしか体感していなかったことがよくわかった。 「黒部の太陽」はこれまでDVD等で目にすることはできなかったわけだが、この度、東劇のスクリーンで観られたことは幸運に思う。 ただ自分は、以前、実際に黒四ダムに足を運び、本作が観られない故に、原作や熊井啓監督の著書、脚本を読み、最近のテレビドラマも観たりと事前の情報を仕入れすぎていたので、すべてにおいて先が読めてしまったのが残念だ。 電気事業者のPR的映画でもあるので、今の社会状況を考えると複雑な気持ちでもあった。 個人的には衝撃や感動は薄れてしまったが、やはりこの映画、スクリーンを前提とした確固とした撮り方をしている。 会話に合わせてカメラが絶妙なタイミングで移動したり、テレビドラマ的な考えでは当然カットバックで見せるような会話のシーンで、三船や裕次郎のアップだけを執拗に長まわしで見せる撮り方は無駄がなく緊張感があり、風格を感じる。綿密な計算とリハーサルに基づいた「映画」の撮り方だ。 音の使い方も印象的だ。 雄大な風景もまさに「絵」がドラマを語っている。人夫が断崖絶壁を歩くシーンは怖すぎるし、大出水シーンでは役者は演技どころではない迫力だ。 東劇の観客は、当時を知っているであろう御高齢の方がほとんどであった。上映の宣伝が懐古的で、うまい宣伝ではないと思う。 年寄りの自慢話であっても今の若者が観る価値はあると思うのにもったいないことである。 かつて黒澤明監督が、日本映画に客が入らないなら昔のいい映画を流せばいいじゃないかという発言をしたことがある。 映画会社もそれで儲かるはずだと。 そうなのだ。名画座や懐古的な特集上映ばかりでなく、スクリーンで観る価値のある映画を、新鮮味のある切り口で宣伝して、定期的にリバイバルしてくれれば映画館はもっと楽しくなると思う。 今の若者にとっても新鮮であるに違いない。  裕次郎の遺志は、多くの映画人の遺志でもあると今回の上映を観て考えてしまいました。
[映画館(邦画)] 8点(2013-02-01 00:27:58)(良:1票)
38.  キネマの天地
ネット上のいろんな人の評価を読んでも、評価がいまひとつなのは実に不思議だ。 素直に感動している自分はやはり頭が悪いのだろうかという変な疑いを持ってしまった。 20年以上ぶりに観たら、脇役のエピソードなど実に細かいところまで覚えていたままであった。 オールスター映画であるので、実にうまく脇に至る配役がなされていたとしか言いようがない。 僅かな出番の役者のエピソードや表情までも実に印象に残っている。 この映画は公開当時、年2回の「男はつらいよ」を休んで製作された経緯があるが、当時、毎回「男はつらいよ」を楽しみにしている観客に向けたような、渥美清、倍賞千恵子の人物配置とやりとりが絶妙に感じる。 前田吟、吉岡秀隆の配置も「男はつらいよ」そのまんまであるし、前田吟の渥美清に対する僅かな台詞のニュアンスも「男はつらいよ」そのもので笑ってしまう。 「男はつらいよ」は休みだけど、この映画にも「とらや」の面々はいるから楽しんでねというサービス精神。 当時のリアルタイムな観客にサービスしようという精神ってすごく大事に思う。 この人物配置を違和感なく別の映画にはめ込むテクニックというのは、プロにしか出来ない技だ。 こういうさりげない遊び心って今の映画にすごく欠けている気がするのである。 多くの評価を読むと「散漫である」という感想が多いが、自分はそうは思わない。 そもそもこれは映画を愛する人達の「群像劇」であり、映画を愛する人達を軸にした「青春映画」である。 断片的なエピソードの積み重ねの中で、愛すべき各々の人物の描かれない裏側や行く末を想像するのが群像劇の楽しみ方だと思うのである。 幹となる田中小春のストーリーも必要十分に思える。田中小春だけを執拗に描いていたら生々しく、刺々しい映画になったように思う。 20年以上前、大人の映画に興味を持ち始めた頃、映画の成り立ちや、時代背景、観客がどう映画を受け止めていたか、これを観てすごく勉強になったことを感謝している。  つまりは自分は映画が好きだから映画への愛を描いた映画には甘くなることは白状します。
[インターネット(字幕)] 8点(2013-01-25 02:45:59)(良:2票)
39.  生きものの記録 《ネタバレ》 
この映画の製作当時は原水爆に対する不安があった(今もある)。 しかし黒澤明の訴える恐怖とは、原水爆よりも「核」そのものに対する恐怖である。 この老人の行動を「原発から逃げる」と置き換えれば、全く現代のドラマとして成立する。 「核」が止められないものであれば、根本的な不安を取り除くには、この老人のような極端な行動をとるしかない。こういうテーマで直接的な表現をせず、ドラマによって「核」の恐ろしさを訴える黒澤明の才能はやはり尋常ではない。 この映画の製作当時から半世紀たっても、この恐怖がさらに身近になっていることに、どうしようもない人間の愚かさを感じる。 今こそリメイクする価値があると思うのだが、各方面から絶対阻止されてしまうだろう。 しかし、今だから平成の「生きものの記録」を見たいと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2013-01-06 23:37:05)
40.  東京原発 《ネタバレ》 
内容は今となっては、とても笑えるものではない。原発の矛盾を細かく説明してくれる映画は珍しい。 とはいえ、演出自体は凡庸に尽きる。キャスト陣は豪華であるのに役者の良さが全く生かされていない。 出てくる人物は皆、何も知らない子供のような大人を演じていて、役人のリアリティもなく、状況の説明役でしかない。脚本家が頭の中で構築している理論を人物を通して説明しているだけで、ドラマにもなっていないドラマである。 官僚が、ゆりかもめの中で大声で極秘のプルトニウムの話をしているのも、バカを通り越している。 内容よりも演出の稚拙さに失笑してしまった。 映画としては稚拙であるし、この映画で語られるデータには議論が必要かもしれないが、この映画の台詞「絶対なんてことはこの世にない」ということは残念ながら、そのとおりになってしまった。 そして「喉元すぎれば暑さ忘れる」というのも、その通りになりつつある。 今や多くの人が反原発の感情を持っていながら、未来よりも明日の小銭の誘惑に抗うことができない。 つくづく人間の愚かしさを考えてしまう。 そして明日また「それ」が起こっても誰も責任をとれる人はいないだろう。 「その時」には日本に人が住めなくなっているのだから。
[DVD(邦画)] 3点(2013-01-06 23:03:27)
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