21. 野良犬(1949)
ギラギラした真夏の中、汗をたらたら流しながら、同じくギラギラとした表情の三船敏郎が奪われたピストルを追っていく。ラストの犯人(木村功)との追っかけっこと対決のシーンは緊張感いっぱい。ベテラン刑事役の志村喬さんも良かったが、なんと言っても三船敏郎の男っぽい魅力が全開だった。 8点(2003-05-11 16:13:14) |
22. 第三の男
何回か見たけど光と影がモノクロゆえにとても効果的。ハリーという人物そのものを現しているかのような使い方で、下水道の場面も足音とこれも光と影がサスペンス効果を高める。軽やかなチターの曲が緊張感を和らげてくれる。 8点(2003-04-05 21:32:59) |
23. 哀愁
ビビアン・リーはほんとうにため息ものの美しさ。ロバート・ティラーは甘いマスクのハンサムだし。キャンドルライトのシーンは音楽効果(別れのワルツ)もあってとっても切なくロマンティック。すれ違いのメロドラマでクサイ話と思いつつこれだけ役者・背景・お話などがそろうと素直にボロ泣きです。 8点(2003-02-06 14:19:34) |
24. 白い恐怖(1945)
記憶を失った男は誰なのか、どんな過去を持っているのかとミステリアスな謎を解いていくスリリングな展開が面白い。ハンサムな正体不明の男に惹かれ彼を信じて救おうとする美人の精神科医、ペックとバーグマンのツーショットを見てるだけでもうれしいので、何故ああまで信じ切れるのかなどチラッと浮かぶ疑念はこの際無視。 やたらめまいをおこしフラフラする軟弱なペック(意外に可笑しい)を力強く助けるバーグマン、というのがなかなか良いです。まさに愛は強し。 精神分析や夢判断をキーにしたところは新鮮で、映像的にも見所のある上質のサスペンスだと思います。 8点か迷いつつ、、 7点(2004-09-13 19:10:40)(良:1票) |
25. スミス夫妻
知らずに見終わってからヒッチ作品とあって驚いた。製作のいきさつについてSTING大好きさんの話はおもしろいですね。 サスペンスとは全く異なる艶笑コメディだが、セリフや出演者の軽快な運びが結構面白くて楽しい。 しかも魅力的な美女はこれが初見のキャロル・ロンバートだった。ゲーブルならずとも若くして事故死したのはつくづく惜しい。 しかもこれが戦時国債公募キャンペーンで、だからなお悔しい。 結婚3年の夫婦が実は法律上のミスで夫婦ではなかった、とうことに端を発したたわいない夫婦ケンカからイロイロ騒動があって最後は丸く収まるというよくある話だが、やはりこの時代のは可愛くて微笑ましい。 キャロルが思い出のデートで3年前の洋服を無理して着て、スカートのファスナーがはまらない、なんてのも可笑しい。 ラストのスキー板のバッテンエンドはおしゃれ~ 7点(2004-06-17 17:52:40)(良:1票) |
26. 踊るニュウ・ヨーク
アステアの相手役はエレノア・パウエル。これにジョージ・マーフイーが加わり恋と友情がダンスに絡めて描かれる。まだ売れないダンスコンビのアステアとジョージのうち、間違いでジョージが抜擢される。それでも彼を恨まず支えるアステアがいい人で引き立つ設定。30年代に多い脇役も活躍するコメディ路線とはやや 趣を変え結構シリアスな話。最初のジョージとのタップやエレノアのバレエダンス、ジョージとエレノア、アステアとエレノアなど組み合わせやバリエーションを変えてショー場面がありたっぷりと極上のダンスが見られる。いずれも名人芸なので十分堪能できます。 7点(2004-05-08 16:40:34)(良:1票) |
27. チャンピオン(1949)
主人公のボクサーは、お金と自身の栄誉のためには恩人や肉親の愛情さえ裏切ったり利用するという冷酷非情な男。これではとても見るものの共感は得られないし、明るくも爽快な話でもないので後味だって良くはない。しかしこういった人物たちがとても生々しく描かれ、カーク・ダグラスのボクシングのアクションがすさまじくリアルで見ごたえがあるので、こんな主人公でも引き込まれてしまう作品になっている。ボクシングといえばD・ワシントンのハリケーンが素晴らしかったが、このK・ダグラスも迫真のファイトシーンで圧倒される。監督、脚本、ダグラスと皆30台で若く新鮮な人たちだった。 7点(2004-02-25 00:04:10) |
28. そして誰もいなくなった(1945)
アガサの原作は短いながらもサスペンスに満ちていて緊迫感がある。この映画は原作を変えてしまっているので、そのあたりが肩透かしのような感じがする。ラストなどは明るいほどの雰囲気であっけなく終わっている。これをどう思うかで評価も大きく違ってくると思うが、私はやはり原作重視にしてほしかった。この時代のサスペンスらしく、殺しも死体もあからさまには描かず品のいい味わいがある。俳優のアンサンブルやそのあたりの雰囲気を楽しめるのがいい。 7点(2003-12-21 16:28:06)(良:1票) |
29. 安城家の舞踏会
戦後の没落貴族の最後の夜を舞台に、それぞれの立場も変わっていく時代の流れを描いている。貴族で家柄が良くても借金で家まで手放すことになる当主に滝沢修。長男の森雅之は新興成金の娘との婚約も取り消されてしまう。かつてのお抱え運転手は運送会社の社長になっていて、憧れだった令嬢とも今は対等に求愛できる。絶望した当主は自殺しようとして次女(原節子)に止められる。「困難でも生きて行きましょう、またいいこともあるわ」という彼女だけは運命を素直に受け止め、前向きな姿勢がある。時代が変わる時の人の立場の逆転を鮮やかに見せてくれる。 7点(2003-11-23 18:08:33)(良:1票) |
30. 晩春
最初主人公の紀子は知り合いの年配者が結婚すると「汚い!」と潔癖性のように見えるが、実は親離れしてないファザコン。いつも笑顔で美しいのに、父が嘘をついてまでの再婚話には相手の女性に嫉妬して父に冷淡になる。京都の旅館で子供のように親離れしない娘に、父の言う言葉は優しい。父親の笠智衆が式の夜、一人になってりんごの皮をむいてるところなどしみじみと父親の心情を見せて笠さんが圧巻。戦後24年作、検閲中止直後とはいえまだ配慮したのかお茶、能舞台、京都(清水寺)など日本情緒もいっぱい。 7点(2003-10-14 22:18:01) |
31. 誰が為に鐘は鳴る
165分の完全復元版で見ました。いやぁ、長かったです。スペイン戦争についての映画、というよりアメリカの義勇兵とスペイン娘の恋愛映画として良かったです。クーパーは大人だし、バーグマンは一途で可愛い。有名なキスシーンはもとより、ラストの別れのシーンが最高。自分が死ぬのを分かっていても、マリアを助けるために彼女を説得する。そのセリフとバーグマンの必死の表情にやっぱり泣かされる。うまいんですね~、バーグマン。美しいバーグマンはもとより、クーパー、パブロ、ピラーとアップのショットが多いです。美男美女のアップにうっとり・・・ 7点(2003-09-19 23:40:46) |
32. 偽りの花園
いやぁ、ベティ・デイビスがすごく恐い悪女なんですね。その恐い顔を鏡に映して見せるシーンがあるんですが、にこりともしないで強欲で冷血な女ぶり。で、弟に「笑って見せろよ、女の笑顔は男の心を動かす・・」みたいなことを言われてにっこり笑ってみせる。でもその笑顔でさえ冷たく見える。この前に「愛の勝利」という若い頃の作品を見ていて、彼女がとっても可愛くてキュートだったので驚きました。(この作品の面白いのはレーガン元大統領がちょい役で出ている。H・ボガードも)娘役のテレサ・ライトが最後に自立していくので救われます。欲深な人間たちに対して、父親が「もう十分お金はあるから(金儲けは)もういい」というのが印象的だった。 7点(2003-09-09 12:39:49) |
33. 心の旅路
甘いラブストーリーの得意なM・ルロイ監督だからこれも紆余曲折があるラブロマン。戦争で記憶を失った男(ロナルド・コールマン)が美しい女性(グリア・ガースン)と出会い結婚する。男は交通事故で昔の記憶を取り戻すが、現在の記憶を失う(こんなのあり?)。失踪した男は実業家で女はそれを知って彼の秘書になる(都合良すぎ)。秘書と実業家として彼らはまた結婚する(二重婚?。)ラストは謎を解くカギでかつての住んでいた家が開き、彼は彼女が以前の妻だったことを思い出す・・というものでご都合主義も目に付くが、美男美女コンビでうまく見せてしまうので結構泣けてしまうのだ。G・ガースンは理知的な美貌で独特の雰囲気がある。 7点(2003-06-01 12:30:35) |
34. わが谷は緑なりき
彼の両親はアイルランド人なんですね。それでこの舞台がウェールズというのにも納得。炭坑町で働く一家の様々なエピソードがヒューマンタッチで描かれている。落盤事故で父親が死ぬとか大変な出来事もあるんだけど、登場人物がみな一生懸命生きてて、そのまじめで善良な生活感を描いて共感がある。 7点(2003-05-24 17:06:38) |
35. わが青春に悔なし
この話にはモデルがあって、京大教授八木原は法学部教授・滝川幸辰、野毛は尾崎秀実だという。時代背景は昭和8年から20年の敗戦まで。京大教授の娘のお嬢様が時代に流されることなく、信念を持った男を選び、苦難の末に自分の選んだ道に悔いはないという、強い女性の生き方を描いている。黒澤は男くさい作品が多いのでこれと戦時協賛映画の「一番美しく」などは珍しい女性映画。この映画とは180度転換、戦後価値観のひっくり返ってまだ1年という時に、反戦、民主主義をたたえるようなこの作品ができたのは、アメリカ占領下で検閲があり内容に制約があったことがある。原節子がこんなに泥まみれの強い女性を演じたのも他にない。知性と強い意志を感じさせる大きな目に説得力がある。女は平和で安定した生活を選ぶのが常なので、こういう生き方のできる女性は少ないだろうと思うけど・・ 7点(2003-05-24 15:22:46) |
36. 紳士協定
こんにち、米社会で大きな発言力を持っていると思われるユダヤ人が、47年当時はこんなに差別されていたとは知らなかった。子供はいじめられ、ホテルは断られ、職にはつけずとは・・グレゴリー・ペックは記事を書くためにユダヤ人と偽り、それを身をもって体験し正義感を燃やす。そのため恋人とも険悪になるが、「よくないことと分かっていても、差別する人に対してなにもしないのは差別を認めていることと同じ」ということを理解して、人生を共に歩む配偶者は同じ志を持つ同志でなくてはならない、ということも知る。このユダヤ人擁護は、ハリウッドにはヒトラーのユダヤ人狩りを避けてヨーロッパの映画関係者が多数来たそうだし 、何かそのあたりの事情でもあったのだろうか。 7点(2003-03-08 15:16:20) |
37. カサブランカ
恋愛映画でがぜん感情表現のうまさが光るバーグマンがとってもきれい。ボギーのセリフも態度もとってもキザ。「君の瞳に乾杯」って最後だけかと思ってたら何回も言ってた。これは1回だけ決めるともっとインパクトがあったと思う。ラストシーンの気の利いた心憎さまで、一貫してキザでおしゃれな物語。 ウディ・アレンのパロディ「ボギー、俺も男だ」のボギーを思い出してしまう。(こっちはなお好き) 7点(2003-02-20 20:14:38) |
38. サムソンとデリラ(1949)
デミル監督お得意の大掛かりなスペクタクルもの。ラストの宮殿崩しがハイライトですが、よく見ると大岩石片が軽そうに動いたりしてるのもある。サムソンがライオンと格闘するシーンは本物のライオンのようで、いったいどうやったのかと思います。当時大画面で見たらすごい迫力だったろうと思いますが、「すごいねぇ~」というだけの商業用娯楽作品です。 6点(2003-12-06 19:34:36) |
39. 市民ケーン
映画大好きですがマニアックな見方が出来るわけでもないので、私はどこがいいのか理解できない。日本でも特にアメリカではすごく評価が高い。それで気が引けるのですが↓の方の言うように、受け止め方は個人の自由ですからね。私は実在のモデルであるハーストのほうに興味がある。映画ではさほどに描かれていないが、すごくあざとい人物だったという。ありのままはさすがに描けなかったようだが、若者が絶大な権力を持つハーストに負けず、この映画を撮ったこと自体がすごい勇気と気骨がいることで、それだけでも賞賛に値すると思う。 6点(2003-03-11 14:14:24) |
40. 疑惑の影(1943)
《ネタバレ》 久方ぶりのおじさんの帰郷を喜ぶ家族、でもだんだんおかしい、、と思うのは勘のいい姪のテレサ・ライトだけ。疑惑ばかりが膨らんでくるが、母や家族のショックを思うと誰にも話せない。彼女は大丈夫か・・と最後まではらはらさせるが、写真捜査やもう一人の容疑者の扱いなどやや疑問も残る。 6点(2003-02-27 23:41:36) |