21. HINOKIO ヒノキオ
脚本があまりよくない印象。 ひきこもりの少年とロボットという設定を生かして人間の本質を深く炙り出す事に重点を置かずに、さっさと表面的な展開に逃げてしまったのは残念。 ロボットの合成は自然で見事と言うしかないが、合成と同じくらい物語にも神経を使ってほしかった。 [DVD(字幕)] 4点(2006-02-17 00:23:50) |
22. ハウルの動く城
「ハウルの動く城」という題名と「動く城」の前代未聞のデザインを初めて目にしたときの衝撃とワクワク感は忘れられません。 絶妙にキャラ立ちした「城」が「動く」ことによって宮崎マジックはどんな冒険譚を魅せてくれるんだろうと期待に胸が膨らんだものです。 しかし本編を見て愕然、「動く城」って内容に何も掛かって無いじゃん。 デザインだけが突出した客寄せパンダの扱いだったんですか・・。 あげくの果てに生煮えの支離滅裂な難解ラブストーリーを見させられて、ガックリ疲れきりました。 巨匠の作ったものだけに「何かある」と思って一生懸命見ちゃうんです。 それに、見れば、皆さんの言っているようなテーマも浮かび上がってきます。 でもその中に、初めてポスターを目にしたときの高揚感を超えるものは何一つ無かった、って言うのが率直な所です。 [DVD(字幕)] 5点(2006-01-15 18:54:51)(良:1票) |
23. アイランド(2005)
CGよりも実写にこだわっただけに、重量感のあるアクションシーンはかなりの迫力で、見応えがあった。 主人公達の置かれた絶望的な境遇設定がそのまま作品の深みや奥行きになっているので、ストーリー的なボリューム感を抱えたまま余計なことを考えずに2人の顛末をハラハラしながら見守ることが出来た。 追跡者の黒人の男もなかなか存在感があってよかった。 ただ、ラスト「何がどうなってそうなったのか」がドサクサの中であっさり流された感じがして良く分からなかった。 見せたいアクション全て見せちゃったからフォロースルーはかなり淡白。 でも満腹になったからダラダラするよりは丁度良いかも。 メッセージ性もあり、なかなか面白かった。 [DVD(字幕)] 7点(2006-01-12 11:33:52) |
24. キング・コング(2005)
《ネタバレ》 「・・・・なんなんだ、これは。」 これが観終わってからの率直な感想です。 P・ジャクソンやりたい放題の大暴走。 まさに「キング・コング」。 ユー・アー・ザ・チャンピオン。 どちらかと言うとCG肯定派のほうですが、これはカナリの重症です。 まあいいのは島に行き着くまでで、そこから先は何とも凄まじいシーケンスが繰り広げられるわけですが、とてもスペクタクルなどと呼べる代物ではなく、いわば、「鍋に菜ばし突っ込んで引っ掻き回した」ような無意味で品の無い大騒ぎで、必要以上に動き回るカメラアングルもCGの粗をごまかす為のものにしか見えず、演出、脚本、編集までもがカナリ強引でした。 だいたい蟲や恐竜、自然そのものの野生というものをナメ過ぎでしょう。 ・・どう考えてもやり過ぎです。 ニューヨークでキングの手錠がはずれたのを意外な顔して呆然と見上げるJ・ブラックのシーンでは、変な笑いがこみ上げてしまいました。 「大きくて悲しい愛の物語」というきらびやかな衣を纏ってはいるものの、刹那的な好きか嫌いかで評価が分かれる、トイレの震えをこらえながら見た冬の花火のような、ただ々長く派手なだけの作品でした。 [映画館(字幕)] 4点(2005-12-21 02:16:16)(良:1票) |
25. ネバーランド
ジェームズの夫婦関係、子供達との関係、シルヴィアとの微妙な関係、作品と舞台にかける情熱、どれをとっても平熱以下の低体温で、観ていて正直退屈だった。空想シーンの海賊船のまわりの波の描写が面白かった。 [DVD(吹替)] 4点(2005-12-15 14:29:35) |
26. 切腹
これは凄い。 2時間10分身じろぎもせずに見入ってしまった。 ただならぬ緊張感を伴った始まりからして何かあるなと思っていたが、想像を絶する切腹のシーンには愕然とした。 心情的な善玉悪玉の色分けはあるものの、何ともしがたいグレーゾーンで激しく渡り合う展開に手に汗握った。 「武家の家老」と「食い詰め浪人」という上と下の位置関係をものともせぬ、津雲(仲代)の腹の座りようと眼力には終始圧倒された。 不敵な高笑いをする津雲の背後から、ゆらゆらと立ち上る怪気炎がいまにも見えそうな凄い演技だった。 少しずつ津雲の魂胆が明らかになる脚本も微にいり細にいり素晴らしく、含蓄のあるセリフが多く思わずメモを取ってしまった。 懐に手を入れ不敵な高笑いの根拠が示されるシーンでは、目の覚めるようなどんでん返しが用意されていて、娯楽映画としての痛快さも格別だ。 武家屋敷の奥行きと陰影のある構図の美しさも特筆に値するだろう。 脇を固める侍達の堂に入った立ち振る舞いを見ても、この作品の完成度の高さを見て取ることはできる。 井伊家の面々も築いてきた威信を笠に着て、面目と引き換えに失った痛手は大きいはずだ。 それでもなお上辺を取り繕って保身に走る家老(三國)の過労した眼差しは、これはこれで心底非難されるものでもないような気もする。 「一体誰が悪いのか・・」深い命題が余韻を残します。 「今日は他人の身でも明日は我が身。」というセリフが身に沁みる。 「誇り」と「見栄」、どちらを守るにしても後ずさりした者の負け。 穏やかにすごせる明日のために、誰もが肩の力を抜けずに戦っているのだ。 [DVD(字幕)] 10点(2005-12-07 21:23:48) |
27. ALWAYS 三丁目の夕日
多くの美談エピソードをこれでもかと詰め込んだわりには、胸焼けさせずにスッキリとまとめた構成はとても巧い。 「美談100%の毛糸」で編みこまれた手編みセーターの肌触りで、奥行きのある街の刺繍もレトロな風合いをぐっと引き立たせた、一見誰もが手にとって着てみたくなるような暖色系ノスタルジーの一品だ。 しかし、着てみて分かる違和感もいくつかはあった。 全体的にセリフが多くてテンポは良いんだけど、そのぶん人物が浮き足立っているように見えて、ちりばめられた感動がそれほど深く感じられなかった。 クリスマスプレゼントのシーンでも、その喜びをセリフで説明してしまっていたが、子供などがホントに嬉しいようなときには、言葉にならずにただただ大喜びする方が自然だろうし、そのほうがより伝わるんじゃないかと思う。 ラストの少年の選択も心情的には分かるが、ながい目で見れば最良の選択とは言いにくいし、展開も紋切り型で雑だった。 もっとしたたかに生きる、良い意味の賢さを押し出しても良かったんじゃないかと思った。 それぞれのエピソードは涙腺のツボをキッチリと捉えているだけに、あとひと押し足りないのが残念だった。 セリフと演出がもう少し練れていれば傑作になっていたんじゃないかと思ったりしたが、この冬を乗り切れるくらいの暖かさはあるし、美談が心に届けばもはや号泣は避けられないくらいのピュアな燃料はしっかりと詰まっていた。 [映画館(字幕)] 6点(2005-12-02 18:36:13) |
28. 野獣死すべし(1980/日本)
久しぶりに観ましたがやはり松田優作は凄かった。電車のシーンは有名ですが、別荘で暗い窓に青白い優作の顔だけが浮かび上がった殺人の快楽を説くシーンも強烈に印象に残る彼のベストアクトのひとつに数えたいと思います。バーの長回しのシーンでは優作は椅子の陰になってほとんど映っていないにもかかわらずピリピリとした緊張感を画面に醸し出している存在感は唸るものがあります。内容的にはやや大味ですが、一度は観ても損は無いと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-18 01:59:30) |
29. ナショナル・トレジャー
観終わって何かが残る映画じゃないけど観ている間は目を離せない軽快な展開で、随所にギミックや伏線を絡ませた小さなサプライズで抑揚をつけながら宝探しと言う中心線をぶれさせずに謎と困難をひとつづつ解決していくのでとても分かり易く安心して楽しめるアドベンチャーでした。スケールの大きなアクションシーンが無かったのが残念。相棒の青年(ウェンツ瑛士)はなかなか良かった。全体的に好印象でした。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-17 12:04:46) |
30. コンスタンティン
《ネタバレ》 冒頭の槍男で引っ張りに引っ張ったあげくに何も盛り上がらんてどーなのよ。聖書もひっくり返るような一大事だと言うのに終わってみれば結局ほとんど何も起こってないでしょ。地獄のシーンも感覚に訴えてくるほどの凄みも無く、終盤出てきた天使やサタンも妙に小者っぽいし、ここまでこじんまりとしたアクションホラーって珍しい。やはり禁煙キャンペーンのCMとしての意味合い以上の価値感はないかと・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2005-11-09 01:59:29) |
31. モンスター(2003)
どんなモンスターもページをめくれば人間的な部分や、化け物になった理由があるのは良く分かる。 そのあたりは哀れみの視点でよく描かれていた。 しかしモンスターの容姿行動がこと細かく描写された、観客の好奇心を満たす本作品を前にして、眼をつぶり耳をふさぎ怒りと悲しみにに暮れる人達が実際に居て、晴れることの無い無念を胸に、このあからさまなメロドラマをどう受け止めているのかがとても気になった。 世の中の歪みを全て引き受けてしまった主人公の破れかぶれな復讐劇と捉えればおさまりも良いが、鑑賞後に何か釈然としないものが残った。 [DVD(字幕)] 7点(2005-10-17 03:39:03) |
32. アビエイター
《ネタバレ》 主人公がかなりエキセントリックで共感できる点が少ないので、ストーリーがやや遠くに感じました。 独善的で気まぐれな野望を有り余る財力をバックに自由にかなえ、生死をさまよう大怪我もあっという間に治ってしまう主人公には感情移入の余地がありません。 狂言回しが一人居て感情面がフォローされていれば、もう少し入れたかもしれません。 鬼気迫るディカプリオの演技は見所ですが、その彼に人はなぜ付いていったのか、お金以外の人間的な魅力がほとんど描かれていないのがこの作品の片翼な所だと思います。 墜落も止むなしと言ったところでしょうか 。 [DVD(字幕)] 6点(2005-09-22 15:29:18) |
33. Ray/レイ
《ネタバレ》 イイモノっていうのは必ずしも清廉潔白ではないんですね。 彼の名曲の数々も薬漬けの最中に出来たのかと思うと少々複雑ですが、そのへんは清濁併せ呑む覚悟で受け止めればまた違った味わいを感じることが出来るかもしれません。 神格化された天才ミュージシャンの人間的な部分をJ.フォックスが、見事に演じていたと思います。 生涯現役を通す秘訣はやはり、「女好き」ということなんですかね。 [DVD(字幕)] 7点(2005-09-19 02:50:42) |
34. 鬼が来た!
これは日本人が観るべき反戦映画ですね。 日本人監督では描き得ない、ある状況下での日本人特有の思考パターンをゾッとするほどくっきりと描写しています。 終盤の展開には凍りつきました。 まさに鬼です。 創業60年のそば屋の倉庫にひっそりとしまってある古びた鏡を覗いたら、血だらけの鬼が仁王立ちしてた感じです。 学校でも教えてくれなかった一番観たくない醜い姿ですが、日本人が観ておくべき必須の映画じゃないでしょうか。 恐怖による支配は憎しみ以外何も生みはしないというメッセージが深く心に突き刺さりました。 [DVD(字幕)] 8点(2005-09-16 02:30:33)(良:1票) |
35. 野良犬(1949)
何から何まで骨太で、50年以上経っても骨組みにほとんど緩みが無く、引き込む力もいまだ衰えない「作品力」はさすがと言うしかないです。 ひとに勇んで薦めるほどの華のある作品とは言いにくいですが、バディ物の元祖として観る価値は充分にあると思います。 [DVD(字幕)] 7点(2005-09-09 01:16:16) |
36. ヴァイブレータ
《ネタバレ》 シャンプーのいい香りがして、元ヤクザで、ヤバイ仕事も結構しのいで来たけど麻薬はやらなくて、機械に強く、好奇心のおもむくままに質問しても、面倒臭がらずに何でも説明してくれて、無線やトラックの運転など、ちょっぴりときめく冒険を茶目っ気たっぷりに提供してくれるが決して無理はさせず、不安定な感情の波もだまって優しく包み込んでくれる、不良性と深い包容力を併せ持つ「理想的な男」に「抱かれたい」という欲求、果ては「日常と違う自分を抱きしめたい」という早川(寺島)の脳裏に走ったほんの数分間の自慰的妄想がこの作品の実体なんじゃないかと考えました。 コンビニで男の手が尻に触れた瞬間スイッチが入り、トラックから下りるところまで全て妄想。 彼女がトラックに乗り込むときから始まる都合の良さと、見送るときに手も振らない目配せもしないそっけなさを見ると、邪推ながらそういう解釈もアリかなと思えてきます。 寺島しのぶは艶を出せる今の日本では絶滅寸前の貴重な役者です。 それを受けた大森南朋もいい味を持ってます。 内容的には玉虫色ですが、二人の持ち味の掛け合いから生まれた大人の雰囲気漂う緊張感が、この作品の肝ではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2005-08-13 16:44:25)(良:4票) |
37. 着信アリ
運命操り型の体温の低い霊ではなく、予告時間にはどこに居ようが誰と居ようが力ずくで首をへし折ってでも殺すというカナリ武闘派の霊に苦笑。 顔をしかめて叫んでいれば恐怖なんだというカナリ学芸会な演出に苦笑。 メリハリ無くだらだらと進んだ挙句のカナリ無意味深な終盤に苦笑。 そして秋元康のコメントを聞いて絶句。 0点の価値すらないです、怒りの2点。 一生やってろ。 [DVD(字幕)] 2点(2005-08-12 12:35:03) |
38. Mr.インクレディブル
CGアニメのキャラクターも、アカデミー主演賞や助演賞にノミネートされる日がそろそろ来るんじゃないかと思えるほどいい芝居するようになりました。 感情の乗った細かな表情の描写は見事です。 ストーリーもそれぞれの再生物語をきちんと描きつつテンポの良いアクションでサクサクッと見せる手馴れた感じの展開で、登場人物と一緒にハラハラ出来る上質なエンターテイメントになっていたと思います。 おそらく作られるパート2では、憎悪と復讐の鬼と化したダース・シンドロームがフーパーいいながら復活してくると思いますが、わざわざロボットなんか作らなくても手元のビームだけで簡単に勝てますからがんばってください。 [DVD(吹替)] 7点(2005-08-11 17:25:02) |
39. シークレット ウインドウ
登場人物ほとんど全てを(郵便局の女の子も)容疑者としてリストアップしましたが、そう来るとは思わなかったです・・。 ブラピの映画もラッセル・クロウの映画も観てるのに、またもや監督の思惑にキレイにはまってしまいました。 これからは、「主人公以外の誰とも絡まない変な人」が出てきたら注意します。 ネタバレ寸前のところではぐらかす演出は上手かったと思います。 伏線が途中で途切れてたり、ラストが弱かったりで完成度としてはそれほど高いとは思わないけど、映像が綺麗だったからまあいいかなってところです。 [DVD(字幕)] 6点(2005-08-06 22:11:03) |
40. プリティ・プリンセス
少女の夢想の世界をそのまま映画にした感じ。21世紀の今、80年代のテイストで撮り続けるG.マーシャル監督はある意味貴重。P.マーシャル監督とともに人間の本質を優しく見つめたハートウォーミングストーリーを取り続けてください。 [DVD(字幕)] 5点(2005-08-03 17:17:27) |