21. トランスフォーマー/ロストエイジ
《ネタバレ》 開始数十分で、「あれっ!?いつものウザチャラい演出じゃないなぁ。」と。細かく割らず、急なパンしたりせず、まさかあのベイさんが気を使って丁寧に撮ってる?流石の4作目、キャストも一新。予告もあんまり見てないし、さぁて、今回はどんなお話なんだぁ、と。…どんなお話なんですか、コレ?やってる事ワカリマセン。オートボットはダレを相手に、ナンの為に戦ってたんですかねぇ?あれっ、そういやトランスフォームシーンが少なくない?代わりに新しいあのキューブ状のCG、あれ全然凄く無いよ。えっ!?またシカゴで空中戦?んで相変わらず車バンバン転がす人だねぇ、この人。車好きなのは知ってるけど、『高層ビル市街地』フェチでもあるんじゃないの?『アルマゲドン』の頃とちっとも変わってない。飽きないんですか?アナタ、僕はもう飽きました。邪魔な存在のルーカスを早々に退場させたのには「分かってんじゃん。」と思ったが、その後はキャストが総入れ替えなのに、センスの無い台詞やマンネリな立ち回りでやっぱりいつの間にかじわりじわりとベイ菌に頭が侵されていく(キャストでさえ)この感覚はある意味凄い。公開前に試写してんですよね?評価よりも「これならまぁ儲かるでしょ。」でOK出してんですか?スピルバーグさん。(事実、これで2億ドル越え、アメリカ人の感覚分からん)車やその他の吸い上げシーン「だけ」はまぁ観れたが、いくらなんでももう限界だろ、これ。メガトロンが復活だ!?もぅイイって…。 [映画館(字幕)] 3点(2014-08-08 17:16:15) |
22. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 長編2作目の新人監督が大抜擢、任された夏の超大作。近年作に見る細かいカット割りを繋いだスピーディな演出は皆無で、一つ一つの間が長いカットを丁寧に繋いで構成された作りは、良く言えば原点回帰の古典風。これが監督の意図した通りの演出であるならば、それは日本の『ゴジラ』に敬意を払っての事でしょうか?それとも狙っての事なのか?これが吉と出るか、凶と出るか、はお金を払って観る観客次第。なのでお金を払って観た一映画好きの意見として言わせて頂くと、兎に角単調で薄く、眠気に襲われる退屈な映画でした。伸ばして待たせてここぞ、で登場させて、チラ見しかさせない焦れったい演出は分かります。 ホノルル空港(でしたっけ?)で最初に咆哮する姿を目にした瞬間は流石に鳥肌が立ちましたが、それがホントに最初で最後の見所となり、それ以前、以降では空撮、引いた画、アップ、ムートーを含めた画にどれも個性や魅入らせるだけの画力は無かったです。(ジュリエット・ビノシュとの別れのシーンが一番記憶に残ってる)そこへ全く魅力の無いキャラ達が入り乱れるのを観せられて更に眠気に襲われる始末。『正統派』と言えば聞こえは良いが、先に言った通り、かなり単調で薄味。これは新人監督故の演出の引き出しの少なさか経験不足か、絶対的なビジュアルセンスの無さか。最近ガチャガチャし過ぎた映画を観過ぎてるいるせいでしょうか。もしかしたらこういう街破壊アクションや怪獣映画に食傷気味なのも原因かもしれないですけど、『これ!』というインパクトに欠けるのも事実だと思います。 [映画館(字幕)] 4点(2014-07-29 19:43:45) |
23. マン・オブ・スティール
《ネタバレ》 『クロニクル』を観た時、実写化されたドラゴンボールの戦闘シーンだと感じたんですが、こちらの肉弾戦を観て、それはこちらの方が遥かにドラゴンボール度が高い、と感じました。僕は『スーパーマン』には何の思い入れも無く、ちゃんと観たと言えるのはブライアン・シンガー版くらい。なのでレビューはほとんどその映像に偏るかもしれません。『スーパーマン』にあった、明るく、どこかほのぼのとした雰囲気は皆無で、『ダークナイト』シリーズ同様、リアル・リブートとなりました。脚本が良いとか、製作が誰だとか、そんなのはこの人が監督すれば関係ないでしょ。ザック・スナイダー、って人には明確なビジョンがあって、それをビジュアル化する独自のセンスがある。街や高層ビルが破壊され、崩れ去る画はそれはもう『トランスフォーマー』あたりと大差は無い。が、破壊の美学はあっても、その破壊される画に美しさは無い。あるのは荒々しさ。正に超人同士の怒りと激しいパワーのぶつかり合いが見事に表現されていたと思う。そしてクリプトンの戦士達の重力を無視出来るパワー。それを表現する為のハイジャンプ、高速移動等のビジュアル。この監督と言えば思い浮かぶのは十八番のスローモーション。『エンジェルウォーズ』や『300』ではこれみよがしに使ってましたが、本作では無いですよね。戦闘シーンにスローモーションを使わなかったおかげでテンポが損なわれず、超人たちの戦闘なのにリアリティが生まれてとても良かったと思います。放り投げた便器のシーンにまでスロー使う人ですからね、よく我慢出来たと思います。ゾッド将軍とのタイマンも見所ですが、僕の1バンはやっぱり、副官の女戦士ファオラですねー。演じるのはアンチュ・トラウェという、あまり聞きなれないドイツの女優さん。しかしこのファオラは、ジェニファー・コネリーに似た透き通ったやや冷たさを感じさせる視線や表情がとても印象的で、戦闘シーンも超クール!戦闘機に向かってのハイジャンプ、高速移動での軍兵士連続打撃シーンはかっちょえぇー!ここがハイライトですかねぇ。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2014-07-22 20:04:47)(良:2票) |
24. 武器人間
《ネタバレ》 邦題『武器人間』。多分先に公開されていた『ムカデ人間』から拝借したものと思われるが、これはこれであながち外れてはいない。また、このタイトルから少し連想された、若干チャラけた内容なのかとも思いましたが、作品は至って真面目で堅実な(役者さんの演技や撮影、構成、編集など、映画としての完成度という意味。グロ・ホラーなので、内容は全然真面目ではありません、あしからず)作りでした。味方を救う為に敵地の屋敷、地下に潜入していくシーンでは、その地下通路の暗さと閉鎖感が恐怖を煽り、ここで案内役のドイツ側の人間がさっ、と姿を消すんですね。完全に孤立、迷ってしまう。そしてついに現れる、異形の者たち…。この狭い通路で怯えて逃げ惑うソ連兵の後方に異形の怪物の姿を画面に同時に映し込む事で迫り来る恐怖を煽る演出は中々怖くて上手い。正に元祖バイオハザードのあの恐怖感にそっくりだ。ただ、その武器人間自身による殺戮シーンがほぼ無いのがチョット残念。後半では登場した博士の人体実験が中心になりますが、『あの』シーンは『ハンニバル』以来、初めて目にしたんではないか?ただ、人体実験前に期待させといて肝心なシーンでカメラがパンしちゃって、「えー、そこ映さないのー!?」と少しガッカリするとこもあったり、これがレーティング15の限界だったのかな?博士役のカレル・ローデンは『ボーン・スプレマシー』なんかではシリアス演技(って程でもないか?)も披露する巧い役者さんだと思うのですが、テンションは高いが意外と普通。総じて退屈はしませんでしたが、もう一歩踏み込んで突き抜けて欲しかった、と個人的には思いました。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-07-11 19:35:01)(良:2票) |
25. スノーピアサー
《ネタバレ》 先頭車両へと続く扉が開かれた瞬間、目に映るものは清潔感漂う涼しげな空間、そして耳にするのは流麗な『ゴルトベルク変奏曲』のアリア…。オープニングより見せられ続けた最後尾の不衛生で退廃した空間との対比、この緩急の差。車両の主が語るこの物語のオチは、閉鎖空間で人類が生き続ける為にはバランスが大事だという事。7分スピーチのシーンでの『片腕処刑』(僕はこのシーンが撮りたくて監督、氷河期と列車の設定にしたんでは?と思えた位、印象的で強烈なシーン)、突然目にする日の光と車両内から見る凍死した外界、反乱時の手ぶれ画面、多用されるスローモーション、U字カーブでの射撃の応酬など、『静』と『動』のカットやシーンのバランス、気を使った構図やアングルを見ても、作品としてのバランスも良く取れていて、おまけにどこか他とは一味違う感を味わえました。この映画の時間枠で様々な、いわゆるツッコミ所をあげればそりゃ出てくるでしょうけど、そんなのが気になる人はよっぽど繊細なのか、完璧を求めるんでしょうかね?鑑賞後しばらくなら分かるけど、観ている間は面白さと勢いで十分でした。ハリウッドで撮ったエンタメとすれば十二分だと思いますけどね。役者さんは割と地味目でクリス・エバンス、ソン・ガンホ、ジェイミー・ベルと、キャラも割と薄め。その中でやっぱりダントツはオスカー女優のティルダ・スウィントンですか!まぁ最初のスピーチシーンからアクの強い事!この人観るだけでも楽しめるし、価値あると思えます、僕は。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-07-04 15:12:49) |
26. 死刑台のエレベーター(2010)
《ネタバレ》 吉瀬美智子サンを初めて知ったのは、その昔、TVで夜放送していた『ライアーゲーム』を見た時でした。スラリとした長身の黒スーツ姿で「カッコ良いキレイな女(ひと)だなぁ。」と思ったのを今でも鮮明に覚えてます。正にクールビューティーという言葉がピッタリな女性です。こちらの映画ではそれはもう、オーラを放ちまくっていらっしゃいましたね。オーラですよ、オーラ。「私は吉瀬美智子、それだけで画になるオンナ」オーラですよ!黒いドレスに真紅のコートを纏い、煌びやかな夜の街にヒールの音を響かせて佇むその姿は全く浮いておらず(?)、思わずため息が漏れる。外人サンの女の子が雨宿り中の吉瀬サンに声をかけて英語でお話をされるのですが、ここでは違うため息があぁぁ…。(お口さえ閉じていらっしゃれば)ここまで画になる女優サンが他にいらっしゃいますかっ!?その後のおトイレでお便座にお座りになってショーツを足下までお下げになっている画は奇跡としか言いようがないっ!!この映画で監督がイチバン良い仕事をした瞬間でしたね。吉瀬美智子サンは悪いとは言ってませんよ。その容姿も生まれ持った『才能』の内。監督だってその『画』になる女優を見極めてキャスティングしたんだろうし、その点は間違いは無かったと思います。吉瀬サンはこういう作品では非常に『画』になり、目の保養にはなりますが、まぁ『エコナビ』程度でいいんじゃないですか?最近やってないけどね。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-06-19 20:40:45) |
27. サプライズ(2011)
《ネタバレ》 いやこれ、ホンマ笑ってまうわー。って関西弁で言いたくなっちゃう位笑ってもうたわぁ。恐らく被害者になるであろう人達が普通の一般家庭の家族とその近しい人。おまけに人数が沢山。これは殺しのバリエーションが豊富なんだろうなぁ、と期待する。まず家族のお姉ちゃんが、「私が一番脚が速い。」と息巻いてダッシュで外へ行くと言う。靴まで脱いで。パパは扉を開ける用意。それでいいんかいっ!?パパっ!大事な娘ちゃうんかいっ!フラグ立ってんねんでっ!いや、これでいい。これは映画なんだから。実際こんな目に遭ったら誰だってどんなトンチンカンな行動をするか分かる訳がない。んでこの状況で次男の彼女、若い頃のグレン・クローズさん、設定上サバイバルと人殺しに長けている。屋敷に侵入してきた賊の兄貴が振り下ろす斧をかわし、股間に一撃!「アウッ!!」と怯んだ隙にトンカチで頭滅多打ち!弱過ぎるっ!!もう一人も顔面滅多打ち!ここ、目がチカチカしてちょっとイラッ、としたわ。中盤で明らかになるプチサプライズ。お前ら…、そうだったのかっ!?これで俄然この黒幕の死に様に期待が高まる。2人仲良く脳天ヤラれて昇天(ぷぷっ、上手い。)ってのもまぁ、悪くわないが、きっと色々考えた挙句のアレだと思うと、ちょっと物足りない。持ち味や突き抜けた感の無い、普通の量産ホラー。次代の才能、とか言われてる(?)みたいな監督サンですけど、今後期待出来るかどうか?ムズカシイところ。 [DVD(字幕)] 5点(2014-05-20 13:26:48)(笑:1票) |
28. ダーケストアワー 消滅
《ネタバレ》 まーとにかく中途半端感がハンパない残念な映画。クラブで停電が起きてみんなが外に出る。そしたらキレーなクリオネ(?)みたいなのがふわふわ降りてくる。これ見た瞬間、「うわぁ…。」(気の抜けるカンジ)って言うのが正直な感想。敵エイリアンの視点もそう。イヤな予感が頭をよぎった。これって、あの『スカイライン』と同系なんじゃないの?という予感。そして自分的には正にその通りだった。オレ、これがやりたかったんだー、こんなビジュアルセンス持ってんだぜー、と言わんばかりのあの人間消滅CG。最初の警察官から始まり、クラブの人たち、仲間3人、みーんな同んなじなんですよねぇ。芸が無い。敵エイリアン、車の下に潜り込んだだけでやり過ごせる、ってなんなんだ、それ。ロシアが舞台なのはこれをアメリカ、マンハッタンでやろうもんならそれはもう『アイ・アム・レジェンド』のパクリでしかなくなるからか?キャストに微塵も魅力が無い。ロシアの女の子が一番マシだったか。リメイク・『ジャッジ・ドレッド』ではサイキックなパツキン訓練生があんなにも魅力的だったオリヴィア・サールビーなのに…。この監督の演出とこの脚本では無理というものか。馬に乗ったゴツいロシア人が出て来た時は、本気なのか冗談なのか、本当に分からなかった。良い(面白い)映画の演出がどれほど優れているかがこれを観れば良く分かる、中身の無いあの『スカイライン』と全く同じ、そんな感じのCG見せたがり映画。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2014-05-19 21:26:31) |
29. ハンガー・ゲーム2
《ネタバレ》 2時間16分。前作と比べ物にならない位、単品としての質は明らかに良い。オープニングの逆光のカットニスのシルエットの美しさから難なく作品に入り込めた。前作で希望のシンボルとなってしまったカットニスと、それを火種と見なす政府大統領のスノー。前・中盤のドラマで地区の貧しさと政府の横暴な仕打ち、引き換え首都パネムの華やかさと贅沢三昧をしっかりと作り込んでいるので見応えは十分にある。(レジスタンスものの下地がしっかり描かれている)ゲーム開始前では同盟を組むのが鉄則と教えられ、じゃあその後はどうするんだ?という、毎度の観客の疑問が直ぐに浮かぶのだが、それらを所々で上手く回避、説明しているので中々納得して観ていられる。また今回はプレイヤー自身が政府に対して本音をブチまけたりしていて、あぁ、こういう流れなんだなぁ、と非常に理解しながら鑑賞出来る点が良い。そしてどうやって最後の一人になるのか?という最大の疑問点も、それも良い意味で上手く回避して締めくくる。3部作故、物語は『ハンガー・ゲーム』自体を大きく上回って広がって行きますが、正直に完結編を観たいと、エンドロールに思わされてしまいました。…只、やっぱり決死のゲームに無理矢理出場させられるプレイヤーの心境、背景が無さ過ぎる、かなぁ、と。(ジェナ・マローン扮するジョアンナがその点、イイ味出してましたが)1人しか生き残れないというルールに、せめて絆が芽生えたカットニスとピータが最期をどうするか?と言う事を2人で語り合うシーン位あってもいいんじゃないかと思うんだけど。やっぱりゲーム自体に緊張感はありません。エフィーが同情から感傷的になる、っていうのもなんだか…。こっちは明日殺し合いなんだ、お前と抱き合ってなんかいられるかっ!って気がするんだけどな。ま、その辺は前作同様、言い出したらキリがないんで。 追記.前作、ケイトーの台詞、「仕組まれていた。」今作を見る限り、前作はやはりその壮大なクーデター計画の為の布石だったと考えるべきか?最初、妹プリムが選ばれたのも作為的で、カットニスの志願する勇気と意思を確認したかった?ゲーム中の差し入れ、ルール変更など、筋書き通りだった?だとしたら、セネカは実は反政府側のスパイだった、とか?完結編次第では1作目の見方や評価が変わるかもしれない。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-04-25 13:39:28) |
30. 悪の法則
《ネタバレ》 チーターに狩られる野うさぎを見て、「可哀想」と思う人は少なからずいると思う。ただ、チーターは生きる為に獲物を捕食するのであって、それは自然の摂理だ。キャメロン・ディアス演じるマルキナはどうだろう?生きる為に『彼ら』を捕食したのだろうか?一切の素性が分からず、『悪女』だと言える程に描かれていない彼女には全く感情移入など出来ない作りになっているので(映画自体そうだけど)、これは観た人それぞれが解釈するんだろうが、これはチーターとはまた違う、マルキナの生き様の本質なんだと思う。損も得も、欲も無い(ただ得や欲が付いて来る)、『マルキナ』という女の本質。欲に駆られた男たちは苦悩し、欲を支配した女は笑みを浮かべる。この役を演じるにあたり、良い意味で良い年齢になったなぁ、と思わせるキャメロン・ディアスは凄みを効かせた貫禄ある女性像がとても良かった。ドラゴンタトゥーのリスベット同様、強い女が輝く映画は面白いなぁ、と感じた次第。映画自体はそれほど悪い出来とは思いませんが、相当に陰惨なお話の割りには映像が明るく綺麗で、後味の悪さなどは思いの外小さい。酷評のストーリーテリングもそれ程悪いとは思わなかったし、この脚本の会話劇でこれだけ魅了出来れば中々じゃないですか。ただ、あからさまな台詞の伏線が後半にキッチリ回収される辺り、ローラのスナッフDVDが届いたシーンは崩れ落ちるカウンセラーのカットで締めとけば良かったのに。何もご丁寧に廃棄場に遺体を捨てるシーンを見せなくても…。印象的な台詞も多々。「真実に温度などない。」うーん、言葉の意味はよく分からんが、とにかく凄いcoolだ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-04-15 14:35:03) |
31. サイド・エフェクト
《ネタバレ》 スティーヴン・ソダーバーグ。この人は本当に映画の撮り方を分かっていて、ストーリーテリングがとても上手い。近年作同様、あっさりした淡白な描写とカットなのに、一つ一つが相変わらずセンスの良い画で感心する。オープニングで事件を知らせ、暗転から過去の回想へと繋がる定番の流れですけど、難解になり過ぎずに、置いてきぼりを食わないし、かついつの間にかグイグイ引き込む演出、構成、そこから観客には十分に謎解きの猶予も与えてくれて本当に良く出来た作りだと思います。このサスペンス飽和状態の現在で、まだこれだけ演出出来る事を示したソダーバーグ監督は流石としか言いようがないです。同監督作『コンテイジョン』の様に、医薬品の副作用(サイド・エフェクト)をストーリーの軸に据えて、社会への警鐘を鳴らしつつも、それすらもミステリーの一部にしてしまう脚本の出来の良さ。正常なのに、叫べば叫ぶ程精神異常だと誤解されるドロ沼の精神病院の怖さなど、問題提起もさりげなく。ジュード・ロウは『コンテイジョン』の先入観からか、嫌な胡散臭いヤツなのかと思わせる(僕にだけ?)役作りは上手いなぁと。全てを失いかけた者が逆転し、見事悪者が裁かれるオチは、バッドエンドの多い最近の作品の中ではむしろ新鮮。オールシンプルドラマですけど、全く眠気に押されずサクサク鑑賞出来ます。オチを知った上で再確認の鑑賞が楽しめる上質のサスペンスだと思います。流石ソダーバーグ! [DVD(字幕)] 8点(2014-03-27 22:21:12)(良:2票) |
32. ローン・サバイバー
《ネタバレ》 ネイビーシールズのドキュメンタリーから始まるオープニングでもう胸が熱くなる。決して『言葉』なんかでは言い表せない、体験した者にしか分からない、あの地獄を監督は『プライベート・ライアン』の臨場感よりも、『激痛』で演出してみせた。見慣れた山岳地帯での銃撃戦も、カメラのスムーズな動きで4人の位置関係、動きを平面的にならない様に撮るカメラワークも上手い。そして役者を通じて観客に伝わってくる、彼ら、地上最高の精鋭部隊、ネイビーシールズの魂。僕にはある種、洗脳に近いと思える程の、その海兵の教えを曲げない彼らの心の強さというものは凄い、としか言いようがない。命を落とした3名も、きっと映画の様に美しく、称えられる様に亡くなっていった訳ではないとは思う。でも映画としての演出、カットなどはどれも強く印象に残る良い出来だったと思います。作品賞ノミネートとはいかない、重さや深さは感じず、後半の失速感も否めないが、前~中盤は終始力みっぱなし。突然の音響効果も抜群で劇場向きかと。案の定のご本人の映像エンドロールで更に胸が熱く、込み上げてきます。ダラけずに観れた久しぶりの良作でした。 [映画館(字幕)] 7点(2014-03-27 14:43:37) |
33. ABC・オブ・デス
《ネタバレ》 アルファベットの頭文字から26作品のオムニバス形式ホラー。貴重な時間を費やして観る価値は?と聞かれれば正直、僕にはありませんでした。無駄だと思える作品が多すぎる。そんな中でも目を引いたのはアニメーション。Kの不器用。絵がカワイイ。(まさか!?のオチ、いや、薄々感づいてたケド) Tのトイレ。クレイアニメが不気味でグロい。(こちらもオチは感づくが、最後までグロく、救いが無い) Cのサイクル。どっかで見た様なネタだけど、この短い枠では説明不要だから、不条理さとネタそのものが際立ってて良い。Pの重圧。幼い子供達の母親の置かれた環境と心境が痛い程伝わってくる秀作。1本の映画として撮れそうな内容です。そしてDのドッグファイト。これ、フィンチャー監督が撮ったのか?と思わせる様な洗練されたビジュアルに流麗なスロー描写。台詞無しで伝わる演出、役者さんと犬の名演技。悲しい結末が頭をよぎったのですが、んー、あのラストで良かったですねー。こちらも1本の映画として見てみたいと思わせる良い出来でした。監督さんがアルファベットを選べたのかは知らないんですが、Dの監督さんのセンスは間違いないと思います。一部理解不能(僕だけ?)なのも混じってますけど、ほんとヒマな時にでも観て下さい。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-14 12:32:31)(良:1票) |
34. パシフィック・リム
《ネタバレ》 デル・トロ監督の脳内イメージが全て映像化されています。ただ、「この監督」の作品であるという事を理解し、出来る、理解してあげるという寛容の心(つまりはファンですな)を持って観ないと、先のレビューの様に評価は分かれるんではないでしょうか?でも個人的には一見さんでも十分良く出来た作品だとは思いますが。『ヘルボーイ』の頃からの色彩感の濃い映像、独特の細かなセットやギミックやメイキャップへの唯ならぬこだわり。今作は引いた画がメインらしく(まぁ大型ロボと怪獣の対決がメインですから)、ここ一発のカッコ良いカットは少ないですが、やはりこだわりは伺えます。チャーリー・デイ扮する怪獣オタク学者のテンションの高さとか、初登場シーンでの菊地凛子と不釣り合いな程大きな傘をさす彼女の姿を前後から収めた画とか、その金髪が非常に目を引き、印象に残る、ロシア産イェーガー『チェルノ・アルファ』のパイロット、特に女性の方と(声も素敵!)、2人が付けるマスクとか、ロン・パールマン扮するハンニバル・チャウのスーツのセンスとあの眼鏡、そしてわざわざ見せるカチャカチャなる金ピカな靴とか、こういう細かな描写のこだわりが凄く好き。同じロボット映画ではベイ監督の『トランスフォーマー』がありますが、デル・トロ監督と比べると、あれでも線の細い繊細で綺麗な映像だと感じる位、デル・トロ監督の作品はやはり細部まで「濃い」です。ロボと怪獣のど突き合いは堪らんものがありました。僕はBD、プロジェクターで鑑賞しましたが、戦闘シーンの画面の暗さはそんなに感じませんでしたよ。十分認識可能なレベルだと思います。次は『ヘルボーイ3』が観たいけど、撮ってくれるのかなぁ? そうそうラスト、ロン・パールマン生きてて良かったぁー。何かありきたりな付け足しだけど、思わず口元緩んじゃいました。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-12-18 15:45:04) |
35. ゼロ・グラビティ
《ネタバレ》 『宇宙』を知らない人がほとんどだと思います。そして『死』、映画の様な「死ぬ」という事を感じ取り、死を受け入れる、受け入れざるを得ない状況になった人も少ないと思います。この映画はその2つを見事に疑似体験させてくれます。3Dは必然です。『映画』を超えた究極の映像体験が味わえ、「その場」を提供して、共有させてくれます。ライアン博士が地球へ還ってくるラスト5分。彼女(と観客)が目にするもの、揺れる穏やかな水面、木々の緑、青い空、そして火の玉となって地上へ降り注ぐ破片…。地上で見れるその美しい自然の景色を目にしたその瞬間、宇宙を知らない筈なのに(宇宙にいたと錯覚していたから)、こんなにも感じる安堵感。たったの5分ほどです。OPからラストのここまで、完全に『宇宙』へ誘ってくれる、究極の映像です。比率では9(宇宙):1(地上)。9割は映画らしくその贅沢な映像美、映像技術を堪能し、まだ見ぬ宇宙の神秘と、生物が生きれない冷酷なまでの静寂の空間で魅了する。そして、残るたったの1割で、監督はほとんどの人間が目にする事の出来る地上の自然の美しさと有り難みを再確認させたのだ。そして原題の通り、サンドラ・ブロックの熱演通りに観客に伝え、感じさせたのだ、『GRAVITY』を。 …2014.4/26、ブルーレイ2Dにて再鑑賞。視聴環境、完全暗室のプロジェクター、スクリーン110インチ、5.1ch。感想は…あの日、映画館で味わえた全ての感情には程遠いものでした。2.4:1、シネスコサイズのせいか、宇宙の広さを全くと言っていい程感じられませんでした。これは僕自身も感じた事ですが、一部レビュアーの方が仰っている様に、自宅環境ではやはり評価は変わってしまいそうな気がしました。正に『観る』より『 体感』する映画ではないでしょうか。 [映画館(字幕)] 9点(2013-12-17 22:22:03)(良:4票) |
36. ヘンゼル&グレーテル
《ネタバレ》 『ヒルズ・ハブ・アイズ』のアレクサンドル・アジャ、『ドゥームズデイ』のニール・マーシャル、ハリウッドに招かれて撮ったこの人達の作品には、やはりこの人達が自国で撮った作品に反映されている「個性」が強烈に表れてます。この『ヘンゼル&グレーテル』にも監督サンがやりたい事がちゃんと映像に反映されていて、こういうのが大好きな僕には買い決定の作品でした。どうこう評価する程の作品ではない、と言ってしまえばお終いですけど、そこそこ質の高いB級グロ・アクションを期待して観たらど真ん中寄りのストライク、って感じですか。個人的大当たりなのはやっぱりグレーテルを演じたジェマ・アータートン。キャラの個性味付けがすんごい薄味(お兄ちゃんも)でもっと弾けててもイイのになぁ、とも思いましたがとっても魅力的(大体お顔やお身体ですけども)でした。2人に憧れる村の男の子が傷付いたグレーテルを介抱するシーンで、ベッドに横たわるグレーテルの胸元に気付いて辺りをキョロキョロ、そっ、と拭いちゃうシーンなんて堪んないシチュエーション、っすよねぇー。(←何言ってんだか)そして黒の大魔女を演じたファムケ姐さんも007の頃からお変わりなく(…?)お綺麗な女優さんです。もっとお素顔のシーンが見たかったですが。ノリとテイストに合った映像技術でほんとサクッと観れちゃいますし、女優さんにも大満足のこちらはあえて不満を付ける程真剣に観る事ないと思います。十分面白かったです。ラストに描かれた、深い森から一転、明るい荒野での一行のその後が観たいなー、と本気で思っちゃいました。 [DVD(字幕)] 7点(2013-12-09 11:32:20)(良:1票) |
37. キャリー(2013)
《ネタバレ》 本日初回、10時半、そこそこ長い映画歴で初めて、劇場にたったの1人、という空間を味わえた事をここに記しておきます。さて、本編ですが、緩急がとても緩やかで地味ーな薄い演出のドラマなのに眠気に押されず鑑賞出来たのは、役者陣の堅実な演技力と手堅い(手堅過ぎる)構成のおかげでしょうか。知ってる人も知らない人も、『プロムの夜の罠』へ向かうまでがドキドキワクワクな訳でして、その好奇心のおかげもあるかもしれません。とここまではイイです。だけど『プロムの夜の覚醒』からがどうも…。監督サンはこれが長編3作目なんですよね。はっきりと力量やセンスが垣間見れた気がします。それは超能力の見せ方(魅せ方)。演出やビジュアルがどうも古臭く、幼稚。(キャリーが能力に目覚めて本やベッドを浮かせるシーンにしても変哲が無さ過ぎる)あれだけの事をされてこの程度の仕打ちではフラストレーションは晴れません。良くしてくれた先生を「生かした」事でキャリーにはまだ良心の意識があったと解釈出来るから、それに合わせたというならそれでいいかもしれないけど、これを期待していた人(僕)にはちょっと拍子抜け。唯一画になったカットと言えば、予告編にも使われていて、これで期待値がぐっ、と上がった、突進車を寸止めするカット位か。『クロニクル』の弾ける蜘蛛や、握り潰される廃車、位の鮮烈さやインパクトがこちらにもあればなぁ。ラストの墓石にひび演出はちょっとB級ホラー過ぎるよ。もう少し静かに知的に不吉に締めて欲しかった。違う監督が撮っていれば…、とつい思ってしまいました。若いキャストに混じって流石の存在感を発揮していたジュリアン・ムーア(ノーメイク!)とジュディ・グリア(長身美人先生)は一見価値あり。ホントは5点だけど、この2人に1点追加。 [映画館(字幕)] 6点(2013-11-19 14:37:56)(良:1票) |
38. クロニクル
《ネタバレ》 ハリウッドリメイク『AKIRA』の鉄雄役は若き日のレオ様にクリソツな彼にやってもらえばイイんじゃない?って言うかほぼAKIRAの鉄雄だよね?前半のイタズラシーンは共感を呼ぶ笑いを誘ってとても楽しめます。空をかっ飛ぶシーンの爽快感、蜘蛛を手のひらでパッ、と弾けさせるシーン、廃車を念動力で握り潰す「頂点捕食者」のシーンは特にお気に入り。ラストの市街地バトルは実写版ドラゴンボールよりもドラゴンボールしてたけど、チョイとCGは粗めですかね。POV手法でリアリティ重視の作品ですが、何よりも生々しかったのはアンドリューが親父役のマイケル・ケリーに頭はたかれてぶっ倒されるシーンですかねー。リアル過ぎてぞっ、とした…。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-10-27 22:22:53) |
39. グランド・イリュージョン
《ネタバレ》 ラスベガスの会場でのマジックショーで、フランスはパリの銀行から大金を強奪するという、その大胆かつ魔法の様な華麗なるトリックとは?物凄く期待してたんですが、この映画は彼らが仕掛けたその強盗トリックを追い、解き明かすという映画では無いんですよねー。これ、第一のマジックですが、直ぐにネタばらししてくれるし、しかも分かれば「あぁ、その程度、ふーん…。」ってなカンジ。そしてどのマジックもあまりに映画的な視覚で、「そんなに上手くいくのかよっ!?」っていう疑念と、結局彼らがカッコ良く映る様に作られてる。彼ら4人は最初スカウトされるんですが、脱出マジックが得意なアイラ・フィッシャーなんて何の役にも立ってないんじゃ…。んで監督サンがルイ・レテリエ。この人力入れてるのは結局凝った格闘シーンと、トランスポーターばりのカーチェイスですか?メラニー・ロランなんてフランスよしみで参加させたのか、ってな位の存在感と演技力…。大掛かりなトリックに期待すると肩透かしを食らうかもしれませんし、ストーリーテリングもいまいちなんで、オチネタを聞いてもまた「ふーん…。」な程度。TVで気の合う仲間とワイワイ観る分には楽しいかも。その程度という事で。 [試写会(字幕)] 4点(2013-10-22 17:15:30)(良:1票) |
40. R100
面白くない、っていうかこういうの嫌い。『松本人志』が撮ってます、というだけでそれはもうすでにどっちに転んでも松っちゃんだから…、って話題にはなるだろうし、むしろこういう風な作品を撮るとやっぱ流石なんじゃないの?才能あるんじゃないの?と思い込む連中や批評家の方が多いんじゃない?そういう世間体を気にしたコメントや、オレ、ちゃんと分かってるよ、っていう見栄っ張りや知ったかぶりが。僕にはサッパリ分かりません。モナリザやゴヤやジミーちゃんの絵が分からない様に。本当に才能のある人っていうのは役者から監督業を成功させたイーストウッドやアフレックだと思うんですけどね。松本サン、素人なんだからもう映画撮らないで下さい。話題になるだけでウザいです。 [映画館(邦画)] 0点(2013-10-08 17:42:15)(良:2票) |