381. 花とアリス〈劇場版〉
《ネタバレ》 せっかくの記憶喪失スタート、さらにそこに発見者の作為が加わる、という魅力的な設定をしていながら、各登場人物の心理の綾の部分が全然出てこないんですよ。いや、そういうシーンもあるにはありますけど、大半は日常のうだうだで無意味に尺が伸ばされている。ラストの優ちゃんの制服バレエのインパクトはなかなかですが、それまでの流れとつながっていないので、映画を撮っているのではなく、バレエを撮っているだけになっています。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2018-04-26 01:42:23) |
382. アウェイ・フロム・ハー 君を想う
《ネタバレ》 発想は悪くないのですが・・・。施設内で別の男が出てきてどうこう、さらにその妻も出てきて、しかもそこに主人公夫妻の過去も投影されて・・・となれば、もっと生々しい生活感、もっといえば「男女感」で裏付けてくれないと、リアリティが伴わないのです。この作品はその辺の突っ込みが浅く、全体的にさらーと流されているので、何か作り物っぽく、観念的に感じられてしまうのです。 [DVD(字幕)] 5点(2018-04-14 02:24:53) |
383. ターミナル
《ネタバレ》 主人公が背負った状況を考えると、すごく重いものがあるはずなのに、ベタにも軽快にもせずに普通に流しているのがいい。ラストの部分も、たかが30分前後のためにそれまでの数か月間があったという一筋のまとまりを見せていて、良い。ただ、根本的な問題として、トム・ハンクスにこういう役をやらせると、あまりにも安定感がありすぎて、何をやっていても危機感に乏しいのですね。だから、作品のドラマ性は減殺された気がします。中盤も、少しだれていたと思います。 [映画館(字幕)] 6点(2018-04-01 02:36:46) |
384. キューティ・バニー
ただの説明ナレーションで始まる陳腐な出だしと、見た目も中身もまったく魅力が感じられない主人公の安直な描写で、これはもしかしたらすごくつまらない作品なのではないかと思っていたら、まったくそのとおりだった。各登場人物の根本キャラクターができてない、というかワーワー騒いでいるだけなので、主人公の関与によって変化が、とか言われても、変化になってないのです。 [DVD(字幕)] 2点(2018-03-26 02:05:30) |
385. ビッグ・トラブル(2006)
せっかくいろいろな登場人物を配置しているのに、ストーリーが何らかの壁に当たったときの切り抜け方が安直なのです。知恵を使ってません。つまり、コメディとしてのレベルは低いということ。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-24 01:03:02) |
386. ビッグ・トラブル(2002)
《ネタバレ》 ところどころそこそこ面白くはあるのだが、やはり全体が雑。話が行き詰まったところで新たに登場人物を投入するということを繰り返しているので、結局は1人あたりの密度が薄い割に収拾がつかなくなっている。そもそも、警官も悪役も殺し屋も少年もFBIも、2人組である必要性が全然ないし、逆に、奥さんがティム・アレンに惹かれていく心理の綾など、そこに集中すればもっと笑いがとれそうな気がするのだが。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-18 23:57:12) |
387. ヘヴン
《ネタバレ》 内容の量に比べて尺が妙に短いし、ストーリー上は突っ込みどころ満載だし、結局は映像の美しさでカバーしちゃってるんだろ?という気はするのだが、それでもどきっとするショットがあるから見切られない。例えば、爆破寸前、エスカレーターで下るケイトと上昇するエレベーターを同時に収めた構図とか。それと、こういうのは、脱獄がばれて失敗したり、逃げたと思ってもすぐに警察がどこかで待ちかまえていたりするパターンに慣れてしまっていたので、何だかんだあっても一直線にハッピーエンドに向かう展開は、ちょっと嬉しかったりする。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-17 00:41:05) |
388. やさしい嘘と贈り物
《ネタバレ》 タネを知らずに見ることができて、本当によかった。物語が動き出すところで、エレン・バースティンを可愛らしく魅力的に撮っているのが素晴らしい。こういう大事なところをきちんと押さえていると、全体的に荒削りなのも大目に見てしまう。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-13 23:39:09) |
389. ロック・スター
《ネタバレ》 ストーリーは定番中の定番、というかありがちを通り越してむしろ陳腐ですらあります。主人公の彼女の下積み時代の共働が描かれてないので、スターになった後のギャップも出ない、とか、主人公のスター生活に対する疑念がどこから出たのか不明、とか、突っ込みどころはいろいろあります。しかし、この作品の価値を保っているのは、肝心のライブシーンを、照明や客入れや大道具も含めてきっちり撮りきっていることです(大ステージはもちろんだが、一方でクラブ演奏の方もこの辺の手抜きがない)。で、バンドメンバーがザック・ワイルドにジェフ・ピルソンにジェイソン・ボーナム!(え、ブラス・エリアスも出てた?)そりゃ、ちゃんとしたステージ映像になるってものです。いや、マーク・ウォールバーグ自体、ジャンルはまるで違うとはいえ元マーキー・マークだけあって、ステージ上の動きにもそつがありません。まあ、この辺は、映画というより、よくできたライブ・クリップを見ているような気もしますが、それでも、主人公の初ステージに向けて緊張が盛り上がるくだりなど、つい見入ってしまいます。それと、よくインタビューとかで言われる「音楽性の違い」が、実際はあんな下らない会話の積み重ねだということも分かって、ちょっと笑えます。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-08 01:19:56) |
390. LOVERS
おおむね予想どおりの様式美的時代劇だったが、最後の方ではアイディア切れが窺えて、グダグダ気味な幕引きとなっている。途中のひねりも、無理矢理つなげるためにそうしたという感じ。チャン・ツィイーの麗しきお姿は全編で堪能できるので、その点では目的を達成できる。 [映画館(字幕)] 5点(2018-03-07 00:17:01) |
391. ウェルカム トゥ コリンウッド
尺も短く、内容的にも馬鹿馬鹿しく笑える話のはずなのに、驚くほどテンポが悪くて長く感じる。 [DVD(字幕)] 4点(2018-02-23 23:51:51) |
392. ビューティフル・マインド
《ネタバレ》 中盤の「世界ひっくり返しシークエンス」の迫力は、さすが職人ロン・ハワード。そこから、さらに過酷な課題が主人公を待ち構えていました、という構成と見せ方もなかなか。と、計算された技巧としては堪能できるのですが、それを超えた感動があるかというと、案外そうではなく。特に、ラストをノーベル賞スピーチで締めてしまったのは(およびその前のボールペンのくだりも)、すべてを丸く収めた感があふれてしまって、かえって醒めるのです。あと、幻覚や治療の関係に力が入りすぎて、肝心の彼の数学者としての才能を見せる場面があまりなかったのも、ちょっと残念でした。 [DVD(字幕)] 6点(2018-02-13 02:14:30) |
393. チョコレート(2001)
波乱も何もない淡々とした進行が、主人公2人の倦怠感、喪失感をそのまま表しているのが良い。だからこそ、2人の波長が共鳴していることが伝わってくる。恋に落ちているはずなのにハラハラもドキドキもありませんが、彼らの目には、世界はこのように映っているはずです。邦題も秀逸です。 [DVD(字幕)] 7点(2018-02-07 02:12:48) |
394. ニューオーリンズ・トライアル
《ネタバレ》 渋い見せ所多数の、大人向け高級サスペンスです。ハイテク機器の駆使や侵入・脅迫の場面など、分かりやすい盛り上がりもありますが、それ以上に、いろんな登場人物の間で展開される心理戦の迫力が良いです。ハックマンとホフマンの演技は共に絶好調で、各々それぞれのキャリアにおいて優に代表的一角を占めるべきレベルのものに達していますが(トイレの対決シーンはまさに白眉)、その2人を向こうに回して、敵か味方か分からない謎の男女を的確に表現し、大物2人にも負けない迫力で火花を散らしてみせたキューザックとレイチェルも素晴らしい。 [映画館(字幕)] 8点(2018-01-28 01:02:01) |
395. プルートで朝食を
趣旨不明な細切れシーンを2時間以上にわたって見させられる、非常に辛い作品。あの異様に細かい章立ても、何で必要だったんだろう?この監督でこの主演なんだから、もっとじっくりどんより落ち着いた作品を期待していたのですが・・・。 [DVD(字幕)] 2点(2018-01-26 23:50:51) |
396. マレーナ
《ネタバレ》 初恋というのは、単に美しいだけではなく、往々にして、同時にアホでマヌケだったりするものです。それが嫌みなく両立してまとめあげられています。また、年上の憧れの人というのはいつまでも美しいままでいてほしいものですが、この話ではそれが容赦なく裏切られ続けるところが、切なくて良い。その中で、導入部分では500%エロ目線でしかなかった主人公が、ちょっとずつ変化していく語り口が巧妙です。2人の現実の会話はラストだけ(そしておそらく両者の生涯でこの一瞬だけ)というのも、ある種定石手段とはいえ、実際にやってしまえるのは偉い。 [映画館(字幕)] 8点(2018-01-11 23:23:12) |
397. ニューヨークの恋人(2001)
《ネタバレ》 非常に良質なラブストーリーだと思います。恋愛とは本来、こういうものであったはずだということを教えられました。大事なのは、誠意であり、心遣いであり、社会的素養であり、勇気であり、凛々しさなのです。レオポルドがデートのBGM(だけ)のためにバイオリン奏者を手配する場面は、最高に笑えました。当然のことながら、安易に2人が寝ちゃったりしないのも、気品があって良いです。●再見して気づいたのですが、この作品では、(主人公2人も、それ以外も)いろんなポイントで、「言葉を尽くして(+選んで)真摯に意を伝えること」によって物事が解決していく場面が多い。その姿勢で一貫しているのが、単なる浮ついたラブコメと一線を画することにつながっています。 [映画館(字幕)] 8点(2018-01-11 03:43:28)(良:1票) |
398. シカゴ(2002)
《ネタバレ》 ひたすら面白かったです。歌と踊りの場面がきちんと登場人物の心理表現になっているところが良いし、ストーリーをステージ上のショウとして展開するという見立ても成功しています。編集も優れているので、芝居の場面との相互転換にもまったく違和感がありませんでした。“Cell Block Tango”や“We Both Reached For The Gun”の場面は、圧巻でした。ところで、ほかの人ばかり注目されているけど、悪徳なのに腕は一流で妙に頼れるというビリー・フリンの人物像を的確に表現したリチャード・ギアの功績は、忘れてはならないと思うが。●と、エンターテインメントとしては文句なしなんだけど、それでも手放しで褒められないのは、最後をマシンガンで締めてしまうからなんです(本編中でも使われていないので、そもそもアイテムとして浮いている)。 [映画館(字幕)] 7点(2018-01-10 02:38:16) |
399. ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム
GSはヒット曲自動生産のアイドルグループと捉えられがちなのですが、実は当時のブリティッシュ/アメリカン直系のバリバリのロックをやりたかった(そしてそれも可能だった)メンバーもたくさんいたことは、今ではよく知られています。その意味で、こうしてきちんとドキュメントを残すことは、実に貴重、そして有意義です(ほかのバンドについてもやってほしい)。まあ、前半のインタビュー集は、コメントをそのまま並べただけで、構成や編集などはあまり考えられてないし、後半の再結成ライブも、ややユルい感じではありますが・・・。もっとも、リーダーのデイヴ平尾はもちろんのこと、アイ高野や柳ジョージ、そして清志郎にヒロミツにジョー山中にかまやつ先生と、今では新たに映像を撮ることができなくなってしまった人も次々に出てくるので、この作品自体が、よくこのタイミングで作ってくれた、という意味においてさらに貴重。 [DVD(邦画)] 6点(2017-12-30 02:32:29) |
400. 水曜日のエミリア
主人公には、子のいる男性と再婚する(しかも略奪婚で)という重大局面に対する気構えも覚悟も感じられないし、夫の方は夫の方でいろいろ発生する問題に対しまったく頼りになっていない。前妻は人格設定も言動も短絡的で描写が浅く、子供はまったく躾や教育がなされていない。つまり、出てくる人出てくる人がことごとく不愉快なので、見ていても不快感しか残らないのです。制作者は何が表現したかったんだろう? [DVD(字幕)] 3点(2017-12-15 22:43:14) |