421. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
実は映画化で一番の楽しみは、宇多田ヒカルの主題歌がどういうタイミングで流れるのか・・っていう点でした。でも先日のテレビ放送では結局流れることなく、「破」の予告で終了・・・。エンディングのクレジット?部分で流れたようなので、やはり映画は金払ってみるものですね。内容的には「序」はTVシリーズのリメイクであって、懐かしさはあっても新しい発見はありませんでした。でも相変わらず「使徒」のデザインは秀逸だなあということだけは再確認。日本の特撮特有のシリアスななかにもコミカルな部分を含む「怪獣」を思わせる造形がとても光ってました。映画としては次回以降に期待。 [地上波(邦画)] 5点(2009-07-28 16:58:45) |
422. レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
ディカプリオ演じるフランクは、妻にいつもちょっとだけ譲歩するけれど、でも最終的には自分の思う方向に夫婦関係を導いてきた。自分では「妻にこれだけしてやっている」と「いい夫」を演じつつ、そういう自分の「心遣い」をちゃんと受け止めない妻にいらだっている。ウィンスレット演じる妻のエイプリルは、そんな夫が見せかけの善意でつくりだす「檻」のなかで狂気を少しずつため込んでいる。そういう夫婦の関係性を的確に伝える冒頭の市民劇団のエピソードが秀逸。その後は、夫婦喧嘩→修復への努力→問題をさらにややこしく、という恐るべきパターンがこれでもかと描かれます。どんな夫婦も自分たちは「特別だ」と思う時があるもの。どんな夫婦にも「自分がこれだけやってるのに相手はなぜそれを理解できないのか」と思う時があるもの。しかし、そういう日常の歯車がも狂ったときに訪れる闇は果てしなく深く、そして恐ろしいのです。そして、最後のキャシー・ベイツの一言に思わず苦笑。このあたりは、まさに『アメリカン・ビューティ』を撮ったサム・メンデスの本領発揮です。 [DVD(字幕)] 7点(2009-07-12 21:40:36) |
423. 崖の上のポニョ
まもなく2歳の娘が食い入るように見て、鑑賞後「もにょ、はちった」(ポニョ・走った)を連呼していた。娘はきっとこれから何回もこの映画を見て、その意味を考え、だんだんと理解していくのだなあと思った。「子ども向けにつくった」とは、うちの娘みたいな1人の人間の成長に寄り添うという、監督のとんでもない覚悟がこもった言葉なのかもしれません。そう考えれば、確信犯的な説明不足もなんだか納得できてしまう。ラストの展開など、ストーリーには不満もあるけれど、うちの娘が最初に目に焼き付けた「波の上を走るポニョ」の画だけでも見る価値は十分にあります。 [DVD(邦画)] 8点(2009-07-05 13:49:58) |
424. 幸せのレシピ
《ネタバレ》 『ターミナル』のときも思ったけど、キャサリン・ゼタ・ジョーンズは、「スター」のオーラがない地味な役のほうが僕は好きみたいです。アーロン・エッカートもベタだけどイタリア帰りのアメリカ人をさわやかに演じてました。ゾーイ役の子もうまい。強がってるなかに見せる子どもらしい強さと弱さがツボでした。序盤の悲劇展開にちょっととまどいますが、基本的に安心して見られる作品でした。3人で店を出すというラストも、素直によかったねと思えたけど、また「子どもを働かせている」と学校から警告されちゃうんじゃないかなあと余計なことを考えてしまいました。 [DVD(字幕)] 6点(2009-07-01 11:09:02) |
425. キサラギ
《ネタバレ》 テンポよく会話が進んでいき、家元くんのファンレターのくだりまではとてもよかったと思う。けれど、その後のプラネタリウムとラスト後の宍戸錠は完全に蛇足(顔出しとダンスはよかったけど・・・)。舞台劇っぽさから脱する演出だったのかもしれないけど、そのせいで映画自体のテンポが最後の最後で失速してしまったのが残念でした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-06-26 16:14:23) |
426. ボーン・アイデンティティー
ド派手な演出や大げさな音楽を廃したおかげで、主人公のプロフェッショナリズムを感じさせる無駄のない動きを堪能できます。久々に「丁寧で良質のアクション映画」を見たという感じです。ストーリーは、主人公ボーンの自分探しが主軸なんですが、冒頭からCIA側の動きも見せてしまったおかげで、こちらのサスペンス色が薄かったのがちょっと残念。それから、ヒロインのマリーも、お約束とはいえ中途半端な印象。途中の2人の押し問答がストーリー的にあまり必要なかったように思えました。それでも、CG全盛のこのご時世に、こういうプロ魂を感じるアクション映画がちゃんとシリーズ化されて高く評価されているのは、なかなかうれしいものです。未見の続編も楽しみ! [地上波(吹替)] 7点(2009-06-23 14:27:24) |
427. トランスフォーマー
監督の人選はある意味正解だったのでしょう。「ドラマなんか期待せずに迫力映像を楽しめ!」というはっきりしたメッセージになっています。そのとおり、圧倒的な映像はさすがでしたが、画面がなんだかゴチャゴチャしすぎで疲れました。とくに変形シーンは、映画ではゴシャゴシャゴシャと1秒もかかりませんでしたが、個人的には、ガシャーン、ガシャーンと各パーツが動くのが見たかったなあ。変形中に攻撃されるやんけ、というお約束のツッコミを受けるとは思いますが・・・まあ、どうぜ大金つぎ込んでおバカ映画つくるなら、それくらいやってもよかったのではないのかなあ・・・と。あと、冒頭に期待しないといいましたが、ストーリーは絶望的につまらないです。ロボットのいないシーンをコンパクトにして2時間以内におさめるべきでした。最後に、本当に余談ですが、この映画を見るまで、ぼくは、「トランスフォーマー」と「ゴールドライタン」を混同して覚えていたようで、途中まで「嫌煙社会だし、金色のライターじゃしょぼいから、勝手に主人公を車に変えやがったな。ゴジラもそうだったし、まったくハリウッドめ・・・」と思ってみてました。ハリウッドさん、ごめんなさい。 [地上波(吹替)] 3点(2009-06-21 09:19:29)(良:1票) |
428. ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女
《ネタバレ》 子どもが想像する世界を映像化したような作品。そう思えば、多少都合良すぎる展開もまあまあ許せる。ただ、その映画を30歳も過ぎた人間が見て楽しかったかといえば、ノスタルジックな感情は抱いたものの(とくにクローゼットの奥に未知の世界が広がるっていう妄想・・・)、やっぱり面白くはなかった。自分が子どもの頃に見ていれば、そこそこ楽しんだろうなとは思うけれど、やっぱり心に残る映画にはならなかったと思う。そういうタイプの作品。場面設定やキャラクターは魅力的だったのに、ちょっとした展開や見せ方に失敗しているように思う(とくに、魔女の最期をちゃんと見せなかったのは大きな間違いだと思う。「子ども向け」でもちゃんと見せるべきでしょう)。「子ども向け」だから面白くないのわけではなく、ただイマイチなファンタジー映画なのだと思う。 [地上波(吹替)] 4点(2009-05-20 00:21:16)(良:1票) |
429. 天然コケッコー
《ネタバレ》 東京から来た転校生大沢君をはじめ、設定はあまりにもベタでしたが、一つ一つのエピソードがとても丁寧に描かれていて、ゆったりとした気持ちのいい映画でした。ただ、正直いえば、本筋の「そよと大沢君」のエピソードには、あまり惹かれるものがなく、むしろ7人と先生たちの学校生活の描写のほうにグッときました。とくに、さっちゃんの膀胱炎とお祭りのシーン。幼なじみの子どもどうしのちょっとした気持ちのすれ違いとその顛末を、叙情豊かに描いていたと思います。ラストの二つの対照的なキスシーンには妙に納得。10代特有のぎこちない恋愛と、そよの学校に対するストレートな愛情の両方が伝わってとてもよかったと思います。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-05-19 01:39:59)(良:1票) |
430. レッドクリフ Part I
ここのレビューによると、冒頭の背景解説はテレビ版だけかと思ったら、劇場版(しかも字幕版でも!)にもあったんですね。何度も登場人物の名前が表示されてる様なんかは、バラエティ番組のテロップみたいな過剰な親切の押しつけって感じで映画全体も安っぽく感じてしまった。登場人物は個性豊かだけど、なんだかみんな与えられた役割をこなしている感いっぱいで、あまり魅力的ではなかった。張飛はチューバッカみたいだし。あんまり映画として真面目に受け止めずに、三国志好きの友人とあれこれ突っ込みながら見るのが一番楽しい鑑賞法かも。ただ、これが大ヒットして、こんな映画ばっかりになるのはイヤだ。 [地上波(吹替)] 5点(2009-05-15 00:22:23)(良:1票) |
431. セックス・アンド・ザ・シティ
友情モノとしても、恋愛モノとしても、ストーリーは平凡なものですが、この作品はなんと言っても主人公4人のキャラクターと「ニューヨーク=ザ・シティ」の描写を楽しむものだと思っていたので、そういう意味では及第点の出来。ドラマの「延長戦」を楽しませていただきました。みな40歳代(サマンサは50歳!)ということで若干のパワー不足は感じるけれど、ファッションと音楽(テーマ曲のゴージャスなアレンジが抜群)でそのあたりをうまく補っていたと思います。ドラマファン以外の方(とくに男性)には正直薦められるモノではないですが、ある種のファンタジーと考えれば、まずまず楽しめるのではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2009-05-05 12:35:38) |
432. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 結局、冒頭のシーンが最大の伏線で、本編は家族ドラマ+ホラー映画で、最後にまた伏線から種明かしという、ちょっと変な構成の映画でした。どうも「奴ら」が、大がかりに仕掛けをしたわりには、地球で何をしたかったのかよくわからない。また、肝心の家族ドラマがどうにも中途半端ですし、スピルバーグ印のご都合主義的展開も満載でした。ただ、車を奪われるシーンと、いろんな工夫が見れるトライポッド出現シーンは、人間に対する恐怖と未知のものへの恐怖の両方を見せてくれてなかなかよかったと思います(『激突!』や『ジョーズ』を思いだしました)。要するに、いつものスピルバーグでしたが、自分としては、そんなスピルバーグ印も案外嫌いではないようです。 [地上波(吹替)] 5点(2009-04-16 00:45:52) |
433. ラストキング・オブ・スコットランド
《ネタバレ》 フォレスト・ウィテカーはオスカー受賞も納得の怪演でしたが、軽薄なスコットランド青年医師を演じたジェームズ・マカヴォイも見事でした。軽率で自業自得だけど、どこか憎みきれない(だからアミンも彼を気に入ったのでしょう)ニコラス役にはぴったりでした。そうだからこそ、アミンが最後にニコラスに対して投げかけた一言は、単なる独裁者の勝手な言い分としてだけでなく、ヨーロッパに食い物にされてきたアフリカの人々の叫びのように響いてきたのだと思います。途中まで、意図的といえるほど(この手の映画にしては)残虐描写が少なかったので「ああ、そういう描写は避けているのかな」と気を許していたぶん、終盤のたたみかけるような惨殺・拷問シーンはトラウマになりそうです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-04-10 12:04:46) |
434. 魔法にかけられて
冒頭のアニメ・パートといい、アラン・メンケンが音楽を担当していることといい、ディズニーがこの映画を本気で作っていることはよく伝わってきました。ただ、どうしても、ディズニー・ファンタジーの構造を踏襲しながらも、見事にそれをひっくり返してみせたドリームワークスの『シュレック』と比べてしまう。この作品は、少し自虐的なギャグを入れてみたけど、最後はそれでも「やっぱりディズニーっていいでしょ」っていう展開で、後半はいまいち乗り切れませんでした。ラブコメとして見ても、ロバートとジゼルがお互いに影響しあっていく過程はいいけど、周囲のキャラが、設定上の役割をなぞっただけという感じでいきてこない。うーん、この素材だったら、もっと面白く、ロマンティックで、スリリングにできたんじゃないかと思います。設定の勝利ではあるけれど、それだけ、というのが正直な印象です。 [DVD(字幕)] 5点(2009-04-05 23:12:07) |
435. 2001年宇宙の旅
初見は映画館でのリバイバル。その後もDVDで何度か見ましたが、大画面TVを購入したので再見。この映画ほど宇宙への「畏怖」を感じさせる映像は、これ以前も以後も存在しないと思う。エイリアンやら巨大宇宙船やらモンスターやらなくても、未知なるもの、未知なる場所、未知なる出来事への恐怖で満たされている。そして、未知なるものを飼い慣らすための科学までもが、人間を裏切っていくことの恐怖。とくかく恐ろしい映画でした。すでにハリウッド的エンタメ映画の手法にズブズブに浸かってしまった私は、ゆったりとしたテンポには苦戦しましたが、この凄い映画をリアルタイムで「体験」できなかったのは残念です。 [映画館(字幕)] 9点(2009-04-02 11:29:13) |
436. 容疑者Xの献身
原作既読+ドラマはたまに見ていた程度で飛行機で鑑賞しました。冒頭の爆破と実験シーンで「ああ、テレビの延長なのね」と思いましたが、本編が始まれば、もう別の「映画」になってました。全体を通してみて、堤&松雪がつくる「映画」の世界と、福山&柴咲の「テレビ」の世界が最後までかみ合っていなかったように感じて、うまく物語に入れませんでした。ただ、過酷なシチュエーションを感情移入を廃して淡々と描く東野作品の雰囲気はうまく出せていたのではないかなと思います。ベタベタになりそうなところをうまくコントロールしていたのでは。それだけに、二つの世界の不整合が残念。他のベストセラー原作邦画のように、いっそのこと別モノにしたほうがよかったんじゃないのかなあ・・・。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-03-31 13:28:25)(良:1票) |
437. 相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン
無駄にスケール感を煽った導入部から、やたらととっちらかった脚本に振り回されたあげくに、最後は何だかこぢんまりとした話になってしまいました。マラソンのシーンは、たぶんほとんどの観客が「どうせこれもダミーだろ」って思いながら見てたんじゃないかな。それでも、いっしょに振り回されるのを楽しませるのがエンターテインメントなんだろうけど、この映画はそのへんの演出が単調で、あれで一気に気持ちが萎えてしまいました。マラソンとは無関係の本筋のほうは、実際に何年か前に起きた事件をモチーフにしているのは明らかなんだけど、その事件を取り巻く社会の描写やそれをめぐる政治的な構図にまったくリアリティを感じることができなかった(ああいう一方的な側面はあったと思うけど、それでも右左そのほか入り乱れて、もっとややこしいことになっていたと思う)。こんな描き方しかできないのなら、中途半端な社会派(を装ったお涙頂戴モノ)を気取らずに、ふつうに「サイコな大量無差別テロとの対決」にしたほうが後味もよかったと思う。 [地上波(邦画)] 4点(2009-03-30 12:07:12) |
438. バットマン ビギンズ
《ネタバレ》 シリーズ映画では、ネタが尽きてきたところでその序章的な作品をやるというパターンはよくあります。そんなわけで、ああバットマンもネタ切れなのかなと思い、結局劇場で見ることがありませんでした。しかし、いざ見てみれば、クリストファー・ノーラン監督によるバットマンの見事な再創造でした! ヒーローものとは思えない渋い俳優の競演も含めて、「正義」を問い続ける新しいバットマンの誕生物語として期待以上の出来でした。ラストシーンも含めて、傑作『ダークナイト』への壮大なイントロダクションとなっています。難をいえば、忍者軍団がローマなどの堕落した文明を滅ぼしてきたという設定でしょうか・・・。あの忍者軍団にそこまでの力があるようには見えず、ここだけ子ども向け戦隊モノみたいだったのが残念でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-03-19 20:12:31)(良:1票) |
439. コブラ
中学時代に友人と映画館で鑑賞。スタローン世代の私たちでもこの映画はきつかった。「マリオン・コブレッティ」という強引すぎる主人公のネーミングに苦笑・・・。 [映画館(字幕)] 4点(2009-03-19 13:28:26) |
440. ノーカントリー
《ネタバレ》 この映画がほかのスリラー映画と一線を画しているのは、この事件を追う保安官が最後まで事件の表舞台に出ることも、「犯人」と対決することもなく、あっさりと「引退」してしまうところでしょう。彼は、現実を嘆きながらもそれでも事件を阻止しようと一度は立ち上がる。しかし、それも結局裏目にでてしまい、現実の非情さを際だたせるだけの役目を演じる羽目になってしまいます。感情を持たない殺人鬼からの逃亡劇とこの老保安官の物語を平行させたことで、金と麻薬の現実とそれを「止められない」とただ嘆く人々が作り出す「現代」という時代の深淵をコーエン兄弟はうまく描いたと思います。ぼくはコーエン兄弟作品とはあまり相性はよくないのですが、この映画は、徹底して救いのない話にもかかわらず、なぜか素直に見れました。オスカー受賞も納得。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-16 15:33:49) |