441. ロスト・イン・ラ・マンチャ
主演テリー・ギリアム。職業夢想家。たまにそのアイディアをわがまま言いながら映画なんかにして、時に成功時に失敗を繰り返す、問題児と言われているらしき私の大好きなオジサン。これは如何にして彼の永年の夢が水の泡になっていったかというドキュメンタリー。ギリアムは最初から最後まであまり表情は崩さないが、痛々しくってなんだか見ているうちに私自身の顔がしょっぱい表情になっていくのがよーく分かった。当然だが映画を作る課程の大変さというのもよく伝わってくる。監督の出すアイディアをものすごい人数のスタッフで支え、ちょっとしたつまづきにみんなして溜息を漏らす。洪水で流れていくセット、撮影中止になり再び段ボールに詰められる衣装の映像に、非常の現実世界を感じる。いろいろな理由でお釈迦になった映画はこれ以外にもごまんとあるはずだ。みんなの夢と娯楽のために、皆さん本当にありがとうとなんだか手を合わせたくなる。さてギリアム氏、こんな自らの失敗談まで劇場公開するとはそれもすごい根性。なんでもいい、こんな形でもいいから金稼いでくれ。絵コンテ売ってもいいじゃないか、きっと売れる。理想の夢が映像化され、世界中に知れ渡るまで是非とも諦めないで頑張って欲しい。いつでも大きな拍手を送る準備はできているから。最後に、他の映画とはちょっと違うタイプの作品なので点数は低め。それでもやっぱり甘め。 7点(2004-03-08 17:34:05)(良:4票) |
442. 日蔭のふたり
《ネタバレ》 映画としてはよくまとまっていると思う。しかし重すぎ。ドスンと暗くて重たい。どうしたら良いんだろうというくらい…。いとこ同士ながら想いを寄せる二人。困難や二人の気の迷いによる寄り道が多く、途中いらつく。やっとやっと結ばれたかと思えば貧困を極め、挙げ句の果てには子どもがみんな死んでしまう。見ちゃいられなかった。最後に主人公ジュードが立ち去る内縁の妻の背中に向かって「僕らはいつまでも夫婦だ」と言い放つシーン。愛なのか執着なのかよくわらないほどだ。ここでまた二人寄り添って生きていくにしても、明るい日差しが差し込むとは思えない。ウィンターボトムの暗部。痛々しさがいっぱいの映画。 [ビデオ(字幕)] 6点(2004-03-08 11:50:33) |
443. ウォレスとグルミット、危機一髪!
私はこれがシリーズ中の最高傑作かなと思っています。30分という短い時間の中に気の利いたユーモアをたっぷり含めて、なおかつカチッと話をまとめています。シリーズ最強の悪者プレストンの登場で、結構ドキドキしました。グルミット君の頭の良さには毎度毎度感心させられますが、今回は大活躍でしたね。一番好きなのは窓拭きに「出動」するシーン。本当に制作者のセンスには脱帽です。 7点(2004-03-08 11:28:04) |
444. ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ!
前作「チーズ・ホリデー」より技術もドラマも一歩進んでます。悪者ペンギンのキャラクターもなかなか乙な味を出していました。変な発明ばっかりするウォレスなのですが、この発明品を考え出す制作者のセンスは相当なものだと思います。よくよく思い出すと、主だった登場人物のなかで台詞があるのはウォレスだけ。たったの30分ですが充分見せてくれます。 6点(2004-03-08 11:20:15) |
445. ウォレスとグルミット/チーズ・ホリデー
《ネタバレ》 とても良くできたイギリス産クレイ・アニメ。極々少ないキャラクターを生かして楽しい作品になってます。チーズ製の月まで飛んでって、地表を削ってクラッカーにのっけて食べてたなあ。憧れののどかな休日。 6点(2004-03-08 11:09:43) |
446. 12モンキーズ
絶望の未来から人類のために時間を超えてやってきた囚人が、美人心理学者を巻き込みキーワードのために奔走する。もの悲しいピアソラのテーマ曲と、独特の雰囲気を持つ未来世界。ブルースウィリスはよだれを垂らし、デッキブラシで2回もゴシゴシ洗われる。ブラッド・ピットは完全なマッドでお尻まで披露し、ヒロインマデリーン・ストウはぶっ飛ばされて鼻血を出す。雇われ監督としてある部分は妥協しつつ、ある部分は意地を張ってギリアムはこの映画を作った。この映画の中のギリアムらしい質感を保った部分が大好き。未来世界に登場する女性科学者の赤い手袋など、時折出てくるギリアム臭を強く放つシーンに身をよじりながら12モンキーズを私も追った。最初から伏線として現れていた空港での終演は、正直全然物足りない。一番大切なところがすべてギリアムに任せた演出とは思えないのはとても悲しい。でもそんなこと言いながら繰り返し観てしまう映画なのだ。ギリアムというだけで合格点になってしまう甘い私を許して欲しい。 9点(2004-03-07 13:19:30) |
447. インデペンデンス・デイ
《ネタバレ》 勧善懲悪行け行けgogoアメリカーン!映画。エンターテイメントとして、人を引きつける力は持っている。一応ね。しっかしみんな元気だこと。だって大統領自ら出撃していきましたよ。このくらい、叩いたらカーンて音がしそうなくらい抜けてる映画も、たまには良いですね。余談ですけど、あの宇宙人のこと思い出して、さっきから検索エンジンで「ダイオウイカ」(巨大イカ、深海魚)を探してはニヤついている私です。 6点(2004-03-07 09:56:08)(笑:1票) |
448. セブン・イヤーズ・イン・チベット
チベットの景色と出演者みんなの押さえた演技で、総体的に静かな映画だったと思います。ブラッド・ピットも自分勝手な男が徐々に思慮深くなっていく様を静かに演じていました。でも、私は彼は「セブン」や「12モンキーズ」で演じた様な役が似合っていると思っているので…。歴史上の苦い事実については、恥ずかしながら不勉強でこの映画で知ることが多く、その意味では自分にとっては良い経験だったと思います。 5点(2004-03-06 18:28:48) |
449. グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
心の底で理解者を求める青年の成長物語。爽やかで良い映画だったと思います。アカデミー賞で話題になったとき、役者さんが地味なので全く期待していなかったのでそれも良かったのかもしれません。特に脚本に注目が集まっていましたが、字幕を読んでいるだけでも気の利いた台詞があるのがよく分かりました。英語が分かれば、もっと面白かったでしょう。最も期待していなかったミニー・ドライバー、実際見てみたら結構チャーミングではありませんか!デート中にマットとミニーが会話する様子はどれも可愛らしかった。彼女実生活ではモテるらしいです。なんだか分かるような気がする。 8点(2004-03-06 18:18:27) |
450. いとこのビニー
久しぶりに見直したんですけど、やっぱり良くできた良い映画です。前半は力無き経験無きハデハデジョー・ペシが情けなくって嫌になるんですが、後半の盛り上がりや彼の活躍のカッコいいこと!アラバマの田舎法廷をもう真剣に見つめてしまいます。マリサ・トメイもくどいファッションで最初ちょっと受け入れ難いんですけど、ストーリーが進むにつれて好感がわき、ピンクでも真っ青でも全身花柄でも似合って見えるところが不思議。所々の笑いのツボも十分に楽しめました。着ている服のことをとやかく言われ、えび茶の結婚式衣装みたいな服装で登場したときは爆笑です。ラストは清涼感あふれています。秀作。 8点(2004-03-05 19:16:07)(良:1票) |
451. 怖がる人々
《ネタバレ》 全五話のオムニバス形式で、日常からカーテン一枚ほどの距離にある不思議世界のなかで「怖がる人々」を映す物語です。その辺にありそうなちょっとぞっとする話、勘弁して欲しい話、妖しい感じの話、和製ファンタジーといろいろ取り揃えてあります。でも、監督和田誠が描くイラストのように、どの話にもどこかほのぼの感が漂っています。一番の好みを挙げるなら、「火焔つつじ」でしょうか。咲き誇る花の裏側にある人の情念。静かな溜息を漏らしました。 7点(2004-03-05 18:43:41) |
452. 太陽と月に背いて
希代の詩人ランボーとヴェルレーヌの恋愛物語です。破天荒なランボーをディカプリオが好演。現在は彼も年齢も重ねていますが、撮影当時の「素」の彼に近いのでは?と思うくらい生き生きとした表情が見られます。肩胛骨でボトルのコルクを抜くところなどは、芝居じゃ無いでしょ、と画面に向かって声をかけてしまいました…。そして、ディカプリオを支えているのはデビッド・シューリス。この曲者俳優の器があってこそ、活きのいいサカナみたいにディカプリオが跳ね回れたんだと思います。なまめかしい質感を持つシューリスとディカプリオが思いのままにお互いに愛をぶつける様は、端から見るとかなり奇妙で好みが分かれると思いますが、私はこの映画結構好きです。 7点(2004-03-05 10:57:57)(良:1票) |
453. 御法度
男所帯の新撰組の中で起こった出来事の物語…。大島監督らしい題材選びです。ああしかし、主役に魅力が無くてはどうもこうもないのです。演技力が無くても、それをカバーする妖艶な魅力とかが欲しかったです。「こんな男の子だったら、みんなクラッとくるかも」とは私は思えませんでした。出番は少ないけれど、爽やかで毒も持っている感じの沖田役武田真治が良かった。 4点(2004-03-04 18:40:04) |
454. 戦争と平和(1956)
原作は文芸大作。本を読む気にはならないし、オードリーが出ていれば最後まで観られるんじゃないかな、と勉強のつもりで観てみました。ナポレオンのロシア侵攻を基にした壮大な物語です。はい。難しかった。理解力のない自分が情けないです…。オードリーは無邪気で美しいお嬢さんといった感じでした。一番印象深かったのは、後の夫メル・ファーラーをオードリーが看病するシーン。メルの視線は私情が入りまくってます。もう可愛くってしょうがないのねー彼女が、とこっちが照れちゃうほどの熱いまなざしでした。 5点(2004-03-03 19:19:28) |
455. キス★キス★バン★バン
《ネタバレ》 タイトルだけ見て借りてみた。なかなか小気味よい映画だった。音楽かなり格好良し。それに殺し屋組織のアジト、ババの地下部屋、主人公とババが身を隠すスカイブルーの部屋など室内シーンの色遣いやインテリアは、かなりお洒落に仕上げてあった。そして配役。全員ぴたっときていた。特にクリス・ペン。ニョッとソファの陰から頭を出す登場シーンのあの顔。そうそう誰でもできるモンじゃない。お話の方は、前半はかなり良かった。水の中を走る弾丸を見たときは期待でドキドキしたが、後半に向かうにつれて主人公とババ、ガールフレンドの人情物語的な臭いが強くなり、殺し屋対決のスピード感が薄れて残念。そして可愛いババが流れ弾に当たって事切れるのも…殺さなくっても良かったと思う。最後まで小気味よくカラッといってくれる方が好みだった。まあ、ババのキャラクターがかなり気に入ったので合格点。 8点(2004-03-03 00:31:01) |
456. 南京の基督
《ネタバレ》 愛する人と信仰と…。ラース・フォン・トリアーの「奇跡の海」とテーマが似ている。この映画は、富田靖子が演じる娼婦が放つ、はかない空気が終始画面にあふれていた。彼女は、神にも愛する男にも真っ直ぐな姿勢をとり続け、死んでいく。重たくやりきれない。見終わってから、人間ってここまで真摯になれるものなのだろうかと塞いだ気持ちのなかふと考えた。 6点(2004-03-02 18:08:46) |
457. 病院坂の首縊りの家
数々の金田一モノの中で一番好きな作品です。このシリーズは犯人捜しよりも、時代背景からにじみ出る悲しみや、おどろおどろしい情景に魅力があると私は思います。少し暗い映像で、一人の女の悲しい運命を美しく表現していました。佐久間良子はもう言うことありませんが、桜田淳子も好演だったと思います。そして特筆すべきは草刈正雄。爽やかハンサム君の壁を壊しての演技が成功の基ですね。ホラーは苦手だけど、この手の感じの映画は好きなんです。最近の邦画には無い、底なしの妖しさ…。 9点(2004-02-29 19:13:50)(良:1票) |
458. ライジング・サン(1993)
最初からすごかった。朝日(?)をバックにデーンと「日昇」(つまり、ライジング・サンよ…)の筆文字が出てスタートだったと思う。アメリカ制作の作品だから、正確な日本の描写を、なんて言いはしない。でもこんなに笑える描写にしなくてもいいじゃんという感じでした。ストーリーの中、犯罪が起こる様や途中の推理も全然よくわからなかった。覚えているのは観ていて退屈だったこと。覚えていなかったのはブシェミが出ていたこと。そして、大概がビデオ鑑賞の私が、映画館まで行って観たこともさっき思い出した。 3点(2004-02-29 18:59:44) |
459. 夏至
「青いパパイヤの香り」と同じ監督さんの作品。こちらも、重大な事件によってドラマティックな展開が起こるような話ではなくて、ゆったりと流れる日常の中の機微を映し出すような映画でした。映像は本当にきれいです。ベトナムに憧れてしまいそうなほどです。でも実際のベトナムは違うんじゃないのかなあ、ちょっと整然としすぎ…。天真爛漫な末の妹のキャラクターが、だるくなりがちな物語を支えていました。 6点(2004-02-28 19:19:17) |
460. ウェディング・シンガー
《ネタバレ》 王道を行くラブコメディーですね。さらに結婚式シーンも多く、ピンクやレースいっぱいのインテリアもたくさん登場して甘さたっぷりでした。ドリューはキュート爆発ですし。で、主人公の二人は最初それぞれ婚約者がいたんですが、どっちのカップルも全然似合いじゃないんですよ。「何でこの相手を選ぶのさー」と首をひねりました。だから最後の大円団は「もう、当然だよね。」という感じでした。全編にほぼ途切れることなく80,sが流れていてなかなかでしたが、最後の飛行機の中でアダムが歌った歌が みんな持って行っちゃいましたね。私は拍手してしまった。まあ、王道ですから結果はわかってましたけどね。そしてビリー・アイドル御大をも食う印象のブシェミ。フリフリのシャツきて…カルボナーラの胡椒みたいな存在でした。 7点(2004-02-28 02:28:16)(良:1票) |