541. ニューオーリンズ・トライアル
意外に高得点続出だったんですね。演出と脚本は少しテンポが悪かったように思いました。主人公二人をミステリアスに仕立てようということだと思うんですが、陪審員に選出された後に落ち合う2人がいかにも「なにかたくらんでそう」な悪人風だったのに、ラストの裁判後の2人は急に善人になってしまうのも、最初にプロット(or観客だまし)ありきで人物としての掘り下げができていない演出のように思えました。ラストも、結局陪審員を「操作」したのかどうかはわからずじまい・・・。実は「操作」したわけでなく、最後は陪審員の良心に委ねられたのだと解釈しても、肝心の部分で「人間の良心」に頼ったのだとしたら、ヒューマン・ドラマとしてならOKだけど、知的スリラーとしては失格なのではないかと思います。そのへんの演出上のバランスの悪さが目立って、見終わってもなんだかモヤモヤしました。とはいえキャスティングは見事でした。グリシャムの原作も俳優たちの演技もよかっただけに、このモヤモヤ感が残念。 5点(2005-02-03 22:19:17)(良:1票) |
542. ヴァージン・スーサイズ
どうやらぼくは「金髪白人少女」の区別をつけるのが苦手らしい。姉妹の区別がちゃんとつかなくて、「これ、誰だっけ?」とひたすら考えながら見てた。それはさておき、そこそこセンスのいい映像と音楽に、鑑賞者がそれぞれ自分勝手に意味を補填しやすい「自殺」というテーマを絡めるというあざとさには反感を覚える。少女達の内面や心情をあえて描かなかったのではなく、単に描けないだけなんじゃないか、という疑念がどうしても離れない。ま、ぼくがガーリーな世界を理解できていないというだけの話なのかもしれないが。 4点(2005-02-01 09:43:19) |
543. キル・ビル Vol.2
今度はマカロニ・ウェスタンか・・・。かつてタランティーノ映画に魅せられた人間として、期待30%、不安70%くらいの気持ちで鑑賞。元ネタぜんぜんわかんないから無理があるとはいえ、素直に「面白くない映画」でした。キレがないのにやたら長いセリフ、盛り上げるわりにはオチが平凡なアクション。タランティーノは、この映画で一皮むけようとしたのかもしれないけれど、結局のところ、逆に自分の殻に閉じこもっただけのように思えた。彼の大好きなB級映画への「愛」は十分伝わってくる。けれども、観客を置き去りにした一方通行的な愛の告白には、もううんざりです。今度は、映画を撮って下さい。あくまで自分の世界にこだわるのなら、もっと小さなコミュニティでやって下さい。 2点(2005-01-30 12:41:02) |
544. ロジャー&ミー
マイケル・ムーアの故郷フリントへの愛情が伝わってくる作品ですね。エンターテインメント性という意味では、後の作品には及ばないし、彼の独特のナレーションや編集の手法もまだまだ荒削り。しかし、そのぶん、ムーア自身の問題意識のようなものがストレートに反映されている。工場閉鎖の後、家を追い出されたり、犯罪に巻き込まれたり、アムウェイにハマったり、ウサギをバラシ売りしたりと次々と追いつめられていく失業者とその家族と、そうした彼らに対して「働きにいったらどうだね」「怠けてる」と言い続けるGM関係者や金持ち(そうな)人々の対比は印象的。ゴルフクラブで優雅にゴルフしながら「社会保障がよすぎて怠けてるのよ。働きなさい」と失業者を非難する白人おばあちゃんのシーンには苦笑するしかない。ムーアにとってなによりも悲しかったのは、製造業で支えられてきた故郷の町に生まれた、この大きな亀裂だったのではないか。 6点(2005-01-28 08:49:15) |
545. ターミナル
この映画、「感動ドラマ」ではなくて、「ハートウォーミング・コメディ」だったんですね! 登場人物はみんないい人で、その善意に溢れた世界にひたって、「あーよかったねー」っと暖かい気持ちになって映画館をでるようなタイプの映画。それに「移民」であるグプタの境遇や、アメリアの語る「運命」が、ほろ苦いスパイスとして加わってる。こーゆーのをやらせたら、トム・ハンクスは本当にうまいな。キャサリンも見事なイメージチェンジ。脇役も魅力的。前半は、本当に笑わせてもらいました。感動ストーリーに盛り上げなくていいから、前半のノリでほんのり心を温めてくれれば、それだけで満足できたのに・・・。盛り上げて涙を誘うのか、最後も観客をニヤリと笑わせるのか、結局どっちつかずになってしまったクライマックスが残念。 7点(2005-01-25 20:42:08) |
546. アメリカン・パイ
まったく期待せずに、ただのおバカ映画だと思って見たので、ハッピーだけどちょいホロ苦い結末に、不覚にも感動してしまった。毎年おきまりのように大量生産されるティーン・ムービーも、たまにこーゆー佳作が混じってたりするから侮れない。ま、確かに下ネタのオンパレードなんですが、根っこにあるメッセージというか、そーゆーのがちゃんと伝わってくるのがいいですねえ。監督がこの後『アバウト・ア・ボーイ』を撮ったというのも、なんだか納得です。それにしても、みんな当然のようにビール飲んでますねえ・・・。そういうのも含めて好きなんですけどね。 8点(2005-01-23 19:10:11) |
547. シュレック2
うーむ、前作が好きだったけれど、今作は「前作が当たったからつくった」感がありまくりの典型的な「パート2映画」になってしまった。『指輪物語』や『スパイダーマン』など、おなじみ映画のパロディ連発は映画ファンとして楽しいものの、前作では効いていた「毒」が、今回は予定調和的な物語のなかに埋もれてしまった。今作のもう一つの楽しみは、ミュージカル・ナンバーの選曲かもしれないが、それも『ムーラン・ルージュ』ほどの新鮮さはない。ミュージカル的には特典映像の『American Idol』のパロディ(あの辛口サイモンもしっかり登場)のほうが楽しいというのも、DVDとしてはいいのかもしれないが、映画としては少し残念。 5点(2005-01-23 02:50:25) |
548. 白いカラス
ベントンの抑えた演出はよかったと思うし、人種の問題についても、単なる目新しさやセンセーショナリズムに頼るのではなく、現代にも根強く残る問題の深遠さ・複雑さを感じさせる表現で好感が持てました。ただ、やはり難点は、スター映画になってしまっているところ。とくにニコール・キッドマンは、悲惨な過去と葛藤しているキャラクターには見えず、あいかわらずの「クール・ビューティ」ぶりがマイナスに働いてしまった感じ。ホプキンスも、もともと「汚れstain」とは対極にあるキャラを演じることが多いけど、そのイメージが最後まで足を引っ張った。本編とは関係ないけど、このキャストにもかかわらず、「ラブストーリー」ではなく、(ネタバレ的だけど)人種やアイデンティティを主題として予告編を作った配給会社には拍手したい。 6点(2005-01-18 12:29:28) |
549. デイ・アフター・トゥモロー
あいかわらずのエメリッヒ節。もはや大味な映画を撮らせたら右に出る者はいない。見る側も、それを期待して(?)見てる部分もあるわけだから、薄っぺらい人間ドラマも気にせずに、むしろツッコミを楽しみながら、スペクタクル・シーンにただただ圧倒されるのが正解なんでしょうね。ニューヨーク大洪水→大寒波到来までの流れは、お約束の展開ながら、画面に釘付けでした。しかし、敵が「火」や「水」や「隕石」でもなく「寒さ」だったために、クライマックスが「寒さに耐えて嵐が過ぎるのを待つ」になってしまったのが、この手の大作映画としては致命的だった。エメリッヒ監督には、余計な欲を出さす、水戸黄門のような永遠のワンパターンを追求してほしいな。今回は、クライマックスの地味さでマイナスな印象でした。 5点(2005-01-14 10:00:04)(笑:1票) |
550. 12人の優しい日本人
元ネタの単なる日本版というのではなく、ある種の「理想主義」を皮肉るような、ユーモアとペーソスの効いた展開は好き。稚拙ながらも実はちゃんと自己主張している登場人物たちの議論を、イライラ一歩手前で苦笑しながら楽しむことができたのには感心。元ネタがいいのはもちろん、三谷幸喜の脚色も見事だ。とはいえ、やっぱりこれは舞台劇だ・・・。セリフまわしもオーバーアクションもいかにもだった。やはり映画化というからには、もう少し「映画ならでは」の部分がないとちょっと寂しい。 6点(2005-01-13 11:17:44) |
551. ドゥ・ザ・ライト・シング
1989年に3年後のLA暴動を予見したような、アメリカ多人種社会の構図をきっちり描いた点は凄い。インナーシティのネイバーフッドの黒人たちとイタリア人のピザ屋、韓国人の雑貨店との微妙な関係は、どっちが正しい/間違っているでが切られない人種関係の複雑さを象徴している。黒人映画独特のセリフの表現や細かい描写のため、前半部分では1度見ただけではわかりにくいところもあるけれど、溢れんばかりのエネルギーと「熱さ/暑さ」は魅力的。スパイク・リーの出世作にして、やはり最高傑作だと思う。 9点(2005-01-03 21:59:28) |
552. Mr.インクレディブル
《ネタバレ》 ピクサーのアニメにしては長い115分。ブラッドバード監督になって、映画全体の雰囲気もずいぶん変わって「オトナ」っぽい出来。パパ救出作戦以降は、文字通りのスリルと楽しいアクションの連続で、トイストーリーの時も思ったけど、ハリウッドの娯楽映画のいい伝統を受け継いだ、ハリウッドらしいアニメーションでした。個人的には、スーパーヒーローのマントへのこだわりが起こす災いの教訓が、ラストでしっかりと活かされていたのがツボでした。 8点(2004-12-29 12:20:04) |
553. フルメタル・ジャケット
前半の訓練シーンで、「これは10点か!?」と思ったけど、後半はやや失速気味でした。とはいえ、これも『プライベート・ライアン』や『ブラック・ホーク・ダウン』でさんざん「戦場リアリティ映画」を先に見てしまったからかもしれない。もし、公開当時にリアルタイムで見られたら(見られる年齢だっただけに残念)、もうちょっと印象も違ってたかな。ジョーカーの「born to kill」と書かれたヘルメットとピースマークのバッジは、「戦争」と「平和」の対比でもあり、同時に、これが実は、戦場では容易に両立してしまうのだということの象徴でもあったように思う。映像技術的には限界があったかもしれないが、批判的な精神に訴える「芯」を感じることができる貴重な作品。 8点(2004-12-20 01:45:35) |
554. ビューティフル・マインド
《ネタバレ》 それなりに楽しめたものの、ナッシュのダークな部分がすっかり漂白されてしまったというのもあって中途半端な印象。風変わりな天才の伝記物という趣の前半、突然サスペンスフルになる中盤、そして病気との闘いと家族の絆を描く後半のあいだのつながりが、いまいち・・・。最後のノーベル賞受賞のエピソード(教授クラブでの「ペン」とスピーチ)は感動的な演出だけど、それまでの展開を考えれば、いかにも賞狙いっぽくて唐突だった。図書館で学生相手に講義をはじめ、幻覚と「共生」したまま、社会復帰していく様を描くだけで十分だったように思います。あんなとってつけたような受賞スピーチよりも、学生たちに図書館で熱心に数学を語り、彼らの尊敬を集めるようになるのを静かに描いたほうが、この映画のラストとしてはふさわしかったと思う。 6点(2004-12-18 10:28:16)(良:1票) |
555. デッドマン・ウォーキング
難しいテーマなだけに下手に感情を煽ろうとせず、ドキュメンタリー・タッチに徹したふうの作風は好感がもてた。ティム・ロビンスやショーン・ペンの政治的な立場はあるんだろうけど、そこまで押しつけがましくはなかったように思う。強い信念(というか信仰か)を持ちつつも、被害者と加害者のあいだを行ったりきたりして揺れ動くスーザン・サランドンの姿は印象的でした。八方美人という見方もあるんだろうけど、それぞれの立場の人々の「痛み」を知ろうとする誠実さが伝わる、いい映画でした。 8点(2004-12-12 14:27:04)(良:2票) |
556. フォーリング・ダウン
マイケル・ダグラス扮する<D-Fence>は、国防産業を失業中の<白シャツにタイ>の白人。なまりのある英語でソーダ1本の値段にも細かい韓国人店主、<ギャングランド>のメキシコ人の若者、同性愛嫌いでマスキュリンなネオナチ男、フレンドリーなくせに規則にがんじがらめなファーストフード店主。もう何から何まで、当時(暴動前夜)のLAのアメリカ白人が抱えていたいらだちやストレスを(ステレオタイプ的な誇張も含めて)象徴してるんですね。いまとなってみれば、この反動が10年後のアメリカを覆い尽くしているともいえるようにも思います。そう考えてみると、主人公の自己中心的で独善的な性格(最後の「私が悪いのか」というセリフは秀逸でした)は、いまのアメリカの姿を映し出しているようにも見えてくる。後半は一転して家族モノっぽくなってましたが、デュバルが軸となって渋くまとめてくれました。それにしても、ある意味、こんなに「政治的な」映画を、ふつうに娯楽作品として制作・公開してしまうハリウッドもよくわかんないところですなあ。 7点(2004-11-30 15:29:20)(良:1票) |
557. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
全体を支配する緊迫感の割には、物語そのものがゆったりと展開しているので少し退屈もしますが、ブラックなジョークの切れ味はさすがです。事件のきっかけとなるリッパー将軍の抱える「恐怖」は、テロの恐怖を煽りながらいつのまにか思い通りの政策を実践している(そして再選してしまった)某国大統領をめぐるアレコレを彷彿させます。映画の内容そのものは冷戦時代の核抑止政策を皮肉ったものですが、そこで描かれる恐怖に支配される人間の姿は、現代でも色あせることはないでしょう。笑いながら背筋が凍る思いをするという貴重な体験を味合わせてくれます。それでも、満点からマイナス2点にしてしまったのは、肝心のストレンジラブ博士の役回りがよくわからなかったためですが、たぶん何度見ても新しい発見がある映画だと思います。というわけで、現段階の評価ということで8点です。 8点(2004-11-23 20:49:59) |
558. 非情の罠
『現金に体を張れ』同様、シンプルながらサスペンス映画の王道のような展開をコンパクトにまとめている。ニューヨークの古ビル街屋上のチェイスやマネキン工場での格闘など、見るべき名シーンも多いけれど、序盤の妙にゆったりとした展開がもどかしいのと、役者の力不足(特に主人公とヒロイン・・)で、映画全体としては、やや凡庸な印象になってしまった。6点が妥当な線かな。 6点(2004-11-23 14:13:19) |
559. 時計じかけのオレンジ
凄い映画ですねえ。まさに「悪夢」のような140分間。深夜にみたのですが、観賞後の寝つきも最悪でした。あまのじゃくなところがあるワタシは、10点つけてる人のあまりの多さに、ややシニカルな視線で映画をみたつもりでしたが・・・この映画は確かに10点の価値がある! レトロでチープな近未来感が醸し出す非現実感と背筋が凍りつくようなリアルな内容。映像と音楽のシャワーで人格改造されるアレックスの姿なんて、人ごととは思えないような薄ら寒さを感じました。人間から思考を奪う映像の力を映像作家として批判するキューブリックの倒錯的な試みに、やっぱり魅了されてしまうというパラドックスに、恐怖とともに妙な心地よさを感じてしまう・・。ああ、ぼくは何が言いたいのだろう。 10点(2004-11-20 11:10:10) |
560. ビッグ・フィッシュ
最初は「明るいティム・バートン映画」にちょい違和感を感じていた。同じようなポップなカラーの『シザーハンズ』で全編を包んでいたダークさが好きだったせいか、前向きなエドワードがどんどん進めていくホラ話にも、どこか乗れずにいた。もしかしたら、親父のホラ話に愛想を尽かしている息子ウィルの視線に同化してる部分もあったのかもしれない。ただ、そのせいか、ウィルも加わっての「最後のホラ話」のシーンでは映画の世界にどっぷりと没入。最後には、しっかり「こんな人生賛歌もいいじゃないか」なんて気分になってました。『エド・ウッド』にも通じる妙なさわやかさ。ティム・バートンのこんな一面もなかなか素敵だ。 [映画館(字幕)] 8点(2004-11-16 22:26:20) |