561. 花筐/HANAGATAMI
《ネタバレ》 大林監督の戦争三部作の最後の作品。 「野のなななのか」よりも赤裸裸である。 自分の中に封印した「青春の悶え」みたいなものを、映像として表現されると、 何か口惜しい。 しかし、戦争とはこんな無垢の魂をいきなり晒すようなものであるのだ。 戦争の悲惨さを描くことなく、反戦映画になってる。 素晴らしい。 DVDが欲しい。 [DVD(邦画)] 10点(2019-05-11 15:37:00) |
562. チ・ン・ピ・ラ(1984)
《ネタバレ》 チンピラを題材にした、チンピラのような映画。 要するに中身がないってことだが、統一という点で語るならば、 結構な芸の技である。 この映画を語るには2つのポイントがある。 前の年、「竜二」という傑作を撮った川島監督が同じような映画を撮れなかったという点。 もう一つは、日本映画が面白くないと評判だったこの頃、どんでん返しというテクニックででも 面白く観せようとした映画界の苦しみがあった点。 この2点から、このような奇妙な後味の娯楽作品が出来てしまったのだ。 この後、アイドルものを撮ったりして、川島監督の煩悶が続くことになる。 かなり苦しまれたのではないだろうかと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2019-05-08 00:35:55) |
563. みかへりの塔
《ネタバレ》 清水宏は子どもを描くのがうまいなぁ。 自然体ではないけど、子どもらしさってさもあありなんって感じ。 漫画サザエさんの子ども描写とよく似ている。 案外、長谷川町子さんは清水宏からヒントもらってたのでは? 映画は問題児たちが水路工事と言う事業をなしとげてしまうという話。 ラストは涙なくしてはいられない。 素晴らしい作品だと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2019-05-07 08:34:06) |
564. 陸軍
《ネタバレ》 戦争中の戦意高揚映画であるが、ラストの田中絹代のシーンで 作家「木下恵介」の顔がチラリと伺える。 詳しいことはクレヨンしんちゃんの監督原恵一の「はじまりのみち」をご覧あれ。 福岡の小倉と福岡市が舞台である。 田中絹代も隣の下関出身なので、福岡の人間には必見の一本である。 特に空襲で焼ける前の博多の町が記録されてる貴重な映画でもある。 [DVD(邦画)] 7点(2019-05-06 14:46:34) |
565. 王将(1948)
《ネタバレ》 むぅ、さすが名画たる風格がある。 これが有名な坂田三吉か! 自分は初めて見る坂田三吉が板妻で幸せだった。 レンタル屋に感謝せねば・・ 自分が初めて知ったのは漫画「ドカベン」の坂田だった。 貧しい暮らしの長屋の向こうに通天閣を思わせる建物があるのがニクイ。 板妻はキャラが立っている。 この頃の漫画家は映画を観て、作品のキャラを創っていけるほど、 芳醇な世界がスクリーンの向こうにあった。 [DVD(邦画)] 7点(2019-05-06 02:24:03) |
566. 内海の輪
《ネタバレ》 清張映画。 岩下志麻の体当たりの全力演技が光る。 絶叫、嗚咽、放心。 特に不倫道中ラストの方の蓬莱狭の場面。 ヒッチコックぽくてイイ。 [ビデオ(邦画)] 7点(2019-04-29 20:38:28) |
567. 万引き家族
《ネタバレ》 これは「誰も知らない」の続編ですね。 是枝監督は、「誰も知らない」の子どもたちが どうなるか、きちんとしておきたかったんだと思います。 ラストは痛切ですね。 あの家族の絆は、本物だったのか?そこまではあまり描かれてなかったように思います。 多分、是枝監督のことだから、この作品のような家族の「絆」について、また別の設定で作品を創るんだと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2019-04-29 09:26:19) |
568. トイ・ソルジャー
《ネタバレ》 いや~結構面白かった。 某レンタル屋の発掘良品は、結構面白いのがあるね。 学園内で発砲するなんていうのは、令和になる今は、 あまり映画では見受けられないね。 ドゥニ・ヴィルヌーブの「静かなる叫び」くらい? ガスヴァンの「エレファント」(未見)もそうなのかなぁ。 悪ガキVSテロリストという構図が面白い。 勧善懲悪だから、わかりやすく、鑑賞後すっきりする。 昔の映画って感じだなぁ。 この頃の洋画は楽しかった。 [DVD(字幕)] 7点(2019-04-27 23:36:40) |
569. レディ・バード
《ネタバレ》 なんと地味な映画。 でもいつの時代にも必要な映画。 乱れた性関係もドラッグもなく、かといって夢にまい進する映画でもなく、 金持ちの子でもなく、スラムの子でもなく、ただありふれた地方の、ありふれた女の子の話。 レディバードとは、親のつけた名前にちょっと逆らって自分につけた名前。 母親と娘のかわいい葛藤の話でもあります。 中々観ようと手にとらない映画ではあります。 でも観終わると、じわ~と素敵な気持ちになれる、そんな映画。 [DVD(字幕)] 7点(2019-04-27 17:04:28)(良:1票) |
570. 刑事コロンボ/意識の下の映像<TVM>
《ネタバレ》 サブリミナルテクニックを用いた、ユニークな話。 平成始まった頃、広告代理店がやってるとか話題になったテクニック。 犯人は知的で論理的だけど、 自分の論理に酔ってる幼稚なとこもあるのが、最後ボロが出たときの表情。 面白かった。 [ビデオ(吹替)] 7点(2019-04-26 08:42:00) |
571. 刑事コロンボ/策謀の結末<TVM>
《ネタバレ》 この話が、子どもの頃、はじめて見たコロンボドラマ。 あ~覚えてる、覚えてる、あの場面、この場面。 コロンボが被害者を演じて、倒れ込むシーン。 瓶に傷をつけるシーン。 車で、密輸船を追いかけていくシーン。 旧シリーズの最終話だったんですね。 思い入れもあって、コロンボシリーズでは一番好きな話。 [ビデオ(吹替)] 7点(2019-04-23 09:47:34) |
572. 刑事コロンボ/祝砲の挽歌<TVM>
《ネタバレ》 本作、「刑事コロンボ読本」という書籍の中で、名犯人ベスト10の中に入ってた犯人の一作。 軍の養成学校の校長という役どころ。 なるほど、軍人というクールな顔をもつ男でした。 それでもコロンボが事件の核心に迫りつつあることに気づいたとき、 演技がかった弱音をはくとこが泣ける。そして、コロンボはさらに上手で その時、犯人が誰かに気づいていながら、その泣き言に自分も実は~とか演技がかったセリフで応えるとこは シリーズ屈指の見せ場。 [ビデオ(吹替)] 7点(2019-04-22 23:12:16) |
573. タクシー運転手 約束は海を越えて
《ネタバレ》 池上彰のテレビ解説でこの映画が取り上げられてた。 それほど、この光州事件は有名らしい。 ほんの隣の国でこんな事件があったのが恐ろしい。 軍部が暴走し、暴動起こした市をまるごと弾圧。 しかも市民に平気で銃を撃ちまくるし・・ 民主化には血の代償がどの国にも必要なのだろうか・・ 怖い映画でした。 韓国の人はエンタメのすぐ近くに血なまぐさい史実があるから、彼らの笑顔が深い。 [DVD(字幕)] 7点(2019-04-20 21:54:19) |
574. 終わった人
《ネタバレ》 全然、終わってないじゃん! 終わってた感のあったのは、ちょっとで、 あとは元銀行エリートだからって、新興IT企業の社長やったりして・・ まぁでも膨大な借金抱えることになるんだけど・・ もっとすることない年配の方が、いかに活き活き生きていくか、って とこをクローズアップして、描いてほしかった。 定年親父の人生指南書みたいな感じで・・ [DVD(邦画)] 7点(2019-04-18 09:25:18)(良:1票) |
575. 空飛ぶタイヤ
《ネタバレ》 何年か前のテレビ版でも、かなり泣いたなぁ。 DVDまで買っちゃったもんね。 でも買ってから、一度も観てないなぁ・・ 今作は、コンパクトにまとまってて、組織劇に焦点置いてるね。 だから女性はほとんど出てこない。 だから最後のサザンの「戦う者たちへ愛をこめて」が効いてくる。 それでも、やはりラストの方ではウルッときた。 う~ん、もう一度、テレビ版観てみようかなって気になった。 [DVD(邦画)] 7点(2019-04-14 00:04:44) |
576. ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス
《ネタバレ》 前作を友人から勧められて観て、すぐCDを借りた。※買ったといえないとこが哀しい・・ もう一時期、そればっかり聴いてた。 最高です。 本作で、あの名プレイヤーたち全員のプロフィールに没年齢が記載されているのが寂しかった。 映画のほとんどが彼らの茶目っ気たっぷりの魅力の回顧録だ。 そしてラスト、アディオスコンサートで往年の名曲を現代のアーティストが歌う。 敬意を表して。 良かったです。 P.S.オバマさんのスピーチも茶目っ気があって良かった。 [DVD(字幕)] 8点(2019-04-12 02:12:02) |
577. 刑事コロンボ/溶ける糸<TVM>
《ネタバレ》 スタートレックのレナードニモイがまたクールでいい味だしてる。 ピーターフォークとの2大スターの攻防がまた楽しい。 このニモイの犯人役は「コロンボ完全読本」という本に、コロンボ史上好敵手の一人と取り上げられてたので、 興味を持って、鑑賞。 だいぶ昔に見たかもしれないが、コロンボシリーズは何度同じのを観ても飽きない。 コロンボが画面に出てくるだけで、嬉しくなっちゃう。 [ビデオ(吹替)] 7点(2019-04-07 11:55:30) |
578. マイナー・ブラザース/史上最大の賭け
《ネタバレ》 ウォルターヒル監督異色作。 悪くないのだが、最後、お金が余って、遺産を相続できず、それでかえって人の温かさを知る、という 話にして欲しかったのだが、そこはウォルターらしく、勝負に勝っちゃうんだね。 友だちのキャッチャーが泣かせるんだね。 プライアーが相続を使い果たすと、もらった金少しとってあるから、一緒に車で遊びに行こうというセリフ。 あれで人の温かさを知るという展開は少し野暮ったいか・・(笑) そういう話にしないとこが、やはりアメリカはシビアだ。 というかそんな話だったら、ウォルターが監督である意味ないもんね。 うん、これはこれで面白いコメディだ。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-25 22:34:58) |
579. ブロークン・トレイル 遥かなる旅路<TVM>
《ネタバレ》 ウォルターヒルは西部劇が好きというが、 これはテレビ映画ながら、彼の味が素直にストレートに出てる。 ウォルター節に出てくる喧嘩は、アメリカ人の西部劇時代に培われたものだろうか? 何せあの広大な土地をわずか何世紀か前に開拓してた連中だ。 その中でも人間らしさを忘れずにやってのけた人々に、彼は最大限の敬意を表している。 それが喧嘩に現れるのだ。 この映画でも、ラスト悪党がロバートデュバルを締めあげる場面で、 「男」を失う直前でも、ハートの部分ではこの男は物おじしない。 幸い、相棒が現れて、ハッピーエンドだったが、この場面をつきつめたのが 最新作「レディガイ」であろう。 何はともあれ、国境を超えて、男と女が敬意を示し合う、とても素敵なテレビ映画だった。 語り出すと色々言えてしまうくらい、芳醇な作品だった。 [DVD(字幕)] 8点(2019-03-25 11:22:25) |
580. 張込み(1958)
《ネタバレ》 映画の前半で、どっかで観たことある映画だなぁとデジャブを感じたら、 ヒッチコックの「裏窓」(1954)だと気づいた。 でも後半、ついに動き出してから、一気に映画が動き出す。 そして見失いそうになると、ここまで張り込んだのに、逃したら間抜けな刑事だと 見方の厳しいサスペンスになっていく。 でも下手な銃撃戦もなく、きれいに幕。 でも東京ってやっぱり怖っと思ってしまう内容だった。 清張の「顔」もそうだけど、都会での挫折って北九州出身の彼のポイントだよね。 [DVD(邦画)] 8点(2019-03-21 23:12:44) |