681. 潮風のいたずら
いや上手いなあゴールディ・ホーンが。富豪夫人を演ったらはっきりしたんだけど、彼女キツ目の美人なんですよね。劇中、29歳の設定でも違和感の無い美貌の持ち主(このとき42歳!)ながら、コメディエンヌを自然体でこなします。ギャグを受け止め、ある時は投げ返すといった身体動作がなめらかなのです。大きな口と良く動く目もコメディエンヌには大切な要素ですし、前述したように綺麗なので日本の女お笑い芸人らが不細工を売りにするがゆえの痛々しさとも無縁です。野暮ったいカート・ラッセルをも包み込んでしまう彼女の懐の深さも合わせて感じられ、観ててほんとに気持ちよく、あははと笑ってさっぱりと楽しい気分になるコメディでした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-03-10 23:03:17) |
682. ジュラシック・ワールド
《ネタバレ》 いやこれワタシ良くできていると思います。これは今の子どもらの「ジュラシック・パーク」なんですよ。30年前にジュラパを経験した大人にはそりゃ当然物足りない。同じだもの。 でも「ワールド」が恐竜ムービー初体験だったら、そんな10才が私はとても羨ましい。映画ってすごいな楽しいなと思うだろうな。まず訪れたテーマパークの造型が素晴らしいじゃありませんか。客を飽きさせない最先端の観光地。千葉にディズニーランドができるずっと前、少女雑誌でフロリダのディズニーランドの記事を読んだ時に感じたときめきを思い出しました。行きたいなあジュラシック・ワールド。お土産たくさん買ってしまうだろうな。もっとも、本物を再現できるのに恐竜のホログラムはいるのか?とは思いましたが。 肉食恐竜のおっかなさを余すところ無く描き、子どもにはちょっと刺激が強いくらい。人がなかなかえげつない死に方しますよね。いい塩梅にユーモアも散りばめてますし、娯楽大作の看板に偽りなしです。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-07 17:19:06)(良:1票) |
683. アンフレンデッド
《ネタバレ》 全編パソコン画面で話が展開するという新手のアイデア、いかほどの評価を受けたのでしょう。いやあー、やっぱり観づらかった・・。衰え気味の動体視力にとって左右下方に振られる字幕はキツく、さらに発言者が誰なのかは目をこらして小っこい文字を読み取らなきゃならない。ここら辺の作業に使うエネルギーはけっこう馬鹿にならなかった。 全く奥行きの無いパタパタと切り替わるウィンドウと文字と音声。「顔」だけで構成されているわりに、ストーリーは分かりやすくはありました。知らない連中のグループトークを聞かされてるだけなんだけど、各々の秘密を暴露させてゆく展開は、盗み聞きをしているかのような下世話な好奇心をくすぐります。 とはいえ、本筋がつまらないと小手先の演出ではどうにもなんないわけで。結局人が順番に死んでゆくのは常道な展開で驚きはありません。怖かったのはアメリカのティーンエイジャーの底意地の悪さぐらいなものでしたな。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-03-05 23:47:43) |
684. エクス・マキナ(2015)
《ネタバレ》 天才頭脳が二つ。その中に放り込まれて破滅してしまった男。無理もないですよね。迎える天才側はあらかじめ準備万端なんだもの。それにやっぱり生身の人間はAIに勝てっこないですよ。これ観るとつくづく思う。だって”感情”があるんだもの人間には。AIには情操てものが無い。でも”あるフリ”はできる。蓄積された膨大なデータをもとに。おそらくネイサンはそれを知っているから支配下にあるキョウコには声を与えなかったのでしょう。心をぐらつかせるような言葉を言われるのが怖いから。 だからねえ、せめてケイレブがいみじくも言ったようにAIが「四角い箱」だったら、視覚に惑わされることが無くなる分、互角に戦えたのかもよ?美女なんかにしたらあかんよ。AIじゃなくたって、男性は現実の女にだって騙されちゃうんだから。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-03-01 14:37:35)(良:2票) |
685. 冒険者たち(1967)
《ネタバレ》 青春の、向こうみず、愚かさ、傲慢と遠慮。若いこの季節を構成する要素すべてが輝いててキラッキラである。 スターとして圧倒的な知名度のアラン・ドロンが、ひとり前に出すぎず、きちんと三分の一の役割をこなしているのに感心した。ドロンが突出しなかったおかげもあって、男二人女一人の三者それぞれが各自の個性を活き活きと出し切って、不思議だけど好感度の高いトリオを完成させている。こういうユニットは長引くと瓦解してしまうたち。なので、寸前に女の子を退場させた脚本はフランス映画っぽい苦味が走りまくり。そう、ラストまでも。「嘘をつけ!」と言い残したドロンに涙、涙。青春て眩しくて苦い。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-02-17 17:03:45) |
686. レディバード・レディバード
《ネタバレ》 英国の話だけど、我が国にとっても全く他人事でない案件。子どもへの虐待を防ごうと行政が家庭に介入することの限界もほんとに良く似ている。すごく考えさせられた。 いや本作のケースはどうしたらいいですかね?日々報道で子どもの虐待事件を耳にするたび、震えるほどの怒りを覚える身としては英国社会福祉局の言い分も良くわかる。たしかにこの母親は子どもに安全な環境を用意できていない。暴力男の元に舞い戻るなどその最たるもので、典型的なDV被害者の行為なのですね。母親本人も情緒不安定で、嘘も多い。強制的に子を保護しないと死なせてしまうと、世論の高まりでできた法律を遵守するのは役人として当然の職責でありましょう。 でもなあ。この母親の不幸な成育歴や地域社会の荒れっぷりを見てると、この人一人のせいばかりでもないと思っちゃうんですよね。隣人が悪意で証言したりと、運も無い。なにより役人が産院にまで赤ん坊を奪いに来るなど、これはちょっと機械的、暴力的に感じる。母親は子どもに愛情を抱いているけれど、彼女の環境がうまく健康的に働いていないのです。さて、一体どうすれば。 行政と個人と、どちらかの主張に偏ることなく問題を開陳してみせたケン・ローチ監督のバランス感覚の良さが光ります。大人は必見の、社会の課題です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-02-15 00:18:46) |
687. ドント・ブリーズ
《ネタバレ》 盲目の老人の家に盗みに入ろう、という時点で客を味方にできない若者どもなんですが、これがその後いろんな方向に予想を裏切ってくるのがこの映画のミソ。まず被害者の老人がモンスター。サイコっぽくもある。危な。あまりに思考がぶっとんでいる元軍人のじーさんを「被害者」と呼んでいいのか、こちらの判断も怪しくなってきます。居心地悪いです。作品中唯一といっていい「被害者」の女の子は助からないし。大金せしめて逃げおおせたと思われた強盗一味の彼女はラストに知ります。「逃げ切れていない」と。こういった一連の斜め上の脚本力はなかなか、と思いましたが、ホラーとしてはいまいちかなあ。ちょっとね、逃げる、追うの繰り返しで長く感じちゃうんですね。一軒家なんだからこんなに広いわけない、とか細かいこと気になったり。冒頭の寂れに寂れたラストベルトの街並は、やばそうな雰囲気満点だったんですけども、そこが作品のピークかな。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-02-10 14:49:32) |
688. フェリスはある朝突然に
《ネタバレ》 久々に映画観てて早く終わんないかな、と思った。高校生が学校さぼって遊んでるだけの話じゃないか。徹頭徹尾主人公の都合よく展開するけれど、脚本のご都合主義に腹を立てているわけではない。コメディってのはある程度力技な筋書きで回していかなきゃならないものだから、それはいい。 私はフェリスが嫌い。なんで監督は18の青臭高校生をこんなに甘やかすんだ。「人生もっと楽しまなきゃ」とほざいて大人を騙してやってることが野球観戦にパレード参加にドライブに高級店での食事。「大人」たちが提供している娯楽を消費してるだけじゃんか。手製のプラスチック爆弾を試しに山にでも行く方が評価できる。 生活全般を親に与えてもらって、こいつの部屋のまあ持ち物の多いこと。なのに「(親から)車が(買い与えられて)ないのが問題だ」だと。一体どういう人間なんだお前は。 逆さに振っても屈託が一滴もない、つらっとした顔のフェリスがクラスメートらには大人気。ああそう。この映画はアメリカでは今も人気が高いそうで、皆そんなに消費がしたいのか? アレルギー反応のごとくこの映画を受け付けられないのは、ワタシがフェリスとは真逆にクラスカーストでは下の方に所属していたからかもしれない。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2019-02-07 17:49:15)(良:1票) |
689. 17歳(2013)
《ネタバレ》 フランス映画に登場する思春期の女の子たちって、不機嫌だったり腹黒かったりでなかなか扱いが面倒だなあと思っていた。オゾン監督は日常が空っぽなあまり売春に走る女の子をチョイス。この娘がもう大変に大人びているので、まあ海外のティーンは時たまアジア人には想像がつかんほど成熟しちゃっているものですが、映画観ててもその美しさにぽかんとしちゃいまして、あんまり「売春」の痛い感じが入ってこなかったですねえ。しかもその行為の果てに、妙な繋がりで人生の理解者にも出会えちゃったりしたわけで、彼女にとって売春が人生のマイナスというか汚点になっていないというのがなかなか興味深かったですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-02-02 23:06:36) |
690. 赤い部屋の恋人
《ネタバレ》 大金を手にしたおタク気質の男が女に惚れた場合の”ありがち”な顛末ですね。お金を積んで手に入る物と入らない物ってあるんだよ。しかも彼女プロですからね。契約内容を彼女はきちんと履行しているのに、いわゆる「普通の恋人」を本音ではやりたい男はだんだん機嫌が悪くなってきてやんの。ダメだーこりゃ。 お金って魔力があるのでね。簡単に手に入る物もあるけど失うモノも多い。印象的なのがベガスで会った彼女の女友達。獲られた金を弁済してやったとたん、目の色が変わりましたよねえ。「この人宇宙人?」と。自分も御相伴にあずかろうとさもしい本性がさらけ出され、友情も霧散しちゃった。 だからね、リチャードよ、キミにできることがあるとすれば花でも持ってドラムを叩いている彼女を応援しに行きなさい。気味悪がられない程度に。それでもダメだったら、すっぱりあきらめろ、な?だってそこはセンター・オブ・ザ・ワールドなんかじゃないもん。その赤い部屋は。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-01-31 19:43:05) |
691. われらが背きし者
《ネタバレ》 一市民がマフィア内の抗争沙汰に関わらざるを得なくなる「巻き込まれ型」サスペンス。なにしろ原作がル・カレだからか、ディテールも骨組みもやたらと説得力があるので、MI6まで絡んできても「そりゃないでしょ」とは思わずに観ることができました。気持ちはがんばれユアン・マクレガー教授、です。 冒頭からとても怖い思いをさせられ、つかみは満点。一体何が起きたのか分からぬままの突然の殺戮シーンは画の美しさも相まって強烈です。 古参幹部であるディマのキャラクター設定がまた良いです。カードの番号を瞬時に記憶してみせる場面で「只者ではない」とわかります。愚直なまでに正義を通すマクレガーに肩入れすることで、「まっとうなモラルを持っているのだな」とも。ここらのキャラ紹介がテンポ良く鮮やかです。一人で抜け駆けしようとしているMI6のメガネくんの苦悩も憎めません。 マフィアと冷や飯幹部とMI6と民間人、四者の駆け引きがスリリングな序盤、サスペンスとしてのヤマ場、切り札を明かすラスト、それぞれをキレイに決める脚本は巧いですし、台詞も気が利いています。地味ですが逸品ですね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-27 15:56:30) |
692. 戦争のはらわた
《ネタバレ》 ペキンパー監督って真理を突いてくるんだけど毎度毎度えげつない人だ。本作は”たまたま”敗色濃厚のナチスドイツ軍が舞台だけれども、描かれていることは組織にはクソ上司がいて、その取り巻きがいて、上司にも仕事にもうんざりしている中間管理職のおじさんがキレる、という社会組織に普遍な図式なのだった。総統にも第三帝国にも心酔なんかちっともしていない負け戦の現場では、一平卒は犬死したくない一心で機銃を掃射するし、プロイセン貴族とやらの俗物上官は勲章欲しさに、部下の一個部隊を見殺しにするのだった。 あまりにリアルな人間臭さ。銃弾飛び交う前線のカメラアングルは土埃がかかってきそうな臨場感。えげつなさがさらにヒートアップするのが、戦場に女を投入する場面。しかも一人なんて風呂まで入ってる・・。当然ながら続く阿鼻叫喚な展開はまさにザ・サム・ペキンパーなのだった。 並みの監督ならば、上官が撃たれるラストを用意するだろう。しかしペキンパーはそんなことでは飽き足らず、上官の現場での無能ぶりをさらけ出させたうえに、嘲笑を浴びせるのだった。いやー、ほんとペキンパー半端ない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-24 18:12:01) |
693. 特捜部Q Pからのメッセージ
《ネタバレ》 前作でキツすぎたグロ描写が控えめになり、プロット重視になった3作目。3作目にして一番の出来かと思います。子供も死ななくて良かった。 犯人サイドの描写と捜索側の動きを交互に入れて立体的に見せる演出が、飽きさせず上手いです。 ”エホバの証人”という特定の宗教批判かな、と思わせておいていやいやさらにその上の、カルト信仰心の危険性を鍵にしてきたのも意外な展開でした。 個人的にはちょっと苦手なカール刑事、今作も終始重苦しい表情で前作より抱えるモノが重くなっちゃってるんですが、宗教観のことで相棒と口論になったり、かなり自己の内を見せてくれるようになりました。ラストの葬式で落涙する姿にはぐっときます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-20 16:32:13) |
694. 特捜部Q キジ殺し
《ネタバレ》 二作目ということでスタッフ張り切りすぎたような。猟奇な描写も悲劇のほとばしりかたも、ちょっと手を入れすぎであざとく感じます。品格がシネマレベルではなくテレビに近いのです。 例えば冒頭、被害者姉弟の父ちゃんがなんで風呂場を真っ赤に染めて自死せにゃならんのか。真相の際までたどり着いた、その時期に。ヒロインも所在を隠すためとはいえ、あんなに身を落とす必要あるのかしら。実家は裕福なのに。演出のためのホームレス設定としか。 相変わらず北欧の強みで画は重厚で、森といい建物といい、深遠な雰囲気はふんだんに醸します。レイプシーンや暴力が多いので陰惨さは前作の二割増、でも話の面白味は三割減といったところでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-19 14:54:31) |
695. 特捜部Q 檻の中の女
《ネタバレ》 陰惨、猟奇的、でも画は(緯度が高いせいか)清潔感あり、という北欧サスペンスの特徴を全部備えてます。謎解きと格闘するプロセスも至って地味で真面目。突拍子も無いアイテムや突然現われる情報提供者とかそういうのはありません。お国柄というんでしょうかね、これまで観てきた北欧系の作品は皆大真面目にグロかった。 本作が出色なのは刑事ペアの一人がアラブ系だということ。ぐっと暑い地域のDNAを有している彼は相方である生粋の北欧人のおっさんが暗く鬱屈していても、程よく前向きに物語を進めてくれる。深い思考と、前に推進する機動力と。この絶妙なペアがQシリーズの成功の鍵といえます。 ああ、地味地味と言いましたが、”見せ場”の監禁場面なんかは大掛かりですよ。あんな高圧をかけられる装置が何故一農家にあるのだろう。という疑問は脇に置いといて。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-17 19:45:54) |
696. ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
スター・ウォーズの魅力って(特に4,5,6は)「活劇」だと思うんですよね。旧作はそれこそどきどきはらはらさせてくれたものでした。でも画力が格段にアップしたこの外伝はというと、なんかちっともわくわくしないのでした。 ヒロインのF・ジョーンズは終始一本調子の仏頂面で表情筋をほとんど使ってないですし、他の人物らの魅力も乏しいこともあって気持ちが入っていきません。 メカによるものも、人間同士のも、戦闘シーンはいつかどこかで見たような演出だし、「○○するには××しなければならない」という障害が多くて、またかよ、と飽きました。 元連合軍側のドロイドが一人で健闘するも、作品全体にユーモアが乏しく、スター・ウォーズを観ている気分になりませんでしたねえ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-14 16:41:09)(良:1票) |
697. スリ(1959)
《ネタバレ》 スリであってもプロ(?)の仕事は見事。特に連係プレーに見る手際の流麗なこと、この映像はもはや伝説だけあって目が釘付けになりますね。滑らかで鮮やかでカメラの存在が消えていて。 逆を言うとそれだけが見どころといいますか、主人公が青臭く非労働論を吐いたところで共感なんかできやしない。というか、ラストに自分で言っちゃってるけど、恋愛を成就するためになんだってこんなに沢山の理屈や遠回りが必要なわけ? モノクロのフランス映画、というバイアスがかかってるせいで何やら芸術深そうな空気が漂ってますが実は大したこと言ってないのではと思っちゃった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-12-31 00:18:11) |
698. アメリカを売った男
《ネタバレ》 クリス・クーパーによる人物造型力がすごい。この赤い唇の不気味なおっさん一人が核になって話を回しています。潜入捜査員の新人FBI君との腹の探りあいはとんでもない緊張をはらみ、こちらの胃も縮みました。 心が読めず、底知れないクリス・クーパー版ロバート・ハンセンはwikiの写真に見る本人より三割増しに不可解かつ不穏。信仰深く、家族思いの一面がありながら、妻との情交を録画して他に晒す変態性には多いに引きます。実はこっちの捜査はバレているのでは?と思わせる脚本も巧く、ずっとはらはらしながらの観賞になりました。 アメリカ史上、国家運営において最も高度に危険な犯罪者が実のところ何を考えていたのかまでは言及せずに話は終わってしまうのですが(共産主義者かどうかの描写も特に無かったですし)、犯罪サスペンスのカテゴリーとしては上位の位置付けができると思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-27 16:06:29) |
699. フライト・ゲーム
《ネタバレ》 リーアム・ニーソンのアクションて、ほぼ洗練されてなくて武骨で力技なんですね。そこが魅力でもあるんだけど。今作も重たいオジサンのまっすぐな力仕事が狭い機内で大炸裂。力技は脚本にまで及んでまして、忍者まがいの吹き矢殺法をはじめ、爆弾で穴開きドア飛び片エンジン停止のジェット機を着陸させる強引さ。面白かったからいいけど。 無茶といえば航空保安官たるニーソンが「一年間無料!」を叫んで客を黙らせたのには笑ったなあ。いいのかなあ。 サブキャラの乗客らも存在感のある仕事をしているのが本作の強みです。一人一人が印象強い顔立ちの役者を使い、物語を回す仕事をしている。泡吹いて倒れた弁護士のおじさんですらインパクトが強い。副パイロットなんか名前も分からないけどすごくかっこ良いしね。パニックムービーとして高水準の出来なので、ニーソンファンじゃなくても楽しめると思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-23 15:08:35)(良:1票) |
700. ニュースの真相
《ネタバレ》 娯楽番組に数字で負けて苦境の報道チーム。けれど権力を疑い、声を上げ続けることこそがマスコミの使命であり民主主義の根幹であるとの「60ミニッツ」の理念には多いに賛同するところではあります。でも、やっぱりメアリーは功成り名遂げて驕りがあったんだろうか。大物アンカーともツーカーの仲だし、で。取材スタッフが全員”気の合う”仲間っていうのも落とし穴かもしれない。ブッシュは軍歴詐称かも、という疑惑に皆でとらわれてイケイケで進む空気の中に「ちょっと待って」と精査する者がいないのは報道にとって危険なことですよね。 基本、彼女を擁護する姿勢で描かれているけれど、情報提供者に対する強引かつ安請け合い的な説得は誠実さに欠けていると感じるし、そもそもネットの妖しげなソースに飛びついたのもまずかったよね。細かいこと言うとキツめのメイクもやり手のキャリアウーマン臭が強く、観てるこちらの好感も得づらいと思う。つまり完全にメアリー寄りというわけでも、反共和党を謳っているわけでもなくなかなかバランスのとれた脚本と思います。 フェイクニュースというワードが世を騒がせている昨今、マスコミのありかたをテーマにした本作はきわめてタイムリーに感じました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-21 01:05:16) |