61. 眼下の敵
《ネタバレ》 この映画を最初に観たときに強い印象を与えられたのは爆雷の深度調整中に発射命令が出されたために手に負傷した部下を艦長が船室に見舞うシーンでした。戦場においては射撃の指令が出たなら仮に味方が射線上に見えても撃つのが原則であり,艦長にも射撃手にも落ち度は無いわけですが,それでも娑婆での職業が時計工であり,恐らく小さいときから修業を積んで熟練工となった夢を絶たれたことを知って何も言えない艦長から戦場の残酷さを教えています。 [映画館(字幕)] 7点(2008-06-30 23:53:03) |
62. ガンガ・ディン
《ネタバレ》 ノーベル文学賞作家キプリングの詩を題材にした映画です。この映画の製作された当時には植民地時代のインドを題材にした映画が多く作られていますが,この詩は英国植民地軍の下働きであった現地人少年兵の活躍と死をテーマにしたもので,最後はこの詩の朗読で締めくくっています。これでも当時の時代には精一杯現地人に好意的な映画だったのでしょう。戦後しばらくしてから日本でも公開されていますが,戦時中の米軍艦船での定番だったそうです。 [映画館(字幕)] 7点(2008-06-26 11:51:47) |
63. ニュールンベルグ裁判
《ネタバレ》 前の作品「渚にて」は観ていたけれど,この映画は見逃していました。やっとBS録画で3時間の作品をゆっくり観る機会が得られました。しかし冷戦の最中の当時と現代ではかなり見方も変わらざるを得ないようです。冒頭の屋上に飾られたナチスの紋章の爆破は,この都市がナチス台頭の契機となりリーフェンシュタールの作品「意志の勝利」の舞台になった場所を象徴するもので,だからこそ連合国も戦犯の裁判に選んだのです。しかし,この映画の舞台は先のゲーリンク達の裁判の終了から2年を経過した後で,そこでの戦争協力者としての司法関係者の責任を追及しようと米国主導(ソ連は参加せず)で行われたものです。法学の泰斗でもある旧ドイツの司法相の責任をどのような形で追及しようかと焦る検事側が断種事件の証人として引き出した男が代々の精神薄弱家系であることを暴露して,米国の州法まで引用して弁護する気鋭の弁護士。これには社会福祉と,それへの代償と言う現代にも通じる問題が提起され,落ち込む検事側。そして当時少女だった証人とその亡父のユダヤ人の友人との事実関係の証言を告白させようとする弁護人に遂に無関心を装っていたのをかなぐり捨てる元司法相。社会を護るためには一時の犠牲には目をつぶる理論がそれの拡大を助長する結果になったことへの自責ですが,これはチェコを犠牲にすればナチスの欲望に妥協できると考えた先の英仏などへの痛烈な批判にもなっています。その折に発生するソ連のチェコへの侵入とベルリン回廊の封鎖で,これは西独の再軍備へと繋がるのですが,それによりドイツ人との協調が急遽要請されて軍人である検事側への上部よりの圧力が加わり,その中で責任の追求は棄てきれない裁判長の全員終身刑の判決となりますが,結局は数年以内に刑期短縮されてしまう。封切り当時のポスターは戦車の前に立ちふさがる男の後姿があった気がするけれどそんな場面はなし。未亡人役のディートリッヒがリリー・マルレーンの一節を口ずさむおまけつき。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-04-02 09:30:37) |
64. 激突!<TVM>
30年くらい前にテレビで観ました。劇場では恐らく映像の欠陥が目立っただろうからやはり家庭内で観るのが正解だったでしょう。凄く印象的な作品だったと記憶にあります。しかし,現在ではこの種のキレるドライバーって日本でも新聞種になるほどで,その面で世相を先取りした作品であるとも言えます。唯一で最大の欠陥はネタバレの邦題で,これで全てをぶち壊しにしかねない。一体どこの馬鹿がつけたのやら。 [地上波(字幕)] 8点(2008-01-17 09:14:32) |
65. ナショナル・トレジャー
この映画で印象づけられたのはアメリカが如何に底の浅い人造国家であるかと言うことです。だから建国200年ちょっとでは歴史なんて中学の教科書程度の内容しかないし,かと言って英国のようにもはや歴史に呑み込まれた先住民の業績を歴史遺産として継承するだけの自信も度量もない(それを行うと国の基盤さえ維持する自信が持てない)国家の悩みが伝わってくるようです。だからと言ってインディアナジョーンズシリーズみたいに特定の宗教に拘っての手法も先が見えているのではないでしょうか? [地上波(吹替)] 4点(2008-01-04 23:30:51)(良:1票) |
66. 燃えよ剣(1966)
《ネタバレ》 栗塚旭主演のテレビ版はずっと以前に観たことがありますが,これは司馬の小説からのエピソードを1時間程度にまとめたもので,原作に従っているこの映画とは別物でした。沖田役はテレビ版のほうが適切だったようです(実在の人物に似ているかどうかに関係なく)。この映画では池田屋事件までとなっていますが,内容としては侍と百姓郷士の意識,尊王派女性を巡っての土方と七里の私闘めいた面白さが主題になっています。テレビ版では原田や藤堂などの特徴あるキャラが毎回趣向を変えて登場するのですが,限られた時間でまとめるために思い切った省略によって映画としてはすっきりしたものになっています。でも制作費などの関係か立ち回りにしても舞台が狭すぎる感はあります。 [DVD(字幕)] 6点(2007-12-02 10:19:07) |
67. 誰が為に鐘は鳴る
《ネタバレ》 戦前のこの時代には女性が断髪にするのは大変なことで,フランスで連合国による解放後に占領ドイツ軍に協力的であったとみなされる女性に対して報復的に髪を切る一種のリンチが市民の間で行われたのは有名な話です。実際にこの種の住民を巻き込んだ内戦においては女性に対して髪だけでなく性的暴力やそれに伴う性病の感染など痛ましい話が多いのですが象徴的に(奇麗事ですが)髪で表現したのでしょう。戦後のヘプバーンや,もっと後の日本では森昌子などのアイドルによってもはや髪で象徴することは難しくなってきています。 [映画館(字幕)] 6点(2007-11-28 17:39:05) |
68. どろろ
《ネタバレ》 手塚の原作が開始されたときに,これは戦後においてタブーとされた因果物を下敷きにしているので流石と感心したのですが,連載を念頭にした多くの勝負場面ばかり多くて最後までは読みませんでした。当然に最後は普通の人間に戻って終わりだったでしょうが。これをアニメでなくCGとワイヤを使っての映画とする企画は興味があったけれどやはりストーリ性に欠けることになるのは映画のほうが説明不足になることで仕方ないとも言えます。子供向きとは言えない(原作自体が)しアクションものとしてでは物足りないものになっています。この路線でならジョージ秋山の「アシュラ」とかのほうが映画にするなら興味が持てます。 [DVD(字幕)] 6点(2007-11-09 21:15:44) |
69. グッド・シェパード
《ネタバレ》 題材が大戦中のOSSの発足からキューバ危機の直前までのCIAの揺籃期の裏面史みたいなものですからスパイものとしてはフィクションでしょうけれど興味があるものでした。もともと政治の面ではストイックな面のあった米国が先輩の英国(これも少し前まではスパイを不道徳として嫌悪していた)を手本にして作ったのでしょうけれど,英国のスパイ組織がパブリックスクールから有名大学出の経歴と家柄を担保にしての組織の結束を図っているのに習ってアイビーリーグ内での秘密結社を組織の基盤にしているところが面白いです(結局は両者共それがスキャンダルを招いたようですが)。日本のように成績が全てと言うのもある面での合理性はあるけれど,失敗したら人生が破滅と言うことでの隠蔽や庇い合いが結果として国家利益を大きく損なうのに比べて彼等は余裕があるから反逆罪に問われなければ他に転進する途もありそうで,1000人以上の犠牲となった不祥事は一人の愚かな女が空を飛ぶことで償われています。それ故二つ返事で重要任務を引き受けたり,英国への支援従軍に志願するのも余裕ある階層の義務と受け入れるのでしょう。当時の性道徳からは友人の妹と性交・妊娠で結婚,積極的に接近してきた女性はスパイなどパターン化した話ですがそれほど奇異とも思えませんでした。戦争による6年の別居中に双方が一度だけ異性の誘惑に乗ったことを自分から素直に告白するところなどこれらの人々の道徳観は今日のそれとはかなりに異なっているようにも思えますが,これが半世紀の時代の相違なのでしょう。全体の裏に流れているのは誰が1961年のピッグズ湾事件の失敗になる情報を流出させたかですが,別にそれの謎解きと言うのでもありません。スパイの家庭における家族の絆としてCIA史を紹介する映画と言えるでしょう。ル・カレのスパイものは殆ど家族とは対立や崩壊となっているのに比べると米国的なまとめかたの佳作です。 [映画館(字幕)] 7点(2007-10-22 19:58:03) |
70. 戦闘機対戦車<TVM>
《ネタバレ》 ヨチヨチ歩きで滑走する戦闘機をしつこく追い回す戦車の場面ばかりが延々と続く映画です。スピルバーグの「激突」を連想させるような一体いつまでと思わせた揚句の展開。水野氏だったっけ「きっと根性があったから」と言う笑える解説が記憶に残っています。 [地上波(字幕)] 5点(2007-10-01 20:45:32) |
71. 美女ありき
《ネタバレ》 元外交官の加瀬俊一氏による同名の書があります。エマ・ハミルトンの話は欧州で伝説化していたでしょうから映画がどこまでが脚色しているかは判りませんが,ネルソンの友人たちの配慮でかなりの遺産を貰ったけれど派手好きで使い果たしてネルソンとの間の娘を連れてフランスに渡りナポレオンの没落時期に亡くなったそうです。冒頭の話はやりすぎの感もありますがストーリの展開よりビビアン・リーにあの老け役をやらせるアイディアは素晴らしい。名声が上がるとともにパーツを減らすブラックな展開とそれにより更に愛情を深めると言ういかにも映画向きの題材です。不倫は当時の上流社会では(離婚を害悪視していたこともあり)必要悪みたいに受け入れられ,庶民の価値観とは違っていたようですが,安酒場に隠れていたら士官連中が流れ込んできての展開は周囲状況を理解させるには十分でした。戦闘に際して(当時の海戦では敵船を捕獲してリサイクルが重要なので接舷して切り込みとなる)高級士官は目立たない服に着替えるところをわざとしなかったのは,家庭をめぐるトラブルから負傷して引退とかを期待したらしいけれど,広場の塔に祭りあげられるのは想定外だったでしょう。歴史ものでなく恋愛の映画としての企画でしょうがまとまりは良いのだと思います。時期的に多くの兵士が戦線に送り出されるときにこの種の「不倫」はかなり切実なものとして受け取られたのでしょうか? [DVD(字幕)] 6点(2007-10-01 11:59:14) |
72. 薔薇の名前
《ネタバレ》 原作における時代背景(神聖ローマ帝国皇帝とローマ在住でないローマ教皇の対立)の説明がないのでその特使である枢機卿との協議の重要性とかあいまいになっていますが,修道院における連続殺人事件の謎解きとしての映画なら十分に楽しめます。図書館の舞台が原作の平面の迷路から立体迷路になっていてゲームとかにも出来そうな題材になっています。印刷技術や紙さえも伝わっていなかった中世ヨーロッパですが人の交流だけはグローバルで英国出身の師のギャグに富んだ語りが笑いを嫌う修道院の長老との対比をなしています。ちょっとセックス場面でのサービスが良過ぎるので教会の協力がよく得られたものだと思います。娘が火事騒ぎで助かったのは燃え残った火刑台を示すだけで十分で最後の別れの場面は明らかに蛇足のようです。登場人物のキャラクタ付けがちょっと濃い目ですが皆さん役のために相当に努力をされている点でおまけ。 [DVD(字幕)] 7点(2007-09-20 22:16:29)(良:1票) |
73. 鷲は舞いおりた
《ネタバレ》 いろいろな筆名でなかなか世にでられなかったジャック・ヒギンズの出世作の映画化です。原作にかなり忠実ですが,アイルランド開放運動の闘士だったデブリンのイメージがヒギンズの多くの作品に描かれるような知性と腕力を隠したやや背の低い男からかなり違っていて少し違和感がありました(背の低さで英国社会における屈折した人格を表現していたのに対して)。登場人物が悪役のヒムラーも含めてそれぞれの役割をそれでも懸命にこなしているのに対してカナリス提督の日和見主義(これは他の作品への伏線かも)と英雄主義が喜劇的な終わりを迎える米軍大佐,自分の教会の抜け穴すら把握していない牧師などが逆の意味で印象的です。双方の兵士が相手に敬意を持ちつつも容赦のない対応と言う一種のスポーツ的フェアプレイで爽やかさを感じさせる作品になっています。証人として負傷した副官を収容し河の中でドイツ旗を掲げた魚雷艇の結末はどうなったのでしょうか。 [DVD(字幕)] 9点(2007-09-20 14:27:52) |
74. 不滅の熱球
《ネタバレ》 プロ野球創生時代の伝説的名投手である沢村栄治を題材にした映画で,当時より大根と言われた池部良が役に所を得ての熱演です。特に左足を高く上げての投球フォームは懸命に練習してのたまものらしいです。これにファンの女学生との恋愛,女学生が両親から勘当騒ぎまでおこしての熱愛,徴兵を受けての訓練での模擬手榴弾の驚異的な投擲,大陸での手の負傷の中で敵から投げられた手榴弾を投げ返す話,一度復員して再入団したときの新人の川上,千葉との出会い(千葉がそっくりなのが笑える),それでもブランクは大きく周囲からの冷たい目とそれに対する吉原の抗義などよく知られた逸話をつなぎ合わせたものですが,やはり見所は池部のフォームです。最後は南洋の戦線で戦死した沢村の霊が客席に妻と息子だけがいる深夜の球場で投球する場面(実際には乗船が撃沈されての戦死)で終わります。 [映画館(字幕)] 6点(2007-09-17 16:48:54) |
75. レッド・バロン(1971)
WWIにおけるドイツ陸軍のエースのリヒトホーエンとそれに対抗したカナダ出身の英国陸軍のブラウンを中心にした物語で,それに後にナチドイツの空軍相となるゲーリンクも絡めての一応史実の沿った展開になっています。当初の貴族的なフェアプレイ精神が庶民出身のブラウンの参入により基地への奇襲とその報復,それにゲーリンクの殺人狂めいた無差別殺戮に変質するエピソードもありますが,フランスの田舎を背景にした複葉機の戦闘は上下感覚が無くなる様に思わせる撮影で一見の価値のある作りになっています。WWII当時のゲーリンクは太めになってとても戦闘機パイロットとは思えない体型たったようです。リヒトホーエンの従兄弟はスペイン戦争などでの指揮官でしたがWWIIの戦争中に病死しています。 [DVD(字幕)] 9点(2007-09-16 00:58:17)(良:1票) |
76. ズール戦争
《ネタバレ》 いわゆるズール戦争については日本では資料が少ないようです。この時期の歴史的な原住民の反乱にはインドのセポイの反乱,米国でのリトル・ビッグ・ホーンの戦闘,義和団の乱とか有名ですが,これらがいずれも侵略者に対する経済的・民族的・宗教的反感に根ざしているのと,この映画の舞台は少し違っているような気がします。この映画にフィクション的な要素があったにしても,映画から受ける印象では原住民の成人儀式との不運な遭遇との感があります。南部アフリカの民俗的知識はありませんが,当時の原住民男性の役務が繁殖と儀式としての狩猟,戦争しかない(日常の労働は女性の役割)とすれば集団結婚式に続いては難敵を克服して戦士としての資格を得ることで,それが一定数の間引きを兼ねて行われる儀式の一環との解釈は無理なこととは思えません。だから白人に比べて高い視力や投擲力を生かしての長スタンドオフ武器(弓矢,長槍,石)など用いず白昼の肉薄戦にこだわることや,定足数の間引きが終われば相手に敬意を表して立ち去るところも理解できるし,あの無責任な牧師は一体何を見ていたのやら。しかし,いずれも実戦経験のない二人の中尉の成長や,多分本国で貧乏故に徴兵された兵士たちの信頼関係など興味深いものがありました。 [DVD(字幕)] 8点(2007-09-13 00:34:25) |
77. サハラ戦車隊
《ネタバレ》 戦後そんなに時間が経っていないころに観ました。タイロンパワー主演の「潜航決戦隊」とかと同列の戦意昂揚ものですが,女性が全く登場しない,いかにも男っぽい映画です。最初からポンコツ戦車を部品を集めて再生して砂漠を乗りきろうと言うかなり無理のある筋書きですが,途中で戦闘機に襲われると死んだ振りして銃撃したり,それでも敵の飛行士を捕虜にして呉越同舟でオアシスを求めての旅とかは面白いのですが,最後に敵軍の大部隊を前にしていかにも水が豊富なような芝居とかから話が飛躍しすぎて漫画的なのは仕方なかったのでしょう。 [映画館(字幕)] 6点(2007-09-07 23:48:46) |
78. トランスフォーマー
夏休みの映画だからと覚悟して観に行ったのですが,これはひどい。玩具とのタイアップでも狙ったみたいなキャラばかりでストーリ性もなく善玉悪玉や生き残る人間まで最初から判ってしまう。子供向けにほとんど流血もなくキャラは子供の玩具そのもので,監督は手術フェチなのかも。ストーリは「インディペンデンズデイ」の焼き直しでそれよりドラマ性もなくガチャガチャうるさいだけ。劇場は見事にガラガラでした。 [映画館(字幕)] 3点(2007-08-31 23:25:02) |
79. 忍ぶ川
《ネタバレ》 芥川賞受賞作と言うことで原作を読んでから何十年も過ぎてしまっていたから時代ははっきり覚えていなかったけれど,昭和30年代初期が舞台なんですね。ヒロインが子供の当時は特飲街の射的屋の娘で,それでも父親の優しさを受け継いでの素直さを奇麗に表現しています。戦災で焼けてしまってからの深川・木場の光景ですが今では全く失われた東京の風景が残っている貴重な映像です。浅草の様子も現在とは全く違ったものとして残されているだけでもこの映画の価値があります。原作者の自伝的小説とのことだったのですが最近の風潮ではこの種の表現はフィクションであっても困難になってきているので内容の古さなど抜きにしても一見に値する(もちろん栗原嬢の胸も合せて)映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-07 17:18:02) |
80. 300 <スリーハンドレッド>
《ネタバレ》 伝説的でもあるスパルタでの男子の鍛え方の掟と言うのが冒頭で説明されていますが,折角ならスパルタ人の起源の伝説(蒔いた竜の歯から生まれた戦士)から始めればよかったのに。それにしても最初のペルシャの特使にしてもクセルクセスにしても随分大きな連中を集めたものです(CGで細工なのか)。裏切り者のために間道が知られた時点で退路を絶たれる前にギリシャ軍は撤退を開始するのだけれど,スパルタは殿軍を引き受けて全滅しそれを称える碑が後に現地に立てられたと言うヘロドトスの「歴史」の中の短い記述だけから自由に膨らませた作品ですから,まあイランとかには不満たっぷりでしょうが作ったほうが勝ちですね。しかし,トロイでもそうですが当時のギリシャには弓矢は卑怯な飛び道具と見る考えが一般的だったようです。まだ鐙(あぶみ)が発明されていないので馬に乗って戦うことが一方的に有利でなかった時代考証は良く出来ています。でも見ていて疲れる映画です。 [映画館(字幕)] 7点(2007-06-13 15:34:14)(良:2票) |