801. サハラに舞う羽根
もの凄く古臭い戦争メロドラマ。原作が古典だからしょうがないのかもしれませんけど、そもそもこの物語を21世紀に映画化した意義が全く見出せません。たぶん製作側としてはメロドラマではなく、「戦争に行かない者は臆病者である」という唯一点に、戦時下の国策映画としての意義を見出したのでしょう。それが証拠に、本作はアメリカとイギリスの合作です。それに、大儀なき戦争に於ける戦う目的に、「隣にいる戦友の為」という常套句を、ここでも性懲りも無く繰り返してる。「角陣」の戦闘シーンなんかそれなりに新鮮でしたけど、話がこれじゃどうしようもありませんヨ、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-06-12 00:08:41)(良:1票) |
802. アトランティスのこころ
少年の成長物語を超常現象とノスタルジーで装飾した、何で今更のスティーブン・キング原作映画。本作単独で見ればそれなりの作品なのかもしれませんが、こうも似た様な映画が出回ってる中に置かれると、もの凄く月並な作品にしか見えないのが最大の欠点。ストーリーだって想像(てか、他の映画で散々見聞きしてること)以上のことは何も起きない。しかも、かなり控えめの演出だから、超能力や政府の秘密機関みたいな設定が全く活きてこない。従って私が一番疑問に思うのは、本作の製作意図。一体何の為に、何がしたくてこの映画を製作したんでしょうか? 4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-06-12 00:08:14) |
803. アニバーサリーの夜に
アラン・カミングとジェニファー・ジェイソン・リーが自虐的アイロニーを込めて、セレブな私生活を描いた群像劇。二人の人徳からか、インディ映画にも関わらず役者だけは豪勢ながら、登場人物達それぞれの背景が類型的な上、そのドラマも非常に中途半端。本来なら登場人物達が一見無意味に絡み合って、しかし徐々に核となるテーマが浮き彫りになってくる筈なのに、最後まで何を描きたかったのかが全く見えてこない。パロディ映画として観ても笑い所は無いと思う。見所は「あの人は今」的なキャスティングと、ジェニファーのリアルなやつれ具合でしょうか。ということで、3点献上。 [DVD(字幕)] 3点(2005-06-12 00:07:48) |
804. マイ・ビューティフル・ジョー
確かに「マイ」は余計。何で原題のまま「ビューティフル・ジョー」で行かなかったんですかね。配給会社は「マイ」を付ければヒットするとでも思ってるんでしょうか? で、「氷の微笑」以降、結構色んな役に挑戦してるシャロン・ストーンですけど、その中でも本作のハッシュは、取っ換え引っ換えするカツラでシャロンの素材の良さを存分に発揮し、疲れたシングル・マザーという如何にもな役柄もあって魅力的。ラストは「んな、アホな」という展開ですけど、ジョーの別れた奥さんの性格、義理の父親の物言い、良い物を着てる冴えない友人等で、それなりに納得させて貰えます、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-06-12 00:07:17) |
805. ザ・ウォッチャー
神経症的なキャラクターはジェームズ・スペイダーの得意とする所ですけど、彼に対するキアヌ・リーブス演ずる犯人のキャラクターが弱すぎる。本来、シリアル・キラーの恐怖は殺人それ自体の恐怖ではなく、犯人が存在することへの恐怖、そしてその動機に対する恐怖の筈。この犯人はなぜ人を殺すのか? それがさっぱりだから、ちっとも恐ろしく感じない(「スペイダーに構って欲しい」ってのは、最初の殺人動機にはなり得ない)。これはキアヌの演技の所為ばかりじゃない。余計な爆発シーン(しかもラストはCGもろバレ)に予算をかける前に、そこを突き詰めて欲しい、3点献上。 [地上波(字幕)] 3点(2005-06-12 00:06:48) |
806. 戦国自衛隊1549
鑑賞中ずっと「どっかで観たことある様な軽い演出だなぁ」と感じてたら、監督は「ゴジラ」シリーズ撮ってた手塚昌明じゃないの。特撮映画というジャンルは同じでも、題材が題材なんだから、もう少しハードに演出できなかったんでしょうか(ま、キャスティングからして相当軽いんですけどね)。これじゃ全く進歩の跡が見られません。オープニングで何が何だか判らない内からタイム・スリップして、いきなり開戦という構成もどうかと思うし、もう少しドラマなりサスペンスなりをしっかり描いて貰わないと、後々説明される人間関係やアイテム(?)なんかもご都合主義的に見えてしまう。SFとかファンタジーという分野は、細部のディティールがきちんと描かれていてこそ、本筋の荒唐無稽さに納得できるというものです。という訳で、4点献上。 [試写会(字幕)] 4点(2005-06-05 00:10:20) |
807. デビルマン
(少し長くなっちゃいました) 「CASSHERN」にも「キューティーハニー」にも果敢に挑戦した命知らずな私も、流石にコイツに手を出すほど無謀じゃない。前述の映画も強力とは言え、まだザーボンやドドリアレベル。本作こそフリーザ、いや、魔人ブウです。良く使われる台詞で表現すれば、「そんなのは勇気じゃない、自殺行為だ!」。ということで、今回は多くの勇猛な戦士達を尻目に、レンタルのプチ自殺に留めてみました。詳細については書き尽くされてる様なので、私的な補足を少々。A級戦犯は鬼籍に入った夫の方ではなく、確実に妻の方ですけど(正常な人間が台詞を書き換えて、声優が当てた吹替版を用意することを提案したい。それだけでも大分マシな印象になると思うゾ)、一番の不幸は東映が版権を保有してたことだと思う。とにかく最近の東映作品は、私の観た限り酷い物ばかり。それもこれも優秀なプロダクションを編成する能力が欠如してるからです。世界広しと言えども、原作版の「デビルマン」をおちゃらけたアイドル映画にしようと考える会社は東映だけ。ここが東映動画時代のコンテンツを、まだまだ沢山保有してるかと思うと空恐ろしくなってきます。いっそ経営危機にでもなって版権を放出してくれた方が、日本の将来を担うコンテンツ産業の為になるでしょう。全然話は変わりますけど、酒井彩名の老人みたいな肢体にもがっかり(こういうのは「スレンダー」とは言わんゾ)。これじゃ出番が一瞬の冨永愛のコスプレ(生身のシーンはローレグの完全ワンピース!)共々、彼女のブルマー姿に萌えることさえ出来やしない。従って、利用価値無しの2点献上。 [DVD(字幕)] 2点(2005-06-05 00:09:47) |
808. 恋愛寫眞 Collage of our Life
凝った映像のミステリアス・ラヴ・ストーリーとして、極普通に物語を進めれば良いものを、巷の女共の広末涼子に対する怨念を一人で背負ったかの様な小池栄子を登場させて、終盤で全てをブチ壊してしまったって感じ。正に破壊的映画? それ以前に、最初から本作には、もっと素っ頓狂な「下妻物語」の1/100程の現実感もありませんでしたけどね。それにしてもヒロスエは良い! 圧倒的な存在感。松田龍平と二人で並ぶと、龍平君がその辺にいる唯の素人にしか見えなくて哀れにさえ思えてくる。今後、ジャン・レノ以外で彼女の相手役を探すのは一苦労ですね、4点献上。 [DVD(字幕)] 4点(2005-06-05 00:09:20) |
809. わたしのグランパ
殺人罪で服役してた祖父と、中学生の孫娘の交流という面白そうなモチーフで興味を引いたんですけど、実態は、観てて恥かしくなる位の少女向けファンタジー映画でした。雰囲気は「セーラー服と機関銃」か、筒井康隆らしく「NHK少年ドラマシリーズ」にかなり近いものがあります。確かに文太兄ィは渋くてカッコ良いんですけど、浮世離れした感じの演技は、最初から主人公の下に舞い降りた天使の役回り。クライマックスの誘拐・救出シーンも、石原さとみちゃんの空中浮遊シーン同様、もの凄~く緩~い仕上がり。これは健全な少年少女以外にはお薦めできませんね、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-06-05 00:08:53) |
810. 六月の蛇
貞淑な若妻、歳の離れた夫、ストーカー、脅迫、羞恥プレイ、肉体に服従する精神、性の開放による生の輝き…。これ、話だけだと何の捻りも無い人妻モノの三文ポルノです。「チャタレイ夫人の恋人」を引き合いに出すまでもなく、官能小説、アダルト・ビデオ、エロマンガ等と、あらゆる下半身媒体で使い古されてるモチーフばかり。SMクラブ風観念シーンや「蛇」にしても、ハード・ボンデージや触手モノからのイメージの流用に過ぎない。従って、性産業にどっぷりと浸かってる国で暮らす私には(浸かってるのはお前だけだってか?)、本作の描写に新味はありませんでした、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-06-05 00:08:22) |
811. ISOLA 多重人格少女
超能力SFからサイコ・スリラーへ、そこから更に悪霊憑依ホラーへと物語が破綻していくトンデモ映画。阪神・淡路大震災という実際の災害を物語の背景に使いながら、とてもマトモな人間が作ったとは思えない程、リアリティを無視した話になってます。大体、この多重人格娘(角川らしい美少女発掘ですけど、黒澤明の孫娘だったとは驚きです。顔は昔の川原亜矢子っぽい)、素人目にも重度で危険に見えるのに、何で最初から入院してないの? 取り憑く女の怨念が何だったのかもさっぱり判らない。それにしても木村佳乃、ここ数年で思い切り老け込んだんだなぁ…(悲)、2点献上。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2005-06-05 00:07:57) |
812. 秘密(1999)
つまらなくはなかったですけど、私も中途半端な印象を受けました。原作では、この話の重点は何処に置かれてたんでしょう? 夫の心情なのか、妻の心情なのか。一種の幽霊譚なのか、夫婦愛の物語なのか。「フォーチュン・クッキー」の様なコメディなのか、危ない雰囲気の禁断の愛なのか…。どっちにしろ人間は中身ではなく、それを覆う外見の制約に則って生きていかねばならないという切なさは伝わってきました。それにしても広末涼子は良い! 「口でしてあげようか?」等の台詞にドキドキしちゃったことは秘密にしておきます…、って、ここに書いてどーする? 6点献上。 [DVD(字幕)] 6点(2005-06-05 00:07:35) |
813. 双生児
暗黒舞踏の雰囲気をヒシヒシと感じはしましたが、江戸川乱歩の世界観と塚本晋也のイメージが見事に融合して、それが嫌味にならず、パワフルで独特な作品に昇華してたと思います(たぶん乱歩の方が塚本監督を受け止めたんだと思う)。何とも形容し難いBGM(効果音?)も雰囲気を盛り上げてました。役者も良かった。いつもの無機的な演技に加えて、キレたモックンも中々だったし、そして何よりりょうが良い。この役は彼女以外に考えられない。眉毛の無い顔がこれだけ似合う女優は他にいないでしょう(ま、眉毛があっても怖い顔ではありますが…)。そういうことで、7点献上。 [地上波(字幕)] 7点(2005-06-05 00:06:52)(良:1票) |
814. 鉄道員(ぽっぽや)(1999)
世界の高倉健には誠に申し訳ありませんが、この映画では健さんはミス・キャストだったと思う(今回は広末涼子も、オーラが有り過ぎて田舎の素朴な娘には見えない)。青年期を演じるには歳を取り過ぎですよ。頻繁に回想シーンに切り替わる構成なので、健さんだけ見ると、過去なのか現在なのか直ぐには判別がつきません。ま、この脚本構成自体が非常に下手くそだったので、唯でさえ回想シーンの見分けはつきにくかったんですけどね。どうしても健さんで行きたいんなら、青年期は「セカチュー」みたいに顔の似た若い役者を使うべきでした。折角の大規模ロケや豪雪映像も活かされず、浅田次郎ならではの終盤の泣かせシーンも、演出が弱くて泣けません。絶対にもっと良い映画に出来た筈なのに残念です、5点献上。 [DVD(字幕)] 5点(2005-06-05 00:06:24) |
815. なぞの転校生
30年程前に「NHK少年ドラマシリーズ」の一編としても人気を博した眉村卓のジュブナイルSFの映画化ですけど、主人公を少女に変更したこと以外、30年分の進歩は全く見られない仕上がり。平行宇宙を行ったり来たりする展開は、平行宇宙論に則っていない「バタフライ・エフェクト」にも似た雰囲気ですが、それぞれの世界の描き込みが足りず安っぽいだけ。これでは中学生すら満足させられないと思うので、「少年ドラマ」と言っても、小学生に丁度良いレベルです。佐藤康恵(当時19歳)は初めて見ましたが、ミステリアスな雰囲気を醸し出す独特なルックスが印象的でした。あと、本作はたぶん妻夫木聡君のデヴュー作だと思うので、ファンの方には17歳当時の初々しい姿もお宝になるんじゃないでしょうか。でも、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2005-06-05 00:05:56) |
816. ミリオンダラー・ベイビー
《ネタバレ》 今回のアカデミー賞では、確かに他のノミネート作を圧倒する映画的完成度なのは間違いないし、万人にとって判り易い「名演技」を披露したジェイミー・フォックスがいなければ、主演男優賞も本作が獲得していたことでしょう(個人的には音楽賞もあげたい)。私は本作を「逃げ場所を失った人達」のドラマと見ました。マギーが何故フランキーの元に押しかけて来たのかは判りませんが、とにかくフランキーが彼女の最後の逃げ場所となった。失い続けの人生を送ってきたフランキーにとっても、彼女が最後の逃げ場所となる。二人とも逃げ続けて、行き着いた場所がお互いだったのです。しかし運命は、彼らからそれさえも奪い取ってしまう。地上に逃げ場所を失った彼らの向かう所は一つしかない。…それにしても、暗い話だ。こんな暗い話では、私はとても感動できません。たまには、他人を不幸にしてでも生にしがみつく様な人達のドラマが観たいです、7点献上。 [映画館(字幕)] 7点(2005-06-02 00:09:54)(良:1票) |
817. ブレイド3
隠れ「闇の番長」(byテレビ東京)ファンの私が大らかな気持ちで観ても、今回の出来には不満が残りました。前二作には無かったオープニングのカー・アクションは楽しめましたけど、満を持して登場したドラキュラも全く「らしく」ないし、人間が絡んできたのも話を更につまらなくした一因。それにも増して本作最大の失敗は、ブレイド自身の存在感が希薄になってしまったこと。このシリーズはお話なんて二の次で、ひたすらブレイドのカッコ良さを追求してた筈。決めポーズや、1カットで見せる超絶技等を除いてしまったら、後には何にも残らないのは自明の理。孤独に、しかし過剰にカッコつけて戦ってこその闇の番長。タイトル・バックだけがカッコ良くても意味がありません。これは明らかにセンスの無い監督の責任です、4点献上。 [映画館(字幕)] 4点(2005-06-02 00:09:24) |
818. ショーン・オブ・ザ・デッド
皆さんの仰る通り「ドーン・オブ・ザ・デッド」よりも遥かに「ゾンビ」らしい作りで、きちんとスプラッタ・シーンも押えられてる。アメリカみたいに一般人が銃を撃ちまくる様な展開じゃないのも良いし、クィーンの使い方に至っては「ハイランダー」以上(日本では若い人よりも一定の年齢以上の人にウケる筈)。不況が圧し掛かる寂れた郊外の暮らしと、「避難場所がパブしかない」という皮肉(作ってるのがオタク・コンビだからか、唯一足りないのは「サッカーネタ」)。そこで描かれるのはダメ人間の恋と友情。ということで、中々良く出来た楽しい映画だとは思いますが、今流行の言葉で言えば、オチも含めてエピソードが全て「想定の範囲内」だったのが惜しいですね。個人的にはもう一つ突き抜けた何かが欲しかったと思います、6点献上。 [DVD(字幕)] 6点(2005-06-02 00:08:55) |
819. ドーン・オブ・ザ・デッド
一気に本筋へと入る勿体振らない展開と、車に固定したカメラで、これまた一気に世界観を提示する巻頭の演出は素晴らしい。しかし全体的には面白くなかったんだよなぁ…。ゾンビがもの凄く元気良いから、この映画はホラーじゃなくて完全にアクション映画になっちゃってる。私はゾンビが走ろうが這おうが気にしませんが、これじゃ画的には暴徒化した狂人か中国人って感じ。「消費社会批判」だとか「生への執着」っていうのは味付けであって、オリジナルのテーマはあくまでも「スプラッタ」であり、「恐怖」ってことじゃなかったのかなぁ…。ところで、【おはようジングル】さんのレヴューを読んで目から鱗が落ちました。何故ゾンビはヨタヨタ歩くのか、それは死後硬直の所為だったんですねぇ。これでぐっすり眠れます、5点献上。 [DVD(字幕)] 5点(2005-06-02 00:08:21) |
820. アンデッド
たま~に、何処からともなくこーゆー映画って現れるんですよね(前回は「ザ・コンヴェント」辺りかな?)。前半はお約束通りって感じですけど、雰囲気的には一連のゾンビ映画より「トレマーズ」に近い(後半から本格SFに転換する辺りが21世紀流なのかな?)。スプラッタ・シーンも満足できるくらい用意してあるし、終盤には大規模スペクタクル・シーンもある。この映画で一番凄いのは全体のクォリティの高さ。この手の映画に付き物だった安っぽさが全然無い(家のパソコンでここまでのVFXが出来る時代なんですね)。少なくとも「バイオハザードⅡ/アポカリプス」なんかよりは、遥かにレベルの高いゾンビ映画です。唯、町を紹介するオープニングのシーンは音楽共々、絶対「ジョーズ」のパクリだと思う。そういうことで、6点献上。 [DVD(字幕)] 6点(2005-06-02 00:07:54) |