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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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821.  キング・アーサー(2017)
アーサー王をテーマにした作品はいくつか見ているのですが、いきなり巨大な象が登場するロード・オブ・ザ・リングのような本作の冒頭ではかなり意表を突かれました。その後も仰々しいモブシーンやエクスカリバーを振るうシーンなどオリジナリティに溢れた見せ場が多く、丁寧に作られた娯楽作品であることはよく伝わってきたのですが、他方でガイ・リッチーの余計な演出がダイレクトな興奮を阻害しているという問題もありました。 例えば、見せ場に入る前にはアーサーの立てた作戦や、舞台の位置関係などが説明されることが多いのですが、ここで一度話の流れが止まってしまいます。出来のいいアクション映画は流れの中で説明的な描写を自然に入れてくるのですが、ガイ・リッチーにはそれができないのか、説明のための描写をわざわざ入れてくるのです。しかも結果を見せてから原因部分に遡ったり、早送りとかスローモーションを組み合わせたりといかにもガイ・リッチーらしい見せ方をするのですが、これが大仰な史劇に全然馴染んでいません。アクション以外の部分がとにかく余計なのです。 最後まで見ると、どうやら本作は序章に過ぎず、ここから有名なアーサー王伝説が始まるということがわかるのですが、この出来では続編の制作は厳しいのではないでしょうか。
[インターネット(吹替)] 5点(2018-04-08 11:56:55)
822.  Mr.タスク 《ネタバレ》 
ケヴィン・スミスが運営するポッドキャストのリスナーから「セイウチスーツを着てセイウチの声を出して欲しい。また、餌付けさせて欲しい」との奇妙な広告を見たという報告があり、番組内でひとしきり盛り上がった後に「この広告主には一体どんな背景があるのか」という点を煮詰めて作ったのが本作らしいのですが、内輪のノリで作られた感全開の作風だったので、部外者にはちょっと厳しめの内容でした。  主人公がポッドキャストの運営者であるという点がすでにスミスの自己批評となっており、サブカルで成功した元オタクという設定は、まさにスミス本人の投影。おかしな事件を笑いものにしてきた自分とリスナーの姿勢を俯瞰した二重構造の物語になっているのですが、部外者にこの遊びは当然伝わってきません。 また、本作がさらにまずいのはアメリカとカナダの悪口合戦が映画のひとつの柱になっているという点であり、冷めたカナダ人と能天気なアメリカ人の両方を茶化した点が笑いどころになっているようなのですが、日本人にはこれがまったくピンときません。ポッドキャストの件も含めて、自分はこの映画の想定する観客じゃないんだよなぁという居心地の悪さを感じながらの鑑賞となりました。 上記の点に比重が置かれた作品なので、肝心のセイウチ人間の解釈は結構いい加減なものでした。人の不幸を笑いものにしてきた主人公が因果応報的に被害者側に回った話かと思いきや、中盤にてこの老人は毎年セイウチ人間を作成してセイウチバトルを繰り広げてきたことが判明し、この主人公もたまたま捕まっただけの不運な被害者の一人にすぎないようなのです。また、セイウチとして生きることにしたクライマックスにはもの悲しい雰囲気こそ演出されているものの、そこにドラマ性のある解釈を見出すことはできず、深いことを語っているようでいて実は何にもない作品であるという点でもガッカリ感を増しています。  とはいえ、ケヴィン・スミスは実力のある監督なので、部分的には成功している点もあります。主人公のポッドキャストでのおしゃべり、恋人とのベッドでのやりとり、老人の回想などかなり長めの会話が多く見られるのですが、これがなかなか面白くて聞かせてくれます。ジョニー・デップが演じた役柄にはまずタランティーノがオファーされていたようなのですが、確かにタランティーノ作品を意識した会話劇となっており、かつ会話劇として成功しています。 また、同監督の『レッドステイト』(こちらは傑作!)でも味のあるキ○ガイ役をやっていたマイケル・パークスが、それをも上回るキ○ガイ演技を披露してくれるので目が離せません。おそらくは『ムカデ人間』のディーター・ラーザーが念頭に置かれた役柄なのですが、ラーザーとはまた違った狂気を見せてくれます。
[インターネット(吹替)] 5点(2018-02-23 19:56:35)
823.  ナイロビの蜂 《ネタバレ》 
本作への評価って、妻・テッサの行動を肯定的に見られるかどうかがポイントではないかと思います。レイチェル・ワイズのオスカー受賞から察するに欧米では彼女を英雄視する向きが強いのだろうと推測するのですが、日本人的な感覚で言うと、彼女の行動はちょっと受け入れ難く感じました。 外交官である旦那・ジャスティンの職業的な立場や評判を気にせず、市民運動家的な活動にのめり込むテッサ。この時点で私はダメでした。目の前の社会問題を許せず、自分が何とかしなければと意気込む動機こそ理解可能ではあるものの、活動に走る彼女の目にはジャスティンの姿がまるで映っていないのです。原題が示す通り庭いじりくらいにしか積極的な姿勢を見せない温厚・朗らかな旦那が、これではあまりにも可哀想すぎます。 この手の市民運動家的な活動には、のめり込み過ぎると当事者から正常な判断能力を奪ってしまうという問題があります。死産をきっかけとして現実逃避するかのように活動にのめり込んでいったテッサからは、どこまで手を出していいのかという判断能力が失われ、自分とその協力者の惨殺という最悪の結果を招きました。そして、自分の身を守るという観点が欠落した運動は、家族までを巻き添えにします。私はこれを英雄的な行動として受け取ることができませんでした。 全体的な物語の整理もよくできていなくて、目だけで演技ができるレイフ・ファインズに無口なジャスティンの感情表現をまかせっきりにしているために、盛り上がりどころをことごとく逃しています。特にラストでの行動については、陰謀の存在を世界に対して証明するために自身の殺害というセンセーショナルなイベントをあえて仕込んだという構図が分かりづらく、死をもって妻の仕事を完成させようとした彼の壮絶な自己犠牲の精神や、死地へ赴く際の決断の重さがまるで伝わってきませんでした。ある目的を達成するためにはそうせざるをえないという背景が事前に描かれてこそ自己犠牲の物語は盛り上がるのですが、これでは他にも方法があったのに無策にも死へ飛び込んでいった人に見えてしまっています。 そもそも、ちょっと調べるだけで次々と出てくる悪だくみの痕跡や、問い詰めればアッサリと内幕を話してくれる敵方の関係者など、全体として捜査の過程が緩すぎたことも、ラストの決断を軽くしているように感じました。一流の俳優・一流の撮影に支えられているため見てくれだけはいいものの、どうにも中身の伴っていない作品であると感じました。
[インターネット(吹替)] 5点(2018-02-20 19:07:57)(良:1票)
824.  クローバーフィールド・パラドックス 《ネタバレ》 
2018/2/4(日本時間では2/5)に突如「今日からNetflixで配信します」というアナウンスがなされて全世界を驚嘆させた、まさかまさかのクローバーフィールドシリーズ第三弾。こういうお祭りは旬が大事ってことで、配信初日に月曜から夜更かしして早速鑑賞しました。日米の時差が切なかったです。 どうやらクローバーフィールドの続編を作っているらしいという情報は漏れ聞こえていたものの、まさか劇場ではなくNetflixで、しかも宣伝もなしにいきなり配信開始という戦略の奇抜性には驚かされました。それと同時に、このような実験的な試みにゴーサインを出せるほどゆとりあるNetflixの組織体制も驚きであり(もし余裕がなければ「大金かけて仕入れた目玉コンテンツなんだからちゃんと宣伝して新規顧客獲得に繋げろ」という意見が社内の結論になったはず)、やはり時代は動画配信なんだなと痛感させられました。 で、内容ですが、モンスターパニックの『1』とも密室スリラーの『2』とも違う、宇宙を舞台にしたド直球のホラー映画であり、『クローバーフィールド』というシリーズは最終的に破壊者を出しさえすれば、あとは何をやってもいい箱になっているようです。実際、本作には第一作と繋がる点がほとんどなく、それどころか第一作の時点ではその雰囲気すらなかった地球規模のエネルギー危機や、ドイツ・ロシアが開戦寸前の国際情勢といった背景が突然登場するわ、第一作はガラケー時代のはずだったのに本作では普通にスマホが出てくるわと、誰もシリーズ内の整合性を気にせずに作ったか、そもそもクローバーフィールドとは無関係な映画だったが、地球パートを付け足して無理矢理クローバーユニバースに引き込んだのかという状態になっています。「10年前、"それ"が地球にやってきた。その理由が今日、明らかになる」というNetflixの宣伝に過度な期待はなさらぬように。 SFホラーとしてはそれなりの出来だったと思います。J・J・エイブラムス、マット・リーヴス、ドリュー・ゴダードといったうまい人達が大勢関与しているだけあって、独創性あるショックシーンの数々や、それを見せるタイミングの良さなど、実に良い仕事が連続しているのですが、その一方で瀕死の状態で登場したエマニュエル・デビッキの回復が異常に早かったり(特殊メイク代をケチった?)、地球全体を危機に陥れたことに対してクルー達がさほどの反応を示さなかったりと、おかしな部分もいろいろ目につきました。あと、この手のホラーはどうやっても1997年の『イベント・ホライゾン』に似てしまうようで、全体の雰囲気がありがちなSFホラーになっています。ポール・W・S・アンダーソンって実は優秀だったんだなと、妙なところで感心してしまいました。 また、ドラマとしても不完全。主人公の個人的なドラマと宇宙規模のスペクタクルの融合を目指してはいるものの、主人公の背景が中盤で突然語られることの違和感であったり、「そっちの選択をしたら、誰も幸福にはならんだろ」という方向に走ろうとする主人公に感情移入できなかったりで、『ゼロ・グラビティ』や『インターステラ―』といった成功例にはまったく及んでいませんでした。 これらの落ち度も動画配信なら許容できる範囲内ですが、もしこれを劇場で、しかも『クローバーフィールド』の続編という期待値の下で見れば、おそらくガッカリしたと思います。本作の配給権を手放したパラマウントの判断も、サプライズ的に配信を発表したNetflixの判断も、作品を見てみれば腑に落ちました。
[インターネット(吹替)] 5点(2018-02-11 07:49:35)(良:1票)
825.  グリーンルーム 《ネタバレ》 
前作『ブルーリベンジ』の批評面での大成功により、売れない映像作家から気鋭の若手監督に超絶ランクアップしたジェレミー・ソルニエの現時点での最新作。そのランクアップの成果はキャスト面に如実に現れており、アントン・イェルチンvsパトリック・スチュワートという新旧スタートレック対決をしれっと実現しています。実際に二人が直接顔を合わせる場面は少ないのですが、ちゃんと対決しているように見える辺りに、この監督の演出力の高さが垣間見えます。 あらすじだけを聞くとヒャッハーなネオナチがバンドメンバーたちをなぶり殺しにするような激しい内容を連想させられるのですが、実際には加害者側も被害者側も極めて冷静に行動をしています。これは感情を伴わない復讐劇だった『ブルーリベンジ』と共通する傾向であり、高い計算の上にえげつないバイオレンスを成り立たせるという微妙な匙加減こそが、この監督の作風であるようです。 もげかけの手首やカッターナイフで切り裂かれた腹部など、一連のゴア描写は見る者が痛みを疑似体験できるレベルに絶妙にチューニングされていてセンス良いなと思う一方で、籠城劇としてはあまり洗練されておらず、初期段階で主人公側が入手した銃をアッサリ手放してしまうなど、首を傾げるような展開があった点が残念でした。また、ネオナチ側の人数が無駄に多くて彼らの組織構造が分かりづらかったり、籠城者側に居た金髪パッツンの娘の立ち位置の説明がなかったりと、余計な疑問を抱かせる構図としたためにスリラーとしての没入感にも欠けていました。 あと、反ナチの歌を演奏したバンドメンバーがネオナチの怒りを買う話かと勝手に期待していたので、偶然殺人現場を目撃したという、もはやバンドやネオナチを主人公にする必要のないお話だったという点でも落胆させられました。監督の演出は相変わらず良いんだけど、ちょっとボタンの掛け違いが残念だったという、そんな映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2018-01-27 02:31:12)
826.  闇金ウシジマくん ザ・ファイナル 《ネタバレ》 
債務者中心エピソードとウシジマ中心エピソードを交互に出してくる実写化シリーズですが、本作はウシジマ中心エピソードでした。度を越した貧困ビジネスやヤクザ者同士の抗争といったテーマはもはや一般人とは無縁の世界であり、『闇金ウシジマ君』というコンテンツそのものの魅力とは一線を画す内容で、多少のガッカリ感がありました。 また、本作はウシジマのルーツを描くという触れ込みであり、確かに中学時代のウシジマのエピソードは描かれるのですが、中学生の時点で現在に繋がるウシジマの人格はすでに完成した状態にあり、結局、ウシジマを作り上げたものとは何だったのかが分からないという点でもガッカリでした。両親との別離や転校など、要所要所にウシジマ少年の人格に影響を与えたと思われるキーワードは登場するものの、それらは回想の時点ですでに過去の話であり、具体的に描かれることはありませんでした。 今回の敵となる鰐戸三兄弟のキャラ造形も雑。策士タイプの長男と狂犬タイプの三男に挟まれた二男がほぼ存在意義を失っているし、完全にキレた人間として描かれる三男はともかく、頭が良く大局的な視点を持っている長男までもがウシジマに対して中学時代からのパラノイア的な逆恨みを引きずっているという点も、設定間で内部矛盾を起こしているように感じました。 また、これは6年間続いた長期シリーズならではの問題なのですが、キャラクター達の設定年齢と演じる役者の実年齢に乖離が生じており、一部に違和感がありました。テレビシリーズ第一弾から見ており、例えば劇中頻繁に登場する携帯電話がシリーズの進行とともに新しくなっている様からも、現実の時間経過と同じだけ登場人物達は歳をとっているものと思い込んできた私としては、ウシジマや江崎が依然として24歳であり(本作公開時点で山田孝之は33歳、やべきょうすけは43歳)、しかも高橋メアリージュン(本作公開時点で29歳)演じる犀原茜と同世代という点は、さすがに無理ありすぎでした。そこは設定年齢を山田の実年齢に合わせ、実写版オリジナルキャラである犀原は彼らよりも下の年代であるということにしてもよかったと思います。  上記の通り不満点を書いてきましたが、良かった点もあります。力なき善意で他人を救おうとする竹本と、お金という必要な手段は与えるが、部外者である自分が関与するのは元本と利息が返済されるかどうかのみであり、そこから這い上がるか落ちぶれていくかは当人次第との姿勢を貫くウシジマ。この対比が面白いのです。 困っている人を無償で助けてやれば確かに当人は喜ぶだろうが、対症療法的な解決には問題の本質を覆い隠すという副作用があり、その人はまた同じことで躓く。転んだ都度助ければそのうち依存体質が身に付き、自力で立ち上がれない人間になってしまう。しかし救済者側の体力にも限界があって無限に人助けなどできないのだから、いつか共倒れになる日がやってくる。竹本の善意や自己犠牲の精神は本物ではあるものの、「救済者側の体力」と「救われる側の自立」がまるで考慮されていないため、本当の意味で人を救える力にはなりえていません。 他方、ウシジマは徹底的にドライ。貸した金さえ返ってくれば正しい使い道かどうかは関係なく、どんな債務者にも公平に接するのですが、同情すべき背景のある債務者ほどウシジマを非情であると非難します。彼らの主張を要約すると「自分を特別扱いしろ」なのですが、ウシジマも非営利ではやっていない以上、どこかで債権を回収しなければならないし、同情すべき背景のある債務者を免責して取りっぱぐれた分は自業自得の債務者の利息に上乗せするなんてことになれば、問題は余計にややこしくなります。債務者は公平に扱い、その私情には一切立ち入らない。それこそが闇金家業を営むウシジマなりの倫理観なのです。 竹本とウシジマは対立した後、力なき竹本が倒れて終わりとなります。ここでウシジマは親友である竹本にも一切の手加減なく死亡するまでの肉体労働を課すのですが、これもまた他の債務者との公平性を図るウシジマならではの倫理観だったと言えます。ただし、車を一瞬止めさせ、竹本を特別扱いして連れ帰るかどうかの葛藤を垣間見せる辺りの演出がうまく、ここで竹本の主張がウシジマにも届いていたことが分かるため、見ている私の心も揺さぶられました。
[インターネット(邦画)] 5点(2018-01-16 23:20:47)(良:2票)
827.  怒り 《ネタバレ》 
日本を代表する俳優陣がズラっと顔を揃えた作品だけあって、演技面では本当に充実した作品でした。渡辺謙は抜群の安定感だし、謎の人物に翻弄される宮崎あおいや妻夫木聡も従来とはかなり異なる役回りながらも、これを見事に演じています。そして私が何より素晴らしいと感じたのが謎の男を演じた松山ケンイチと綾野剛であり、多くを語らないながらも観客から受け入れられるだけの魅力を持たねばならないという、かなり匙加減の難しい役を見事モノにしています。 他方で問題に感じたのが突飛な展開が多いことで、前述の通りの見事な俳優陣に支えられているおかげでそれほど目立ってはいませんが、よくよく考えてみればトンデモ映画の域に達しています。突如現れる難病設定で死ぬ綾野剛とか、それまで気の良い兄ちゃんだった森山未來の本性がほぼ別人でそれまでのドラマの流れと完全に断絶していたりとか。 特に沖縄パートは杜撰だったと思います。主人公・知念の父親が反基地運動に参加した序盤からイヤな予感はしていたのですが、本筋にもバッチリ基地問題を絡めてくるものだから、視点が散漫になっています。善悪で割り切れない複雑な問題である沖縄の基地問題を記号のように扱うことの違和感。また前述の通り森山未來の豹変ぶりもおかしいのですが、正体に気付いた知念の前だけでその異常性を見せるのならまだしも、泊まり込みのバイト先で深夜に厨房を破壊するという、警察に通報されてもおかしくない行為を突然始めることの違和感。長期間に渡って潜伏生活を送ってきた知能犯が、こんなバカなことをするものでしょうか。 また、犯人の動機もわけわからんものでした。同情されたことで自尊心が傷付いて人を殺すってどういうことなんでしょうか。脚色を担当した李監督自身もその動機をうまく消化できていないのか、森山未來演じる田中が抱えているはずのそうした歪んだ自尊心を全然表現できておらず、突如現れた彼の元同僚に口頭で説明させるという、何とも荒っぽい処理で終わらせています。そういえば、あの元同僚の存在もよく分かりませんでしたね。あれだけ詳細に殺人事件の内容を聞かされていて、なぜ今の今まで警察に通報もせず黙っていたのか。さらには、それだけ秘密にしてきた話を、なぜ今になって頼まれてもいないのにベラベラと話し始めたのか。彼の存在も本筋からはかなり浮いていました。
[インターネット(邦画)] 5点(2018-01-08 01:44:29)(良:1票)
828.  パトリオット・デイ 《ネタバレ》 
爆破の瞬間やその後の惨状、犯人逮捕の際の銃撃戦などスポットでは目を引くような見せ場があった一方で、全体としては緊張感を維持できていなかったように思います。 その理由としては、群像劇として作られているものの、本筋とほぼ関係ないような人物の日常にまで触れてしまったことから、ドラマが散漫になっているという点が挙げられます。犯人に射殺されるMITの警備警官やカージャックに遭う中国人青年などは被害者A・被害者Bくらいに済ませても問題なかったし、犯人との銃撃戦を演じるウォータータウン署のドラマも不要だったと思います。そもそも、実在しないトミー・サンダースなる人物を作り上げて主人公にしたのは複数の警官をひとつにまとめるための方策だったのだから、そのトミー以外の警官のドラマを挿入することは重複でしかないと思うのですが。 一方で描写が足りていないのが犯人側であり、動機などがまるで整理されていません。兄と弟で足並みが揃っていない様からも、観客は二人の間のコミュニケーションへの関心をかなり掻き立てられるのですが、これに対するアンサーがないのだから余計なストレスになっています。さらには、兄・タメルランの妻・キャサリンなどは、白人であるにも関わらず全身イスラムの装束を身にまとい、捜査当局からの取調べにもたった一人で抵抗するほどの気骨を見せており、この人で映画一本撮った方がよほど面白いのではないかと思ったのですが、彼女への深彫りもなし。こんなことならば犯人側の描写をバッサリと切り捨て、捜査線上に上がってくるまでは観客に対しても謎の人物・団体としておく方が良かったのではないでしょうか。 また、全体として感傷的すぎるという点も、かえってドラマのテンションを下げる方向に作用しています。卑劣なテロリストに勇気を持って立ち向かうボストンという主張が本編中何度も何度もなされるものだから、正直途中から「はいはい、ボストンは素晴らしい街だね。アメリカは素晴らしい国だね」と投げやりな感情が芽生えてしまいました。頭から尻尾の先まで被害者感情で満たされていることから第三者の感情移入を受け付けづらい映画となっていますが、もっと客観的な姿勢に寄っていればより多くの観客を取り込める作品になっただろうと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2018-01-05 20:17:34)(良:1票)
829.  スパイ・レジェンド 《ネタバレ》 
ロジャー・ドナルドソンは『スピーシーズ』や『ハングリー・ラビット』のようなどうしようもない映画を撮る一方で、たまに『追いつめられて』や『バンクジョブ』のような異常な切れ味の娯楽作を作ってしまう人物であり、有能なんだか無能なんだかよく分からない監督なので、とりあえずこの人の作品は自分の目で確かめるしかないなと思っているのですが、今回のドナルドソンはハズレの方のドナルドソンでした。 元はダニエル・クレイグ主演の予定がキャンセルされ、ドナルドソンが『ダンテズ・ピーク』で仕事をしたことがあり、かつ、クレイグの”前任者”であるブロスナンに白羽の矢が立てられたというプロダクションの経緯があるのですが、これがそもそもブロスナンのために準備されていた映画ではないかと思うほどよくハマっており、ブロスナンはとにかく最高でした。主人公は格闘でも銃撃でも無双状態の強さを誇り、情報収集能力にも長けて、美女からも惚れられる。こんな浮世離れしたスパイをこの時代に演じられる俳優はブロスナンくらいのものであり、常に必死さが付きまとうクレイグでは、こうはいかなかったと思います。 ただし、二転三転する物語の割には、大半の観客が最初に怪しいと感じた人物がやはり悪の元締めだったという展開に意外性がなかったり、これまた大半の観客が「何かあるな」と思っていたヒロインにやはり過去がありましたという展開にも面白みがなく、謎の隠し方が総じてうまくありません。さらには、ブロスナンの個性があまりに強すぎて、彼と張り合うこととなる元教え子(本来の主人公は彼なのでは?)や、ロシア側の女殺し屋の個性がほぼ埋没しており、これならばブロスナンの活躍を見せることに専念して物語を極力シンプルにした方が良かったのではないかと思います。
[インターネット(吹替)] 5点(2017-11-15 23:58:30)
830.  福福荘の福ちゃん
おっさん役に森三中・大島美幸をキャスティングした監督のセンスと、ほぼ違和感なくおっさんに見えた大島美幸のなりきり加減には恐れ入ったものの、全体としてはイマイチだと感じました。 これは相性の問題なのでしょうが、笑わせることを意図している場面で悉く笑えず、私にとっては奇抜なキャスティングという一発ネタしか心に残りませんでした。
[インターネット(邦画)] 5点(2017-10-31 18:37:39)
831.  ブレイクアウト(2011) 《ネタバレ》 
もし20年前に公開していれば全米一位を獲っているような元・豪華メンバーによるB級映画ですが、借金問題であらゆる映画に出まくっているニコラス・ケイジはともかく、ニコール・キッドマンまでがミレニアムフィルムズの映画に出るようになった点にはかなり驚かされました。 二転三転どころか五転も六転もする展開はそこそこ楽しく、さらには上映時間が短かったこともあって、見たことを後悔させられるレベルの作品ではありませんでした。ただし、感情移入可能なキャラクターがいないためにスリルが半減したり、小さなどんでん返しが多すぎて「今言ってることも、どうせ後でひっくり返されちゃうんでしょ」という目ですべてを疑うようになって、かえって観客にサプライズが届きづらくなっていたりと、小手先だけで作られた映画だなぁと感じました。 「ケイジは事業に失敗して破産寸前だった→実際には多額のヘソクリを隠していた→ヘソクリと一緒に犯人を燃やすケイジ」という、結局主人公にとって金とは一体何だったのかがよく分からなかったり、序盤では「10分以上現場にいると警察に捕まるリスクが高まる」と言って分刻みの行動をとっていたのに、いつの間にかダラダラと居座るようになった犯人グループだったりと、登場人物達の性格が安定しない点はどうかと思いました。犯人グループの一人であるストリッパーに至っては、現場にあった高いドレスを着て上機嫌になり、プロジェクターでホームビデオを流しながらハッパを吸うという異常なくつろぎ方をしており、この人は一体何をしに来たのだろうかと脱力させられました。
[インターネット(吹替)] 5点(2017-10-05 22:10:15)
832.  エイリアン:コヴェナント 《ネタバレ》 
プリクェルではないという微妙な立ち位置で多くの観客に混乱を与えた『プロメテウス』から一転し、本作では『エイリアン』の看板が戻り、全体としては原点回帰の作風となっています。怪しげな星に立ち寄った宇宙船がどえらい目に遭わされるという物語であり、血もドバドバ出ます。これぞエイリアンです。ただし、バカな人間がバカなことをしでかしたために余計に事態が悪化するという、この手の映画でやって欲しくない展開が非常に多くて登場人物に感情移入できなかったことが、観客の恐怖心を和らげるという悪い影響をもたらしていますが。 コヴェナント号が航路を外れてまで舞台となる星にやってくるという基本的な部分から、説明がうまくいっていません。「我々の生存に必要な要素が揃っている。当初の目標である植民星オリガエではなく、こちらの星に移住しよう」という突拍子もない意思決定が実にアッサリとなされるのですが、こんな重要事項に関する判断があまりに軽すぎやしないかと驚きました。一応、この意思決定を下した艦長代理には「信仰心が厚すぎる余り、合理的な判断をできない可能性のある人」という人事評価があり、そのために艦長への昇進を見送られてきたという設定もあるにはあったのですが、ならばなぜ他のクルー達は艦長代理に反対の声を上げないのかと思いました。会社命令で行かざるをえなかったノストロモ号のクルー達と比較すると、事の発端部分に自業自得の要素があるため、コヴェナント号のクルー達には感情移入できませんでした。 惑星に降り立った後も、生命に必要な水と空気があり、植物も生い茂っている環境であれば未知の病原体等のリスクを考えなければならないのに、防護服なしで普通に探検を始めるものだから、この人達はバカなのかと思ってしまいました。いよいよバックバスターに襲われる場面では血で足を滑らせて転倒、一心不乱に撃った弾丸が可燃物を直撃して着陸艇大爆発と、こちらも愚かなキャラクターが事態を悪化させるという形で物語が進んでいくため、怖いというよりも呆れてしまいました。 そして、『プロメテウス』で活躍したデヴィッド登場により、場はさらに混乱します。隠れ家としてデヴィッドに案内されたのは未知の巨人の死体がゴロゴロ転がる、見るからに怪しい場所であるにも関わらず、「ここは安全だ」というデヴィッドの言い分を全面的に鵜呑みにするクルーのみなさん。また、一か所に固まって救援を待てばいいものを、単独行動でどんどん戦力を消耗していくものだからイライラさせられました。彼らの持つ銃火器はエイリアンに対して効果を持つようだったし、用心深く対処していれば全員で生き残ることも可能だったと思うのですが。 一応、エイリアンの起源も説明されます。前作でエンジニアが作り出したものをデヴィッドが品種改良して完成させたのがみなさんご存知のエイリアンでしたという、それを知ったところで「へぇ~」とも何ともならない、実にありがたみのない説明ではありましたが。起源を描けば描くほどエイリアンの存在は矮小化しており、「偶然出会った訳のわからん凶悪生物」という第一作のまま放っといてあげればよかったのにと思いました。 リドリー・スコットによると、次回作『エイリアン/アウェイクニング』は『プロテウス』と本作の間の時期を舞台にした作品となるようですが、エイリアンの起源に関する興味はあまりないので、これ以上の続編はもういいかなという感じです。
[映画館(字幕)] 5点(2017-09-16 12:35:20)(良:4票)
833.  南京!南京!
本作の序盤はとにかく凄いの一言です。作り込まれたオープンセットの説得力や、モブシーンの迫力、戦闘シーンのテンションの高さには息を飲みました。南京市を守っていた国民党軍が一目散に逃げていき、代わって共産党ゲリラが圧倒的多数の日本軍相手にかっこよく奮闘するという現在の政治事情への配慮が多分に含まれた実に分かってらっしゃる描写には「やれやれ」という感じでしたが、それでもこの手の反日映画では、日本映画界では絶対に不可能である「圧倒的に強い日本軍」という珍しいものを見ることができるため、その辺りの倒錯した感覚が楽しかったりもします。また、日本人が聞き取れない日本語を話す日本兵は一切登場せず、日本人役にはちゃんと日本人俳優が当てられるという丁寧な仕事にも好感が持てました。80年代90年代に香港で量産されていた粗悪な反日エクスプロイテーションを見てきた私としては、ここまで素晴らしいものを作っていただいて有り難うという気持ちにすらなりました。 ただし、本編に入ると一気につまらなくなります。南京事件の史実としての信ぴょう性という議論を度外視し、中国側の主張を全面的に受け入れた上で鑑賞しても、これがまったく面白くないのです。本作には日本軍・南京市民・南京に駐在していた欧米人という3つの立場の人々が登場しますが、日本人が悪でその他の人々は善という単純な色分けとなっており、登場人物全員が歴史を語る上で必要な持ち場を守っているだけでその感情や行動にリアリティが伴っていないため、誰にも感情移入ができないのです。 例によって日本軍は大暴れしますが、仮に当時の日本軍が非道な集団だったと仮定しても、各自が乱暴に振る舞った結果、気が付けば30万人もの人間が死んでいたという結果にはなりません。30万人も殺すという大仕事ともなれば組織立って動く必要があり、かつ、軍隊のような官僚組織を動かすためにはある程度の合理的な説明が必要となるはずであり、こじつけでもいいからそうした組織論や意思決定論的な切り口で日本軍を描いてくれれば見ごたえがあったのに、「とりあえず日本人は悪かった」という描き方しかないため、見ていて全然面白くありませんでした。 これは安全区の責任者であるドイツ人・ジョン・ラーベにも言えることで、彼は徹頭徹尾善意の人であり、そこに何の理由付けもありません。その結果、善人すぎて何を考えているのかサッパリ分からない人になっています。しかも本作では彼の立場や権限に関する説明すら一切なく、予備知識を持たない人にとっては「このおじさん、一体誰?」としかならないため、映画としてお粗末だったと思います。ちなみに彼が何者であるかを説明すると、南京市の発電所に発電機を設置していたジーメンス社の中国支社長であり、かつ、ナチス南京支部副部長であり、南京在住歴が長かったことから南京安全区国際委員会委員長というパブリックな肩書も持っていたことから、彼は日本軍と交渉していたのです。彼はしばしば「南京のシンドラー」などと言って持ち上げられますが、彼自身が記した日記には虐殺を直接見たという記述が一切なく(「郊外で5~6万人くらい殺されたらしい」という伝聞のみ)、それどころか安全区国際委員会委員長として日本軍に「安全区に攻撃を加えなかったことに感謝します」と感謝状まで書いており、本作で描かれたような体を張ってまで市民を守り抜いた偉人とはまるで異なった人物像でした。事実の捻じ曲げも、ここまでくると凄いなと思います。 さらに南京の一般大衆についても、逼迫した脅威として死が迫っている状況下で、逃げることも抵抗することもせず、ただいたぶられているだけなので、感覚的に理解ができない人々の集まりとなっています。この点についても、こじつけでもいいから理解可能な理由付け、逃げるに逃げられない事情があればドラマに集中できたのですが。 なお、本作はNetflixにしれっとアップされていたので鑑賞できたのですが、劇場公開もソフト化も目途が立っていません。表現の自由のある日本において、抗議活動で映画が上映できない状況を作り出すクレーマーの人たちって、一体どうなのよと思います。 芸術作品はその時代や社会の影響を受けるものであり、特に多くの人々の協力の元で作られる映画ともなればその傾向は顕著となるため、中国社会においていわゆる抗日映画が作られることに私は違和感を覚えないし、その存在も否定しません。特に本作が制作された頃にはチャン・イーモウ監督・クリスチャン・ベール主演の”Flowers of War”や中独合作の『ジョン・ラーベ/南京のシンドラー』などが連続して制作されており、「なるほど、そういう時期だったんだな」としか思わないのですが。
[インターネット(字幕)] 5点(2017-08-17 12:52:33)
834.  スパイダーマン:ホームカミング 《ネタバレ》 
IMAX-3Dにて鑑賞。ワシントンモニュメントを登る場面での高さの表現においてはなかなかの3D効果があったものの、スパイダースイングの浮遊感が素晴らしかった『アメイジング・スパイダーマン2』と比較するとインパクトは落ちています。あと、これは他の3D映画にも言いたいのですが、3Dメガネをかけるために只でさえ画面が暗く見えてしまう3D映画において、夜のシーンを多用するのは本当に勘弁して欲しいです。 本作はリブート第一作なのですが、話は『シビル・ウォー』から直接続いている上に、設定の説明は端折られているために、第一作を見ているというフレッシュな感覚はほとんどありませんでした。スパイダーマンは何度も何度も作り直しすぎだし、10年くらい凍結してリフレッシュした方がいいんじゃないかと思います。 また、本作は他のマーベル作品と世界観を共有していることから、この世界ではスパイダーマンクラスのヒーローは大して珍しくもないし、人助けをしても有難がられないという点が、このコンテンツの持つ大きな特色を奪っています。スパイダーマンはオーディエンスの存在が特に重要な作品であり、サム・ライミ版でもマーク・ウェブ版でもオーディエンスに励まされながらスパイダーマンが強敵と戦うことが感情面での盛り上がりを作っていましたが、本作においては肝心のオーディエンスの姿がありません。このために、本作はエモーションが欠けた内容となっています。 とまぁ、長々と文句を書いてきましたが、ヴィランであるバルチャーが大変魅力的だった点は、本作の長所となっています。大企業スタークインダストリーに仕事を奪われ、部下を露頭に迷わせるかどうかという事態に陥ったことから悪事に手を染めるようになり、そのうち悪事が本業となってしまった中小企業の社長なのですが、世に迷惑をかけるとか、アベンジャーズを倒すみたいなたいそうな目的はなく、スパイダーマンと敵対したのも商売を邪魔されたためであり、スパイダーマンよりもバルチャーの方に感情移入してしまいました。演じるマイケル・キートンはリメイク版『ロボコップ』から引き続き、人間味のある悪役を見事に演じており、本当に上手な俳優さんだなと感心させられました。
[映画館(字幕)] 5点(2017-08-12 02:07:00)(良:2票)
835.  コップ・カー
『スパイダーマン/ホームカミング』の予習として、謎の監督ジョン・ワッツの出世作である本作を鑑賞しました。 少年の冒険物語とクライムサスペンスという異色の組み合わせが目を引く作品であり、このおかしなブレンドでよくぞ映画を成立させたなと感心させられたのですが、それ以上の作品にはなりえていないという点が残念でした。 また、90分未満というコンパクトな上映時間でありながら畳みかけるような勢いがなく、それどころか妙にチンタラした展開もあったため、イベントの詰め込み方が甘いと感じさせられました。
[インターネット(吹替)] 5点(2017-08-10 22:21:52)(良:1票)
836.  コンカッション(2015) 《ネタバレ》 
極限まで肉体を酷使するスポーツがアスリートの健康を害しているなんて、当たり前のことじゃないです?特にプロスポーツ選手は好きなことを職業にした上で、普通の人では一生見ることのできない金額を数年で稼ぐのだから、肉体を捧げることに対する見返りは十分に受け取っているわけです。そんな特殊な世界を指さして「アメフトは体に悪い。選手は被害者だ」とした主人公の主張にあまり賛同できなかったため、作品全体への共感は低くなりました。 例えば日本の大相撲だって、無理やり大食いをさせることで力士達の体格を作っており、おそらくは成人病リスクは滅茶苦茶に高いはず。寿命だって短いと思います。しかし、そのことを咎めて「力士には健康的な食事をさせましょう。肥満は厳禁」とやってしまうと、大相撲という競技は消滅するか、存続するにしても形を大きく変えるかしかなくなります。主催者・選手・観客の間での暗黙の了解が成り立っていることをわざわざ突っついて一体誰が得するのかというのが、本作の主人公を見た私の率直な意見です。また、本編の最後には元選手5,000人がNFLを提訴したというテロップが出てきますが、さんざん稼いだ後になって「自分たちに十分なリスク説明がなかった」として主催者を訴えるなんて、いかにもアメリカ的だなと思ってしまいました。 また、物語の構成もよろしくないと感じました。このテーマであれば、正義一直線のオマル医師ではなく、かつて身を寄せていた業界と敵対せざるをえなくなったバイレス医師を主人公とし、大儀と人間関係の間で苦悩する姿を描けば面白くなったと思うのですが。
[DVD(吹替)] 5点(2017-08-05 23:30:11)(良:1票)
837.  劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 《ネタバレ》 
第一期テレビシリーズは全話視聴済です。テレビシリーズ最終話から直接続く完結編であるため、その視聴は必須。特に、最終話で登場人物達がどうなったのかをはっきり覚えていないと、本作の内容についてくることは難しいのではないでしょうか。 テレビシリーズ後半では、錬金術が進化した主人公たちの世界と、科学技術が進化した視聴者たちの済む世界が並行世界として同時に存在しているという「ザ・SF」な設定が置かれて興奮したのですが、本作ではいよいよ両世界の関わり合いが始まります。ミュンヘン一揆という実際の事件を背景とし、フリッツ・ラング、ルドルフ・ヘス、カール・ハウスホーファーといった歴史上の人物達が物語の中心を担い、エドやアルに絡んでくるという設定の時点で燃えました。アニメでありながらも「本当にこういうことがあったのかも」と観客に錯覚させるような作りとなっており、なかなか興味を掻き立てられるのです。 ただし、面白かったのは設定のみであり、活劇としてはイマイチでした。錬金術の世界ではなく科学技術の世界を主な舞台としたことの必然的な副作用として、錬金術師達のド派手なバトルを見られないという根本的な問題をこの企画は抱えているのです。テレビシリーズでは豪快だったエドワードも、もっとも得意な錬金術を使えない世界においては、何事にも諦めきった抜け殻でしかありません。それならそれで、腐ってしまったエドが再び立ち上がるまでのドラマを横軸として描けば映画として一本筋が通ったものの、本作は魅力的な設定を描くことのみに終始しており、登場人物の内面がまるでフォーカスされていません。 さらには、ようやく始まったラストの戦闘も、そもそもの目的が良く分からないという状態であり、気持ちがうまく乗っからないまま映画が終了してしまいました。 部分評価できる点はいくつかあるものの、全体としてはテレビシリーズのファンに向けたボーナストラック以上の作品にはなりえていないことは残念でした。
[インターネット(邦画)] 5点(2017-08-05 02:07:41)
838.  ワイルド・スピード/ICE BREAK 《ネタバレ》 
IMAX 3Dにて鑑賞。3D効果はほとんどないため3Dメガネが邪魔でしかなく、これなら追加料金を払わず通常版で見ればよかったと後悔しました。 本シリーズについては前2作の時点ですでに飽きがきていたのですが、それでも圧倒的な世界興収等の話題性に負けて初日に見てしまいました。で、内容ですが、苦手だった前2作と何も変わっとらんやんけ~という、何ともガッカリなものでした。ま、ユニバーサルからすれば大成功を収めた前2作から路線変更をする理由などはどこにもないわけで、引き続き同じものを出されるということは見る前から分かってはいましたが。 見せ場はとにかく派手に豪華にということで、リアリティなど完全無視の見せ場が次々と繰り広げられます。本作の世界においては、すべての乗り物には自動走行機能が標準装備されているようで、車も潜水艦も無人で走行します。また、すべての乗り物はネットワーク接続されているようで、ハッカーがキーボードを叩けば何百台もの車が走行を始めるし、魚雷発射までが遠隔操作でできてしまいます。リアリティを求めるタイプの映画ではないものの、ここまでムチャクチャな理屈で見せ場を作られてしまうと冷めてしまいます。また、人間が戦っているという感覚が残っていないために、まったく手に汗握ることはありません。 さらに本作の見せ場が歪なのは、これだけ大掛かりな見せ場が続くのに、サイファーがドミニク一人に現場仕事をさせているということ。潤沢な資金と装備を抱え、オーウェン・ショウやジャカンディといった闇のコネクションも持っていた彼女なら現場チームくらい簡単に作れるはずだし、彼女の息のかかった兵隊達にドミニクのサポート兼監視をさせれば計画はうまくいくのにと、終始イライラしてしまいました。これでは起こるべくして起こった失敗であり、優秀なはずのサイファーが愚か者にしか見えませんでした。 また、ドラマもうまく流れていません。事あるごとに友情だのファミリーだの言って武田鉄矢並みにめんどくさくなっていたドミニクが悪の道に戻ったことだけは良かったものの、これに対抗すべくファミリーに合流したのがショウ兄弟というのは、さすがにあんまりでは。兄のデッカードはファミリーの一員だったハンを殺した男だし、弟のオーウェンもジゼル死亡時の敵軍大将であり、さすがに「拳を交えてみて分かり合えた」みたいなノリは通用しない相手。そんなショウ兄弟をすんなり受け入れたことで、友情やファミリーといった本作のキーワードがどんどん胡散臭くなっていくわけです。最後にはドミニクも合流しておなじみのバーベキュー。そこでまた金八先生みたいな演説を始めるので、もうお腹いっぱいでした。ちゅーかサイファーを取り逃がして問題は未解決だし、ドミニクJr.の母親であるエレナは殺されたのになんで祝賀ムードなんだよと、彼らの呑気さにも呆れてしまいました(レティとドミニクからすれば、このままだと扱いに困ったであろうエレナが、彼らにとっての念願だった子供だけを残して都合よく退場してくれたことは歓迎すべき展開だったのかもしれませんが)。 シリーズはあと2作あるらしいですが、さすがに次は見ないかもしれません。
[3D(字幕)] 5点(2017-04-29 01:30:49)
839.  ゴッドファーザー PART Ⅲ 《ネタバレ》 
老いたマイケルの物語と、ファミリーの子供たちの物語を同時に見せるという構成は第一作を踏襲したものであり、第一作でファミリーを継いだマイケルが、今度は後進を育成する側に回るという点がなかなか興味深かったのですが、残念なことに彼とヴィンセントの間のドラマはうまく流れていません。ヴィンセントは、登場場面こそ父親ソニー譲りの狂犬ぶりを見せて「こいつはちゃんとしつけねば」と観客を大いに不安にさせるものの、その後はさほどの暴れっぷりを見せることもなく、気が付けば三代目ドンの座に納まっているのだから、そこに感動も何もないのです。演じるアンディ・ガルシアの力量にも問題があって、第一作のアル・パチーノはドラマの進行とともに表情がどんどん変わっていき、普通の青年から大ファミリーを束ねるドンへの変貌ぶりをきちんと体現できていたのに対して、ガルシアには最初から最後までこれといった変化が見られませんでした。 1979年に発生したローマ法王暗殺疑惑をそのまま当てはめた本作の展開は、スケールが大きすぎて逆にピンとこなかったし、敵がまったくキャラ立ちしていないために、マイケルが一体誰と戦っているのかすら見失いそうになりました。芸術面でも娯楽面でも前2作からかなり後退したと言わざるをえません。 唯一興味深く感じたのはラストであり、一時は世界の権力中枢に迫るほどの勢いを持っていたマイケルがたった一人で亡くなる様は、孫との戯れの中で亡くなったヴィトーの最期と好対照をなしており、マイケルが最後の最後まで孤独な人間であったことを浮き彫りにしています。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2017-03-18 02:49:31)
840.  ベルファスト71
ベルファスト市街に入った直後の殺伐とした空気、イギリス軍を見たおばちゃん達がゴミ箱のフタをガンガン叩き始めた辺りからの「これは本格的にヤバイところに来てしまったな」という雰囲気作りには素晴らしいものがありました。 ただし、本編はマンハントものをやりたいのか、アイルランドの複雑な社会背景を描きたいのかがイマイチ判然とせず、ドラマもサスペンスも途中で途切れてしまいます。タイトな上映時間なのだから、ひたすら逃げ回る主人公を描くサスペンスアクションに振り切ってしまった方がよかったように思いました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-01-21 22:26:29)
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