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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2593
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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1121.  NINE(2009)
劇中、ジュディ・デンチが言う。「映画には歌がなければ」と。そして、御年75歳の大女優が惜しげもなく歌って、踊る。このシーンがこの映画のハイライトというわけではないけれど、その様には映画というエンターテイメントが持つ本質的なエネルギーに溢れていて、彼女が言ったことは正しいと思える。  「シカゴ」のロブ・マーシャル監督が、アカデミー賞受賞俳優たちを豪華に揃えて描き出した渾身のミュージカル映画。それは、ミュージカル映画好きとしては、たまらなく魅力的なイントロデュースだった。  仕事を終えた週末、公開されたばかりの今作をレイトショーで観に行った。  名優ダニエル・デイ=ルイスが演じる主人公の映画監督が苦悩する様を取り囲むように、7人の女たちが入れ替わり立ち替わり現れては、彼の妄想の中で歌い踊り消えていく。 新作映画の制作を目前に控えて、アイデアが枯渇した映画監督の脆く弱々しい優柔不断な様を延々と描いていると言えばそれまでだが、繊細な男の悲哀と葛藤を、ミュージカルという形できちんと描き出していると思う。  主演のデイ=ルイスをはじめ、主要キャストが織りなすミュージカルシーンは、とても丹念に作られ魅力的だ。 ただし、残念だったのは、それらのシーンがあくまで「舞台」上でのミュージカルを撮影という手段で切り取ったという範疇を出なかったことだ。 今作は、ブロードウェイミュージカルの名作を映画化した作品であり、それならば映画化する必要はあまりなく、ブロードウェイのライブの迫力に勝ることは到底不可能だ。  映画化するのであれば、映像世界だからこそ出来るミュージカルの表現を追求してほしかった。  豪華女優陣の“競演”も、それぞれが単独で挑んだミュージカルシーンを付け合わせただけという印象にとどまり、映画としての一体感が無かったように思える。  ただそれでも、冒頭でも記している通り、豪華で実力者揃いのスターたちが歌って、踊る様には、圧倒的な力強さがあり、それだけで充分すぎるエンターテイメントであることは間違いない。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-22 02:28:15)
1122.  それでも恋するバルセロナ 《ネタバレ》 
この映画は、スカーレット・ヨハンソン×ペネロペ・クルスという今やハリウッドを代表する二大セクシー女優の“絡み合い”を、スクリーンで見たいぞ!という願望を、こちらもハリウッドを代表する根っからの“女好き”ウッディ・アレンが見事に達成した作品だと思う。  「一夏の恋」という誰もが一度は憧れるアバンチュールを、独特の人間模様をもって、時におかしく、時に生々しく描いたウッディ・アレンらしい映画世界を堪能出来る。  ヨハンソン×ペネロペという誰もが夢見た「競演」を実現させたのは、やはりウッディ・アレンだからこそ成し得た業で、それぞれの女優としての個性を最大限に発揮させつつ、他のキャスト陣も含めてバランス良く“大波小波”を打ちながら、映画を展開してくれている。 女たらしのスペイン人画家を演じたハビエル・パルデムは、持ち前の”濃ゆい”ルックスを生かしつつ好演しており、彼に3人の女優が絡んでいくことで映画は展開する。 凄いのは、それぞれの女優と絡む場面場面で、スペイン人画家の物腰と映画の雰囲気が女優に合わせて波打つように変わっていくところだ。 そして、女優同士が絡み合う場面では、さらに大波をうつかのように雰囲気ががらりと変わる。 まさに、監督がそれぞれの女優たちが持つ雰囲気を引き出した結晶であり、それこそがこの映画の最大の魅力だと思う。  「一夏の恋」からあっさりと冷めてしまった主人公たちの憮然とした表情で、映画は終わる。 劇的なウェーブを経て、また元通りの凪に戻る様は、この監督らしいシニカルさも伺えて、総じて「ああ、ウッディ・アレンの映画だな」と思った。
[DVD(字幕)] 7点(2010-03-20 17:32:09)(良:2票)
1123.  パッセンジャーズ 《ネタバレ》 
「驚き」を売りにしたサスペンス映画を見る時は、出来る限り雑念を消し去って、目の前に展開される「場面」にのみ集中することが、幸福な映画ライフを送るためのポイントだ。 主演のアン・ハサウェイの愛嬌のある演技に一喜一憂しながら、用意された顛末に素直に“驚きたい”映画だったと思う。  悲惨な飛行機墜落事故、奇跡的に助かった5人の生存者、彼らをカウンセリングする主人公……。ある程度映画を見慣れている人であれば、用意されたプロットは大概想像できる。ただ、それに気付かぬふりを自分自身にし続けられるのも、映画を見慣れている人の利点だ。  登場人物の少なさ、キャスト陣の地味さから低予算作品であることは容易に伺える。ただその中で、ねらった映画世界を丁寧に構築出来ていると思う。 何と言っても、アン・ハサウェイの瑞々しい魅力が、今作の一定の完成度を支えている。ポスト”サンドラ・ブロック”と言うと、褒めているのか貶しているのかは微妙なところだが、幅広い作品に出続けて、ゆくゆくは“オスカー獲得”という路線は約束されているようにも思える。  期待せずに、国際線の機内ででも観ると、ある意味物凄く“心揺れる”映画だろう。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-03-19 13:06:24)(良:4票)
1124.  少年メリケンサック
ふとそれに気がついて、意外に思った。 宮崎あおいの出演作を昨年(2009年)は、一本も観ていなかった。それどころか、もっと確かめると、最後に観た彼女の出演映画は、2006年の「ただ、君を愛してる」だった。 3年以上も彼女の演技を映画で見ていなかった。何たることだ。と、思った。  今年の日本アカデミー賞で、主演女優賞にノミネートされた彼女の紹介映像で、今作のワンシーンが流れた。 「何だか面白い演技をしている」と、とても新鮮に感じ、久しぶりに彼女の映画を観たいと思った。  言わずもがな僕は宮崎あおいという女優のファンである。10年近く。  それなのにどうして3年以上も出演映画を観ていなかったのか。 一昨年の大河ドラマの出演の影響で、出演作品数自体が少なかったということももちろん一因だけれど、はっきり言うと「観たい!」と思える作品がなかったということに尽きると思う。  大河ドラマの出演とその成功、CMなどへの露出拡大に伴い、宮崎あおいという女優は、一躍“国民的女優”となった。 そんな中で、彼女の”畑”である映画に対する立ち位置も確実に変化をせざるを得ない状況となったと思う。  詰まるところ、以前のようにフットワーク軽く若手映画監督の挑戦的作品に出演しづらくなってしまった。  それが、彼女の出演映画を「観たい!」と思えなくなってしまっていた要因だと思う。  そんなわけで、この映画についても、自分の中で敬遠していた。  敬遠していた理由はもう一つあって。 クドカンは好きだけれど、彼の良さは長編映画では発揮されにくい。“クドカンワールド”は、テレビドラマや舞台など時間や環境に「制限」がある媒体でこそ発揮されると思う。なのでこの映画も、きっと笑えるし面白いんだろうけど、トータル的にはクドカンが個人的な趣味趣向に突っ走った作品なんだろうと、分かっていた。そして実際そうだった。  ただ今回は、端から「宮崎あおいを見よう」と思って、この映画を観た。 さすがに宮崎あおいで、滅茶苦茶な映画世界の中で、存分にコメディエンヌとしての魅力を見せてつけていた。 終始、「かわいい」としか言いようが無いし、やはりこの女優は凄いと思った。  じゃあそれでいいじゃない。と、思う。
[DVD(邦画)] 6点(2010-03-15 16:41:16)(良:1票)
1125.  脳内ニューヨーク
遅く起きた日曜日。午後から映画を観に行こうと思いたち、地元の映画館の上映スケジュールを確かめた。 「脳内ニューヨーク」というタイトルが目に入る。情報が無く、「誰の映画だ?」と確認すると、なんとチャーリー・カウフマンの初監督作品!とのこと。これは見逃すわけにはいかないと思い、映画館に出掛けた。  全世界の映画界を代表する“奇才”脚本家の初監督作品。得られる感想は二つのうちのどれかだということは、端から予想できた。 即ち、“最高傑作”か“意味不明”か。  得られたのは、紙一重で“意味不明”だった。  ただ、その結果に不満足かというと決してそうではない。 これまで「マルコビッチの穴」、「アダプテーション」、「エターナルサンシャイン」とただでさえ得体の知らない独自世界を、“他人”である映画監督の手によって具現化させてきたことを、今回は自らの手でそのまま具現化するわけで、その世界を100%理解しようとする方が、むしろ有り得ないと思う。  この映画世界は、まさにチャーリー・カウフマンという奇才作家の頭の中をそのままの映像化だ。 その世界観は、時にえげつなく、醜い。 ただそれは同時に、一人の人間の本質的な姿だとも思う。 心の目を背けたくなるような描写も多々あるが、そのくせ不思議な心地良さも感じていることに気付く。  「映画」としての完成度という意味では、決して高いとは言えず、好きな映画だとも言い難い。ただしこの奇才の創造性は、やはりただごとではない。
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-14 23:08:32)
1126.  ディア・ドクター 《ネタバレ》 
山里の無医村で偽医者として、医療を生業とする主人公。 唯一の医者を神のように崇拝する村人たち。 “嘘”はいつまでもつづくことはなく、偽医者は遂に逃げ出す。  この映画、この監督の凄いところは、人間を決してキレイには描かないことだ。 たとえば、同じプロットであったとしても、主人公にもっと使命感を持たせ、村人をはじめとする周囲の人間にもっと分かりやすい慈愛を持たせれば、涙溢れるとても感動的な映画になっただろうと思う。  しかし、この映画は、そういう安直な感動を否定する。 それは、人間の持つ本質的な弱さや不安定さを、この監督はよく知っていて、認めているからだ。  主人公は、安易な自己満足のために偽医者を演じはじめ、大金を得て、何となく誤摩化し、偽り続けながら生きている。 村人たちは、決して声には出さないが、実はその“偽り”にも気付いていて、ただ“無医村”という自分たちの状況におけるとてつもない“不安”を覆い隠すために、それを盲目的に認めている。 偽っていたのは、主人公の無免許医だけではない。村全体が、互いの弱さを支え合うように、偽ってきたのだと思う。  だからこそ、主人公が無免許医であるということが具体的な形で判明した後の村人たちの反応は、極めて冷ややかで、彼を擁護する者は無い。ただし、彼のことを全否定できる者も同時に無い。それは、偽っていたのが彼だけではないということを、誰もが知っているからだ。  「その嘘は、罪ですか」とこの映画は問う。 もちろん、罪だとは思う。ただその罪には、加害者も被害者もない。「嘘」に関わったすべての人間が、加害者であり、被害者だったと思う。 そして、嘘をつかなければならなかった「状況」にこそ、本当の罪があると考えさせられる。  正直、観終わった直後は、想像以上に感動が薄かったせいもあり、一寸の物足りなさを感じてしまった。 しかしそうではなく、その物足りなさの中に存在する見えない感情こそ、この映画が伝えようとすることだと思う。  鶴瓶師匠の決して目の奥が笑っていない恵比寿顔は、まさにベストキャスティングで、その表現力は最高だったと思う。  そして、前作「ゆれる」に続き、またもや一筋縄ではない人間ドラマを創り上げてみせた、西川美和。その若き女流監督の懐の深さに感嘆する。
[DVD(字幕)] 9点(2010-03-14 14:12:19)(良:1票)
1127.  間宮兄弟
久しぶりに一人で過ごす土曜日深夜。実はこの日はすでに3本も映画を観ていて、3本目のレイトショーを観終わって0時過ぎに帰宅後、一人晩酌をしながら、録画していた今作を何気なく観始めた。眠くなれば、途中でやめて寝てもいいやという気持ちだった。  思うに、ある映画を観て、その映画を「面白い」と思えるタイミングというのは、同じ人間であっても“あやふや”で、そのタイミングというものは、もはや「運命」だと思う。  休日前の深夜、一人でお酒を飲みながら、ニヤニヤしながらこの映画を観た。 このタイミングこそ、この作品を観るためのベストタイミングだったのだと思う。  酔っているので、前置きが長くなってしまったが、詰まるところ、物凄く良い映画にめぐり会えたと思う。  良い歳をして気持ち悪い程に仲良く二人で生活をする間宮兄弟。 その姿は、はっきり言って”非現実的”で、むしろこの映画はファンタジーなのだと思う。 ただ重要なことは、非現実的だとかファンタージーだということではなくて、「兄弟」という結びつきの普遍的な強さだ。 そして、そこから描き出されるのは、“男同士”という関係性の可愛らしさであり、滑稽さ、その素晴らしさだと思う。  映画を観ながら、自分に男兄弟が居ないことを、これほど残念に思ったことはないなと思った。   奇しくも、この日、同じく森田芳光監督の1983年の作品「家族ゲーム」を観たばかりだった。 20数年の月日を越えて、同じ映画監督が描き出した「家族」の映画を観たということ、これもまた感慨深い。   主演の二人以外、キャストの予備知識を持たずに観始めたので、意外に豪華なキャスティングに驚いた。 それほど女優としての魅力を感じていなかった、沢尻エリカ&北川景子の二人が演じた姉妹が、とても良い味を出していて、良い意味で裏切られた。 そのあたりの要素も、この映画が素晴らしい作品であることを裏打ちしていると思う。
[DVD(邦画)] 9点(2010-03-14 03:45:33)
1128.  シャーロック・ホームズ(2009)
“シャーロック・ホームズ”の今更の映画化、しかも監督は、ガイ・リッチー。 正直、「なんだそりゃ」と、イメージのアンバランスさに戸惑ってしまった。 更に、主人公“シャーロック・ホームズ”を演じるのは、ハリウッドきっての問題児、ロバート・ダウニーJr.。 流石に“悪ノリ”し過ぎなんじゃないかと一抹の不安を保ちつつ、鑑賞に至る。  予想通り、“悪ノリ”し過ぎている。が、問答無用に”面白い”。  コナン・ドイルの世界的古典「シャーロック・ホームズ」と、ブリティッシュ・ギャング映画を得意とするガイ・リッチーのまさかの融合。 そこに生まれたのは、奇跡的なエンターテイメントだった。  “英国紳士”という世界的なイメージが定着しているシャーロック・ホームズというキャラクターを、180度転じた無頼漢に仕立て直した試みが、何と言っても面白い。 しかも、そこにロバート・ダウニーJr.を配した潔い抜群のキャスティングに脱帽だ。  実は今年に入って、ロバート・ダウニーJr.主演の「アイアンマン」を観たばかりで、立て続けて新たな造詣の”ヒーロー”を演じる彼の姿を見て、自らの”過ち”を糧にして新境地を切り開いた役者魂を感じずにはいられない。  混沌とする現代社会は、汚れのない真っ当なヒーローなんて真実味がなくて魅力を感じないのだと思う。 不潔でだらしなくて、多少強引に「正義」を貫く新たなヒーローの姿に、共感し喝采を送る時代なのだ。  ただし、「アイアンマン」と並び、これでヒーローシリーズの主役を張り続けるしかないロバート・ダウニーJr.には、ぐれぐれも真っ当に俳優業を続けてほしいものだ。
[映画館(字幕)] 8点(2010-03-14 03:05:21)
1129.  家族ゲーム
この映画を観て、「家族」という関係性において、その在り方に正解も不正解もきっとないのだろうということを思った。  「家族ゲーム」という映画タイトルの中で描き出される一つの家族。次男の高校受験を目前にして、家族皆が盲目的な”理想”を掲げて、混沌としている。  その混沌とした家族風景が、不幸かというと、決してそんなことはない。  食卓に横並びになって、互いに顔を合わせることのない会話をしながら、淡々と食事をする風景は、この家族の姿を如実に表しているのだが、その味気ない風景にさえ、この家族の切れることない繋がりを感じる。 それは、どんなに窮屈で、居心地が悪くても、それでも互いに寄り添って食事を続けるしかない、という家族そのものの「宿命」とも言えるものかもしれない。  たぶんそれは、実際とても幸福なことなのだろう。 この映画は、混乱する家族像を描きながら、それでも見え隠れする繋がりの強さと、繋がりが強いからこそ生じる“滑稽さ”を、抜群のユーモアセンスで表現した作品なのだと思う。  やはり何と言っても、松田優作が素晴らしい。 コミュニケーションが苦手な家族の中に家庭教師として突如現れ、その関係性を好き勝手にかき混ぜる飄々とした姿は、彼ならではの「表現」だった。ラスト、半ば意味不明に“キレる”様も、松田優作という表現者の真骨頂だったのではないかと思う。  おそらく、見れば見る程に、味わいが変わり、深まる映画だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-03-13 15:27:28)(良:1票)
1130.  クライシス・オブ・アメリカ
前々からレンタルショップに行っては、パッケージを手に取り借りようか借りまいか迷った挙げ句、棚に戻すという行為を繰り返していた今作。 デンゼル・ワシントンとメリル・ストリープというある意味“間違いがない”キャスティングを見た時点で、それほど躊躇することはなかったろうと思うが、何か「不穏」なものを感じ取っていたのかもしれない。  「不穏」なんて言葉を使うと、なんだか物凄い駄作だと言わんばかりだが、決してそうではない。トータル的にはよく出来た映画だと思った。  ただし、終始とても“気持ちの悪い”感覚に覆われる作品だと思う。  アメリカの国家を揺るがす程の大陰謀に主人公のデンゼル・ワシントンが気付き、その黒幕がメリル・ストリープで、二転三転しながら巨悪に向かって対峙していくというような、「陰謀」を描いたサスペンス映画にとっては王道的なストーリー展開を想像していた。 しかし、実際に描かれた映画世界は、人間そのものの利害と精神の「闇」が広がり、端的に言ってしまうと、非常に悪趣味だった。  ただその悪趣味さが、そのまま映画に対する嫌悪感に繋がるということはなく、想像に対してアウトサイドな世界を見せつけられつつ、どんどんと引き込まれていく。 それは、「羊たちの沈黙」で禍々しいサイコサスペンスを“名作”として完成させてみせたジョナサン・デミ監督の成せる業だろうと思う。  演出の効果だろうが、多少編集のブツ切り感が目立ち、キャラクターの相関関係も粗いので、展開が伝わりづらいところもあり、完成度が高い映画だとは言い難いけれど、独特の見応えがある映画ではある。   メリル・ストリープの禍々しさが非常に怖い。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-03-13 12:46:53)
1131.  プラダを着た悪魔
今作の主演で、14回目のアカデミー賞ノミネートを果たしたメリル・ストリープ(2010年現在では更に伸ばして16回!)。 ぱっと見ラブコメ的な雰囲気満載な今作でのノミネートは、流石に疑問を感じてしまっていたが、鑑賞してみて納得。巧すぎる。 絶対君主的なキャリアウーマンを、ある部分においては神々しささえ感じてしまう程にクールに表現していて、冒頭の登場シーン時点で脱帽してしまった。  作品自体も、決して安直なラブコメなどではなく、ファッション業界のトップ・オブ・トップを舞台に、女性の仕事に対する真摯な姿をテンポ良く描いた良作だと思う。 ファッションに無関心な新人社員が、持ち前の気概と隠れ持った(実は全然隠れてはないけれど)美貌を徐々に発揮していくことで、頭角をあらわす様には、とてもファッショナブルなエンターテイメント性と、スポ根的な要素が混じり、ユニークだった。 そして、節々には、女性が現代社会において仕事に従事することに対して未だ残る難しさと、可能性を示し、娯楽性から一転して社会性を見せる映画でもあった。  タイトルとパッケージが伝えるものよりも、遥かに深いテーマ性が存在する作品だと思う。  アン・ハサウェイもかわゆい。
[DVD(字幕)] 7点(2010-03-09 23:52:00)(良:2票)
1132.  食堂かたつむり
今僕が日々の生活で生きていく中で、とても大切にしていることは、「食べる」ということだ。 それはもちろん、今に始まった感覚ではないが、歳を重ねていく中で、殊更にそれの重要さが身に染みてきている気がする。 分かり切ったことではあるけれど、人生は楽しいことばかりではなく、むしろ辛いことの方が多い。 ただその中で、日々の「食べる」という行為が充実していれば、ただそれだけで人生は幸福になり得る。と、思う。  「生きることは、食べること」と、この映画は謳う。 それはとてもシンプルなことだけれど、幸福感に溢れ、同時に、潔く、厳しい「真実」だと思う。そして、その「真実」をきちんと描いたこの映画は、同じようにシンプルで、ただただ素晴らしい。  “とある事情で”で声が出なくなってしまった主人公、倫子。彼女が出来ることは、ただ美味しい“ごはん”を作れることのみ。彼女が作った小さな「食堂かたつむり」に訪れ、食事をした人々は、次々に願いが叶っていく。  温もりに溢れたプロットに、温もりに溢れたおいしそうなごはんが次々に登場し、その美味しそうなごはんと、それを美味しそうに食べる人たちの姿を見るだけで、幸福になる作品だ。  ただ、この映画は、そういった幸福なグルメ映画の範疇だけでは留まらない。 「食べる」という行為の根本を、もっとひたすらに純粋に追求し、その根本をしっかりと描いている。 料理自体の”美味しさ”は二の次で、それよりも前に存在する、「食べる」そして「生きる」というすべての生命の営みにおける「幸福」と「残酷」を真正面からしっかりと描き切っている。  その“まっすぐさ”が、この映画の最大の素晴らしさだと思う。
[映画館(邦画)] 8点(2010-02-11 08:52:50)
1133.  ゴールデンスランバー(2009)
「逃げる」ということは、大抵の場合否定される。「逃げるな、負けるな」ということを言われ続けて生きている人がほとんどじゃないだろうか。 果たして、それが正しいのかどうかは分からないけれど、この映画の物語が描いているのは、まさにその当然とされる風潮へのアンチテーゼだ。  首相暗殺の陰謀に巻き込まれた主人公。ひたすらに逃げ続ける主人公に対して、彼を知る周囲の人間は、「逃げろ、勝とうとするな」と彼に言い続ける。 無実の人間が巨大な陰謀に巻き込まれるというプロットに、通常求められることは、「報復」そして「真相解明」である。 しかし、この物語は、主人公が苦難を乗り越えながら、巨悪へと立ち向かうという予定調和を無視し、ひたすらに「逃げる」ということのみの描写を貫く。  「逃げる」ということを肯定し、それを真っ向から描く究極の逃亡劇の中に、主人公の運命と周囲の人間との”関わり合い”を織り交ぜ、最高のエンターテイメントを描き出したことが、伊坂幸太郎の原作の凄さだ。  面白い原作に対してその映画化が成功する可能性は、実際極めて低いと言わざるを得ない。それが娯楽作品であれば殊更だろう。 原作を読み終えた時に、「映画化するなら主人公役は堺雅人だな」と思い、その通りの配役が実現した報を聞いても、期待をする反面、危惧は拭えなかった。  が、その危惧は、主人公が逃げ始めた途端に、ものの見事に一掃された。 ほぼ完璧な伊坂幸太郎原作の映画化作品だと思う。 何よりも良かったのは、やはり「配役」だ。個人的に熱望した堺雅人はもちろん良かったが、脇を固めるその他の俳優達が、見事に原作に登場するキャラクターに適合していた。  原作が素晴らしいほど、その映画化作品には違和感が生まれるもので、どうしても居心地の悪さが生じることは多くの場合否めない。 しかし、ベストな配役と、原作の世界観をきちんと踏まえた演出により、非常に居心地の良い映画世界を構築してみせたと思う。 予想以上に完成度の高い映画世界の中で、とても幸福な時間を過ごすことが出来た。
[映画館(邦画)] 10点(2010-02-07 10:11:57)(良:1票)
1134.  ブライダル・ウォーズ
本当に物凄く久しぶりに、いわゆる“ラブコメ”というジャンルの映画を観たと思う。(しかも日本語吹き替えで……) 根本的に嫌いということは決してないけれど、基本的に見ない。 しかも今作においては、国内劇場未公開。よっぽどの機会がなければ、手に取ることすらなかっただろう。  つまりは、よっぽどの機会があったわけで。 結婚式を挙げた式場が催した新婚カップル向けの食事会に赴き、そのコース料理の最中に上映された。 要するに、新婚カップルだらけの中で、結婚式で出された料理を食べながら鑑賞したというわけだ。  日本未公開の作品だけあって、それほどビッグネームのキャストということもなく、ストーリー的にも、まあよくある感じのベタな“ウェディングラブコメ”だった。  ただし、映画というものは、観る者の感情とタイミングによって、その価値は如何様にも左右される。  それなりに紆余曲折を経て「結婚式」を終えた者たちにとって、作品内で描かれる言動や感情は、まさにピンポイントで感情移入せずにはいられないものであって、とても面白く観ずにはいられなかった。  よくある展開ではあるけれど、「結婚」というものに多大な憧れを持ち続けていた親友同士が、いざその一大イベントを前にして揺れ動き、あるものを得て、あるものを失う姿は、素直に的を得ていたと思う。  これまたベタな雰囲気満載のハッピーエンドに、思わずウルッときてしまった。 こういう映画も、たまには良い。
[DVD(吹替)] 6点(2010-01-25 00:41:03)
1135.  TOKYO!
「TOKYO」という都市は、世界から見ても(世界から見ると特に)奇異な場所なんだと思う。 僕自身、あの街に数年間住んでみて、そういうことは常々感じた。 もちろん、日本の首都だし、何でもあるし、決して住みにくいところではない。 ただ、曲がりなりにも世界を代表する「国際都市」というにしては、あまりに完成されていないというか、一つの“スタイル”に定まることがない。  このオムニバス作品で、3人の世界の映画監督が描き出したものは、まさにそういった変化し続けるTOKYOという“モノ”の姿だったと思う。  オムニバス映画というものが、割と好きな方だ。なので、こういう企画を聞く度に、期待は膨らむ。ただ、それに相反して、結果的に一つの「映画」として面白い作品は少ない。  しかし、この「映画」はとてもよく出来ていたと思う。 TOKYOという奇異な都市を、世界が誇る3人の奇異な映画監督に撮らせるという企画自体が、そもそも奇異で面白い。 それぞれが物凄く個性的な世界観を描き出すので、フツーなら各作品を繋ぎ止めることは難しく、オムニバス映画としてまとめることは不可能に近いことだったと思う。  それを繋ぎ止めた要因こそが、TOKYOという都市であった。  ミシェル・ゴンドリーの哲学性に溢れたファンタジーも、レオス・カラックスの文字通り爆発的な変態映画も、ポン・ジュノの情感と根本的な力強さに満ちた精神世界も、すべてを「許容」する。 それこそが、TOKYO。
[DVD(邦画)] 7点(2010-01-10 15:49:27)
1136.  アイアンマン 《ネタバレ》 
「戦争」は批判するべきだし、それに直通する「武器製造」も絶対的に愚かなことだと思う。 ただし、そんな正論を言いつつ、“武器”や“兵器”に対しての娯楽性を払拭できないことも事実で、見たことのない最新兵器に高揚感を持ってしまうのは、否定できない男の「性」だと思う。  世界最強の武器商人が、自らの方向性に疑問を持ち、武器製造のノウハウをもってして自分自身がスーパーヒーローになっていく様は、ある意味本末転倒で滑稽だけれど、エンターテイメント性に溢れ、愉快痛快だ。  そういった設定自体が持つ魅力に加えて、このアメコミ映画を成功に至らしめているのは、何を置いても主演ロバート・ダウニーJr.のパフォーマンスだと思う。 「世界最強の武器商人」という他の映画であれば、明らかに悪役的なキャラクターから一転、ヒーローへと転じる様は、私生活から毒気に溢れているロバート・ダウニーJr.だからこそ表現できたキャラクター性だろう。  最新のCGを駆使して描かれるメカニカル感も言うことなく、少々子供じみたデザインも含めて、「カッコイー!」と感じずにはいられない。  「アイアンマン」=「鋼鉄の男」と聞くと、とても質実剛健なヒーロー像を想像するが、描かれるキャラクターは、それとは程遠く、その毒々しさがこそがこの映画の最大の魅力だと思う。  案の定というか、お決まりというか、エンドロール後の続編へのくだりも、まさかのサミュエル登場で、俄然期待は膨らんだ。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-01-08 21:44:36)
1137.  2010年
本当は、昨年(2009年)の年末に今作のBDをレンタルしていた。しかし、目前に迫る2010年を前にして、「この映画は年が明けてから観るべきだろう」と思い、晴れて2010年になり、レンタルをし直して初鑑賞に至る。  実に深い面白味を備えた上質なSF映画だと思う。 もちろん、「2001年宇宙の旅」の「続編」と位置づけられている以上、その歴史的大名作との比較は避けられず、そのまま比べたとするならば、「浅い」という結論は否定できない。 ただし、それは仕方がない。これまた映画史に残る鬼才監督スタンリー・キューブリックが残した「2001年~」は、人類という種のはじまりと極限、そしてそれら全てを含めた宇宙自体の深淵を追求した、あまりに「常識的ではない」映画だからだ。  その“お化け映画”に敢えて挑み、真っ当なSFとしての一つの結論を導き出してみせた様は、充分に評価できるし、映画単体としてのレベルも非常に高い。  特に、謎と荘厳さに満ち溢れた宇宙空間の描写は圧巻。。 「静寂」という宇宙の根本的な恐怖と美しさを、存分に感じさせ、思わず息を呑む。  「2001年宇宙の旅は」まだ一回しか観たことが無い。物凄い映画だということは理解しているつもりだが、実のところ、あの映画の本質を100%理解しているかと言われれば、極めて自信がない。 ただ、今作を観ることで、その分厚く濃密な殻が幾分割れやすくなったような気がする。  おそらくは今作と同じ理由で2001年に観て以来のあの映画に、再び挑戦してみようと思った。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2010-01-07 01:06:16)
1138.  パブリック・エネミーズ
自分の生きる“術”として、銀行強盗を続ける男と、その男を追い続ける男。 それぞれの信念を持って自らの人生を全うする二人の姿は、熱く、同時にとても脆い。 その「脆さ」こそ、この映画が描く本質だと思った。  この映画は、二人の男同士の対決を描いているのでもなければ、悪と正義の攻防なんてものを描いているのでもない。 一人一人の男の人生におけるある種の「無様さ」を描いている作品だと思う。  主人公の強盗を演じるジョニー・デップも、それを追跡する捜査官を演じるクリスチャン・ベール。 二人とも円熟期を迎え、人気と実力を兼ね備えた俳優だけに、抜群の存在感と巧さを見せる。 しかし、演じるキャラクターは、それぞれ決して格好良くはない。  自らの運命に葛藤し続け、苦闘し続ける。 そして両者ともが、最良の結果を得られない。  その両者の渦巻く内情こそが、この映画の核心であり、濃密なドラマ性だと思う。  マイケル・マンという監督は、相変わらず男の深い葛藤を描くのが巧い。 
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-30 15:52:14)
1139.  ロッキー
映画鑑賞が趣味だと言って、何千本の映画を観ていたとしても、当然ながらその全てを観られるはずも無く、絶対的な名作にも関わらず、未鑑賞の作品が多々ある。 「ロッキー」もまさにそういう作品群の中の1本だった。(ちなみに「ロッキー4」は観ている……)  「圧巻」だった。 有名すぎる映画なので、未鑑賞であってもラストの顛末に至るまで大体のストーリーは知っていた。 驚くべきは、それにも関わらず、まったく予想外のドラマを見せつけられたことだ。  もっと分かりやすい主人公のアメリカンドリームを描いた映画だと思い込んでいた。 が、実際に描きつけられていたのは、不遇な環境と自分自身に対するコンプレックスからの脱却に対する飾り気の無い「願望」だった。 そこには、大義名分もなければ綺麗ごともない。ただ幸運に恵まれたチャンスを生かし、現状から抜け出したい。 もっとあざとくいえば、降ってわいたラッキーをものにして、名声を得て、幸福を掴みたい。  ひたすらにその思いしかない。だから凄い。 ストーリーをもっと盛り上げようと思えば、いくらでも感動的な要素を加えられたはずである。だが、敢えてそういう安直な“創作”を加えず、無骨に鍛え上げられた肉体のように、物語が研ぎすまされている。  これはまさに、シルヴェスター・スタローンという映画人のドキュメントなのだと思う。 オーディションに落ち続け、日銭をかせぐ毎日だったスタローンが脚本・主演を務め、一躍スターダムにのし上がった様は、まさしくロッキー・バルボアそのものである。  「自分の夢で名声を得たい」というロッキーとスタローンの思い。 そこにあるものは、決して綺麗ごとだけでは済まされてない野心に溢れた強かさだ。 だからこそ、この映画は長年色褪せることのないリアルなエネルギーに満ち溢れている。  だから知っていたラストシーンを初めて観て、涙が溢れた。
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2009-12-28 15:58:24)(良:5票)
1140.  インスタント沼
辛いことばかりのような世界だけれど、ふと気付くだけで、世界はこんなにも楽しいことに溢れているんだよ。 ということを、相変わらずの三木聡節で笑わしながら教えてくれる傑作だと思う。  しょうもない人間の滑稽さを並べ立てて、クスクス笑う映画だけれど、その中心にはしっかりと「芯」が通っている。 それは、滑稽だからこそ見えてくる人間の本質的な「価値」だと思う。  悩むことも、喜ぶことも、怒ることも、笑うことも、泣くことも、すべてひっくるめて人間というもので、そのすべてに対して「価値」があるということ。 そういうことを信じられるかどうかで、人生なんてものはいかようにも転じると思う。  何と言っても、麻生久美子が良い。 「時効警察」ですでに実証済みの三木聡監督の世界観の中でのコメディエンヌぶりは、麻生久美子という女優の幅を大いに広げている。 笑い、泣き、怒り、踊り……コロコロと変わっていく彼女の表情こそが、この映画が描く人間の本質だと思う。  「河童がいる」ということを基本的には信じていなくていいけど、「ちょっと今日は信じてみようかな」という日があった方が、きっと楽しい。
[DVD(邦画)] 8点(2009-12-28 00:16:58)(良:4票)
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