101. ホテル・ニューハンプシャー
変な人、変な時、変な場面が地味に積み重ねられる幕の内弁当。最初に見たときは、何でここでもっと盛り上げないんだろうと思う箇所がいくつもあったが、今見てみると、逆にそこがいい。 [DVD(字幕)] 7点(2005-07-03 01:40:45) |
102. 震える舌
《ネタバレ》 全体を通じてなかなか力が入っており、特に子役の少女の気合の入り方は驚嘆すべきであるが、結局、中身としては発作→救命措置が繰り返されるだけであって、単調な感は否めない。主演が渡瀬恒彦というのも、どこか常人離れした雰囲気が漂っていて、「どこにでもいるお父さん」の雰囲気が削がれている(こういう役は、勝野洋とか本田博太郎で見てみたかった)。中野良子が女医役にあまり合っていなかったのも意外。などと言いつつも、光の刺激を避けるために病室内は常時真っ暗という前提条件をフルに生かした作品世界の統一性(逆に、数少ない外のシーンが何とも眩しい)は強烈だったのでこの点数。 [DVD(邦画)] 7点(2005-06-16 02:51:07) |
103. 吉原炎上
ところどころ説明台詞やコントのような芝居があるのは目につくが、作品の全体的な迫力はなかなか。特に、藤真利子と西川峰子のキャラクターは、今思い出してもぞっとするくらい強烈だった。残念なのは、締めとなるべきポジションの遊郭の女主人役に、佐々木すみ江を当ててしまったこと。ここにはやはり、淡島千景か山岡久乃クラスを持ってくるべきだったと思うが。美術関係や当時の風習の再現にもきちんとこだわってみせたスタッフの熱意にも拍手。 [DVD(邦画)] 7点(2005-02-16 02:09:27) |
104. グレート・ブルー
どこか別世界に生きているような主人公と、俗物そのもののようなライバルの対比が面白い。主人公は、ヒロインといるときよりも、明らかにイルカと戯れているときの方が楽しそうなのが悲しい。ラストなどはよく考えてみると無茶苦茶な締め方なのだが、画面の青の威力で強引に納得させられる。 7点(2005-01-10 20:17:35) |
105. カラーパープル(1985)
《ネタバレ》 ほとんどが暗く悲しいシーンであり、また長い作品であるが、人間の持ついろいろな面を見せてくれて、また見終わった後もいろいろと考えさせてくれて、簡単に結論が出ないところが良い。●再見してどきっとしたのは、序盤、妻ソフィアへの対応に悩むハーポに対し、セリーがさらっと「殴れば?」と言ってしまうシーンです。彼女は父からも夫からも常に殴られてきたので、「言うことを聞かせる」=「殴る」だと思い込んでいる、というかそれ以外知らない。だから、ほかの人に対しても、その概念以外のことを伝えることができない。こういった連鎖の問題は現在でも着実に存在しますし、85年の時点でそれをするりと映画の中で表現してしまった手腕が素晴らしい。 [DVD(字幕)] 7点(2005-01-06 23:56:02) |
106. ビッグ
《ネタバレ》 脚本の周到なほどの丁寧さが、ワンアイディアに終わらない作品のクオリティを保っています。「願いが叶う」まで10分。NYに到着するまでそこから10分。その中で全部を描写している手際の良さ。入社のプロセスもごちゃごちゃした部分は抜き、早速本題に入っています。その後は、爽快なサクセスストーリーを誘因ネタにしつつ、いつしか物語を人間関係の変化に移行させる職人技を示しています。最初は業務成功のツールだったおもちゃが、途中では転機の象徴として機能している(トランポリンとかゲームブックとか)のも巧みです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2004-12-29 20:23:24) |
107. 危険な関係(1988)
最初から最後までひたすらドロドロの世界ですが、こういうのはそれでいいのです。華麗な衣装、まわりくどい会話、何考えてんのか分かんない登場人物の行動、これぞ虚飾と欲得に満ちた頽廃貴族の世界。お見事です。登場シーンはむしろマルコヴィッチの方が多いような気もするが、画面にいなくても常に支配力を醸し出しているかのようなグレン・クローズの存在感が強烈。 [DVD(字幕)] 7点(2004-12-06 01:11:10) |
108. ダイ・ハード
《ネタバレ》 この作品が他の類作と一線を画しているのは、銃撃戦や爆破攻撃の背景として、情報戦の側面を全編にちりばめていること。前半、マクレーンの正体や職業は相手に知られておらず、それが一つの武器となっているが、逆にマクレーンにも相手の正体や規模はなかなか分からないだけでなく、自分の通信内容も制限されている。また、マクレーンの妻が人質に紛れ込んでいることも気づかれず(それは終盤に劇的な裏返しで結実する)、逆に妻も情報遮断状態に置かれているが、彼女はカールのちょっとした動作から夫が生きていることを看破する。ハンスの側は、序盤は事件の発生自体を隠すことに成功し、それが発覚してからも、真の動機については巧妙に隠蔽を図っている。そのような知能戦の丁寧なやりとりがあるからこそ、それぞれのキャラクターも十分に引き立っていると思う。 [DVD(字幕)] 7点(2004-10-04 00:48:55)(良:1票) |
109. 白いドレスの女(1981)
真面目なサスペンスで好感が持てるが、途中、中だるみしないでもないところが惜しい。ただ、全体的に映像や音楽も含めて丁寧に1つのトーンで統一・完結されており、作品としての印象は良い。 7点(2004-08-03 02:27:05) |
110. ヤングガン
筋立ては明確にウエスタンの復讐ものでありながら、主要キャラの行動回路はまさに学園系青春映画。危機になればなるほど嬉しそうな笑顔になるエステヴェスは、実は同時にその陰に横たわるある種の危うさや痛ましさをも表現していて、実はかなり難易度の高い演技をしていると思う。そして、観客目線には最も近いサザーランド、学園ものなら学級委員長の役回りのシーン、サブとしての存在感が絶妙なフィリップス、と、立場のシェアやブレンドもなかなか上手くいっているのです。そういう観点から見てみると、ジャック・パランスやテレンス・スタンプといった御大の方々も、「若いのが元気にやりよるわい」と、割と嬉しそうに演技をしていているように見えてくるのです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2004-05-24 23:34:02) |
111. いまを生きる
《ネタバレ》 キーティングは、生徒に何を強制しているわけでもない。彼がしていることは、生徒の内面とか、素養とか、情熱とか、方向性を引き出すこと。もっといえば、それを自分自身で確立することの重要性を自覚させること。だから、父親の命令にすべてイエスと言い続けてきたニールは、いざというときに「自分がしたいこと」が存在しないことに決定的に気づいてしまい、必然的に死を選ばざるをえなかった。見えなければ、模索を続けたまま青年期を終えることもできるのですが、先々まで走りすぎてしまったが故の悲劇です。そして、事の責任をとったキーティングは、自分の指導理念や技術にもまだ不足点があったという、ある意味では新たな道(目標)を見つけたからこそ、何も言わずに去ったのではないかと思います。そんなことも今頃になって分かってきました。また、今になって見ると、自分の中のニールは、トッドは、キャメロンは・・・といったことも考えてしまう作品でもあります。 [DVD(字幕)] 7点(2004-04-10 03:46:54)(良:2票) |
112. ミシシッピー・バーニング
問題点はいろいろあるし、特に、現地の黒人が最後までパッシブなままなのは大いに問題なのだが、「ホワイトアメリカンによる他人種への抑圧・弾圧行為をきちんと映像化してみせた」という点だけは評価したい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2004-04-04 03:09:25) |
113. スプラッシュ
ストーリーだけ聞くと、アイディア一発もののような気もしますが、よく見ると脚本が細部まできっちりとして、だから今見ても十分面白いのです。あのアホ兄貴は、実は小さいときからアホだったとか(しかもそのエロガキぶりが最後に主人公の助けになる伏線)、最初主人公が冴えない生活をしているのも、ラストを自然にするための伏線だったりとか、全体をまとめ上げるためにいろんな気配りがなされています。笑えるシーンのちりばめ方も良いです。●再見して思ったのは、この作品の良さは、とにかく2人が一直線であること(多少の痴話喧嘩っぽいものはあるけどね)、そこにブレがないこと。だからラストもああでなければならない。アホ兄貴も途中から俄然頼もしくなってくるし、陰険科学者も最後はいい奴になる。ラブコメはこうでなければ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2004-03-14 03:16:19) |
114. ワイルドキャッツ
ゴールディ・ホーンの才能と魅力が全開です。こんなコーチだったら誰でもついていくだろうということが、ごく自然に理解できます。というより、「ぶっ飛ばせー!」の一言だけで、もうすべてOKという感じですね。見ている方まで「コーチ!」と呼びたくなります。サイドストーリー(前の夫)の絡め方も丁寧でした。 [DVD(字幕)] 7点(2004-01-23 01:37:22) |
115. 花嫁はエイリアン
《ネタバレ》 後で思い出すだけでも幸せな気分になってくるほどの、本当に楽しいラブ・コメディです。あのキスシーンやベッドシーンは、映画史上に残ってしかるべきでしょう(笑)。一方で、事故(?)のシーンなんて完全にお約束なんですけど、そういうのもこの種の作品には絶対に必要なのです。●実はジュリエット・ルイスの映画デビュー作としても重要。 [DVD(字幕)] 7点(2003-12-24 00:17:24)(良:1票) |
116. 炎のランナー
《ネタバレ》 普通のスポーツ映画だったら、本番レースをクライマックスに持ってきてそこの描写に時間を割くのだろうが、本作では、作品の中心は、あくまでも、走るということに対するそれぞれの思索、そして内面でのこだわりである。だから、結果として、この作品では、走るということが、スポーツの枠を超えて崇高なものにまで昇華している。大体、これだけ煽っておいて、肝心の2人の直接対決が最後にはないってのが凄い。アメリカ映画だったら考えられないよね。しかし、それによって2人の走ることに対する人生における位置づけが明確になり、イギリスの曇天とも相まって、作品に独自の存在感を与えている。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2003-12-05 02:15:36) |
117. ファンダンゴ
《ネタバレ》 青春時期の、ふわふわと浮ついた感じ、現実逃避、無駄な熱さ、友情といった要素を的確に捉えきった好作品です。おそらく、年をとった人ほど感動できる作品でしょう。祭りの後のそこはかとない虚しさを感じさせるラストも良いです。 [DVD(字幕)] 7点(2003-11-06 01:55:17)(良:1票) |
118. 愛と哀しみの果て
重量感ずっしりのド級のメロドラマ。作品のほとんどは、主人公二人+道化的邪魔者の夫の3人がああだこうだとやりとりしているだけです。これで中途半端な内容だったら目も当てられないのですが、それをアフリカの大自然を徹底的に押し出してもっともらしく仰々しく創り上げてしまったのが凄い。一つの究極の作品でしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2003-10-30 03:17:11) |
119. ミッドナイト・ラン
冒頭の5分間で、最小限の描写で必要な情報をすべて提示する手際の良さに恐れ入る。速すぎず遅すぎない全体のテンポ配分も絶妙。まさに職人芸を感じさせる映画。 [DVD(字幕)] 7点(2003-08-25 03:23:25) |
120. ザ・フライ
《ネタバレ》 装置が開いたらいきなり蠅男登場!ではなく、徐々に崩壊が訪れるところは良かったです。砂糖とか筋肉とか何気ないところで変化を積み重ね、終盤に向けて加速し、最後もうだうだ引っ張らずばっさり終わらせるというテンポ配分も絶妙。ただし、最初の主人公はもっとまともな一般社会人の設定にした方が、後半の悲劇性が増したはず。あれではもともと蠅男の一歩手前です(・・・)。 [DVD(字幕)] 7点(2003-08-04 02:34:49) |