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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2260
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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101.  神様のパズル 《ネタバレ》 
学業優秀な母とスポーツマンだった父の血は受け継いでないけれど、ウッカリ屋と頑固な性格はしっかりコピー。最近は髪の薄さも父に似てきて(苦笑)。これが親と照らし合わせた時のわたしの姿。だからどうしたって話ですが、サラカには出来ないこと。自分が何処へ向かうかを決めるため、まず何処から来たのかを確かめたい。巣立ちの一歩。飛ぶためにまず大地を踏みしめます。その土台がアイデンティティ。サラカは誰よりも高く飛ぶ能力を持っているのに、飛ぶ事はおろか立つ事さえままならない有様。危なっかしくて見ていられません。足場を固めるのは子の仕事。でも土台の原料を提供するのは親の役目。それを知る由もないサラカは、独りでもがき苦しんできたのだと思う。その心の痛み、不安たるや想像するに余り有ります。ただ、彼女はツイていた。最悪を避けられたのは、魂の応援歌を歌ってくれる人がいたから。弱っているとき、栄養をくれる人がいたから。母親だって不器用だっただけ。悪い人じゃない。自我を手に入れるのは、自分の力を証明すること?いや、ただ只管に、自分自身を肯定すること。綿貫の腕の中に飛び込んで、彼女は自我を手に入れました。それは“自分の宇宙”を創り出したのと同じ。彼女はもう何処へだって飛んでいける。正直、サラカが『無限』を乗っ取った時はやり過ぎだと思いました。でも綿貫が天井を突破ったとき、見方が変わりました。一線を越えた馬鹿演出が胸に刺さりました。何故スタンドマイクがあったのか?サラカの心に想いを届けるためにマイクが必要だったから。綿貫の滑舌が悪すぎる!けどアイツの気持ちは伝わってきた。初めて三池監督の演出を凄いと思いました。谷村美月のオッパイも、いやいや演技にも感心。市原くんの歌も良かったです。ただ脚本の粗さは目立ちますし、三池映画特有の品の無さも気になります。お世辞にも出来のいい映画だとは言えません。しかし自分にとって愛すべき映画ではありました。
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-13 20:18:09)(良:1票)
102.  秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II ~私を愛した黒烏龍茶~ 《ネタバレ》 
『私を愛した黒烏龍茶』というサブタイトルが、スポンサーコマーシャル以外の何ものでも無かった事に驚愕しました。つまり『黒烏龍茶より愛をこめて』でも『女王陛下の黒烏龍茶』でも『黄金黒烏龍茶を持つ男』でも『黒烏龍茶は2度死ぬ』でも良かった訳です。(最後のはスポンサー的にアウトかな?)ベンチャーは何処も厳しい。製作資金調達の為ならコレくらい貪欲にやってもいいでしょう。いや、やらいでか。普通なら“ダサくてカッコイイ”を目指すロボットのデザインを、リアルにダサくする手腕も超一流。世界平和だの、子どもを救えだの、説教臭い事この上ない主張なのに、素直に受け止められる不思議。「大人の手は子供の涙を拭くためにあるんじゃ」という台詞に、総統のリタイアを引き止めようとする吉田くん精一杯の罵倒に、涙涙涙。こんなおふざけパクリ映画に感動するなんて、俺ってつくづくダメだなと。やっぱりダメな奴は何をやってもダメだなと。でも鷹の爪が大好きだ!この気持ちに嘘はありません。締めはもちろんコレ。“た~か~の~つ~め~”ビバ総統!アンタ格好良すぎるぜ!
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-01 00:00:00)(笑:1票)
103.  ビッグ・トラブル(2006) 《ネタバレ》 
小さなトラブルが雪だるま式に膨らんでいく快感。女が牧師妻を斧で一撃したところで完全に物語の流れに乗れました。「これからどんなに(悪い方向へ)進んでいくの?!」とワクワク。善悪の価値基準が目まぐるしく変化するのも気持ちいいです。ガスが言う「娘の病気」が本当だったら?早とちりで殺してしまった男が犯罪者だったら?同じ罪でも罪悪感の度合い違ってくる不思議。人は絶対的価値観ではなく、相対的にモノを見ているという事が分かります。「情状酌量」が如何に危いものかも。主要人物がみな表の顔と裏の顔を持っているのも面白い。人の良さそうなオッサンがやり手のFBI捜査官で、絶対に犯罪を許さないと言っていた警官が夫の罪に目を瞑る。一体何が正しいのでしょう。主人公の口癖は統計の話。大多数の意見の指針。でも今起きている事態はレアケースの連続です。何を信じたらいいの?結局最期に犯罪者は全員死んで、何となく丸く収まった感があるのも皮肉なもの。みんなが振り回されたお金だって、結局はただの紙切れ。子供にとっては落書き遊びの道具でしかないってメッセージも気持ちいい。安易なギャグに走らず、虚無感と清々しさを同居させる後味も絶妙です。掘り出し物を見つけた気分。
[DVD(字幕)] 8点(2009-07-17 21:32:12)
104.  トレーニング デイ 《ネタバレ》 
正義の味方ではない。かといって悪人と切り捨てるのも憚られる。そんなミステリアスな悪徳麻薬捜査官という役柄に、デンゼル・ワシントンの役者としてのパーソナリティがはまります。彼が持つ善人イメージ(先入観)が、大いに観客を惑わせます。アロンゾは一体何者か?新人捜査官ジェイクと観客が抱く共通の疑問が、そのまま作品の魅力に繋がっています。何といても、デンゼルの目力!引込まれます。そして語りに説得力がある。後ろめたさがゼロだから。違法捜査も横領も、全てが彼の真実。それが詭弁だとしても、経験者の言葉には重みがあります。アメとムチを使い分ける人心掌握術も手馴れたもの。免疫の無い若者ならば、アロンゾの思想に被れても可笑しくありません。事実、ジェイクはかなりの部分“取り込まれた”。だた「人殺し」という倫理観のハードルは、予想以上に高かったということ。純な警官の正義心を見誤ったのはベテランの誤算。かつて自身も持っていたはずなのに。ジェイクが絶体絶命の危機を脱出する件がいい。たまたま助けた女の子がマフィアの従兄妹だったなんてご都合主義もいいところ。でも因果応報ならば許せるというもの。まさに『情けは人の為ならず』です。ラストのアロンゾVSジェイクでも因果のルールが採用されています。今までの悪事のツケが勝敗を分けた。ここでアロンゾの戦いぶりに注目。彼は何故ジェイクを殺さなかったのか。良心の欠片が邪魔をしたのか。あるいは百戦錬磨が故の慢心でしょうか。いずれにしても極悪人でない証。弱い人間の証です。だから哀れだと思います。一方、ジェイクの方にも心の変化が覗えます。もし彼が12時間前の彼だったら、迷わずアロンゾを確保し司法の手に委ねたはず。しかし彼はあえてアロンゾを見殺しにした。その意味は大きい。長いトレーニングデイを終えた一人の新人麻薬捜査官。再び目覚めた彼はどんな人間に生まれ変わっているのでしょうか。
[DVD(字幕)] 8点(2009-06-14 21:33:31)(良:1票)
105.  OUT(2002) 《ネタバレ》 
小説の中の人間に、匂いやかたちはありません。声色も分からない。読み手が頭の中で、作者の世界を“再構築”する訳です。言わば映画もひとつの解釈例。自分の原作解釈とは随分違いますが、監督の“理解”は面白いと思いました。遺体をバラバラにする主婦たちの会話。「まずは頭を落としましょう」「魚じゃあるまいし」。水着に着替えるかどうかで、じゃれあう2人。ニュースの中の出来事が、いざ目の前で起きている現実に心が追いつきません。泣きもせず、気も触れず、罪悪感で押し潰されもしない。いつものように笑っている自分に驚きます。追い詰められた4人がカラオケボックスで集うシーンが秀逸。『人生いろいろ』の歌詞が彼女らの生き様にオーバーラップします。挿入される解体場面。えも言われぬ不快感が胸を過ぎります。忘れていた古傷が疼くような。ああ、こうやって今までも不具合に目を瞑り、自分を騙してきたのだと気づかされます。何も今回が特別なことじゃない。法という枠組み、倫理観の縛り、自分が知っている自分を、飛び越える「OUT」。境界を踏み越えるのはかくも容易い。終盤の流れは映画オリジナル。これがまたいい。雅子と邦子を乗せたトラックが、大平原の一本道をひた走ります。脇道が無いのは、選択肢が無いあかし。彼女らの行く末の暗示です。先は霞んで見えません。これを恐怖と感じるか、希望と捉えるか。邦子はともかく、雅子の瞳には後者の輝きがありました。しがらみを捨て去った開放感と、人生の半分を無駄にした虚しさが入り混じった眼差しでした。最後にキャスティングについて。間寛平は普段のイメージが少し邪魔をしました。香川は滅法上手い。室井、倍賞、西田は100点。原田美枝子は200点。彼女の描いた雅子の魅力的なこと!素っ気無い口ぶりがたまらないです。あの雅子なら、家庭の崩壊も、一連の事件の成り行きも、妙にしっくりきます。イケてる女は、倒れてもまた、立ち上がる。
[DVD(邦画)] 8点(2009-06-05 18:44:57)(良:2票)
106.  重力ピエロ 《ネタバレ》 
人は規則に従って生きている。社会活動の規範は法律。人としての在り方を示す道徳。そして自分の中のルール。罪を犯した葛城は、一度法によって裁かれました。しかし彼は意に介していない。彼のルールでは、何ら自身に非は無いから。魚を盗ったノラ猫を窃盗罪で起訴するのは無理な話。真に葛城を裁けるのは、彼が認めるルールのみです。それを見極めるために春は何度も葛城に会った。回りくどい遣り方で彼の良心に問い掛けた。自認するスタンダードで“正当に”裁かれた葛城については、この際どうでもいい。問題は春です。葛城が言う「自分の心は痛まない」は、春にも当てはまるのか。答えはおそらくYES。春に潜む凶暴性は、父の血を引いている。ただし、彼にはもう一人父親がいます。唐突に“降ってきた”命を全身全霊で受け止めた男。誹謗や蔑みを恐れぬ強い心を持った男。奥野の選択を道化と揶揄する人もいる。でも凄い事を凄いと思わせない事が、いちばん凄いこと。ピエロは笑っているから最強なのです。奥野もまた、自分のルールを持った人間でした。葛城と同じです。違うのは自分のルールに従う理由。強いから従うのか、弱いから従うのか。春のはにかんだような笑顔は、どちらの父親に似ているのでしょう。キャスティングについて。加瀬と岡田については文句なし。それぞれの血を引く父親、小日向と渡部との相性も抜群です。ただ、若き日の小日向にヅラを被せた事や、年増の鈴木京香には違和感がありました。若作りする必要は?でも観終わって納得。この夫婦の年齢は物語に深みを与える重要なファクターと考えます。養蜂にも意味がある。ミツバチの生態が奥野家の姿と重なります。遠心分離機の2枚の巣板は、DNAの二重螺旋の暗示か。奥野正志の生き方を象徴するような優しい音楽の使い方もいいです。細部まで創りこんだ映画。素晴らしい。
[映画館(邦画)] 8点(2009-05-27 18:25:49)(良:1票)
107.  スーパーノヴァ(2000) 《ネタバレ》 
描かれる生命の神秘。ミニマムレベルの人の性交から、果ては宇宙の再生まで。そのふり幅の大きさに心奪われます。現代より遥かに進化したテクノロジーを持つ人類。しかし価値観は現在のそれと大差ない様子。セックスの悦びに溺れたかと思えば、女を寝取られ嫉妬に狂う。子を産みたい女の本能が相手の男を品定めする。愛って何?遺伝子の欲求?文明が進んでも、人という生き物の本質は変わらない。いや、プログラマーとコンピュータの恋愛は、半歩くらい次のステージに進んでいるのかも。新人類カールVS旧人類の戦い。不死身のターミネーターへ、ロボットを使ってのファックユーポーズ。気分爽快です。ただ、カールに同様のポーズをさせておく伏線を張っておけばカタルシス倍増だったかと。次元ジャンプのイマジネーションも素晴らしく、これぞSF映画という感じ。爆発から起こる新しい宇宙の誕生と、射精から生まれる新たな命の対比。次元ジャンプ≒セックスか。堪能しました。最期にオチの付け方について。DVD特典「もう一つのエンディング」では明確に人類の滅亡を予告しています(約250年後)。それに対して本編の方は、人類が生き残る可能性を示唆しています。滅亡するかも知れないが、人は次の次元に進むかも知れないという。約50年後に来る審判の日。正直自分があと50年生きるのは無理っぽいけど…なんとか頑張ってその日を迎えたいと思えます。断然オリジナルのエンディングの方を支持します。
[DVD(字幕)] 8点(2009-05-15 18:58:05)
108.  グミ・チョコレート・パイン 《ネタバレ》 
「ニューシネマパラダイスみたいでしょ」手紙の真相が明らかになった際に、大森が観客に語り掛ける件は、照れ隠しであると同時に、“実際はそんな美談じゃないんだよ”という警告でもあると感じました。想い出は美化されるもの。時を重ねるほど、今が厳しいほど、そうなる気がする。例えば山口美甘子が病気ではなかったら。主人公が今に満足していたらどうか。甘酸っぱくてほろ苦い青春の1ページは、誰の胸にも眠っているもの。ただそれだけです。そう、それだけ。そう思い込まないと現実に負けてしまいそうになる。あのとき告白していれば…なんて絶対に考えちゃダメです。そう自分に言い聞かせて涙を拭きましょうよ(泣笑)。それにしても黒川芽以は素晴らしい。何がって、そりゃあのスタイルが。もうパーフェクト。自分は細い女性が好みですけど、あの絶妙のふっくら感にメロメロ。眩しい笑顔と心地よい声、親しみ易い性格。そりゃ主人公じゃなくても惚れる。黒川芽以は最高でした。その他の配役もよく合っている。そして皆上手い。石田と大森の見た目の違和感も、話し方を合わせる事でカバーしていました。主人公と自分は、ほぼ同年代。自身の高校時代を鏡に映したような痛痒い映画で、リアリティ満点でしたが1箇所だけ気になった点が。それは○ナニーシーン。音楽を取り入れるのはいい。聴覚も有効活用するなんて見所がある。好きな女をおかずにしない心意気も買いたい。でも無防備ぶりには呆れます。母親に見つかるなんて、戦場で撃たれたと同じ。周りに細心の注意を払うのは初歩の初歩。それが同居オ○ニーの醍醐味でもあります。敵の存在を察知するための仕掛け、最悪見つかった時の言い訳の準備、終わった後の罪悪感を薄めるためのアイテム等、オナ○ー道は奥が深い。ただ抜くだけだと思ったら大間違い。そう簡単には有段者になれません。ってどんな締めだ。
[DVD(邦画)] 8点(2009-05-06 19:26:20)(笑:1票) (良:1票)
109.  ミスト 《ネタバレ》 
霧の中には人を襲う何か。身の危険を感じた住民たちはスーパーマーケットに立て篭もる。巨大生物系のパニック映画や名作ホラー『ゾンビ』を彷彿とさせる展開です。子を守る父親が主人公という設定は、『宇宙戦争』(2005)と同じ。自分も人の親。恐怖で身を硬くして画面に見入りました。外の化け物は確かに恐ろしい。けれど内の人間も同じくらい怖かった。たった一人の女に扇動されたヒステリー集団。彼らに恐怖を感じるのは現実味があるからです。学校や職場を思い出してみると分かる。集団には派閥があり、リーダーが存在した。目的は一緒のはずなのに手法で対立する。群れに身を置くことはストレスを伴う事。疎外されやしないか、虐められないかと神経を使う。その緊張感を知っているから、宗教女の暴走を絵空事とは思えなかった。主人公には強く共感できました。極限下においても、自分と息子と仲間の事をバランスよく考え行動できた。なかなか出来る事ではありません。彼の選択は間違っていなかった。ただ1点の最悪のミスを除いては。銃を手にした事。太刀打ち出来ない怪物を目にしたタイミング。そして息子との約束「僕を怪物に殺させないで」。全ての状況が、彼に最後の決断を迫っているように思えます。死ぬしかないから死ぬ。自殺する人間の心境が分かりました。せめてもの慰めのため。でも霧は晴れました。決して晴れることはないと信じて疑わなかった霧が。霧がかかっていたのは自身の心であった事に気付かされます。今まで観た映画の中で一番恐ろしかった。もう観たいとは思いません。心が痛すぎる。辛過ぎる。でも絶望した時には、この映画のことを思い出そうと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-03 17:59:14)(良:4票)
110.  ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ 《ネタバレ》 
チェーンソー男との戦いは、絵理と陽介の心の中の出来事。共に大切な人を亡くしたばかりの憔悴した心が作り出した幻。しかし顔に傷は残っていた。チェーンソーに割られた水筒も消えてなかった。先生のバイクは黒焦げです。妄想オチでお茶を濁していません。このファンタジー処理がとても気に入りました。チェーンソー男は実在したということです。少なくとも2人にとっては。関めぐみが市原に冒頭で言う「誰も信じてくれない事は実際には無かったことと同じ」の裏返しとも言えます。「信じてくれる人がいればそれは真実になる」。2人は確かに戦った。それが現実の世界か空想の世界かを問う事に意味はありません。重要なのは戦った事実。生き残った結果。だから今、だらだらと幸せを味わえる。それで十分です。家族も親友も、ある日突然居なくなる。地球もいつか消えてなくなる。そして自分も。命あるものが死ぬのは必然です。誰も逃げられない。だから“どうする?”“どうしたい?”誰でも必ず自問自答する。その答えが本作には在ったと思います。愛しい人が傍にいる幸せ、自転車を2人乗りする楽しさ。それが生きる意味って答えじゃダメですか。本作は至極真っ当な恋物語でした。そういう意味で、本作のヒロインは主人公が一目惚れするくらいとびきりの美人じゃなきゃいけなかった。関めぐみちゃんには花丸を差し上げたい。もちろん市原くんも感情移入し易いキャラクターを創り上げてくれました。彼の相棒もイイ感じです。青春SF?ラブストーリーの佳作でした。追伸。防御力1.62倍の鎖帷子、あれ、欲しい。
[DVD(邦画)] 8点(2009-04-18 21:49:36)(良:1票)
111.  プライマー 《ネタバレ》 
タイムトラベル映画は数々あれど、本作ほど頭を使う作品は滅多に無いと思います。難解過ぎるのはエンターテイメントとしてどうかという気はしますが、本作の場合は許せます。理解するためのポイントは丁寧に(フェアに)説明していますし、それでいて観客を惑わす仕掛けも抜かりない。質の高いサスペンスの趣です。とにかく2回は観ないと始まらない。自分は全容を把握していませんが、もう一度観たいと思わせる魅力のある作品でした。(以下ネタバレを含みます。現時点での考えをまとめます。) 2人が創り出した箱は何でしょう。タイムマシン?いや「人生やり直し機」と言った方が的を射ている。セーブポイントまで戻って、人生をやり直す。株の値動きを見てきたから大金が手に入るという寸法です。夢のような話。でも都合の良い事ばかりじゃありません。箱に入る度、肉体は深刻なダメージを負います。1分が22時間に相当するなら、6時間なら約1年。寿命を削って時間を買っているようなもの。体がオカシクなって当然。字が満足に書けないのは純粋に加齢のため。ダブル(分身)の問題もある。同次元を共有している新しい自分と古い自分。“今の人生は上書きされるための人生か?”その疑念を抱いた瞬間から、遣り切れなくなる。人生の価値が失われる。エイブに至ってはリセットするために分身を手にかけます。もう何が何だか分からない。“幸せになるため”のやり直しで、今まで積重ねてきた全てを失ってしまう2人。残ったのはボロボロの体と日陰の生き方。悲しすぎます。でも時間の重みを、不可逆だからこそ価値のある時の流れを、心底思い知りました。余談)実は本作鑑賞後は、人生をリセットできる感覚がなかなか取れず困りました。大雑把に生活してしまうような。やり直せると思うと生き方が雑になる。イヤイヤほんとに怖い映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-25 18:47:15)(良:3票)
112.  えびボクサー 《ネタバレ》 
面白いかと聞かれると正直どう答えていいか困ります。気軽に人に勧められる映画ではありません。バカ映画には違いないでしょう。でも、そんじょそこらのバカ映画とは一緒にしたくない。そんな気持ちがある。観終わってじんわり沁みてきました。まず気に入ったのは、キワモノ設定に逃げていないこと。スベって当たり前。むしろ設定を免罪符にして、失笑路線に逃げているB級映画がなんと多いことか。でもスベリ笑いは狙うと寒い。それはもう凍える。危険な「スベリ」に安易に手を出して、火傷している人や映画ほど痛々しいものはありません。かく言う自分も霜焼けだらけです。その点、本作は真面目でした。冗談ではなくホントに。バカは真摯に取り組んでこそ光りかがやく。主人公のシャツを見れば分かる。一世一代のプレゼンショー。中年男のシュルダータイツ姿の味わいを知ってくれ!オヤジ最後のマイクアピール。そんな告白知らんがな。相棒の呟きは観客の心の声です。でも主人公の想いは胸に届きました。えびの世話を通じて、彼は必要とされる喜びを知った。使い捨てでは得られない温くもりを感じた。やっぱり100回のゴムより1回の生なんです。スミマセン。カッコ付け過ぎました。でも心意気はそう。それが愛でなくて何なのか。ちょいポチャ娘も成長しました。傷ついた分、大人になった。背伸びして染めた髪はもう元に戻して大丈夫です。ダメ人間はどこまで行ってもダメかもしれない。でも動き回れば何処かに辿り着く。そこは南の島かもしれないし、おデブいや失礼、ダイナマイトバディの腕の中かもしれない。もし今が最低だと思うなら、とりあえず全力で走ってみよう。そう思えただけで大収穫です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-04 18:59:03)(良:1票)
113.  口裂け女2 《ネタバレ》 
「100メートルを3秒で走る」「ポマードと唱えると助かる」等、口裂け女伝説の荒唐無稽なディテールを上手く取り入れた脚本に、まずは拍手を送りたい。でもコレは前作でもやっていること。本作が前作を遥かに凌ぐのは、「恐怖」を主軸とした多様な感情の誘発に成功している点だと思います。来るべき悲劇に備えて、序盤はあくまで穏やかに。ささやかな幸せが丁寧に描かれます。「私きれい?」という有名な台詞や“針を口に咥える”描写等、不穏な空気を演出するスパイスがさり気無く効いています。これらは終盤の伏線も兼ねており、センスの良さと堅実な仕事ぶりが窺えます。事態を劇的に転換させる男の凶行。家族を、未来を、平穏な生活を、奪われる瞬間を目の当たりにして感情が定まりません。惨劇後、生き残った当事者2人の様子がまた秀逸。こういう壊れ方のほうがリアルだと思いました。最大の恐怖は、姉2人の選択。保身のためにある決断を下します。その思考は禁断の果実。「お腹の子のために…」「これからの生活のために…」罪悪感を減らす言い訳なら、幾らでも出てくる。それに非常事態に正常な思考が働かないのも在りそうで怖い。我が身を姉たちに置き換えた時、同じ過ちを犯さないといい切れない自分に戦慄します。自身の心の醜さに気づくことが一番恐ろしい。悲しくも怖いお話でした。なお忘れてならないのが、ショッキングシーンの扱い。どんなに残虐性の高い描写も、何度も出てくれば必ず慣れます。ですから少ないチャンスを効果的に活かすが上策。本作はその術を心得ていました。必須とも言える口裂け女の笑い顔など、たった1度しか出てきません。(惜しげもなくこのシーンを使用している予告編は、本編の前に観ないようご注意ください!)感心しきりの作品ですが、惜しむらくは三姉妹の人選でしょうか。本作で表現される心情は、単色の喜怒哀楽では区切れないものばかり。もう少し複雑な感情を表現できる女優さんなら、尚一層作品の質は上がったと思います。脚本の仕掛けや刺激的な要素が無くとも怖いホラーは作れるという良い見本です。
[DVD(邦画)] 8点(2009-02-22 20:42:09)(良:3票)
114.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
涙腺を刺激されるシーンが多かった事に驚き。いやコレは観る人によると思う。仕事に行き詰っていたり、職場の人間関係に悩んでいたりする人ほど、感じるものがある気がします。本作のメインテーマは、“仕事とは何か”。思わず笑ってしまうような仕事の縄張りから、陽の目を見ない裏方さん、手順段取りの妙。そして厳しさ。若手整備士の迂闊な段取りを咎める先輩整備士。帽子を被らない副操縦士をたしなめる機長。「そんな些細な事」と思います。でもそれは勘違い。プロの仕事に“些細な事”なんて無い。それが人の命を預かる仕事であれば尚更です。そう、頭では分かる。口では立派な事が言える。でも素直になれない自分がいるのも事実なのです。つまらないプライドが邪魔したりね。だから整備士やパイロットが叱られている時は、まるで我が身のように痛かった。そして改めて思いました。耳に障る事を言ってくれる人ほど有り難いものは無いということを。本作で叱られていた未熟者たちは、みんな成長したと思う。成長させてくれた人に、その機会を与えてもらったことに、感謝しなくては。自分と照らし合わせて無性に泣けてしまいました。個人的な事情はさて置いても、全体的に笑いは少なめだったと思います。物語後半はシリアスモードなので、お気楽な前半でもう少し笑いを稼げると良かったかもしれません。また時任三郎や寺島しのぶ等、プロフェッショナルの存在感が強すぎて主役が目立たなかったのも惜しい。もっとも主役がかすむくらい脇キャラが立っている映画というのも面白いものです。またこの手の映画の定番でありながら、安っぽいモノになりがちな恋愛要素も「頑張っている人へのご褒美」に思えて嬉しかったです。劇場の座席を機内にみたて、大スクリーンで鑑賞するのがお薦め。良作だと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2008-11-23 19:45:42)(良:5票)
115.  ゾンビーノ 《ネタバレ》 
「人間とゾンビの共生」という設定は、某英国産の傑作ゾンビコメディに通じるもの。ブラックテイスト豊富な“笑える”映画を想定していたのですが、これが大違い。ずっとずっと真面目なヒューマンドラマでありました。ゾンビは死んでいるの?生きているの?少年の抱く素朴な疑問は、ある使用人いや“使用死人”ファイドとの交流を通じて観客へも問い掛けられてくる。家族の在り方とは?人間の尊厳とは?観客それぞれ、感じ取るものがあると思います。不謹慎かもしれませんが、自分は老人が家族の中にいる生活を連想しました。親と子、夫と妻、隣人。それぞれの立場で、その時の状況で、関わり方は違ってくる。正解は一つではありません。でも一緒に生活を営む上で不可欠なものが少し分かった気がします。みんな演技も素晴らしかった。とくにゾンビ2人。ファイドと(勝手に命名)カチカチ娘が抜群。極限まで抑えられた喜怒哀楽の表現がお見事でした。彼らの好演が作品の質を高めています。大好きな映画が一つ増えました。最後に不満というか気になった点をひとつ。首輪の抑制なしで“理性”を発揮してみせたファイド。だから家族に受け入れられたでしょうが、お手軽に処理してしまった感は否めない。「ゾンビのお約束」からも外れてしまう。凶暴性そのままに共生の道を模索できたら、画期的なゾンビ映画になっていたと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2008-11-08 19:21:27)(良:1票)
116.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 
開始20分で、これは良い映画(自分に合う映画)だと確信しました。ポイントは2箇所。まずは主人公が廃墟の迷宮を目の前にした場面。彼女は手にしていた本を“落したまま”、ラビリンスへ駆寄ります。ドラマでよく目にする定番の表現です。“驚き”や“没頭”を意味する。でも実際にはそんなことしない。落とした物は拾います。普通は。これは演劇におけるある種の記号。リアルさを追求する映画なら使わないほうが上品です。でも本作の場合は効果的だと思いました。彼女のパーソナリティと作品の立ち位置が一発で分かります。大佐が兎狩りをしていた父子を尋問するシーン。酒瓶の底で鼻の頭をガツンガツンガツン!!!大佐の本性が顕となり、強烈な驚きと痛みが物語への求心力に繋がります。掴みが上手い。どんなジャンルの映画でも大切な要件ですが、殊更ファンタジーでは、早い段階で作品世界へ観客を引き込むことが重要と考えます。主人公が目にする幻惑の世界。予想通りそれは彼女の心が創り上げたものでした。人は辛い現実と常に向き合ってはいられない生き物。夢と空想、現実逃避を織り交ぜながら、現実と折り合いを付けていく。でも少女の場合は偏り過ぎた。その技術を身に付けられなかった。想像の世界の中で幸福に包まれるよりも、辛い現実の中に幸せを見つける事の方がどんなに価値があることか。この世の“真実”を知らずに死んだ少女が哀れでなりません。ただ、自分の幸福よりも弟の身を案じることが出来たことは救い。彼女がこの世界で見つけた唯一の真実だったのかも知れません。
[DVD(字幕)] 8点(2008-11-02 17:54:28)
117.  エンド・オブ・ザ・ワールド<TVM>(2000) 《ネタバレ》 
完全版を鑑賞。正直、「3時間半は流石に長いだろう」と思っていましたが、なかなかどうして、飽きずに観られました。最初の1時間はほぼ現状説明に費やされます。核戦争後の世界。人類は滅亡の危機に瀕しているという。だのに悲愴感や滅亡への恐怖が感じられません。木々は青々と生茂り、人々の生活も日常の中にある。昨日と変わらぬ今日が来たように、今日と変わらぬ明日が来るだろう。そう思えるのです。しかしこの認識が途方も無く甘かった事に気付かされます。スカイダイブした後にパラシュートを付けていない事に気付いたような。“楽観”は決して悪ではありません。生きていくための知恵。でも現状認識を鈍らせ、想像力を狂わせる作用も孕んでいる。楽観も過ぎると、しっぺ返しを食らうかもしれない。人類滅亡を描いた物語でありながら、死体がほとんど出てこないのは特筆モノ。直接的な“死”を扱う描写は驚くほど少ないです。多分製作費に起因するのでしょうが、結果的にコレが良かった気がする。壊れた大橋。人のいない街。それで十分伝わりました。取り返しのつかない過ちを犯したことが。死体を出さずに、観客に死を意識させることに成功していると思います。それに結果を見せなければ結果を想像出来ないようなら、核戦争は絶対に防げないとも思う。それにしてもこの邦題とDVDパッケージはナイ。日本の配給会社の苦心の程が想像出来ますが、B級C級パニックものを期待したであろう観客の精神的ダメージは大きいでしょう。シュワちゃん主演のオカルトアクション映画の題名にも被ってるし。
[DVD(字幕)] 8点(2008-09-23 19:53:35)
118.  デート・ウィズ・ドリュー 《ネタバレ》 
ご指摘のレビュワー様もおられるように、雰囲気はモーガン・スパーロックのドキュメンタリーのよう。でもかの作品のように洗練されていません。展開に戦略性が足りない。本当に素人が行き当たりばったりで撮ったみたいです。ドキュメンタリー映画としての完成度は決して高くありません。でも、心に響きました。観終わって不覚にも涙しました。半分は頑張った主人公に感動して、半分は彼が羨ましくて。“リスクを冒さないのは、人生の浪費だ”その言葉が胸に刺さりました。若い頃は金もないし、地位もない。守るべきものなんてありません。裏を返せば何でも出来るということ。誰でも知っています。でも実践は意外と難しい。周りの顔色を窺って、ちっぽけなプライドを守って、当たり触らず生きてきた自分を呪う。人生、一度くらい無茶しなきゃ。当たらなくてもいい。とりあえずバットは振っておかないと。主人公(監督)が、この“冒険”で手にしたのは何か。お金?自信?業界へのコネ?いや違う。彼が手にした最大の宝物は、「死ぬ間際にニッコリ出来る権利」だと思いました。彼がこの先、悲惨な人生を歩んだとしても(失礼)、この冒険譚は彼の心を満たしてくれるはずです。自分はこの権利を手にするために生きている気がする。よーし、明日から毎日長澤まさみにファンレターを書くぞ! ←コレは違う。
[DVD(字幕)] 8点(2008-09-19 21:15:39)(良:1票)
119.  クワイエットルームにようこそ 《ネタバレ》 
精神病院を扱った映画とくれば、真っ先に思い出されるのがジャック・ニコルソン主演『カッコーの巣の上で』。紛う方なき名作です。個人的にも大好きな映画。本作は日本版『カッコー』という趣ですが、印象は随分違います。めちゃくちゃ軽い。かなり笑えます。でもそこが本作の長所だと思いました。デリケートなテーマをコメディで味付け。でもおふざけじゃない。この姿勢が気に入りました。患者を“あっち側の人間”と捉えると、途端につまらなくなります。腫れ物に触るようなアプローチでは心に響きません。でも“あっちもこっちもない”なら、遠慮は要らない。イジってOK。笑わせてナンボです。頭を燃やす人、世界の仕組みに気づいた少女、イっちゃってる放送作家、“顔だけ男”女医。みんな立派に変人です。どこかで線を引くことに意味があるとは思えない。退院した医者の妻も、セーフティゾーンに居る訳ではなかった。心が負荷に耐えられているかどうか、内なる闇に気づいているかどうかの違いだけ。そういう意味で主演の内田は適任でした。脇を固める上手くて濃い役者たちのおかげで、彼女の常人ぶりは際立っていました。此処に来るのは、なにも特別な人じゃない。救いの空間、クワイエットルーム。世間と隔離された世界。ある種のファンタジーです。鯛やヒラメが舞い踊る竜宮城みたい。もちろん歌は『恋のフーガ』。其処から現世へは、何も持ち帰っていけないのがルールです。玉手箱を開けてもロクな事はありません。心と体に栄養を補給したら、また現実と向き合おう。後ろは気になるけど、今は振り返らなくていい。残念ながら本物の竜宮城は何処にもありません。でも、クワイエットルームなら、ここにある。
[DVD(邦画)] 8点(2008-08-14 18:36:13)(良:1票)
120.  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 《ネタバレ》 
頭の先から尻尾まで極上のアドベンチャームービー。始終ワクワクしっ放しでした。流石スピルバーグ、やっぱりインディ・ジョーンズ。サービス精神と遊び心が満載でした。青年のバイクネタがイイ。序盤大活躍の単車をわざわざ空輸。にもかかわらずその後は一切出番なし。この「すかし」にニヤリです。迫力満点のアクションにクラクラしました。劇場の大スクリーンで観なきゃ損です。賛否あるXファイル風のオチですが、個人的にはアリだと思いました。アークにしても聖杯にしても人智の及ばぬ領域。“未知なる物に対する興味と畏敬”という点では、前3部作と変わらないと思います。またジョーンズ博士の年齢についても全く気になりませんでした。ロートル?とんでもない。現役バリバリですよ。ラストがいいじゃないですか。若者に活躍の場を譲るのではなく、「まだまだ俺の時代は終わらない」とばかりにカウボーイハットを奪い取るオヤジ。この先、続編があろうとなかろうと、インディ・ジョーンズの冒険は観客の心の中で続いていくのだと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2008-07-30 19:24:07)
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