121. ディパーテッド
オリジナル三部作と比べるまでもなく、出来はイマイチだと思います。キャスティングに関して言えば、最大の敗因はやはりJ・ニコルソン。オリジナルのサムの貫禄や奥深さなど微塵も感じさせず、ただの危ないオッサン。『インファナル・アフェアII 無間序曲』のラストに涙した自分としては、あの「軽さ」に違和感を感じずにはいられません。違和感といえば、この物語を「ビリー~コリン~フランク」の三本柱の話に変更した点。オリジナルでは「ヤン~ラウ」の話と同様(むしろそれ以上?)に「ウォン~サム」の話が重要だったのだが、本作ではあっさりと後者を放棄してしまったため、警察vsマフィアの対立構造が弱くなっただけでなく、潜入捜査官としてのビリーの苦悩が十分伝わらなかったような気がします。香港返還という時代の変化さえも味方につけたオリジナルの完成度と比較するのは酷かもしれませんが、どうしてもオリジナルの上っ面だけをなぞった二番煎じの印象は払拭できないです。 [映画館(字幕)] 6点(2007-08-05 15:56:52)(良:1票) |
122. 鉄コン筋クリート
映像のクオリティは確かに物凄いけど、肝心のお話がイマイチ。特にクロが壊れていく後半部分なんて『エヴァ』最終回付近の展開と殆ど同じにしか見えない。シロやクロの超人的身体能力、シロの不思議な力、宝町を仕切るヤクザのバックグラウンドなども最後まで見えてこず、結局は映像を楽しむしかない。雰囲気は決して悪くはないので、非常に勿体ない作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2007-08-05 15:35:09) |
123. オーシャンズ12
今回の仕事の動機の「中途半端さ」がこの映画そのものを象徴しているように思えます。そう、何から何まで中途半端。せめてシリアス/ギャグのバランスを前作と同じ程度にしておけばまだよかったのかもしれないが、中途半端にギャグを入れたりイイ話を入れたりで非常にバランスが悪い。個人的には一大ギャグ映画にした方がよかったと思います。そうしないとあの脅威の「監視レーザー通り抜け」のプロットがバカみたいに見えるし。 [DVD(字幕)] 2点(2007-08-05 15:28:18) |
124. オーシャンズ11
う~ん。豪華キャスト競演とは言いつつも、結局コレってクルーニーの「オレ様映画」では? ストーリー展開や金庫破りの計画無視してやりたい放題じゃん。肝心の金庫破りも、念入りに予行演習を行なうことでリアリティを出そうとしているのかもしれないけど、冷静に考えると辻褄が合わない部分ばかりで興ざめ。これなら『ダイ・ハード』のハンス・グルーバーの方が一枚上です。 [DVD(字幕)] 4点(2007-08-05 15:19:10) |
125. カリートの道
『スカーフェイス』より10倍上品な映画(?)。仲間の裏切りをきっかけに破滅へと向かっていく基本的な話の流れは似ているものの、堅気になって人生をやり直そうとしている分、狂犬トニー・モンタナより本作のカリートの方が感情移入しやすいかもしれません。結末を冒頭でばらしていますが、だからこそ最後のカリートの孤独な戦いが哀れに見えてしょうがない。切ない映画です。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-05 15:11:29) |
126. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 無軌道な若者たちが勝手気ままにやりたい放題な前半部分はちょっと退屈だった反面、サスペンス色を帯び始める後半部分は非常に面白い。ま、それでも面が割れているくせに他人に成り済ますというのはやはり無理があるような気もするが…。ヒッチコック映画のような衝撃のオチも素晴らしいです。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-05 15:02:58) |
127. 大脱走
脱走後の展開にちょっとモタモタ感があったけれども、総じていい映画だったと思います。それにしても、当時の収容所ってあんなにヌルかったんですかね? 脱走を企てても独房に入れられて終わりなんて。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-05 14:59:16) |
128. バグダッド・カフェ
《ネタバレ》 鑑賞中、ずっと「これは久々の傑作や!」と思いながら非常に楽しんでいたのだが、思わぬ形で大ブレーキ。あのマジックショーは正直必要なかった。それまでの展開から考えてもちょっと飛躍しすぎだと思う。僕としては、ブリンダは最後までカリカリしたオバちゃんであってほしかったです。これってもしかして「完全版」の追加部分なんでしょうか。だとしたらショック。『ニュー・シネマ・パラダイス』以来のショック。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-05 14:56:31) |
129. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
《ネタバレ》 本作のような『ベン・ハー』級の長尺映画となると、相当話が面白くないと正直観ていてキツい。で、この映画、ストーリー自体は悪くなかったけどやはり無駄な装飾が多い気がします。何とかがんばって3時間前後まで縮められなかったのだろうか。何かと話題のラストの解釈については、僕は最初からあれはヌードルスの都合の良い「幻想」だと思ってました。空白の30数年が全く描かれていないことがその決定打のように思われます。 [DVD(字幕)] 6点(2007-08-05 14:45:28) |
130. ある子供
若者の精神年齢が下がっているのは日本だけではないんだなぁ。とはいえ、いきなり生まれたての自分の子供を売るか? しかも嫁に「また作ればええやん!」なんて普通言うか? 嫁も嫁でちょっと社会人としての常識に欠けるところがあり(つうかこんな旦那を選んだ時点で既にどうかしてる)、観ていてひたすら辛い。でも逆に、そのバカ同士がお互い途方に暮れ合うラストはよかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2007-06-09 16:49:01) |
131. エレファント
あの日の出来事を忠実に再現しているわけではないという点を差し引いても、この映画の衝撃はなかなかのものでした。同じ人物を様々な角度から追い、さらに複数の人物のエピソードを幾重にも重ねることで、本当にごく普通の高校の日常風景にしかみえなくなる。そしてそんな中に突如、しかもごく自然に侵入してくる実行犯。ハッキリ言って何のメッセージも主張もない映画ですが、この映画自体が「ある日常の断片」であることを考えると、それはそれで正解だったのかもしれないです。 [映画館(字幕)] 7点(2007-06-09 16:34:30) |
132. ストレンジャー・ザン・パラダイス
「ワンシーン/ワンカット」の画面構成が非常に印象的(最初は違和感を感じましたが…)。別段大きなドラマがあるわけでもなく、その日その日を何となく生きている3人の若者のグダグダな生活の断片を、文字通りブツ切りにして並べただけのような映画。このテの映画ってあまりグダグダすぎるとただ単につまらない映画で終わってしまうけど、この映画の場合はその辺のさじ加減が絶妙。どこがどうというわけでもなく絶妙。内容よりも雰囲気を楽しむ映画のように感じました。 [DVD(字幕)] 8点(2007-06-09 16:22:24) |
133. 十二人の怒れる男(1957)
《ネタバレ》 そもそも少年がシロだって確信している訳でもないくせに「何となく無罪」「みんなクロ判定だから」的な切り出し方をするH・フォンダの姿勢はいかがなものか。実は何かとっておきの隠し球を持っていて、それで一気に場をひっくり返すのかと思いきや、主張のほとんどは単なる屁理屈。確かに説得力はあるしいくつかは真実かもしれない。でも真実じゃないかもしれない。あくまで可能性。それなのに「可能性はある」の一点張りで有罪派に噛み付いたってしょうがないよ。しかしこの映画で一番怖いのは、そんな確信のない証言にひとり、またひとりと自分の主張を変えていく「その他」大勢。十分な議論や検証が行われることなく冤罪が成立してしまうことより、その冤罪が「長いモノに巻かれる」ことしかできない人間(日本で裁判員制度が開始された場合、大多数がこの「その他」だろう)が、その場の雰囲気でなんとなく判決を決めてしまうことの方が、僕は遥かに怖い。というわけでどっちつかずの5点(←おい!) [DVD(字幕)] 5点(2007-06-02 17:39:41)(笑:1票) (良:3票) |
134. 戦艦ポチョムキン
ソ連発の真っ赤な白黒映画。政治的な意味合いはさておき、特にオデッサの階段周辺でのモブシーンのスケールの大きさなどには素直に感心してしまった。さすが国策映画、気合いが違います。でもそれを除けば別段面白い話でもなかったので…この点数。 [DVD(字幕)] 6点(2007-06-02 17:22:41) |
135. 監督・ばんざい!
映画監督としての自分を徹底的にパロった前半は「『TAKESHIS'』的再構築か?」と必死に言い聞かせて何とか着いて行けていたものの、後半で突如『みんな~やってるか!』状態になりお手上げ。あの破壊っぷりはとんでもないです。その破壊自体に力があればまだよかったのですが、これがまるっきりダメ。見ていられない。ダイナマイトによる派手なビル解体を期待していたのに、火薬が湿っていたり不発だったりでなかなか壊れず、最後にはヤケになった解体屋がピコピコハンマーで叩きにかかって内輪だけで盛り上がっているのを無理矢理見物させられている……なんかそんな感じの映画。前作に続いて「創造なき破壊」を敢行した北野監督、そろそろその先にあるであろう「創造」の方でもビックリさせてほしいものです。 同時上映の短編も新鮮味ゼロでイマイチ。 [映画館(邦画)] 3点(2007-06-02 17:19:32) |
136. ロッキー・ザ・ファイナル
最後にして初めての『ロッキー』劇場鑑賞。完結編ということでもう始めから終りまでひたすら熱い! 前日に復習として第一作を観てから挑んだのですが、その第一作のエピソードがいろんな形でフラッシュバックするだけでもう胸が熱くなってしょうがない。そりゃまぁ、ストーリー的にはロッキーが再起を思い立つ動機が弱いとか息子とのやりとりがチグハグだとか、ツッコミどころは多々あります。しかしそんなモンはこの映画に賭けたスタローンの気合いと覚悟の前では全く無意味。かつてない程ビルドアップされたロッキーから繰り出される強靭なパンチと飾り気一切ナシの人生訓のラッシュにひたすら酔えばそれでよし! 細かいことは気にするな! あとエンドロールも最高でした。皆がいかにロッキーを愛しているかがうかがえる非常に微笑ましいモノになってますので、最後までお見逃しなく。 [映画館(字幕)] 8点(2007-05-13 10:45:57)(良:1票) |
137. ミッドナイト・ラン
《ネタバレ》 最初はちょっとタルかったものの、飛行機→列車への乗り換えあたりから俄然面白くなり、最後まで飽きることなく楽しく観られました。さすがにFBIが目前に迫っているのにヒョイヒョイとそれをかいくぐっていくあたりはちょっと安易かなとも思いますが、それが決して致命的欠陥にもなっていない。でもできれば奥さんの話をもう少し絡めてもよかったかな、と。車も結局あのままだしね。 [DVD(字幕)] 7点(2007-05-09 20:54:14) |
138. レイジング・ブル
《ネタバレ》 個人的には同じボクシング映画の『ロッキー』よりも、むしろ『スカーフェイス』に近いような気がしました。実力はあるのに、その自己中心的な姿勢から身内にも疎まれ、やがて孤立していくジェイクの姿がどこかトニー・モンタナの姿と重なって見えた。ただしマフィアのモンタナならともかく、堅気のラモッタからそういった自己チューな性格とか破滅思考などが感じられると、どこか興醒めに思えたりもする(あんなに嫁さんをしつこく問い詰めるなよ…とか)。というわけで、デ・ニーロの神がかり的な演技を差し引いてみた場合、それほどは印象に残らなかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2007-05-09 20:46:30) |
139. バベル
う~ん。何なんでしょう、この消化不良感は。既に皆さんが述べておられるとおり、この3つのエピソードが並走して展開される意図がよく分かりません。舞台がチェンジするタイミングがあまりに唐突で各々のドラマにも集中できないし、登場人物にしても皆ワケありの人間ばかりで、どうしてもこの日常の延長上で展開されている物語というリアリティが感じられない(日本編が特に顕著)。リアリティがない以上、ディスコミュニケーションの象徴としての「バベル」という仰々しいタイトルも、どこか虚しく響くような印象を受けました。 [映画館(字幕)] 4点(2007-05-09 20:38:26) |
140. アメリカン・ヒストリーX
《ネタバレ》 う~ん、服役中にデレクが改心するきっかけが何だったのかがイマイチよく分からないし、その話を聞いてダニーがコロッと考えを改めてしまうのも説得力がない。この変わり身の早さに、連中の思想だの信念だのといったモノの薄っぺらさを象徴させているのかもしれないけど、ちょっと納得いかなかったです。ラスト5分付近での急展開も取ってつけたような印象だし。ただ、死んだ親父の意外な過去はなかなか興味深かったです。 [DVD(字幕)] 6点(2007-05-01 22:29:51) |