121. 座頭市 THE LAST
《ネタバレ》 SMAP香取慎吾の座頭市というだけでかなり観る気が失せてしまうが、実際にはかなり気合の入った作りになっており、近年の時代劇の中でもベストの一本と言えよう。特に脇役陣が素晴らしく、言われければ誰だか分からないほど役柄にハマっている反町や、ARATAと豊原功補の存在感のある悪役、何言ってるか全然分からないけど凄すぎる仲代達矢など、かなり充実した面子が揃っている。流血シーンが少ない(手首を斬り落とされても血が出ないって…)、阪本監督の演出意図が分かりづらく編集が雑に見える(見えるだけで本当はきちんと計算されている)など、不満点も少なくないが、ラストシーンには涙を禁じ得ない。正直、たけしと綾瀬はるかの座頭市よりはよっぽど良い。 [DVD(邦画)] 7点(2012-09-27 15:20:17) |
122. るろうに剣心
《ネタバレ》 原作コミックは学生時代に結構見ていた。それを今更実写映画化とは?不安要素の方が強かったが、実際にはかなり満足度の高い内容になっている。まず、主役の佐藤健クンがまさにこれ以上ないほどのハマリ役で、見事に緋村剣心になりきっている。普段ののほほんとした「るろうに」の剣心と、刀を抜いた時の「人斬り抜刀斎」の剣心の使い分けが見事。また、ドニー・イェンと組んできた谷垣健治アクション監督による、本物志向の殺陣が凄すぎて、もう一度スクリーンでこの興奮を体験したいくらいだ。続編を作るなら、役者が旬のうちに、是非「志々雄真実」篇を作って欲しい。 [映画館(邦画)] 7点(2012-09-27 15:14:50) |
123. ただ、君を愛してる
《ネタバレ》 いやね、普段だったらこんな莫迦げた内容の恋愛映画は切り捨てちゃうんだけど、まぁとにかく宮崎あおいちゃんの可愛いこと!眼鏡をとった瞬間なんて、思わず「カワイイ…」と呟いてしまうほどで、もうそれだけで7点献上です。ストーリーはリアリティの欠片もないベタ設定で、人が死ねば泣けるだろうという日本映画の悪い面が出ている。また、主役二人以外のキャラクターの描き込みがほとんどないため、友人たちなんて何のために出てきたのかよく分からないくらい。突っ込みどころをあげたらキリがなく、大学生にもなって同棲している女の子に手を出さないなんて、どんだけ純情なんだよ!とか、病気の友達をおぶって病院に連れて行こうとするバカ学生らが大使館やら外資系なんかに勤めらるわけないだろ!とか、身ひとつでNYに行って、そんな簡単にスタジオに就職できたり、個展を開けるほど世の中甘くないよ!などと、ありえね~展開の連続には眩暈がするが、あおいちゃんのプロモとしてはマジ最高デス! [映画館(邦画)] 7点(2012-09-27 15:01:25)(良:1票) |
124. バイオハザードV リトリビューション
《ネタバレ》 冒頭の巻き戻しスローモーションからして非常に格好良い。正直、前作がひどかったのであまり期待はしていなかったのだが、いい意味で開き直った感があり楽しめた。テレビゲーム原作だということをやっと思い出したのか、つまらない人間ドラマなどは排除して、ステージを一つずつクリアしていくという単純明快なプロットにしたのも良い。また、ジル・バレンタイン、レイン、カルロスといった旧作キャラを復活させてくれたのも嬉しい(でも前作で生き残ったクレアとクリスはどこ行った?)。レイン役のミシェル・ロドリゲスはさすがアクション女優だけあり、銃の構え方からして真に迫っている。それに比べ、ジルのあのへっぽこな撃ち方は何だ!?(髪型も変わっており、『Ⅱ』のジルと同一人物だとは思えないんですが…)一応自分はゾンビ映画という観点から本シリーズを観ているので、今回思ったよりゾンビが大挙出演しているのも嬉しい誤算だった(モスクワゾンビと中島美嘉が良い味を出してます(笑))。『ドーン・オブ・ザ・デッド』や『エイリアン2』の一場面を臆面もなくパクッてるどうしようもなさは、ポール・アンダーソン監督だから笑って許しましょう。 [映画館(字幕)] 6点(2012-09-19 13:46:05) |
125. 酔いがさめたら、うちに帰ろう。
《ネタバレ》 ほんっと~にしょうもない男だな!こんなに観ていてイライラさせられる主人公も珍しいが、これも浅野忠信の演技力の賜物なのだろう。比べては悪いが、例えば『悪人』の妻夫木クンなんかは「頑張って役作りしてます!」っていうのが見え見えなんだけど、浅野さんはそういう気負いみたいなのが全く感じられない。いつもナチュラルでリアル、そしてどこかコミカルさを湛えているっていう稀有な俳優さんだと思う。内容はかなりヘビーで楽しくも何ともないのだが(身内にアルコール依存症の人がいるので尚更)、最後まで飽きずに観てしまった。忌野清志郎の「誇り高く生きよう」がまた泣ける。 [地上波(邦画)] 6点(2012-09-19 08:18:21) |
126. 苦役列車
《ネタバレ》 森山未來がやべぇ!!良くも悪くも、男の駄目な部分、馬鹿な部分を上手く描き出しており、これは森山の徹底した演技アプローチと、山下敦弘監督の確かな演出力の成せる業だろう。山下監督はシリアスに徹しすぎた前作『マイ・バック・ページ』よりも、本作の方が、より本来の持ち味を出せていると思う(『リアリズムの宿』を更に深化させた感じ)。貫太が康子と友達になれた時、また、初めてのボーリングでストライクを出した時の原初的な「やったぁ!」という悦び、そして「俺の友達だったよな?ありがとう」という別れの切なさに涙が出そうになった。康子役の前田敦子は意外なほど昭和の雰囲気にマッチしており、作品次第では「化ける」ことを証明してくれた。今年の邦画ナンバーワン候補。 [DVD(邦画)] 9点(2012-09-18 22:59:12) |
127. キツツキと雨
《ネタバレ》 田舎町で低予算ゾンビ映画の撮影ってシチュエーションがもろにツボで、常にクスクス笑いが絶えなかった。ただ、沖田監督の前作『南極料理人』があまりにも面白かったので、少しハードルを上げすぎたか。役所広司の姉?一家が駅に降り立つと、村の人々がみんなゾンビになっていたというシュールな画が好き(笑) [DVD(邦画)] 6点(2012-09-09 22:25:07) |
128. 映画 ひみつのアッコちゃん(2012)
《ネタバレ》 綾瀬はるか主演で実写版『ひみつのアッコちゃん』と聞き、映画『ホタルノヒカリ』級の地雷を覚悟していたが、意外にも面白かった。子供でも大人でも楽しめる単純なプロットながら、基本は名作『ビッグ』の女の子版。魔法のコンパクトで大人になったアッコちゃん(子役の女の子が可愛い)が、ひょんなことから化粧品会社で働くことになり、周囲の大人たちを感化し、自らも成長していく。魔法で誰にでも変身できるのだが、出色は大杉漣のアッコちゃん(笑)場内が爆笑に包まれました。エンディングも綺麗にまとまっており、細かい突っ込みどころやご都合主義に目を瞑れば、ストーリー上それほど大きな破綻は見られなかった。正直、前日に観た『踊る大捜査線 THE FINAL』よりも、鑑賞後の満足度は高かった。 [映画館(邦画)] 6点(2012-09-09 22:17:45)(良:1票) |
129. 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
《ネタバレ》 (注:ネタバレあります)青島が殉職するかのような予告編はやっぱりフェイクだったのね…。それにしても、「犯人確保」の大事な瞬間にあんなギャグを放り込むとは、ちょっと拍子抜け。慎吾ちゃんはてっきり両津勘吉役でもやるのかと思いきや、最後の方でやっと顔出し。青島とすみれさんのその後がやっぱり気になるところですが、一応これで完結か~。オープニングタイトルでのシリーズ紹介が一番感動した。『3』は同窓会的なノリに終始しており内容は「?」だったが、今回は『踊る~』本来のテーマに立ち戻った感があり、青島と室井さんのコンビ復活は燃えました。でも最後の命令が「バナナ」って(笑)雪乃さんと新城、沖田の登場はファンには嬉しい限り。そして、中西課長役の小林すすむさんのご冥福を祈ります。 [映画館(邦画)] 6点(2012-09-09 05:15:44) |
130. タイタンの逆襲(2012)
《ネタバレ》 前作よりも少しだけ面白かったような気がする(笑)終始いがみあっていたゼウスとハデスが共闘するところなんて、「よ!待ってました!」って感じで、分かっていても興奮する(もともとこいつらが仲良くやってればこんな大惨事にならなかったのに…)。 [DVD(吹替)] 6点(2012-09-06 07:41:08)(笑:1票) |
131. もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
《ネタバレ》 序盤こそはドラッカーの「マネジメント」を高校野球に活かそうという試みがユニークだが、後半はただの青春映画になってしまい、ドラッカー関係ないやん!って思う。ただ、書店での石ちゃんと青木さやかの変なコントは不要だし、映画的には後半の熱血スポ根青春篇の方が断然面白いのだ。ここらへんのバランス感覚の悪さがこの作品をあまり評価できないポイント。この題材なら、もっと上手く料理すれば、ブラピの『マネーボール』に匹敵する野球映画になれたのに…。前田敦子と峯岸みなみはAKB48の中でもあまり可愛くない方だと思うんですが、ファンの方ごめんなさい。 [地上波(邦画)] 5点(2012-08-30 08:44:26)(良:1票) |
132. ブラインド・フューリー
いかにも80年代らしい痛快アクションだが、『座頭市』のハリウッド版リメイクというところが異色。ルトガー・ハウアーが抜群の存在感で魅せる(野沢那智の吹き替えも良い)。シリーズ化しても良さそうな内容だが、これ一作きりということは本国でもあまりヒットはしなかったのだろうか?誰かにリメイクしてほしいものだ。 [地上波(吹替)] 5点(2012-08-29 10:00:02)(良:1票) |
133. さまよう刃(2009)
《ネタバレ》 原作ファンには概ね不評なようだが、これといってストーリーが破綻を来たしているわけではないし、原作を読まなければ内容が分からないといった類いのものでもない。基本ラインはブロンソンと同じ復讐映画のひとつで、この手の作品は昔からある。そこで展開にひと工夫ほしいところだが、それはあまり感じられなかった。被害者と加害者双方の立場というものはあるだろうが、この作品では第三者である警察と民間人が事件に深く関わってくる。若い刑事は殺人犯となった被害者の父親に情報をリークし、ペンションの管理人は娘思いの父親だという理由だけで犯人に猟銃を手渡している。彼らにとっては〈良心〉からの行動だろうが、悲劇を助長させたのは彼らのそのような誤った善意であり、我々は同じ愚を犯してはならない。もちろん、少女をレイプした上殺害するような連中は、未成年であれ死刑になれば良いと自分も本気で思っている。 [地上波(邦画)] 6点(2012-08-28 22:22:54) |
134. プロメテウス
《ネタバレ》 確か企画段階では『エイリアン』のリメイクという話がでていたと思うが、蓋を開けてみれば、今流行りのエピソード0的な内容だった。しかし、『エイリアン』の焼き直しとしても観ることができ、79年当時では技術的に映像化不可能だった部分も改善されている。犠牲者の腹を突き破るチェストバスターのシーンは手術ロボットの帝王切開シーンに置換され、本作での最も「痛い」見せ場になっている(レーザーで腹を切り開いてエイリアンの幼虫を無理矢理取り出した挙句、ホッチキスでバスバス傷口を縫い止める。あんなことして内臓が傷つかないか?)。人類の起源という話から始まり、唐突にエイリアンが出てくるのだから、予告編を観て『2001年宇宙の旅』のような内容を期待していた観客はビックリしただろう。ヒロインのノアミ・ラパスはシガーニー・ウィーバーの再来を思わせる熱演、シャーリーズ・セロンの美しいビッチ振り(コントのような死に方が最高)、ガイ・ピアースは終始老人メイクで誰か分からんよ!(てっきりエンジニアに若返らせてもらってご尊顔が拝めるものかと思いきや、あっさり殺られてるし!)結局エンジニアの行動原理が分からないので、中途半端な感じで終わってしまうが、この後、貨物船ノストロモ号が信号を探知してLV426に来るのかと思えば感慨深いものがある(でもその場合、『エイリアンVSプレデター』はなかったことになる?)。 [映画館(字幕)] 7点(2012-08-25 10:53:26) |
135. アベンジャーズ(2012)
《ネタバレ》 『キャプテン・アメリカ』だけ観ていないので多少の知識不足はあっただろうが、総じて楽しめる出来。だがやはり『アイアンマン』『マイティ・ソー』『インクレディブル・ハルク』といった作品を観ているかどうかで評価はかなり変わるだろう。前半はダラダラした会話と内輪揉めばかりが続きあまり面白くないのだが(ヒーロー同士の対決を見るのは結構楽しい)、後半、敵の軍勢が攻めてきてからは俄然興奮する。意外だったのが、神様(ソーやロキ)よりも緑の怪物が圧倒的に強くて誰からも恐れられている点。ハルクひとりで敵の巨大ムカデ?を倒せるのだからスゲエ!ロキに「下等動物め!」などと言われ目茶苦茶に叩きのめすところはスッキリ。最後は「社長死なないで~!」って思ったけど、エンドロール後に「『アイアンマン3』公開決定!」だって(笑) [映画館(字幕)] 7点(2012-08-21 09:33:29)(良:1票) |
136. 地獄のモーテル
《ネタバレ》 一応『悪魔のいけにえ』の系譜なのだろうけど、どこまで狙ったか分からないアホさ加減がカルト好きの琴線に触れるらしく、なぜかそこそこ評判の良い作品。人肉ベーコンを売る中年兄妹が実に良い味を出しており、一見そこらの田舎にいそうな感じが怖い。思ったほどグロいシーンはないのだが、畑に栽培された人間たちと、ラストの豚仮面&チェーンソー対決だけで全てが許せてしまう。変なホラー映画。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-18 22:01:15) |
137. わたしは目撃者
《ネタバレ》 アルジェントの作品にしては地味な作風であまり目立たない存在だが、意外とストーリーが練りこまれており、腰を据えて楽しめる出来。盲目の老人と幼い姪、それに若い新聞記者が遺伝子研究を巡る殺人事件に巻き込まれていく。このプロット自体がとても面白く、シリーズ化を望みたいくらいだ。殺しの場面は前作『歓びの毒牙』ほどフェティッシュではないものの、序盤の列車事故と終盤のエレベーターシャフトからの落下シーンは、アルジェント映画の中でも屈指の残虐度。犯人は遺伝子研究により自身が犯罪者の素質のある染色体異常であることを知り、それを隠蔽するために殺人を犯してしまう。その心理的矛盾を考えると、犯人の異常さと哀れさが浮き彫りになってくる。最後に「子供を殺した!」と嘘を言ったのは、そんな殺人者のDNAと訣別したかったからなのではないか? [DVD(字幕)] 6点(2012-08-17 07:00:30) |
138. 歓びの毒牙
《ネタバレ》 ダリオ・アルジェントの監督デビュー作であり、そのエッセンスが存分に詰め込まれた野心作。黒い革手袋をはめた犯人はアルジェント自身が演じており、フェティッシュな殺しの美学は既に完成されている(グロシーンはあまりなく、ナイフが振り下ろされると血がパッと出る程度)。内容的に『サスペリアPART2』と被っており、真犯人に辿り着くヒントなどやや出来すぎだが、B級サスペンスとして充分楽しめる出来。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-17 06:24:10) |
139. サスペリアPART2
《ネタバレ》 「動物三部作」を経て製作された、初期アルジェントの集大成的作品。今では有名な話だが、『サスペリア』よりも前に作られた『PART2』(日本の配給会社が勝手に命名した)。もちろん『サスペリア』とはストーリー上何の繋がりもなく、アルジェントお得意のジャーロものとして、本作を最高傑作と推すファンも多い。確かに『サスペリア』以降の作品はユーモアの欠片もない殺伐とした作風だが、本作ではダリア・ニコロディとの掛け合いなどコミカルに描かれており、惨殺シーンとのミスマッチがうまく効果を上げている。また、映像でしか表現不可能な前代未聞のトリックが隠されており、ミステリファンからも一定の評価を得ているようだ。場違いに唸りを上げるゴブリンのサウンドも最高。 [DVD(字幕)] 9点(2012-08-16 07:28:18) |
140. サスペリア・テルザ 最後の魔女
《ネタバレ》 『サスペリア』『インフェルノ』に続く魔女3部作完結篇。今更こんな映画を観ようなんて人は相当なアルジェント・フリークしかいないだろうから、久々のド直球ホラーに身も心も任せましょう(笑)自分の内臓で首を絞められたり、目玉を串刺しにされたりと、まともな人なら嘔吐しそうなグロシーンが連打。盟友クラウディオ・シモネッティの大仰なスコアが相変わらず場違いに炸裂する。「涙の母」の復活によりローマは混沌に陥り(人々が突然凶暴化するあたり、『インフェルノ』のホットドッグ屋の行動に通じるものがある)、魔女の秘密を知った人々が次々と惨殺される。魔女といってもゴスっ娘(日本人もいる)がキャーキャー騒いでるだけだし、肝心の「涙の母」がただのセクシー姉ちゃんで、ヒロインに服を剥ぎ取られただけで簡単に死ぬのも「?」だが、考えてみれば、このシリーズの魔女たちってみんな呆気なく滅んでいたよな。あんまり難しいことは考えずに、アルジェントの雰囲気にノッたもん勝ちということで、自分は結構楽しめました(ダリア・ニコロディ老けたな)。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-16 06:59:03) |