1381. うつつ UTUTU
題材的にもストーリー的にも、ある意味面白いとは思う。しかし見せ方がなってない。心理劇として描くのか、サスペンス・ミステリーとして描くのかがはっきりしてない。それに、ストーリー上カラクリが明かされるのではなく、終盤にいきなり(観客だけに)カラクリを見せられても唐突に感じるだけ。その上、そのカラクリを宮沢りえに「わざわざ」語らせ、しかもその後に待ってるのが掟破りの夢落ち。更には、ここまで観てきた人なら誰もが想像してるラスト・シーン。この終盤の畳み掛ける様な陳腐さは凄い。これは製作者がそれに全く気づいていない証拠。そして一番のミス・キャストが、専業主婦でありながら全く生活感を醸し出さない大塚寧々。ベッド・シーンも、小島聖だけ胸揉みOKみたいな陳腐な演出。何じゃこりゃ、3点献上。 3点(2004-06-11 16:05:53) |
1382. ぼのぼの クモモの木のこと
何なのかなぁ、この違和感。やっぱ多数のピクサー作品を経験してからこーゆーのを観ては駄目ですね。もちろん技術や脚本等の完成度は比べるまでもないんですけど、それ以前に、このキャラクター達は全然CGに向いてないってことに気がつかなかったのかなぁ。若しくは、何故もっとCG向けにキャラ・デザインを練り込まなかったんでしょうか。だからキャラクターや背景の質感がまるでバラバラで、3Dっぽい所と2Dっぽい所が混在してて凄く気持ち悪い。それがキャラ単体の可愛さを相当打ち消してると思う。ということで、本作で唯一心地好かったゴンチチの音楽に、4点献上。 4点(2004-06-11 16:05:01) |
1383. 王立宇宙軍 オネアミスの翼
これもまた、余りにも高い評価に惑わされてしまった為でしょうか、クオリティの高い映画だとは感じましたが、個人的には今一つな印象。メカ好きでディティールにこだわりたい人達が一生懸命作ったという感じは伝わってきますが(きっと皆さん、余程この打ち上げシーンを描きたかったんでしょうね)、この当時でさえ陳腐なレトロ・モダンの世界観に新しさは無いし、肝心の物語が弱過ぎる。また、インダストリアル・デザインにこだわるのと同じ位、コスチューム・デザインにもこだわって欲しかったです。人によってはこのバランスの悪さが堪らないのかもしれませんが、私的には5点献上。 5点(2004-06-11 16:04:17) |
1384. CUTIE HONEY キューティーハニー
ハニメーション等と誤魔化しても、これは明らかに予算が無いことの言い訳でしかない。が、クロードQ(誰やねん!)作詞の名曲(原曲を意識したアレンジが素晴らしい!)に乗って、TVシリーズのチラリズムを遵守したアニメのタイトル・バックが始まった瞬間、私のハートもついチュクチュクしてしまい、以下、まんまとこの馬鹿映画にハマってしまいました。(原作ではなく)アニメそのままの70年代風ファッション、「夜霧のハニー」までもを挿入歌に使用するリスペクト精神、チープな世界観(と予算)に調和するハニーやパンサークロー一味のお馬鹿キャラ化と、製作の方向性は非常に正しい(コスプレが絵になるアニメ体型のサトエリのキャスティングも正解)。ま、合う合わないはあるでしょうけど、私には中々楽しいひと時でした、6点献上。 6点(2004-06-03 15:10:26) |
1385. プレイガール
「キューティーハニー」の前にサトエリの七変化を楽しみたいなら本作はお薦めです。が、特筆する部分はそこだけ。本来ならこれこそ日本版「チャーリーズ・エンジェル」として、そしてレイティングにがんじがらめにされたハリウッド映画には真似の出来ない、ハード・アクションとお色気満載の(大人の)娯楽映画として作られるべきコンテンツ。ところが、ヘボい演技をヘボい演出が助長し、ヘボいアクションはコマ落としのスローで誤魔化して、更にはヌード・シーンさえ用意していない「プレイガール」とは名ばかりの出来。今時、2時間ドラマだってもっと予算と時間を掛けて製作してるでしょうに、これじゃ折角の企画も台無し。とにかく、映像やセット、出演者からこれほど貧乏臭さが滲み出てくる映画も最近では珍しいです…、2点献上。 2点(2004-06-03 15:09:31) |
1386. みすゞ
劇中、数多く引用される韻文的な金子みすゞ本人の詩に対し、出来上がった映画は余りにも散文的。ぽつっぽつっと取り留めの無いシーンを繋いだだけで(フェード・アウトの使い方に意味が無さ過ぎる)、そこに大きな物語の流れは生まれてこない。また、決して自らの意思を表明しない金子みすゞがどのような人物だったのか、創作や表現の源が何だったのかも映画から読み解くことは出来ない。少女期から最期(26歳)までを田中美里が巧みに、そして魅力的に演じていただけに非常に勿体ない。「昔々、金子みすゞという人がいました」というだけじゃ、作品とは呼べません、3点献上。 3点(2004-06-03 15:08:28) |
1387. ココニイルコト
じめじめじっとりとした「ファストフード・ファストウーマン」。陰気臭い身勝手な女の全く大したことない心のかすり傷が、全く生活感の無い甘々の大阪暮らしの中で癒されるという話。リアルな大阪を舞台にした「大人の」物語なのに、まるでファンタジーの様に生きることの責任や厳しさが欠落してるから、我々個々の人生の痛みを共有し得る題材でありながら、とても物語に共感しようもない。幼少時の意味ありげで無意味な心の傷らしきものや、不治の病に罹った人の死等を登場させなければ話を語れない稚拙さにも我慢ならん。これはええとは言えないんとちゃいますか、4点献上。 4点(2004-06-03 15:07:24) |
1388. ゼイラム2
ゼイラムの設定に「ターミネーター2」と「プレデター」の影響を更に露骨に反映しつつ(てか、完全にパクリ?)、映画全体に仏教美術色を更に濃厚にして帰ってきた美少女カルト映画の続編。ロボット・ゼイラムの武装をチープながらもCGで表現したタイトル・バックがまずカッコ良い。そしてレギュラー・メンバーの再集結に嬉しさが込み上げる(これは幼い頃、毎週楽しみにしていた「仮面ライダー」等のTVシリーズを見ていた時のノリだ!)。神谷と鉄平の活躍等、続編映画のお約束を守っているのも嬉しい。若干製作規模が大きくなったような気がするのも嬉しい。森山ゆうこが相変わらず可愛いのも嬉しい。ランド・マークの選択等も心憎いばかり。これはかなり偏向した評価だと自らも理解していますが、正直な評価でまたまた7点献上。 7点(2004-06-03 15:06:31) |
1389. ビッグ・フィッシュ
印象は「フォレスト・ガンプ/一期一会」と「バロン」を足して「シザーハンズ」で割った感じ、でしょうか。快く思っていない父の人生を辿る旅に出た息子は、嘘だと思っていた父の言葉が全て真実だったと知る。そして旅の終着地、父の今際で嘘と真の違い、そして事実と真実の違いを知る。その違いとは、唯「信ずるか否か」だけでしかない。もう、病床のアルバート・フィニーがビリー・クラダップに「私の死に方を聞かせてくれ」と言った瞬間、涙が溢れてしまいました。こりゃズルイヨ…、こんなのどうしたって感動するって。ま、もちろん原作自体が素晴らしいのだとは思うし、脚本の功績も大きいのだとは思いますが、やっぱりティム・バートンでなければこういう作品には完成しなかったでしょう。癒されるとはこういうことです、8点献上。 8点(2004-06-03 15:05:23) |
1390. 戦場のピアニスト
本作は戦争と人種迫害を俯瞰で描かこうとせず、一人の普通の人間の目の届く範囲だけから描いていく。しかし、その一人の人間の目線から戦争の全体像から細部までが明瞭に炙り出されていく(手抜かり無いディティールが見事)。日々のごく普通の営みが、ある日を境に死と隣り合わせの日常へと変化し、死が当たり前となった数年間はシュピルマンにとって生きることが全て。そこに余計な怒りや悲しみ、ましてや名誉や諦念など存在しない。地獄の中でのサバイバルは全てが余りにも幸運な、文字通りの奇跡でしかなかった。あと、ロマン・ポランスキーがここまで堂々とした演出をしていたことにも驚きました。劇的効果を極力抑えてありながら劇的な作品となって結実しています。これも一つの奇跡でしょうか、7点献上。 7点(2004-06-03 15:04:18) |
1391. リベリオン
余りの評判の高さに期待し過ぎてしまったのでしょうか、観終わってみればどーってことない印象。「マトリックス」の凄さはもちろん特撮にもありましたが、あの世界観や説得力にあった筈です。見飽きた様な全体主義的世界観、「ジャッジ・ドレッド」の様な人の反逆、B級的なセコイ上層部や地下組織等を見せられては、いくらガン=カタ(「銃型」って意味?)の設定やアクションがカッコ良くても、それだけでは他を補いきれてません。しかも強いぞ、強過ぎるぞ、クリスチャン・ベール! ショーン・ビーンやエミリー・ワトソンのキャスティングにも意味が無さ過ぎるぞ! ということで、5点献上。 5点(2004-06-03 15:03:17)(良:1票) |
1392. ジャスティス(2002・ブルース・ウィリス主演)
戦争映画なのか人種問題映画なのか、アクション映画なのか法廷ミステリー映画なのか…。序盤の捕虜輸送のスペクタクル・シーンから後半の質素な裁判シーンまで、色々な要素が絡み合ってお得と言えばお得だし、中途半端と言えば中途半端。しかし陳腐ではありますが、ここで描かれるのは個人にとって何が大義なのかを問う、人間の尊厳についての物語です。コリン・ファレルの一人称の視点によって進むストーリーと、戦争を背景としてだけ捉え、物語から対敵国が排除されていたことによって、個人的には意外に楽しめました。ま、意外にですけど…。という訳で、6点献上。 6点(2004-06-03 15:02:19) |
1393. ロード・オブ・ザ・リング - スペシャル・エクステンデッド・エディション -
いや驚いた。本作は未公開シーンを追加しただけのサービス版じゃない。映画の構成、てか、映画自体が劇場版とはまるで違う。本作ではオープニングにビルボ・バギンズのモノローグが入ることによって、よりすんなりと物語世界に入って行くことができる。ボロミアの苦悩、ロスロリアンの森での出来事等、ストーリーの流れに不可欠なシーンも多数追加。私の様な指輪読者ではない人間には絶対的にこちらがオリジナルであり、劇場版はスペシャル・ショーテンド・エディションといった感じ。これは映画の長さに感動の大きさも比例するという稀有な例です。評価アップの7点献上。 7点(2004-06-03 15:01:14) |
1394. 海猿 ウミザル
マンガの映画化らしく余りにも解り易いキャラ配置で、これまで無数に繰り返されてきた何の捻りも無い青春エピソードを展開する、「愛と青春の旅だち」と「ザ・ダイバー」を合わせた様な映画。伊藤英明君主演ということもあって緩々な映画を想像してましたが、手堅くまとめられた脚本と海上保安庁の全面協力、「踊る大捜査線 THE MOVIE」のスタッフによる娯楽映画作りの巧さで、どなたでも安心して楽しめる仕上がりになっていたと思います。しかし、本作のハイライト・シーンは映画本編の中ではなく、エンド・ロールが終わってからやって来ます。その時の観客のどよめきは流石の私も経験したことがありません。謹告、エンド・ロールが始まって、例えトイレを我慢していたとしても、絶対に席を立ってはいけませんよ、6点献上。 6点(2004-05-25 23:14:07) |
1395. 回路
21世紀の、そして日本ならではの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」。死者の概念が「死体」である西洋的思想と「霊魂」である東洋的思想の違いがデジタルとの融合を可能にし、死体に襲われる物理的恐怖と亡者に呪われる生理的恐怖の違いが独特な世界観を形作っています。発想自体は非常に斬新だったと思いますが、個人的にこの脚本には不満です。主人公を一人にして、その一人が追い詰められていく絶望を描くか、エピソードを五つ位に増やして、日常への死の広がりを俯瞰で描いてくれてたら、更に面白い映画になっていたと思います。そんなことで、惜しくも5点献上。 5点(2004-05-25 23:13:17) |
1396. ハウス/HOUSE(1977)
ま、一言で言ってしまえば確信犯的馬鹿映画。少しイッちゃってる役名やキャラ設定以上に凄いのが、耳を疑う台詞の数々。とにかく彼女達が台詞を喋る毎に爆笑してしまうこと請け合い。そして、仕上がりがどんなにチープでも、溢れ出るイマジネーションをそのまま映像化してしまった思い切り、観客の見たいものを見せようとする徹底した姿勢も凄い(いついかなる所でも風を受ける鰐淵晴子等、演出のツボは外してません)。また、ふんだんにお色気シーンがあることを考えると、本作は決して子供向けなどでもありません。「発狂する唇」など本作の足元にも及びませんヨ、7点献上。 7点(2004-05-25 23:12:32) |
1397. ブルークリスマス
《ネタバレ》 UFO目撃者の血液は青色に変化するというアイデア一本で、いくつものエピソードを同時進行させる倉本聰のオリジナル脚本を、岡本喜八がダイナミックに演出した現代の(と言っても四半世紀以上も前の)魔女狩りを描くSFサスペンス。本作のテーマは未知への畏怖ではなく人心の恐怖だったらしく、UFOや青い血、そして「X-ファイル」ばりの陰謀にまつわる説明は一切無し。従って不気味さはありますが、今一つ説得力の無い仕上がりとなっていたように記憶してます。降り積もった白い雪の上を流れる竹下景子の青い血が、勝野洋の赤い血と混ざり合う美しくも悲壮なラストシーンで、倉本聰は人種融和のメッセージを伝えたかったのだと思いますが、当時は多少がっかりして映画館を後にしました、5点献上。 5点(2004-05-25 23:11:37) |
1398. マリー・アントワネットの首飾り
きっと、もっとドロドロした恨みや執念、そして危険と隣り合わせの復讐というものが物語の根幹である筈なのに、何か全てがとんとん拍子で運び、周りのキャラクターも実にあっさりとした描かれ方。枢機卿にしてもマリー・アントワネットにしても敵役という描かれ方じゃなくて、これじゃ完全に被害者だし、対するジャンヌも悪人なのか善人なのか解らない。そして何より、苦渋に耐える女という部分よりも妖艶な悪女という部分が勝らなければならない主人公に、ヒラリー・スワンクは明らかなミス・キャスト。ま、「首飾り事件」のお勉強という意味で観て損は無かったと思いたい、4点献上。 4点(2004-05-25 23:10:37) |
1399. ルーヴルの怪人
《ネタバレ》 これ、ミイラの霊体(これが信じられない位カビ臭いイメージ)を開始早々登場させなければ、ちょっとしたサイコ・ホラーかオカルト映画として、また、ルーヴル美術館をちょっと変わった視点から堪能できる作品として、そこそこは見られるモノになってたと思う。しかし、今時この映画の作りは何だ? 「怪人」はミイラの霊体だと最初から判っちゃって、どこに怖さや面白さを見出せばいいの? しかもこの怪人、人もあんまり殺さないし、やってることがセコイぞ。憑依する理由も自分が昇天したいだけで、そこには怨念も呪いも無し。そんなの一体誰が怖がる? 3点献上。 3点(2004-05-25 23:09:48) |
1400. マーサの幸せレシピ
確かにこの邦題から私が受けたイメージと実際の中身には相当な乖離があった。しかも神経質でカウンセリングを必要とし、「食べることが嫌いな」、そして多分「食べてもらうことにも喜びを見出せていない」女性シェフ(腕は良いらしい)が主人公ときては、親を亡くしたとはいえ四六時中ふて腐れた子供共々、そこに私を幸せにしてくれるレシピなど見つかろう筈もない。本来ならリナと交わることにより、人間として、女として、そして料理人として一皮も二皮も剥けていくマーサを描くべきなのに、どうも彼女に成長は見られない。彼女の出したラストの結論にも私的には疑問です、5点献上。 5点(2004-05-25 23:09:02) |