1421. オペラ座の怪人(2004)
《ネタバレ》 「オペラ座の怪人」は映画やテレビ、舞台などで何度もリメイクされているので、いつのどの作品なのかが紛らわしい。 初めて観たのが1990年製作のテレビ版で、エリック役がチャールズ・ダンス、クリスティーヌ役がテリー・ポロ、エリックの父にバート・ランカスター。 これはストレートプレイでとても面白かったし、ストーリーがドラマティックでよく練られていた。 キャストもハマっていて、特にテリー・ポロが可憐で印象的。 それに比べて、ミュージカルはどうも相性が悪い。 セリフの代わりに歌うというのが不自然にしか感じられず、どうにも違和感が拭えない。 ミュージカルでも歌の少ないものはまだいいのだが、この作品のように歌の占める割合が多いと無理。 それにテレビ版では怪人の生い立ちがしっかり描かれ、エリック、クリスティーヌ、子爵の三角関係だけではなく、怪人の父親も絡めた愛憎劇となっている。 ところが、こちらはそうした生い立ちが描かれていないので人物造形が浅くなっている。 そのためストーリーに巻き込まれることがなく、感情移入ができなかった。 ストーリー重視派には合わない作品で、ミュージカルの好きな人には魅力的な作品か。 [DVD(字幕)] 4点(2013-05-12 19:29:44) |
1422. ダークナイト(2008)
《ネタバレ》 脚本が非常にうまくて、単なるヒーローものとは一線を画す。 憎しみは狂気を生む。光を闇に変えたジョーカーのたくらみに圧倒される。 どちらも表のコインは、今時こんな手垢のついた小道具をと思ったが、後で別のうまい使い方をしていたので見直してしまった。 [DVD(吹替)] 8点(2013-05-06 03:34:41)(良:1票) |
1423. アメリカン・ビューティー
《ネタバレ》 脚本の出来がすばらしい。無駄がなく伏線も効いていて、予想の裏切り方もお見事。コメディシーンはあるけど、コメディというよりサスペンス性とドラマ性が核になっている。テーマが深く、キャラクターの造形もしっかりしているので、見ごたえがある。 ――というのが初見での感想だったが、二回目はそこまでには感じなかった。どうしてだろう。面白くないわけではないのだが、こちらの感性が少し変わったのか。 娘の友人アンジェラに欲情するダメ親父。娘からは軽蔑されて嫌われ、嫁には相手にされず浮気される。アンジェラが実は処女だったと知り、急にスケベ心が消えて父親の気持ちに戻ったのがちょっと出来すぎ。 悟りを開いたように以前と人が変わっているが、あの年になってまったく人が変わるというのは死に直面するほどの大事件でもないとありえない。それほどの事件があったわけではないのに変わってしまったので違和感を感じてしまった。 見かけとは違う隠された人格ということでは、アンジェラだけでなく海兵隊大佐もそう。アンジェラは臆病で平凡で自信のない自分を隠そうとして、その正反対の奔放な女を演じていた。大佐は厳格な父として息子を監視して支配し、ゲイのカップルを忌み嫌いながら、実は自らがゲイだった。 コンプレックスが違う自分を演じさせた。そこに人間の奥深さを感じる。ダメ親父の場合も隠れていた人格が表れたといえるが、それはこびりついた垢が落ちたかのよう。 [DVD(吹替)] 7点(2013-04-01 01:38:35) |
1424. 鉄道員(ぽっぽや)(1999)
お涙ちょうだいのあざとさは感じるが、役者がいいので引き込まれる。 健さんのキャラがハマっているし、広末涼子も奇跡的なかわいさ。 ファンタジーだがハリウッドとは違い、どこか日本昔話のような日本的情緒に満ちた映画。 [DVD(邦画)] 7点(2013-03-31 01:41:21) |
1425. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
《ネタバレ》 キューブリック監督の風刺が強烈。 ブラックジョークがそこかしこに効いている。 馬鹿な男が次から次に出てきて全面核戦争へと進むさまが笑える。 人類滅亡を前にした緊急事態に小銭をめぐってのやりとりは爆笑もの。 ただ、笑ってばかりもいられず、現実化する可能性を考えると途轍もなく恐ろしい。 ピーター・セラーズの1人3役は気づかなかった。 どの人物もキャラが立っていて存在感がある。 古いモノクロ作品なのに色あせないのは、さすがキューブリックというところか。 [DVD(字幕)] 8点(2013-03-28 01:31:42) |
1426. さんかく
これは面白い! 男のダメさ加減がひしひしと伝わってくる。 丁寧に作られているので、きっちりと前フリも効いていてストーリーの流れに無理がない。 それでいて、ハッとするような展開もあるので引き込まれる。 キャラも配役もとても良かった。 元ヤンで先輩面して後輩にウザがられる単細胞な主人公に、高岡蒼甫。 別れても合鍵を作ってまで付きまとい、親友のマルチ商法に乗せられる女に、田畑智子。 女の妹で、大人と子供を使い分ける15歳女子中学生に、小野恵令奈。男を振り回す小悪魔ぶりが、とりわけハマっていた。 キャラが立っているので、それぞれの会話もウィットに富んで楽しい。 ただ、ラストだけは好みじゃない。 男と姉妹が何とも言えない空気で言葉を発する前に終わっている。 姉が最後にうっすら浮かべた笑みから、男への気持ちが整理できたように感じたが。 その後がいろいろ想像できるものの、もう少しはっきりと描き切ってほしかった。 [DVD(邦画)] 8点(2013-03-27 01:14:57)(良:1票) |
1427. 北京原人 Who are you?
大真面目にこんな大作?を作ったのが切なくておかしい。 確かに評判通りの酷さだが、下には下がある。 それに、片岡礼子の裸のがんばりもあるので1点献上。 [インターネット(字幕)] 1点(2013-03-26 19:17:37) |
1428. ブラザー・サン シスター・ムーン
《ネタバレ》 宗教臭いのは生理的にも受け付けないのだが、人に薦められたこの映画を仕方なく見たところ、意外とよかった。 フランチェスコに感化されていく過程がシナリオ的に不足していると感じるが、その生き様に感じるものはある。 財産をすべて投げ打って神に仕える清貧の生活は、自分にはとてもできないし憧れもない。 聖人すぎてかけ離れた感じがするので共感できないが、尊敬には値する。 特にキリスト教の関係者にとっては、バイブル的な作品になりそう。 ローマ教皇という最高権威との対峙は緊張感が伝わってくる。 フランチェスコに感銘を受けてその足に接吻をした教皇だが、またその側近たちに権威の象徴たる豪華な法衣と冠を付けられる様が、含蓄があって面白い。 [DVD(吹替)] 6点(2013-03-18 21:02:56) |
1429. チャイナタウン
《ネタバレ》 映画脚本のお手本のような作品。 謎が少しずつ明らかになって衝撃の真実にたどり着くまでが丁寧に描かれ、サスペンスの王道といえる。 伏線がきっちり張られていて、もう一度見直すと見落としていた伏線が幾つもあることに気づく。 ラストの片目を打ち抜かれるところにも、見直せばそこに至るまでに幾つかの伏線が。 悪が完全勝利するという後味の悪さはあるが、余韻のあるエンディング。 好きな映画には入らないものの、完成度の高さには感心してしまう。 [DVD(字幕)] 7点(2013-03-17 19:53:48) |
1430. 警告!のぞきアリ。<OV>
《ネタバレ》 主演の愛禾みさがキュートでかわいい。 メンバーの一員だった「桜っ子クラブさくら組」には、菅野美穂、中谷美紀、持田真樹、加藤紀子、井上晴美など意外にメジャーな名前が連なっていてビックリ。 残念ながら歌手としてはさっぱり売れず、女優としても一時期Vシネでヌードも辞さずに活躍したものの、メジャーにはなりきれなかったようだ。 本作では他に沢木麻美、加藤陵子も脱いでいるが、この二人も良かった。 三人ともアタリだったのはVシネでは珍しい。 中でも、沢木麻美がセクシーで高校生役もハマっていた。 哀川翔は友情出演でちょい役だが、余貴美子が脇を固めている。 メインの若い男は難しい役どころだったので、ここにもっとハマる役者が入れば更に良かったのだが。 ほとんど話題にならずに埋もれてしまったVシネにしては、作りは意外としっかりしていた。 脚本担当のこがねみどりは山田耕大の別名のようだ。 ストーリーは従来のVシネとは違ってポップなタッチでテンポもよく、もう少しで面白くなっていたのにという印象。 パソコンおたくの女子高生に一目ぼれした陽一が覗きをする中で、女子高生がチャットの相手に狙われていることに気づく。 その組織はターゲットの女を洗脳してオークションで売っているようだったが、この辺りの描きこみが不足していて唐突な感じ。 「来たるべきあなた」という思わせぶりな言葉が提示されるが、何を暗示しているのかピンと来ない。 組織の実態があやふやに映ってしまい、迫りくる危機がそれほど重大に感じられなかった。 ストーリーにわかりにくいところがあった点が惜しまれる。 [DVD(邦画)] 6点(2013-03-02 00:28:26) |
1431. 紀子の食卓
《ネタバレ》 レンタル家族というモチーフは本作が公開された20年程前に清水有生のデビュー作『正しい御家族』にもあったので、目新しくは感じなかった。 むしろ、いまさら感のある題材だとも感じたが、切り口が面白く、なにかわけのわからない迫力を感じて目が離せない。 同監督の『自殺サークル』を先に見たが、それはまったく受けつけなかったのに、本作はなぜか面白かった。 家族のあり方やアイデンティティの喪失といったテーマに切り込んで、サスペンス性の高いストーリー展開。 哲学的でカオス状態、シュールで理解しにくいところもあるのが残念。 もう少しわかりやすく整理してくれていたら、唸るほどの傑作になっていたような気もする。 あえてモノローグを多用しているようだが、これだけ多いとさすがにうるさく感じられる。 出演者の好演が印象的で、特に吉高とつぐみは役柄にハマっていて迫真の演技。 吉高はこれがほぼ映画デビュー作といってもいい新人だったが、ナチュラルな演技と個性が光り、売れっ子になるのも十分納得の存在感。 [DVD(邦画)] 7点(2013-02-26 21:04:55) |
1432. 北斗の拳(1995)
原作を理解も愛してもいない者が名作を台無しにするのはもうやめてくれ。 それでも『デビルマン』よりはマシか。 ゴキブリとゲジゲジほどの差だけど。 [DVD(吹替)] 1点(2013-02-17 23:01:39)(笑:1票) |
1433. 街の灯(1931)
チャップリンの最高傑作で、チャップリンの才能がいっぱいに詰まった作品。 演技、間合い、ストーリー、すべてが計算尽くされ、オシャレに洗練されている。 セリフなしでこの表現力はまさに芸術品。 酔うと別人格になる金持ちとチャップリンのからみがおかしい。 そして、切なく余韻のあるラスト。 コミカルでハートウォーミングな名作で、後のコントやドラマ、映画にどれだけの影響を与えたかがうかがえる。 パイオニアとしての凄さも加味して満点で。 [DVD(字幕)] 10点(2013-02-16 19:51:06) |
1434. 歓びを歌にのせて
《ネタバレ》 本当の自分らしい生き方を見つける感動系のストーリー。 一流の音楽家の指導でどうしようもない素人合唱団が上達していく過程は、ベタだけれど楽しい。 キャラクターもバラエティに富み、偏狭で不自由な人物が特に小憎たらしくよく描けている。 ただ、傑作というにはちょっと何かが足りない感じ。 DV夫が拘置所で妻に涙を見せるのも、説得力が足りないので感情移入できない。 また、主人公がラストで病気で倒れるのも、あざとすぎたかも。 [DVD(吹替)] 7点(2013-02-14 21:20:05) |
1435. 恋の罪
《ネタバレ》 水野美紀は狂言回し的なポジションで、実質の主演は明らかに神楽坂恵。 体を売る裏の顔を持つ女に、すぐに東電OL殺人事件が思い浮かんだ。 やはりその事件がモチーフになっていたようだが、監督のオナニー臭が強くてわけがわからない。 イカれた登場人物の誰にも共感できず。 同監督の『冷たい熱帯魚』や『愛のむきだし』のほうが面白かった。 ただ、サスペンス性と迫力はあるので、最後まで退屈することはない。 [DVD(邦画)] 5点(2013-02-14 20:24:37) |
1436. キッド(1921)
サイレント映画でもこれほど伝わってくるのはさすがチャップリン。 ただ、ラストがあっけなくてストーリーとしては物足りなかった。 夢のシーンもあまりピンと来ず。 [地上波(字幕)] 6点(2013-02-14 01:44:12) |
1437. ポルノスター
ジャックナイフのイメージがあった頃の千原ジュニアがそのイメージ通りの役どころを演じているが、今みるとコントに見えて仕方がない。 それ以前に、ストーリーがわけわからず、「ヤクザ、いらん」と殺しまくる主人公の背景も描けてないので共感もできない。 ただささくれだったバイオレンスを見せられても、何にも残らなかった。 [DVD(邦画)] 1点(2013-02-11 20:34:36) |
1438. ライフ・イズ・ミラクル
《ネタバレ》 戦時中の設定なのに、悲惨さを前面に出さず、ほんわかとした雰囲気。 捕虜になった息子を取り戻すために、交換要因として捕まえた敵国の女。 ところが、いざ交換というときには男と女は愛し合うようになっていた。 息子が帰ってきても愛する女を手放すことになるという設定がよくできている。 息子との再会と女との別れが同時に訪れるシーンは見もの。 絶望して自殺しようとした男が、線路に立ち止まったロバに助けられるのがオシャレ。 何度か登場していた自殺志願のロバが、ラストに効いてくるとは。 序盤は退屈だが、中盤から終盤にかけて惹きつけられる。 ユーモアにあふれ、一風変わったオシャレなラブコメディ。 ハリウッド映画とはまた違った情緒がある。 [映画館(字幕)] 7点(2013-02-11 20:33:16) |
1439. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 ただのSFモンスターものとは違って、仲間同士で疑心暗鬼になっていく人間模様が面白い。 サスペンス要素が強く、誰が人間でなくなっているのか、これからどうなっていくのかと先の見えない展開に目が離せない。 南極基地という隔絶された逃げ場のない空間での戦いに、追い詰められた人間の恐怖がひしひしと迫ってくる。 CGではない特撮も味があっていい。 最後まで生き残った二人が互いを疑いの目で探りあう様子がリアル。 余韻を残した終わり方で、想像力をかき立てられる。 冷静に振り返ってみれば、ブレアがヘリの部品を誰にも見つからずに盗んで宇宙船を組み立てる時間なんてあったのか、いつエイリアンに同化したのかも含めて疑問を感じるが、そうした疑問点を脇に押しやってしまうだけの迫力と勢いはあった。 このジャンルの映画としては、他とは一線を画する出色の秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2013-02-11 00:09:16) |
1440. BLUE ある女子校生たちの物語<OV>
山本直樹の同名漫画が原作だが、かなり忠実に映画化している。 新人の秦由圭がキュートでコケティッシュ。 [ビデオ(邦画)] 6点(2013-02-11 00:05:12) |