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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2597
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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141.  処刑人II 《ネタバレ》 
前作「処刑人」を観てからもう10年も経つ。 先ず思ったのは、あのスタイリッシュな映像センスと冒険心に溢れたアクション映画の続編が、何故このタイミングまで公開されなかったのかということだった。  “万年ネタ不足”に悩まされる今のハリウッドであれば、とうの昔に続編が製作されていて、下手すりゃ「3」とか「4」まで作られていてもおかしくはない。  どうやらその答えは監督のトロイ・ダフィーにあるらしい。 かなりの問題児らしく、前作の製作の段階でも大手製作会社ともめにもめて、結局ほとんど自主製作のような形で撮ったとのこと。  とにもかくにも、根強いファンからの待望論も手伝ってようやく日の目を見た続編。  10年という年月は流石に長くて、前作が「想像以上に面白かった」というインパクトは確実に残っているのだけれど、実際どんなテンションの映画だったかということに対する記憶が正直薄れてしまっていた。  そんなわけで、10年前の記憶を思い起こすように手探りで映画を観始めた。  冒頭から何となくテンポの悪さと、過剰なバタ臭さを感じ、居心地の悪さを感じた。 「何かが足りない」と思い、蘇ってきたのは「彼」の存在だった。 前作で、超個性的な敏腕刑事役として登場したウィレム・デフォーが居ない。  「出演交渉がうまくいかなかったのか……」と残念に思いつつ、中盤に差しかかった。 すると、一転して映画のテンションが加速する。 そこまでどこか遠慮していたようなテンポの悪さが無くなり、前作を彷彿とさせるインパクトが映画を包み込んだ。  そうしてクライマックスまで突っ走り、最後の最後で、唯一欠けていた“ピース”もちゃんとはめ込んでくれた。 過剰で無意味な演出やムラも感じられたが、トータル的には前作のファンも満足できる続編だったと思う。 
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-09-06 00:10:19)
142.  天然コケッコー
登下校の何気ないひと時、遠い昔の記憶は、いつも奇跡のように思い出される。 それは、全校生徒が数人しかいない田舎の小中学校に通っていなくても、誰しもが持つ経験だと思う。  この映画は、単純に田舎の純朴さや雰囲気の良さを描いているのではなくて、そういったすべての人が持ち得る「遠い記憶」の何にも代え難い「価値」を描いていると思った。  主人公の中学生たちは、決して人間として完成なんてされていない。当たり前だ、中学生なのだから。 そんな彼らが、まわりの人間や自分自身の言動によって、喜び、傷つく。 全編通して、それほど大きな事件が起こるわけではない。むしろ「何もない映画」と言えるかもしれない。 しかし、日々の生活の中のたった“一言”が、彼らに生活の中では大事件であり、心は大きく揺れ動く。  きっとそれは誰しもが経験し、成長とともに徐々に薄れていく感受性なのだろう。 でもそれは全く無くなってしまうわけではなくて、それぞれの人間の奥の方に、ずうっと残り続ける。 そんな感覚をそっと思い起こさせる映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-09-05 08:54:02)
143.  月に囚われた男
月世界の静寂の中で響く繊細な旋律が印象的な映画だった。 美しく響き渡る音色が、殊更に映画世界に満ちる“孤独感”を際立たせた。  月の裏側で唯一人、貴重な地下資源の採掘業務に従事する男。 孤独と望郷の念に耐え続け、3年間の任期終了まであと2週間に迫った時からストーリーは始まる。  主要キャストは、主演のサム・ロックウェル“一人だけ”だということは認知していたので、果たしてこの性格俳優の「一人芝居」でどのように映画を転じさせていくのか。 もしかすると、物凄く地味で独りよがりな映画なのではなかろうか、という疑念も持ちつつ、映画の「試み」に対して非常に興味深かった。  しかし、その想定は数奇なSFスリラーの展開により、良い意味で裏切られた。  アイデア自体は「奇抜」という程では無いのかもしれないが、“驚き”への導き方と見せ方がとても巧い。 一人の男の淡々とした描写から、突如スリラーの渦に放り込まれる感覚。そのストーリーの転換を、決して映像や音響の急激な変化に頼るのではなく、一つの「視点」の変化のみでさらりと、だが劇的に成している。  そして、このSF映画が素晴らしいのは、ストーリーにおける“驚き”が映画のハイライトではないということだ。 “驚き”はスパイス的な一要素に過ぎず、そこから始まる悲哀に溢れたドラマこそが、この物語の核心となる。  主人公に課せられたあまりに残酷な運命。 それを受け入れる様、それに抗う様、相反する“二つの姿”の在り様こそが、この挑戦的なSF映画の深さであり、面白味だと思う。  SFとは科学的空想であり、だからこそ、そこには人間の心理描写が不可欠だと思う。 人の精神と科学が結びつき交じり合い、無限なる世界が創造される。  手塚治虫の「火の鳥」や、藤子・F・不二雄のSF短編漫画を彷彿させる、広大な奥行きを備えたSF映画だ。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2010-08-30 00:05:23)(良:2票)
144.  戦場でワルツを
戦争を描いた映画や小説の評において、「戦争の狂気」なんて言葉は、もはや常套句で、自分自身も何度も使ってきたように思う。 だが、実際問題、自分を含め多くの人々は、その言葉の意味をどれほど理解出来ているのだろうか。甚だ疑問だ。  「パレスチナ問題」は、ほとんどすべての日本人にとって、“対岸の火事”である。 重要なことは、先ずその自分たちの認識の低さを認めることだと思う。知ったかぶりでは、何も生まれない。  そういう「無知」な状態で観た映画であり、そうである以上、その視点からの映画の感想を述べるべきだと思った。  感じたことは、あの遠い国で繰り広げられ、今尚くすぶり続ける戦争において、人々の心を蝕むものは、もはや「狂気」などではないように感じた。 長い歴史の中で、繰り返される憎しみの螺旋、それを断ち切れない人間そのものの「業」だと思う。  だから、敢えて言わせてもらうならば、映画の主人公が抱えていた”心の傷”に対して、今更何を言ってるんだというような不自然さを拭えなかった。 問題は今この瞬間も決して解決していなくて、血を血で洗っている。そんな中で、この映画の表現は、本質的に非常に浅いように感じてならない。  特徴的なアニメーションは、映像表現としては素晴らしかったと思う。 ただし、最終的に「実状」を現実的な映像で見せてしまうのは、メッセージ性は別として、表現方法としてフェアではないと思った。
[DVD(字幕)] 3点(2010-08-28 13:45:34)(良:1票)
145.  西の魔女が死んだ
大切な人の死に面した時、「ああしておけばよかった」「あんなことしなければよかった」と後悔しないことなんてないと思う。 その後悔は、時に自己嫌悪に陥るほどに大きくなり、自身を苦しめる。 でも、もし「西の魔女」からのようなメッセージが届いたなら、どれほど救われることだろう。 ラスト、そのあたたかさに涙が溢れた。  映画作品としては、決して完成度が高い作品とは言い難い。 原作は未読だけれど、おそらく、文体で表現された世界観を充分に表現出来ているとは言えないだろうと思う。 それはこの物語が、あまりに繊細で理屈ではない人間同士の心の交じり合いを描いたものだからだ。 映画を観ていて、そのテーマ性自体は伝わってきたけれど、映像表現や演技がそれを伝え切れているかというと、疑問は残った。  “おばあちゃん”を演じたサチ・パーカーが、女優シャーリー・マクレーンの娘だということを、今作の観賞後に知った。 先日、「アパートの鍵貸します」を初めて観て、若かりし日のシャーリー・マクレーンの魅力に触れたところだった。親日家の彼女が、娘の名前に「サチコ」とつけたということを思い出した。  面白い偶然に何だか感動し、この奇遇は、母と娘と孫娘の関係を描いたこの映画にふさわしいようにも思えた。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-08-27 12:17:34)(良:1票)
146.  ハゲタカ 《ネタバレ》 
「人生は金がすべてだ」、「金が人生の悲劇を生む」それらはすべて正しい。  ただ、自分自身も含めて、日本の、いや世界のその「現実」を、どれだけの人が本当の意味で理解しているのだろうか。 ということを、「ハゲタカ」のドラマシリーズとこの映画化作品を通じて思い続けた。  数年前、この国で立て続けに表立った某IT企業や某投資ファンドによる企業買収劇は、記憶に新しいところだ。 ただし、連日連夜報道されるその様を、一体どれほどの日本人が、自らが息づく国の経済危機を踏まえて見られていただろか。 自分自身もまさにそうだが、一連の騒動を全く別世界の“ショー”でも見るように、無責任に楽観視していた人がほとんどだと思う。  その国民の反応こそが、この国の抱える「危機」そのものだということを、この作品は具現化したのだと思う。  まさにタイムリーな社会性を如実に反映した設定、そこに映画ならではの娯楽性を加味した世界観は巧みだった。 経済情勢に全く疎い者でも、作品の中で巻き起こる顛末と現実の社会での出来事がみるみるリンクしていき、リアルな危機感と焦燥感に繋がっていく骨太な作品だったと思う。  玉山鉄二が演じた中国系ファンドマネージャーの悲哀が、この映画化作品の最たるポイントだった。 世界の底から生き抜き、憧れ続けた日本車メーカーの買収に心血を注ぐ様、そして、最期の最後まで金を拾い続ける様には、ドラマシリーズを通じたこの作品の「真意」が表われていたと思う。  金にまつわる人間の業、そして、罪と罰。 それは、決して否定することが出来ない人間の宿命なのかもしれない。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-08-18 12:07:01)
147.  ファンボーイズ
それほど遠くない昔、遥か銀河の彼方ではない地球の片隅では、「エピソードⅠ」公開を半年先に控えていた。 “スターウォーズオタク”の4人組は、がんに冒され余命3ヶ月の仲間のために、最新作を盗み見るための旅に出掛ける。  ファンしか分からない内輪ネタ満載の珍道中を描いたロードムービーで、「スター・ウォーズ」好き以外は観てくれるな!と言わんばかりの様相であるけれど、どっこい意外と心に染み入る「感動」を備えた映画だと思う。  もちろん、「スター・ウォーズ」ファンであれば共感は必至であろうが、決してそうでなくても、何かとても“大好きなもの”がある人であれば、その熱中ぶりに共感出来、彼らの歓びと哀しみを理解出来るはず。  9割近くは”ふざけた”映画であることは間違いないけれど、自分の好きなものに対する「愛」を真っ向から貫くファンボーイズたちの姿を否定出来るわけがない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-02 14:33:54)(良:2票)
148.  おいしい殺し方 -A Delicious Way to Kill-
ケラリーノ・サンドロヴィッチ風の2時間サスペンスドラマ。 特に込み入ったプロットが用意されているわけでなく、終始肩の力を抜いてほくそ笑むテレビ映画だった。  犬山イヌコ、池谷のぶえの“濃い”舞台役者に挟まれて、奥菜恵のコメディエンヌぶりが素晴らしかったと思う。 
[DVD(邦画)] 6点(2010-07-14 16:07:43)
149.  LIMIT OF LOVE 海猿
何の前触れもなくいきなり巨大フェリーが座礁して、海上保安官の主人公は当然救出作業に向かい、そこにたまたま喧嘩したばかりの恋人が乗り合わせていた。 という展開が、冒頭十数分の間に矢継ぎ早に繰り広げられ、あまりに唐突なストーリー展開と安直さに対して、脚本の稚拙さを先ず感じずにはいられなかった。 映画開始から30分程で既にクライマックスのようなシーンに突入するので、熱い台詞回しとアクションシーンの割に盛り上がることが出来なかった。  主人公の恋人(加藤あい)は早々に救出されてしまい、全体2時間弱の尺をこの後どう展開させるというのか?そういう不安に覆われながら、映画は進んでいく。  結果、どういう映画に辿り着いたかというと、やっぱり“熱い”映画だった。 「稚拙」というワードが、結局終始ちらつくことは否めない。ただし、描かれる映画世界はただただ愚直で、熱い。  何の工夫もない映画と言ってしまえばそれまでだろうが、僕は、主人公たちが馬鹿正直にひたすらに自分の職務を全うしようとする姿に熱くなるべき映画だろうと思った。 脚本的にもっと面白く、もっと感動的に出来る要素は大いにあると思うが、映画自体の方向性は決して間違ってはいないと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2010-06-23 16:50:29)
150.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
「キル・ビルVol.2」以来のタランティーノの新作鑑賞。「キル・ビル~」ってもう6年前の映画なのかと、少々唖然とした。  そしてこの新作にも、大いに唖然とさせられた。 タランティーノ作品において、「唖然」という表現が“好評”なのか“不評”なのか、その単語のみでは正直判断がつかないだろう。 そして、「唖然」と発した自分自身も、実際のところ好不評の判断がつけづらい。  独特の台詞回しによる“タランティーノ節”に限って言えば、とてもタランティーノらしい台詞の掛け合いに溢れていた。 冒頭のナチスの大佐と農夫の対峙から、ナチス将校に扮したバスターズのメンバーが本物のナチス将校と酒を酌み交わすシーンまで、「タランティーノ!」という賞賛を思わず発したくなるような独特のユーモアと緊張感溢れる掛け合い震えた。  これは久しぶりに、評価に違わないタランティーノの傑作が誕生したんだな。とほぼ確信していた。  が、しかし、クライマックス近くまで非常に大きなエネルギーを感じたまま堪能できのだけれど、最終的な印象として「映画」としての魅力が無い、と感じてしまった。  何だろう?詰まるところ、クエンティン・タランティーノが「ナチス」を描く価値って何なのかが見出せなかったような気がする。 安直過ぎるほどにナチスを悪役として描き、それに残虐なまでの復讐を果たすバスターズの面々と、家族を殺された一人の娘。 結局、登場する全員が残虐なので、誰にも感情移入できない。 もちろん、これがタランティーノの映画である以上、感情移入なんて必要ないのかもしれない。 ただ、部分部分の台詞まわしやシーンは魅力的なのに、それぞれがバラバラで噛み合ない。  まあ“シュール”と言ってしまえばそれで済むのかもしれないけれど、やはりそれでは映画としてのカタルシスは得られない。  あ、そうそう。予想に反して見せ場の無いブラッド・ピットにも、唖然とする。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-06-22 00:03:03)(良:1票)
151.  サロゲート
相変わらず精力的なブルース・ウィリス、その最新主演作の予告編を映画館で見たのは覚えているのだが、この映画がいつ上映開始されていつ終了したのか、まったく把握できていなかった。そうしたらいつの間にかレンタルショップに並んでいて、「え、もう出たの?」と思いつつ、早速レンタルしてサクッと観た。  なるほどね。という印象。 どうやら「アバター」と同時期に劇場公開されていたらしく、題材的にも完成度的にも、あのモンスター映画に踏み潰されてしまったのだろう。  近未来、複製アンドロイド、人類滅亡の危機……用意されているだろうプロットは容易に読めて、危機を救う主人公役がブルース・ウィリスとなれば、殊更にどういう映画かということは想像がつく。 ただそれでもこの手のSF映画は嫌いじゃないし、最近ブルース・ウィリスの娯楽映画俳優としての評価が個人的に急激に高まっているので、期待は程よく大きかったと言える。  近未来の街並を描く映像美は洗練されていたし、アンドロイド版のブルース・ウィリスが気持ち悪いくらいに若々しく、フサフサの金髪を携えた様にはイロイロな意味で面白味があった。  しかし、この手の映画は既に出し尽くされてしまっていることは言うまでもなく、新しさも、インパクトも無かった。  主人公と妻のすれ違いの様や、同僚のFBI捜査官のキャラクター性がもう少しパーソナルに描かれれば、ストーリーに深みが出て、それがオリジナリティーに繋がったかもしれない。 89分という尺の短さや、公開時の他作とのバッティングなど「制作」というよりは「製作」の面で力の抜き加減が大いに目立つ映画とも言える。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2010-06-09 23:45:16)
152.  ディープ・コア2010<TVM>
ディザスター・ムービー(災害映画)は、個人的にとても好きな映画のジャンルだったりする。 CGの発達によりこぞって大作映画が製作された90年代後半と、自分自身がコンスタントに映画を観始めた時期と重なることもが大いに影響していると思う。 ただ最近はもう作り果たしてしまった感もあり、ハリウッドも本腰で大作災害映画を製作しなくなって久しい。 いまやディザスター・ムービーは、低予算の未公開テレビ映画の「定番」となってしまった。  BSで放送された今作も、もちろん“テレビ映画”であり、低予算のCGはお世辞にも完成度が高いと言えず、ストーリー展開はもはや「ベタ」の一言に尽きる。  しかし、それはそのまま「面白くない」ということではない。  突然発生する地球的規模の大災害、その対応を一手に任される主人公の科学者、身を呈して地球(または主人公)を守る脇役、そして問答無用のハッピーエンド……。  これはもう捉え方の問題だが、災害映画のあらゆる予定調和を端から意識し、そのベタさを存分に楽しむべきだと思う。 それが、この手のB級テレビ映画の正しい見方だろう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-05-17 22:44:59)
153.  カールじいさんの空飛ぶ家 《ネタバレ》 
個人的な話になるが、結婚をして半年が経とうとするまだまだ「新婚」と堂々と言える頃合いに、普段映画を観ない妻と珍しく二人で鑑賞した。  結婚してからというもの、すっかり“夫婦愛”を描いた物語に弱い。 映画の中で描かれるちょっとした夫婦の繋がりの描写に涙が出てくる。 それに加えて元来僕は、老人の涙にめっぽう弱く、長い人生を生きてきたキャラクターが心情を吐露するシーンにはいつも胸が詰まる。  そんなわけでこの映画。まさに感動ど真ん中!の映画であることは容易に想像できた。 そして、主人公が最愛の妻と出会い、共に生き、別れるまでの年月をノスタルジックに描いた冒頭15分で、想像通りに目柱が熱くなった。  正直なところ、この冒頭15分間を自分の妻と観られたことだけでも、とても良かったと思うし、それだけでこの映画の価値は充分だとも言える。(なのでこの点数以下はつけられない)  しかし、15分を過ぎ、主人公のじいさんが妻と過ごした家ごと数百個のカラフルな風船で飛び上がっていくシーンをピークにして、この映画の感動は、皮肉にも徐々に下降していく。  決して映画が面白くなくなっていくということではない。敢えて言うならば、映画の種類自体が変わってしまう印象を覚える。 冒頭15分が最愛の妻に先立たれた老人の切なさを温かく描いた作品であることに対し、それ以降は、老人があまりに現実離れしたアドベンチャーをこれでもかと繰り広げる作品となっている。  もちろん全編通して、妻と妻と過ごした大切な家に対する愛情が尽きることはないのだけれど、展開される「冒険」の内容があまりに突飛過ぎて、ファンタジックなアニメーションであることを考慮しても、その非・現実さに対して感動を覚える暇が無くなってくる。  開き直って、相変わらずクオリティーが高いピクサーのアニメ映画として、その娯楽性のみを楽しめば問題は無いのだろう。 しかし、多くの人がこの作品に対して求めた世界は、やはり違うと思う。   P.S.実は何よりもマイナスポイントなのは、映画の大部分において、カールじいさんは家に乗って空を飛んでおらず、浮かんだ家を背負って歩いている……という点かもしれない。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-05-10 00:20:53)
154.  スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ
「エピソード2」と「エピソード3」の間に存在する「クローン戦争」をCGアニメで描いた「スター・ウォーズ」の番外編。 言わば「エピソード2.5」という位置づけではあるが、ストーリートしての完成度としては、チープな2Dアニメーションで描かれたテレビ映画「スター・ウォーズ/クローン大戦」の方が高いと言える。  戦闘シーンの連続に終始してしまい、キャラクターの造詣が浅くなってしまっている点はマイナスポイント。 特に次第に暗黒面へ突き進むはずのアナキンの精神状態の変動があまり見られず、むしろ本編より人間としてしっかりして見えるのはいかがなものか。  ただそれでも、スター・ウォーズファンとしては、深淵なスペースオペラの新たなエピソードが見られただけで、満足は出来る。  どうやらこのCGアニメ版でシリーズ化するプランもあるようなので、不足したキャラクター描写は、後の作品で期待したい。
[地上波(吹替)] 6点(2010-05-07 22:58:10)
155.  第9地区 《ネタバレ》 
どういう“スタンス”で観るべきなのか、ということが結局掴みきれない映画だった。  南アフリカはヨハネスブルグに現れた巨大な円盤。それに乗り込んでいた数万人のエイリアンが、そのまま難民として住着く。 確実に地球人よりも高い科学力を持ち得ながら、異星への難民として劣悪な生活環境に身を落とすエイリアンたちは意味不明。そして、それを一旦は受け入れておいて、難民としての退去に役所仕事を繰り返す地球人たちは、もっと意味不明だ。  というわけで、基本となるストーリーは、整合しているようでどこまでも常軌を逸している。 その“普通じゃなさ”は、真面目な語り口になればなるほど破綻し、それこそがこの映画が狙ったシュールなユニークさだと思う。  真っ当なB級映画として捉えるのならば、とてもクオリティーの高い愛すべき映画となったかもしれない。  ただ問題は、今作がアカデミー作品賞にノミネートされていることだ。  「エビ」と揶揄されるエイリアンたちを差別の対象として描くことで、問題提起をしている部分は確かにあるのだろうが、そこにアカデミー賞にノミネートされるほどの映画としての深みがあるかというと、そんなことは決してない。  これは、奇妙な設定を奇妙なストーリーテリングで綴った悪趣味な悪ノリ映画であり、そういう風にプロモーションすることこそ、この映画の価値を正しく伝える唯一の方法だったと思う。  アカデミー賞という変な固定概念が付いてしまったせいで、「ふざけた映画だ」という印象が殊更に強まってしまった。
[映画館(字幕)] 4点(2010-05-05 23:41:12)(良:4票)
156.  東のエデン 劇場版 I The King of Eden 《ネタバレ》 
TSUTAYAのアニメコーナーで、このテレビアニメのDVDのパッケージを一目見るなり、気になった。キャラクターデザインが、「ハチミツとクローバー」、「3月のライオン」の羽海野チカだったから。 ストーリーの概要を読んで、新鮮味のあるプロットに尚更興味を持ったが、テレビアニメはほとんど観ないので、二の足を踏んでいた。 そうこうしていたところに、この劇場版公開の報。それならばと、テレビアニメ版のDVDを続けてレンタルし、劇場版鑑賞に至る。  結論としての正直な感想としては、映画作品としての説得力と深みが、ストーリー展開に備わっていない。 深夜のテレビ放送枠としては許容範囲だった基本設定の稚拙さが、一つの映画となることで露呈しまっている。  謎の携帯電話を通じた陰謀の中で、記憶を無くした青年が繰り広げる破壊と救済。そのコンセプトは、非常に興味深い。 不安定な国の世情、インターネット、ニートと現代的な要素を絡ませた謎に満ちたストーリー展開も、ミステリアスとエンターテイメントに溢れている。  ただそこに、本質的な深みがない。興味をひく要素を並び立てたまでは良かったが、最も重要なテーマ性があまりに希薄だ。  荒れる社会情勢の中で膨れ上がった“ニート”という存在がこの作品では重要な要素として描かれるが、それを正当化し、安直に活躍させる様が、あまりに稚拙で説得力がないように感じる。現実的な世情を、表面的に面白がって、空想と妄想でくくり上げただけのように思ってしまった。  そしてこの劇場版を二部作に分ける必要はないと思う。まだ第二部は観ていないけど、第一部を観る限りでは、この程度の内容を区切って、わざわざ二部作にしたことは、劇場に足を運んだ人の反感を買うだけだと思う。  ここまで観てきたので、劇場版ⅡもDVDが出れば観るだろう。が、現時点の評としては、あと一歩も二歩も及第点には及ばず、羽海野チカのキャラクター造形に救われている作品だ。 
[DVD(邦画)] 3点(2010-04-18 09:10:02)
157.  ザ・クリーナー 消された殺人
「犯罪現場の清掃人」という仕事をピックアップし、その仕事だからこそ有り得るサスペンスを描き出した試みは、実にアメリカらしいと思うと同時に、新しかったと思う。  べっとりとごびりついた血液を、サミュエル・L・ジャクソンが跡形もなく洗い落としていく様には、独特の不気味さが漂い、映画がもつ空気感を如実に表している。  レニー・ハーリンの監督作を久しぶりに観たが、流石に映画づくりに卓越しており、丁寧な描写が、サスペンスの質を高めている。 サミュエル・L・ジャクソンとエド・ハリスのパフォーマンスはそれぞれ安定して安心して映画世界に没頭できる。  “良い映画”としての要素は多分に含んでいて、意外な“掘り出し物”の予感を持ち続けて、クライマックスに突入。しかしラストの顛末で肩すかしをくらってしまった。 この手のサスペンス映画の「真相」としては、驚きがなく、説得力にも欠けていた。 主人公が抱える過去の葛藤についても終始ほのめかすだけで、その真意をきちんと描けていないことは、一気にストーリーの質を落とす要因で、致命的だったと思う。  一つ一つのシーン、カットにはエッジが効いていて研ぎすまされているだけに、ストーリー展開の稚拙さが非常に勿体ない。 90年代を代表するエンターテイメント映画監督に、今一度優れた脚本を与えてあげてほしいものだ。
[DVD(字幕)] 4点(2010-04-12 18:22:10)
158.  グッバイ、レーニン!
有史以来、人類が積み重ね経てきた数々の歴史的分岐点。一つの政治判断に伴う変化により、人々の生活が一変したということは、世界中でそれこそ星の数ほどもある。 そのすべてに共通して言えることは、影響下にあるすべての人々が何の不満もなく受け入れた「変化」などただの一つもないということだと思う。  「東西ドイツの統一」にしてもまさにそうだったのだろうと思う。 分断された国が一つになるなんてことは、表面的な聞こえの良さの反面、非常に根深く絡み合った数々の問題が渦巻いていたはずだ。  そんな歴史の過渡期に生じた大渦の中で、或る一つの小さな家族の「愛情」と、家族を想うからこそ生じたあまりに無謀な「嘘」を、とてもユニークに描き出した映画だった。  東西ドイツの分断と統一の歴史的実情をもう少し詳しく知っていれば、おそらくもっとこの映画が描き出す複雑な心模様を掴めたのだろうと思い、自分の無知が少し悔しい。 ただし、そういう知識が無くとも、息子が最愛の母親を想う気持ちはひしひしと伝わるし、またそれを受け止める母親の気持ちにも最上の感慨深さが残る。  取り巻く社会の劇的な変化の中で生きる若者の心情。ただでさ多感な思いは、大きく揺れ、動き、一つに定まらなかったろうと思う。 それが、母親のための無謀な嘘を貫き通そうとすることで、ある意味クリアになり、また定まらなかった自分自身の意志自体が統一されていった。  その息子の成長を見て、母親は「素晴らしいわ」と遺したのだと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2010-04-10 00:41:11)
159.  ボーン・アルティメイタム
“ジェイソン・ボーン”シリーズ最終作(一応)。昨日、6年越しに第二作目を観て、いてもたってもいられなくなって、今作のレンタルに走った。  このスパイ・アクション映画シリーズの変わった特徴は、“ストーリーに面白味はそれほどない”ということだ。 記憶を無くした主人公が謎に包まれた自らの“アイデンティティ”を取り戻そうとするというのが、このシリーズの根本的なプロットで、この手の映画の場合、出来る限りストーリー展開に凝って、ドンデン返し的なラストを用意するというのが常だ。 が、この映画においては、そういうストーリー的に機知に富んだ工夫はほとんどない。  用意された一つの「謎」。即ち、「ジェイソン・ボーンとは何者なのか?」ということを、主人公自らがひたすらに追い求めるということが、この映画シリーズの揺るがないスタンスで、その中で生じる「逃亡」と「追走」それらのみで構成される。 それは、アクション映画として、非常に潔く、故にとても洗練された作品へと消化した要因だと思う。  仰々しい爆発シーンや、劇的なストーリーテリングに頼らず、生身の人間が体現出来得るリアリティを前提としたアクションシーンを繰り広げることにより、このシリーズは独特の緊迫感と疾走感を併せ持った迫力に溢れたアクション映画として確立することが出来たのだと思う。   ただし、もう続編は必要ない。それはこの三部作を評価するからこそ生まれる大多数の意見だろう。
[DVD(字幕)] 7点(2010-04-09 01:16:25)(良:1票)
160.  ボーン・スプレマシー
前作「ボーン・アイデンティティ」は、演技派のマット・デイモンがリアルなアクションシーンをこなし、ヨーロッパを舞台にしたスタイリッシュな映像が秀でたアクション映画だった。悪くない映画だったけど、スパイ映画としては“展開力”に今ひとつパンチがなくて、それほど印象が強い作品ではなかった。 なので、続けて製作された続編に対しても、興味は薄く、公開から6年が経過してようやく観た。ようやく観た理由は、ある雑誌の企画上のランキングで、このシリーズの続編2作品が揃ってランクインされていたからだ。  アクション映画において6年という年月は“劣化”を覚悟しなければならない期間だと思う。 しかし、今作にはそういった安直な劣化は微塵も感じなかった。むしろ作品の隅々までが洗練されていて、新しいと感じた。  主人公に対する追走劇が世界を股にかけて展開される様は、前作から引き継がれた魅力だが、その各国での各シーンがより研ぎすまされ、それぞれの場面が完成されている。 映画の展開によって変わっていく雰囲気が、各都市のシーンでマッチし、ロケーションそのものが主人公の心情を表しているかのようだった。 世界各国各都市での撮影を売りにしたアクション映画は多々あるが、各シーンにおいて、その都市で撮影を行う”意味”を持たせ、それを如実に表現する映画は少ない。  そういった映画作りに対するきめ細かさが、用意されたプロット以上にこの作品の面白味を高めていると思う。  すぐに続編が観たい。第三作目を一緒にレンタルしなかったことを悔やんだ。
[DVD(字幕)] 8点(2010-04-07 16:37:21)(良:1票)
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