141. ファインド・アウト
《ネタバレ》 警察があまりに無能すぎて、『ドキドキ』『ハラハラ』より『イライラ』が勝っちゃう映画。 当時、ジルがどーゆー状況で発見されたかはわからない。 ですが誘拐された本人が、命からがら逃げだして、被害を訴えているにも関わらず、虚言扱いして強制的に精神病院送り。いやいや、いったいいつの時代の話ですか。だから途中までは、犯人どころか、妹モリーの存在さえ主人公ジルの妄想だと思っていましたよ。 でも、ジルの言っていることは正しかった・・・・。ええ~(-_-;)。じゃあ警察がダメすぎでしょう。小娘一人が警察に追われながら四面楚歌状態で、それでも突き止められる犯人を見つけられない。いや、それどころか、事件の存在すら気付かないなんて。ポンコツにも程があります。 ・・・・・・・とまあ、散々悪く言いましたが、映画そのものはとても面白い。 警察に捕まるんじゃないかというスリル。いつ犯人に襲われるかわからないスリル。どちらも丁寧に描かれていて、なかなかの緊張感を堪能できます。 欲を言えば、ラストはもう少しだけ溜飲が下がる何かが欲しかったかな。 後になって写真を送り付けるぐらいなら、家に戻ってきたときに刑事たちに写真をたたきつけてほしかった。そこで何も言えない刑事諸君に、『犯人なんていないわ。全部私の妄想だから』って言えば、より一層皮肉が効いたのに。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-05-22 03:52:03)(良:1票) |
142. ラストスタンド
《ネタバレ》 ひさしぶりのシュワちゃん映画。最高です。歳を取ってもこの貫禄と安定感。安心して見ていられます。 そしてなんだろう、なんか期待しちゃうんです。なんかワクワクしちゃうんです。これが『華がある』ってことなのかなぁ。 もちろん映画自体もとっても面白い。FBIでさえ手玉に取る麻薬王を、田舎の保安官たちが返り討ちにしちゃうっていうのが痛快で良いじゃないですか。え?ありきたり?あきりたりでも面白いんだからいーじゃないか。 みんなが戦う覚悟を決める動機付けとなった若き保安官ジェリーの犠牲は可哀そうでしたけどねー。 そのぶん、みんなの心がひとつになって、弔い合戦へと突入してゆく。こーゆーわかりやすくもアツい展開が最高。 映画は、これで良いんですよ。 斜に構えたり、奇をてらったりする映画が氾濫する昨今、気持ちよいくらいのド直球。1周まわって面白い。 ストーリーがストレートなぶん、アクションには随所に工夫が。武器が多彩。キャラも多彩。戦う場所も多彩。もうずっと楽しいのです。稲穂レースはちょいダルカッタケド・・・。 ご都合主義と非難されるかもしれませんが、ジェリー以外に犠牲者が出なかったのも良かったな。 でもけが人をいっぱい出すことで、それなりのリアリティもあって、すごく映画としてのバランスが良い気がします。 個性あふれるメンバー構成、良かったなぁ・・・。銃器マニアの人、最高です。 私にとっては、こーゆー映画こそが至高のアクションエンターテイメントです。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-05-20 23:00:53) |
143. 共謀者
《ネタバレ》 後味の悪い映画を撮らせたら韓国の右に出るものはいないんじゃないだろうか。 ヒロインが2人いるんですが、2人とも死んじゃうってなかなかである。 『共謀者』っていうぐらいだから、誰と誰が共謀しているんだろうと注意深く見ていたのですが、主人公のヨンギュ以外はほぼ全員共謀者だったっていうね…。一番イカれていると思われたドクターが唯一の味方だったとは。まあ、この展開は読めないです。ですから評価は若干高め。でも後味悪すぎて満点はつけられないなぁ。 せめてチェヒの夫は良い人でいてほしかった。チェヒが悲惨すぎます。 唯一の救いは主人公が心まで悪魔に売り渡していなかったところ。だから最後はずっと主人公を応援していました。どーにかチェヒを助けてあげてと・・・。でも善人にはバッドエンドを、そして悪人はのさばらせておくのが韓国映画。やだねぇ、ほんとに。 ちなみにこの映画、脚本は穴だらけ。 夫が船内でリスクを冒して妻を探すのは変な話。 そして主人公ヨンギュの行動にもおかしな点が。チェヒを助けるつもりなら、自分がドクターとサウナに残って、子分の二人を見張りだのなんだの役目を与えて外に出さないと。 ずるいのが、見ている側はこのとき真相を知らないから、何も不自然に感じることなく見ちゃってるんですよねー。ずるいやり方だけど、うまいなぁ。 ゾンビ映画なんかより、よほど精神的にグロいんで、耐性が無い人は見ないほうが良いかもです。 それにしても韓国の女優さんは、こんなきれいな人でも体はってんなぁ・・・・ [DVD(吹替)] 8点(2023-05-20 01:22:03) |
144. ホビット/決戦のゆくえ
《ネタバレ》 3作の中では一番面白い。そりゃそうです。きっちり決着をつけたわけですから。 もちろん、言いたいことは山ほどあります。 前作からさんざんひっぱってきたのに、竜スマウグの最期あっけなさすぎない? お化けミミズは穴ほるだけ?サウロンの出番それだけなら出てこなくていーよ。 ラストは最終決戦みたいな感じで始まったのに、気付けばトーリンたちの戦いばっかりだよ。他の人たちの戦いはどーなったの?あれだけいたオークやトロールはやっつけたの?退散したの? 財宝は結局どーなったの?エルフの王は欲しかった宝はもらったの?港町の再建はどーなったの? 助けに来てくれたラダガストや獣の人はほったらかしなの? ドワーフの王国エレボールは結局どーなったの?次の王は誰がなるの? これだけの長尺にも関わらず、そーいった大事なことは何一つ教えてくれない。 気づいたら、ビルボとガンダルフはホビット庄に着いちゃってる。 で、ビルボは死んだことにされてて、家の家具が競売に・・・って、そんなどーでもいいことに尺を使うんだったら、もっと大事なことに・・・まあ、いいや、どーでも。 それにしても闇の軍勢は騎士道精神にあふれていましたねー。 人間とエルフとドワーフが同士討ちするのを待ってから叩けば絶対勝てたのに。わざわざみんなが集まっているところに正面から正々堂々と戦いを挑んで・・・。ドワーフとエルフと人間の諍いを止めたのは他ならぬオークたち。感謝せなあかんで、ほんま・・・ [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-05-18 15:26:32) |
145. ゾンビ・ハイスクール(2012)
《ネタバレ》 ゆるゆる系ゾンビ映画。ほどほどにグロく、ほどほどにおふざけ。 ちなみにホラーとなっていますが、ホラー要素はほぼ皆無ですのでお気をつけください。 個人的にはもう少しサバイバル感の感じられるゴリゴリのゾンビものが好きなんですが、これはこれでアリ。 実は主人公は感染していて、最後のキスシーンで女の子の舌をかみちぎるものだとばかり思っていたのですが、全然違いました。もっとベタで安直でした。 いよいよ追い込まれたら、突然強くなっちゃうメガネ男子。いいぞ、そのご都合主義!好きですよ~。 登場人物はみんなおばかだけど、許せるタイプのおばかさん。バカはバカなりに、生き残ろうとひたむきなのは好感がもてます。 図書室でのまったりダラダラはちょっと長すぎて、ダレちゃうのがもったいない。 みんながふっきれて、ゾンビ相手にバトルをしかけるような、爽快なシーンがあっても良かったかもしれない。 てきぱきとメガネを修理する、良い伏線を用意して、一応その伏線が活かされてはいるんですが、ちょっと弱いか。 ネズミゾンビはいくらなんでもチャチすぎ。あれだったら出さないほうが良いです。 ウケ狙い?だとしても出さないほうがウケます。 まあでもネズミゾンビも含めて、この映画の妙に素人っぽい、絶妙にダサい感じの作りが、何やら懐かしさを感じさせて嫌いではないなぁ。。。。 [DVD(字幕)] 6点(2023-05-18 03:14:27) |
146. ホビット/竜に奪われた王国
《ネタバレ》 おいおい、まじかよ。すげー途中で終わるじゃん。ここまで当然のように途中で切り上げられると、逆にすがすがしいと言えなくもない。 樽に乗っての急流下りバトル。ラストのVSドラゴンバトル。この2か所は見所と言っていいと思います。蜘蛛とのバトルも悪くはなかったですね。 要所要所は面白いんですが、やはり1本の映画としては盛り上がりに欠けます。「ドキドキ」も「ハラハラ」も「ワクワク」もしない。 登場人物たちの感情が見えてこないのも、没入感を阻害している一因かも。 まず、旅に出るのを一番渋っていたビルボに、最も重要で危険な任務をまるなげし、ビルボもそれをすんなり受け入れるっていうのがよくわかりません。 終盤、アーロン石をめぐってトーリンとビルボに確執みたいなものが生まれるシーンがあるんですが、それは放置のまま映画が終わっちゃう。そりゃ竜に襲われていたらそれどころじゃないのかもしれないけどサ。せめてこの映画の中で、その確執に一応の決着はつけましょうよ。こんだけ尺長くとってんだからさ・・・。 ガンダルフは時間守らないし。トーリンはガンダルフとの約束守らないし。 なんか中心人物のトーリンがどーにもいけ好かないやつなのが問題なんだろーなー。 そしてガンダルフ。原作を知らないから仕方ないのかもしれませんが、今回のガンダルフはいったい何がしたかったのかまったくわからなかった。いったい、どーなっていたら正解だったの?おしーえてー、おじいーさんー。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2023-05-16 14:56:14) |
147. ベイマックス
《ネタバレ》 感動しました。 実はこれより先にリメンバー・ミーを見まして。 リメンバー・ミーより平均点が低かったので、どーかなーって思っていたのですが、すごく良かったです。 妻はこちらのほうが良かったと。私も同意見です。 ヒロとベイマックスだけが活躍するアニメかと思っていたのですが、実は戦隊ヒーローものみたいなノリ。原題を見てなるほどと思いました。他の方もおっしゃっているように、Mr.インクレディブルにテイストが近いかなー。 ベイマックスのキャラは最高です。こんなケアロボット、我が家にもほしい…。いてくれるだけで癒されます。 中盤からはゴリゴリのアクションものになってしまいましたが、ベイマックスが世のため人のために活躍するほのぼのストーリーでも良かったかもしれません。それぐらい、ベイマックスのキャラクターは魅力にあふれています。 とはいえ、アクションはアクションでとても楽しい。それぞれ個性的な技やギミックの数々。それを多彩で立体的でスピーディーなアニメーションで観せる魅せる。 最初のうちは上手く連携が取れない、そんなシーンもあります。じゃあ終盤の戦いでは、個人技だけでなくチームとして連携のとれたアクションがあっても良かったかもしれない。 質の高いアニメーションとベイマックスのキャラにおんぶにだっこというわけでもなく、シンプルながらストーリーもしっかりしているのは高評価。 ただねぇ、お兄さんは殺してほしくなかったかな・・・。最近のディズニーはやたら「陰謀」でサプライズを演出し、「尊い犠牲」で涙をさそう。 いや、そーゆー作品があってももちろん良いのですが、せっかくDisneyが作り出した世界に浸りたいのに、「陰謀」が雑味になっちゃうこともありまして・・・。ディズニー映画に求めているのはそこじゃないっていうか・・・。ねえ・・・。 [ブルーレイ(吹替)] 9点(2023-05-15 04:04:50) |
148. ホビット/思いがけない冒険
《ネタバレ》 ホビットの冒険。仲間はドワーフ。というより、ドワーフの冒険。その仲間のホビットでした。 ロード・オブ・ザ・リングのスピンオフ的な作品だろうと期待はしていませんでしたが、この手のジャンルは好きなのでつい手がのびちゃいます。満足できる作品に出合えることはめったにないんですけどね。 ってゆーか、この映画長くない? 最初の30分、まるまる削っちゃっても良いよね?もしくは10分くらいに、コンパクトにまとめてほしいです。 ゴラムとのなぞなぞ合戦もひっぱりすぎ。何回なぞなぞ出し合うのよ。映画なんだから。削れるとこは削ってくださいな。 冒頭30分のドワーフたちの来訪が結構イライラしちゃいました。ガンダルフもこんなに図々しいキャラでしたっけ? ビジュアルも地味。みんなチビだし。ホビットとドワーフなんで仕方が無いことだとは思いますが。 でもいざ冒険が始まってみると、これがなかなか面白い。よくできています。 トロールとの戦い。オークとの戦い。ゴブリンとの戦い。ネクロマンサーなんてのも出てくる。 最初は見わけがつかなかったドワーフたちも、『イケメン』『パチンコ』『弓』と、それぞれの個性を発揮して良い感じ。 RPGのような景観や世界観。アトラクションのようなアクション。そーいったものが好きなら楽しめるでしょう。 個人的には冒険ものに欲しい『ハラハラ』『ドキドキ』『ワクワク』はどれもいまいち感じることができず、あと一歩といったところ。 グリフォン?レイブン?なんにせよ終盤、大きな鳥たちが助けに来てくれるわけですが…ガンダルフ、そんな便利な奥の手があるならもっと早く…とか思うのはこのテの映画ではきっとタブー。 ・・・・ってゆーか、この映画、長くない?(2回目) [ブルーレイ(字幕)] 5点(2023-05-15 02:36:44) |
149. 凶悪
《ネタバレ》 いやはや、恐ろしい人間がいたもんだ・・・。 『実話をもとにしたフィクション・・・』のナレーションで始まる本作。 どれくらい実際の事件が反映されているのか気になるところ。まあ、フィクションって自分から言っているくらいだし、ほとんどフィクションなんだろーなーって思っていたのですが・・・。 ほぼ全部ノンフィクションやんけ~。まじっすか~。名前と顔が違うだけ。あとは記者の家族エピソード、これがおそらくフィクションなんじゃないかなぁ・・・。 それにしてもこの映画、時系列の使い方が上手です。回想シーンがずっと続いていたところに、突如リリー・フランキーを撮る山田孝之が映し出される。この辺りうまいなぁ。実に自然に過去から現在へと戻ってきます。 さて、他の方も言及されているように、私もこの藤井記者がどーにも好きになれません。いくらなんでも妻をないがしろにしすぎ。そっちが気になってしまって、序盤と終盤は藤井家のごたごたが邪魔で仕方なかった。真相を暴く記者の姿だけ映してくれたらよかったのに。それに山田孝之は声を張り上げる演技があまり上手じゃない。感情を押し殺した演技はうまいんですけどね。 でも終盤、法廷で『生きる喜びなんか知るな』って須藤にキレるシーンは良かったです。ただあんたにそんなこと言う資格はないけどね。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2023-05-09 15:12:59)(良:1票) |
150. ヘンゼル&グレーテル
《ネタバレ》 おとぎ話とヒーローものの融合。こーゆーの大好きです。 ヘンゼルとグレーテル、ビジュアルもアクションも良かったと思います。 ヘンゼルとグレーテルには魔女の直接的な魔法が効かない、謎のバフがかかっていました。それは、白の魔女である母親がかけてくれた守りでした。地味なんですが、この特別感がなかなか良い。その守りの効果もあってか、ふたりは立派な魔女ハンターになってました。二人が今売り出し中の魔女ハンターとして颯爽と登場するシーンなんて、かっこいいじゃないですか。 そして何よりこの映画、アクションがすばらしく良い。スピード感があるのに、とても見やすい。テンポが良いのに、とても見やすい。アクションの撮り方がとってもいい。適度にグロイのも悪くない。 これはなかなか掘り出し物のB級グルメだ~。 ・・・と思ったのですが、グレーテルがザコ保安官ごときに遅れをとるのがちょっと興醒め。 それから白い魔女のミーナでしたっけ?彼女を最後殺しちゃったのが許せん。かなり好きなキャラだったのにもったいない。 ってゆーか、ミーナはきっとそんな気なかったのに、黒い魔女軍団との戦いに駆り出されて、殺されちゃって、かわいそうに・・・。 最後の戦いは誰にも死んでほしくなかったな~。 トロールのエドワードは良かった。クソ保安官どもをぐちゃぐちゃにしてくれたのはスッキリしましたよ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-05-09 02:44:42) |
151. リメンバー・ミー(2017)
《ネタバレ》 映像がすごい。本当にすごい。水のシーンは息を呑みます。 さて、TⅤで流れる有名なシーン。あのシーンがすごく泣けるという話。「ほんとかな~。誇張してるんじゃないの~。」と懐疑的。・・・だったのですが、泣けますね。ちなみに妻は号泣。 最近のディズニー作品のなかでは、方向性が一貫していて好感がもてます。主人公のミゲルも魅力的。途中若者特有の独善的な部分も垣間見えますが、許容範囲でしょう。主人公を応援できる気持ちになれるかどうかは大切な要素です。 毒気が少なめなので、カラフルな死後の世界に慣れてきたあたりで若干ダレる部分があるのは否めませんが、皮肉にもそのダレた空気を払拭してくれるのが極悪人デラクルス。盗作どころかまさか殺人まで犯していたとは。ここまでの作品のイメージを壊しかねないほどの急展開です。 ただ本当の父親でなかったことは不幸中の幸い。ヘクターのほうが本当の父親で良かった。ヘクターが家族のもとへ帰ろうしていたことがわかって本当に良かった。できればミゲルが真相を伝えた時点でイメルダにはヘクターのことを許してあげてほしかったけど・・・。 一見ハッピーエンドですが、ヘクターとココは一番会いたかったときにはお互い会えなかったわけで・・・。そう考えるとやっぱ切ないし悲しい。まあ、最後は親子三人、長い年月を経てようやく手を取り合うことができて良かったです。 「第2の死」の設定は無かったほうが良かったかな・・・。悲しくなるし、死後の世界の意味が希薄になっちゃう。 死後の世界まで貧富の差があるのもなんかヤダ。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2023-05-07 20:35:28) |
152. 真夏の方程式
《ネタバレ》 『容疑者Ⅹの献身』に比べると、非常にガリレオっぽくてこちらのほうが好き。特に序盤はキレキレの湯川節がザ・ガリレオって感じで楽しい。くそ真面目、超クールなのに、そこにユーモアを生み出すのが湯川学最大の魅力だと思います。 ミステリーとしてはやや弱いか。演者の表情や雰囲気でなんとなく真相が読めてしまう。そしてその想像の範囲を出ない真相。さもありなんといったところ。ごりごりに推理を楽しみたい人たちにとっては物足りないことでしょう。 そのぶん人間ドラマに魅かれるところがあるかと言えば、それもぼちぼち。前作『容疑者Ⅹの献身』では犯人の皆様にすごく感情移入できたのに、なぜでしょう。他の方のレビューを見てなるほどなと思いました。必然性の欠如。これは原作の問題かもしれませんね。 唯一良かったのは男の子かな。理科は嫌いって言う恭平君に、「聞き捨てならない」と理科の魅力をペットボトル探査機を使って伝える湯川さん。2人のやりとりに終始ほっこりしてしまいます。 ・・・だからこそ恭平に殺人の片棒をかつがせたことは許せいないです。それに気づいている湯川さんが、成美に恭平を支えてやれと言ったシーンはぐっとくるものがありました。 総評。傑作とまではいかないかもしれません。ですが万人に愛されるガリレオシリーズの一品だと思います。 ※ちなみに東野圭吾作品、すべて読んでいるわけではありませんが、彼の作品は過程はすごく盛り上がるのですが真相やオチがいまいちなものが多いです。そういった意味では、この作品はとても東野圭吾っぽいです。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2023-05-06 09:05:57) |
153. 悪霊のはらわた
《ネタバレ》 しょせんB級。いや、C級ホラー。 最初から期待なんてしていませんが、それでもこの作品はダメですね。 ゾンビものでは『逃げる』『戦う』『助けを呼ぶ』『籠城する』の、基本4パターン。 どれでも良いのです。サバイバル感が味わえるのであれば。 ところが、今作は本人たちに全く目的がないのです。 逃げるなら逃げる。戦うなら戦う。はっきりしないと。本人たちがどうしたいのかが全然わからないので、全然ハラハラしないのです。 唯一目的があったのは妻子を殺されたおっちゃん。この人は化け物を殺す一択。それでよいんです。 で、このおっちゃんが素敵なチュートリアルを担ってくれるのかと思いきや、あっという間に別行動。なんでやねーん。 イケメン枠のひげボーイ、警察を呼びに行ったはずなのになぜ戻ってきた。 おい、武器、武器、って武器を探すなら、その武器を投げ捨てんなや主人公。 さっきまで普通にゾンビと格闘していたはずなのに、突然立てなくなる主人公。 ・・・・ええ?この状況でキスすんの? ファーック!ファーック!って、こっちが言いたいよ。 ひさしぶりに終始イライラしっぱなしの駄作でした。 1人、2人くらい足をひっぱるバカやクズは、こーゆー作品ではお約束。 ・・・でもどいつもこいつも頭が悪いんじゃ救いようがないっす・・・ [DVD(字幕)] 3点(2023-05-05 01:14:45) |
154. コレクター(2012)
《ネタバレ》 あれれ?なかなか厳しい評価を受けていらっしゃいますね~。 個人的には好きなんですけど。わかりやすくて。オーソドックスで。 へー、実話をベースに…。いったいどの辺までが実話なんでしょう…。 相棒のケルシーがまさかの…これは奇をてらったどんでん返し。電話で連絡していた相手は警察ではなく犯人だったとはね。どうりで応援が全然来ないわけだ。 …確かにラストのネタばらしのやり方はまんまソウ…。でもソウのネタばらしのやり方好きなんですよね。 よくパクリだなんだと批判されがちな世の中。でも面白い映画の面白い手法を取り入れて、それで映画が面白くなるんだったらそれで良いじゃないかと思う今日この頃。 それより気になったのは捜査のもたもた感。 主人公のパパさん刑事マイクは、表彰もされたことがあるような優秀な刑事らしいですが、ちょっと優秀さが控えめでした。 容疑者が勤務する病院に頭から血を流している従業員がいます。 犯人は娘が誘拐される直前、娼婦から瓶で頭を殴られています。 ・・・・・・いや、気付こうぜ。そこつっこまないのはあからさまに不自然でしょ。 気になったのはそこくらいかな~。 犯人宅でのやりとりは終始緊張感がありました。これで捜査のほうが手際よくテンポよく進んでいたら、相乗効果でもっと面白かったかも。 最後がバッドエンドすぎるので後味は悪い。 でもその過程は楽しめます。 エンタメとしては良質なサスペンス作品だと思いますけどねー。 [DVD(字幕)] 7点(2023-05-02 01:46:05) |
155. るろうに剣心 最終章 The Beginning
《ネタバレ》 なるほど。原作では十本刀編が好きでしたが、映画では雪代巴編が最高に良いですね。 今作の完成度と熱の入れようを見ると、監督さんが一番撮りたかったのはこれなんだろーなー、とすら思ってしまいます。 アクション重視、エンタメ重視の今までのシリーズとは打って変わって、ドラマパートが大部分を占める本作。ティーンうけは悪そうですが、原作ファンには胸アツのドラマとなっています。 なにしろ有村架純演じる雪代巴が最高に良い。これぞヒロイン。武井咲演じる神谷薫もよかったのですが、ちょっとヒロインとしての格が雲泥の差です。 佐藤健演じる剣心も今までで一番良い。 元ネタを知っているだけに、最後は悲劇で終わるとわかっていても、二人の幸せを願わずにはいられない。それほどの求心力が本作の剣心と巴にはあります。 もう日記を読むあたりから涙腺がやばくて・・・。最後は結末を知っていたのに決壊しちゃいましたね・・・。 1作目のオープニングで終劇となるところも憎いじゃないですか。映画を見てきた人たちにとってはこれ以上に感慨深いラストはないでしょう。 1~4までは、すべて原作のほうが上でした。 ただ、このBeginningだけは映画が原作を超えてきたと思う次第です。 この感動は映画にしか出せない。 [ブルーレイ(邦画)] 9点(2023-04-30 20:57:24) |
156. るろうに剣心 最終章 The Final
《ネタバレ》 私は個人的に、るろうに剣心の原作は十本刀編がピークで、縁編はいまいちだったんです。十本刀編に比べると、雪代縁編は敵の数が少なくなるうえに、質もいまいち。せっかく『幕末の人切り抜刀斎への復讐』という贖罪のテーマを掲げたのに、まともに復讐しに来ているのは縁と鯨波くらい。みんなが剣心に恨みを持っているのならまだ良かったんですけど、ただの戦闘狂や殺人狂が混ざっている。しかもあんま強くない・・・。その辺りが原作では残念な感じだったのですが・・・ まあ、乗りかかった舟ですし、こちらでの評価も高かったので見てみることに。結果良かったです。原作より良かったんじゃないかな。鯨波とか乙和とか八ツ目とか、みんな見せ場がありましたし。この映画1本で完結させたのも高評価です。 原作コミックには無いシーンが追加されていて、それが思いのほか良かったです。冒頭の列車アクションとか、宗次郎の参戦とか。個人的に『昨日の敵は今日の友』的な展開は胸アツなのでテンション上がります。 一番謎だったのは刀狩りの張・・・彼はいったい何がしたかったのか・・・結構好きなキャラなんですが、終わってみればいてもいなくても良いキャラでしたね。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2023-04-29 04:32:48) |
157. 脳男
《ネタバレ》 あまりにもカルト臭、B級臭のするタイトル。でも出演者のみなさまはなかなか豪華。で、実際見てみたらこれが何とも面白い。こうなってくると、なんだかタイトルでずいぶん損している気がします。 ぴりりとした緊張感のサスペンスフルな展開。冒頭、いきなりおばさんが舌を切られるショッキングな映像。ここで女の子二人の顔はまだ見せないことで、より不気味さと狂気が強調されています。 更にはそこからのバス爆破。これ以上ないつかみ。これだけでもおなかいっぱいなのに、次に登場するは脳男。ぶっとんだサイコパス相手に冷酷無比な殺人マシーン。これ以上ない純度100パーセントのダークヒーローもの。厳しい評価も受けているようですが、私はこーゆーの大好きです。 女の子たちはオープニングで。脳男は留置所で。これ以上ないくらいの見せ場を作ります。この両者が相まみえるときが楽しみでならない。そんな期待を抱かせるのです。 中盤はだれそうになるものの、効果的な音楽の使い方と、何かが起こりそうな雰囲気が常に一定の緊張感を与えてくれます。これはうまい。それに鈴木一郎の正体に興味津々。退所して会いに来た志村の不気味な存在感もパンチが利いています。 唯一不満があるとしたら終盤。まず茶屋刑事が脳男を殺そうとしたことにドン引き。それに、新米を救うために殺そうとしたのは百歩譲って許せはしないが理解できるとして、駐車場で脳男に引き金を引いたのはマジで意味がわからない。新米が死んだあとに脳男を殺そうとするのは違うでしょ?茶屋刑事には最後まで刑事としての正義を貫いてほしかった。 そして最後の対決。これまでさんざん盛り上げておいて、ただ車ではねるだけって、それは芸がないんじゃない? 脳男もあれだけ天才っぷり強調してきたのだから黙ってはねられないで。 絶対このままでは終わらないと思っていた志村のラスト、良しです。すっきりしました。 [DVD(邦画)] 9点(2023-04-25 14:25:04)(良:1票) |
158. THE ICEMAN 氷の処刑人
《ネタバレ》 こーゆーナチュラルボーンキラーのストーリーは、はずれがないですねー。 それにしてもフィクションではなくまさかのノンフィクションだとは。事実は小説より奇なりとはまさにこのこと。 とは言っても、実際のククリンスキーと映画のククリンスキーは多少性格に違いはあるようですが。 映画のククリンスキーは怒りを覚えたときと、仕事でしか人を殺していません。 ですが実際のククリンスキーは殺人そのものを趣味としていたようです。つまり殺人あるいはそのプロセスを楽しむ人物だったようですね。 伝記のような側面をもつ本作。本来の情報量は相当なものでしょう。それを2時間弱に編集。その結果、少なからず説明不足な部分はあるようです。特に後半。ククリンスキーが目撃者の女の子を見逃して、ロイに追放されてからの展開がごちゃごちゃしてわかりづらい。私の理解力の問題でしょうか?いや、そんなはずは… 結局娘をひき逃げしたロイたちには復讐を果たせぬままお縄となってしまったので、なんかもやもやしたものが残ります。 どの視点から見るかで評価や感想が変わる映画かもしれません。 私には、家族を愛してやまない男が、人生にもがくドラマのように映ったので、なかなか辛い結末でした。 でもこの人にふさわしい結末といえなくもない・・・ ・・・邦題でだいぶ損してるなぁ・・・副題のB級感が・・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-04-23 21:52:56) |
159. アイアン・スカイ
《ネタバレ》 アクション?SF?いや、これはコメディ。コメディというより寒いギャグ。 最初はその世界観、突拍子もないアイデアに魅せられるのですが、すぐに飽き・・・最初の50分がひたすら退屈。とにかく話が進まない、広がらない。で、終盤になると突然宇宙戦艦同士の激しいバトルが始まって、細かいことを気にしなければビジュアル的に面白いです。 で、この映画一見バカ映画ふうなんですが、いたるところに強烈なアイロニーをふりまいています。 北朝鮮の代表に、いかにも言いそうなことを言わせて、結果世界中から笑われたり。 『アメリカが唯一勝ったのはナチだけ』と女性大統領に言わせてみたり。『アメリカはいいの』はさすがに吹きました。 最後の各国の首脳同士の大乱闘なんてその最たるもの。共通の敵がいればとりあえず手を組むけれど、共通の敵がいなくなればいずれ人類は自滅するとでも言いたいのかな? あのね、そんなことは言われなくてもみんなわかっているの。 そーゆーメッセージを発信したいのであれば、せめて映画を面白く作ってくださいな。 発信のツールとして映画を媒体にする以上、中身が面白くないと伝わるものも伝わりませんぜ。 ・・・・・・レナーテのおかげでなんとか最後まで見れたようなもんです。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2023-04-20 01:12:36)(良:1票) |
160. 殺人の告白
これはよくできたサスペンスですねー。アクションが邪魔になるくらい、サスペンスフルな脚本がよく出来ています。 結末まで見てしまうと、また最初から見直してみたくなります。時間がないのでしないけど。 例えば警察署でドゥソクがヒョングに耳打ちしたシーン。同僚が『ドゥソクはお前になんて?』と尋ねると『ジャージャー麺をぶつけろだとさ』と答えるヒョング。このときはヒョングが皮肉まじりのジョークをとばしていたのかと思ったのですが、本当にそう言っていたんでしょーねー。 それにしても恋人の末路が悲惨すぎて、素直にハッピーエンドと言えないのが辛いところ。恋人の母親がヒョングに厳しく接してしまったせいで、ヒョングはクリスマスのときに家に送らなかった。その結果、恋人がJに拉致監禁されたと考えると、やりきれないです。 それにしてもカーチェイスと最後の追いかけっこは要らなかったんじゃないかなぁ。特にカーチェイスは作風に合っていない気がするのですが。 最後の追いかけっこも蛇足感あり。せめてTⅤ局内で決着をつけるほうがドラマが際立ったように思えるんだけど。 まあ、そーゆー余計なところはありますが、警察、ドゥソク、J、遺族、四つ巴の争いがとにかくスリリング。その背景にある被害者の悲しいドラマも断片的ではありますがしっかり描かれ・・・。2度目の討論会での真相を明かすシーンではカタルシスさえ感じる…。久しぶりに見ごたえのあるドラマを見ました。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-04-20 00:57:56)(良:1票) |