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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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141.  リトル・フォレスト 夏・秋 《ネタバレ》 
これは厳しいなあ(笑) 橋本愛のプロモーションビデオじゃあるまいし、彼女のクローズアップがやたらと多すぎ。内容はまるでグルメ番組のように、とにかく料理、料理、料理で、ストーリーはおまけ程度でしかない。その料理もナレーションで全て説明してくれて、見せ方に映画らしい工夫がない。東北の四季折々の風景や食は改めて素晴らしいと思う。でもそれはあくまで風景や食の"素材"そのものがいいからで、決して映画の内容がよいのではないと思う。
[DVD(邦画)] 3点(2018-02-13 22:46:15)
142.  スリー・ビルボード 《ネタバレ》 
一つのレイプ殺人をトリガーにして、とどまることを知らない不幸の連鎖。全く先が読めないという展開も含めて、コーエン兄弟の映画を彷彿させます。そして、「ファーゴ」以来、久しぶりに存在感のある (ありすぎる笑) フランシス・マクドーマンドでした。 本作の「ビルボード」は、コミュニケーション不全の社会のメタファーと思います。一方通行で煽るのではなく、初めからミルドレッドと署長が対話をしていれば、ディクソンとレッドが対話をしていれば、レイプ殺人一つだけで不幸は済んだ話。そもそも、母と娘が口論ではなく対話をしていれば、娘が暗い夜道を一人歩いて街に向かう愚行も回避できたかもしれない。怒りや憎しみは何も生まない、というよりは "対話" (コミュニケーション) 不足が生んだ悲劇のお話と思う。 また本作の広告用ビルボードの使い方は、匿名で個人に向けてメッセージを発信する、といった共通点から、ネットの投稿や掲示板を思い出します。時に相手 (個人) を一方的に誹謗中傷しているのに、書いた本人に罪の意識がない、という点もよく似ています。本作のテーマは決してネット社会の風刺ではありませんが、裏テーマとして含みがあるように少なからず感じました。 観応えはありますが、救いがない、着地点がもやっとしている、ミルドレッドやディクソンの行為に全く共感できない、以上からこの点数です。
[映画館(字幕)] 6点(2018-02-05 17:06:56)(良:2票)
143.  ほとりの朔子 《ネタバレ》 
2週間をおばさんの家で過ごした、朔子のひと夏の物語。これは表向きは陽気な話を装っているが、見た目ほど愉快な映画ではないと思う。一線を越えそうで越えない、男と女。青春と性の境界線。原発の立ち入り禁止区域の境界線。映画からは、理性と狂気の狭間でかろうじて踏みとどまっているような、ピリピリとした(異様な)空気を随所に感じる。夏らしい色鮮やかな彼女の姿は、ひと夏の間、水辺のほとりでオスを誘引して光る、メス蛍の求愛行動を思い出す。蛍の寿命は短くて、生きても2週間とか。一度越えたら二度と戻れない、生と死の境界線。そして2週間の短い夏が終わり、朔子は帰って逝きました、とさ。
[DVD(邦画)] 7点(2017-12-28 23:28:51)
144.  オリエント急行殺人事件(2017) 《ネタバレ》 
A・クリスティの原作は既読、過去の映画版は未鑑賞です。今回、結末を知りながら鑑賞したのは、多くの方たちと同様、稀にみる豪華出演者たちに惹かれたからです。その映画はまるで、豪華キャストによるお芝居(舞台劇)をスクリーンで観ているようでした。でも"列車内"からロケーションがほとんど動かない上に、乗客たちは素性を知られないよう"芝居"をしているので、設定上そうなって当然か(笑) とりわけ印象的だったクライマックスの場面、これは原作にはなかったように記憶しています。暗いトンネルの中から、光射す方を望む12人。見据えるその先に立つポワロは、罪人たちを暗い淵から更生に導く救世主のようにも見えます。これはまさに映画ならではの演出だったように思う。でもさ、せっかくその映画じゃない?暗い顔した人物たちばかりじゃなくて、オリエント急行の車窓から覗く美しい風景、豪華料理のフルコース、もっと観たかったなあ。(登場人物が多すぎるから仕方ないんでしょうけど)
[映画館(字幕)] 6点(2017-12-23 00:02:38)
145.  女神の見えざる手 《ネタバレ》 
これはとても観応えのある脚本でした。登場人物たちの洪水のようなセリフの応酬に圧倒されて、あっという間の2時間が過ぎてゆきました。エリザベス・スローンという女は強烈だった。彼女は頭脳を武器に国の巨悪と戦う、まさにワンダー " キャリア " ウーマン。その人間性や手段はともかくとして、私は彼女を羨望の眼差しで観ていたことを白状しよう。1つだけ気になった点があります。それは彼女の過去や生い立ちが一切語られていないこと。だからその信念の源は不透明だが、実はエズメのように銃にまつわる壮絶な過去を背負っていたのではないか、と思うことにします。映画としては、やはり原題通り天才ロビイストである彼女を堪能するべきで、必ずしも銃社会の問題に固執した物語ではないと思いました。 (クライマックスでは銃うんぬんはどうでもよくなってるし) そして、観終えてみれば納得の邦題も秀逸だったように思う。それは人間たちをチェスの駒のように自在に操った彼女の見えざる手であり、彼女が張り巡らせた壮大な罠でもある。でも実は彼女自身を導いて突き動かし続けた力こそ、" 女神の見えざる手 " かもしれません。
[映画館(字幕)] 8点(2017-12-07 22:12:17)(良:1票)
146.  KUBO/クボ 二本の弦の秘密
雰囲気はまさに「まんが日本昔ばなし」なんです。あの世界観を、ハリウッドの新進気鋭のストップモーションアニメ監督が現代風に演出していて、なんかこう、観ているあいだ不思議な感覚でしたね。クボ・サル・クワガタが三人パーティを組んで、村を草原を山をてくてく歩き、やがて舟で大海原へ。僕は勝手にドラクエⅡを思い出したりもしたのですが (笑) 闇の姉妹の造形は不気味な美しさにぞくぞくしますが、骸骨の場面だけはどうしてもティム・バートン風になります。と、ここまで書いてみて、つまり雰囲気は極上ですが、新鮮な " 個性 " は乏しいのかなと。道具のディテールには相当拘っていて、折り紙のザラザラした感じ、クワガタが纏う甲冑の質感、クボの刀や兜の光沢は惚れ惚れするほど。また、外国の監督にありがちなピント外れな日本の描写もほとんどありません。監督 (制作スタッフ) のみなさまは、日本古来の風景はもとより、習慣や文化まで深く探求されているようで、これは嬉しい限りでした。なお私は字幕で観たのですが、この世界観なら英語よりも日本語吹替の方がいいかもしれません。 (日本の風景にサムライたち、これが英語というのがちょっと違和感でした)
[映画館(字幕)] 7点(2017-11-27 17:35:56)
147.  彼女がその名を知らない鳥たち 《ネタバレ》 
陣治と十和子の食事の場面、十和子のラブシーン、これだけで映画の半分くらいはありますか(笑) 食うこと、セックスすること。愛すること、愛されること。これは呆れるほどに、人間の(本能的な)欲求に正直な映画でした。十和子(女)の生き方は理解不能な反面、男たちの生き方はわかりやすい。いい男たちは散々セックスして、モテないヤツは食うだけ、尽くすだけ。原作ありきでしょうが、この描き方はとても短絡的だし、好きになれない。陣治は十和子を愛していた、というよりは愛すること自体に酔いしれていた感じ。だって本当の愛とは最後まで責任を果たすことだと思うから。だから私には、主要な登場人物の誰一人にも共感できなかった物語でした。体を張った蒼井優からは、主演女優(若さに頼らない真の演技派)としての生き残りをかけたような、悲壮感が感じられた。花とアリスやフラガールの彼女にも、いずれこんな役をやる日が来るとは。なお本作は阿部サダヲによって成立した映画と言ってもいいほど、彼だけは代わりが見当たらない。喜劇、悲劇、シリアス、何でもござれの個性派は、これからの邦画界でもきっと重宝されるはずです。
[映画館(邦画)] 4点(2017-11-23 17:46:21)
148.  後妻業の女 《ネタバレ》 
原作は「後妻業」。でも本作は「後妻業の女」。女たち。汚い金と裏帳簿。津川雅彦。明らかに伊丹十三監督「マルサの女」をリスペクトしてますなあ (笑) サスペンスとしては凡庸でコメディにしてはそれほど笑えない。だから本作の見どころは、とにかく大竹しのぶという女優の圧巻につきる。対抗するは、尾野真千子という実力派女優。この二人が揃う場面は、あきらかに映画に緊張感が走ります。観応え十分の二人の舌戦 (演技合戦) が本作を救ったと言ってもいいでしょう。永瀬正敏はいかにも後妻業に恨みを持つ刺客といった雰囲気で、これは面白くなってきたと期待をしたのですが・・。それが予想に反して、単なる " ゆすり屋 " とは拍子抜けもいいところ。この役は別に彼でなくてもよかったんじゃない? 真実性のない遺言書という一枚の紙っぺら。結局は法制度がアマいから、それを利用して悪だくみする連中が後を絶たないわけで。表向きは後妻業という問題行為をコメディタッチに扱いながら、むしろ問題は法や制度自体なんじゃない? と痛烈に皮肉った映画のように感じました。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2017-11-10 17:42:36)
149.  パターソン 《ネタバレ》 
アダム・ドライバーがパターソンの街でバス・ドライバーのパターソンって (笑) 遊び心がすぎるぞ、J・ジャームッシュ。 かつての彼の映画は、ビリビリとした個性を放っていて近寄りがたい空気があったものだが・・。今作はずっと優しく温かくて、監督ご自身が丸みを増したかのような印象を受けました。 家と通勤路、バスからの風景、BAR、滝を望む公園。陽光、行き交う人たち、色づく街路樹。さりげない日常の反復のようでいて、毎日違う顔を魅せる、いつもの風景。大きなドラマはないが、一画一画がとても洗練されていて、まるで写真集のページをめくっていくような味わい深い映画でした。 一つ、インパクトのある台詞があります。「詩の翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」 これは、音や韻が持つ響きも含めて "オリジナル" を愛せよ、と解釈したい。 そして本当の個性とは、個性的なことではなく変わらないこと。 一見すると変化しているように見えて、変わらないその本質は、J・ジャームッシュのスタイルそのものです。
[映画館(字幕)] 7点(2017-10-10 00:20:37)(良:1票)
150.  ドリーム 《ネタバレ》 
冒頭における三人の愉快なやり取りから察するように、黒人差別をテーマにしながらも、そこまでの重苦しさはなく軽快なタッチで描かれています。(さじ加減は数年前の「ヘルプ 心がつなぐストーリー」に近い感じ) 三人の職場における差別や苦境はしっかりと描きつつ、でも私生活では三人揃って明るく笑い飛ばすという、映画全体のバランス(明暗の緩急)に長けていたように思います。なお私は数学音痴なので、ロケット軌道計算や着水地点解析の難易度がどれほどかは想像もつきませんが、キャサリンが数学の地球代表であるすごさは伝わってきました(笑) 脇役も総じてよかったですが、特にK・コスナーは絶品でした。90年頃の全盛期からキャリア低迷もありましたが、その苦労と経験がいい感じでにじみ出ていて、むしろ昔よりいい役者になったように思います。(今の彼で主演映画が観てみたい、と心から思いました) 有人宇宙飛行「マーキュリー計画」という大きな歴史。その歴史の主役はロケットでもコンピュータでもなく、"人間たち"であり、男も女も白人も黒人も(ポジションも)関係なく、担った全員が主役であったことを実感します。同じ題材を取り扱った「ライトスタッフ」と比べても面白いかもしれません。興味深いのは題材は同じでも全く別の映画になっていて、人間を軸にその姿を変える映画の無限の可能性を感じました。誠実に丁寧に作られた、本当に胸のすく映画でした。しばらくはいい夢が見れそうです。
[映画館(字幕)] 8点(2017-10-01 18:51:37)
151.  ラブ・アゲイン 《ネタバレ》 
いや~笑った、笑った。S・カレルとR・ゴズリングの掛け合いが本当に面白いです。会うなりダサい靴をはぎ取って投げ捨てたシーンなんか、腹を抱えて笑ってしまった。K・ベーコンやM・トメイといった大ベテランがこんなん役(笑)で出演しているのも映画ファンには嬉しいし、関係者全員集合!するお庭の場面などはうまい脚本だな~と唸らされました。そう言えば、R・ゴズリングとE・ストーンは最近の「ラ・ラ・ランド」でも共演していましたね。「ラ・ラ・ランド」鑑賞後に本作を観ると、二人の幸せそうな姿を観るだけで切なくなってきます。本作のあっと驚く人間関係のマジックしかり、時に映画同士も不思議な関係を魅せて、映画ファンを楽しませてくれます。
[DVD(字幕)] 7点(2017-09-17 19:00:33)(良:1票)
152.  散歩する侵略者 《ネタバレ》 
返り血を浴びた侵略者が、車が飛び交う道路のど真ん中を悠々と"散歩"する。次々と激突して横転する車を後に、女は一瞬冷たく微笑んだ・・。この強烈なオープニングにまずやられました。黒沢清監督の映画としては大胆なSFであり、同時に今回はコメディ色が濃いのも特徴。特に、賢いのか間抜けなのか、最後までつかめない長谷川博己の"宇宙人"キャラが秀逸で、桜井と天野少年の絡みは可笑しくて仕方がなかった。(監督の映画でこんなに笑ったのは記憶にありません) なぜか、「CURE」の役所広司と萩原聖人の全くかみ合わない会話を思い出しました。概念を吸い取られた人間の変わりようも笑いを以て描いているが、実はこれこそ最もたるホラーでしょう。突然ぐにゃっとなってしまって、姿はそのままだがもうすでに心は抜き取られてる・・。怖い怖い。真治が愛の概念を吸い取ろうとして、脳内変換オーバーフローによって失敗し、鳴海は(その時点では)無事だった。これは素直に、愛は計り知れない、という解釈をしたい。まあ、それほど深淵なその言葉の概念を、牧師さんはまるで安全標語のスローガンのように棒読みしたわけですが・・(笑) 夫婦、岸辺、不安げな空の色、戦慄の中にも懐かしさ漂う音楽。監督ご自身が強いこだわりのあるモチーフを踏襲しつつ、(同時にファンが期待しているもの、と言える) 見たことがない世界をまた魅せてくれた。毎回思うのですが、監督の思考回路は一体どうなっているのか。その頭の中にある、「映画」という概念を覗いてみたいところです。
[映画館(邦画)] 8点(2017-09-12 00:36:12)(良:1票)
153.  おとなのけんか 《ネタバレ》 
結局、映画にとっても4人にとっても、こどものけんかは口実なんでしょう。全員、議題(こどものけんか)よりは、初めから自分たちのメンツや虚栄心が重要であることが丸出し。こんなおとなたち、本当見ていて恥ずかしいわ、、と思ったら監督の思惑通り。なぜならこれは、人の振り見て我が振り直せの映画なのだから。個人的には、議題には全く無関心だったアランが、マイケルの秘蔵"ウィスキー"には突然関心を示す、といったところは最も笑えました。(酒をみた時のC.ヴァルツの表情だけでプラス1点笑) その後はおとなたちが酒に飲まれる怒涛の展開。おそらく酒で痛い目にあったことがある人は、ひきつった顔をして笑っていることでしょう。やがて映画は、着地点を見失った"大きなこどものけんか"へ。ラストはけんかの真っ最中に、場面が突然公園に変わるちょっとスッキリしない終わり方。仲直りしたこどもたちが部屋に入ってきて、「けんかはやめようよ」と言ったら拍手でしたが。
[DVD(字幕)] 7点(2017-09-10 11:38:22)
154.  新感染 ファイナル・エクスプレス 《ネタバレ》 
疾走する新幹線、疾走するゾンビの群れ、そして暴走する人間が約1名!スピード感抜群の新感染ならぬ新感覚ゾンビ映画!電車の窓ガラス一杯に所狭しと溢れるゾンビたちの姿、この圧巻だけでゾンビ党は大満足したのでは?走る新幹線といった状況を生かした設定の数々、特にトンネルや荷物用の網棚の使い方などは面白いと思った。少女の歌の伏線の張り方と回収など、脚本もよくできていたように思う。でも野球部員たちはちょっと気の毒。何しろゾンビ撃退用の武器が不自然なくあることが必要なので、要するに単なるバットやボールを用意するための役どころですから。結局、感染源は何?(媒体はあのシカなんでしょうが)といった不満もありそうですが、そこは難しいこと考えずに頭カラッポにしてどーぞ。
[映画館(字幕)] 6点(2017-09-04 21:30:31)
155.  幼な子われらに生まれ 《ネタバレ》 
浅野忠信と言えば、「私の男」「岸辺の旅」「淵に立つ」といった、不気味な役どころが最近はすっかり定着していましたが、今回は一転してマイホームパパという (笑) でも久しぶりに、普通の人を演じる浅野忠信を堪能できました。 本作の映像、それは古びた8ミリカメラで撮影したようなくすんだ色合いで、その空気はどこか懐かしい感じがしました。音楽をじゃんじゃん鳴らすこともなく、静かで抑制のきいた演出も私好みでした。 物語を通して、根っからの悪人は登場しません。唯一、クドカンは小悪党のようでしたが、最終的には意外と愛すべき魅力的なキャラになっていて、人物の描き方にはとても好感が持てました。彼は最後、既にプレゼントの「ぬいぐるみ」を買っておりました。それはつまり、娘さんが来ないことを承知の上で待合せ場所に来た、ということ。本当に娘と会うつもりであったなら、二人で一緒に買いに行こうとするはずですから。彼も、元父親として最低限の義理を果たそうとする真人間であった、ということです。 話変わって、本作は信と妻の元夫、信と元妻の夫、この関係に注目したい。信の結婚が一度失敗したことにより、奇しくもつながった人間関係です。でも彼らの間には、一度は同じ家族の父親であった連帯感が芽生えたのか、デパートの屋上や病室の場面では不思議な「絆」が感じられて、少なからず心が熱くなりました。 "家族を守る使命" という襷 (タスキ) を、ある親が転んで落としそうになった。その親はもう疲れていて、起き上がって走ることはできない。でも誰かがその襷を受け取って走り、やがて本当の親になり、いつしかその家族の絆はもう少し大きく広がった。これはそういったお話。 はっきり言って、彼らと彼らを支えた妻たちの姿を前にして、離婚とか生みの親とか育ての親とか、どうでもよくなりました。"われら" とは、決して血のつながりだけではないはず。だから新しい命に、「生まれてくる君よ、大家族へようこそ」と声を大にして言いたい・・!!
[映画館(邦画)] 8点(2017-08-28 22:32:35)(良:1票)
156.  映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ 《ネタバレ》 
ありがちなボーイ・ミーツ・ガール系の映画ですが、詩集から引用した台詞の数々は目新しいし、とにかく音楽が雑多な感じで、「ミクスチャー」な映画、とでも言おうか。ストーリーよりは、映画の表現の仕方は好き、そんなところ。 主演二人の何か諦めたような空虚な雰囲気も、本作の在り方によくハマっていたように思う。 東京と田舎、そして生と死、、いくつかのエピソードが淡々と流れていき、ぼんやりと眺めていたら、田舎の星空は美しいけど、東京の汚れた夜空に浮かぶ美しい光の群れも悪くはない、、そう気づいた。彼ら都会の底辺をさまよう希望 (一つ一つ) を光りに例えて、二人交わればさらに夜空を明るく照らし出す、、表題の意図はそこにあるのかもしれない。「青色」ってところが、またいい。いずれにせよ、映画から一つでもインスピレーションを感じれば、観たことの価値はある、と思ってる。 個人的には、観ていて何度か思い出したのは、ウォン・カーウァイの香港映画。実際、夜の都会の撮り方 (画作り) とか映像美は意識してるように感じた。
[映画館(邦画)] 7点(2017-07-26 00:36:19)
157.  借りぐらしのアリエッティ
スタジオジブリとしては、宮崎監督から新しく米林監督がメガホンをとった一作目。かつての空や海の大冒険活劇から一転して、小人たちが屋敷を冒険するというこのスケールの小ささ (笑) でもそれにより、偉大な名作たちと同じ土俵で比較されることを回避しているので、一作目としてはむしろこのスケール感でちょうどよかったのでは、と感じました。 ほぼ、小人たちの視点で物語が展開していくので、彼女たちと一緒に大きな屋敷や森を冒険している気分になれて、ワクワクドキドキ、、とても楽しめました。ちなみに彼女たちがネズミに遭遇するのは、感覚的には我々が登山中にヒグマに出くわすようなものか。挑まなくてもいい危険というものもある、というお父さんの言葉は圧倒的に正しい (笑) トトロを彷彿させる場面や、「耳をすませば」の猫など、ジブリファンにはうれしい遊び心もよかったと思う。(スピラーはなぜかヤジロベーを思い出して仕方なかったが) 表向きは人間と小人の冒険物語ですが、少年が虚弱であることから、本質的には、「弱いもの同士、手を取り合って生きていこう」というメッセージですかね。 夏休みに小さなお子さんと安心して楽しめる一作だと思います。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2017-07-22 19:06:22)(良:2票)
158.  怪しい彼女(2014) 《ネタバレ》 
「サニー 永遠の仲間たち」で知ったシム・ウンギョンさんを目当てに鑑賞。本作は彼女へのあて書きですかね? だって、コメディも泣きの演技もできて、おまけに歌も歌える、ときたもんだ。思っていた通り、素晴らしい女優さんでした。 主人公の若返りという波乱万丈の人生に隠れるように、"米国コーヒー" おばあさんのひっそりとしたエピソードが、とても印象的。年老いて独り侘しく向かえる死、わかってはいるけどこれが人生の現実。でもこのエピソードがあるからこそ、"若返り" という奇跡、有難み、それがよくわかるというものです。 物語のハイライトでは、瀕死の孫に輸血することを選んだ、彼女の選択に心を打たれました。いや、一度は "若返り" という経験をしながら、もう一度ただの老人に戻ろうとするその覚悟に涙しました。 「もう一度生まれ変わっても、同じ人生を選ぶ」 二度も青春を生きた彼女によるこの言葉は、とても深くて重みがあります。少なくとも、青春がたった一度きりだった僕らが言うよりは、はるかに。
[DVD(字幕)] 7点(2017-07-19 23:52:04)
159.  北のカナリアたち 《ネタバレ》 
離島の学校、教師と生徒という共通点から、不朽の名作「二十四の瞳」を思い出しました。北海道は礼文島の美しい風景、素晴らしい役者たち、そして歌。これで映画はほとんど勝ったようなものなのに、殺人、不倫、難病など壮絶なテーマをあれこれとてんこ盛りにして、、例えるなら、完成した料理のコースに余計な調味料をたくさんかけた感じ?ちょっとくどすぎるし、感動させよう、泣かせよう、といったあざとさを感じてしまったのです。ベテラン勢はテレビドラマみたいで冴えないので、救いは生徒たちの現在を演じた若手6名の好演でしょうか。歌と教師をモチーフにした映画ならば、近年では重たすぎず爽やかな「くちびるに歌を」をオススメします。
[DVD(邦画)] 4点(2017-07-01 14:09:39)
160.  淵に立つ 《ネタバレ》 
黒沢清監督の映画で感じる死(あの世)のにおい、デヴィッド・リンチの映画にあるような理屈の通じない不条理さ、をこの映画に感じます。オルガンの音色、はためく白いカーテン、四人で並んで収まる写真。本来ならば心地良さを感じさせるはずの"それ"は、むしろ不気味で不安や緊張を煽ります。終始、神経質な眼光の古舘寛治もよかったが、やはり登場した時から不吉そのもので、あの世の使いを連想させる浅野忠信の八坂がよい。タイトルと同じ色使いの彼の服装、それは白を基調にしていて、時折本性の"赤"が顔を出す時、不吉な何かが起きる。四人は、やがて八坂に導かれるように川へ。その川は三途の川、八坂はその水先案内人。ここは生と死のはざま、あの世とこの世の境目、四人(死人)でその淵に立つ。
[映画館(邦画)] 8点(2017-06-17 23:08:19)
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