1661. ホビット/思いがけない冒険
洞窟でビルボと話しながらこっそり石を手にするゴラム、ああこの後どうなるんだろうか、ってのがサスペンスであって、オモシロい映画というものにおいては、こういった場面の積み重ねが我々をワクワクさせると思うんですけれども・・・・・・本作、上述のシーン以外にあとどのくらい、こういうサスペンスを感じさせるシーンがありますかね?? どうも単調。敵の襲撃を受けるシーンなんかでも、味方の様子と敵の様子とを同じように描いて、戦況はわかるけどサスペンスが無い。敵がいつ襲ってくるんだろう、どこから襲ってくるんだろう、などのワクワク感の無さ。そもそも、切れ切れのエピソードを単調に積み重ねていく構成自体、難しいものがありますね。最初の方、旅の仲間が集まってくるあたりのエピソードをあんなに時間かけて描くのは、ある意味とても几帳面、ただし何のための几帳面さなのやら、そこがよくわからない。ただこうやって几帳面にエピソードを積み重ねて3時間近い尺を埋めて見せ、確かに退屈するほどではありませんが、やっぱり3時間弱は必要ないでしょう、と。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2015-04-26 08:35:04)(良:1票) |
1662. 鬼平犯科帳
要するに、テレビ時代劇、ですよね。それでも大風が吹き荒れる冒頭シーンを観ると、ああそれなりにおカネかけようとしてるんだな映画だから、とか思うのですが、その直後の「やれやれ江戸から百里、長かったが、やっと着きましたね」「てめえら俺が今何を考えてるのか知ってるのか(以下略)」という野暮ったいセリフを耳にするとズッコケてしまい、ああやっぱりテレビなんだな、と。クドくても一通りセリフで説明してくれる“わかりやすさ”が、やっぱりテレビ時代劇。作品の内容も、(一応ひと続きのオハナシとはいえ)事実上の2話構成、それで何とか映画の尺に仕立て上げた感じです。後半(2話目といってよいか)、鬼平こと長谷川平蔵の身に魔の手が襲い掛かるという、とっても盛り上げやすい(はずの)物語となりますが、どうもその手口がまどろっこしくて、残念ながら大して盛り上がりません。敵役のキャラの影の無さ、物語のアヤの無さ。これもまた、“わかりやすさ”の一環でしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-04-26 08:11:19) |
1663. 玄海遊侠伝 破れかぶれ
吉田磯吉という破天荒な主人公を、勝新が貫録をもって演じてます。片や大西組、片や太田黒組という二大勢力が幅を利かせる北九州を舞台に、持ち前の男気を武器に存在感を高めていく彼の姿が、雑多ともいえるほどのさまざまなエピソードの中で描かれていきます。最後は、巨大な太田黒組へと決死の戦いを挑む磯吉と仲間たち、まるで集団抗争モノのようでもあり、肺病を患う松方弘樹がドク・ホリデイを連想させてOK牧場の決闘のようでもあり。戦い前に男たちが車座になって手を取り合うのは、むさくるしいながらもどこか同性愛的なものも感じさせ、そこがまた、この後の絶望的な戦いの悲劇を予感させるもんだから、やっぱり集団抗争モノを思い起こさせるのですが……そんなことを思ってみていると、最後には意外な(しかし実は予想されてしかるべき)結末が待っている。破天荒で破れかぶれのこの主人公も、女の一途な想いには、やっぱり勝てないんですな。安田道代が本当に素晴らしい。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-04-21 23:36:18) |
1664. アレクサンドリア
ひと続きの物語ではありますが、前半と後半で2部構成のような作品になってます。そのどちらもが、宗教に基づく人々の対立。それもキリスト教徒が迫害者として描かれ、結果的に迫害される側となるのが、主人公である女性学者。彼女はただ「真理」を追い求め、それが完全な合理性からは外れたところにある(動く船の上で物を落としても船上の人間から見て後ろ方向に落ちない・地球の公転軌道は円ではなく楕円である)ことに気づくワケですが、要するに人間の感じる合理性なんてのは、その時々によるモノなんですな。真理に貫かれたこの宇宙は、彼女が何かに気づこうが、人々が対立し殺し合おうが、微動だにしない。ただそこに冷たく存在し、小さな我々を冷たく見守り続けることを示すように、作品の中に宇宙からの視点、あるいは地面に小さくうごめく人々の姿が、再三登場します。最後に、主人公が見上げる、小さな空。ちっぽけな人間には決して手の届くことのない真理が、遠くに垣間見える・・・。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-04-18 09:45:59) |
1665. ラストミッション
《ネタバレ》 「病で余命幾ばくもない殺し屋」だなんていう、実に“いかにも”な設定ですが、そこから連想するテイスト(要するに「孤独」というヤツですが)とはひと味もふた味も違った作品です。別居していた妻との関係もさることながら、娘との関係というのが物語の中心に描かれていて、ユーモアいっぱい。アクションは確かに見せ場ですが、それ以上に、演出の図々しさ(省略であったり、強引さであったり、反復であったり)が実に楽しいのです。主人公と娘との関係というテーマ、これ自体は正直、時間をとって描く割にはさほど繊細に描かれているようには思えないのですが、その代わり、「父と娘」の組み合わせが複数の家族にわたって登場する面白さ、さらにはそれが、主人公と謎の女性ヴィヴィとの不明瞭だった関係にも投影されていくようなラストのうまさ。なかなか意表をつまれる作品でした。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-04-18 09:11:43) |
1666. 浪人街(1990)
「総監修:マキノ雅広 」とか「特別協力:宮川一夫 」とかいうのが、いかにも名義貸しみたいな胡散臭さを感じちゃうんですけど、いや、そういうの抜きに、面白いからいいではないですか。作品に満ちているのはコレ、胡散臭さではなく、オッサン臭さ。ふんだんに登場する長回しの中で、オッサン俳優たちが、思う存分に演技をぶつけ合いながら、浪人の鬱屈を繰り広げる。そしてそれが、クライマックスにおいて焦点を結び、刀を山のように挿した原田芳雄の姿を目にしたとき、やっぱり感動せずにはおれないのです。消耗品としての“浪人たち”ではなく、オッサンたちひとりひとりのカラーがしっかり色分けされていて、原田芳雄はもちろんの事、石橋蓮司もいい、勝新もいい、田中邦衛は…こりゃどうなんでしょうね。前半の真夏の暑さから、後半の大風に至る季節の移り変わりの中、彼岸花が咲き続けているのが「なんでやねん」ってなところですが、物語のすべてをひっそりと見守り続けてきたのがこの、彼岸花、という訳で。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-04-12 08:54:41) |
1667. ダークナイト ライジング
最初のあの飛行機のアクションで度胆を抜かれ、気分が大いに盛り上がるものの、そのあとは例によってジメジメとした根暗な雰囲気が漂う。“ダーク”なイメージで描いてます、と言われりゃ、そりゃそうなんだけれど、どうも停滞感が。後半はそれなりに目まぐるしい感じを出そうとしているのだろうけれど、脈絡なくシーンを積み重ねている印象しか受けず、停滞感は払拭できません。そもそも、破滅的な状況に置かれたはずのゴッサムシティが、絶望感も荒廃感も無いただの映画の一舞台としてしか表されていないのが、気分の乗らないところ。陰にこもったバットマンのパッとしなさは置いておくとしても、せめて、地下に閉じ込められていた警官たちの、ようやく地上で日の目を見ての行軍、ここで我々を泣かせなきゃ感動するトコないでしょ、というこの大事な場面を、どうしてこうも無感動にフツーに描いてしまうのか。残念です。 [ブルーレイ(吹替)] 5点(2015-04-11 09:07:44)(良:2票) |
1668. 有頂天時代
アステアとロジャースのコンビがいて、気のいい相棒がいて、ライバルがいて、三角関係(あるいは四角関係)があって、もちろん華麗なダンスがある。もう最高ですね。ウチの子供たちもアステアのダンス映画はお好きなようで、私が観てると横に来て見入ってますが、ジャッキーチェンのアクションを楽しむように、アステアのダンスを楽しんでるみたいですね。ストーリーは例によって他愛無いと言えば他愛ないのですが、アステアがロジャースと組んで、まずヘタクソなダンスを見せたと思えば次には華麗に踊って見せたり、あるいは奪われかけたバンドを賭けで取戻したかと思えば、また賭けですべてを奪われたり。あるいは反復される、ズボンの折返しネタ。こういう、振り子が振れるような行き来をストーリーに織り込み、おどけて見せながら、クライマックスでは主演ふたりが誰もいないホールでダンスを繰り広げ、カメラも素晴らしいクレーン撮影でこれを追いかけるのが、まさに圧巻。楽しさに満ち溢れた作品です。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2015-04-09 22:57:37)(良:1票) |
1669. 五人ライダー対キングダーク
このテのものは、辻褄合わせ皆無、問答無用のスピード感が魅力ではあるのですが、さすがにここまでテキトーなのもどうかなあ、と。ロケしやすさのみで選ばれたような明らかにどうでもいい場所に怪人が出没しては、その姿を目撃した子供に「姿を見られては生かして帰す訳にはいかぬ」と襲い掛かる、その繰り返し。怪人はなぜそんなところにいて、なぜそんな簡単に目撃され、しかも目撃されると何が都合悪いのか、一切不明。いや、気にしないことにしよう、ライダー5人そろい踏みが観られりゃ、それで良し。と言いたいところだけど、5人集まって戦っちゃ、せっかくの仮面ライダーも何だか戦隊モノみたいになっちゃう(しかも男ばかりで少々ムサい)。5人ライダーといっても、変身前の姿がまともに登場するのはXライダーだけ、あとは使いまわしの変身シーンで一瞬登場するのみ、ってのも寂しい。怪人は無数に登場するけれど多少なりとも活躍するのはコウモリフランケンというヤツ(名前だけ聞けば、どういうヤツかだいたい想像がつきますね)くらい、あとは30分弱という時間の制約もあり超高速で退治されていっちゃう。ううむ、見どころが、無さすぎる。5人も6人も仮面ライダーが出てくるのは、ショッカーライダーで十分です、ハイ。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2015-04-07 22:54:18) |
1670. 月下の銃声
どっちかというと低予算で小品の部類に入る作品だと思うのですが、これが何だか妙に面白い映画なのでした。基本的には、対立するグループがあって、その間に立つヒーローがいて、という図式なのですけれど、思わぬ人同士に思わぬ繋がりがあったりして、それが銃撃戦やら牛の暴走シーンやらを交えながら、徐々に明らかにされていく。その過程が面白いんだね。そしてオハナシはちゃんと勧善懲悪的な方向に落ち着き、最後は一軒家に立てこもっての銃撃戦。もう最高ではないですか。主人公を演じるロバート・ミッチャム、超然としたヒーローかと思いきや(いや実際、そういう役どころだとも思うのだけど)、時にどこかユーモラスな感じを受けるのも、若々しさゆえでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-04-07 22:06:41) |
1671. ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密
夜の博物館で展示物が動き出す、という一発ネタでもって、シリーズを3作も引っ張っちゃうのはやっぱり厳しい。驚きの無いところから映画を始めなきゃならないし、そもそも、勝手気ままな展示物たちにベン・スティラーが振り回される彼の困惑こそが“ナイトミュージアム”というネタのお楽しみであったものが、もはや展示物ファミリーの一員である彼には困惑も何も無いし。もちろん、この馴れ合い的な世界が、シリーズとしての楽しみであることにもまた、間違いは無い訳で。いつも通り気が合いつつ、いつも通り噛み合わない連中の掛け合いの楽しさ、そこに新キャラも参戦してギャグを散りばめ、確かにしっかり笑わせていただきました。ただ……ねえ。演出は何だか単調だし(会話シーンとか、機械的過ぎませんか)、ラスト近くの「この辺りに感動する時間帯を設けてみました」みたいな展開も嫌味な感じがするし。それに、第3作ともなりテーマとして新味が出しづらい中で、これもアタリマエのようにぶちまけられるCGを見ていると、「実写と見紛うリアルなCG」ってのが本当にイイのかとも改めて思っちゃう。かつてのストップモーションアニメには、どうしようもない違和感があった代わりに、特撮というもの自身の自己主張があり、それに対する観る側の待望も確かにあったんだけど。遠く大英博物館に舞台を移したのも、これも何の為だったのやら、博物館の外まで騒動が広がりかけたものも簡単にエピソードを収めてしまい、結局はすべてが「今まで通り」の雰囲気に落ち着いちゃう。マンネリの持つ良さもある代わり、マンネリの悪いところもかなり出てしまった第3作でした。ところで今回、ベン・スティラーは二役の登場ですが、凝ったメイクアップにビミョーなものがありまして、セリフで「二人が似ている」と言われるほどには残念ながら似ていないんですね。せっかくの二役ですが。あと、一瞬だけのちょっとしたシーンではありますが、アクション俳優でもないベン・スティラーが、走るシーンではなかなかいい走りを見せてくれます。ついでに言うと、思わぬ俳優がチョイ役で登場し、笑いを提供してくれますが、「そういやショーン・レヴィ監督って、このヒトと、あんないい映画撮ってたのになあ」ってなことも思い出しちゃうのでした。 [映画館(吹替)] 5点(2015-04-05 08:58:51)(良:1票) |
1672. 祇園囃子
冒頭の、祇園の世界に吸い込まれそうなショットに息を飲む。まさにここは、「そういう世界」。木暮実千代演じる主人公・美代春も、「そういう世界」の人間。と言っても我々庶民には「そういう世界」ってどういう世界だか、なかなかわからないんですけれどもね~。まず美代春が、金の切れ目が縁の切れ目とばかり、自分に入れあげた客を邪険にする場面があり、ああオソロシや。と思いきや、形式的なしきたりの世界に生きる彼女にも、一方では、栄子やその父に見せる愚かしいまでに情に厚い一面も。そしてそのしきたりの世界に表面的には憧れても結局は馴染めぬ栄子と、その世界に生きていかざるを得ない美代春。彼女たちを利用しようとする者たちも含め、みんな何かしら、不自由を味わっている。ここは、そういう世界、なんだなあと。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2015-03-17 22:55:09) |
1673. ミッドナイト・ラン
派手さもなく、深刻ぶることもなく、起用なのか不器用なのかよくわからん二人の珍道中を、アクションを絡めて描く。最初観たときは、何だかとりとめのない話だなあ、と思わんでもなかったけれど、二人の珍妙なやりとりはやっぱり楽しいし、そこに何かとちょっかいをかけてくる連中のオジャマ虫ぶりもまた楽しく、久しぶりにまた観たくなっちゃう作品なんですね。デ・ニーロも何だか楽しそうで、鍵を投げ捨てる仕草なんかにもそれが表れているように思えて……。こういう楽しさって、『ジーリ』にもつながるものがあると思うのですが、こちらは高評価、あちらは低評価。いやはや世間は厳しい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-03-15 10:18:48) |
1674. ゴジラVSキングギドラ
ちょっと曖昧な記憶ですが…当時、某テレビ番組(NHK BS?)で、ゲストパネリスト達が本作に言いたい放題、「ストーリーがサッパリわからん」「グレムリンだって続編ではいっぱい出てきたんだから(エイリアンの言い間違い?)ゴジラを沢山出すくらいの事はしないと」。そこで司会者が無情の一言、「では大森監督にご登場いただきます」。監督が来ることを本当に事前に知らされていなかったらしいパネリスト達は顔面蒼白、怒りの表情を隠そうとしない大森監督は登場するなり「本当にストーリーわかりませんか。ウチの子供は面白いと言って観てましたよ」「ゴジラが沢山出てくる映画なんて、アナタ本当に観たいんですか」等々。痛快ですなあ…。どっちもどっち、という話もありますが。さて、お馴染み怪獣のキングギドラを復活させ、リアリティよりファンタジーという昭和路線も復活させてなかなかぶっ飛んだ内容になっている本作。内容へのツッコミに加え、外タレ大集合、ケントギルバートとダニエルカールの会話を見て、ああ二人は英語しゃべれるんだ、とか、チャックウィルソンのセリフはどうも聞き取りにくいなあ、とか、ツッコミを入れて楽しむ方法もありますが、細かいことはどうでもよろしい(細かくないけど…)。時代を行き来し、舞台をアチコチ移動し(いつのまにこんなに移動を…)、目まぐるしい展開を見せた末に、最後は怪獣たちよりも大きい、巨大高層ビル群を舞台にした対決へとなだれ込む、これが実に壮観なのです。内容的にはぶっ飛んでいて、クライマックスでは大いに盛り上がる。これもゴジラ映画における一つの理想かと。え、いや大森監督にいつ出くわすかわからないので(笑)、気を使っているという訳ではありません。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-03-15 09:17:53)(笑:2票) |
1675. ジャングル大帝(1997)
欲望にかられた心無い人間たちにより破壊されたジャングルを、今度は疫病が襲う。ジャングルの王たる白いライオン・レオの妻ライヤも疫病に命を奪われ、さらには娘ルキオまでもが病に侵される。そこにやってきた「心ある人間」たるヒゲオヤジ氏、ルキオに注射を施し、さあこれで明日には熱も下がるだろう、と。逆に言えば、注射していきなり元気になる訳でもなく、薬が効くまでには時間がかかる、要するに、人間と動物たちの間に信頼関係を生み出すためには相応の時間がかかる、ということでもあるのだなあ、と。まあ、そう思ったんですけれども、本作はその「時間」を描くこともなく、いきなり場面は翌朝に飛んで、ルキオの快癒を描いてしまう。本当に人間と動物たちは信頼しあえるのか、という「不安の一夜」を経てこそ、相互信頼という奇跡も光ると思うんですが、エラくアタリマエの事として描いたもんです(この間、ハム・エッグ氏側の描写もほったらかし)。まあ、この作品では「ジャングル大帝」の大きな軸をなすレオの前半生に触れていないもんで、レオの人間に対する立ち位置も描きづらいところではあるのでしょうが…。あと、中盤のルネの冒険を描く部分もちょっとテキトー過ぎないかい、という不満もあるんですけどね。でも、多少強引でもどんどん話を進めていっちゃう、この勢いの良さってのも、ひとつの魅力ではあります。そして結局のところ、最大の見どころはやはり、ハム・エッグ氏の濃いキャラと、それを支える談志師匠の名演でしょうか。 [地上波(邦画)] 6点(2015-03-15 08:29:46) |
1676. スピード・レーサー
マッハGoGoGoを、愛すればこその作品なのか、それとも憎んでいるからこうなっちゃったのか。まー実にやりたい放題やってますね。しっかし、児童番組みたいなレベルのCGと映像、これだけでも困っちゃうのですが、問題の本質はそこにあるんじゃなくって、ドラマをひたすらセリフで埋めてしまうこのつまらなさ。映像上は色々とヘンなことやってみせるけど、作品のベースの部分があまりにも弱いので、どうにもなりません。まるで、すでに作ってしまった失敗料理に、後から一生懸命調味料を振りかけているかのような。チンパンジー君の名演技だけが救い。 [CS・衛星(吹替)] 2点(2015-03-13 09:12:18)(笑:1票) |
1677. ボルト
一人合点の独白を繰り返すボルト、何だかバズライトイヤーを思い出させるし、はたまたテルマエロマエの阿部寛にも通ずるものがありますが。イヌにしてはちと「しゃべり過ぎ」かな、という気もいたします、ストレートなセリフはも少し抑えてもよかったかと(一方で、一見ドンチンカンなライノのセリフは、いい味出してます)。それでもこの作品がイイのは、井の中の蛙だったボルトが「外の世界を知る」という形をとっているようでいて、実は外ではなく「中」を知る話だったということ、ウソの世界の中にあったホントの「ペニーの愛」を見出し、自分の中にあったホントの「勇気」を見出すオハナシだった、ということですね。まあそれにしても、ペニーに愛されなかった“新・ボルト”くんの雑魚キャラぶりは、誠にお気の毒でしたが。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2015-03-11 22:43:19)(良:1票) |
1678. ポンペイ
身分の違う男女の恋、二人の仲を権力をカサに着て邪魔しようとするヤな男、さらにそこに降りかかる大災厄。ああ、どうしても結局は『タイタニック』みたいになっちゃうのね、と言いたくなる本作ですが、これがまた、なかなか珍作なのでした。そりゃまあ一応は、火山の噴火が映画の中心には置かれており、そのスペクタクルが一番の見どころとなるようにはなっていますけれども、それが何だか形だけ、とでもいいますか。火山の噴火までは、主人公である剣闘士の戦いで盛り上げてやろう、というサービスかと思いきや、映画の関心が最初から最後までそこにあって、イザ、せっかく火山が爆発しても、何だかうっちゃられている感じ、いわば背景の打ち上げ花火。完全に意匠に過ぎないスペクタクルをよそに、主人公たちは平気な顔をしてノビノビと人間同士の戦いを繰り広げている。そして時々、思い出したように火山が映し出されて「ああ、まだ一応噴火してたのか」と。なんだこのアプローチは、と、ある意味、新鮮でした。それにしてもキーファー・サザーランド、バカ殿みたいな役が似合いますね。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2015-03-08 08:29:03) |
1679. 男か女か
《ネタバレ》 撮影所を舞台にした作品で、役者の役であるところのチャップリン、例の扮装で登場しますが、冒頭には、扮装もチョビ髭もつける前の素顔での登場シーンがあります。で、内容はとえいば、もうひたすらドタバタ。中身も何もあったもんじゃないけれど、とにかくスピーディ。そのまま突っ走るのかと思いきや、撮影所を追い出されたチャップリン、後半は女装して撮影所に潜り込み、美人女優としてチヤホヤされる。『トッツィー』の原点みたいな感じですな。で、この後もドタバタに次ぐドタバタ。最後は何で井戸に落っこちて終わるのやら、もう訳がわからない。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2015-03-03 23:02:28) |
1680. ワイルド・ギース
囚われの身となっているアフリカの要人の救出に向かう、傭兵部隊の活躍。まずは冒頭、無謀な計画が事務的に淡々と語られていく感じが、イイんですね。で、傭兵たちが集められるんだけど、これがまたイイ歳こいた冴えないオッサンの集まりで、精鋭と呼ぶには程遠い。オッサンたちの集団が、訓練受けてても、出撃しても、ホノボノしていて、なーんだかピクニックみたいなんですな。いよいよ開始された救出作戦の方もやたら順調に進み、これじゃ映画の尺がだいぶ余っちゃうね、と思いきや、後半、雇い主に裏切られた彼らの艱難辛苦が始まる。ここで、前半のホノボノムードの中で描かれた各キャラが生きてきます。冷静なリチャード・ハリスに、少しトボけたクールさのロジャー・ムーア。その他忘れ難きポンコツメンバーたちを、次々に危機が襲い、容赦なく命を奪っていく。全体的に、実際の傭兵がアドバイザーとして参加したとは思えないヘンテコな戦闘シーンが多いようにも思えますが(兵士が散開せず団子状に突撃してはバタバタ撃ち倒される、ってのはカメラアングルを優先した結果か。銃を持ってるのにナタを振りかざして襲ってくるのは、これはナゼ?)、それでも、無数に襲ってくる敵とオッサンたちとの戦いは大いに盛り上がり、いい味出しまくりの出色の戦争映画だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2015-03-01 09:45:35)(良:1票) |