161. チョコレート・ファイター
《ネタバレ》 主人公の性別が変わった以外は「マッハ」や「トム・ヤン・クン」と較べて新しいことをやってません。が、その性別変更はかなりのインパクトでした。過去に観た女性が主人公のアクションものでは、最もリアルに格闘しているように見えましたね。「トム・ヤン・クン」では「象を返せ!」と言ってましたが、今作は「金を返せ!」です。それ以外はほとんど喋らない(笑)。喋らない代わりに蹴りまくります。その蹴りの姿の美しいこと。続編が決まっているらしく楽しみです。エンドのNG集は、NGというよりケガの現場集みたいで痛々しかった。そこはちょっと趣味悪いかも…。 [試写会(字幕)] 7点(2009-06-11 03:01:07) |
162. オールド・ボーイ(2003)
面白かった。事件の動機などには突っ込みどころはありますが、あのおっさんが何をやらかすか分からん緊張感が良かったです。こういう偏執的な映画を作らせたら、日本映画より韓国映画の方がパワーがあるんじゃなかろうか。曖昧な言い方だけど、エンタテイメントとしてハリウッド映画ほど放り投げず、日本映画ほど自己完結していない、程よい着地感でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-30 15:04:37)(良:1票) |
163. ミスト
《ネタバレ》 これは良かったです。モンスターパニックものだけど、自分はモンスター以上に人間が怖かった。あの宗教おばさんにはぞっとしました。あんな馬鹿っぽいおばさんの弁舌に乗せられるということは、危機的状況に陥った人の心の弱さの表れなのでしょう。でもアメリカの映画ですね。葬式宗教国の日本では、あんなに簡単に帰依して行かないと思いますよ。モンスターも小型から超大型まで大きさはまちまちだけど、一貫したコンセプトでデザインされていて見応えありました。でも、今作に関しては人間ドラマを盛り上げるための良く出来た背景という印象です。問題のラストシーンは、子供を自らの手にかけるという意味でとても後味の悪い終わり方だけど、その前にガス欠くらいで諦めてしまうことの方が問題だろう。最後の最後まで粘っていれば、同じ終わり方でも印象は違ったと思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-19 04:15:53)(良:2票) |
164. ドーン・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 本家の「ゾンビ」は未見だったりする。でも、このリメイクは面白かった。最近ゾンビもので言うと「バイオ」とか「28日」とかは観てますが、これが一番面白かったです。人間のグループ対ゾンビ群という図式以外に余計な要素が入ってないので、ストーリーの流れは極めてシンプルだけど、対ゾンビのアクションとグループ内の人間関係だけで、たるみ無く見せてくれました。様々なゾンビ映画がありますが、生き延びるという単純構造を大切にするだけで、充分に面白いものになることを証明しています。難を言うなら、あの犬好き娘の意味不明行動くらいかな。憎まれ役から始まり最後は捨て身の奮闘をするCJさんがなかなか泣かせます。エンディングも無理やりなどんでん返しでハッピーエンドにされるよりは、ずっと受け入れやすくて嫌いじゃないです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-14 19:19:47) |
165. ラスト、コーション
《ネタバレ》 タイトルを直訳すると「肉欲、警告」だけど、このふたつの名詞の狭間に存在した二人の微妙な繋がりが時間をかけてじっくりと描かれる。詰まるところ、孤独という共通項が二人の関係を深くしたように見えた。嘘と欺瞞が氾濫する世界で、その中でも特に策謀を任とする男の親愛が皮肉のように唯一の真実として浮かびあがり、女は警告でそれに応えた。人間の深いところで明確な形になっていない情や欲が、任務に背いたアクションへと移行する様が視線や表情だけで演出されていて、とても見応えありました。何人かの方が指摘されていますが、確かにあのトンズラはお見事! [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-07 03:39:48) |
166. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 アンジェリーナ・ジョリーの演技はずーんと重く響くものがありました。でも何かが引っかかっていて、観賞後なかなか感想が書けなかったんだけど、やっと分かったのはバランスの悪さです。我が子を思う気持ちの深さに較べて、対する警部の非道や入れ替わっていた子供の動機が薄っぺらなんですね。アンジーを精神病院へ送った警部の行為はとてもシンプルな権力の乱用。悪行としか形容できない。子供に至ってはハリウッドスターに会いたかったという理由に拍子抜けしました。この2者にもう少し深みがあれば見応えが増したと思えるけど、実話ベースなので仕方ないことですね。この作品のテーマは絶望と希望の位置づけだと思います。対極の概念ですが、わずかなきっかけがあれば絶望の中にも希望を見い出すことは出来る。そして、一縷の希望が持つ力をアンジーの演技が示してくれていました。それにしても、イーストウッドの安定感は驚きを通り越して異常と思えるほど。彼は映画のすべてを知っているかのようだ。 [映画館(字幕)] 7点(2009-04-30 00:38:15) |
167. うた魂♪
自意識過剰少女の成長と、学ラン合唱隊のおかしさが両輪となって、程よく楽しくまとまっている青春映画でした。夏帆はいいですね。表情の作り方が秀逸です。彼女の世代の女優は2つに大別できる。早く大人になってシビアな役に挑戦してもらいたいと思う人と、今のまましばらく青春ものをやって欲しいと思う人。彼女は圧倒的に後者です。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-04-22 06:59:52)(良:2票) |
168. シューテム・アップ
B級映画の見本。難しいことを言わないのなら、ここまでやるのが映画でしょう! やや肌が疲れ気味のモニカ姉さんの色っぽさもB級テイストに良くマッチしてますね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-04-15 04:26:24) |
169. アメリカン・ギャングスター
《ネタバレ》 普通に面白い映画でした。突っ込みどころもほとんどない。良くまとまっている。その分、強く感じ入る部分が無かった映画とも言えますね。まぁ、汚職をするNYの特別捜査官が一番憎らしい奴だったので、すっきりはした。出来れば自殺させずに逮捕して欲しかったけど。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-03-13 02:44:14) |
170. コラテラル
《ネタバレ》 ヴィンセントとマックス。この二人には共通点と相違点がある。ヴィンセントは殺すことが好きで殺し屋をやっているようには見えなかった。本人の弁だが殺し屋を始めたのが6年前。それが本当なら転身したということだ。殺し屋稼業に就く前のことは語られない。一方のマックスはタクシーを転がして12年。リムジン会社を起業する夢を語る。タクシー運転手の自分は仮の姿だ、まだ途上だ…と。 ヴィンセントは自らの過去をマックスに重ねたのだと思う。自分も夢をストレートに語った時があった。だが、もう語れない。夢をまっすぐに語るマックスを青臭いと感じたのか、羨ましいと感じたのか。おそらくその両方だ。そして“仕事”が思うように運ばず苛立ったヴィンセントは指摘してしまう。確かこんな台詞。「お前はすでに夢が実現しないことが分かっている。なのに自分をごまかし続けている」。この言葉はヴィンセントが6年前に、自身にも浴びせた言葉ではなかったか。二人の共通点は夢が叶っていないこと。相違点は、夢を諦めたか否かではない。夢が叶わない現実を受け入れたか否か、である。 何度か機会があったはずなのに、ヴィンセントはマックスを殺さなかった。それは過去の自分を全否定したくなかったからだろう。 誰しも人生に夢を描く。ほんのひと握りがその夢を実現させる。では、実現できなかった者たちはどこへ行くのか? 大多数は殺し屋にはならずとも、ヴィンセントのように線を引いて人生を送るのである。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-02-18 04:44:59)(良:1票) |
171. アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂幸太郎作品は何作か読んだけど、このタイトルは未読。でも映画の随所に伊坂作品らしい会話のテンポや言い回しが見受けられ、この監督は良くエッセンスが分かってるのではないか、と思いました。それと瑛太という役者を見直しました。いや、別に見下したり見損なったりしていた訳じゃないけど、この映画の肝になる人物の演じ分けがしっかり出来てました。入国間もないブータン人のおどおどした様子とか、上手でしたね。虫も殺さないブータン人も友情のためなら例外もあるようで、自分は好感を持って見ました。ブータンの知識はほとんどなかったのでちょっと調べたら、国民総生産ではなく国民総幸福量を指標に世界一幸せな国を目指す、というユニークなお国でした。 [DVD(邦画)] 7点(2009-02-15 13:36:58)(良:1票) |
172. しゃべれども しゃべれども
《ネタバレ》 ご大層なお題目を掲げているわけではないけど、とても気持ちがいい映画でした。無理のない範囲で、みんなが前に進んでいると思えるからでしょう。一門会での国分太一のしゃべりは熱が入っていて引き込まれました。気が付くと笑っていた。まるで宮田だ(←勝くんの宿敵)。香里奈もあそこで初めて微笑んでましたね…。人と接するのが苦手な人、います。子供のうちは人見知りで済むんだけど、大人になるとそうも言ってられない。かといって、性格は簡単には変わらないので悩む人は真剣に悩む。でも、逆説的だけど、あんまり無理することはないよと、この映画は言ってる気がする。ずーッと仏頂面だった香里奈が微笑むところでそんなことを感じました。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-01-08 00:09:20)(良:2票) |
173. アイ・アム・レジェンド
《ネタバレ》 「伝説の男」なんてタイトルや「地球最後の男」とかいうキャッチコピーが安っぽくてあまり期待していなかったんだけど、良い作品でしたね。地球人口60億のほとんどが死んだ後に、5億が例のゾンビになり、免疫を持った人が1200万人。普通に生き残った人は500人に1人ですが、例のゾンビはその約50倍はいる計算です。健常な生存者はほとんどがゾンビに食われてしまった後の世界なのでしょう。確率的に言って主人公は自分を地球最後の男とは思っていないはずで、いつか誰かに会えるという希望は持っている。ただし、時間が経てば自分も含めてゾンビに食われる可能性が増える訳で、そのことも意識してワクチンの開発に孤独な研究を続け、ラジオで同胞に呼びかける。あのワンちゃんとのやりとりやBGMを流さない演出で孤独感が増幅されてました。人のいないNYのCGは完璧と言って良いでしょう。 自分が特筆したいのはあのゾンビの設定ですね。人は自分の体を守る意味で無意識のうちに身体能力を100%発揮しないようになっていると聞きますが、その制約が外れているようです。抜群の身体能力以外には、凶暴になる・人に噛み付く・言葉が喋れなくなる・紫外線に弱い・毛が抜ける、といったところが特徴で、コミュニティの意識もあるようだけど、この映画だけでは法則性は見出せなかった。一度死んだ訳ではないし、銃で撃ったら普通に死ぬのでゾンビと呼ぶのは誤りですが、あの動きは新しくてストーリーを緊張感あるものにしてました。ひとつ突っ込みどころを上げるなら、総人口の9割以上が死んだにしては死体が見当たらなかったことかな。NYから人が退去したあとだからなのか? エンディングに関してですが、文明とは複雑で巨大な産業構造の積み上げで成立するものなので、ある程度の人口が生き残っている程度では後退を余儀なくされるはず。「ナウシカ」の世界がそうですね。たぶん原始農耕民族に戻って人口を増やすところからやり直すんでしょう。ハッピーエンドとは言えない気がします。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-01-06 00:54:30)(良:1票) |
174. バイオハザードII アポカリプス
《ネタバレ》 原作ゲーム好きにとって、ジル・バレンタインとタイラント(?)の出演は嬉しかったです。特にコスチューム含めてジルが良いですね。そして、アリスが強い! 前作はしっかり者のお嬢さんくらいだったけど、いきなりパワーアップしました。原作がヒットした要因は、生き残ることを目的としたゲームの緊迫感だと思います。それはジルがやってくれてますが、後半は異能者同士の戦いという様相になって行きます。でも、格闘アクション映画という見方をしても見応えありました。ミラ・ジョヴォヴィッチはアクション女優を目指してるようですな。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-24 01:46:21)(良:1票) |
175. サウスバウンド
まぁ周囲の多くの人達から疎んじられることは仕方ないですが、私は好きですね、こんな親父。彼の中では、自由と義務と責任が独自のバランスで統制されているのでしょう。個性がハッキリしていて、キライなものをキライとハッキリ言う。子供たちに対しても、厳しいとか甘やかすとかいう基準じゃなく、個を尊重して接しているように感じて、そこに好感を持ちました。たぶん彼自身も、世の中全員が自分と同じがタイプで良いとは思ってはいないはずで、自分はアウトローを自認しているのだと思います。些細な矛盾などは、誰かが言い出さないと流れてしまうことが多いから。基本的に事なかれで自分の子供だけが可愛いタイプの親たちの100倍は立派だと思います。余談ですが、寒がりの私は沖縄に憧れていて、後半はあんなところに住みたいなぁと思いながら観ていました。両親ともあの古びた沖縄家屋を賞賛していたのに子供達はうんざり顔で、その対比が面白かった。もちろん自分は賞賛派です。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-12-01 01:30:33) |
176. 人のセックスを笑うな
《ネタバレ》 不思議な面白さを持った映画でした。描かれるのは美大生の男女とその美大の女性講師の恋愛模様だけど、ストーリーは無いに等しい。三角関係のドロドロって感じでもない。永作博美演じる講師がユニークな人柄だけど、その生き方がテーマという訳でもない。長まわしのカメラがこの三人の遣り取りを写し続けるが、ほとんどのシーンが次の展開に繋がって行かない。でも、これが不思議と飽きない。ギャラリーでお菓子をつまむシーンや、ストーブに灯油を入れるシーンなんかがその代表で、味があって記憶に残る。演出の主眼が言葉や仕草の日常性の抽出に置かれているってことなのでしょう。鑑賞後に良く考えられていたと気付いたのが画角。アップにしたら被写体の特定部分が強調されて味が薄れるし、離れすぎると見えなくなる。興味を持って、客観的に見える距離感とでも言うのだろうか。そこに神経を使ってました。のぞき見感覚の演出ですね。タイトルは逆説的にのぞかれた方の言葉なのでしょう。主演3人の演技力によるところが大きいのでしょうが、私はその「のぞき」に引き込まれたクチです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-11-18 13:34:47)(良:1票) |
177. 椿三十郎(2007)
《ネタバレ》 製作サイドに黒澤オリジナル版を超えようという意識は無かったと思う。映画関係者なら尚更わかると思うが黒澤版にはそれほど隙がない。 森田氏は「今の若い人にあの脚本の素晴らしさを知ってもらいたい」と言ったらしい。最初から白旗を上げてるようだけど、森田版を観終わった後に実感したのはまさにその点だった。中途半端に脚本に手が入っていないおかげで、自分は安心して役者の違いと演技の違いを楽しみ、役者が変わっても全く退屈しなかった脚本の出来の良さに改めて感心した。ちなみに織田裕二には「四番バッターではなく一番バッターの三十郎を演って欲しい」と言って口説いたらしい。三船敏郎のあの演技に比肩し得る役者がイメージできず、方向性を変えるしかなかったのだろう。そう考えると、菊井側の侍を大量に斬殺するシーンのもたつき方も頷けるし、三十郎初心者には筋の通ったキャラクターに見えたはずである。自分はこの映画を楽しんだ。黒澤版との違いも楽しめた。おそらく森田版は目的を達していると思う。 だから、改めて言っておきたい。この映画を観たからといって、黒澤版を観ずに「椿三十郎」を終わらせているとしたら、それは大間違いです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-11-09 00:19:15)(良:2票) |
178. プラネット・テラー in グラインドハウス
最後までバカバカしいパワーが減衰せずに突っ走り切ったB級映画の王道。特に言うこと無し。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-10-31 01:27:52) |
179. 夜顔
《ネタバレ》 この監督、100歳で現役なんですね! 年齢に関係するかどうかは定かじゃないけど、他では観れない面白み溢れる画面でした。 「昼顔」のエンディングが残したひとつの疑問。ユッソンはセヴリーヌ の亭主に真実を告げたか否か…?。 問題のシーンでのユッソンのセリフ。「私が秘密を話したか、何も話さなかったか。分かるかな? ふたつのうちのどちらが真実でどちらが嘘か」。セヴリーヌ は一瞬考えた後に、何かに気付いた表情をし、激怒して席を立つ。2回見直して得た私の解釈。答えがどちらかにあったなら、「ふたつのうちの…」なんて言わない。答えはたぶん「何かを話したけど、秘密を(正確に)話した訳ではない」。セヴリーヌ は40年も亭主の涙の意味を考え続けたが、その思考シミュレーションの前提となる部分が違っていたことに気付き激怒した。ユッソンがどんな話をしたかは分からないままだけど、どうでしょう、この解釈? でも、直後に新しい問題が投げつけられる。あのニワトリはなに? 意味なんてあるのか? 全然分かりません。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-10-30 00:11:31) |
180. APPLESEED アップルシード
ライブ3DCGアニメという意味では、アニメらしい見せ方を残しながらリアルを追求している姿勢を評価します。実写にしなかった必然性を見い出せなかった某有名ゲームソフトの映画版よりは、正しい方向性だと思います。そんな手法の話でなくとも、世界観、キャラクター、ストーリーなど、良くまとまった映画だと思います。オープニングの戦闘シーンの主人公の動きが斬新で好きです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-10-23 01:54:28) |