1821. ハート・ロッカー
《ネタバレ》 いまイラクでどんなことが起こっているのかを丁寧に描いた戦争映画。最前線で追い詰められていくアメリカ兵のぎりぎりの緊張感は見事に伝わってくる。いささかメリハリに欠けるせいか、少し単調な部分も気になるが良質の作品。ただ、アカデミー賞を取るほどの作品かというと、少々疑問。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-14 16:51:06) |
1822. K-19
《ネタバレ》 「Uボート」で確立された潜水艦映画の、新たな地平を切開いた作品。それまで潜水艦の敵は外部にある敵国のミサイルであったり、全てを押し潰す水圧であったのだけど、ここでは内部の敵・原子力との戦いがメインとなっている。特に、後半での漏れ出した放射能の海のなかを、仲間を救うために命を賭して進む人々の姿には純粋に感動を覚える。 [DVD(字幕)] 7点(2012-06-14 16:45:47) |
1823. アレックス
《ネタバレ》 時間軸を溯るという、「メメント」に似た手法で撮られた作品。でも、そういう手法で表現されたということがなければ、ただ過剰な暴力描写だけがある中身の薄い映画。テーマである、時は全てを破壊していくというということも、そんなことは誰だって多かれ少なかれ分かっていることで、少なくとも表現者を名乗るのならば、その先の言葉を提示して欲しい。これでは、レイプされた女性は運が悪かったんですね、で終わりじゃないか。 [DVD(字幕)] 4点(2012-06-14 16:38:38) |
1824. TAKESHIS’
《ネタバレ》 明らかに、デビット・リンチの「マルホランド・ドライブ」を意識した作品だろうけど、いかんせん才能の差が際立ってしまっている。悪夢のようなシュールな世界を構築しそれを芸術の高みにまで昇華するということと、無茶苦茶すればそれで後から意味なんか付いてくるだろうという浅薄さを、明らかに履き違えている。それでもタクシーのシーンなどは光るものがあったので、この点数。 [DVD(字幕)] 5点(2012-06-14 16:28:47) |
1825. 監督・ばんざい!
《ネタバレ》 下品な悪ふざけ。面白みのかけらもない。一切笑えず、不快感だけが残るどうしようもない映画。それだけ。 [DVD(字幕)] 1点(2012-06-14 16:20:35) |
1826. Dolls ドールズ(2002)
《ネタバレ》 外人が好みそうなオリエンタルでエキゾチックな映像をこれでもかとふんだんに使い、明らかに日本の観客を無視して創られた映画。どうして文楽の映像が織り込まれるのか、その意味も皆無だし、なにより愛する人のために目を潰すエピソードなど明らかに外国で評価の高い谷崎潤一郎からの本歌取り。日本では比較的評価の低いことへの反発でこの映画を創ったのだとすれば、それに付き合わされる観客の身にもなって欲しい。 [DVD(字幕)] 3点(2012-06-14 16:16:20) |
1827. Kids Return キッズ・リターン
《ネタバレ》 単調で変化に乏しいアート系映画を多く撮っている北野武作品は、個人的には苦手なのだけど、この作品は割合と好きなほう。相変わらず、淡々とした事実だけが美しい映像のなかを静かに流れていく手法が、二人の青年の鬱屈した青春の日々と絶妙にマッチしている。どこまでいっても閉塞感から抜け出せない現実のなかで、それでも生きることを肯定的に描き、それがとても良い余韻を残す。この後の北野作品は、そんな肯定感を放棄してしまって、ただ絶望感だけを描いているような気がしてならないだけに、この作品はいまも光っている。 [DVD(邦画)] 7点(2012-06-14 16:08:00) |
1828. ミルク(アメリカ映画)
《ネタバレ》 ガス・ヴァン・サントが久々に撮った、まともなメジャー映画。主演に名優ショーン・ペンを迎えてけっこうお金がかかった映画だけに、これまでのガス・ヴァン・サント作品とは違ってかなり無難な映画に仕上がっている。さらに実話を基にしたということで、特に驚きなどはないが、それでもショーン・ペンの熱演も相俟ってまあまあの秀作だった。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-08 22:12:13) |
1829. ラストデイズ(2005)
《ネタバレ》 十代のころに、ニルヴァーナにめちゃくちゃハマり、カートの死に衝撃を受けた者としては、そんな彼に捧げられた映画ということで、苦手なガス・ヴァン・サント作品だけどちょっと甘めな評価になってしまう。正直、これがカートの最期って言われても違う気がするけれど、彼の成熟しきれなかった永遠の十代の感性はちゃんと描かれていたと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-08 22:04:17) |
1830. エレファント
《ネタバレ》 青春という時代に、誰もが抱く危うい狂気の世界を独特の映像美で静かに描いた、いかにもガス・ヴァン・サントらしい映画。ずっとこの監督とは感性が合わないなぁと思っていたのだけど、これはちょっと良いかもと思った。美しくも狂気にまみれた秀逸なアート作品。カンヌ映画祭でのパルムドールというのも納得。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-08 21:56:12) |
1831. ジェリー
《ネタバレ》 のちの「エレファント」や「ラストデイズ」に繋がる、ガス・ヴァン・サントの実験的映画。と、言えば聞こえは良いが、その内容たるや人に見せる段階に達していない極度につまらない、試しに撮ってみたというような習作レベル。誰か、勇気を出して「ボツにしよう」と言えなかったのか? これを寝ずに最後まで観れた全ての人々に敢闘賞を差し上げたい(もちろん自分も含めて)。 [DVD(字幕)] 1点(2012-06-08 21:45:13) |
1832. マイ・プライベート・アイダホ
《ネタバレ》 いかにもインディペンデントな静かな映画。二人の若い男の、友情や葛藤を穏やかで綺麗な映像のなかに描き出すという狙いは分かるのだけれど、個人的には苦手な映画だった。思えば、ここからガス・ヴァン・サントという映像作家と出合ったのだけど、やはりその後の映画を観ても「やっぱり自分とは合わないなぁ」と思いながらも、何故か観てしまうという、不思議な監督だ。ともあれ、若く美しい二人の俳優を観ているだけで充分に絵になる。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-08 21:37:51) |
1833. ダーク・シャドウ(2012)
《ネタバレ》 相変わらず我が道をいく、デップ&バートンコンビ。今作も、お馴染みのメンバーで思いっ切り楽しく創っているのが観ている方にも伝わってくる(ヘレナ・ボナム・カーターはこれで何回ジョニーに殺されたんだろう?)。それでも、さすがにちょっとマンネリ気味なのか、途中まではなかなか冗長で「これは外したかなぁ」と思ったものの、中盤からはいかにもバートンらしいゴシックホラーとブラックユーモアが渾然一体となって加速度的に面白くなっていった。まともな人間はおろか、まともな怪物すら出てこない(デップ演じる主人公が超自己中で女にだらしないヴァンパイアという設定自体変だし)、いかにもバートンらしいへんてこりんで楽しい映画。 [映画館(字幕)] 7点(2012-06-08 21:24:30) |
1834. アンナと過ごした4日間
《ネタバレ》 孤独な中年男性の、一人の女性に向ける歪んだ愛情が観ていくうちに次第に純愛のように思えてくるから不思議。こだわりの静かな映像美が、その歪んだストーカーの情念を浄化してゆく、これぞ映画のマジックだろう。多少、単調ではあるけれど不思議な雰囲気をもった良作。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-06 14:28:47) |
1835. エッセンシャル・キリング
《ネタバレ》 映画を純粋にアートとして撮るという意識で創られた作品を否定はしないが(そいいう映画のなかにこそ記憶に残る作品が多い)、それでも大前提として必要最低限の面白さがなければ僕は駄目だと思う。監督の前作がその意味において、なかなか良作だっただけに、それに比べれば今作は残念ながらぎりぎり鑑賞に耐えうるレベルに達していない。ぶれない姿勢やこだわりの映像美は確かに認めるけど、正直良い作品とは思えない。 [DVD(字幕)] 4点(2012-06-06 14:23:40) |
1836. デビルクエスト
《ネタバレ》 まあ、こんなもんだろうという期待をまったく裏切らない出来だった。どこかで見たようなシーンの連続に、予算の都合か、後半のいくにしたがってチープになる映像。まあ、それでもそこそこ楽しめる映画に仕上がっていたので良いんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 5点(2012-06-06 14:17:10) |
1837. パンズ・ラビリンス
《ネタバレ》 内戦に揺れる1940年代のスペイン。社会を支配する苛烈で不条理な男たちの暴力に押し潰されようとしている一人の無垢な少女、オフェリア。それでも彼女には、誰にも負けない想像力という素晴らしい武器があった。迷宮の奥深くで牧神パンと出会い、森の枯れかけた巨木の根元で彼女は醜い大蛙と対峙する。そして、魔法のチョークで描かれた扉の向こうでは、世にもグロテスクな怪物と悪夢のような試練を経る。目的は、永遠の世界でお姫様となること。だが、オフェリアを取り巻く現実はあくまでも残酷だった……。この妄想とも現実ともつかない、モダンでグロテスクな美しさに満ちた世界は、観れば観るほど、まるで何処までも続く深い迷宮へと迷い込むような、そんな気持ちに誘ってくれる。男たちがつぐむ歴史の傲慢さに対抗する言葉として、女性は物語という言葉を編み出してきただろう。そんな普遍的な事実がここにはあまりにも美しく、そして退廃的に描かれている。素晴らしいとしか言いようがない。惜しむらくは、第三の試練。ここも素晴らしい幻想世界で描かれていれば、完璧な大傑作映画となり得たのに。でもそんな不完全さも含めて、僕はこの映画が大好きだ。最後、醜い暴力にその儚い命をも奪われながらも、美しい想像力だけは奪われなかったオフェリアのその切ない笑顔がいつまでも忘れられない。 [DVD(字幕)] 10点(2012-06-03 22:30:44) |
1838. シャーロック・ホームズ(2009)
《ネタバレ》 デビュー数年でずっと低迷していた監督が、久々に任された大作映画。旬な俳優も主演ということで、すべることが許されない状況だったからか、非常に無難なつくりになっております。押さえるべきセオリーもちゃんと心得ており、素直に楽しめるのですが、特に心に残るものもなかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-03 22:13:04) |
1839. スウェプト・アウェイ
《ネタバレ》 なんかぬるい映画でした。センス溢れる作品でデビューした監督が、その勢いに乗って口説き落としたマドンナを主演に、「どうだい? こんな格差婚をしてしまって虐げられた日々を送っている僕だけど、そんな日々の不満を爆発させて、高慢ちきな嫁を調教する映画を撮ったんだぜ。そんな裏も読んで楽しんでくれ」という狙いが見事に空回りしてしまっている。なんだかんだ言って、これって結局、監督と嫁がノロけてるだけじゃん!!観ているほうはとってもシラけるんですけどー。なんだか友人のどうでもいい新婚旅行のホームビデオに毛が生えた程度の作品でした。 [DVD(字幕)] 4点(2012-06-03 22:08:17) |
1840. スナッチ
《ネタバレ》 監督のデビュー作「ロックストック&トゥースモーキングバレルス」がヒットしたので、その収益を最大限に活かして創られたような作品。確かに主演俳優たちは、それだけで主役をはれるような豪華な布陣で、しかものびのびと楽しんで演じている姿は確かに観ていて楽しい。だが、あまりにも前作と雰囲気やストーリーが似過ぎていて、あまり新しさは感じない。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-03 22:00:36) |